JP2004524006A - シュードモナス・ディミヌタbs−203からのグルタリルセファロスポリンアミダーゼ - Google Patents

シュードモナス・ディミヌタbs−203からのグルタリルセファロスポリンアミダーゼ Download PDF

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Abstract

本発明は、7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸およびグルタル酸への加水分解を触媒する、シュードモナス・ディミヌタ株BS−203からのグルタリル7−ACAアミダーゼを提供する。本発明はまた、該酵素の産生に有用な核酸配列、ベクター、および宿主細胞をも提供する。グルタリル7−ACAアミダーゼは、7−アミノセファロスポラニン酸の調製に用いることができる。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、7−(4−カルボキシブタンアミド)−3−アセトキシメチル−3−セフェム−4−カルボン酸(グルタリル7−ACA)の加水分解を触媒して7−アミノセファロスポラニン酸(7−ACA)およびグルタル酸を生成する、シュードモナス・ディミヌタ(Pseudomonas diminuta)BS−203からの新規なグルタリルセファロスポリンアミダーゼ(グルタリル7−ACAアミダーゼ)酵素に関する。本発明はまた、シュードモナス・ディミヌタBS−203からのグルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子の核酸配列を含む、グルタリル7−ACA酵素をコードする配列を有する核酸、およびそれから得られる核酸配列に関する。本発明はまた、これら核酸配列を含むベクターおよび宿主細胞、およびこれらベクターおよび宿主細胞を用いたグルタリル7−ACAアミダーゼの製造方法に関する。本発明はまた、シュードモナス・ディミヌタBS−203からのグルタリル7−ACAアミダーゼを用いることによる7−ACAの製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸3−アセトキシメチル(7−アミノセファロスポラニン酸、7−ACA)は、多くの半合成セファロスポリン抗生物質の合成の出発物質である。7−ACAは、セファロスポリンC(容易に入手できる発酵産物)から2工程の酵素的プロセス(スキーム1)により、まずD−アミノ酸オキシダーゼを酸化的脱カルボキシル反応とともに用いてグルタリル7−ACAを生成し(工程A)、ついでグルタリル7−ACAアシラーゼを用いてグルタリル基を除去して7−ACAを生成する(工程B)ことで生成できる。
【0003】
スキーム1
【化1】
Figure 2004524006
【0004】
工程AおよびBはまた化学的プロセスによっても行うことができる。化学的プロセスは大量の有機溶媒および毒性の化学物質を使用するため、安全性および環境の観点で不利である。一方、酵素的プロセスを用いることにより、7−ACAが穏やかな条件下、水性溶媒系で得られる。グルタリル7−ACAの7−ACAへの加水分解(工程A)を触媒する酵素は容易に入手できるが、セファロスポリンCの7−ACAへの直接加水分解(工程C)を有効に触媒する酵素は容易に入手できない。その結果、2工程プロセスが一般に用いられており、その際、工程Aは化学的または酵素的に行い、工程Bは酵素的に行う。たとえば、Cambiaghiら、米国特許第5,424,196号およびその引用文献を参照。
【0005】
工程Aは、通常、D−アミノ酸側鎖のアミノ基をケト基に酸化するためにD−アミノ酸トランスアミナーゼ(D−アミノ酸オキシダーゼ、EC−1.4.3.3としても知られる)(Aretzら、米国特許第4,745,061号)を用いて行い、ついで過酸化水素で処理して脱カルボキシル化を行ってグルタリル7−ACAを得る。
【0006】
多くの努力が工程Bを行う効率的な方法の開発に導いている。Crawfordらは米国特許第5,104,800号において7−ACA合成の分野における初期の業績の概要を提供している。Matsudaらは米国特許第3,960,662号において、Comamonas種およびPseudomonas ovalisの培養液からのグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を記載している。藤沢薬品工業の研究者ら(Aramoriら、米国特許第5,310,659号およびEP0482844号;Aramoriら、1991, J. Bacteriol. 173: 7848−7855)は、Bacillus(Brevibacillus)laterosporusから単離したグルタリル7−ACAアシラーゼを記載している。Chuら(米国特許第5,766,871号)は、Pseudomonas nitroreducensから単離したグルタリル7−ACAアシラーゼを記載している。BattistelらはEP0525861号において、種々のPseudomonas、BacillusおよびAchromobacter種からのグルタリル7−ACAアシラーゼを記載している。
【0007】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
セファロスポリンCの7−ACAへの加水分解(スキーム1、工程C)を直接触媒することのできる多くの酵素が報告されている。たとえば、旭化学工業の研究者ら(Ichikawaら、米国特許第4,774,179号;Matsudaら、J. Bact., 1987, 169: 5815−5820および5821−5826)は、Pseudomonas diminutaの株SE−495および密接に関連したPseudomonas種の株SE83を開示しており、両者ともセファロスポリンCの7−ACAへの直接変換を行うことのできる酵素を産生する。Leinは米国特許第4,981,789号およびEP0283218号において、Arthrobacter viscousからのセファロスポリンCアミダーゼを報告している。LeinらはEP0322032号において、Crawfordらが米国特許第5,104,800号(および分割米国特許第5,229,247号)およびEP0405846号において行ったように、Bacillus megateriumからのセファロスポリンCアミダーゼを報告している。Iwamiらは米国特許第5,192,678号(および分割米国特許第5,320,948号)およびEP0475652号において、その後、Pseudomonas diminuta N−176からのセファロスポリンCアシラーゼを開示しており、該酵素は工程Cを直接行うことができるが、グルタリル7−ACAの7−ACAへの変換を触媒することの方に一層熟達している。そのような酵素は、7−ACAの産生にとって経済的に現実味のあることが未だに示されていない。
【0008】
種々のグルタリル7−ACAアミダーゼを発現する組換え宿主細胞の調製が多くの研究者によって記載されている。たとえば、M. IshiyeおよびM. Niwa, Biochim. Biophys. Acta, 1992, 1132: 233−239;Crouxら、EP0469919号;Aramoriら、米国特許第5,310,659号;Iwamiら、米国特許第5,192,678号;およびHondaら、Biosci. Biotechnol. Biochem., 1997, 61: 948−955を参照(全て参照のため本明細書中に引用される)。
【0009】
7−ACAの医薬中間体としての価値に鑑み、酵素のコスト、反応速度および収率および酵素の安定性などの要素の観点から優れた結果をもたらす改良された7−ACAアミダーゼに対する必要性が存在する。
【0010】
(その解決方法)
本発明は、細菌株Pseudomonas diminuta BS−203から単離した新規なグルタリル7−ACAアミダーゼ、およびその誘導体、サブユニットおよびフラグメントを提供する。本発明はまた、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼをコードする核酸配列を含むオリゴヌクレオチド(すなわち、DNAおよびRNA分子)並びにその誘導体、フラグメントおよび部分配列、および本発明のDNA分子に相補的なポリヌクレオチドをも提供する。本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞にも関する。
【0011】
