【発明の詳細な説明】
立体特異的ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ酵素をコードする核酸断片、
ならびにキラルアミドおよび酸の生産に有用なそれら酵素を発現する組換え微生
物
発明の分野
本発明は、分子生物学分野、そして組換え微生物中の外来遺伝子の単離法およ
び発現法に関する。より詳細には本発明は、特定のラセミ ニトリルから対応す
るR−またはS−アミドへの加水分解を触媒することができる立体特異的なニト
リル ヒドラターゼ(NHase)活性をコードする核酸断片(遺伝子)の単離、シーク
エンシングおよび組換え発現に関する。加えて本発明は、ニトリル ヒドラター
ゼ核酸断片と、R−およびS−アミドのラセミ混合物を対応する鏡像異性体R−
またはS−カルボン酸へ転換できる立体特異的アミダーゼ活性をコードする核酸
断片との同時−発現(co-expression)に関する。
背景
一般式X-CHR-COOHの多くの農薬および医薬品が、現在、ラセミまたはジアステ
レオマー混合物として市場に出されている。多くの場合、生理的効果は、1方の
みの鏡像異性体/ジアステレオマーから生じ、この場合、他方の鏡像異性体/ジ
アステレオマーは不活性であるか、または有害でさえある。鏡像異性体の合成法
は、鏡像異性体純度の化学品の生産のために、ますます重要な道具となりつつあ
る。しかし現在まで、特定のラセミ ニトリルから対応するR−またはS−アミ
ドへの加水分解を触媒することができる組換え立体特異的NHaseは記載されなか
った。
ニトリルから立体特異的アミドの選択的調製法は周知であり、そして
ニトリル ヒドラターゼ活性(NHase)を有する微生物を取り入れている。これらの
NHaseは、ニトリルに1分子の水の付加を触媒し、反応1に従うアミド遊離生成
物を形成する:反応1
R−CN + H2O → RCONH2
同様に、カルボン酸の立体特異的調製法は周知であり、そしてアミダーゼ(Am)
活性を有する微生物を取り入れている。一般的にアミダーゼは、反応1のアミド
生成物を、反応2に従い酸遊離生成物とアンモニアに転換する:反応2
RCONH2→ RCOOH + NH3
ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、アリカリゲネス
(Alcaligenes)、アルトロバクター(Arthrobacter)、バチルス(Bacillus)、バク
テリジウム(Bacteridium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバク
テリウム(Corynebacterium)およびミクロコッカス(Micrococcus)を含む広範な種
類の細菌属が、ニトリル ヒドラターゼおよびアミダーゼ活性の多様なスペクト
ルを保有することが知られている。例えばニトリル ヒドラターゼ酵素は、シュ
ードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)B23[Nishiyama,M.J.,Ba cteriol
.,173:2465-2472(1991)]、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rh odochrous
)J1[Kobayashi,M.,Biochem.Biophys.Acta,1129:23-33(1991)]、ブレ
ビバクテリウム エスピー.(Brevibacterium sp.)312[Mayauxら、J.Bacteriol
.,172:6764-6773(1990)]、およびロドコッカス エスピー.(Rhodococcus sp.)N-7
74[Ikehata,O.,Nishiyama,M.,Horinouchi,S.Beppu,T.,Eur.J.Biochem.,181:563-
570(1989)]から単離されている。いかなる立体選択的活性の開示も、これらの酵
素についてなされていな
い。天然の細菌株において、立体選択的ニトリル ヒドラターゼ活性について、
わずかに2つの開示がなされた。出願人は、ピー.プチダ(P.putida)NRRL-186
68に由来する立体特異的ニトリル ヒドラターゼを開示した[国際公開第92/05275
号明細書(1990)]。
ニトリル ヒドラターゼ活性を保有すると知られている野生型の微生物は、ニ
トリルをアミドおよびカルボン酸に転換するために使用された。例えば、欧州特
許出願公開第326,482号明細書は、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)および
コリネバクテリウム(Corynebacterium)の員を使用して、対応するラセミ アミド
の微生物的加水分解による、2-(4-クロロフェニル)-3-メリル酪酸のようなアリ
ール-2-アルカン酸の立体特異的生産を開示する。同様に米国特許第4,366,250号
明細書は、対応するラセミ アミノニトリルからL-アミノ酸を製造するための方
法において、バチルス(Bacillus)、バクテリジウム(Bacterdium)、ミクロコッカ
ス(Micrococcus)およびブレビバクテリウム(Brevibacterium)の使用を教示する
。最後に、国際公開第92/05275号明細書は、細菌のシュードモナス種(Pseudomon as
spp.)(例えば、プチダ(putida)、オーレオファシエンス(aureofaciens)、モ
ラキセーラ種(Moraxella spp.))およびセラチア(Serratia)(例えば、セラチア
リクェファシエンス(Serratia liquefaciens))の属の員を使用して、中間体アミ
ドを介してラセミ アルキル ニトリルから対応するR−またはS−アルカン酸へ
転換するための生物的触媒法を教示する。
野生型生物の使用に加えて、ニトリル ヒドラターゼを発現するためにヘテロ
ロガスな遺伝子を含む組換え生物の使用も、ニトリルを転換するために知られて
いる。例えば、Cerebelaudら(国際公開第9504828号明
細書)は、シー.テストステロニ(C.testosteroni)から単離されたニトリル ヒド
ラターゼ遺伝子の大腸菌中での単離および発現を教示する。形質転換した宿主は
、ニトリルをアミドに効率的に転換し、この場合ニトリル基質は1つのニトリル
および1つのカルボキシレート基から成る。しかし、国際公開第9504828号明細
書は、ニトリルの立体特異的転換を教示していない。
同様にBeppuら(欧州特許出願公開第5024576号明細書)は、大腸菌(E.Coli)を
形質転換できるロドコッカス(Rhodococcus)に由来する、ニトリル ヒドラターゼ
およびアミダーゼ遺伝子の両方を持つプラスミドを開示し、この場合、形質転換
された宿主は、次に酵素基質としてイソブチロニトリルおよびイソブチロアミド
を使用できる。しかし欧州特許出願公開第5024576号明細書は、ニトリルまたは
アミドの立体特異的転換を教示していない。
ニトリル ヒドラターを持つように、アミダーゼ活性を保有する微生物が、ア
ミドをカルボン酸に転換するために使用された。USSN 08/403911号明細書で、出
願人は該アミドをシュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)
B23と溶媒中で接触させることによる(S)-アミドの転換法、または(R)-および(S)
-アミド混合物から対応する鏡像異性体(S)-カルボン酸への立体特異的転換法を
開示する。この方法は野生型の微生物を使用しており、組換え触媒またはヘテロ
ロガスな遺伝子発現を想定していない。Blakeyら、FEMS Microbiology Letters,
129:57-62(1995)は、広範なニトリルおよびジニトリルに対する活性を有し、し
かも位置−特異的および立体−特異的なニトリルの生物転換を触媒できるロドコ
ッカス エスピー(Rhodococcus sp.)を開示する。
アミダーゼ活性をコードする遺伝子はクローン化され、配列決定され、そして
組換え生物中で発現した。たとえばAzzaら(FEMS Microbiol .Lett,122,129,(199
4))は、天然のプロモーターの制御下で大腸菌中でのブレビバクテリウム エスピ
ー.(Brevibacterium sp.)R312に由来するアミダーゼ遺伝子のクローニングおよ
び過剰発現を開示する。同様にKobayashiら(Eur.J.Biochem.,217,327,(1993)は
、大腸菌中でのアール.ロドコッカス(R.rhodococcus)J1に由来するニトリル ヒ
ドラターゼおよびアミダーゼの両遺伝子のクローニングならびにそれらの同時発
現を教示する。
従来技術に対して必要であり、しかも創造的であることは、組換え生物を使用
してラセミ アルキルニトリルを対応するR−またはS−アルカン酸へ立体特異
的に転換するための方法である。
発明の要約
本発明は、以下をコードする核酸断片に関する:
1)立体特異的ニトリル ヒドラターゼ酵素のαサブユニット、該遺伝子はロド
コッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1 L-NHase 遺伝子のα-サブ
ユニットコーディング領域と少なくとも64%の塩基相同性を有し[Kobayashi,M.,
Biochem.Biophys.Acta,1129:23-33(1991)]、かつ該酵素はラセミ アリール-2-ア
ルカンニトリルから対応するR−またはS−アミドへの加水分解を触媒すること
ができ;ならびに
2)立体特異的ニトリル ヒドラターゼ酵素のβサブユニット、該遺伝子はロド
コッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1 L-NHase 遺伝子のβ-サブ
ユニットコーディング領域と少なくとも52%の塩基相同性を有し、かつ該酵素は
ラセミ アリール-2-アルカンニトリルから
対応するR−またはS−アミドへの加水分解を触媒することができる。
本発明の別の態様は、上記の立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のαおよび
βサブユニットの両方をコードする核酸断片を含んで成る核酸断片であり、該酵
素はラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR−またはS−アミドへ
の加水分解を触媒できる。
さらに本発明の態様は、立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のαサブユニッ
トをコードする核酸断片であり、該核酸断片は配列番号3に表されるようなヌク
レオチド配列を有し、そして該酵素はラセミ アルキル ニトリルから対応するR
−またはS−アミドへの加水分解を触媒できる。
さらに本発明の態様は、立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のβサブユニッ
トをコードする核酸断片であり、該核酸断片は配列番号4に表されるようなヌク
レオチド配列を有し、該酵素はラセミ アルキルニトリルから対応するR−また
はS−アミドへの加水分解を触媒できる。
さらに本発明の別の態様は、立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のαおよび
βサブユニットの両方をコードする核酸断片であり、該核酸断片は配列番号17
に表されるようなヌクレオチド配列を有し、そして該酵素はラセミ アリール-2-
アルカンニトリルから対応するR−またはS−アミドへの加水分解を触媒できる
。
さらに本発明の態様は、
1)立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のポリペプチドαサブユニットを含み
、該αサブユニットは配列番号1に表すアミノ酸配列を有し、そして該酵素はラ
セミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR−またはS−アミドへの加水
分解を触媒でき;そして
2)立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のポリペプチドβサブユニットを含み
、該βサブユニットは配列番号2に表すアミノ酸配列を有し、そして該酵素はラ
セミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR−またはS−アミドへの加水
分解を触媒できる。
本発明のさらなる態様は、立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素であり、該酵
素は、酵素がラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR−またはS−
アミドへの加水分解を触媒するように正しい配置で、それぞれアミノ酸配列、配
列番号1および2を有する、合わせた(combined)αおよびβサブユニットを含
んで成る。
さらに本発明のさらなる態様は、ニトリルヒドラターゼ酵素をコードする6.5k
bの核酸断片、および酵素の活性発現に必要な補助(accessory)核酸断片であり、
そしてさらに図2に示す制限地図を特徴とする。この6.5kb核酸断片は、活性な
立体特異的ニトリルヒドラターゼの発現に適する宿主細胞を形質転換できる、図
3に示すプラスミド地図を特徴とする発現ベクター中に組み込まれる。
さらに本発明は、6.5kb断片内に包含されるピー.プチダ(P.putidia)ゲノムの
領域(P14Kと呼ばれる)を提供し、この領域はシュードモナス プチダ(Pseudomona s
putida)NRRL-18668から単離された立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素の生
物活性に必要なポリペプチドをコードする。
加えて本発明は、配列番号28に表されるアミノ酸配列を有する18668アミダー
ゼをコードする核酸断片を提供し、ここでアミノ酸配列は該アミダーゼの機能を
改変させないアミノ酸置換、欠失または付加を包含してよい。この18668アミダ
