JP2004531577A - シクロヘキサノール誘導体の調製法 - Google Patents

シクロヘキサノール誘導体の調製法 Download PDF

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Abstract

式 (I)のシクロヘキサノール誘導体の調製法であって、式 (II)の化合物を式 (III)の化合物と、式(IV)または(V)の塩基性触媒の存在下に反応させることによる方法。前記式において、R−R、A、B、Xおよびpは、明細書に示す意義を有する。

Description

【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールなどのシクロヘキサノール誘導体の調製法に関する。
関連分野の背景
1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル] シクロヘキサノールなどのシクロヘキサノール誘導体は、神経伝達物質、ノルエピネフリンおよびセロトニンの再取り込みを阻害することにより抗鬱作用を有するベンラファキシンなどの化合物を作製するための有用な中間体である。 米国特許第4,535,186号に記載されているように、シクロヘキサノール誘導体は、シクロアルカノンまたはシクロアルケノンの適当に置換された(オルトまたはパラ) フェニルアセトニトリルアニオンとの反応により作製することができる。
【0002】
U.S. 186 特許に開示されている調製法は、反応においてフェニルアセトニトリルアニオンを誘導するためのn-ブチルリチウムなどの有機金属塩基の使用を含む。有機金属塩基は高価であり、反応物の少なくとも1当量の量にて−50 ℃未満の低温にて用いられなければならず、発火または爆発の危険を伴って、水に感受性のある特性があり、50 %未満の低い製造収率しか得られない。それゆえ、有機金属塩基は産業規模での合成には実用的でないと考えられる。
【0003】
米国特許第5,043,466号は、以下の反応メカニズムに示されているように、リチウムジイソプロピルアミドなどの有機金属塩基を用いるシクロヘキサノール誘導体の調製法を開示する。 U.S. 466 特許は、 反応温度および収率を改善するために、炭化水素溶媒の混合比を変更するが、塩基、リチウムジイソプロピルアミドが非常に高価で扱いにくく、発火または爆発の危険性があり得るために産業規模での合成には実用的でないという問題は依然として残る。
【0004】
【化1】
Figure 2004531577
【0005】
中国特許公開第1225356 (CNO1225356A)号は、0 − 5℃の範囲に反応温度を高めるための、シクロヘキサノール誘導体の調製におけるナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウムおよびナトリウムアミドなどの塩基の使用を開示する。 しかし、開示される塩基は、反応物質の少なくとも1当量の量にて用いられ、さらに、それらもまた発火または爆発の傾向があるので危険である。
【0006】
前記の公知方法には、2つの工程、即ち、フェニルアセトニトリルを塩基と反応させてアニオンを作製すること、次いでアニオンをケトン化合物とカップリングさせることを含む。特に、アニオン-作製工程における反応は、工程の終了時点の決定および作製されたアニオンの定量分析に関していくらかの困難を含む。そのような問題のために、カップリング工程における収率に変化が生じ、それゆえ、この理由のために産業上利用も、困難である。
【0007】
発明の概要
従って、本発明は、従来技術の問題および不都合を実質上克服するシクロヘキサノール誘導体の調製法に関する。
本発明の目的は、経済的かつ合理的な大量生産を可能とするための、フェニルアセトニトリルのシクロヘキサノンとの反応によるシクロヘキサノール誘導体の調製法を提供することである。
本発明の他の目的は、発火または爆発の危険のない安全かつ環境にやさしい、そして反応物質が一つの反応において全て混合されるために、常套の合成よりも簡単な、シクロヘキサノール誘導体の調製法を提供することである。
【0008】
本発明の1つの態様は、式 I:
【化2】
Figure 2004531577
【0009】
(式中、R6およびR7は、水素、ヒドロキシル、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C7-C9アラルコキシ、 C2-C7アルカノイルオキシ、 C1-C6アルキルメルカプト、ハロまたはトリフルオロメチルから独立に選択されるオルトまたはパラ置換体であり; R8は、水素またはC1-C6アルキル; pは、整数0、1、2、3 または 4の1つ;およびR9は、水素またはC1-C6アルキルである)のシクロヘキサノール誘導体の調製法であって、
【0010】
式IIの化合物を式 IIIの化合物と、式 IVまたはVにより示される非-有機金属塩基性触媒の存在下、反応溶媒の存在または不在下に反応させること;
【0011】
【化3】
Figure 2004531577
【0012】
【化4】
Figure 2004531577
【0013】
[式中、A は-(CH2)n(nは、2 − 4の整数である); B は、-(CH2)m- (式中、 m は、2 − 5の整数) ; X は、CH2、O、 NH または NR'(式中、R'は C1-C4アルキルまたはアシル、または アルキル担持ポリマー ; R1− R4のそれぞれは独立に、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアルキルまたはシクロアルキル担持ポリマー、および R1- R4の全てが水素ではなく、および R5は、アルキル、シクロアルキル、またはアルキルまたはシクロアルキル担持ポリマーである]を含み、およびR9がアルキルの場合、アルキル基をアルキル化により導入する方法である。
