JPH07188284A - 血中トリグリセリド濃度上昇抑制ペプチド及び当該ペプチドを有効成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤 - Google Patents

血中トリグリセリド濃度上昇抑制ペプチド及び当該ペプチドを有効成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤

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JPH07188284A
JPH07188284A JP5337885A JP33788593A JPH07188284A JP H07188284 A JPH07188284 A JP H07188284A JP 5337885 A JP5337885 A JP 5337885A JP 33788593 A JP33788593 A JP 33788593A JP H07188284 A JPH07188284 A JP H07188284A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 血中トリグリセリド濃度上昇抑制ペプチド並
びに当該ペプチド等を有効成分として含む血中トリグリ
セリド濃度上昇抑制剤、血中トリグリセリド濃度上昇抑
制機能を付与した特定保健用食品(いわゆる機能性食
品)及び血中トリグリセリド濃度上昇抑制機能を付与し
た飼料の提供。 【構成】 アミノ酸配列がLeu Val Val Tyr Pro Trp Th
rのペプチド並びに当該配列表記載のペプチド、Val-Tyr
-Pro 及び/又はVal-Thr-Leu を有効成分として含む血
中トリグリセリド濃度上昇抑制剤、これらのペプチドを
有効成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制機
能を付与した特定保健用食品及びこれらのペプチドを有
効成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制機能
を付与した飼料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規の血中トリグリセ
リド濃度上昇抑制ペプチド並びに当該ペプチド等を有効
成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤、血
中トリグリセリド濃度上昇抑制機能を付与した特定保健
用食品(いわゆる機能性食品)及び血中トリグリセリド
濃度上昇抑制機能を付与した飼料に関する。
【0002】なお、本発明トリグリセリド濃度上昇抑制
剤の投与による脂血清浄作用により人若しくは動物の肥
満や高脂血症及びそれらに伴う高血圧症や動脈硬化症等
の循環器系疾患の予防や治療が可能になる。さらには、
家畜や養殖魚における肉質の改善が可能になる。
【0003】
【従来の技術】脂肪や糖質を過剰に摂取すると肥満や高
脂血症の原因となることが知られている。そして高脂血
症における血中トリグリセリド(以下、TGと記載する
ことがある)濃度の上昇は、高血圧症や動脈硬化症を引
き起こす原因となるといわれている。そこで現在、TG
の血中濃度の上昇を抑制して肥満や高脂血症を改善する
試みが多くなされている。
【0004】現在、TGの血中濃度の上昇を抑制するた
めに、食事制限やダイエット食(例えば、ファイバー)
の摂取、さらには各種の医薬品の投与が行われている。
当該医薬品としては、例えば血中リポ蛋白リパーゼ活性
を高めるデキストラン硫酸、脂質吸収を抑制するニコモ
ール、脂質代謝改善剤であるクロフィブラートやブラバ
スタチン等が現在用いられている。
【0005】しかし、食事制限はそれをする者にとって
苦痛であり、また上記医薬品の投与による副作用の惹起
も懸念されている。よって、より強力な血中TG濃度の
上昇抑制効果を有し、かつ副作用が起こることが懸念さ
れない血中TG濃度上昇抑制剤の開発が待たれている。
一方、家畜や養殖魚に対しては、現在、成長の促進を企
図して濃厚飼料が与えられている。その結果としてこれ
らの家畜や養殖魚中においても脂肪代謝異常がおこり血