ーゼは、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)NRRL-18668から単離され
、そしてシュードモナス クロロラフィ
ス(Pseudomonas chlororaphis)B-23(FERM B-187)から単離されたアミダーゼとは
明らかに異なる。
さらに本発明は、18668アミダーゼをコードする核酸断片ならびに/またはシ
ュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)NRRL-18668ゲノムのα、βニトリル
ヒドラターゼサブユニットおよびP14Kを領域コードする遺伝子で形質転換された
組換え宿主を提供する。
さらに本発明は、18668アミダーゼをコードする核酸断片ならびに/またはシ
ュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)NRRL-18668ゲノムのα、βニトリル
ヒドラターゼサブユニットおよびP14Kを領域コードする遺伝子を含む、上記の形
質転換された宿主を使用して、ラセミ ニトリルから対応するR−またはS−ア
ミドへ、あるいは対応する鏡像異性体R−またはS−カルボン酸への転換法も提
供する。
本発明の他の態様は:
1)配列番号17により表される核酸断片を含んで成る、形質転換された微生物
宿主細胞であり、ここで該宿主細胞は、ラセミ アリール-2-アルカンニトリルか
ら対応するR−またはS−アミドへの加水分解を触媒することができる活性なニ
トリルヒドラターゼ酵素を発現する;ならびに
2)図2に示す制限地図を特徴とする6.5kbの核酸断片を含んで成る、形質転換
された微生物の宿主細胞であり、ここで該宿主細胞はラセミ アリール-2-アルカ
ンニトリルから対応するR−またはS−アミドへの加水分解を触媒することがで
きる活性なニトリルヒドラターゼ酵素を発現する。
本発明の他の態様は、配列番号17または図2および図3の制限地図
により表される核酸断片で形質転換された宿主細胞であり、ここで宿主細胞はエ
シェリヒア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodo coccus
)、アシネトバクター(Acinetobacter)、バチルス(Bacillus)およびストレ
プトミセス(Streptomyces)の属の細菌、ピヒア(Pichia)、ハンセヌラ(Hansenula
)およびサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母、およびアスペルギルス(Asper gillus
)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウム(Penicillium)の属の
糸状菌から成る群から選択される。
本発明の特別な態様は、配列番号17または図2の制限地図により表される核
酸断片で形質転換された大腸菌である。
本発明のさらなる態様は、
1)請求の範囲第10項に記載の6.5kb断片に由来する5.0kbの核酸断片、および
2)核酸断片がアミダーゼ酵素をコードする配列番号20に与えられる核酸配列
を有する核酸断片を含んで成る図6に記載された発現ベクターであり、そして該
発現ベクターは活性な立体特異的ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼを同時
発現するために、適当な宿主細胞を形質転換することができる。さらなる態様は
、この発現ベクターで形質転換した宿主細胞であり、ここでより特別には宿主は
エシェリヒア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rho dococcus
)、アシネトバクター(Acinetobacter)、バチルス(Bacillus)、ストレプ
トミセス(Streptomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、サッカロミセス(Saccharomy ces
)、ピヒア(Pichia)、アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neuros pora
)およびペニシリウム(Penicillium)の属から成る群から選択される。さらな
る態様は、pSW17で形質転換した大腸菌SW1
7である。
さらに本発明の態様は、式
式中:
Aは:
からなる群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はHまたはOHであり;
R3はH、Cl、OCF2H、(CH3)2CHCH2、H2C=C(CH3)CH2NH、
R4はClまたはFである;
のニトリルを対応するアミドに転換する方法であり、ラセミニトリルを、対応す
る鏡像異性体R−またはS−アミドに立体特異的に転換する配列番号17により
表されるヌクレオチド配列を有する核酸断片を含む形質転換した宿主細胞と、該
ニトリルとを接触させることを含んで成り、宿主細胞がエシェリヒア(Escherich ia
)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバ
クター(Acinetobacter)、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces
)、ハンセヌラ(Hansenula)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)
、アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリ
ウム(Penicillium)から成る群から選択される。
また出願人は、ニトリルを図2により表される核酸断片および配列番号20の
核酸配列を含んで成る発現ベクターを含んで成る形質転換した宿主細胞と接触さ
せることにより、上記ニトリルを対応する鏡像異性体(R)−または(S)−カ
ルボン酸へ転換する方法を提供し、宿主細胞はエシェリヒア(Escherichia)、シ
ュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバクター(A cinetobacter
)、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ハン
セヌラ(Hansenula)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、アスペ
ルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウム(Peni cillium
)から成る群から選択される。
本発明のさらなる態様は、立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のαおよびβ
サブユニットをコードする核酸断片であり、αサブユニットをコードする該核酸
断片の該部分は、ロドクロウス(Rhodochrous)J1 L-NHase遺伝子と少なくとも64
%の塩基相同性を有し、そしてβサブユニットをコードする核酸断片の該部分は
、ロドクロウス(Rhodochrous)J1 L-NHase遺伝子と少なくとも52%の塩基相同性
を有し、そして該酵素はラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR−
またはS−アミドへの加水分解を触媒することができる。
さらに本発明の別の態様は、本発明の任意の1つの核酸断片によりコードされ
るポリペプチドである。
本発明の態様は、SW2により保持され、そしてATCC69888と命名されたプラスミ
ドpSW2、SW17により保持され、そしてATCC69887と命名されたpSW17、ピー.パス
トリス(P.pastoris)SW50.2により保持され、そしてAT
CC74391と命名されたpSW50、大腸菌 SW37により保持され、そしてATCC98174と命
名されたpSW37、および大腸菌 SW23により保持され、そしてATCC98175と命名さ
れたpSW23である。
図面の簡単な説明
生物寄託および配列表
図1は、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離されたニトリルヒドラ
ターゼ酵素のαおよびβサブユニットをコードする、6.5kb DNA断片を含むプラ
スミドpSW1のプラスミド地図である。
図2は、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離された、ニトリルヒド
ラターゼ遺伝子を含む6.5kbの核酸断片の制限地図であり、αおよびβサブユニ
ットの位置を示す。
図3は、ニトリルヒドラターゼのαおよびβサブユニットをコードする遺伝子
を含んで成る6.5kb DNA断片を、広い宿主範囲のベクターpMMB207へ挿入すること
により作成したプラスミドpSW2のプラスミド地図である。
図4は、ニトリルヒドラターゼのαおよびβサブユニットをコードする遺伝子
を含んで成る6.5kb 核酸断片の2.8kbのサブクローンを、広い宿主範囲のベクタ
ーpMMB207へ挿入することにより作成したプラスミドpSW5のプラスミド地図であ
る。
図5は、大腸菌中のNRRL-18668ニトリルヒドラターゼタンパク質の生産を示す
ウエスタンブロット分析である。(A)非誘導(u)および誘導(i)した、プ
ラスミドpSW2で形質転換した大腸菌に由来するタンパク質抽出物のクマーシーブ
ルー染色したSDS-PAGEゲル。(B)抗−NH血清を使用した(A)に示すゲルの二
重ウエスタンブロット分析。M、タ
ンパク質分子量マーカー;NH、NRRL-18668由来のニトリルヒドラターゼタンパク
質。矢印はNHを示す。
図6は、シュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)B23に由
来するアミダーゼをコードする遺伝子を含んで成る1.5kb DNA断片およびニトリ
ルヒドラターゼのαおよびβサブユニットをコードする遺伝子を含んで成る6.5k
b DNA断片の5.0kbサブクローンを、広い宿主範囲のベクターpMMB207に挿入する
ことにより作成されたプラスミドpSW17のプラスミド地図である。
図7は、配列番号17にも見られる、シュードモナス プチダ(Pseudomonas pu tida
)(NRRL-18668)の αおよびβニトリルヒドラターゼコーディング領域のヌク
レオチドおよびアミノ酸配列を説明する。
図8は、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離したニトリルヒドラ
ターゼ遺伝子に、新たなPstI部位を含むEcoRI部位(図2に示す)の上流配列を
加えた、6.5kb 核酸断片の制限地図である。
図9は、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離したニトリルヒドラ
ターゼ遺伝子に、新たなEcoRI部位を含むPstI部位(図8に示す)の上流配列を
加えた、6.5kb 核酸断片の制限地図である。
図10は、8kbの核酸断片の制限地図であり、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL
-18668)から単離したニトリルヒドラターゼ遺伝子、P14Kおよびピー.プチダ(P
.putida)(NRRL-18668)アミダーゼ酵素をコードする領域を含む6.5kb核酸断片を
示す。
図11は、pHIL-D4中の0.9kbのEcoRI/XbaI断片を、pAO815に由来する0.9kbのE
coRI/XbaI断片と置き換えることにより作成したpHIL-D4B2のプラスミド地図であ
る。
図12は、ニトリルヒドラターゼ酵素のα遺伝子をpHIL-D4B2のEcoRI部位に挿
入することにより作成したpSW46のプラスミド地図である。
図13は、ニトリルヒドラターゼ酵素のβ遺伝子をpHIL-D4B2のEcoRI部位に挿
入することにより作成したpSW47のプラスミド地図である。
図14は、P14K遺伝子を、pHIL-D4B2のEcoRI部位に挿入することにより作成し
たpSW48のプラスミド地図である。
図15は、pSW46およびpSW47に由来するαおよびβ発現カセットを含むpSW49
のプラスミド地図である。
図16は、pSW46、pSW47およびpSW48に由来するα、βおよびP14K発現カセッ
トを含むpSW50のプラスミド地図である。
図17は、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離したアミダーゼ用の
発現カセットを含むpSW37のプラスミド地図である。
図18は、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離したアミダーゼ、α
、βおよびP14K用の発現カセットを含むpSW23のプラスミド地図である。
出願人は、37 C.F.R.1.821-1.825および補追AおよびB(「ヌクレオチドおよ
び/またはアミノ酸配列を含む出願の開示に関する必要事項」)に従い、ならび
に1992年12月のOJ EPO に対して補追2に報告されているEPOの会長の決定に対す
る「特許出願におけるヌクレオチドおよびアミノ酸配列の標準的標記に関する規
則」および添付IおよびIIに従い、配列表1−28を提出した。
出願人は、特許手続きを目的とするための微生物寄託の国際的承認に関するブ
タペスト条約の規則の下に、以下の生物寄託を行った:
本明細書で使用する「NRRL」とは、米国、イリノイ州、ペオリア、ユニバーシテ
ィー通り、11815Nにある国際寄託機関であるノーザン リサーチラボラトリー、
アグリカルチュアル リサーチサービスカルチャーコレクションを言う。この機
関は、アメリカ合衆国、61604、イリノイ州、ペリオア、ユニバーシティ通り、1
1815Nにある。「NRRL番号」は、NRRLでの寄託に関してカルチャーに付けられた受
託番号である。
本明細書で使用する「ATCC」とは、米国2 0852、メリーランド州、ロックビル、
パークローン ドライブ、12301にある国際寄託機関であるアメリカンタイプカル