本発明はまた、好ましくはPseudomonas diminuta BS−203のグルタリル7−ACAアミダーゼに対して少なくとも80%のホモロジーを有する相同なタンパク質をも提供する。113までの保存的アミノ酸置換、および/または20までのアミノ酸付加または欠失を有するタンパク質は、本発明の一部を構成すると考えられる。そのような相同なタンパク質をコードする核酸配列もまた、本発明の一部を構成すると考えられる。
【0012】
本発明はさらに、Pseudomonas diminuta BS−203を適当な培地で培養し、ついでグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有するタンパク質画分を回収することによる、Pseudomonas diminuta BS−203のアミダーゼを得る方法に関する。本発明はまた、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼを産生するための、本発明の核酸、ベクターおよび宿主細胞の使用方法にも関する。
【0013】
本発明はさらに、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることによる、7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸(グルタリル7−ACA)および他の7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸(7−ACA)を得る方法に関する。本発明はまた、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることによる、7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸(グルタリル7−ACA)および他の7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸のデスアセチル誘導体からデスアセチル7−ACAを製造する方法にも関する。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、新規なグルタリル7−ACAアミダーゼの単離および特徴付けに関する。とりわけ、本発明は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有し、Pseudomonas diminuta BS−203により産生されるグルタリル7−ACAアミダーゼに関する。アラインメントした配列は、Pseudomonas種株SE83からの「アシル」セファロスポリンアシラーゼ(Matsudaら、J. Bact. 1987 169: 5821−5826)およびPseudomonas種株V22から単離したほぼ同一の酵素(M. IshiyeおよびM. Niwa, Biochim. Biophys. Acta, 1992, 1132: 233−239)に対して約56%の同一性(320の一致)を示す。興味深いことに、本発明のPseudomonas diminuta BS−203酵素とIwamiらのPseudomonas diminuta N−176酵素(米国特許第5,192,678号)との間にはわずか約20%の同一性しか存在しない。本発明は、粗製のまたは部分的に精製したPseudomonas diminuta BS−203のグルタリル7−ACAアミダーゼを含む組成物を提供し、単離および精製したPseudomonas diminuta BS−203のグルタリル7−ACAアミダーゼをも提供する。
【0015】
本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは、グルタリル7−ACAの7−ACAへの加水分解を触媒することができる。本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは、42,000ダルトンの大ユニットと26,000ダルトンの小ユニットとからなる。前駆体タンパク質(配列番号2)のサブユニットへの開裂は、一致する位置でのSE83アシルセファロスポリンアシラーゼの開裂に鑑みて(Matsudaら、J. Bact. 1987 169: 5821−5826)、図5に示す部位でおそらく起こる。
【0016】
本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは、ポリエチレンイミン(PEI)への付着が容易であることを特徴とし、このことは以下にさらに記載するように酵素の精製および固定化プロセスに用いることができる。
本発明はまた、配列番号2またはその部分に少なくとも80%相同なタンパク質に関し、該タンパク質は酵素活性部位が実質的に変化していない限り、同様の酵素活性を有することが予期される。
【0017】
本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは、BS−203と称する土壌から得た細菌株から単離および精製した。BS−203細菌はグルタリル7−ACAに対する有意のアミダーゼ活性を含むが、Pseudomonas属のdiminuta種に属すると思われる。BS−203株のさらなる特徴は実施例1に記載してある。
【0018】
本発明はまた、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸などのような、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼをコードする単離および精製した核酸、およびそのフラグメント(すなわち部分配列)にも関する。本発明はまた、配列番号2に少なくとも80%相同であり、グルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有するタンパク質をコードする核酸にも関する。
【0019】
本発明はまた、配列番号1に示す配列の相補(すなわちアンチセンス)配列、好ましくは完全に相補的な配列、並びにそのフラグメント(すなわち部分配列)にも関する。部分配列を有するポリヌクレオチドは、グルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子の全ヌクレオチド配列の制限消化、PCR増幅、および直接合成を含む種々の方法によって得ることができる。
【0020】
本発明は、配列番号1を有するDNA分子または配列番号1の相補鎖からなるDNA分子にハイブリダイズする、10〜1722ヌクレオチド、好ましくは17〜1722ヌクレオチド、最も好ましくは20〜1722ヌクレオチドの核酸分子を提供する。最も好ましくは、そのような核酸分子は、ハイブリダイゼーションをストリンジェントな条件下[42℃で72時間緩衝した、4×SSPE、10%PEG6000、0.5%SDS、5×デンハルト、および50μg/mlの変性サケ精子DNAと同一または等価]で行ったときに配列番号1またはその相補鎖にハイブリダイズする。好ましいフラグメントは、配列番号1の残基293〜1993の部分(グルタリル7−ACAアミダーゼのコード領域である)に相補的なフラグメントである。特に好ましいのは、配列番号1の残基293〜1993の部分に少なくとも74%相補的な、さらに好ましくは84%相補的な、最も好ましくは少なくとも94%相補的なフラグメントである。たとえば、プローブ#7(配列番号12)は94%相補的(17塩基のうち16が一致)である。77塩基のゲスマープローブ(配列番号22)は74%相補的(57の一致)であり、少なくともこのレベルのホモロジーを有するプローブの有用性を示している。
【0021】
本明細書においてアミノ酸配列およびヌクレオチド配列に関するパーセント配列同一性は、第一の配列を第二の配列とアラインメントし、最大のパーセント配列同一性に近づくまたは達成すべく必要ならギャップを導入した後、第二の配列における残基と同一である第一の配列における残基のパーセントとして定義される。保存的な置換はアミノ酸配列の配列同一性に寄与するとは考えない。パーセント配列同一性を決定することを目的としたアラインメントは、当業者の技術レベルの範囲内の種々の仕方で行うことができ、たとえば、BLAST(S. Altschulら、Nucleic Acids Res., 1977, 25: 3389−3402)やALIGN(E. MyersおよびW. Miller, 1989, CABIOS 4: 11−17)などの公的に利用可能なコンピューターソフトウエアを用いて行うことができる。当業者であれば、比較しようとする配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要な適切なパラメータおよびアルゴリズムを決定できるであろう。
