JP2004526704A - 神経変性疾患の処置のためのトリペプチド及びトリペプチド誘導体 - Google Patents

神経変性疾患の処置のためのトリペプチド及びトリペプチド誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、神経変性疾患の処置のための、特定のトリペプチドの使用、及びトリペプチドを含む医薬組成物に関する。このトリペプチド誘導体は、次の式(I)[式中、Xは、OH、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−C1-5−アルキル、N(C1-5−アルキル)2を表し;R1は、アミノ酸:Phe、Tyr、Trp、Pro(それぞれ、場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい)、更にはAla、Val、Leu又はIleの1つから誘導される残基であり;R2は、アミノ酸:Gly、Ala、Ile、Val、Ser、Thr、Leu及びProの1つから誘導される残基であり;Y1及びY2は、相互に独立に、H又は(C1-5)アルキルを表し;R3及びR4は、相互に独立に、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し(ただし、R3及びR4は、両方ともOH又は(C1-5)アルコキシではない);そしてR5は、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す]、又は薬学的に許容しうるその塩を満たす。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患、特にアルツハイマー病及び軽度認識障害の処置のためのトリペプチド及びトリペプチド誘導体の使用、並びにトリペプチド又はトリペプチド誘導体及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、一般にアポトーシスにより引き起こされる、神経の崩壊又は変性を特徴とする。神経変性疾患の例は、アルツハイマー病、軽度認識障害、パーキンソン病、更にはAIDS関連神経障害を含む。例えば、アルツハイマー病では、神経変性が、記憶し、話し、考え、そして決定する能力の破壊をもたらす。これらの障害の理由は、詳しくは知られていない。生化学レベルでは、神経伝達物質であるアセチルコリンの生成の低下を伴う、皮質のコリン作動系の変化を検出することができる。アルツハイマー病に罹病している患者の大脳皮質では、アセチルコリン濃度が20〜40%低下している。この結果として、神経終末が攻撃を受け、そしてこのため、最終的には脳細胞、特に海馬の細胞の死に至る。
【0003】
したがって、このような観察に照らして、アルツハイマー病の治療的アプローチは、特に、アセチルコリンを酢酸とコリンとに分解するアセチルコリンエステラーゼを阻害することによる、アセチルコリン濃度の安定化に注力している。しかし、アセチルコリンエステラーゼインヒビターの使用は、これが、神経変性の停止又は反転にさえ適切といえない一時的な改善をもたらすだけであるという欠点を示す。
【0004】
他方では、別々のニューロン集団の生存、成長及び分化に著しい影響を及ぼすとされている、いわゆる神経栄養因子又はニューロトロフィンが知られている。ニューロトロフィンファミリーは、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、ニューロトロフィン−4(NT−4)及びCNTF−ファミリー(毛様体神経栄養因子)を含む。ニューロトロフィンは、分子量26〜28kDaの塩基性の小タンパク質である。NGFは、多くの異なる組織において活性を示す、ニューロトロフィンファミリーの最もよく性状解析されたメンバーである。
【0005】
末梢神経系(PNS)において、NGFは、交感神経及びある種の知覚神経の発生に決定的に重要である。中枢神経系(CNS)において、NGFは、前脳基底部のコリン作動性ニューロンの発生及び維持に栄養的役割を担う。これはまた、神経再生における成体CNS組織においても、ある役割を演じている。
【0006】
コリン作動性ニューロンは、NGFの非存在下よりは、むしろその存在下でアセチルコリンを産生することが知られている。更にまた、霊長類へのNGFの投与が、コリン作動性細胞体の再生をもたらすことも証明されている。この知見に基づき、NGFの活性の変化が、コリン作動性ニューロンの変性の開始点であろうことが仮定される。少なくとも理論的には、神経栄養性物質が、アルツハイマー病のような神経変性疾患の処置に適しているようである。しかし、これらの生理学的に発生する物質は、オートクリン又はパラクリン物質と同様に作用半径が短い。したがって、これらが、血液循環及び他の組織においてタンパク分解を受け、これによって不活化されるため、今日までこれらの適用のために普通の治療経路(経腸又は非経口)を利用することができなかった。また、これらは、CNS活性の前提条件である、血液脳関門(BBB)を通過しないことが知られている。
【0007】
組換えヒトニューロトロフィンによる臨床試験は、これまでのところ失敗している。考えうる脳内投与は、実用性の検討により除外すべきであろう。したがって、NGF又は他のニューロトロフィン、更にはこれらのペプチドの断片でのインビトロ実験から実行可能な治療適用への結果の移行は可能性がない。
【0008】
発明の概要
よって、特に海馬細胞の神経変性の停止及び好ましくは反転をもたらし、そしてまた普通の治療的投与に適しており、このため、神経変性疾患の処置用医薬としてその使用が可能である、特定の物質を提供することが、本発明の目的である。更に、対応する医薬組成物を提供することも、本発明の目的である。
【0009】
本発明のこの目的は、神経変性疾患の処置に有用な医薬の製造のための、式(I):
【0010】
【化3】
Figure 2004526704
【0011】
[式中、Xは、OH、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−C1-5−アルキル、N(C1-5−アルキル)2を表し;
1は、アミノ酸:Phe、Tyr、Trp、及びPro(それぞれ、場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい)、更にはAla、Val、Leu又はIleの1つから誘導される残基であり;
2は、アミノ酸:Gly、Ala、Ile、Val、Ser、Thr、Leu及びProの1つから誘導される残基であり;
1及びY2は、相互に独立に、H又は(C1-5)アルキルを表し;
3及びR4は、相互に独立に、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し(ただし、R3及びR4は、両方ともOH又は(C1-5)アルコキシであることはない);そして
5は、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩の使用により解決される。
【0012】
本発明の医薬組成物は、上記式(I)[式中、Xが、OH、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−(C1-5)−アルキル、N(C1-5−アルキル)2を表し;
1が、アミノ酸:Phe(場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい)から誘導される残基であり;
2が、アミノ酸:Gly、Ala、Ile、Val、Ser、Leu、Thrの1つから誘導される残基を表し;
1及びY2が、相互に独立に、H又は(C1-5)アルキルを表し;
3及びR4が、相互に独立に、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し(ただし、R3及びR4が、両方ともOH又は(C1-5)アルコキシを表すことはない);そして
5が、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩、及び薬学的に許容しうる賦形剤を含む。
【0013】
詳細な説明
他に記載がなければ、アミノ酸残基は、L型だけでなくD型としても存在しうる(L型が好ましい)。
【0014】
好ましい化合物は、R1が、アミノ酸:Ile、又はアミノ酸:Phe、Tyr、Trp(それぞれ、場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又は1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい)の1つから誘導される残基、特にIle又はPhe(場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又は1個以上のハロゲン原子で置換されている)から誘導される残基である、式(I)の化合物である。
【0015】
式(I)において、Xは、好ましくは(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−(C1-5)アルキル又はN(C1-5−アルキル)2であり、更に好ましいのは、NH2、NH(C1-3)アルキル及びN(C1-3−アルキル)2である。