チャーコレクションを言う。「ATCC番号」は、ATCCでの寄託に関してカルチャーに
付けられた受託番号である。
発明の詳細な説明
本発明は、2つのポリペプチドをコードするシュードモナス プチダ(Pseudom onas
putida)(NRRL-18668)に由来する遺伝子を提供し、この遺伝子は組合わさ
って、キラル アミドを生成するためにラセミ混合物中の1つのニトリル鏡像異
性体の選択的な水和を触媒するように作用する能力を有する。また本発明は、遺
伝子を含む組換え核酸断片、および組換え核酸断片を含む1組の形質転換された
微生物細胞宿主を提供する。さらに本発明は、形質転換した微生物を使用したポ
リペプチド触媒の生産法、ならびにキラルアミド生産における触媒の使用を提供
する。加えて、本発明はキラル酸の生産のために、形質転換した宿主中でニトリ
ルヒドラターゼ遺伝子とシュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlorora phis
)B-23(FERM B-187)に由来する立体特異的アミダーゼをコードする遺伝子と
の同時−発現を提供する。
以下の定義は本明細書中で使用され、そして請求の範囲および明細書中の解説
で引用されるだろう。略号
:
CPIA −2-(4-クロロフェニル)-3-メチル酪酸
CPIAm −2-(4-クロロフェニル)-3-メチルブチルアミド
CPIN −2-(4-クロロフェニル)-3-メチルブチロニトリル
GC −ガス クロマトグラフィー
HPLC −高性能液体クロマトグラフィー
IPTG −イソプロピル-b-D-チオガラクトピラノシド
SDS-Page −ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
用語「ニトリル ヒドラターゼ」は、中間体アミドを介して、ラセミアルキル
ニトリルから対応する鏡像異性体R−またはS−アミドへ転換
する能力が特徴である、細菌のシュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)(NR
RL-18668)から単離された酵素を言い、ここで出発ニトリルは:
であり、そして式中、
Aは:
からなる群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はHまたはOHであり;
R3はH、Cl、OCF2H、(CH3)2CHCH2、H2C=C(CH3)CH2NH、
R4はClまたはFである。
より詳細には、酵素は中間体アミドを通して、ラセミ アルキルニトリルを対
応する鏡像異性体R−またはS−アルカン酸へとつなげる能力を有する。
本発明のニトリルヒドラターゼは、さらに塩基配列がそれぞれ配列番号3およ
び配列番号4により与えられているαおよびβニトリルヒドラターゼサブユニッ
ト遺伝子によりコードされる、それぞれ配列番号1および配列番号2により与え
られるαおよびβサブユニットのアミノ酸配列により定められる。
用語「アミダーゼ」は、細菌のシュードモナス プチダ(Pseudomonas
putida
)B23(FERM B-187)中に天然に見いだされた酵素を言い、この酵素は、構造
:
式中、
Aは:
から成る群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はH;F;Cl;Br;OH;C1−C3アルキル;OCF2H;またはH2C=C(CH3)CH2N
Hであり;そして
R3はH;F;Cl;Br;OH;C1−C3アルキル;またはC1−C3アルコキシで
ある、
のアミドを、対応する鏡像異性体(R)または(S)−カルボン酸に転換できる
能力を特徴とする。さらに本発明のアミダーゼは、Nishiyama ら、Bacterial.,1
73:2465-2472(1991)により与えられるアミノ酸配列および配列番号20に開示さ
れたDNA塩基配列により確認される。
用語「18668アミダーゼ」とは、細菌のシュードモナス プチダ(Pseudomonas p utida
)NRRL-18668中に天然に見いだされる酵素を言い、この酵素はC3−C6ア
ミドを対応する酸に転換する能力が特徴である。加
えて、PCT/DK91/00189に開示されるように、18668アミダーゼは幾つかの(R,S)-
アリール-2-アルカン ニトリルから対応する鏡像異性体的に濃縮された(R)また
は(S)−カルボン酸へ転換する能力が特徴である。さらに本発明のアミダーゼは
、配列番号28により与えられるアミノ酸配列および配列番号27に開示された
DNA塩基配列により確認される。この「18668アミダーゼ」は、細菌のシュードモ
ナス プチダ(Pseudomonas putida)B23(FERM B-187)から単離されたアミダーゼと
は明らかに異なる形態である。
用語「P14K遺伝子」とは、配列番号21により与えられる塩基配列を有する配
列番号22により与えられるポリペプチドをコードするシュードモナス プチダ(Pseudomonas
putida)NRRL-18668ゲノムの領域を言い、ここでP14K遺伝子の発現
は、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)NRRL-18668のニトリルヒドラ
ターゼ酵素の生物活性に必須である。用語「P14K ポリペプチド」(または「P14Kタ
ンパク質」)は、P14K領域によりコードされる活性なポリペプチドを言う。
「形質転換」とは、核酸の取り込みによる細胞中の新たな遺伝子の獲得を言う
。
用語「核酸」とは、生細胞中に存在する高分子量の複雑な化合物を言い、その
基本的単位は、リン酸結合で互いに連結されたヌクレオチドである。核酸は、2
つの種類に分けられる:リボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)
。
用語「宿主細胞」および「宿主生物」は、外来またはヘテロロガスな遺伝子を
取り込むことができ、そしてそのような遺伝子を発現して活性な遺伝子産物を生
産できる微生物を言う。
用語「外来遺伝子」、「外来DNA」、「ヘテロロガスな遺伝子」および「ヘ
テロロガスなDNA」は、宿主生物中に置かれた、1つの生物に対して天然の遺
伝物質を言う。
用語「組換え生物」、「形質転換された宿主」および「形質転換された微生物
宿主」とは、ヘテロロガスまたは外来遺伝子で形質転換された生物を言う。本発
明の組換え生物は、活性なニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ酵素をコード
する外来遺伝子を発現する。
用語「核酸断片」は、遺伝子および/またはコーディング領域(遺伝子)の前
(5"非−コーディング)および後(3"非−コーディング)の調節配列をコードするこ
とができるDNAの断片を言う。
用語「発現」は、遺伝子産物、通常はタンパク質の配列をコードする遺伝子か
らの遺伝子産物の転写および翻訳を言う。
用語「プラスミド」および「ベクター」は、細胞の代謝中枢の部分ではなく、
そして通常は環状の二重−鎖DNA分子の状態である遺伝子をしばしば保持する染
色体外要素を言う。そのような要素は、任意の供給源に由来する自律的に複製す
る配列、ゲノム組込み配列、ファージ配列、直鎖または環状の1本鎖−または二
本鎖−DNAまたはRNAでよい。
用語「カセット」は、独特な構造に連結または再結合された多数のヌクレオチ
ド配列を言う。「発現カセット」は特に、プロモーター断片、選択した遺伝子産
物のDNA配列、および転写終結配列を含んで成る。
用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、二本鎖DNA中の特別
なヌクレオチド配列内の加水分解的開裂を触媒する酵素を言う。
用語「プロモーター」は、DNAの配列、通常は構造遺伝子のタンパク質コー
ディング配列の上流(5')を言い、これはRNAポリメラーゼ
および/または正しい部位で転写を開始するために必要な他の因子に認識を提供
することにより、コーディング領域の発現を制御する。
「断片」は、特定領域の完全な核酸配列の画分を構成する。断片は全遺伝子を
構成することができる。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、発現された遺
伝子産物を呼ぶために互換的に使用される。
用語「コードする(encoding)」および「コーディング(coding)」は、転写および
翻訳のメカニズムを介して遺伝子がアミノ酸配列を生産するプロセスを言う。特
別なアミノ酸配列をコードするプロセスには、コードされたアミノ酸中に変化を
生じない塩基変化を含んでもよく、あるいは1つ以上のアミノ酸を変化させるが
、DNA配列によりコードされるタンパク質の機能的特性には影響しない塩基変化
を含んでよい。したがって、本発明は特別に例示する配列以上を包含すると理解
される。わずかな変化を生じるが、生成されるタンパク質分子の機能的特性には
実質的な影響を及ぼさない配列中の欠失、挿入または置換のような配列に対する
修飾も意図する。例えば、遺伝子コードの縮重を反映する遺伝子配列中の改変、
あるいは所定部位に化学的に均等なアミノ酸の生成を生じる遺伝子配列中の変化
は、意図するものである。このように、アミノ酸アラニン(疎水性アミノ酸)の
コドンは、別のグリシンのようなより疎水性の低い残基、あるいはバリン、ロイ
シンまたはイソロイシンのようなより疎水性の残基をコードするコドンに置換で
きる。同様に、アスパラギン酸をグルタミン酸に代えるような、1つの負に荷電
した残基を別の残基に、あるいはリシンをアルギニンに代えるような1つの正に
荷電した残基から別の残基への置換を生じる変化も、生物的に均等な生成物を
生産するために期待することができる。タンパク質分子のN−末端およびC−末
端部分の改変を生じるヌクレオチド変化も、タンパク質の活性を変化させるとは
思われない。場合によっては、実際にタンパク質の生物活性に及ぼす改変の効果
を研究するために、配列の突然変異体を作成することも望ましいことがある。推
薦した各々の修飾は、コードされた生成物の生物活性の保持の測定に当該技術分
野では日常的である。さらに当業者は、本発明により包含される配列が、ストリ
ンジェントな条件下(0.1X SSC、0.1%SDS、65℃)で、その配列が本明細書に例
示した配列とハイブリダイズする能力によっても定められると考えるだろう。
「相同性」は、2つの核酸断片が同じ塩基配列を有する程度を言う。「相同性
」は、アルゴリズムの操作により決定され、そして両断片中の同じ塩基配列の割
合として表される。
出願人は、以下に、そして実施例に詳細に検討される以下の事柄を行った;
I.(i)配列表中に配列番号1で確認されるアミノ酸配列のα-サブユニット
、および配列表中に配列番号2で確認されるアミノ酸配列のβ-サブユニットの
両方を含んで成る、NRRL-18668に由来する立体特異的NHaseの遺伝子;(ii)配列
表中に配列番号28で確認される、予想されるアミノ酸配列を持つNRRL-18668に
由来するアミダーゼの遺伝子;(iii)NRRL-18668 NHase活性に必須であり、そし
て配列表中に確配列番号22で認される予想されるアミノ酸配列を持つ、P14Kと
命名されたNRRL-18668に由来する遺伝子について同定し、そしてクローン化した
;
II.配列表中に配列番号3で確認されるα−サブユニット;および配列表中に配
列番号4で確認されるβ−サブユニット;ならびに配列表中に
配列番号27で確認されるアミダーゼ酵素;および配列番号21で配列表中に確
認されるP14KポリペプチドをコードするDNA配列を得た;
III.図10に記載されているような8.0kbのDNA断片内に位置する、上記Iに記
載された遺伝子を含む組換えDNAプラスミドを構築した;
IV.図3、15および16に記載されているような、上記IIIに記載のプラスミ
ドで微生物宿主を形質転換した;
V.IVに記載されている形質転換された宿主を成長させ、そしてニトリル加水分
解活性を培養物から回収することを含んで成る、立体特異的 NHaseの生産法を開
発した;
VI.Vで回収したニトリル加水分解活性を使用して、ニトリルを立体特異的に加
水分解することを含んで成る、キラル アミドの生産法を開発した;
VII.キラル アミドを生産するために、IVに記載されている単離した微生物細胞
、それらの処理した物質またはそれらの固定化状態を使用して、Vで回収された
ニトリル加水分解活性を使用して、ニトリルを立体特異的に加水分解することを
含んで成るキラル アミドの生産法を開発した:
VIII.シュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)B23(FERM
B-187)に由来するアミダーゼ遺伝子または上記Iに記載されているアミダーゼ遺
伝子を組み合わせて、上記Iに記載の NHase遺伝子を含む組換えDNAプラスミド
を構築した;
IX.図6および18に記載されているような、上記VIIIに記載のプラスミドで微
生物宿主を形質転換した;
X.IXに記載されている形質転換された宿主を成長させ、そしてニトリル加水分
解およびアミド加水分解活性を培養物から回収することを含ん
で成る、NHaseおよびアミダーゼの生産法を開発した;そして
XI.キラル 生成物を生産するために、IXに記載されている単離された微生物細
胞、それらの処理した物質またはそれらの固定化状態を使用して、Vで回収され
たNHaseおよびアミダーゼ活性を使用して、ニトリルおよびそのアミド生成物を
立体特異的に加水分解することを含んで成るキラル アミドおよびキラル 酸の生
産法を開発した。I.ニトリルヒドラターゼ遺伝子の単離およびクローニング
A.ニトリルヒドラターゼ酵素の単離および部分アミノ酸配列決定
本発明は、上記定義のニトリルヒドラターゼ酵素を提供する。本発明のニトリ
ルヒドラターゼは、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)(NRRL-18668)
から単離、そして精製された。細菌のニトリルヒドラターゼは、一般的に構造が
明らかなαおよびβサブユニットから成ることが知られている(Hashimotoら、B iosci.,Biotechnol.,Biochem.