【0022】
短い配列のホモロジーまたは相補性の程度は点検することによって決定できるし、より長い配列についてはBLASTまたはALIGNソフトウエアを用いて決定できる。たとえば、配列番号1を公知の7−ACAアミダーゼ遺伝子と比較するのに、後者のプログラム(バージョン2.0u)をBLOSUM50スコアリングマトリックスおよびエンドギャップウエイティング(end−gap weighting)とともに用い、−16のSmith−Watermanギャップオープニングペナルティー(gap opening penalty)および−4のギャップエクステンションペナルティー(gap extension penalty)を用いた。−12のギャップオープニングペナルティおよび−2のギャップエクステンションペナルティを用い、同プログラムを対応アミノ酸配列を比較するのに用いた。
【0023】
本明細書に記載するヌクレオチド配列は、本発明の1つの態様を表すにすぎない。遺伝子コードの縮重により、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼまたはそのサブユニットまたはペプチドフラグメントの産生を指令しうる配列に導くヌクレオチドの多くの選択を行えることが理解されるであろう。そのような意味で、本明細書に記載する配列と機能的に等価な核酸配列は本発明の範囲に包含されることを意図する。そのような配列は、たとえば、宿主生物によって優先的に用いられるコドンで置換することによって得ることができる。本発明の核酸はまた、当該技術分野で公知の方法によって単離および実質的に精製してもよい。
本発明の核酸は、ベクター中、および/または培養宿主細胞中に存在してよい。それゆえ、本発明はまた、本発明の核酸を含むベクターおよび宿主細胞に関する。
【0024】
本発明は、Pseudomonas diminuta BS−203をグルタリル7−ACAアミダーゼの発現に適した条件下、適当な培地で培養し、ついで該アミダーゼ活性を有するタンパク質画分を任意に回収することにより、グルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有する組成物を得る方法を提供する。本発明はまた、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼを産生させるために本発明の核酸、ベクター、および宿主細胞を用いる方法にも関する。本発明はさらに、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼを接触させることによる、7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸(グルタリル7−ACA)またはデスアセチル7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸(7−ACA)またはデスアセチル7−ACAを得る方法に関する。
【0025】
本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは、該酵素のアミノ酸配列をコードするDNA配列、たとえば、配列番号2をコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養することによって調製できる。この宿主細胞を栄養培地で培養し、引き続き7−ACAアミダーゼを宿主細胞および/または培地から回収すればよい。本発明で使用することが考えられる宿主細胞は、微生物、酵母、真菌、植物、昆虫、または動物細胞株であってよい。一般に、グルタリル7−ACAアミダーゼ酵素を活性な形で発現することのできるいかなる宿主細胞も利用できるであろう。
【0026】
適当な宿主細胞としては、微生物(たとえば、大腸菌、Bacillus subtilis、Saccharomyces cerevisiae)、動物細胞株および培養した植物細胞が挙げられる。好ましい微生物は細菌であり、最も好ましくはEscherichia属に属する株(たとえば、大腸菌JM109 ATCC53323;大腸菌HB101、ATCC33694;大腸菌HB101−16、FERM BP−1872;大腸菌294、ATCC31446)、またはBacillus属に属する株(たとえば、Bacillus subtilis ISW1214)である。好ましい酵母宿主としては、Saccharomyces属に属する株(たとえば、Saccharomyces cerevisiae AH22)が挙げられる。適当な動物細胞株としては、マウスL929細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などが挙げられる。適当な昆虫細胞の例は、Spodoptera由来(たとえば、Sf9、Sf21)、Tricholplusia由来(たとえば、High FiveTM、Tn)、Drosophila由来、およびHeliothis由来のものである。細菌を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターは通常、少なくともプロモーター、開始コドン、配列番号2(またはその一部)をコードするDNA配列、終止コドン、ターミネーター領域、および複製ユニットからなる。酵母または動物細胞を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターは、エンハンサー配列、スプライシング連結部、およびポリアデニル化部位を含んでいてよい。
【0027】
細菌での発現のためのプロモーターは、通常、シャインダルガーノ配列を含む。細菌発現のために好ましいプロモーターは、大腸菌のためのPL−プロモーターやtrp−プロモーターなどのような、市販され、通常用いられているプロモーターである。酵母での発現に適したプロモーターとしては、S. cerevisiaeのためのTRP1遺伝子、ADHIまたはADHII遺伝子、および酸性ホスファターゼ(PH05)遺伝子のプロモーターが挙げられる。哺乳動物細胞での発現のためのプロモーターとしては、SV40初期または後期プロモーター、HTLV−LTR−プロモーター、マウスメタロチオネインI(MMT)プロモーター、ワクシニアプロモーターなどが挙げられる。多くの他の適当なプロモーターが当業者に知られている。
【0028】
本発明に使用することが考えられるベクターとしては、好ましいまたは必要な操作上の配列とともに上記核酸配列を挿入することができるベクターであって、該ベクターをその後に宿主細胞に移すことができ、および好ましくはそのような宿主細胞で複製することのできるものが挙げられる。好ましいベクターは、制限部位が充分に調べられており、核酸配列の転写のために好ましいまたは必要な操作上の配列を含むものである。ベクターはまた、本発明の核酸を大量に調製するのにも用いることができ、該核酸は、たとえばプローブや他の核酸構築物を調製するのに用いることができる。そのようなプローブは、他の細菌種からの相同なグルタリル7−ACAアミダーゼ酵素を同定するのに用いることができる。
【0029】
本発明のベクターは、細菌細胞および/または真核生物細胞で機能することができる。適当なプラスミドとしては、大腸菌のためのプラスミドpBR322またはその改変体、酵母のための酵母2μプラスミドまたは酵母染色体DNA、哺乳動物細胞のためのプラスミドpRSVneo ATCC37198、プラスミドpSV2dhfr ATCC37145、プラスミドpdBPV−MMTneo ATCC37224、およびプラスミドpSV2neo ATCC37149が挙げられる。哺乳動物細胞のためには、エンハンサー配列、ポリアデニル化部位およびスプライシング連結部はSV40に由来してよい。ベクターは、分泌を促進するために開裂可能なシグナルペプチドを任意にコードしていてよい。
【0030】
プロモーター、開始コドン、配列をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域、および宿主細胞に適したさらなる配列を、たとえばリンカーや制限部位を用い、通常の仕方(たとえば、制限酵素による消化、T4DNAリガーゼによるライゲーション)で適当な複製ユニット(たとえば、プラスミド)に挿入して発現ベクターを得ることができる。この発現ベクターで宿主細胞を当該技術分野で知られた方法(たとえば、リン酸カルシウム沈降法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなど)により形質転換(トランスフェクション)することができる。
【0031】