【0016】
2は、好ましくはアミノ酸:Gly又はIleから誘導される残基である。
【0017】
3及びR4は、好ましくは相互に独立に、H、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し(ただし、R3及びR4は、両方ともOH又は(C1-5)アルコキシであることはない)、更に好ましいのは、H、(C1-3)アルキル又は(C1-3)アルコキシである。
【0018】
5は、好ましくはH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し、特に好ましいのは、H、(C1-3)アルキル又は(C1-3)アルコキシである。
【0019】
1及びY2は、好ましくは相互に独立に、H又は(C1-3)アルキルを表す。
【0020】
式(I)の特に好ましい化合物では、R1は、Phe(場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又は1個以上のハロゲン原子で置換されている)から誘導されるか、又はアミノ酸:Ileから誘導される残基であり、R2は、アミノ酸:Gly又はIleから誘導される残基であり、R3、R4及びR5は、水素原子を表し、Xは、NH2、NH−(C1-3)アルキル又はN(C1-3−アルキル)2を表し、そしてY1及びY2は、相互に独立に、H又は(C1-3)アルキルを表す。
【0021】
最も好ましい式(I)の化合物は、グリシル−L−フェニルアラニル−L−プロリンアミド、N,N−ジエチル−イソロイシル−フェニルアラニル−L−プロリンエチルアミド、N,N−ジエチル−イソロイシル−イソロイシル−プロリンアミド、又は薬学的に許容しうるこれらの塩である。
【0022】
アミノ酸に関して使用した略語(フェニルアラニンにはPheであるなど、更には部分的にはフェニルアラニンにはFのような、1文字コードを以下に使用した)は、当業者には既知である(例えば、BeyerとWalter, Lehrbuch der Organischen Chemie, 第21版, S. Hirzel Verlag Stuttgart 1988を参照のこと)。よって、Pheは、フェニルアラニンを意味し、Glyはグリシンを意味するなどである。「アミノ酸:Pheから誘導される残基」という表現は、よってベンジル(−CH2−C65)基を意味する。したがって、「アミノ酸:Glyから誘導される残基」は、水素原子を意味し、「アミノ酸:Alaから誘導される残基」は、メチル基を意味するなどである。
【0023】
本発明により使用される式(I)の化合物は、水溶性物質であり、よって経腸又は非経口投与に適している。
【0024】
しかし、本発明により使用される化合物は、すべてが等しく経口/経腸又は非経口投与に適しているわけではない。例えば、HCl−Gly−Phe−ProNH2は、主として非経口投与用と考えられるが、N,N−ジエチル−Ile−Ile−ProNH2及びN,N−ジエチル−Ile−Phe−ProNHEtは、非経口及び特に経口投与に適している。本発明により使用される化合物の経口投与に対する適性は、以下に更に詳細に記述される、いわゆる並列人工膜透過測定法(Parallel Artificial Membrane Permeation Assay)を用いて推定することができる。経口投与には、この測定法により求めた場合に、10を超える、好ましくは30を超える、更に好ましくは45を超える値を有する化合物が好ましい。
【0025】
本発明により使用されるトリペプチド及びトリペプチド誘導体の作用に必須の前提条件は、CNSにおけるその濃度である。他の因子のほかに、これは、能動又は受動輸送により起こりうる、血液脳関門の通過の程度に影響を受ける。いわゆる媒介輸送又は脂質筏を介する輸送が機序として考えられる。輸送の均衡は、血液脳分布係数(logBB)によりその型又は機序から独立に表現される。この係数が高いほど、CNSにおける濃度が高い。
【0026】
QSAR(定量的構造活性相関)に関連しての分子モデリングによる脳血液分布係数の定義及び測定は、以下に更に詳細に記述されている。本発明により使用される化合物の血液脳分布係数は、好ましくは−3.5以上、特に好ましくは−3.0以上の範囲にある。
【0027】
更に、本発明により使用される式(I)の物質は、チロシンキナーゼ受容体(TrkA、TrkB、及びTrkC)に対する高い親和性を示す。神経栄養物質のNGFは、これらの受容体へのドッキングを介して作用することが知られているため、この受容体への高い親和性は、本発明により使用される化合物の神経栄養作用の強力な指標である。ドッキング定数(pKD)は、分子モデリングツールにより求められ、そして対応する方法は、以下に更に詳細に記述される。本発明により使用される化合物は、好ましくは5.5以上のpKD値を有し、更に好ましいのは、7以上のpKD値である。
【0028】
本発明により使用されるトリペプチド及びトリペプチド誘導体の合成には、特に制限がなく、既知の方法、好ましくは、各アミノ酸又はその誘導体のL−又はD立体配置が維持される、ペプチド化学の立体特異的製造法により行うことができる。BeyerとWalter, Lehrbuch der Organischen Chemie, 第21版, S. Hirzel Verlag Stuttgart 1988, pages 829-834には、種々のペプチド合成法が記載されている。好ましい方法は、以下の反応式に図解されるような、N−カルボン酸無水物法(NCA法)及び混合カルボン酸無水物を使用する方法を含む。
【0029】
NCA法:
【0030】
【表1】
Figure 2004526704
【0031】
混合カルボン酸無水物合成:
【0032】
【表2】
Figure 2004526704
【0033】
ここで、AA1及びAA2は、それぞれ中間及び末端アミノ酸(R1又はR2から誘導される)を表し、Bocは、tert−ブチルオキシカルボニル残基を表し、NCAは、N−カルボン酸無水物を表し、そしてTFAは、トリフルオロ酢酸を表す。出発物質は、市販されている。
【0034】
例えば、セリンのような、官能基を有するアミノ酸を使用する場合、当業者には既知の方法でこれらを保護することができる。
【0035】
更に、本発明により使用されるトリペプチド又はトリペプチド誘導体は、好ましくはフルオレン−9−イル−メトキシ−カルボニル保護基(Fmoc残基)又はFmoc/tert−ブチル(tBu)保護アミノ酸を用いて、固相で、場合により改変されたメリーフィールド(Merryfield)合成法で合成することができる。
【0036】
上述の反応は、個々の反応工程に関して一般に90%を超える収率であり、そして60%を超える全収率である。こうして合成されたトリペプチド及びトリペプチド誘導体の純度は、一般に98%を超えており、よって医薬組成物に使用するのに充分である。トリペプチド及びトリペプチド誘導体の構造は、質量分析(MS)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、自動アミノ酸分析(AAA)、旋光度(OR)、及び/又は赤外及び紫外分光法(IR、UV)により確認することができる。
【0037】
1日に体重1キログラム当たり5mgを超える用量の投与が通常有効であり、特に非経口多回投与が有効である。
【0038】
これらの物質は、その分子構造のため、急性及び慢性毒性試験の両方において非常に低い毒性を示す。ラットにおける最小致死量(静脈内)は、体重1キログラム当たり250〜350mgであった。よって、本試験物質は、ヒトにおける治療的使用の前提条件となる、好都合な治療係数を示す。
【0039】
本トリペプチド又はトリペプチド誘導体は、種々の方法、例えば、非経口(静脈内、筋肉内、皮下)、呼吸器管経由(バッカル、舌下、鼻内、気管支内)、経皮経路(経皮(percutane))及び経腸経路(経口)での投与に適した、医薬組成物の製造に使用することができる。最後の場合、適切な用量は、初回通過効果を克服することが必要である。
【0040】
本発明の医薬組成物は、更に薬学的に許容しうる賦形剤、薬学的に許容しうる希釈剤又は補助剤を含む。その処方には、例えば、「レミントンの製剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第20版, Williams & Wilkins, PA, USAのような、標準法を利用することができる。
【0041】
投与剤形は、投与経路に応じて選択され、特に錠剤、カプセル剤、粉剤及び液剤を含む。
【0042】
経口投与には、好ましくは錠剤及びカプセル剤が使用されるが、これらは、適切な結合剤(例えば、ゼラチン又はポリビニルピロリドン)、適切な賦形剤(例えば、乳糖又はデンプン)、適切な滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、及び場合により更に別の添加剤を含む。
【0043】