中TGの濃度が上昇する傾向にある。血中TG濃度の上
昇によって、家畜や養殖魚中の脂肪含有率が過剰にな
り、脂肪摂取過多の原因となる。その上、味覚の点でも
消費者の嗜好に合わなくなってきている。また、これら
の脂肪含有率の増加は飼料の浪費問題、ひいては屠体に
付着した脂肪の廃棄問題等にも関連する重要な問題であ
る。よって血中のTGの上昇を抑制することは、特に我
が国の畜産界や水産界における急務である。
【0006】最近では、本発明者の一人が加わって開発
したオリゴペプチド含有物についての出願がされ(国際
公開番号 WO89/06970 公報)、さらに当該類似技術につ
いて特開平2-154693号公報に記載されている。また、
ある種のオリゴペプチドが血中TGの上昇抑制効果を含
む脂質代謝改善効果を有することが明らかにされている
(香川恭一:月刊フードケミカル,6,80(1990), 福浜
千津子等:日本薬理学雑誌,97,p38(1991)) 。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の出願公報等にお
いて開示されたオリゴペプチド含有物は、その組成が蛋
白の分解物の混合物であり、真の有効成分、すなわち有
効成分としてのペプチドのアミノ酸配列は明らかにされ
ていない。このことは、当該ペプチド含有物は医薬品と
して応用するには純度が低い。さらに、食品に配合した
場合に食品中のペプチドと区別して定量することが困難
になり、品質管理上の問題がある。
【0008】そこで、当該ペプチド含有物の真の有効成
分、すなわち有効成分としての血中TG濃度上昇抑制ペ
プチドを探索するのが課題となる。すなわち本発明は、
上記有効成分としてのペプチドのアミノ酸配列の解析並
びに当該ペプチド等を有効成分として含む血中TG濃度
上昇抑制剤、血中TG濃度上昇抑制機能を付与した機能
性食品及び血中TG濃度上昇抑制機能を付与した飼料の
提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題の解
決のために鋭意検討した結果、以下の発明により上記課
題が解決され得ることを見出した。すなわち、本発明は
以下の事項をその要旨とするものである。 (1) アミノ酸配列が配列番号1であるペプチド。
【0010】(2) アミノ酸配列が配列番号1であるペ
プチド及び/又はVal-Tyr-Pro及び/又はVal-Thr-Leuを
有効成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制
剤。 (3) アミノ酸配列が配列番号1であるペプチドあるい
はアミノ酸配列が配列番号1であるペプチド並びにVal-
Tyr-Pro及び/又はVal-Thr-Leuを有効成分として含む血
中トリグリセリド濃度上昇抑制機能を付与した特定保健
用食品。
【0011】(4) アミノ酸配列が配列番号1であるペ
プチドあるいはアミノ酸配列が配列番号1であるペプチ
ド並びにVal-Tyr-Pro及び/又はVal-Thr-Leuを有効成分
として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制機能を付与
した飼料。 以下、本発明について詳細に説明する。本発明ペプチド
である、アミノ酸配列が配列番号1であるペプチド及び
本発明血中TG濃度上昇抑制剤中に有効成分として含有
されることのあるVal-Tyr-ProとVal-Thr-Leu(以下、本
発明ペプチド等と記載する)は、自然界に存在する蛋白
質から分離精製することが可能である。また、これを直
接通常公知の方法により化学合成することが可能であ
る。さらに上記ペプチド配列に対応した塩基配列を有す
る遺伝子を調製してこれを適切な発現ベクターに組み込
んで、当該遺伝子を適切な宿主中で発現させることによ
り本発明ペプチドを調製することもできる。 A.以下に、自然界に存在する蛋白質から上記ペプチド
を分離精製する手段について説明する。
【0012】本発明ペプチド等の原材料としては、魚肉
蛋白、魚粉、グロビン等の動物性蛋白質;小麦グルテ
ン、大豆カゼイン等の植物性蛋白質等を広く用いること
ができる。これらの蛋白質の中でも、ヘモグロビンやミ