本発明はまた、本発明の核酸を用いて本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼを製造する方法にも関する。本発明の一つの態様において、グルタリル7−ACAアミダーゼは以下を含む組換え法により調製する:
(a)本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼの産生を宿主細胞に指令しうる核酸を調製し、
(b)宿主細胞に移し宿主細胞で複製することのできるベクター中に該核酸をクローニングし、その際、そのようなベクターは必要なら該核酸の発現のための操作配列を含んでおり、
(c)該核酸および操作配列を含む該ベクターを、グルタリル7−ACAアミダーゼを発現しうる宿主細胞に移し、
(d)該宿主細胞をグルタリル7−ACAアミダーゼの発現に適した条件下で増殖させ、ついで
(e)グルタリル7−ACAアミダーゼを単離する。
【0032】
他の態様において、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼはPseudomonas diminutaの培養液から単離する。P. diminutaからグルタリル7−ACAアミダーゼを単離する方法の例は下記実施例に記載してある。
【0033】
本発明はさらに、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼを用いて7−β−(4−アシルアミド)セファロスポラニン酸(たとえば、グルタリル7−ACA)から7−アミノセファロスポラニン酸(7−ACA)を得る方法にも関する。この方法は、グルタリル7−ACAまたは等価なアシル7−ACA基質を、アシル7−ACAの7−ACAへの加水分解を可能にする条件下、本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼで処理することにより行う。本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは溶液中で用いることもできるし、または当該技術分野で知られた方法により、不溶性の支持体に架橋または付着させるかまたは包括することによって固定化してもよい。たとえば、Cambiaghiら、米国特許第5,424,196号;J. Woodward、米国特許第5,846,762号;M. Bigwood、米国特許第4,612,288号;およびM. Navia、米国特許第5,618,710号を参照(全て参照のため本明細書に引用する)。
【0034】
本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼは宿主細胞により培地に分泌されてよい。これら態様では、該酵素は所望なら常法により容易に単離できる。7−ACAを調製するのに有用な本発明の代表的な組成物は、培養ブロス自体、および濃縮物、沈降物、およびこれらに由来するグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を含むペプチド画分である。発現された7−ACAアミダーゼが宿主細胞内に残る場合は、下記の組成物が本発明の代表的な態様である:
(1)宿主細胞;濾過や遠心分離などの常法により培養ブロスから分離
(2)乾燥した細胞;上記宿主細胞を常法により乾燥して得る
(3)細胞不含抽出物;上記宿主細胞を常法(たとえば、有機溶媒による溶解、ホモジナイズ、粉砕、または超音波照射)により破砕し、細胞破砕物を濾過や遠心分離により任意に除去して得る
(4)沈降した酵素;上記細胞不含抽出物を沈降剤(たとえば、硫酸ナトリウム、トリクロロ酢酸、ポリ(エチレンイミン)など)で処理して得る
(5)酵素溶液;上記細胞不含抽出物を常法(たとえば、イオン交換または疎水相互作用クロマトグラフィー)により精製または部分精製して得る
(6)固定化した細胞または酵素;宿主細胞または酵素を常法(たとえば、ポリマーに付着または包括、粒状支持体に付着、または架橋など)により固定化して調製。
【0035】
本発明のグルタリル7−ACAアミダーゼをグルタリル7−ACAと接触させるプロセスは、適当な溶媒、すなわち基質が可溶で酵素が活性な溶媒中で行うことができる。溶媒は、好ましくは水や緩衝液などの水性媒体である。典型的にこのプロセスは、培養ブロスまたは上記の代表的な組成物を、グルタリル7−ACAまたは同等の基質を含む緩衝液に溶解または懸濁することにより行う。反応混合物のpH、基質の濃度、反応時間および反応温度は、使用した培養ブロスの性質またはそのプロセシングされた物質により変わる。好ましくは、反応は6〜10のpH、さらに好ましくはpH7〜9;および好ましくは0℃〜40℃、さらに好ましくは4℃〜15℃で0.5〜5.0時間行う。反応混合物中の基質の濃度は、1〜100mg/mlが好ましい。産生した7−ACAは、当該技術分野で知られた方法により反応混合物から精製および単離できる。
【0036】
本発明の酵素は、以前に知られているグルタリル7−ACAアミダーゼと同様、他のアシル7−ACA、たとえばスクシニル7−ACAやマロニル7−ACAなどの加水分解も行うことができ、それゆえそのような他の同等の基質の7−ACAへの変換にも有用であろうことが予期される。7−β−(アシルアミド)−セファロスポラニン酸なる語は、他のセファロスポリンアミダーゼおよびアシラーゼ(E.C.3.5.1.11)の基質として知られた7−ACA誘導体をいう。一般に、このクラスは、アシルアミドが炭素数3〜6のカルボキシ置換されたアシルアミド基である化合物からなり、さらに詳細には、アシルアミドがマロニルアミド、スクシニルアミド、グルタリルアミド、および5−カルボキシ−5−オキソペンタンアミドよりなる群から選ばれる化合物を含む。
【0037】
本発明の酵素はまた、グルタリル7−ACAおよび他の7−β−(アシルアミド)−セファロスポラニン酸のデスアセチル誘導体の加水分解も行うことができ、それによりデスアセチル7−ACAを生成する。それゆえ、本発明はまた、これら誘導体からデスアセチル7−ACAを製造する方法をも提供する。
【0038】
つぎに本発明を実施例により記載するが、これら実施例は例示のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例
実施例1:株BS−203の同定
グルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有する微生物を探索する経緯の中でBS−203と称する細菌を土壌から単離した。この細菌を、ブダペスト条約の規定に従ってアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションにATCC受託番号PTA−2517にて寄託してある。
グルタリルセファロスポラニン酸に対して有意のアミダーゼ活性を含むこの細菌は、以下の特性を有する。
【0039】
A.形態
この細菌は、厳密に好気性であり、グラム陰性、非胞子形成、運動性の桿菌である。この細菌は、0.5〜0.8×2〜4μmと計測され、末端が丸く、単一の極性鞭毛を有する。
【0040】
B.培養および生理特性
栄養アガー上のコロニーは、円形、凸状、滑らかで無色である。グルコースは酸化的に代謝され、インドール産生は陰性である。増殖は20℃および28℃では観察されるが、5℃または37℃では観察されない。さらに、この株は合成培地では増殖できず、成長因子の要求が示唆される(表1)。合成培地に酵母エキスを添加すると、この株の増殖はよくなる。生理特性を表2にまとめて示す。
表1:種々の培地での株BS−203の増殖
Figure 2004524006
【0041】
表2:株BS−203の生理特性
Figure 2004524006
【0042】
表3:関連するシュードモナス種とのBS−203の比較
Figure 2004524006
【0043】
C.分類学的位置
株BS−203の分類学的特徴は、この株がシュードモナス属に置かれ得ることを示している(N. Palleroni、Family I.Pseudomonadeaceae、141−199頁、N. Krieg(編)、Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology、第9版、第1巻(1986)、Williams & Wilkins、ボルチモア中;H. StolpおよびD. Gadkari, Nonpathogenic members of the genus Pseudomonas、719−741頁、M. P. Starrら(編)、The Prokaryotes: a handbook on habitants, isolation and identification of bacteria vol. I (1981), Springer−Verlag、ベルリン中)。株BS−203は、P. diminutaのグループ(特定の成長因子を要求する)と密接に関連するようである(上掲のPalleroni、184頁)(表3)。