【0014】
本発明に用いられる非-有機金属塩基は、IV またはVにより示されるアミジンまたはグアニジンを含む。より詳細には、本発明の非-有機金属塩基の例には、アミジン、例えば1,8-ジアザビシクロ [5,4,0]アンデク-7-エン (DBU)および1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノン-5-エン (DBN); 環状グアニジン、例えば、1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デク-5-エン (TBD)および7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デク-5-エン (MTBD); アルキルグアニジン、例えばテトラメチルグアニジン (TMG)、テトラブチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、ペンタブチルグアニジンおよびN'-ブチル-N",N"-ジシクロヘキシルグアニジンが含まれる。本発明の塩基性触媒は均一系触媒であってよく、またはポリマー担持体(例えばポリスチレン)または無機担持体(例えば、シリカ)に固定されたアミジン-またはグアニジン-に基く有機アミン塩基を含んでいる触媒であってよい。本発明の非-有機金属塩基は、前記の塩基から成る群から選択される少なくとも1つである。
【0015】
用いられる非-有機金属塩基の量は特に制限されず、式 IIの化合物の1当量に対して約0.0001〜約2当量、およびより好ましくは、約0.005〜0.5当量の範囲にあってよい。本発明の反応は、塩基性触媒を触媒量でのみいて首尾よく達成し得、これは好都合である。
本発明は、常套の合成において所望される炭化水素またはエーテルを含む有機溶媒を用いなくてもよい。有機溶媒を用いるか否かは、当業者により決定されてもよいが、有機溶媒を使用しないことが一般的には好ましい。
【0016】
式 Iにより示される1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールなどのシクロヘキサノール誘導体の調製において、反応温度は、好ましくは約−20 〜 80℃の範囲内であり、より好ましくは約10 〜 30℃の範囲内である。 本発明の方法は、室温においても行うことができ、これは好都合である。
【0017】
本発明により、適当に置換されたパラ-フェニルアセトニトリルのシクロヘキサノンとの、非-有機金属アミン塩基(例えば DBU、DBN、TBN、MTBD、TMGまたは N'-ブチル-N",N"-ジシクロヘキシルグアニジン)の存在下での、反応メカニズムIに従う反応によるシクロヘキサノール誘導体の調製法が提供される。
【0018】
【化5】
Figure 2004531577
【0019】
前記反応において、R6〜 R9、および pは前に定義したものと同じであり、およびR9がアルキルである場合、それはアルキル化により導入する。
【0020】
式 Iに示す1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールなどのシクロヘキサノール誘導体の調製において、アミン塩基であるDBU、DBN、TBD、MTBD、TMGまたはN'-ブチル-N",N"-ジシクロヘキシルグアニジンなどの非-有機金属塩基をフェニルアセトニトリルアニオンを誘導するための常套のプロセスに用いられるn-ブチルリチウムまたはリチウムジイソプロピルアミドなどの有機金属塩基の代わりに用いる。比較的安価で、水素化に対する反応性が低く、室温にて操作可能な、発火または爆発のリスクのない比較的少量の非-有機金属塩基の使用により、安全かつ比較的簡単な工業プロセスによる大量生産が可能となる。本発明において必要とされるのは触媒量の非-有機金属塩基のみであり、これにより、高度に純粋な、高収量のシクロヘキサノール誘導体が生じる。
本発明の方法はさらに、有機溶媒の使用が回避されるので、より簡単であり、そして有機金属副産物の産生を伴わず、環境にやさしい。
【0021】
好ましい具体例の詳細な記載
本発明を、以下の実施例を引用してここに詳細に示すが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
【0022】
実施例 1
100 g(0.68 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、100 g (1.02 モル)のシクロヘキサノンおよび32 g (0.21 モル)の1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エン (DBU)をフラスコに添加し、15〜20 ℃にて、48時間攪拌しながら維持した。1NのHC1を次いで、pHを酸のレベルへと調節するために、生じた溶液に添加した。室温にて1時間攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、次いで精製水で洗浄し、エチルアセテートおよびn-ヘキサンで洗浄して、標的化合物としての収量140 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノール (収率 84%, 融点 123.7 ℃)を得た。
【0023】
1H NMR 分析 (DMSO-d6) : δ 7.27-6.93 (4H, q, 芳香族). 4.85 (1H, s, OH), 4.05 (3H, s, OCH3), 3.76 (1H, s, CHCN), 1.69-1.08 (10H, m, シクロヘキシル)
1H NMR 分析 (CDCl3) : δ 7.23-6.89 (4H, q, 芳香族). 3.82 (3H, s, OCH3), 3.73 (1H, s, CHCN), 1.72-1.16 (10H, m, シクロヘキシル)