オグロビン等のグロビン蛋白は、血中TG濃度の上昇を
抑制するという所期の効果を強く奏し得るという点にお
いて特に好ましい。
【0013】なお、かかるグロビン蛋白の提供源である
動物の種類は特に限定されず、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヒ
ト、ウマ等の血液を広く用いることができる。次に上記
の蛋白質を加水分解することが必要である。当該加水分
解に関する操作等は、前出の国際公開番号 WO89/06970
公報記載の方法に従う。また用いる加水分解酵素として
は、例えば酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ又はア
ルカリ性プロテアーゼの1種若しくは2種以上を用いる
ことができる。
【0014】ここに、グロビンの蛋白を加水分解する際
の条件等について述べる。まず、グロビン蛋白含有物を
固形分として水に5〜30重量%になるように分散させ、
酸若しくはアルカリによってプロテアーゼの至適pHに調
整し、プロテアーゼを一度に若しくは逐次的に添加し
て、20〜70℃の温度で3〜48時間、当該酵素を反応させ
て加水分解反応を行うことができる。
【0015】次に、得られた蛋白分解物を乾燥して又は
当該蛋白分解物にカルボキシメチルセルロースあるいは
デキストリン等の増量剤を適量加えて、乾燥・固化する
ことにより、血中TG濃度上昇抑制効果を有する蛋白分
解物を得ることができる(以下、分解物と記載する)。
かかる分解物は、上記本発明ペプチド等を最低でも0.1
重量%含有する。
【0016】次にここで酵素処理を行った本発明蛋白分
解物の精製を行う。かかる精製工程は通常公知の精製工
程を採用することができる。すなわち、イオン交換樹脂
法、限外濾過法、逆相クロマトグラフィー法等を適宜組
み合わせて、所望のペプチドを包含するフラクションを
精製することができる。
【0017】なお上記分離手段において、イオン交換樹
脂法や限外濾過法による操作は必ずしも必須のものでは
ないが、分離・精製度を向上させ得るという観点から分
離・精製工程に組み入れるのが好ましい。酸性下におけ
る逆相クロマトグラフィーと中性下における逆相クロマ
トグラフィーにおける操作を組み合わせることによって
分離・精製が可能である。また、フラクション中の蛋白
量は通常公知の蛋白定量法、例えばニンヒドリン法等に
よって測定することが可能である。
【0018】そして、このようにして選別したフラクシ
ョンのアミノ酸配列は、通常公知の方法により同定する
ことによって、本発明ペプチド等の存在を確認すること
ができる。このように分離したフラクションに由来する
本発明ペプチド等を本発明血中TG濃度上昇抑制剤の有
効成分として用いることができる。
【0019】また、さらにこのようにして分離されたフ
ラクションを、直接本発明血中TG濃度上昇抑制剤の有
効成分として用いることもできる。さらに本発明ペプチ
ド等は、通常公知のペプチド合成法によって化学合成す
ることができる。例えば、アジド法、酸クロライド法、
酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル
法、カルボイミダゾール法、酸化還元法、DCC-アディデ
ィブ(HOMB,HOBt,HOSu)法( 「ザ ペプチド(The Peptid
e) 」第1巻(1966年),Schreder&Luhke 著,Academic P
ress,New York,USA;あるいは「ペプチド合成」泉谷ら
著,丸善株式会社(1975年) 等) 等のペプチド合成法を
例示することができる。
【0020】なお上記のペプチド合成法においては、固
相合成法又は液相合成法のいずれでも行うことができ
る。また上記ペプチド合成法においては、側鎖官能基を
有するアミノ酸、例えばチロシンやスレオニンは、当該
側鎖官能基を保護しておくのが好ましい。これに用いら
れる保護基としては、通常公知の保護基、例えばベンジ
ルオキシカルボニル基(Cbz-)、t-ブトキシカルボニル基
(Boc-)、ベンジル基(Bz-) 等を用いることができる。
【0021】なお、当該保護基は通常公知の方法で、本