【0044】
実施例2:活性なグルタリルセファロスポリンアミダーゼの単離および精製
BS−203を、1%カゼイン加水分解物(NZAmine A, Sheffield)、1%酵母エキス(Amberex 1003)、1%カゼイン加水分解物(CER90C, Deltown)を含む500リットルの培地(pH7.0、28℃)中、5PSIGの0.2VVM空気流を用い、激しく攪拌しながら増殖させた。44時間の増殖の後、1kgの菌体を遠心分離により回収した。
【0045】
菌体を2.5リットルの水中に再浮遊させ、TISSUEMIZERTMブランドホモジナイザー(Tekmar)を最大スピードで操作して用いてホモジナイズした。ホモジネートの粘度は100mgのDNAse(Sigma)を加えて調節した。細胞破砕物を、0.1%のポリ(エチレンイミン)の存在下で遠心分離(7000×gで20分間)して除去した。さらに0.3%のポリ(エチレンイミン)を加え、沈降するグルタリル7−ACAアミダーゼ活性をさらなる遠心分離により除去した。
【0046】
得られたペレットを80mlの0.6M NaCl、20mMトリス緩衝液(pH8.0)に溶解することにより、活性のアミダーゼを再懸濁した。この懸濁液を水で3倍に希釈し、遠心分離して溶液を清澄化した。得られた透明な上澄み液を、0.15M NaCl、50mMトリス−Cl(pH8.5)で平衡化した40mlのQ−セファロースイオン交換カラムに負荷した。活性部分を0.15〜0.75MのNaCl塩勾配を用いて溶出した。300mM NaCl付近で溶出する最大活性画分をプールし、濃縮し、ついでS−200サイズ排除カラムに負荷した。このカラムを0.25M NaCl、0.05Mトリス−Cl(pH8)で溶出した。
【0047】
グルタリル7−ACAアミダーゼ活性を含むフラクションをプールし、10mMリン酸カリウム緩衝液に対して透析し、ヒドロキシアパタイトの13mlカラム(Biorad HTP)に負荷した。アミダーゼをリン酸カリウムの勾配(10〜600mM)で溶出した。最大アミダーゼ活性を含むフラクションをプールし、30mMトリス−Cl(pH8.4)で平衡化したDEAE TrisacrylTMイオン交換カラムに負荷した。この仕上げ(polishing)カラムを、30mMトリス−HClを含む塩勾配(0〜600mM)で溶出した。このカラムから溶出するピークのフラクションは依然として有意の量の混入タンパク質を含んでいたので、Davisの方法(Davis, Ann. N.Y. Acad. Sci., 1964, 121: 404−427)に従い、調製的天然(preparative native)ゲル電気泳動を用いてさらに精製を行った。
【0048】
第二のDEAE−Trisacrylカラムからの半精製アミダーゼの天然ゲル電気泳動は、アミダーゼから混入タンパク質を分離した。天然ゲルのスライスから溶出したタンパク質の活性アッセイにより、同一性が確認された;溶出したタンパク質の天然およびSDSゲル電気泳動の両者により、均質性が確認された。天然ゲルから溶出した天然アミダーゼに対して調製的SDSゲル電気泳動を行い、このタンパク質の2つのサブユニットを分離した。大ユニット(42,000ダルトンの分子量を有する)および小ユニット(26,000ダルトンの分子量を有する)の両者を調製的SDSゲルから溶出し、透析し、ついで濃縮した。これら調製物をトリプシンで消化し、単離したフラグメントを用いてこれら2つのサブユニットからのフラグメントのN末端アミノ酸配列を決定した。これらアミノ酸配列を図2および図3に示す。
【0049】
実施例3:グルタリルセファロスポリンアミダーゼをコードする遺伝子のBS−203からの単離
A.BS−203からの染色体DNAの調製
100mlのルリアベルタニ(LB)培地にBS−203のコンフルエントな培養液1mlを接種した。この培養液を28℃にて24時間、200rpmで振盪した。菌体をTJ−6 Beckman卓上遠心分離機で6000rpmにて15分間ペレット化した。菌体を4mlの50mMグルコース/10mM EDTA/25mMトリス−HCl(pH8.0)中に再浮遊させ、10mgの強化リゾチーム(Sigma)とともに15分間、37℃でインキュベートした。1mlの2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および50μg/mlのプロテイナーゼKを50℃にて3時間加えて菌体を溶解させた。この懸濁液を、1mlのフェノール、1mlのクロロホルムおよび1mlのエーテルで順に抽出した。ついで、30μlの5M NaCl、2mlの100%エタノールを加えて沈降させ、ついでクロットが生成するまで逆さにして穏やかに混合した。
【0050】
このDNAクロットを密封したフックトパスツールピペットを用いて除去し、ついで70%、85%および100%エタノール溶液で順に濯いだ。この70%および85%エタノール溶液を、10mMトリス、pH8.0、10mM EDTAおよび150mM NaClで希釈した。このDNAを、0.5mlのTE(10mMトリス−HCl、pH8.0、1mM EDTA、pH8.0)中、22℃で16時間溶解させた。RNアーゼAを50μg/mlまで加え、37℃で2時間インキュベートし、ついで0.5%SDSおよび50μg/mlのプロテイナーゼKで37℃にて16時間、第二の消化を行った。有機抽出およびエタノール沈殿を繰り返した。最終的なDNAクロットを0.4mlのTEに溶解した。DNAの濃度を分光光度的に260nmで決定した。
【0051】
B.BS−203のゲノムコスミドDNAライブラリーの構築
BS−203からゲノムコスミドライブラリーを得るため、新たなコスミドベクターpWB70を用いた。このベクターは、図6に示すように、プラスミドpNEO(R. A. Jorgensenら、Mol. Gene Genet. 177: 65−72 (1979))およびpJP1A(J. J. Portmoreら、Biotech. Letters 9: 7−12 (1987))から構築した。プラスミドpNEOをPstIで部分消化し、EcoRIで完全消化した。4.2キロベース(Kb)のフラグメントを調製的アガロースゲル電気泳動により単離し、GenecleanTM(BIO 101)を用いて精製した。pJP1AをPstIおよびEcoRIで消化し、バクテリオファージラムダのcos部位(DNAがラムダファージヘッドにパッケージングされるのを可能にする)を含む1.1Kbフラグメントを単離した。これら2つのフラグメントをライゲートし、形質転換体をネオマイシン耐性およびアンピシリン感受性についてスクリーニングした。このベクター(β−ラクタマーゼ活性を産生せず、ネオマイシンに対して耐性を付与する)は、大きな(30〜45Kb)染色体DNAフラグメントが大腸菌中に挿入され、ゲノムコスミドライブラリーを生成することを可能にする。
【0052】
BS−203からゲノムコスミドライブラリーを生成するため、以下の方法を用いた:コスミドpWB70をBamHIで消化し、自己ライゲーションを防ぐため細菌アルカリホスファターゼ(BAP)で脱リン酸した。コスミドクローニングに必要な30〜45KbのDNAフラグメントを生成する最適条件を確立するため、BS−203の高分子量染色体DNAを種々の量のSau3AIで37℃にて1時間消化した。Sau3AIは4塩基対(bp)配列GATCを認識し、BamHI粘着末端にライゲートできる粘着末端を生成する。0.016単位/μg(DNA)の酵素濃度が、30〜45Kbの範囲のDNAフラグメントを最大の濃度で与えた。これら条件を用いて多量の部分消化BS−203DNAを調製した。30〜45KbのDNAフラグメントを富ませるため、DNAを10〜40%のショ糖勾配で分画した。フラクション(0.4ml)を回収し、各3番目のフラクションを0.4%アガロースゲルの電気泳動により分析した。適当なサイズのフラグメントを含むフラクションをプールし、エタノールで2回沈殿させた。アガロースゲル電気泳動による最終的な分析は、このDNAがコスミドクローニングにとって正しいサイズであることを示した。
【0053】