,58(10)、1859-65(1994))。本ニトリルヒドラター
ゼは、HPLC技法を使用して、αおよびβサブユニットに分離された。HPLCによる
酵素の精製および分離は、当該技術分野では一般的であり、そして周知である。
例えば、Rudolphら、Chromatogr.Sci.,51(HPLC Biol.Macromol.),333-50(1990)
を参照にされたい。
各サブユニットのN−末端アミノ酸配列は、当該技術で周知の方法を使用して
決定された。例えば、Matsudaira,P.,Methods Enzymol.,182(タンパク質精製ガ
イド:Guide Protein Purif.),602-13(1990)を参照にされたい。各サブユニット
の断片を生成し、そして断片の部分的なアミノ酸配列を決定した。このニトリル
ヒドラターゼのαおよびβサブユニットの部分配列を、それぞれ配列番号5−9
および10−13に示す。B.ニトリルヒドラターゼ遺伝子の単離のためのDNAプローブ
:
ニトリルヒドラターゼ遺伝子を単離するために、入手可能なNRRL-18668 NHase
のアミノ酸配列に基づく一連の縮重21-merオリゴヌクレオチドプライマーを、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして使用するために設計し、そして合成
した。ゲノムDNAを、ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から標準的な手法(Sa
mbrook,J.,ら、モレキュラークローニング(Molecular Cloning):ア ラボラト
リーマニュアル(A Laboratory Manual)、第2版、コールドスプリングハーバ
ーラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))により単離
し、そして多数の縮重プライマーの組み合わせを用いてPCRの標的として使用し
た。生成した増幅した生成物は、プローブとして単離されたロドコッカス ロド
クロラス(Rhodococcus rhodochrous)J1 L-NHase 遺伝子(Kobayashi,Mら、Bioche
m.Biophys.Acta,1129:23-33(1991))を使用して、サザンブロット分析(Southern,
E.M.,J.Mol.Biol.,98,503,(1975))に供した。1つの強くハイブリダイズする0.7
kbの断片を、D1およびD7と命名した縮重プライマーに基づくPCR反応から同
定した。D1およびD7の配列は、それぞれ配列番号14および配列番号15と
して配列表で確認される。この0.7kbのPCR断片を、標準的な方法(Sambrook
ら、同上)を使用してプラスミドM13にサブクローン化し、そしてシークエンシ
ングした。シークエンシングでは、0.7kb断片がロドコッカス ロドクロラス(Rho dococcus rhodochrous
)J1 L-NHase 遺伝子と60%の塩基相同性を示すことが明ら
かとなった。この0.7kb断片から予想されるアミノ酸配列を、入手可能なすでに
決定されたNRRL-18668アミノ酸配列および他の既知のNHase配列と比較した。こ
の比較で、この断片がピー.プ
チダ(P.putida)NHase遺伝子の一部であることが確認された。この0.7kb DN
A断片をシークエンシングし、そして配列番号16と同定した。この0.7kb断片
を、全NHase遺伝子を含むNRRL-18668に由来するゲノムDNA断片の単離するための
プローブとして使用した。
C.NRRL-18668 NHase 遺伝子を含むゲノムDNA断片の単離
ピー.プチダ(P.putida)(NRRL-18668)から単離したゲノムDNAを、制限酵素Eco
RIおよびXhoIを用いて消化し、そしてプローブとして上記0.7kbのDNA断片を使用
してサザンブロットに基づき、アガロースゲル電気泳動によりサイズ−選択した
。次に制限処理ゲノムDNAをファージ、ラムダZAPII[ストラタジーン:stratagen
e、ラジョラ、カリホルニア州]中にクローン化した。このラムダライブラリー
は、0.7kb DNA断片プローブを用いてスクリーニングされ、そして6.5kbのDNA挿
入物を持つ1つの陽性にハイブリダイズするファージクローンを同定し、そして
単離した。
D.プラスミド構築および宿主形質転換およびNHase配列の確認
いったん6.5kbの挿入物を含む陽性クローンが同定されたならば、クローン中
のNHase遺伝子の存在は、(i)6.5kb挿入物を含有するプラスミドを構築し(pS
W、図1);(ii)このプラスミドを用いて適当な宿主細胞を形質転換させ;(i
ii)形質転換させた宿主を成長させ、そしてプラスミドDNAを精製し;(iv)精
製したDNAから制限地図を構築し(図2);そして(v)NHase遺伝子をシー
クエンシングする方法により確認された。確認法は一般的であり、そして当該技
術分野で周知であり、使用した技術はSambrookら(同上)に見いだすことができ
る。
配列分析では、ニトリルヒドラターゼコーディング領域が確認され、
これはそれぞれ配列表に配列番号17および図7で定義されているような対応す
るNHaseタンパク質のアルファおよびベータサブユニットに対応する2つの読み
取り枠から成った。このαおよびβ読み取り枠は、プローブとして使用され、そ
して上記に記載されたロドコッカス ロドクロラス(Rhodococcus rhodochrous)J1
L-NHASE 遺伝子に類似する塩基配列について分析された。相同性の比較では、
α読み取り枠がJ1遺伝子上のαサブユニットをコードする領域と64%の相同性
を、そしてβ読み取り枠がJ1遺伝子上のβサブユニットをコードする領域と52
%の相同性を有した。
II.発現ベクターおよび発現株の構築:
本発明は、活性なニトリルヒドラターゼ酵素を発現することができる形質転換
された宿主細胞を提供する。一般的に、宿主細胞は大腸菌であれば好ましいが、
別の宿主を提供することも本発明の範囲内である。そのような別の宿主は、限定
されるわけではないがシュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodococcu s
)、アシネトバクター(Acinetobacter)、バチルス(Bacillus)、サッカロミセス(Saccharomyces
)、ピヒア(Pichia)、アスペルギルス(Aspergillus)、ハンセヌラ(Hansenula
)およびストレプトミセス(Streptomyces)の属の員を含んでもよい。
本発明は、所望の宿主中でニトリルヒドラターゼ遺伝子をクローニングするた
めに適する種々のプラスミドまたはベクターを提供する。構築するために適当な
ベクターは、選択マーカーおよび自律複製または染色体への組込みを可能にする
配列を含む。さらに発現に適するベクターは、ヘテロロガスなDNA断片の転写お
よび翻訳を支配する配列を含む。これらのベクターは、転写開始制御を持つヘテ
ロロガスなDNA断片の5’領
域、および場合によっては転写終結を制御するDNA断片の3’領域を含んで成る
。両方の制御領域が宿主細胞に対してホモロガスな遺伝子に由来する場合が最も
好適な態様であるが、そのような制御領域は生産宿主として選択された特別な種
に対して天然の遺伝子に由来する必要はない。適当なベクターは、例えば細菌(
例えばpET、pBR322、pUC19、pSP64、pUR278およびpORF1)、ウイルス(バクテリオ
ファージT7またはM-13由来ファージ)、コスミド、酵母または植物から派生する
ものであることができる。そのようなベクターの獲得および使用法は、当該技術
分野で周知である。(Sambrookら、同上)。
大腸菌に適するベクターは、適合性のある調節配列および複製起点を含むだろ
う。それらは好ましくは多コピーであり、そして選択可能なマーカー遺伝子、例
えば抗生物質耐性をコードする遺伝子を有する。
ヘテロロガスなDNA断片を大腸菌中で発現することを支配するために有用なプ
ロモーターは多数あり、そして当業者には周知である。ニトリルヒドラターゼ酵
素をコードする遺伝子を駆動できるほとんどとのようなプロモーターも本発明に
適するが、大腸菌に対し天然であるプロモーターが好ましく、そして誘導可能な
IPTG Ptacプロモーターが最も好ましい(deBoer,H.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:
21-25(1983)。誘導可能なプロモーターが好ましいが、当業者は誘導可能または
構成的プロモーターのいずれも適すると考えるだろう。
本発明の内容において、プラスミドpSW1中にNRRL-18668 NHase 遺伝子を含む
全6.5kbのDNA挿入物を、Ptacプロモーターの制御下で広い宿主範囲のベクターpM
MB207にサブクローン化し(Bagdasarian,M.,Gene,97:39-47(1991))、pSW2と命名
した発現ベクターを作成した(図3)。さら
に6.5kbのDNA断片に由来し、そしてNRRL-18668 NHase 遺伝子を含むが、実質的
に上流および下流のフランキング配列が少ない2.8kbのPStI DNA断片も、Ptacプ
ロモーターの制御下でベクターpMMB207にサブクローン化し、プラスミドpSW5を
作成した(図4)。これら2つの発現構築物を比較することにより、出願人はNHas
eの発現または活性に関与するかもしれない近位補助配列またはタンパク質を調
査することができた。出願人の実験では、NHase 遺伝子は10kbのmRNA転写物を生
成するオペロンの一部であり、そのわずか約1.5kbがNHaseにより占められいるこ
とが示唆された。これは、さらなる遺伝子がNHaseを挟む上流および下流配列に
よりコードされていることを示唆している。他者は、ロドコッカス エスピー.(R hodococcus
sp.)N-774中でNHase を効率的に発現するために下流配列の必要性を
記載している(Hashimoto,Y.Biosci.Biotech.Biochem.,58:1859-1865(1994))。
クローニングの後、大腸菌 XL1−青宿主を平行して上記のプラスミドpSW2また
はpSW5を用いて形質転換させた。外来DNAを用いた宿主細胞の形質転換法は一般
的であり、そして当該技術分野で周知である。例えば、宿主細胞を外来DNAを用
いて形質転換することは、カルシウム−透過性化細胞、電気穿孔を使用すること
により、あるいは組換えファージウイルスを使用するトランスフェクションによ
り行うことができる。(Sambrookら、同上)。プラスミドDNAをこれらの形質転換
体から単離し、そして酵素制限分析で、1方はpSW2プラスミドを持ち、他方はpS
W5プラスミドを持つ2つの別個の株の構造を確認した。
NRRL-18668 NHaseのαサブユニットをコードする遺伝子およびβサブユニット
をコードする遺伝子も、別の宿主であるメチロトローフ酵母
ピヒア パストリス(Pichia pastoris)中で発現された。ピー.パストリス(P.pas toris
)中でのヘテロロガスなタンパク質生産は当該技術分野で周知である。各々
のサブユニットについて、コーディング配列を、引き続き宿主染色体に組み込ま
れるベクター中のメタノール誘導性プロモーター、アルコールオキシダーゼI(A
OX1)制御下に配置した。各々のサブユニットは、メタノールによる誘導後に各々
の宿主中で生産された。NHase活性は、α生産株から調製した抽出物とβ生産株
から調製した抽出物とを混合するのでは、再現性よく得られなかった。さらに、
AOX1プロモーターの制御下にαおよびβサブユニットの両方を生産する1つの株
を構築した。両サブユニットは、この組換えピー.パストリス(P.pastoris)株中
で生産されたが、NHase活性は得られなかった。
出願人は、NHase遺伝子の上流および下流の両方のDNAを配列決定し、そして少
なくとも2つの読み取り枠(1つは上流であり、もう1つは下流である)を同定
した。上流の読み取り枠は、他のアミダーゼのアミノ酸配列について予想された
アミノ酸配列との比較に基づき、アミダーゼ酵素をコードすると決定された。大
腸菌中でNRRL-18668アミダーゼを発現させるためにプラスミドを構築した。下流
の読み取り枠(P14Kと命名)によりコードされる、予想されたアミノ酸配列を用い
たタンパク質データベースの調査では、有意な対合が無いことが示された。大腸
菌およびピー.パストリス(P.pastoris)の両方で、NHase遺伝子のみ、またはNHa