経口投与に特に好ましい処方は、N,N−ジエチル−Ile−Ile−ProNH2 100mg又は200mg、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)400/600、ヒプロメロース(Hypromellose)(E404)、二酸化チタン、及びクロスカルメロース−Naを含むコーティング錠である。
【0044】
非経口投与には、滅菌水性溶液が好ましい。適切な水性溶媒は、水、生理食塩水、ハンクス液及びリンガー溶液を含む。好ましいのは、特に20g/lのトリペプチド又はトリペプチド誘導体、例えば、グリシル−L−フェニルアラニル−L−プロリンアミドを含む生理食塩水である。
【0045】
非経口投与のための特に好ましい処方は、凍結乾燥Gly−Phe−ProNH2 100mg又は200mg、酢酸、酢酸ナトリウム、及び注射用水を含む、点滴用注射液5ml〜10mlを含む、注射用アンプルである。
【0046】
ペプチドは、通常エンド−又はエキソペプチダーゼによるタンパク質分解及び更に別の代謝を受けるものであり、ゆえにこれらが血液脳関門に到達し、通過まですることは予想できなかったため、本発明により使用されるトリペプチド又はトリペプチド誘導体の抗神経変性作用は、驚くべきものである。この分解の程度及び速度は、血漿中のトリペプチド又はトリペプチド誘導体の半減期により示される。例えば、チレオリベリン(thyreoliberin)(TRH)のようなトリペプチドの半減期は、非常に短いことが知られている。したがって、本発明により使用されるトリペプチド及びトリペプチド誘導体が、予期しないほど長い半減期(≧24時間)を示すことは驚くべきことである。この長い半減期は、充分な抗神経変性作用に対する更に別の前提条件である。
【0047】
更に、肝細胞での実験において、本発明のトリペプチド及びトリペプチド誘導体は、肝臓において専らゆっくり代謝されることを実験的に証明できた。この結果は、血漿及び添加肝細胞の分析により確認したが、ここでは4時間以上の曝露後、非変質トリペプチド又はトリペプチド誘導体のみが分析された。
【0048】
本発明により使用されるトリペプチド及びトリペプチド誘導体の優れた治療的性質は、アルツハイマー病の特に有用なモデルを用いて、以下に更に説明されよう。これらのモデルを用いることにより、本発明により使用されるトリペプチド又はトリペプチド誘導体の投与は、海馬ニューロンの数を増大させるだけでなく、試験で用いたラットの学習能力をも改善させることが証明できた。しかし、これらの実験を詳細に記述する前に、血液脳分布係数の測定、PAMPA測定法、TrKドッキング定数の測定、次の実験において使用されるトリペプチド誘導体の代謝安定性の測定及び選択された合成法が記述される。
【0049】
実験のセクション
1.脳血液分布係数の測定
上記のように、血液脳関門は、一般に水溶性物質に対する障害物となり、普通の投与法によるCNSの処置用の多くの水溶性物質の使用を妨げている。しかし、本発明により使用されるトリペプチド又はトリペプチド誘導体は、該血液脳関門を通過する能力があることが証明できた。本発明により使用されるトリペプチド及びトリペプチド誘導体の血液脳分布は、以下のとおり定量される。
【0050】
いわゆるQSAR(定量的構造活性相関)法は、化学物質の特定の物理化学的又は薬理学的性質の定量のための確立された方法である。この方法は、一般に、いわゆる記述子(X1、X2など)の変調による、化合物の特定の実験特性(例えば、脳血液分布係数(BB)など)と計算された構造パラメーターA、B、Cなどとの間の線形相関の決定を含み、一般には下記の形の等式が得られる:
Log BB = (X1×A)+(X2×B)+(X3×C)+・・・+定数
【0051】
こうして得られる記述子により、次に例えば、実験データが入手できない化合物の脳血液分布係数のような、それぞれの実験特性を計算することができる。したがって、脳血液分布は、本発明により以下のとおり求められる。
【0052】
75個の化合物の実験データ(Luco, J.M., J. Chem. Inf. Comput. Sci. (1999), 39, 396-404を参照のこと)及び特定のパラメーターに基づいて、以下に説明されるように、計算値と実験値の間の線形相関を得ることができた。
【0053】
本化合物は、分子モデリングプログラムパッケージのSYBYL(トリポス・アソシエーツ社(Tripos Associates Inc.), 1699 S. Henley Road, Suite 303, セントルイス, MO63144, 米国)を用いて作成した。選択したセット(A−F−P、A−dF−P、A−F−dP、A−dF−dP)に関して化合物の低エネルギーコンフォメーションを決定するために、ランダム検索を行った。ペプチド結合のものを除くすべての二面角は、可撓性であると考えた。最も低エネルギーの構造の基本骨格コンフォメーションを、すべての化合物の出発コンフォメーションとした。
【0054】
手動で作成したすべての化合物は、ガスタイガー(Gasteiger)(PEOE)部分電荷(Gasteiger, J., Marsili, M. (1980; Tetrahedron 36, 3219-3238))及び4という距離依存性誘電率での、トリポス(Tripos)力場(Clark, M., Kramer, III, R.D. 及びvan Optenbosch, N. (1989), J. Comp. Chem. 10, 982-991を参照のこと)を用いてエネルギー論的に最小化した。
【0055】
分子グラフィックスプログラムのMOE(ケミカル・コンピューティング・グループ社(Chemical Computing Group Inc.), モントリオール, カナダ, http://www.chemcomp.com)により、化合物の結合性及び原子型(力場パラメーターの意味での型)だけに依存する記述子の広く適用できるセットの計算が可能である(上に引用したホームページのLabuteを参照のこと)。本明細書において使用されるすべての記述子は、化合物のファン・デル・ワールス(van der Walls)表面の単純な近似を含む。1947個の有機化合物の試験セットでは、厳密なファン・デル・ワールス表面と2D近似の間に高い相関(r2=0.9666)が得られた。14個のパラメーターの第1のセット(PEOE−VSA)は、一定間隔の境界を用いる分子の電荷分布(PEOE)と考えられた。10個の記述子の第2のセット(SlogP−VSA)は、化合物のlog(P)を記述し、そして8個の第3のセット(SMR−VSA)は、分子の分極率に依存する。
【0056】
上述の全部で32個の記述子の値を、実験の脳血液分布への相関を見い出すために、75個の化合物のそれぞれについて計算した(Lucco, J.M., J. Chem. Inf. Comput. SCI. (1999), 39, 396-404を参照のこと)。主成分の回帰を行うことにより、記述子の関数としてLog(BB)の線形モデルを推定した。1回目の計算において、寄与が非常に低いため8個の記述子を無視できると考えられた。これら8個を除いた2回目の実施の後、寄与が0.1未満である更に別の9個の記述子が現れた。最後に、残った15個の記述子を用いる、70個の化合物(明らかな異常値を示す5個は除去した)の計算に基づいて、比較的良好な線形の、更には相互検証した(リーブ・ワン・アウト法(leave-one-out))相関が得られた。この相関は、図1において図形で表現される(この図形では、使用成分:15個;条件数663.7658;2乗平均平方根誤差(RMSE):0.20126;相関係数(R2):0.03240;相互検証R2:0.88321)。
【0057】
Log(BB)は、以下のとおり定義される:
Log(BB) = Log(脳内の濃度)/(血液中の濃度)。
【0058】
この相関により得られた記述子は、次に本発明のトリペプチド及びトリペプチド誘導体の血液脳分布の計算のために使用することができた。
【0059】
特に、生理的pH範囲に存在する形に関連する、以下の値が得られた:
【0060】
【表3】
Figure 2004526704
【0061】
1:式(I)のY12N−CR2H−CO−に対応する、アミノ基での置換を含む脂肪族アミノ酸。
2:式(I)の−NH−CHR1−CO−による、フェニル環での置換を含む芳香族アミノ酸、更には脂肪族アミノ酸。
3:プロリン及び誘導体 D:右旋性
【0062】
以下の結論は、これらの計算から導かれる:
(a)プロリンの遊離酸の代わりのプロリンアミド、プロリン(ジエチル)アミド及びプロリンメチルエステルの使用は、血液脳関門の通過に関して好ましい。
(b)A2の構造単位(式(I)のR1に対応する)では、芳香族アミノ酸F及びそのアルキル誘導体、更にはイソロイシン(I)が好ましい。
(c)構造単位A1(式(I)のR2に対応する)では、脂肪族アミノ酸(I)、更には2個のエチル基での(G)及び(I)のアミノ基の置換が、特に好ましい。
(d)アミノ酸単位の光学的キラリティーは、少なくとも血液脳関門の受動通過には貢献していないようである。
【0063】
2.消化管吸収