上記の富ませたBS−203DNAフラグメント(30〜45Kb)を、BamHI消化したpWB70にT4DNAリガーゼ(BRL)を用いて22℃で16時間ライゲートした。製造業者の指示に従い、Gigapack II GoldTMキット(Stratagene)を用いてライゲーション混合物をインビトロパッケージングした。トランスフェクタントを30μg/mlのネオマイシンを含有するLBアガー上で選択した。パッケージング効率は、約7.2×10トランスフェクタント/μg(挿入DNA)であった。
【0054】
BS−203ゲノムコスミドライブラリーのコロニーブロットを調製し、グルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子をスクリーニングした。トランスフェクタントを82mm、0.45μmのニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schuell)に移した。ついで、170μg/mlのクロラムフェニコールを含有するLBアガープレートにフィルターを移すことによりトランスフェクタントを増幅させ、37℃で16時間インキュベートした。このフィルター(コロニー側を上に)を下記溶液:10%SDSを3分間、0.5M NaOH/1.5M NaClを5分間、1.5M NaCl/0.5Mトリス−Cl、pH7.5を5分間および2×SSPEを5分間、で飽和した3MMペーパーに移すことにより、DNAをフィルターに結合させた。フィルターを30分間空気乾燥させ、ついで真空オーブンで80℃にて30分間燒結した。細菌破砕物を除去するため、フィルターを1×SSPE/0.5%SDS/50μg/mlプロテイナーゼK中、42℃で30分間インキュベートした。フィルターを前もって65℃に加熱した2×SSPE/0.1%SDS中、グラブをはめた手で穏やかに擦ることにより、細菌破砕物を除去した。ついで、フィルターを2×SSPEで各5分間、2回洗浄し、空気乾燥し、ついでハイブリダイゼーションするまで覆った。
【0055】
C.グルタリルセファロスポリンアミダーゼ遺伝子を含むクローンの選択
グルタリル7−ACAアミダーゼのアミノ酸配列から得られた、16の17−mer縮重オリゴヌクレオチドプローブを、Applied Biosystems 391 DNA Synthesizer PCR−MATETMを用いて合成し(図2)、[γ−32P]ATP(Amersham)で末端標識し、制限エンドヌクレアーゼHindIIIおよびPstIで消化したBS−203染色体DNAのサザーンブロット(Southern, E. M. 1975, J. Mol. Biol. 98: 503−517)をプローブするのに用いた。ハイブリダイゼーションは、4×SSPE、10%PEG6000、0.5%SDS、5×デンハルト(0.1%フィコール、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ウシ血清アルブミン)および50μg/mlの変性サケ精子DNA緩衝液中、42℃で72時間行った。ハイブリダイゼーション洗浄条件は以下のとおりであった:5×SSPE/0.1%SDS中、20〜25℃(室温)で各5分間を2回、5×SSPE/0.1%SDS中、45℃で各5分間を2回、および5×SSPE中、20〜25℃で各5分間を2回。
【0056】
9つのプローブがサザーンブロットにハイブリダイズした。これら9つのプローブのうち、4つを選択してゲノムコスミドライブラリーのコロニーブロットをスクリーニングした。ハイブリダイゼーション時間を48時間に短縮した他は上記と同じハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を用い、各プローブを用いてそれぞれ約200のトランスフェクタントを含む4つのコロニーブロットをスクリーニングした。プローブ#3(配列番号8)およびプローブ#7(配列番号12)で同定された12のトランスフェクタントをさらなる評価のために選択した。プラスミドDNAをTELTミニプレップ法(Heら、1990, Nucl. Acids Res., 18: 1660)を用いて各トランスフェクタントから単離した。これらクローンのサザーン分析は、17−merオリゴヌクレオチドプローブおよび77塩基ゲスマープローブ(Lathe, R., 1985, J. Mol. Biol. 183: 1−12)の両者にハイブリダイズする5つのコスミドクローンを同定した。
【0057】
77塩基ゲスマープローブ(図3)は、図2に記載のアミノ酸配列に基づいてデザインおよび合成した。ハイブリダイゼーションは、2×SSC、5×デンハルト、0.5%SDSおよび100μg/mlの変性サケ精子DNA緩衝液中、50℃で48時間行った。ハイブリダイゼーション洗浄条件は以下のとおりであった:2×SSC/0.5%SDS中、20〜25℃で各10分間を2回、2×SSC/0.5%SDS中、60℃で20分間を1回、および2×SSC中、20〜25℃で5分間を1回。これら5つのコスミドクローンをグルタリル7−ACAアミダーゼ活性についてさらに評価した。3つのクローンが有意の量の活性を示し、クローン7.10が最大の活性を示した。
【0058】
その都合のよいサイズにより、オリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズしたコスミドクローン7.10からの2.3Kb PstIフラグメントを単離し、PstIで開裂しBAPで脱リン酸したバクテリオファージM13mpベクター中にサブクローニングした。コスミドクローン7.10からの2.3Kb PstIフラグメントのヌクレオチドシークエンシングは、該遺伝子を同定するのに用いた17−merプローブおよび77塩基ゲスマープローブに相補的な配列を同定した。隣接するDNA配列の翻訳は、前に決定したアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を生成した(図2および図3)。
【0059】
全2.3Kb PstIフラグメントのヌクレオチド配列の翻訳は、グルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子の3’末端が欠失していることを明らかにした。それゆえ、該遺伝子の3’末端を配列決定し、完全長の遺伝子を再構築するために3’末端をサブクローニングする必要があった。シークエンシングは、翻訳開始部位の約100塩基対上流にあるHindIII部位を同定した。それゆえ、17−merオリゴヌクレオチドプローブおよび77塩基ゲスマープローブの両者にハイブリダイズしたコスミドクローン7.10からの11Kb HindIIIフラグメントを単離し、HindIIIで開裂したpUC19中にサブクローニングした。形質転換体をスクリーニングし、1つを選択してさらに評価した。
【0060】
11Kb HindIIIフラグメントを含むこのクローンの3’末端非コード領域を切り取るため、このクローンをBamHIで完全消化し、ついでSau3AIで部分消化した。アリコートを5分、10分および20分で取り、コンバインし、ついでアガロース調製的ゲルで電気泳動にかけた。4.8〜5.8Kbの範囲をゲルから切り出し、単離した。この4.8〜5.8Kbフラグメントをそれ自身で再ライゲートし、DH5α細胞を形質転換するのに用いた。ミニプレップDNAを12の形質転換体から調製し、EcoRI消化によりスクリーニングした。クローン#6は1.8Kb EcoRIフラグメント(PstI部位の下流の1000塩基の配列をさらに含んでいる)を含んでいた。このフラグメントを単離し、M13mp19中にクローニングし、該遺伝子の3’末端のシークエンシングに用いた。
【0061】
D.ヌクレオチド配列の決定
2.3Kb PstIフラグメントおよび1.8Kb EcoRIフラグメント上にコードされるグルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子のヌクレオチド配列を、TAQ TRACKTMシークエンシングシステム(Promega)を用いたジデオキシチェインターミネーション法(Sangerら、1977, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74: 5463−5467)により決定した。2.3Kb PstIフラグメントを反対方向に含む2つのクローンを同定した。エキソヌクレアーゼIIIを用い、挿入物の一つの末端から一方向に入れ子状の(nested)欠失物のセットを生成した。これら欠失物から一本鎖DNA(M13クローニング/ジデオキシシークエンシングインストラクションマニュアル、Bethesda Research Laboratories Life Technologies, Inc.、フォーム#19541:44−49)を単離し、シークエンシングに用いた。M13mp19中にクローニングした1.8Kb EcoRIフラグメントからも一本鎖DNAを単離し、該遺伝子の3’末端をシークエンシングするのに用いた。M13(−20)プライマー5’−GTAAAACGACGGCCAGT−3’(配列番号23)(Stratagene)および合成内部プライマーを用いて両鎖からの全遺伝子をシークエンシングした。電気泳動を、TBE(0.089Mトリス−ホウ酸、0.089Mホウ酸、0.002M EDTA)緩衝液中に8M尿素を含む8%ポリアクリルアミドゲルおよびTBE緩衝液中に7M尿素を含む5%HYDROLINK LONG RANGERTM(FMC BioProducts、米国)ポリアクリルアミドゲル上、2700ボルトで行った。