seおよびP14K遺伝子を発現するプラスミドを構築した。大腸菌およびピー.パス
トリス(P.pastoris)の両方で、NHase活性はP14KがNHase遺伝子と同時に発現(co
-expressed)された時にのみ得られた。天然の生物中で観察されたS-ニトリルの
加水分解(立体特異的)に関する選択性(prefera
nce)も、活性なNHaseを生産する組換え生物で示された。
III.ニトリルヒドラターゼ酵素の発現および基質の転換:
IPTG誘導性Ptacプロモーターの制御下にプラスミドpSW2を持つ、形質転換した
大腸菌細胞を、標準的な条件下で成長させ、そしてニトリルヒドラターゼ酵素を
発現するように誘導した。細胞を回収し、そして溶解し、そして粗溶解物中のタ
ンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、続いてNRRL-18668 NHase タ
ンパク質に対して生成した抗血清を使用するウエスタンブロット分析により検出
した(Eggerら、Mol .Biotechnol.,1(3),289-305(1994))(図5)。これらの条件下
で、誘導した細胞は非誘導細胞より約10倍多いニトリルヒドラターゼタンパク質
を生産した。ニトリルヒドラターゼは、6.5kbの挿入物を持たないベクターpMMB2
07を持つ対照株からは検出されなかった。
ニトリルヒドラターゼは、典型的には粗または精製酵素の存在中で適当な基質
ニトリルをインキューベーションすることにより確認される。本ヒドラターゼに
適当な基質は、メタクリロニトリル、メチルブチロニトリルおよびプロピオニト
リルのような種々のラセミアルキルニトリルを含む。本発明の場合、ニトリルヒ
ドラターゼ活性は、メタクリロニトリルから対応するアミドへの転換を監視する
ことにより確認される。プラスミドpSW2を含む誘導された細胞は、急速なメタク
リロニトリルの転換を示したが、pSW2プラスミドを含まない誘導された細胞は、
メタクリロニトリルの転換を示さなかった。さらに、プラスミドpSW5を含む誘導
された細胞は、メタクリロニトリルの転換を示さなかった。
プラスミドpSW2を含む誘導された細胞中で生産された酵素の立体特異的活性は
、R,S-CPINからアミド生成物への転換を、逆相またはキラル高
圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して監視することにより確認dた。HPLC
での鏡像異性体分離法は、当該技術分野で周知である。例えば、独国、ベインヘ
イムのVCH出版社のMutton,I.,実践的なキラル分離法、液体クロマトグラフィー
(Pract.Approach Chiral.Sep.,Liq.Chromatogr.)、329-55(1994)、編集者:Su
bramanian,Ganapathy、を参照にされたい。
IV.ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼの同時-発現
本発明はさらに、ヘテロロガスなニトリルヒドラターゼ遺伝子およびヘテロロ
ガスなアミダーゼ遺伝子の両方を同時発現できる形質転換された微生物を提供す
る。この形質転換体は、アリール-2-アルカンニトリルのラセミ混合物から対応
するカルボン酸への転換を、アミド中間体を介して行うことができる。
多くのアミダーゼをコードする遺伝子が、本ニトリルヒドラターゼとの同時発
現に適しているかもしれない。しかし、シュードモナス クロロラフィス(Pseudo monas
chlororaphis)B23から単離され、そして上記に定義されたものが好ましい
。
シュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)B23アミダーゼを
コードする遺伝子は既知であり(Nishiyama,M.,J.Bacteriol.173:2465-2472(1991
))、そして適切なプライマーを使用してPCR増幅を介して得られた。1.5kbを
含んで成る増幅された遺伝子は、pMMB207プラスミド(すでにニトリルヒドラター
ゼ遺伝子を含んでいる)中に、標準的な制限酵素消化およびライゲーション法(Sa
mbrook、同上)を使用してサブクローン化されて、プラスミドpSW17を生成した(
図6)。このプラスミドpSW17は、アミダーゼ遺伝子およびニトリルヒドラター
ゼ遺
伝子の両方を、同じIPTG誘導性Ptacプロモーターの制御下に置くように構築され
た。次にプラスミドpSW17は、標準的な方法に従い適当な宿主細胞(例えば、大腸
菌XL1-青)を形質転換するために使用された。
プラスミドpSW17で形質転換された細胞中で生産されたアミダーゼの活性を確
認するために、プラスミドpSW17で形質転換された細胞を成長させ、そして適当
なニトリルの存在下でIPTGを用いて誘導し、そしてキラルアミドおよび遊離酸生
成物をキラルHPLC分析により同定した。
以下の実施例は、本発明をより具体的に説明することを意味し、いかなるよう
にも限定するように解釈すべきではない。
実施例1 ニトリルヒドラターゼαおよびβサブユニットの部分の単離、精製およびアミノ 酸配列決定
シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)(NRRL-18668)を、培地(10g/L グ
ルコース、8.7g/L K2HPO4、6.8g/L KH2PO4、2.0g/L アセトニトリル、1.85g/L N
aNO3、0.50g/L MgSO4・7H2O、0.050g/L FeSO4・7H2O、0.30mg/L MnCl2・4H2O、0.10
mg/L H3BO3、0.050mg/L NiSO4・6H2O、0.050mg/L CuSO4・5H2O、0.050mg/L Co(NO3
)2・6H2O、0.030mg/L Na2MoO4・2H2O、0.030mg/L ZnSO4・4H2O、0.020mg/L KI、0.0
20mg/L KBr、0.010mg/L ピリドキシン・HCl、0.0050mg/L チアミン・HCl、0.0050m
g/L D-パントテン酸塩、Ca2+塩、0.0050mg/L リボフラビン、0.0050mg/L ニコチ
ン酸、0.0050mg/L p-アミノ安息香酸、0.0020mg/L ビオチン、0.0020mg/L ビタ
ミンB12、0.0020mg/L 葉酸、pH7.0)中で30℃にて48時間、培養した。細菌細胞を
回収した。100gの細菌細胞を破壊し、そして無細胞抽出物を硫酸アンモニウムを
用いて分画した。硫酸アンモニウム分画の沈殿物を、
緩衝液に溶解し、そしてフェニル Sepharose CL-4Bクロマトグラフィーカラム(
ファルマシア バイオテック:Pharmacia Biotech,ウプサラ、スウェーデン)、続
いてDEAE-セルロースクロマトグラフィーカラム、そして第2のDEAE-セルロース
クロマトグラフィーカラム(ワットマン:Whatman、メイドストーン、英国)に
かけた。活性画分をプールし、そして濃縮した。酵素を含む濃縮物を、逆相高性
能クロマトグラフィーカラム(ビダック:Vydac、208TP104)にかけ、そして2つ
のサブユニット(αおよびβ)を得た。α−およびβ−サブユニットのN-末端ア
ミノ酸配列を、アミノ酸シークエンサー(ベックマン:Beckman、モデルLF3000G
ガス相タンパク質シークエンサー、フラートン、カリホルニア州)を使用して決
定した。α−およびβ−サブユニットを別個に、臭化シアン、TPCK-処理トリプ
シンおよびAspNプロテアーゼを使用して開裂させ、そして生成したペプチドを逆
相高性能クロマトグラフィーカラム(ビダック、208TP104、セパレーショングル
ープ、ヘスペリア、カリホルニア州)で分離した。良く分かれたペプチドを含む
画分を、同技法を使用してシークエンシングした。個々のペプチドの配列を、ピ
ー.クロロラフィス(P.Chlororaphis)B 23[Nishiyamaら、J.Bacteriol.173:2465-
2472(1991)]、ロドコッカス(Rhodococcus)N-774[Ikehataら、Eur.J.Biochem.,18
1:563-570(1989)]、およびロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrou s
)J1[Kobayashiら、Biochem.Biophys.Acta,1129:23-33(1991)]に由来する報告さ
れたニトリルヒドラターゼのα−およびβ−サブユニット配列と並べることによ
り、サブユニットの部分配列に合わせた。シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida
)(NRRL-18668)に由来するニトリルヒドラターゼのα−およびβ−サブユ
ニットの部分配列は、それぞ
れ配列番号5−9および配列番号10−13として配列表に定めるように同定さ
れた。
実施例2
NRRL-18668 NHASE 遺伝子用のDNAプローブの調製
配列番号14として配列表に定められる、D1と命名された縮重オリゴヌクレ
オチド、ならびに配列番号15として配列表に定められる、D7と命名された縮
重オリゴヌクレオチドを、NRRL-18668ゲノム DNAを標的として用いて、ポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマーとして使用した[Mullis,K.B.,Meth.Enzym ol
.,155:335-350(1987)]。PCR条件は、以下の通りである:100ngの標的、1μ
Mの各プライマー、200μMの各dATP、dCTP、dGTP、dTTP、10mM Tris-HCl、pH8.3
、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.001%ゼラチン、25U/mL Amplitaq(商標)DNAポリメ
ラーゼ(パーキン エルマー シータス:Perkin Elmer Cetus、ノルウォーク、コ
ネチカット州)。PCRのパラメーターは次の通りである:94℃で1分間、55℃で1
分間、72℃で1分間を40サイクル。PCR生成物の半分を、エチジウムブロミド ア
ガロースゲル電気泳動に供し、続いてニトロセルロースへ移し、そして32P標識
化ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1 L-NHase遺伝子をプ
ローブとして用いたサザン分析[Southern,E.M.,J.Mol.Biol.,98:503(1975)]に供
した。約0.7kbの強いDNA断片のハイブリダイゼーションは、このPCR生成物中にN
Hase遺伝子の少なくとも一部が存在することを示唆していた。PCR生成物の残り
の半分を、EcoRIで制限処理し(プライマーは、5'末端にEcoRI部位を持つように
設計された)、そしてEcoRI制限処理したM13 mp19ベクターDNAに連結した。ライ
ゲーション混合物は、IPTGおよびX-gal(5-ブロモ-4クロロ-
3インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)を補充したLBプレート上にまかれたコン
ピテントな大腸菌XL1−青をトランスフェクトするために使用した[Maniatis,T.,
モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(1989)]。ファージDNA
を幾つかの「白い」プラークから調製し[Maniatis,T.,モレキュラークローニング
:ア ラボラトリーマニュアル(1989)]、そしてジデオキシターミネーション法に
よりユニバーサルプライマーを使用してシークエンシングした[Sanger,F.,Scien ce
,214:1205-1210(1981)]。配列番号16として配列表に定められるような、得
られたヌクレオチド配列の分析で、このPCR生成物がNHase遺伝子の一部に相当す
ることが確認された。
実施例3
NRRL-18668 NHASE 遺伝子を含むゲノムDNA断片の単離
NRRL-18668に由来する全ゲノムDNA(10μg)を単離し[Maniatis,T.,モレキュラ
ークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(1989)]、EcoRIおよびXho1で制限
処理し、そして半分をアガロースゲル電気泳動、続いてプローブとして実施例2
に記載した32P標識化0.7kb断片を使用してサザンブロット[Southern,E.M.,J.Mol .Biol.