経口投与薬物の吸収は、消化管バリアを通過するその能力により決定される。並列人工膜透過測定法システム(Parallel Artificial Membrane Permeation Assay system)(PAMPA)は、消化管薬物吸収の予測に関して単純かつ迅速な方法である。生物学的細胞層の薬物透過は、主として受動拡散プロセスに関連している。PAMPA法によって、受動拡散により人工膜を通過する潜在的な新しい薬物の透過を測定して、低、中及び高吸収物質への分類ができる。
【0064】
Kansyらに報告された並列人工膜透過測定法による手順を利用した(Kansy M., Senner F., Gobernator K., 物理化学的高処理能力スクリーニング:受動吸収プロセスの説明における並列人工膜透過測定法, J. Med. Chem., 1998, 41(7), 1007-1010)。この人工膜は、有機溶媒中のレシチンの溶液を96ウェルプレート中の支持フィルター物質にピペットで加えることにより作成した。すべての試験化合物について、5mMのストック溶液をエタノール中に調製した。次にこれらをトリス緩衝液(0.05M、pH7.4)に希釈して、500μMの最終濃度にした。すべての試験化合物の透過速度は、三重測定又は四重測定で測定した。人工膜を通過する拡散時間は、16時間であった。すべての化合物について、リン脂質層のない参照値は、個別に求めた。アクセプター区画における濃度は、モレキュラー・ディヴァイシーズ(Molecular Devices)製のマイクロタイタープレートリーダーであるスペクトラマックス・プラス384(Spectramax Plus384)を用いるUV差分光法によって測定した。各化合物について、λmax値は先の試験で求め、測定はこの波長で実施した。透過速度は、フラックス速度として表されるが、これは、以下の式により計算される:フラックス(%)=OD(試験ウェル)/OD(対照ウェル)×100。内部標準として、低、中及び高透過性である既知のフラックス速度の3つの薬物を、試験プレートに含めた:ブレチリウム(Bretylium)、ヒドロコルチゾン(Hydrocortizone)及びクマリン(Coumarin)。透過実験後、膜の完全性の照合を行うことにより、試験化合物が、毒性又は非特異的作用によって人工膜を傷害した(そしてそのため偽陽性の結果を構成している)かどうかを検査した。非透過性染料であるルシフェル・イエロー(Lucifer Yellow)を、各ウェルに実験後に適用して、マーカーの濃度を、ワラック・ビクター21420マルチラベル・カウンター(Wallac Victor21420 Multilabel Counter)で測定した。ルシフェル・イエローの濃度が対照ウェル(人工膜なし)で検出された量の1%を超えたウェルは、廃棄した。本実験において、1個のウェルだけ(参照化合物ブレチリウムに対して)がこの限界を超えたため、これを考慮に入れなかった。
【0065】
表1は、7つの試験化合物及び3つの参照化合物のフラックス速度を示す。
【0066】
【表4】
Figure 2004526704
【0067】
フラックス速度が本発明者や他の研究者(Kansyら、上記を参照のこと)により数回測定されている、3つの参照化合物により構成された内部対照は、異常を示さず、実験が行われた良好な条件を立証している。また、ヒトにおいて低い生物学的利用能を示す、能動輸送される化合物であるブレチリウムは、この実験で0%のフラックス速度を示した。Kansyら(上記を参照のこと)により発表された、ヒドロコルチゾン及びクマリンのフラックス速度は、それぞれ52及び66%であった。これらのデータは、本発明者が実験で得た結果と非常に良好な一致を見ている(表1)。
【0068】
PAMPA法により、化合物を3群に分類できる:
低(フラックス速度<20%)、中(20%<フラックス速度<50%)及び高(フラックス速度>50%)透過物質。この分類によれば、HCl−Gly−Phe−ProNH2、更にはTRH及びH−Gly−Phe−Pro−OHは、弱く吸収される化合物であり、N,N−ジエチル−Ile−Ile−ProNH2、N−イソプロピル−Ile−Ile−ProNH2、N,N−ジエチル−Gly−Ile−ProNH2及びN,N−ジエチル−Ile−Phe−ProNHEtは、経口適用後、中度〜高度に吸収される化合物であると予測される。
【0069】
この試験で得られる結果に基づいて、生物学的膜の透過性に関して試験化合物の以下の格付けを行うことができる:
HCl−Gly−Phe−ProNH2、H−Gly−Phe−Pro−OH < TRH、N,N−ジエチル−Gly−Ile−ProNH2 < N−イソプロピル−Ile−Ile−ProNH2 < N,N−ジエチル−Ile−Ile−ProNH2 < N,N−ジエチル−Ile−Phe−ProNHEt。
【0070】
本明細書に記述されるPAMPA透過試験システムの限界は、これが、経細胞経路により輸送される化合物だけしか検出できないという事実である。傍細胞経路又は能動経路を選ぶ化合物では、経口適用後、ヒトでの良好な吸収にもかかわらずフラックス速度が低いであろう。
【0071】
3.ドッキング定数の測定
TrkA、TrkB及びTrkCの二量体断片のX線構造又はモデルに基づいて、式(I)のいくつかの化合物のドッキング試験を実施した。両方のモノマーの間のリガンドのすべての配置について、理論的方法によってその親和定数(pKd=pKi)を計算する必要がある(Wang, R.; Liu, L.; Lai, L.; Tang, Y.; J. Mol. Model., 1998, 4, 379-394を参照のこと )。
【0072】
a)受容体の二量体配置のモデリング
以下のすべての研究の論拠は、NGFがドッキングしたTrkA断片のX線構造(pdb=1www)である(Wiesmann, C., Ultsch, M.H., Bass, S.H., De Vos, A.M., Nature 1999, 401, 184を参照のこと)。
【0073】
本発明者は、リガンドが、TrkA、TrkB又はTrkCの2つのモノマーにNGFと同様に結合することを仮定する。リガンドの親和性が高いほど、両方のモノマーがより密に結合され、そしてこれが、活性の主要な機能として考えられる。NGFは、トリペプチド誘導体よりもはるかに大きいため、モデルは、より小さい分子が結合できるように作るべきである。この目的のために、NGFの座標をX線構造から除去して、1つのモノマーを他のモノマーへのファン・デル・ワールス接触に手動で近づけた(分子モデリングパッケージのSYBYL(トリポス・アソシエーツ社(TRIPOS Associates Inc.))を用いて)。両方の空いているモノマーを一緒にする適切な配置を見い出すために、AMBER−ALL−ATOM力場(S.J. Weinerら, J. Amer. Chem. Soc. 1984, 106, 765-784を参照のこと)を150Kで20000fsの間用いる、分子動力学シミュレーション(MD)を実行した。このシミュレーション後に生じた構造を、0.1kcal/mol Å2のエネルギー勾配に最適化した。この構造を、TrkB及びTrkCの構造のモデル作成の鋳型として、更にはドッキング試験のために使用した。
【0074】
TrkB及びTrkCの二量体配置のモデルは、SYBYLの相同性モデリングツールのCOMPOSER(Blundell, T.L., Carney, D., Gardner, S., Hayes, F., Howlin, B., Hubbard, T., Eur. J. Biochem. 1988, 172-513-20を参照のこと)並びにこれに続くMD及びエネルギー最小化を用いて作成した。生じた構造は、PROCHECK(Laskowski, R.A., MacArthur, M.W., Moss, D.S., Thornton, J.M., J. Appl. Cryst., 1993, 26, 283-91を参照のこと)を用いて特性を照合した。
【0075】
b)リガンドのドッキング試験
プログラムGOLD[Jones, D.T., J. Mol. Biol., 1999, 292(2), 195-202;Jones, D.T., Taylor, W.R., Thornton, J.M., Nature 1992, 358, 86-89を参照のこと]をリガンドの「自動」ドッキングのために使用した。3つすべての受容体に対するリガンドそれぞれの最適なドッキングを確保するために、2つのわずかに異なる結合部位を調査した。それぞれの実施の際GOLDを用いて、20個のドッキング構造(全部で40個)を測定した。タンパク質構造は、固定していると考えられるため、固定した受容体の基本骨格だけを保持しながら40個すべての配置を最適化した。
【0076】
c)親和定数の決定
すべてのタンパク質−リガンド複合体について、酵素インヒビター複合体の場合のPKi値に相当するpKd値を求めるために、GOLD及びプログラムのSCORE[Wangら、同文献を参照のこと]を用いたいわゆる適合度の値である、リガンドと受容体との相互作用エネルギーをトリポス(Tripos)力場を用いて計算した(適合度、即ちpKd値が高いほど、リガンドの親和性は高い)。SCOREは、ドッキング配置において、相互作用エネルギーだけでなく、溶媒和、脱溶媒及びエントロピー効果も考慮に入れる。