発明ペプチド等の合成工程において脱保護を行うことが
できる。 B.本発明ペプチド等を有効成分として、血中TG濃度
上昇抑制剤を調製することができる。当該血中TG濃度
上昇抑制剤の担体としては、使用形態に応じた製剤を調
製するのに通常慣用される充填剤、増量剤、結合剤、付
湿剤、崩壊剤、表面活性剤等の賦形剤ないしは希釈剤を
いずれも使用できる。製剤組成形態は、これが本発明ペ
プチド等を効果的に含有する形態であれば特に限定はな
く、例えば錠剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤等の固剤であっ
てもよい。また、液剤、懸濁剤、乳剤等の注射剤形態と
することもできる。また、これは使用前に適当な担体の
添加によって液状となし得る乾燥品とすることもでき
る。これらはいずれも常法に従い調製できる。
【0022】かくして得られる血中TG濃度上昇抑制剤
の投与量は、当該製剤の投与方法、投与形態、投与する
患者の症状等に応じて適宜選択される。一般には、本発
明ペプチド等を約0.001〜80重量%程度を含有する製剤
形態に調製して、当該製剤に含有される本発明ペプチド
等の量が一日成人一人当り、約1mg〜100mg程度となる
範囲で投与するのが好ましい。なお、当該投与は必ずし
も一日一回である必要はなく一日3〜4回に分割して投
与することも可能である。
【0023】上記各種形態の医薬製剤は、その形態に応
じた適切な投与経路、例えば注射剤形態においては、静
脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内投与等により、固剤
形態の医薬製剤は、経口投与等により投与され得る。 C.本発明ペプチド等を有効成分として、特定保健用食
品(いわゆる機能性食品)を調製することができる。ま
た、当該ペプチドを一般食品の食品添加物として用いる
こともできる。
【0024】上記食品の種類としては特に限定されず、
ミルク、プリン、カレー、ハヤシ、シチュー、ミートソ
ース、ハム、ケーキ、チョコレート等に適用することが
可能である。特にミルクは、小児が直接摂取することが
味覚の点で困難である本発明ペプチド等の摂取を容易に
し得るという点において好ましい。また、本発明ペプチ
ド等をケーキ、チョコレート等の本来的に肥満を助長す
る食品に添加することは、当該食品の摂取による肥満を
予防し得るという点において好ましい。
【0025】本発明ペプチド等の上記食品中における配
合量は、食品の種類、添加する目的、当該食品の摂取に
よって期待する効果等に応じて適宜選択される。一般に
は、本発明ペプチド等換算で一食当たり0.1mg〜4mg程
度の摂取が可能な程度に、本発明ペプチド等を上記食品
中に含有させるのが好ましい。 D.本発明ペプチド等を飼料に配合することによって、
家畜等の血中TG濃度の上昇抑制能が付与された飼料を
調製することができる。
【0026】本発明ペプチド等が配合される飼料は、
牛、豚、鶏等の家畜用飼料であると、タイ、ハマチ等の
養殖魚用飼料であるとを問わない。本発明ペプチド等の
飼料中への配合量は、飼料の種類、当該飼料の摂取によ
って期待する効果等に応じて適宜選択される。一般に
は、飼料中に本発明ペプチド等換算で0.1〜4重量%の
割合で配合するのが好ましい。
【0027】
【実施例】以下に実施例等を記載して本発明をさらに具
体的に説明する。ただし本発明の技術的範囲が本実施例
等によって限定されるものではない。 〔参考例〕グロビン蛋白分解物の製造 以下にウシ赤血球を用いた製法の詳細を示す。なお、分
子量分布はゲル濾過クロマトグラフィー法を用いて調べ
た(図1)。
【0028】なお、当該クロマトグラフィーは以下の条
件で実施した。 装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作
所,LC-6A型) カラム :PolyHYDROXYETHYL A, 5μm, 9.4×200mm, P
olyC Inc製 溶出溶媒:50mMギ酸 流速 :0.5ml/分 検出 :紫外吸収 (221nm) 新鮮なウシ赤血球100kgに水250lを加えて充分溶血さ
せ、リン酸を加えてpHを2.8に調整した後、アスペルギ