,98:503(1975)]に供した。約6.5kbの強くハイブリダイズするバンドを確
認し、これはNHase遺伝子(またはその一部)がこの6.5kbのゲノムDNA断片上にあ
ることを示唆した。2連でアガロースゲルを泳動し、そして6.5kb領域からのゲ
ル切片を切り出した。この単離したゲル切片から抽出したDNA[Maniatis,T.,モレ
キュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(1989)]を、EcoRIおよびXho
1で制限処理したラムダDNAに連結した。ライゲーション混合物をファージ粒子に
パッケージングし、そして製造元[ストラタジーン、
ラジョラ、カリホルニア州]の指導に従い大腸菌XL1-青をトランスフェクトする
ために使用した。数千のプラークは、プローブとして32P-標識化0.7kbの断片を
用いてスクリーニングされた[Maniatis,T.,モレキュラークローニング:ア ラボ
ラトリーマニュアル(1989)]。1つの陽性にハイブリダイズするプラークを引き
続き精製した。
実施例4
NRRL-18668 NHASE 遺伝子を含むプラスミドの構築
実施例3で記載した精製ファージプラークに由来するDNAを切り出し、そしてp
Bluescript−基本プラスミドに製造元[ストラタジーン、ラジョラ、カリホルニ
ア州]の指導に従い転換し、そしてpSW1と命名した。このプラスミドpSW1は、図
1に記載するようなNRRL-18668 NHase遺伝子を含む6.5kbの挿入物を有する。
実施例5
NRRL-18668 NHASE 遺伝子を含むプラスミドによる宿主の形質転換
実施例4に記載するプラスミドpSW1は、CaCl2法[Maniatis,T.,モレキュラーク
ローニング:ア ラボラトリーマニュアル(1989)]によりコンピテントな大腸菌XL
1-青細胞を形質転換するために使用した。
実施例6
組換えプラスミドの精製およびNRRL-18668 NHASE遺伝子を含むゲノム
DNA 断片の制限地図の構築
アルカリ溶解法[Maniatis,T.,モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマ
ニュアル(1989)]により、実施例5に記載したプラスミドpSW1を持つ大腸菌から
精製したプラスミドDNAは、EcoR1、Pst1、Kpn1、Hind3およびXho1を単独で
、または種々に組み合わせて用いて制限処理
し、続いてアガロースゲル分析、そしてプローブとして実施例2に記載した0.7k
bのPCR生成物を用いてサザン分析[Southern,E.M.,J.Mol.Biol.,98:503(1975)]を
行った。プラスミドpSW1の6.5kbの挿入物断片について構築された制限地図を、N
Hase遺伝子の位置を含め図2に示す。
実施例7
NRRL-18668 NHASE 遺伝子のDNAシークエンシング
実施例6に記載した制限地図に基づき、NHase遺伝子を包含するDNA断片のヌク
レオチド配列は、二本鎖プラスミドDNAを鋳型として使用して、サンガーのジデ
オキシ法[Sanger,F.,Science,214:1205-1210(1981)]により決定された。このヌ
クレオチド配列およびαおよびβペプチドについて対応する予想されるアミノ酸
配列は、配列番号17として配列表に、そして図7に定める。
実施例8
NRRL-18668 NHASE 発現ベクターの構築
プラスミドpSW1をEcoRIおよびXhoIで制限処理し、そして6.5kbの断片を、EcoR
1およびSal1で制限処理した広い宿主範囲のプラスミドpMMB207[Bagdasarian,M.,Ge
ne,97:39-47(1991)]に連結し、pSW2と命名されたプラスミドを生成し、そして
図3に示す。NRRL-18668 NHase遺伝子を含む2.8kbのPSt1 DNA断片を、Pst1制限
酵素を用いた消化によりプラスミドpSW2から切り出し、そしてベクターpMMB207
のPst1部位に連結して、pSW5と命名されたプラスミドを生成し、そして図4に示
す。
実施例9
NRRL-18668 NHASE発現株の構築
実施例8に記載したプラスミドpSW2およびpSW5を、12.5μg/mLのクロ
ラムフェニコールを補充したLBプレート上にまいたコンピテントな大腸菌XL1-青
細胞を形質転換するために使用した[Maniatis,T.,モレキュラークローニング:
ア ラボラトリーマニュアル(1989)]。
実施例10
NRRL-18668 NHASE タンパク質の発現
実施例8Aに記載したプラスミドpSW2を持つ大腸菌細胞を、SOC培地(0.5g/L N
aCl、20g/L バクト-トリプトン、5g/L バクト-酵母エキス、20mM グルコース、2
.5mM KCl、10mM MgCl2)中、37℃でOD600=0.5まで成長させ、続いてIPTGを1mMま
で加えることにより30℃で誘導した。0.5から3時間範囲の誘導時間後、細胞を
遠心により回収し、そして1/10容量のPBS(8.0g/L NaCl、0.2g/L KCl、1.44g/L N
a2HPO4、0.24g/L KH2PO4、pH7.4)に懸濁した。0.05OD600単位に等しい細胞懸濁
液を、等容量の2X SDSゲル添加緩衝液(100mM Tris pH 6.8、200mM DTT、4% SD
S、0.2%ブロモフェノールブルー、20%グリセロール)に加え、5分間煮沸し、
そしてSDSPAGE[Laemmli,U.K.,Nature,227:680-685(1970)]、続いてNRRL-18668 N
Haseタンパク質に対して生じた抗血清を使用してウエスタンブロット[Towbin,H
.,Proc.Natl.Acad.Sci.,76:4350-4354(1979)]で分析する。陽性のシグナルを約
28kdで得、そして図5に示すように精製したNHaseタンパク質に相当した。
実施例11
活性なNRRL-18668 NHASEの発現
実施例9に記載したプラスミドpSW2を持つ大腸菌細胞を成長させ、そして500m
Lのバッチ中で実施例9に記載したように誘導した。細胞を遠心により回収し、
そして15%グリセロールを含有するpH7.2、0.1Mリン
酸緩衝液(KH2PO4、50% NaOHで調整)で洗浄した。洗浄した細胞を-70℃で冷凍保
存した。洗浄、そしてpSW2プラスミドを含有する冷凍した大腸菌細胞を、100mM
リン酸緩衝液、pH7にO.D.490=0.62の細胞密度で懸濁した。メタクリロニトリル
を10mMの終濃度で加え、そして混合物を室温にて250rpmで震盪した。上清の分析
では、30分後、メタクリロニトリルが加水分解生成物に急速に転換されたことが
示された。pSW2プラスミドを持たない細胞は、活性を示さなかった。
実施例12
キラルアミドの生産
pSW2プラスミドを持ち、そして実施例11に記載するように立体特異的なニト
リルヒドラターゼ活性を生産する誘導された大腸菌細胞を、100mMのリン酸緩衝
液、pH7に、そして50mg/mLの濃度で懸濁した。この懸濁液1ミリリットルを、19.