【0024】
13C NMR 分析 (DMSO-d6) : δ 159.4, 131.3, 125.8, 121.4, 114.1, 72.2, 55.8, 48.8, 36.0, 34.7, 25.9, 22.0, 21.9
マススペクトル 分析: 分子量 245 [M+ C.I.M.S.による]
IR (KBr パレット) : 3408 cm-1(-OH), 2249 cm-1(-CN)
【0025】
実施例 2
52.7 g (0.36 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、35.8 g (0.36 モル) のシクロヘキサノンおよび28.6 g (0.19 モル)の1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンをフラスコに添加し、 15〜20 ℃にて90 時間攪拌しながら維持した。1NのHC1を次いで生じた溶液に、pHを酸レベルへと調節するために添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよび n-ヘキサンにて洗浄し、標的化合物として収量 62 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 70%)。
【0026】
実施例 3
1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンの0.5当量を6日の反応に用いること以外は、実施例 1に記載する同じ方法にて工程を行い、標的化合物として収量67gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 80%)。
【0027】
実施例 4
100 g (0.68 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、167 g (1.70 モル)のシクロヘキサノンおよび52 g (0.34 モル)の1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンをフラスコに添加し、0 ℃にて60 時間攪拌しながら維持した。1N HClを次いで反応溶液に、pHを酸のレベルへと調節するために添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンにて洗浄し、標的化合物としての収量147 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 88%)。
【0028】
実施例 5
1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンの0.5当量を8時間の反応に用いた以外は、実施例1に記載する同じ方法にて操作を行い、標的化合物としての収量 116 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 70%)。
【0029】
実施例 6
25.4 g (0.17 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、41.8 g (0.42 モル)のシクロヘキサノンおよび13.2 g (0.087 モル)の1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンをフラスコに添加し、 25 ℃にて24 時間攪拌しながら維持した。1N HClを次いで反応溶液に、pHを酸のレベルへと調節するために添加した。50mlのメチルアルコールを添加し、次いで1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンで洗浄して、標的化合物としての収量 23.7 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 56.1%)。
【0030】
実施例 7
50.3 g (0.34 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、34.8 g (0.35 モル)のシクロヘキサノンおよび43.3g (0.35 モル)の1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノン-5-エン (DBN)をフラスコに添加し、20 〜 25℃にて90時間攪拌しながら維持した。生じた溶液に50 mlのメチルアルコールおよび200 mlの精製水を添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンで洗浄して、標的化合物としての収量 116gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル) メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 70%)。
【0031】
実施例 8
20 g (0.14 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、13.7 g (0.14 モル)のシクロヘキサノンおよび21.2 g (0.14 モル)の1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンをフラスコに添加し、100 mlのメチルアルコールで希釈し、次いで 15 〜 20 ℃へと20 時間攪拌しながら維持した。生じた溶液に20 mlのメチルアルコール、および150 mlの精製水を添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンで洗浄して、標的化合物としての収量 17.4 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノール(収率 52%)を得た。