ルス・ニガーの酸性プロテアーゼ2.6×107単位を添加
し、50℃、3時間反応させた。
【0029】反応後、反応液を80℃で30分間加熱して反
応を停止させた後、水酸化カルシウムの水懸濁液を加え
てpHを6.5に調整し、硅藻土10kgを加え、フィルタープ
レスを用いて濾過し、得られた濾液を噴霧乾燥して23kg
の粉末を得た。 〔実施例1〕血中TG濃度上昇抑制ペプチドの分画精製
法 本発明ペプチド等は下記の実施例に示す、1. イオン交
換、2. 限外濾過、3. 酸性下における逆相カラムクロ
マトグラフィーによる分離、4. 中性下における逆相ク
ロマトグラフィーによる分離という手順をおって得た。
【0030】これらの操作を用いた際の回収率は表1に
示した。なお、蛋白量はニンヒドリ法によって測定し
た。
【0031】
【表1】
【0032】1. イオン交換 グロビン蛋白分解物10重量%水溶液を、弱酸性陽イオン
交換樹脂 (アンバーライトIRC50,オルガノ (株) , H+
型 )に加え、1時間攪拌して吸着させた後、未吸着画分
を得た。 2. 限外濾過 イオン交換処理により得られた未吸着画分について、攪
拌型限外濾過装置 (アドバンテック (株) 製,UHP 90K)
、限外濾過膜 (アドバンテック (株) 製, UIIH-1,
分画分子量1000) により限外濾過を行い濾液を採取し
た。 3. 逆相 (酸性) クロマトグラフィ(図2) 装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作
所,LC-10A 型) カラム :SuperPac Pep-S, 15μm, 22.5×250mm, ファ
ルマシア (株) 製 溶出溶媒:0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニ
トリル水溶液、アセトニトリル濃度2%から35%まで直
線的濃度勾配、アセトニトリル濃度は1%/分で変化さ
せる。
【0033】流速 :5ml/分 温度 :40℃ 検出 :220nm 分取時間 画分A :39.9分〜40.4分 画分A’(配列番号1):53.8分〜54.5分 4. 逆相 (中性) クロマトグラフィ(図3) 装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作
所, LC-10A型) カラム :SuperPac Pep-S, 15μm, 22.5×250mm, ファ
ルマシア (株) 製 溶出溶媒:20mM酢酸アンモニウム緩衝液 (pH6.5)を含有
するアセトニトリル水溶液、アセトニトリル濃度0%〜
25%まで直線的濃度勾配、アセトニトリル濃度0.5%/
分で変化させる。
【0034】流速 :5ml/分 温度 :40℃ 検出 :紫外吸収 (220nm) 分取時間:画分B 41.7分〜43.2分 (Val-Thr-Leu) 画分C 45.8分〜51.0分 (Val-Thr-Pro) 〔実施例2〕血中TG濃度上昇抑制ペプチドの定量 参考例で得たグロビン蛋白分解物中の血中TG濃度上昇
抑制活性を有するペプチド画分の定量を実施例1に示し
た有効ペプチドの精製法に準じて行った。酸加水分解 蛋白量3〜5mgに対して、最終濃度6N 塩酸1mlを試験
管に入れ、ニンヒドリン法の場合は常圧下、アミノ酸分
析の場合は減圧下にて封管し、110℃, 22時間加熱し
た。ニンヒドリン法 加水分解後の検体を水酸化ナトリウムによりpH5.0に調
整し、0.2Mクエン酸緩衝液 (pH5.0)を含有したニンヒド
リン試薬を用いて 110℃、15分間反応させ、570nmにお
ける吸光度を測定した。別に、標準溶液としてL-ロイシ
ン水溶液 (0.75,150, 225, 300nmoles/ml) についてニ
ンヒドリン反応を行い、得られた吸光度から検量線を求
め、検体のL-ロイシン相当アミノ基量を算出した。ペプチドマップ(図3) 装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作
所,LC-6A型) カラム :Shim-pack ISC-07/S1504 Na, 7μm, 4.0×
150mm, (株) 島津製作所製 溶出溶媒:島津製作所 (株) 製アミノ酸移動相キット