【0077】
結果は、受容体に対するリガンドそれぞれの最も良好なpKd(pKi)値を示す、以下の表に要約される。この表はまた、上記で測定された脳血液分布の値も示す。
【0078】
最も高い親和性は、Et2−IFP−NH−Etについて予測された(TrkAに結合するとき、7.29(約100nM)のpKi値(SCOREによる))。いくつかの水素結合が検出できるが、最も重要なものは、両方のN末端エチル基の、更にはIle側鎖と3個のヒスチジン残基との、及びフェニルアラニン側鎖と受容体のPhe327との疎水性相互作用である。残りのすべてのリガンドについては、親和性が約一桁小さい。
【0079】
【表5】
Figure 2004526704
【0080】
4.合成
a)HCl−H−Gly−L−Phe−L−Pro−NH2の合成
工程1:Boc−L−Phe−OH + H−L−Pro−NH2 → Boc−L−Phe−L−Pro−NH2
Boc−L−Phe−OH 87.6gをジメチルホルムアミド(DMF)50ml及び1,2−ジメトキシエタン(DME)300mlの混合物に溶解して、−15℃に冷却した。次に、N−メチルモルホリン(NMM)37ml(1当量)を一度に加え、次いでクロロギ酸イソブチル(IBCF)45ml(1当量)を10分かけて滴下により加えた。次にこの混合物を−15℃で更に5分間撹拌した。続いてTFA.H−L−Pro−NH2 40g(1.06当量)を5分かけて少量ずつ加え、次にN,N−ジイソプロピル−N−エチルアミン(DIEA)315ml(1当量)を一度に加えた。反応混合物を室温及び大気圧で一晩反応させた。続いて、この反応混合物を、水流吸引器及びドライアイス/アセトントラップを取り付けたロータリーエバポレーターで濃縮し、そして残渣を酢酸エチル1lにとり、次に2l分液ロートで、1N KHSO4水溶液80mlで12回洗浄し、食塩水80mlで1回洗浄し、飽和NaHCO3水溶液80mlで10回洗浄し、食塩水80mlで1回洗浄した。次いでNa2SO4 50gで乾燥した。焼結ガラスロート(粗い多孔度)での濾過後、上述のように濃縮した。次に蒸発の残渣(乾燥泡状物)を1lヘキサン中で粉砕して、固体を焼結ガラスロート(120mm内径×120mm、中度の多孔度)上に回収した。続いてこれをデシケーター中で室温及び0.1〜1mmHg(真空油ポンプ、ドライアイス/アセトントラップ付き)の圧力で12時間かけて乾燥した。こうしてBoc−L−Phe−L−Pro−NH2 92.8gを得た(収率:77.8%)。
【0081】
分析データ:
Figure 2004526704
【0082】
工程2:Boc−L−Phe−L−Pro−NH2 → TFA.H−L−Phe−L−Pro−NH2
工程1で得られたBoc−L−Phe−L−Pro−NH2(180g)を、マグネティックスターラーを取り付けた2l丸底フラスコ中で塩化メチレン250mlに溶解/懸濁した。次に、トリフルオロ酢酸250mlをこの溶液と室温(15〜25℃)及び大気圧で1時間反応させた。次に反応混合物を、撹拌しながらtert−ブチルメチルエーテル(TBME)5l中で沈殿させた。沈殿物を焼結ガラスロート上に回収し、次にジエチルエーテル1.5lで2回及びヘキサン1lで2回洗浄した。続いて工程1に上述のように乾燥を行った。
【0083】
工程3:Boc−Gly−OH + TFA.H−L−Phe−L−Pro−NH2 → Boc−Gly−L−Phe−L−Pro−NH2
Boc−Gly−OH 44g(1当量)を、DMF 50ml及びDME 300mlの混合物に溶解し、次に−15℃に冷却した。NMM 28ml(1当量)を一度に加え、続いてIBCF 34ml(1当量)を10分かけて滴下により加えた。この混合物を−15℃で更に5分間撹拌した。TFA.H−L−Phe−L−Pro−NH2 94.5g(1.06当量)をこの混合物に5分かけて少量ずつ加え、続いてDIEA 44ml(1当量)を加えた。この反応混合物を室温及び大気圧で一晩反応させた。次に、反応混合物を、水流吸引器及びドライアイス/アセトントラップを取り付けたロータリーエバポレーターで濃縮し、そして残渣を酢酸エチル1.2lにとり、次に2l分液ロートで、1N KHSO4水溶液80mlで5回洗浄し、飽和NaHCO3水溶液80mlで5回洗浄し、そして食塩水80mlで1回洗浄した。次いでNa2SO4 50gで乾燥した。焼結ガラスロート(粗い多孔度)での濾過後、上述のように濃縮した。次に蒸発の残渣(粘着性油状物)をジエチルエーテル1lとヘキサン2lの混合物中で粉砕して、固体を焼結ガラスロート(180mm内径×180mm、中度の多孔度)上に回収した。続いてこれをデシケーター中で室温及び0.1〜1mmHg(真空油ポンプ、ドライアイス/アセトントラップ付き)の圧力で12時間かけて乾燥した。こうして、Boc−Gly−L−Phe−L−Pro−NH2 100gを得た(収率:94.7%)。
【0084】
分析データ:
Figure 2004526704
【0085】
工程4:Boc−Gly−L−Phe−L−Pro−NH2 → HCl.H−Gly−L−Phe−L−Pro−NH2
工程3で得られたBoc−Gly−L−Phe−L−Pro−NH2(149g)を塩化メチレン300mlに溶解/懸濁して、次に4N HCl/ジオキサン300mlを一度に加えた。この混合物を、マグネティックスターラーを取り付けた2l丸底フラスコ中で、室温(15〜25℃)で大気圧で1時間反応させた。次に、ジエチルエーテル1lを反応混合物に加え、沈殿物を焼結ガラスロート上に回収した。次に沈殿物をジエチルエーテル1.5lで2回洗浄して、工程1に記載されたように乾燥した。
【0086】
分析データ:
Figure 2004526704
【0087】
b)N,N−ジエチル−Ile−Phe−Pro−NH−Etの合成
N,N−ジエチル−Ile−Phe−Pro−NH−Etアセタートは、固相合成法により以下のとおり調製した:
【0088】
【表6】
Figure 2004526704
【0089】
H−R:H−Pro−(SASRIN)−N−Et(バッケム社(Bachem AG)(スイス)の所有権;ポリスチレンが基剤)
A:DMF中20%ピペリジン
B:DCCl/HOBt/DMF
C:95% TFA、次いで留去
D:C18でのRP−HPLC、システム:0.1% TFA/アセトニトリル
E:アセタート型のアニオン交換体、水で溶出
【0090】
分析データ:
Figure 2004526704
【0091】
c)N,N−ジエチル−Ile−Ile−Pro−NH−Etの合成
N,N−ジエチル−Ile−Ile−Pro−NH−Et酢酸塩は、固相合成法により以下のとおり調製した:
【0092】
【表7】
Figure 2004526704
【0093】
Fmoc−R =Fmoc−ラメージ(Ramage)−樹脂(D−2200)
Fmoc−Ile−Pro−OH(B−2135)、Fmoc−Ile−OH(B−1340)
A =DMF中20%ピペリジン
B =TBTU/DIPEA/DMF
C =95% TFA、次いでIPEで沈殿
D =C18でのRP−HPLC、システム:0.1% TFA/アセトニトリル
E =アセタート型のアニオン交換体、H2Oで溶出
【0094】
分析データ:
Figure 2004526704
【0095】
5.代謝安定性の測定
ラット肝細胞の単離及び培養
オスの成体ウィスターラット(IFFAクレド(IFFA Credo)、L'Arbresle、フランス )からの肝細胞を、Seglen(単離ラット肝細胞の調製, Methods Cell Biol. 13, 29-83, 1976)により記載され、Williamsら(ラット肝細胞初代培養。III.分離及び接着の改善法並びに培地による生存率の増強、in vitro 13: 809-817, 1977)により改変された手順により、コラゲナーゼ(シグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州、米国)から購入)を用いるインサイチュー肝灌流によって単離した。位相差顕微鏡法及びトリパンブルー試験における未変性細胞の周縁部不応性による細胞生存率の推定後、新たに単離した肝細胞を、10%(v/v)ウシ胎仔血清、70μMコルチゾル、2mM L−グルタミン、10mM HEPES緩衝液、及び4mM NaOHを補足した基礎ウィリアム培地E(basal William's medium E)(WME)中で洗浄した。次にこれらを、37℃で6時間細胞接着のために前述の培地で50mmプラスチック細胞培養シャーレ当たり0.5×106個の細胞の密度で培養した。続いて、肝細胞を、7.8μMの遊離脂肪酸の混合物のための輸送体として4g/lウシアルブミン画分V(シグマ(Sigma))を含む無血清及び無コレステロール培地(SF−WME)中で3回洗浄し(Cheesebeuf MとPadieu P, 長期無血清ラット肝上皮細胞株における主要肝代謝機能の発現, In vitro 20: 780-795, 1984)、次に式(I)の種々のトリペプチドを補足したSF−WMEに移した。実験の各群について、3又は4つの肝臓由来の肝細胞を使用した。