【0032】
実施例 9
1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク-7-エンを6日の反応に用いる以外は実施例1に記載する同じ方法にて操作を行い、 標的化合物としての、収量76.1 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 90.5%)。
【0033】
実施例 10
25.4 g (0.17 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、83.6 g (0.85 モル) のシクロヘキサノンおよび26.7 g (0.17 モル)の1,8-ジアザビシクロ[5,4,0] アンデク7-エンをフラスコに添加し、20 〜 25 ℃にて 24 時間攪拌しながら維持した。生じた溶液に50 mlのメチルアルコールおよび 200 mlの精製水を添加した。1時間室温にて攪拌後、沈殿を濾過により分離し、精製水、およびエチルアセテートおよびn-ヘキサン にて洗浄し、標的化合物としての収量 18.0 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル) メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 42.6%)。
【0034】
実施例 11
35 〜40 ℃の範囲に反応温度を維持した以外は実施例1に記載する同じ方法にて操作を行い、標的化合物としての収量 30.6 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノール(収率 36.8%)を得た。
【0035】
実施例 12
100 g (0.68 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、100 g (1.02 モル)のシクロヘキサノンおよび0.47 g (0.0034 モル)の1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デク-5-エン(TBD)をフラスコに添加し、20 〜 25 ℃にて10 〜 12 時間攪拌しながら維持した。1NのHClを次いで生じた溶液に、pHを酸のレベルへと調節するために添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンにて洗浄し、標的化合物としての、収量 128 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 77%)。
【0036】
実施例 13
実施例 1, 0.03当量の7- メチル-1, 5, 7-トリアザビシクロ [4, 4, 0]デク-5-エン (MTBD)を20 〜 22-時間の反応に用いた以外は実施例1に記載の同じ反応にて操作を行い、標的化合物としての収量 128 gの白色化合物、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 77%)。
【0037】
実施例 14
50 g (0.34 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリル、50 g (0.51 モル) のシクロヘキサノンおよび0.24 g (0.0017 モル)の1, 5, 7-トリアザビシクロ[4, 4, 0] デク-5-エン (TBD)をフラスコに添加し、20 〜 25℃へと19 時間攪拌しながら維持した。反応混合物を500 ml のエチルアセテートに溶解し、200 mlの精製水の添加後、6N HC1で中和した。30 〜 35 ℃にての相分離後、有機溶媒を真空下に除去し、500 mlのエチルアセテートおよび200 mlの精製水を濾液に添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンにて洗浄し、標的化合物としての収量74gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 89%)。
【0038】
実施例 15
25 g (0.17 モル)の p-メトキシフェニルアセトニトリル、25 g (0.25 モル)のシクロヘキサノン および2.5g (0.0090 モル)のN'-ブチル-N",N"-ジシクロヘキシルグアニジンをフラスコに添加し、20 〜 25℃にて 24 時間攪拌しながら維持した。1N HClを生じた溶液に、pHを酸のレベルへと調節するために添加した。1時間室温にて攪拌後、生じた沈殿を濾過により分離し、精製水、次いでエチルアセテートおよびn-ヘキサンにて洗浄し、標的化合物としての収量 30 gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 72%)。
【0039】
比較例 1
50g (0.34 モル)のp-メトキシフェニルアセトニトリルを250mlの乾燥テトラヒドロフラン(THF)で希釈し、次いで-70℃へと窒素雰囲気下に冷却した。210ml(0.34 モル)のn-ブチル リチウム (n-BuLi)を生じた溶液に、溶液の温度を-50℃未満に維持しながら滴下した。溶液を30分間攪拌し、50 g (0.51 モル)のシクロヘキサノンの添加後、45分以上攪拌し、その間溶液の温度を-50℃未満に維持した。その後、反応溶液の温度を0℃へと上昇させ、飽和塩化アンモニウム溶液を、相分離を生じさせるために添加した。水層をジエチルエーテルで抽出し、有機層と合わせた。有機溶媒を次いで減圧下に除去し、標的化合物としての収量 25.2 gの1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 34.2%)。
【0040】
融点: 123 〜126 ℃.