(Na型) 流速 :0.3 ml/分 温度 :55℃ 反応液1:島津製作所 (株) 製分析キットOPA 試薬 検出 :蛍光吸収 (Ex 348nm, Em 450nm)標準溶液 アミノ酸混合標準液18成分 H型 (和光純薬工業 (株) )
を0.2Mクエン酸緩衝液(pH2.20) により25倍希釈後、10
μl 注入した (各アミノ酸1nmoles/10μl )。検体溶液 酸加水分解後、溶液をロータリーエバポレーターにより
濃縮乾固し、さらに減圧下12時間以上乾燥させ、完全に
塩酸を除去した。次に、各アミノ酸含量が100nmolse/m
l程度となるよう0.2Mクエン酸緩衝液 (pH2.20) に溶解
し、0.45μm フィルター濾液を10μl 注入した。アミノ
酸の同定とピーク面積算出をクロマトパックC-R4A(
(株) 島津製作所製) により解析した。アミノ酸量の算
出は、標準溶液との面積比により求めた。アミノ酸組成
は、得られたアミノ酸含量の合計に対する各アミノ酸量
の比率により算出した。
【0035】結果は、収率として上記表2に記載した。 〔実施例3〕化学合成によるH-Val-Thr-Leu-OHの調製 SAM2ペプチド合成装置(Biosearch社製) により、同装置
のプロトコールに従ってH-Val-Thr-Leu-OHを合成した。
すなわち、1gあたり0.3mmolの3番目の保護アミノ酸Boc
-Leu-OHを結合したアシルオキシメチル樹脂2gを上記ペ
プチド合成装置の反応容器にセットし、45v/v%トリフ
ルオロ酢酸(TFA),2.5v/v%アニソール,52.5v/v%塩化メ
チレン(DCM) を含むデブロック液と20分間接触させて、
Boc基を除いた。DCMによる洗浄の後、10v/v%ジイソプ
ロピルエチレンアミンを含むDCMによって樹脂を中和
し、これをさらにDCMにより洗浄した。その後、4.0mmol
のジイソプロピルカルボジイミド(それぞれ理論当量の
6.7倍)を含む20mlのDCMとジメチルホルムアミド(DMF)
の混合液中で2時間室温にて反応せしめた。かかるDMF
とDCMで順次洗浄して、Boc-Thr(Bz)-Leu-PAM樹脂を得
た。
【0036】次に同様の工程に従い、Boc-Val-OHをカッ
プリングした。上記のようにカップリングした保護ペプ
チド樹脂を10v/v%アニソールを含む無水フッ化水素中
で1時間・0℃にて反応させた後、フッ化水素を留去し
てエーテルによる洗浄を行った。得られたペプチド及び
樹脂の混合物から、50%酢酸にてペプチドを抽出し、凍
結乾燥によって約250mgの粗ペプチドを得た。
【0037】当該粗ペプチドを0.1%TFA に溶解した
後、オクタデシルシリカ(ODS)カラム(Cosmosil 5C18,25
0×20mm: ナカライテスク社製) により、0.1%のTFAを
含むアセトニトリルの直線的濃度勾配(20〜70%/50分,1
0ml/分) にて展開した。目的とするペプチドは、アセト
ニトリルの濃度約50%にて溶出された。 〔実施例4〕化学合成による配列番号1に示されるアミ
ノ酸配列を有するペプチドの合成 上記SAM2ペプチド合成装置により、同装置のプロトコー
ルに従って配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する
ペプチドを合成した。すなわち、1gあたり0.3mmolの7
番目の保護アミノ酸Boc-Thr(Bz)-OHを結合したアシルオ
キシメチル樹脂2g を上記ペプチド合成装置の反応容器
にセットし、45v/v%トリフルオロ酢酸(TFA),2.5v/v%
アニソール,52.5v/v%塩化メチレン(DCM)を含むデブロ
ック液と20分間接触させて、Boc基を除いた。DCMによる
洗浄の後、10v/v%ジイソプロピルエチレンアミンを含
むDCMによって樹脂を中和し、これをさらにDCMにより洗
浄した。その後、4.0mmolのBoc-Trp-OH及びジイソプロ
ピルカルボジイミド( それぞれ理論当量の6.7倍) を含
む20mlのDCMとDMFの混合液中で2時間室温にて反応せし
めた。かかるDMFとDCMで順次洗浄して、Boc-Trp-Thr(B
z)-PAM樹脂を得た。