【0096】
統計
有意性は、スチューデントのt検定を用いて計算する。値は、平均±SDとして表される。
【0097】
肝細胞におけるトリペプチドの分析:
方法:(懸濁した肝細胞)
血漿試料:トリクロロ酢酸で沈殿。遠心分離及び上清のアリコートをHPLCに。
イオン交換カラム:ヌクレオシル(Nucleosil)C18(250×4.6mm)。
緩衝液 TEAP 0.1%/CH3CN、1ml/分
210nmで読み取り。
【0098】
トリペプチドの試験条件
20μg/24時間/106細胞
106細胞/ml
物質濃度を10μg/ml及び1.0μg/mlまで下げる。
【0099】
各濃度の各物質を、24時間に10回(1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間)分析する。
【0100】
結果
下記の半減期の値を得た:
【0101】
【表8】
Figure 2004526704
【0102】
6. 動物モデル
a) 序論
アルツハイマー病の動物モデルは存在しない。トランスジェニックマウスモデルだけが、挙動に関する限り限定的に有用である。したがって本発明者は、一連の3つのラットモデルを提示する。各モデルは、本疾患の生理病理学的特色の1つを再現する:ビンクリスチンモデルにおいて神経原線維変性、Gp120モデルにおいてベータ−アミロイドによる変性、及びデキサメタゾンモデルにおいてアポトーシス。
【0103】
ビンクリスチンは、同期化剤として使用される抗発癌物質である。この分子は、微小管の紡錘体に結合し、これによって分裂中期の細胞増殖をブロックする。これは、紡錘体阻害剤である。ニューロンは、生理条件下では増殖しないが、軸索は、神経原線維からなり、そしてその構造は、紡錘体の微小管の1つに類似している。ビンクリスチンは、これらの神経原線維に結合し、これによって新生物疾患の処置を受ける患者に末梢神経伝導障害を引き起こす。こういった作用は、主として軸索の白質に影響を及ぼす。ビンクリスチンは、血液脳関門を通過しないため、脳室内投与により与える必要がある。ビンクリスチンの反復ICV投与は、アルツハイマー病において観察されるものと類似した異常神経原線維の出現を伴う、伝導経路の変性を引き起こす。この変性は、主として脳室周囲構造に影響を及ぼす。海馬は、その分枝の減少により影響を受けるが、ニューロンの細胞体は変質しない。本発明者はまた、ビンクリスチンの反復投与が、短期間(最大5日間)だけ可能であることを証明した。この期間の後は、ビンクリスチンがCSFから隣接する神経細胞に拡散するのを防ぐ保護層がグリア細胞上に生成する。ラットには自然発生するアルツハイマー病は存在しないが、ラットは、種々の型の変性病変(ベータ−アミロイド斑、神経原線維及び空胞の変性)を示すであろう。神経原線維変性を引き起こしうるビンクリスチンのICV投与は、この疾患の部分的動物モデルとして使用しうる。本発明者の実験室においてラットに行った試験では、海馬の分枝の減少を示した。ビンクリスチンの投与後、ラットの学習能力は低下するが、海馬の神経原線維変性は観察される。スクリーニングモデルにおいて、この変性を評価することは困難であるため、唯一の評価パラメーターは、学習能力である。このモデルは、本発明者の実験室において標準化及び検証され、良好な再現性が得られている。
【0104】
デキサメタゾンは、天然のコルチゾルに類似したコルチコイドである。ストレスが、カテコールアミン及びコルチゾル(ラットではコルチコステロン)の放出を引き起こす。反復性ストレス−「慢性ストレス」−は、グルココルチコイドに対する海馬受容体のダウンレギュレーションをもたらす。ラットで最初に開始されたこれらの試験は、ヒトにおいて確認したが、そこでは、最初に特定の型の鬱病(湾岸戦争(Golf war)症候群)が観察され、次に認識能力の不可逆的障害が観察される。ヒトでのMRI試験は、海馬ニューロンの変性を示した。類似の症候群は、副腎皮質機能亢進症(クッシング病(Morbus Cushing))と関連する疾患において、又は長期コルチコイド処置(多発性硬化症)中に観察される。ラットでは、デキサメタゾンの反復投与は、最初に海馬のII型受容体のダウンレギュレーションを引き起こし、続いてCAII及びCAIII層のニューロンの変性が起こる。ラットの学習能力は障害を受ける。このモデルは、本発明者の実験室において標準化及び検証され、良好な再現性が得られている。
【0105】
Gp120は、HIVウイルスの表面糖タンパク質である。この糖タンパク質は、宿主細胞におけるウイルスの結合及びウイルスRNAの移動において基本的な役割を演じる。単離Gp120はまた、細胞のCD4受容体にも結合し、カルシウムイオンが潜り込む細孔の出現を伴う、膜の病変を引き起こすことにより、細胞のアポトーシスを惹起する。細胞の表面で、Gp120は、ベータ−アミロイド沈着にかなり類似した、糖化タンパク質の沈着を形成する。HIVウイルスは、血液脳関門を通過しないが、ウイルス感染マクロファージは、ここを容易に通過する。一旦CNSに到達すると、マクロファージは死滅して、Gp120及び他のウイルス成分を含むその細胞内容物を放出する。このGp120は、グリア細胞のCD4に結合し、またニューロンにも結合することにより、AIDSの最終段階としての複雑な痴呆を引き起こす。観察される病変は、アルツハイマー病のそれに類似しているが、分布は異なっている。アルツハイマー病では、基底及び辺縁系の核のコリン作動性構造が最初に変質するが、一方AIDSの複雑な痴呆では、斑の分布は全体にわたる。本発明者は、このGp120モデルを使用して、数回のラット試験を行った。脳脊髄液への投与は、ブドウ糖の局所的消費の低下と血流の低下に関連した、海馬におけるニューロンの重大な減少を引き起こす。変性は、学習能力の障害を誘導する、海馬のCAII及びCAIII層において観察される。このモデルは、本発明者の実験室において標準化及び検証され、良好な再現性が得られている。
【0106】
b) 材料と方法
動物
それぞれ体重が平均280〜300グラムの、オスのウィスターラット(チャールズ・リバー(Charles River)、Saint Aubin les Elbeuf、フランス)70匹を動物実験に使用した。1週間の間、ラットを動物実験室の飼育小屋に入れたが、ここでは下記のパラメーターを制御した:
− 昼/夜リズム:午前7:00/午後7:00
− 温度:22±1℃
− 湿度:50±10%
ラットには飲料水と標準的飼料のUAR A03を自由に摂らせた。
【0107】
ビンクリスチンモデル
ラットをエーテルにより軽度に麻酔をかけ、頭蓋の皮膚を切開して、歯科用バーを用いて頭蓋に穴を開けた。金属針を定位固定的に側脳室に導き、次に歯科用セメントを用いて固定した。実験中は毎日、針の開存性を制御した。
【0108】
針の導入の3日後(手術後ショックから回復)、非麻酔動物に5μg/kg/日の用量のビンクリスチンを含む生理食塩水5μlを注射した。(この実験室の実験では、変性が、ビンクリスチンの用量に依存することが判った;5μg/kg/日の用量は、海馬の分枝を40〜60%減少させる)。この投与は、5日間にわたり毎日反復した。
【0109】
ビンクリスチンの最後の投与の3日後、動物をクロラール処理(360mg/kg)し、そして外頚動脈から出発して、永続的な浮動カテーテルを総頚動脈内に逆行的に導入した。このカテーテルを再度頭頂に置いて、歯科用セメントによって固定した。2日後、動物は、手術後ショックから回復していた。モデルの検証実験により、ビンクリスチンの初回投与後、更には最後の投与後の第1日目の間の変性が、特に重要であることが証明された。最後の投与後の3日目には定常状態に達し、そして本モデルは数ヶ月の期間安定であった。一旦この時間が経過すると、白質に影響する第2の型の変性が観察されたが、これは確実にアポトーシス現象のせいであった。
【0110】
ビンクリスチンの最後の投与の5日後、ラット20匹は、10匹ずつの2群にランダムに分けた:
− ラット10匹の1群には、生理食塩水1ml/kg/日を頚動脈内注射で10日間にわたり投与した(対照)。
− ラット10匹の1群には、生理食塩水に溶解したHCl−Gly−Phe−ProNH2 20mg/kg/日を10日間にわたり投与した。
注射は、午前9:00に行った。
【0111】
処置の最後の5日間の間、ラットを、午前10:00と11:00の間に3つのモデルの共通の学習条件下においた(以下を参照のこと)。
【0112】
デキサメタゾンモデル
ラット20匹に、デキサメタゾン50mg/kg/日を21日間にわたり経口投与した。19日目に、ラットをクロラール処理(360mg/kg)して、上述のようにカテーテルを頚動脈に入れた。21日目に、ラットを2群にランダムに分けた:
− ラット10匹の1群には、生理食塩水1ml/kg/日を頚動脈内注射で10日間にわたり投与した(対照)。
− ラット10匹の1群には、生理食塩水に溶解したHCl−Gly−Phe−ProNH2 20mg/kg/日を10日間にわたり投与した。
注射は、午前9:00に行った。
【0113】
処置の最後の5日間の間、ラットを、午前10:00と11:00の間に3つのモデルの共通の学習条件下においた(以下を参照のこと)。