【0062】
全ヌクレオチド配列を図4に示す。コード領域は1701bpの長さであり、567アミノ酸のタンパク質(MW=60kD)をコードしている。該遺伝子を同定するのに用いた17−merプローブおよび77塩基ゲスマープローブに相補的な配列は、図4で下線を付してある。
このDNA配列の翻訳から決定したタンパク質配列(配列番号2)は、図2および図3で同定したアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含んでいる。
【0063】
実施例4:グルタリル7−ACAアミダーゼのサブクローニングおよび大腸菌での発現
大腸菌での酵素発現用プラスミドベクター中へのグルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子のサブクローニングを容易にするため、該遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)に制限酵素部位を導入すべく、Morinagaの方法(Morinagaら、1984, Bio/Technology 7: 636−639)を用いてグルタリル7−ACAアミダーゼのゲノムクローンにオリゴヌクレオチド指定部位特異的突然変異誘発を行った。BspHI部位(TCATGA)を生じる単一塩基変化(AからT)を含む合成オリゴヌクレオチド突然変異原を以下に示す:
(a)突然変異させるべきグルタリル7−ACAアミダーゼの配列:
【化2】
Figure 2004524006
(配列番号24)
(b)合成オリゴヌクレオチド(21−mer):
【化3】
Figure 2004524006
(配列番号25)
【0064】
首尾よく突然変異したグルタリル7−ACAアミダーゼDNAを制限酵素BspHIで開裂して同定し、DNA配列分析により確認した。ついで、グルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子を制限酵素BspHIおよびBamHIで消化してゲノムクローンプラスミドから単離し、大腸菌発現プラスミドpBMS2000(図1)中にライゲートし、ついで大腸菌株BL21に形質転換した。LBアガープレート(1%バクトトリプトン、0.5%NaCl、0.5%酵母エキス、および1.5%アガー;30μg/mlのネオマイシンを添加)で選択した組換え培養液を30μg/mlのネオマイシンを添加したLB培地で増殖させ、対数増殖期の間に60μMイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて4時間誘発した。プラスミドpBMS2000/GCAを有するIPTG誘発組換え大腸菌BL21の溶解液は、グルタリル7−ACAを7−アミノセファロスポラニン酸に首尾よく変換し、活性なグルタリル7−ACAアミダーゼ酵素活性を示していた(形質転換していないBL21はグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有しない)。SDS−PAGE(還元)分析に供した同溶解液は、グルタリル7−ACAアミダーゼの小サブユニットおよび大サブユニットに対応する26キロダルトン(kd)および42キロダルトンの新たなタンパク質バンドを明らかにした。
【0065】
より大スケールの産生のため、好ましい発酵プロセスは以下のとおりである:
組換え大腸菌BL21を、リン酸二カリウムを3g/l;リン酸一カリウムを2g/l;硫酸マグネシウムを2g/l;酵母エキスを3g/l;硫酸アンモニウムを0.5g/l;硫酸第一鉄を0.03g/l;およびカナマイシンを0.03g/l含む培地で培養する。発酵を30℃にて1.0VVM@7PSIGの空気流にて行う;pHをアンモニアガスで7.0に保持する。線状の増殖速度を維持するため、培養液に20%カゼイン加水分解物および20%グルコースの溶液を与える。アミダーゼ産生の誘発は、10時間の発酵後、150μMのIPTGを用いて行う。発酵は、アミダーゼ力価が最大に達したとき、通常、約45時間後の約40g/リットル(菌体乾燥重量)の細胞密度のときに停止させる。全ブロスをホモジナイズしてアミダーゼを放出させ、濾過により清澄化する。
【0066】
酵素の固定化のためには、好ましい方法は、活性な濾液を5%珪藻土、0.5%ポリアリルアミン、および0.2%ポリエチレンイミンで処理することである。ついで、混合物を0.15%グルタルアルデヒドでpH8.0にて処理して該アミダーゼを珪藻土上に固定化する。ついで、アミダーゼを濾過により回収することができる。
固定化したアミダーゼは、アンモニアでpH9.0に維持しながら、基質濃度が100g/lのグルタリル7−ACAである4℃の水性懸濁液を攪拌することにより、グルタリル7−ACAを7−ACAに変換するのに用いることができる。収率は約90%で、物質収支は95%である。
【図面の簡単な説明】
【図1】大腸菌発現プラスミドpBMS2000GCAの制限地図を示す。使用した略語は以下のとおりである。
Ptac:tac転写プロモーター
groES:groESシャペロン遺伝子
MCS:マルチプルクローニングサイト
ori:DNA複製起点
neo:ネオマイシン耐性遺伝子
laci:転写リプレッサー遺伝子
GCA:グルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子
【図2】Pseudomonas diminuta BS−203のグルタリル7−ACAアミダーゼからの10アミノ酸の配列(配列番号3)、この配列の6アミノ酸部分集合、これら6アミノ酸をコードできる包括的なヌクレオチド配列(配列番号4)、その相補配列(包括的な相補配列;配列番号5)、および包括的な相補配列に対応する16の縮重オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号6〜21)を示す。図中、X=A、C、GまたはT;Y=CまたはT;R=AまたはG。
【図3】グルタリル7−ACAアミダーゼのアミノ酸配列(配列番号2の一部)、およびそれから得られた77塩基対の「ゲスマー(guess−mer)」プローブのヌクレオチド配列(配列番号22)を示す。
【図4】Pseudomonas diminuta BS−203からのグルタリル7−ACAアミダーゼ遺伝子の全ヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。翻訳開始部位および終止部位は矢印で示してある。縮重プローブの1つ(配列番号8)およびゲスマープローブ(配列番号22)に相補的な領域は下線を付してある。
【図5】図4のヌクレオチド配列によってコードされる、Pseudomonas diminuta BS−203からのグルタリル7−ACAアミダーゼ前駆体タンパク質の全アミノ酸配列(配列番号2)を示す。矢印は、サブユニットへの開裂の起こりそうな部位を示す。
【図6】プラスミドpWB70の構築法を示す。
使用した略語は以下のとおりである:cosはバクテリオファージラムダの粘着末端である;Neor、Ampr、およびTetrは、ネオマイシン、アンピシリン、およびテトラサイクリンに対する耐性をコードする遺伝子である。

Claims (38)

  1. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有するグルタリル7−ACAアミダーゼをコードする単離核酸。
  2. 配列番号1に示す配列を含む、請求項1に記載の核酸。
  3. 配列番号1に示す配列からなる、請求項2に記載の核酸。
  4. 配列番号1からなるDNA分子かまたは配列番号1の相補鎖からなるDNA分子のいずれかにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、10〜1722ヌクレオチドの単離核酸。
  5. 長さが17〜1722ヌクレオチドである、請求項4に記載の単離核酸。