【0038】次に同様の工程に従い、Boc-Pro-OH、Boc-
Tyr(BrZ)-OH、Boc-Val-OH、Boc-Val-OH及びBoc-Leu-OH
を順次カップリングした。以下、上記実施例3に従って
ペプチドを抽出し、凍結乾燥によって約500mgの粗ペプ
チドを得た。また、実施例3に従い、当該粗ペプチドを
ODSカラムで展開すると、目的とするペプチドはアセ
トニトリルの濃度約30%にて溶出された。 〔実施例5〕本発明ペプチド等を含む食品の調製 (1) 100gの小児用粉ミルクに実施例5で合成したH-Va
l-Thr-Leu-OHを0.1g添加して、血中TG濃度上昇抑制能
を有する粉ミルクを調製した。
【0039】100gの小児用粉ミルクに実施例6で合成
した配列番号1に示されたアミノ酸配列を有するペプチ
ドを0.1g添加して、血中TG濃度上昇抑制能を有する粉
ミルクを調製した。 (2) 100gのチョコレートに実施例5で合成したH-Val-
Thr-Leu-OHを0.5g添加して、血中TG濃度上昇抑制能を
有するチョコレートを調製した。
【0040】100gのチョコレートに実施例6で合成し
た配列番号1に示されたアミノ酸配列を有するペプチド
を0.5g添加して、血中TG濃度上昇抑制能を有するチョ
コレートを調製した。 〔実施例6〕本発明ペプチド等を含む飼料の調製 ビタミン、ミネラル等が配合されたプレミックスに実施
例5で合成したH-Val-Thr-Leu-OHと配列番号1で表され
るアミノ酸配列を有するペプチドを1重量%の割合でそ
れぞれ別個に配合して、それぞれの当該プレミクッスを
市販の養魚用飼料に10%の割合で添加して、血中TG濃
度上昇抑制能を有する養魚用飼料を調製した。 〔試験例1〕血中TG濃度上昇抑制剤(化学合成品)の
効果(in vivo) 実施例5に示した方法によって合成した本発明ペプチド
である3種の血中TG上昇抑制ペプチドである、配列番
号1に記載されたアミノ酸配列を有するペプチド及びVa
l-Thr-LeuおよびVal-Tyr-Proにつきin vivo 脂肪負荷時
の血清TG上昇に及ぼす効果を検討した。試験は健康な
アルビノマウス(5〜10週齢、体重約20〜30g)を用い
て行った。このマウスにオリーブ油250mgと共に上記ペ
プチド溶液を経口投与した。3時間後、ネンブタール麻
酔下で血液を採取し、当該血液を分離後、血中TG濃度
を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】その結果、3種の血中TG濃度上昇抑制ペ
プチドはいずれも血中TG濃度の上昇を抑制した。特に
配列番号1で示すアミノ酸配列を有するペプチドは、蛋
白分解物のペプチドの50000倍の比活性を示した。一
方、他の2種のペプチドは、前記ペプチドの約1/100
の比活性であったが、蛋白分解物の50倍以上の比活性を
有していた。 〔試験例2〕本発明ペプチド等の安全性試験 雌雄のICR 系マウスに本発明ペプチドである配列番号1
に示したアミノ酸配列を有するペプチド、Val-Tyr-Pro
及びVal-Thr-Leuの投与割合を変更しつつ(0:1,1:1,1:
0)、10g/Kg体重以上(投与可能最大量)それぞれ経口投
与を行ったが死亡例はなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明により、血中トリグリセリド濃度
上昇抑制ペプチド並びに当該ペプチド等を有効成分とし
て含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤、血中トリグ
リセリド濃度上昇抑制機能を付与した特定保健用食品
(いわゆる機能性食品)及び血中トリグリセリド濃度上
昇抑制機能を付与した飼料が提供される。
【0044】本発明により、人若しくは動物の肥満や高
脂血症及びそれらに伴う高血圧症や動脈硬化症等の循環
器系疾患の予防や治療が可能になる。さらには、家畜や
養殖魚における肉質の改善が可能になる。
【0045】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Leu Val Val Tyr Pro Trp Thr
【図面の簡単な説明】