【0114】
午前11:00の最後の学習セッションの後、断頭によりラットを屠殺して、海馬を迅速に取り出し、0℃に冷却したプレートに置いた。グルココルチコイド受容体の数を、標識コルチコイドと、受容体へのコルチコイドの結合に対する特異的インヒビターとを用いる結合方法により求めた(ここでは全アゴニスト)。タンパク含量は、ローリー(Lowry)法により測定した。
【0115】
各ラットの海馬は、モリブデン酸ナトリウムEDTAグリセロール緩衝液2ml中にホモジェナイズした。このホモジェネートを100,000gで60分間遠心分離した。上清のアリコートを蒸留水に希釈して、タンパク含量をローリー法により測定した。このタンパク質濃度は、1.3〜1.7mg/mlの間であった。
【0116】
上清の残りを、それぞれ0.2mlの3部に分割した。デキサメタゾン3H(アマーシャム(Amersham)50Ci/mM)を上昇する濃度(25、50及び75nmol/ml)でこれら各部に加えた。他の3つの調製も同じ条件下で行ったが、標識デキサメタゾンを非特異結合させるために、飽和量の受容体の全アンタゴニスト(RU28362)を加えた。
【0117】
4℃で一晩のインキュベーション後、タンパク質及び結合デキサメタゾンを吸収するために活性炭/デキストランを加えた。遠心分離後、上清の放射活性を液体シンチレーションにより測定した。
【0118】
タンパク含量に対して結合したデキサメタゾンの放射活性量を記録した。結果は、タンパク質1mg当たり受容体に結合した標識コルチコイドがフェムトモルで表される。
【0119】
Gp120モデル
ラット30匹をこの実験に使用した。
【0120】
0日目。ラットを、エーテルにより軽度に麻酔をかけ、頭蓋の皮膚を切開して、歯科用バーを用いて頭蓋に穴を開けた。金属針を定位固定的に側脳室に導き、次に歯科用セメントを用いて固定した。実験中は毎日、針の開存性を制御した。
【0121】
3日目。針の導入の3日後(手術後ショックから回復)、ラットに、20μlの容量でGp120(生理食塩水に溶解)10nM/kg/日を脳室内注射で投与した。この投与は5日間にわたり毎日反復した。
【0122】
18日目。Gp120の最後の投与の10日後、ラットをクロラール処理(360mg/kg)した。永続的な浮動カテーテルを総頚動脈内に逆行的に導入した。このカテーテルを再度頭頂に置いて、ここで固定した。
【0123】
21日目。3日後(手術後ショックから回復)、ラット30匹を、10匹ずつの3群にランダムに分けた:
−ラット10匹の第1群には、生理食塩水1ml/kg/日を頚動脈内注射で10日間にわたり投与した。
−ラット10匹の第2群には、HCl−Gly−Phe−ProNH2(生理食塩水に溶解)10mg/kg/日を10日間にわたり投与した。
−第3群には、同じ条件下で、HCl−Gly−Phe−ProNH2 20mg/kg/日を投与した。
注射は、午前9:00と9:30の間に行った。
【0124】
26〜30日目。3群すべてのラットを、全体のプロトコールの共通の学習条件下に置いた。学習セッションは、午前10:00と11:00の間に行った。
【0125】
30日目。最後の学習セッションの後、ラットを、断頭により屠殺して、脳を迅速に取り出し、そして液体窒素蒸気中で80℃で凍結した。クリオカット(Cryocut)により−20℃で脳切片を作成した。
【0126】
切片は、解凍してニュートラルレッドで染色した。定着後、海馬1片のニューロンの数を計測した。本方法は、同じ切片のニューロンを数えることにより標準化した。対照ラットに比較したニューロンの数の指標によって、単純な計数よりも信頼性ある定量が可能になる。
【0127】
学習
処置の最後の5日間の間、午前10:00(HCl−Gly−Phe−ProNH2の投与の1時間後)に、ラットを、音回避条件付け(回避応答の条件付け)のため学習ケージに入れた。ラットは、最初は電気ショックから逃れるため、次いでこれを回避するために、ポールに登ることを学習した。この方法は、本発明者の実験室で、標準化及び定量化されている(Le Poncin M., Lafitte J.C., Rapin J.R., 「音回避条件付け及び獲得動作の説明に対する数学的アプローチ」, Math. Biosciences 59 (1982) 242-268を参照のこと)。
【0128】
5日間、ラットを、1日あたり合計10回の試験のために毎日このような学習条件下に置いた。結果を、適切な応答の百分率として表現し、そして応答の動態は、多重指数最大曲線により表される。
【0129】
本発明者が実験室で行ったすべての実験において、すべての対照動物は、学習の5日目に回避応答を示した(100%適切な応答)。
【0130】
曲線の極大は、学習能力を表す。曲線の傾きは、学習速度を評定する。曲線下面積(AUC)は、すべての条件付けパラメーターの適切な評価を表す。ラットが早くも0日目に100%適切な応答を示すならば、曲線下面積の最大値は、500である。実際には、曲線下平均面積は、1日毎に計算し、そしてこれが最大値100に達する。絶対対照動物では、この曲線下平均面積は、40±4に等しい。
【0131】
上述の実験において、対照動物は、変性を引き起こす1種だけの試薬を投与した動物である。こういった条件下では、対照動物の最適値に到達するにはほど遠い。
【0132】
試薬
使用したすべての試薬は、I級試薬であり、そしてアルドリッチ(Aldrich)(Saint Quentin Fallavier、フランス)から提供されている。
【0133】
デキサメタゾン3Hは、アマーシャム(Amersham)(イギリス)から提供されている。
【0134】
特異的アゴニスト(RU28362)は、ルセル(Roussel)から提供されている。
【0135】
HCl−Gly−Phe−ProNH2は、上記のとおり合成して用いた。
【0136】
統計解析
結果は、1実験群当たりラット10匹から得られる結果の、標準誤差を伴う平均値として表される。
【0137】
ANOVA分散分析により、有意な結果は、スチューデント検定(Student's test)を用いて得られる。
【0138】
変動は、各実験日について最小二乗法の関数として計算される。有意性は、t検定により求められる。
【0139】
d) 結果
1. ビンクリスチンモデル
ポール登り試験法による音回避条件付け
結果は、下記表Iに提示される。各学習日について、表に列挙される値は、回避の百分率に相当する。ラットは、ポールに登ることにより放電を受けるのを回避する。第1日目、動物群のいずれでも回避は観察されない。学習速度及び能力は、ICV注射としてビンクリスチンを投与したラットでは有意に低下する。HCl−Gly−Phe−ProNH2での頚動脈内注射処置により、学習パラメーターは部分的に回復する。この重要な結果は、曲線下面積並びに2、3、及び4日目の時点について観察される。
【0140】
表I.ビンクリスチン(ICV注射として5μg/kg/日を5日間の期間)により前もって処置したラットの学習能力に及ぼすHCl−Gly−Phe−ProNH2(20mg/kg/日を10日間の期間)の作用。結果は、適正な応答の百分率として表される。
【0141】
【表9】
Figure 2004526704
【0142】
1時点につきn=10、m±SME、**p>0.01、対照とHCl−Gly−Phe−ProNH2処置動物との間の比較
【0143】
2.デキサメタゾンモデル
音条件付け
結果を、以下の表IIに示す。経口投与したデキサメタゾンにより、学習能力の有意な障害が起こる。HCl−Gly−Phe−ProNH2は、早くも第2日目から学習能力を部分的に回復させる。静脈内投与したHCl−Gly−PheE−ProNH2は、平均曲線下面積を有意に回復させる。
【0144】
表II.経口投与デキサメタゾンでの前処置により損なわれた学習能力に及ぼす、10日間にわたる20mg/kg/日の用量のHCl−Gly−Phe−ProNH2の作用。結果は、適正な応答の百分率として表される。
【0145】
【表10】
Figure 2004526704
【0146】
1群及び1時点につきn=10、m±SME、*p<0.05、**p<0.01、対照とHCl−Gly−Phe−ProNH2処置動物との間の比較
【0147】
コルチコイド受容体の測定
結果を、表IIIに示す。
【0148】
表III.デキサメタゾンにより前処置したラットの海馬におけるII型グルココルチコイド受容体の測定。結果は、フェムトモル/タンパク質1mgで表される。
【0149】
【表11】
Figure 2004526704
【0150】
n=10、m±SME、**p<0.01、対照とHCl−Gly−Phe−ProNH2処置動物との間の比較
【0151】
HCl−Gly−Phe−ProNH2の反復投与により、海馬におけるグルココルチコイド受容体のダウンレギュレーションが減少する。
【0152】
3.Gp120モデル
音条件付け
結果を、以下の表IVに示す。Gp120の脳室内投与により、学習パラメーターの障害が起こる。
【0153】