マススペクトル 分析: 分子量 245 [M+ C.I.M.S.による]
1H NMR 分析 (DMSO-d6): δ 7.32, 6.95 (4H, q, p-置換された 芳香族), 3.8 (3H, s, O-CH3), 3.76 (1H, s, CH-CN), 1.56 (10H, m, 脂肪族 シクロヘキシル)
【0041】
比較例 2
内部温度を10℃未満に維持しながら、75 ml のトルエンで希釈した76.5 g のp-メトキシフェニルアセトニトリルをゆっくりと、73 mlのジイソプロピルアミン を325 ml の 6M BuLiおよび300 mlのトルエンへと窒素雰囲気下に添加することにより作製したリチウム ジイソプロピルアミド溶液へと添加した。30分の攪拌後、50mlのトルエンで希釈した46.0gのシクロヘキサノンをゆっくりと、内部温度を10℃未満に維持しながら添加し、次いで約30分以上攪拌した。生じた溶液を100mlの12N HCl水溶液および1 Lの冷やした精製水に添加した。濾過後、濾液をジクロロメタンで希釈し、次いで精製水で洗浄した。ジクロロメタンをジイソプロピルエーテルと置き換え、溶媒を減圧下に除去し、濾液を冷却して、標的化合物としての、収量 91.0gの白色固体、1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]メチル]シクロヘキサノールを得た(収率 79%)。
【0042】
引用例
実施例 1にて調製した12 g (0.05 モル)の1-[シアノ(4-メトキシフェニル)メチル]シクロヘキサノールを250mlのアンモニアおよびエタノールの混合液に、2:8 (v/v)の混合比にて添加し、 ついで2.8g の5%アルミナ上ロジウムを水素化反応を起すために添加した。触媒を濾過し、エタノールで洗浄し、濾液を減圧下に濃縮し、オイル形態の化合物を得、これを100mlのトルエンで希釈し、次いで pH 2へと酸性化した。濾過後、標的化合物としての収量9 gの白色固体、1-[2-アミノ-1-(4-メトキシフェニル)エチル]シクロヘキサノールを得た(収率 57%)。
【0043】
融点: 168 〜 172 ℃
マススペクトル 分析: 分子量 250 [M+ C.I.M.S.による]
1H NMR 分析 (DMSO-d6): δ 7.85 (3H, s, NH3+), 3.75(3H, s, O-CH3), 3.20 (3H, m, CHCH2), 1.35 (10H, m, 脂肪族 シクロヘキシル)
【0044】
前記のごとく、本発明により、式Iにより示されるシクロヘキサノール誘導体、1-[シアノ4-メトキシフェニル]メチル]シクロヘキサノールなどの産業規模の大量生産のための安全かつ比較的単純な方法が提供される。本発明は、比較的安価な、環境にやさしく、有機溶媒を用いない少量の非-金属塩基を使用し、高度に純粋な1-[シアノ4-メトキシフェニル] メチル]シクロヘキサノールが高収率で得られる。

Claims (11)

  1. 式 I:
    Figure 2004531577
    (式中、R6およびR7は、水素、ヒドロキシル、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C7-C9アラルコキシ、C2-C7アルカノイルオキシ、C1-C6アルキルメルカプト、ハロまたはトリフルオロメチルから成る群から独立に選択されるオルトまたはパラ置換基である; R8は、水素またはC1-C6アルキルである; pは、整数0、1、2、3または4の1つである;および、R9は水素またはC1-C6アルキルである)のシクロヘキサノール誘導体の調製法であって、
    式 IIの化合物を式 IIIの化合物;
    Figure 2004531577
    と、式 IVまたはV;
    Figure 2004531577
    (式中、Aは、- (CH2)n(nは、2 − 4の整数); Bは- (CH2)m(mは、2 − 5の整数); X は CH2、 O、 NH または NR'(式中、R' はC1-C4アルキルまたはアシル、またはアルキル担持ポリマー; およびR1− R4のそれぞれは、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル またはアルキルまたはシクロアルキル担持ポリマーであり、およびR1− R4の全てが水素ではなく、およびR5はアルキル、シクロアルキルまたはアルキルまたはシクロアルキル担持ポリマーである)
    により表される非-有機金属塩基性触媒の存在下、反応溶媒の存在または不在下に反応させることを含み、およびR9がアルキルの場合、アルキル基をアルキル化により導入する方法。
  2. 式 IIの化合物がp-メトキシ-フェニルアセトニトリルである、請求項1記載の方法。
  3. 式 IIIの化合物がシクロヘキサノンである、請求項1記載の方法。
  4. 非-有機金属塩基性触媒が、1つまたはそれ以上の式 (IV) または (V)のアミジンまたはグアニジンから選択される触媒の混合物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 塩基性触媒が、均一系触媒またはポリマー担持体に固定されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 非-有機金属塩基が、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]アンデク−7-エン (DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノン-5-エン (DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デク-5-エン (TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デク-5-エン (MTBD)、テトラメチルグアニジン (TMG)およびN'-ブチル-N",N"-ジシクロヘキシルグアニジンから成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 用いられる非-有機金属塩基の量が、式IIの化合物の1当量に対して約0.005〜約0.5当量の範囲内である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 溶媒を用いない、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 反応温度が約-20 〜 80℃の範囲内である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 反応温度が約10 〜30 ℃の範囲内である、請求項9記載の方法。
  11. 式 II および IIIの化合物および塩基性触媒を1 : 1 〜 1.5 : 0.005 〜 0.5の当量比にて用いる、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
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