3mgのR,S-CPINを含有するガラスバルアルに入れた。懸濁液を250rpmにてロータ
リーシェーカーで、室温にて68時間震盪した。キラルHPLCによる分析では、R,S-
CPINからS-CPIAmのみが生産されていることが明らかになった。
実施例13
NRRL-18668 NHASE およびシュードモナス クロロラフィス
(Pseudomonas chlororaphis)B23
アミダーゼを同時発現させるためのベクターの構築
シュードモナス クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)B23に由来するア
ミダーゼ遺伝子(配列番号20と定める)は、配列番号18および配列番号19
として配列表に定めた5'突出EcoRI部位を持つプライマーを使用して、PCR増
幅を通して得た。B23アミダーゼ遺伝子を含むこの1.4kb DNA断片を、EcoRI制
限酵素で消化し、そしてpMMB207のEcoRI部位に連結し、そして実施例4に記載し
たpSW1に由来する5.0kbのEcoRI/HindIII DNA断片を、XbaIおよびHindIIIの間に
サブクローン化して、図6に示すプラスミドpSW17を生成した。
実施例14
NRRL-18668 NHASE およびシュードモナス クロロラフィス
(Pseudomonas chlororaphis)B23
アミダーゼを同時発現させるための株の構築
実施例13に記載のプラスミドpSW17は、12.5μg/mLのクロラムフェニコール
を補充したLBプレート上で選択的に成長するコンピテントな大腸菌XL1-青細胞を
形質転換するために使用した[Maniatis,T.,モレキュラークローニング:ア ラボ
ラトリーマニュアル(1989)]。
実施例15
pSW2 およびpSW5からのNHase活性の比較
pSW2またはpSW5プラスミドを有し、そして実施例11の手順に従い誘導された
大腸菌細胞を、各々別個に100mMのリン酸緩衝液、pH7に20mg/mLの濃度で懸濁し
た。ブチロニトリルを各懸濁液に、10mMの終濃度で加えた。懸濁液を室温で250r
pmにてロータリーシェカーで24時間震盪した。誘導時間の終わりに、0.1%リン
酸を懸濁液に加え、懸濁液のpHを2−3とし、そしてニトリルヒドラターゼ活性
を止めた。細胞は懸濁液から
遠心により回収した。反応の分析では、以下の生成物を示した:
pSW2−94% ブチルアミド、6%ブチロニトリル;
pSW5−<1% ブチルアミド、100%ブチロニトリル。
実施例16
R,S-CPIN からS-CPIAMおよびS-CPIAの生産
pSW17を有し、そして実施例11の手順に従い誘導された大腸菌細胞を、100mM
のリン酸緩衝液、pH7に100mg/mLの濃度で懸濁した。100mlのこの懸濁液を、0.5g
の0.5mmガラスビーズ上に乾燥状態で分散された19.3mgのR,S-CPINを含有するガ
ラスバイアルに入れた。懸濁液を20mLのシンチレーション容器中で、250rpmにて
ロータリーシェカーで室温にて68時間震盪した。キラルHPLCの分析では、R,S-CP
INからS-CPIAmおよびS-CPIAの両方が生成したことが明らかになった。
実施例17
NRRL-18668 NHase 遺伝子を挟むDNA領域の
ヌクレオチドシークエンシング
NRRL-18668 NHaseを挟むDNA領域のヌクレオチド配列は、サンガージデオキシ
法(Sanger,F.,(1981)Science,214:1205-1210)により、鋳型として二本鎖プラス
ミドDNAを使用して決定した。鋳型としてpSW1(図1)を使用して、NHaseの下流の
ヌクレオチド配列、Xh1o部位(図2)までを決定した。この配列は、P14Kと定めら
れる少なくとも1つの遺伝子、お
よび数個以上の遺伝子を含む可能性有し、そのヌクレオチド配列は、配列表の配
列番号21に定められ、そして予想されるアミノ酸配列は配列表の配列番号22
に定められている。P14Kは以下に示すように、NHase活性に必要である。
EcoR1までのNHase上流のヌクレオチド配列(図2)は、鋳型としてpSW1(図1
)を使用して決定した。EcoR1部位のさらに上流のヌクレオチド配列は、この領
域に相当するDNA断片を以下のようにサブクローン化した後に決定した。NRRL-18
668ゲノムDNAをPst1で消化し、そして次に自己連結させた。3'をEcoR1先頭上流(
図2)に、そして5'をPst1先頭下流のに結合するように設計され(図2)、そして
配列表の配列番号23および配列表の配列番号24にそれぞれ定められるオリゴ
-ヌクレオチドプライマーを、EcoR1部位の上流のDNAに対応する0.8kb断片を増幅
するためのPCR反応に使用した(図8)。NRRL-18668ゲノムDNAをEcoR1で消化し
、そして自己連結させた。3'をPst1先頭上流(図8)に、そして5'をEcoR1先頭下
流に結合するように設計され(図8)、そして配列表の配列番号25および配列表
の配列番号26にそれぞれ定められるオリゴ-ヌクレオチドプライマーを、PstI
部位の上流のDNAに相当する0.7kb断片を増幅するためのPCR反応に使用した(図9
)。PCR断片をサブクローニングおよびシークエンシングすることにより、EcoRI
部位までのNHaseの上流のヌクレオチド配列を(図9)を決定した。この配列は
、アミダーゼをコードすると確認された少なくとも1つの遺伝子、およびそれ以
上の可能性を含み(他のアミダーゼ配列との相同性に基づく)、そのヌクレオチ
ド配列は、配列表の配列番号27に定められ、そして予想されるアミノ酸配列は
配列表の配列番号28に定められている。
同定された遺伝子を示す、集めた全8.0kb DNA断片の地図を図10に表す。
実施例18
ピヒア パストリス(Pichia pastoris)中でNRRL-18668 NHaseを発現
させるためのプラスミドの構築
pHIL-D4(フィリップス石油:Phillips Petroleum、バートレスビレ、オクラホ
マ州)中の0.9kbのEcoRI/XbaI断片を、pAO815(インビトロゲン:Invitrogen、サン
ディエゴ、カリホルニア州)からの0.9kbのEcoRI/XbaI断片に代えて、プラスミ
ドpHIL-D4B2(図11)を生成し、これは以下の要素を含む:5'AOX1、ピー.パスト
リス(P.pastoris)メタノール誘導性アルコールオキシダーゼI(AOX1)プロモー
ター;AOX1 term、ピー.パストリス(P.pastoris) AOX1 転写終結領域:HIS4、h is4
宿主中で選択するためのピー.パストリス(P.pastoris)ヒスチジノール デヒ
ドロゲナーゼーをコードする遺伝子;kan、アミノグリコシド3'-ホスホトランス
フェラーゼをコードするトランスポゾンTn903に由来する配列、カナマイシン、
ネオマイシンおよびG418耐性を広い宿主に付与し、そしてカセットコピー数の指
示物として有用;3'AOX1、AOX1から下流のピー.パストリス(Pichia pastoris)配
列、部位−特異的ベクター組込みのために、5'AOX1と一緒に使用される;ori、p
BR322のDNA複製起点であり、大腸菌中でプラスミドの操作を可能とし;そしてam
p、pBR322に由来するβ-ラクタマーゼ遺伝子であり、アンピシリンに対する耐性
を付与する。pHIL-D4B2のさらなる特徴は、マルチプル発現カセット(5'AOX1−遺
伝子−AOX1term)を、Bg12/XbaI 断片上のカセットをBamHI/XbaI部位にサブクロ
ーニングすることにより、1つのプラスミドに容易に置
くことができる点である。
α、βおよびP14Kをコードする遺伝子(図10)は、5'末端にEcoRI部位を持つ
プライマーを使用してPCR増幅させた。このPCR生成物をEcoRIで消化し、そしてp
HIL-D4B2のEcoRI部位にサブクローン化して、それぞれpSW46(図12)、pSW47(図
13)およびpSW48(図14)を生成した。β発現カセットを含むpSW47に由来するB
g12/Xba1断片を、pSW46のBamHI/Xba1部位にサブクローン化してpSW49(図15)
を生成し、これはαおよびβの発現カセットを含む。P14K発現カセットを含むpS
W48に由来するBg12/Xba1断片を、pSW49のBamHI/Xba1部位にサブクローン化して
pSW50(図16)を生成し、これはα、βおよびP14Kの発現カセットを含む。
実施例19
NRRL-18668 NHase を発現するためのピヒア パストリス
(Pichiapastoris) 株の構築
ピー.パストリス(Pichia pastoris)GTS115(his4)株(フィリップス石油、バー
トレスビレ、オクラホマ州)は、1−2μgのBgl2で線状化したプラスミドpSW49
または1−2μgのBgl2で線状化したプラスミドpSW50を用いて、記載されている
スフェロプラスト形質転換法(Creggら、(1985)Mol.Cell Biol.5:3376-3385)
を使用して形質転換した。細胞をヒスチジンを含まないプレート上で30℃にて3
−4日間、再生させた。すべての形質転換体は、染色体中にプラスミドDNAを組
込んだ後に生じた。染色体DNAは、his+形質転換体から調製し、そしてα、βお
よびP14K遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCR分析に供した。αおよびβ遺
伝子に関して陽性の1つの単離されたpSW49形質転換体、ならびにα、βお
よびP14K遺伝子に陽性の1つの単離されたpSW50形質転換体(それぞれ、SW49およ
びSW50.2と命名した)を、さらに実験するために選択した。ピー.パストリス((P .pastoris
)SW50.2株は、ATCCに寄託され、受託番号はATCC74391である。
実施例20
工作したピー.パストリス(Pichia pastoris)中のNRRL-18668 NHase活性
ピー.パストリス(Pichia pastoris)SW49およびSW50.2株を、30℃で震盪しなが
らMGY(アミノ酸を含まない1.34% 酵母窒素塩基、0.00004%ビオチン、1%グ
リセロール)中で、2−10のA600まで成長させた。次に細胞をペレットとし、
そしてMM(アミノ酸を含まない1.34% 酵母窒素塩基、0.00004%ビオチン、0.5%
メタノール)中に再懸濁することにより誘導し、そして30℃で1−4日震盪しな
がらインキューベーションした。細胞を遠心により回収し、そしてPBS(0.1M KH2
PO4、pH7.2)中で洗浄した。NHase活性はメタクリロニトリルアッセイにより示さ
れ、そこでは細胞はPBS中に0.6のA600で再懸濁されており、そしてメタクリロ
ニトリルは10mMの終濃度で加えられた。震盪しながら室温でインキューベーショ
ンした後、NHaseによるメタクリロニトリルからメタクリルアミドへの転換は、
上清のA224中の増加を監視することにより示された。アッセイ前に煮沸した細
胞は、陰性対照として役立てた。α、βおよびP14Kの発現カセットを持つSW50.2
でNHase活性が観察されたが、αおよびβの発現カセットのみを持つSW49は、無
視できるほどのNHase活性を示するだけであった。
誘導したSW50.2細胞では、基質としてR-2-(4-クロロフェニル)-3-メチルブチ
ロニトリル(R-CPIN)またはS-2-(4-クロロフェニル)-3-メチルブチロニトリル(S-
CPIN)を使用することにより、立体特異的NHase活性も示され、そして次に対応す
るアミド(それぞれR-CPIAmおよびS-CPIAm)への転換を分析した。
アジポニトリル(ADN)から5-シアノバレルアミド(5-CVAm)への生物転換も、透
過性化SW50.2細胞およびSW50.2細胞抽出物中で示された。透過性化された細胞は
、ベンザルコニウムクロライド(Lonza Baequat MB-50)を10(重量)%の誘導さ
れた細胞懸濁液に加えることにより調製して、1(重量 MB-50:重量 細胞)%を
生じた。この懸濁液を次にヌタータミキサーで60分間、室温で混合し、その後、
細胞を50mM リン酸緩衝液、pH7.0を用いて3回遠心することにより洗浄した。抽
出物は、誘導した細胞を0.5mmガラスビーズ(バイオスペック プロダクツ:BioSpe
c Products)と、50mM KH2PO4、pH7.0/1mM EDTA/0.1mM PMSF中で2分間、急速に
ボルテックス混合することにより調製した。NHase活性は、34−38U/g湿潤重量(
透過性化細胞)、および35−56U/g湿潤重量(細胞抽出物)と測定された。
実施例21
大腸菌中でNRRL-18668アミダーゼを発現するためのプラスミドの構築
NRRL-18668アミダーゼをコードする遺伝子は、5'末端にHind3部位を持つ上流
プライマーおよび5'末端にXho1部位を持つ下流プライマーを使用して、PCR増幅
させた。PCR生成物を、ベクターpET-21a(+)(ノバジェン:Novagen、マジソン、
ウィスコンシン州)中のHind3とXho1部位の間にサブクローン化して、発現プラ
スミドpSW37(図17)を生成した。
実施例22
NRRL-18668 アミダーゼを発現するための大腸菌株の構築
大腸菌BL21(DE3)株(ノバジェン、マジソン、ウィスコンシン州)は、塩化カル
シウム法(Maniatisら、(1989)、モレキュラークローニング:ア ラボラトリー
マニュアル)を使用して、pSW37で形質転換させ、そして単離した形質転換体をS
W37と命名し、そしてATCCにATCC98174の受託番号で寄託した。誘導したSW37は、
クマーシーブルー染色した溶解性細胞抽出物の変性ポリアクリルアミドゲル電気
泳動に基づき、アミダーゼ酵素の生産を示す。
実施例23
工作した大腸菌中でのNRRL-18668アミダーゼ活性
大腸菌SW37株を、LB培地中で30℃でA600=0.5まで成長させ、その時点でIPTG
を1mMまで加え、そしてインキューベーションを2時間続行する。次に細胞をペ
レット化し、そしてPBS中で洗浄する。細胞を10mM ブチルアミドとインキューベ
ーションし、そして酪酸への転換をHPLCにより監視する。
実施例24
大腸菌中でのNRRL-18668アミダーゼおよびNHase
を発現するためのプラスミドの構築
全8.0kbのDNA断片(図10に示す)を、ベクターpET-21(+)(ノバジェン、マ
ジソン、ウィスコンシン州)中のEcoR1とXho1部位の間にサブクローン化して、
プラスミドpSW23(図18)を生成した。
実施例25
NRRL-18668 アミダーゼおよびNHaseを同時発現
するための大腸菌株の構築
大腸菌BL21(DE3)株(ノバジェン、マジソン、ウィスコンシン州)は、塩化カル
シウム法(Maniatisら、(1989)、モレキュラークローニング:ア ラボラトリー
マニュアル)を使用して、pSW23で形質転換させ、そして単離した形質転換体をS
W23と命名し、そしてATCCにATCC98175の受託番号で寄託した。誘導したSW23は、
クマーシーブルー染色した溶解性細胞抽出物の変性ポリアクリルアミドゲル電気