注射したHCl−Gly−Phe−ProNH2は、用量に依存して動物の能力を回復させる。20mg/kgの反復投与は、10mg/kgの投与よりも活性が高い。この差は、定量的にも学習速度パラメーターにも両方に観察される。
【0154】
表IV.脳室内注射としてGp120により処置したラットの学習パラメーターに及ぼすHCl−Gly−Phe−ProNH2の作用。結果は、適正な応答の百分率として表される。
【0155】
【表12】
Figure 2004526704
【0156】
n=10、m±SME、*p<0.05、**p<0.01、対照と処置動物との間の比較
【0157】
ニューロン数
海馬のCAIII層においてニューロンをカウントした。1つの野におけるニューロンの数は、理論上は常に同一であるが、対照動物において観察される理論値に関係する。定義上、対照動物において見い出される値は、5%の最大変量で100である。表Vは、このニューロン数の結果を示す。
【0158】
表V.Gp120のIVC投与後の海馬ニューロンの計数。10〜20mg/kgの用量でのHCl−Gly−Phe−ProNH2の反復注射の作用。
【0159】
【表13】
Figure 2004526704
n=10、m±SME、**p<0.01、対照と処置動物との間の比較
【0160】
HCl−Gly−Phe−ProNH2の20mg/kgの投与だけが、ニューロン数の有意な増大をもたらす。
【0161】
d)考察 − 結論
ビンクリスチンの反復IVC投与は、海馬ニューロンの分枝の変性を引き起こす:即ち、実際には神経原線維変性を引き起こす。この変性は、より広範囲であり、そしてビンクリスチンが拡散する脳室周囲神経にさえ影響する。したがって、これらの知見は、アルツハイマー病に罹患した脳において観察されるそれと類似している。相違は、神経原線維変性の局在化と患部構造に関係する。
【0162】
海馬構造は、これらの破壊が、学習処理能力の低下を起こすため、本発明者にとって特に重要である。このモデルではこのとおりであるが、ここでビンクリスチンを投与したラットは、もはやポールに登ることによって電気ショックを回避するやり方を学習できない。変性が異なる型のものであっても、これは同様に、他のモデルにも当てはまる。
【0163】
デキサメタゾンの場合に、アポトーシスの現象に先立つ受容体のダウンレギュレーションが起こる。ここまでのところ、変性は存在しない。
【0164】
これに反して、Gp120では変性が存在するが、これは未だ完全ではない。
【0165】
3つすべての場合に、本発明者は、回収を達成するためにモデルを標準化した。例えば、Gp120の用量が二倍ならば、又は用量は維持するが、処置期間が二倍ならば、ほぼ全変性が存在する。学習パラメーターは、ほとんどゼロであり、そしてニューロンの数は非常に低い。
【0166】
更には、あるニューロンは、これらが未だ機能性であってさえ、もはや染料を保持しない。最後に、進行期に処置を開始するならば、依然として変性を停止させることが可能である。本発明者が観察した結果は、ニューロンの再生に対応しないが、ニューロン減少の低下に対応する。
【0167】
結論として、学習能力が、ビンクリスチン及びGp120のICV投与後に、又はデキサメタゾンの経口投与により損なわれるならば、直接投与したHCl−Gly−Phe−ProNH2は、このような学習能力を有意に改善する。同時に、海馬のニューロン機能性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】図1は、血液脳分布の実験値及び計算値の相関を示す。

Claims (15)

  1. 神経変性疾患の処置に有用な医薬の製造のための、下記式(I):
    Figure 2004526704
    [式中、Xは、OH、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−C1-5−アルキル、N(C1-5−アルキル)2を表し;
    1は、アミノ酸:Phe、Tyr、Trp、Pro(それぞれ、場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい)、更にはAla、Val、Leu又はIleの1つから誘導される残基であり;
    2は、アミノ酸:Gly、Ala、Ile、Val、Ser、Thr、Leu及びProの1つから誘導される残基であり;
    1及びY2は、相互に独立に、H又は(C1-5)アルキルを表し;
    3及びR4は、相互に独立に、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し(ただし、R3及びR4は、両方ともOH又は(C1-5)アルコキシであることはない);そして
    5は、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩の使用。
  2. Xが、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−C1-5−アルキル、又はN(C1-5−アルキル)2を表す、請求項1記載の使用。
  3. 3及びR4が、相互に独立に、H、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す(ただし、R3及びR4は両方とも(C1-5)アルコキシであることはない)、請求項1又は2記載の使用。
  4. 5が、H、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
  5. 神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
  6. 神経変性疾患が軽度認識障害である、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
  7. 1が、アミノ酸:Phe、Tyr、Trp(それぞれ、場合により(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい)の1つから誘導されるか、又はIleから誘導される残基である、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
  8. 1が、場合により(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいPheから誘導される残基である、請求項7記載の使用。
  9. 2が、アミノ酸:Gly又はIleから誘導される残基である、請求項1〜8のいずれか1項記載の使用。
  10. 式(I)の化合物が、グリシル−L−フェニルアラニル−L−プロリンアミド、N,N−ジエチル−イソロイシル−フェニルアラニル−L−プロリンエチルアミド、N,N−ジエチル−イソロイシル−イソロイシル−プロリンアミド、又は薬学的に許容しうるこれらの塩である、請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。
  11. 下記式(I):
    Figure 2004526704
    [式中、Xは、OH、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−C1-5−アルキル、N(C1-5−アルキル)2を表し;
    1は、アミノ酸:Phe(場合により1個以上の(C1-5)アルコキシ基、(C1-5)アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい)から誘導される残基であり;
    2は、アミノ酸:Gly、Ala、Ile、Val、Ser、Thr、Leu及びProの1つから誘導される残基を表し;
    1及びY2は、相互に独立に、H又は(C1-5)アルキルを表し;
    3及びR4は、相互に独立に、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表し(ただし、R3及びR4は、両方ともOH又は(C1-5)アルコキシであることはない);そして
    5は、H、OH、(C1-5)アルキル又は(C1-5)アルコキシを表す]で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩;及び薬学的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物。
  12. Xが、(C1-5)アルコキシ、NH2、NH−C1-5アルキル、又はN(C1-5−アルキル)2を表す、請求項11記載の医薬組成物。
  13. 2が、アミノ酸:Glyから誘導される残基である、請求項11又は12記載の医薬組成物。
  14. 式(I)の化合物が、グリシル−L−フェニルアラニル−L−プロリンアミド、N,N−ジエチル−イソロイシル−フェニルアラニル−L−プロリンエチルアミド、N,N−ジエチル−イソロイシル−イソロイシル−プロリンアミド、又は薬学的に許容しうるこれらの塩である、請求項11〜13のいずれか1項記載の医薬組成物。
  15. 請求項11記載の式(I)の化合物の薬剤としての使用。
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