  6. 長さが20〜1722ヌクレオチドである、請求項4に記載の単離核酸。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の核酸配列を含むベクター。
  8. 請求項7に記載のベクターで形質転換した宿主細胞。
  9. 細菌である、請求項8に記載の宿主細胞。
  10. 以下の特徴を有するグルタリル7−ACAアミダーゼ:
    シュードモナス・ディミヌタBS−203から単離できる;7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸およびグルタル酸への加水分解を触媒する;およびSDS PAGE電気泳動による42kdおよび26kdのみかけの分子量を有する2つのサブユニットからなる。
  11. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼ。
  12. 配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、請求項10に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼ。
  13. 請求項12に記載のアミダーゼに対して少なくとも80%のホモロジーを有するグルタリル7−ACAアミダーゼ。
  14. アミノ酸配列が、113までの保存的アミノ酸置換を有する配列番号2を含む、請求項13に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼ。
  15. アミノ酸配列が、20までのアミノ酸残基の付加または欠失を有する配列番号2を含む、請求項13に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼ。
  16. 不溶性の支持体に固定されている、請求項10ないし15のいずれか1つに記載のグルタリル7−ACAアミダーゼ。
  17. 請求項13ないし15のいずれか1つに記載のグルタリル7−ACAアミダーゼをコードする単離核酸。
  18. 請求項17に記載の核酸配列を含むベクター。
  19. 請求項18に記載のベクターで形質転換した宿主細胞。
  20. シュードモナス・ディミヌタBS−203からグルタリル7−ACAアミダーゼを製造する方法であって、
    (a)シュードモナス・ディミヌタBS−203細菌を好気的条件下、適当な培地で培養し、ついで
    (b)得られた培養液からグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有するタンパク質フラクションを回収することを含む方法。
  21. グルタリル7−ACAアミダーゼの製造方法であって、
    (a)請求項8に記載の宿主細胞をグルタリル7−ACAアミダーゼの発現に適した条件下で培養し、ついで
    (b)得られた培養液からグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有するタンパク質フラクションを回収する
    ことを含む方法。
  22. グルタリル7−ACAアミダーゼの製造方法であって、
    (a)請求項19に記載の宿主細胞をグルタリル7−ACAアミダーゼの発現に適した条件下で培養し、ついで
    (b)得られた培養液からグルタリル7−ACAアミダーゼ活性を有するタンパク質フラクションを回収する
    ことを含む方法。
  23. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項10に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  24. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項11に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  25. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項12に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  26. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項16に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸から7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  27. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸が7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項23に記載の方法。
  28. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸が7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項24に記載の方法。
  29. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸が7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項25に記載の方法。
  30. 7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸が7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項26に記載の方法。
  31. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項10に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸からデスアセチル7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  32. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項11に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸からデスアセチル7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  33. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項12に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸からデスアセチル7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  34. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸を適当な溶媒中で請求項16に記載のグルタリル7−ACAアミダーゼと接触させることを含む、デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸からデスアセチル7−アミノセファロスポラニン酸を得る方法。
  35. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸がデスアセチル7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項29に記載の方法。
  36. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸がデスアセチル7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項30に記載の方法。
  37. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸がデスアセチル7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項31に記載の方法。
  38. デスアセチル7−β−(アシルアミド)セファロスポラニン酸がデスアセチル7−β−(4−カルボキシブタンアミド)セファロスポラニン酸である、請求項32に記載の方法。
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