【図1】 グロビン蛋白分解物のゲルクロマトグラム。
【図2】 実施例1における逆相(酸性)クロマトグラ
ム。
【図3】 実施例1における逆相(中性)クロマトグラ
ム。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】結果は、収率として上記表2に記載した。 〔実施例3〕化学合成によるH−Val−Thr−Le
u−OHの調製 SAM2ペプチド合成装置(Biosearch社製)
により、同装置のプロトコールに従ってH−Val−T
hr−Leu−OHを合成した。すなわち、1gあたり
0.3mmolの3番目の保護アミノ酸Boc−Leu
−OHを結合したアシルオキシメチル樹脂2gを上記ペ
プチド合成装置の反応容器にセットし、45v/v%ト
リフレオロ酢酸(TFA),2.5v/v%アニソー
ル,52.5v/v%塩化メチレン(DCM)を含むデ
ブロック液と20分間接触させて、Boc基を除いた。
DCMによる洗浄の後、10v/v%ジイソプロピルエ
チレンアミンを含むDCMによって樹脂を中和し、これ
をさらにDCMにより洗浄した。その後、4.0mmo
lのBoc−Thr−OH及びジイソプロピルカルボジ
イミド(それぞれ理論当量の6.7倍)を含む20ml
のDCMとジメチルホルムアミド(DMF)の混合液中
で2時間室温にて反応せしめた。かかる後、DMFとD
CMで順次洗浄して、Boc−Thr(Bz)−Leu
−PAM樹脂を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23K 1/18 B 9123−2B 102 A 9123−2B (72)発明者 福浜 千津子 大阪府池田市古江町180番地 阪急共栄物 産株式会社薬理研究所内 (72)発明者 松高 寿子 大阪府池田市古江町180番地 阪急共栄物 産株式会社薬理研究所内 (72)発明者 中村 豊郎 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1−2 伊 藤ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 沼田 正寛 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1−2 伊 藤ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 渡辺 重明 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1−2 伊 藤ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 本田 和久 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1−2 伊 藤ハム株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸配列が配列番号1であるペプチ
    ド。
  2. 【請求項2】 アミノ酸配列が配列番号1であるペプチ
    ド及び/又はVal-Tyr-Pro及び/又はVal-Thr-Leuを有効
    成分として含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
  3. 【請求項3】 アミノ酸配列が配列番号1であるペプチ
    ドあるいはアミノ酸配列が配列番号1であるペプチド並
    びにVal-Tyr-Pro及び/又はVal-Thr-Leuを有効成分とし
    て含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制機能を付与した
    特定保健用食品。
  4. 【請求項4】 アミノ酸配列が配列番号1であるペプチ
    ドあるいはアミノ酸配列が配列番号1であるペプチド並
    びにVal-Tyr-Pro及び/又はVal-Thr-Leuを有効成分とし
    て含む血中トリグリセリド濃度上昇抑制機能を付与した
    飼料。
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