泳動に基づき、NHase酵素およびアミダーゼ酵素の生産を示す。
実施例26
工作した大腸菌中でのNRRL-18668アミダーゼおよびNHase活性
大腸菌SW23株を、LB培地中で30℃でA600=0.5まで成長させ、その時点でIPTG
を1mMまで加え、そしてインキューベーションを2時間続行する。次に細胞をペ
レット化し、そしてPBS中で洗浄する。細胞を10mM ブチロニトリルとインキュー
ベーションし、そして酪酸への転換をHPLCにより監視する。R-CPINと比較して、
S-CPINから対応する酸(S-CPIAc)への立体特異的転換もHPLCにより監視する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年10月15日
【補正内容】
請求の範囲
1.立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のαサブユニットをコードする核酸断
片であって、該核酸断片がロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrou s
)J1 L-NHase遺伝子のαサブユニットコーディング領域と少なくとも64%の塩基
相同性を有し、そして該酵素がラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応す
るR-またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、前記核酸断片。
2.立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のβサブユニットをコードする核酸断
片であって、該核酸断片がロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrou s
)J1 L-NHase遺伝子のβサブユニットコーディング領域と少なくとも52%の塩基
相同性を有し、そして該酵素がラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応す
るR-またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、前記核酸断片。
3.立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素をコードする、請求の範囲第1項およ
び第2項の核酸断片を含んで成る核酸断片であって、該酵素がラセミ アリール-
2-アルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、
前記核酸断片。
4.配列番号3に表すヌクレオチド配列を有し、そして上記酵素がラセミ アリ
ール-2-アルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒で
きる、請求の範囲第1項に記載の核酸断片。
5.配列番号4に表すヌクレオチド配列を有し、そして上記酵素がラセミ アリ
ール-2-アルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒で
きる、請求の範囲第2項に記載の核酸断片。
6.配列番号17に表すヌクレオチド配列を有し、そして上記酵素がラ
セミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解
を触媒できる、請求の範囲第3項に記載の核酸断片。
7.立体特異的ニトリルヒドラターゼ酵素のαおよびβサブユニットをコードす
る請求の範囲第1項および第2項に記載の核酸断片であって、αサブユニットを
コードする核酸断片の部分が、ロドクロウス(Rhodochrous)J1 L-NHase遺伝子と
少なくとも64%の塩基相同性を有し、そしてβサブユニットをコードする核酸断
片の部分が、ロドクロウス(Rhodochrocus)J1 L-NHase遺伝子と少なくとも52%の
塩基相同性を有し、酵素がラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR-
またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、前記核酸断片。
8.配列番号1に表すアミノ酸配列を有し、そして酵素がラセミ アリール-2-ア
ルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、請求
の範囲第4項に記載の核酸断片によりコードされる立体特異的ニトリルヒドラタ
ーゼ酵素のポリペプチドαサブユニット。
9.配列番号2に表すアミノ酸配列を有し、そして酵素がラセミ アリール-2-ア
ルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、請求
の範囲第5項に記載の核酸断片によりコードされる立体特異的ニトリルヒドラタ
ーゼ酵素のポリペプチドβサブユニット。
10.請求の範囲第1、第2項、第6項または第7項に記載のいずれか1つの核
酸断片によりコードされるポリペプチド。
11.1)請求の範囲第8項に記載のポリペプチドαサブユニット、および2)
請求の範囲第9項に記載のポリペプチドβサブユニットを、酵素がラセミ アリ
ール-2-アルカンニトリルから対応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒す
るように適切な配置で含んで成る、立体特異的
ニトリルヒドラターゼ酵素。
12.アガロースゲル電気泳動により定めた分子量が6.5kbであり、そして図2
に表す制限地図を特徴とする、ニトリルヒドラターゼ酵素をコードする請求の範
囲第3項に記載の核酸断片、および酵素の活性な発現に必要なアクセサリー核酸
断片。
13.請求の範囲第12項に記載の6.5kbの核酸断片を含んで成る組換え発現ベ
クターであって、該ベクターが活性な立体特異的ニトリルヒドラターゼを発現す
るために、適当な宿主細胞を形質転換させることができる、図3に表す制限地図
を特徴とする前記組換え発現ベクター。
14.請求の範囲第1項および第2項の核酸断片を含んで成る形質転換された宿
主細胞であって、形質転換された宿主が活性なニトリルヒドラターゼを発現する
前記形質転換された宿主細胞。
15.請求の範囲第6項に記載の核酸断片を含んで成る形質転換された微生物宿
主細胞であって、該宿主細胞が、ラセミ アリール-2-アルカン-ニトリルから対
応するR-またはS-アミドへの加水分解を触媒することができる活性なニトリルヒ
ドラターゼ酵素を発現する、前記形質転換された微生物宿主細胞。
16.請求の範囲第12項に記載の6.5kbの核酸断片を含んで成る形質転換され
た微生物宿主細胞であって、宿主細胞がラセミ アリール-2-ニトリルから対応す
るR-またはS-アミドへの加水分解を触媒することができる活性なニトリルヒドラ
ターゼ酵素を発現する、前記形質転換された微生物宿主細胞。
17.上記宿主細胞が細菌、酵母および糸状菌から成る群から選択される、請求
の範囲第15項および第16項に記載の形質転換された宿主細
胞。
18.宿主細胞が、エシュリッヒア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomona s
)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、バチルス
(Bachillus)およびストレプトミセス(Streptomyces)の属から成る群から選択さ
れる細菌である、請求の範囲第17項に記載の形質転換された宿主細胞。
19.宿主細胞が、ピヒア(Pichia)、ハンセヌラ(Hansenula)およびサッカロミ
セス(Saccharomyces)の属から成る群から選択される酵母である、請求の範囲第
17項に記載の形質転換された宿主細胞。
20.宿主細胞がアスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)
およびペニシリウム(Penicillium)の属から成る群から選択される糸状菌である
、請求の範囲第17項に記載の形質転換された宿主細胞。
21.宿主細胞が大腸菌である、請求の範囲第18項に記載の形質転換された宿
主細胞。
22.1)請求の範囲第12項に記載の6.5kbの核酸断片の5.0kbの核酸断片、お
よび2)核酸断片がアミダーゼ酵素をコードする配列番号20に与えられる核酸
配列を有する核酸断片を含んで成る発現ベクターであって、そして該発現ベクタ
ーが活性な立体特異的ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼを同時発現するた
めに、適当な宿主細胞を形質転換することができる、前記発現ベクター。
23.請求の範囲第22項に記載のベクターを含んで成る、形質転換された宿主
細胞。
24.宿主細胞が、エシュリッヒア(Escherichia)、シュードモナス(Ps
eudomonas
)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、
バチルス(Bachillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ハンセヌラ(Hansenul a
)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、アスペルギルス(Asperg illus
)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウム(Penicillium)の属か
ら成る群から選択される、請求の範囲第23項に記載の形質転換された宿主細胞
。
25.式
式中:
Aは:
からなる群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はHまたはOHであり;
R3はH、Cl、OCF2H、(CH3)2CHCH2、H2C=C(CH3)CH2NH、
R4はClまたはFである;
のニトリルを対応するアミドに転換する方法であって、
1)ニトリルを、請求の範囲第15項に記載の形質転換された微生物宿
主細胞と接触させ、形質転換された微生物宿主細胞がエシェリヒア(Escherichia
)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバク
ター(Acinetobacter)、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)
、ハンセヌラ(Hansenula)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、
アスペルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウ
ム(Penicillium)から成る群から選択され、
2)工程1)の生成物を回収する、
ことを含んで成る、前記方法。
26.式
式中:
Aは:
からなる群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はHまたはOHであり;
R3はH、Cl、OCF2H、(CH3)2CHCH2、H2C=C(CH3)CH2NH、
R4はClまたはFである;
のニトリルを対応する鏡像異性体(R)または(S)−カルボン酸に転換する方
法であって、
1)ニトリルを、ラセミニトリルから対応する鏡像異性体(R)または(S)−
カルボン酸に立体特異的に転換する請求の範囲第25項に記載の形質転換された
宿主細胞と接触させ、宿主細胞がエシェリヒア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas
)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバクター(Acinetobacter)
、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ハンセヌラ(Hansenu la
)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、アスペルギルス(Asper gillus
)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウム(Penicillium)から成
る群から選択され、そして
2)工程1)の生成物を回収する、
ことを含んで成る、前記方法。
27.pSW2を含んで成り、そしてATCC69888として確認される形質転換された大
腸菌。
28.pSW17を含んで成り、そしてATCC69889として確認される形質転換された大
腸菌。
29.図10に表す6.5kb断片のp14K領域に対応する核酸断片であって、核酸断
片が配列番号22に表すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、前記
核酸断片。
30.核酸断片が配列番号21に表す塩基配列を有する、請求の範囲第29項に
記載の核酸断片。
31.請求の範囲第29項に記載の核酸断片によりコードされ、そして配列番号
22に表すアミノ酸配列を有するP14Kポリペプチドであって、P14Kポリペプチド
の発現が、ラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応するR-またはS-アミド
への加水分解を触媒できる、発現したシュー
ドモナス プチダ(Pseudomonas putida)NRRL-18668の立体特異的ニトリルヒドラ
ターゼの生物活性に必要である、前記P14Kポリペプチド。
32.配列番号28に表すアミノ酸配列を有する18668アミダーゼをコードする
核酸断片であって、アミノ酸配列がアミダーゼの機能を改変させないアミノ酸置
換、欠失または付加を包含することができる、前記核酸断片。
33.核酸断片が、配列番号27に与えられる塩基配列を有する、請求の範囲第
32項に記載の核酸断片。
34.請求の範囲第32項に記載の核酸断片によりコードされ、そして配列番号
28に表すアミノ酸配列を有する18668アミダーゼポリペプチドであって、アミ
ノ酸配列が該アミダーゼの機能を改変させないアミノ酸置換、欠失または付加を
包含することができる、前記18668アミダーゼポリペプチド。
35.請求の範囲第6項および第29項に記載の核酸断片を含む形質転換された
微生物宿主であって、宿主がラセミ アリール-2-アルカンニトリルから対応する
R-またはS-アミドへの加水分解を触媒できる、上記形質転換された微生物宿主。
36.宿主がピヒア(Pichia)属の員である、請求の範囲第35項に記載の形質転
換された宿主。
37.請求の範囲第6項、第29項および第32項に記載の核酸断片を含む形質
転換された微生物宿主であって、宿主がラセミ アリール-2-アルカンニトリルか
ら対応するR-またはS-アミドへの加水分解、およびアミドから対応する鏡像異性
体(R)または(S)−カルボン酸への転換を触媒できる、前記形質転換された
微生物宿主。
38.pSW50を含んで成り、そしてATCC74391と確認される、形質転換されたピヒ
ア パストリス(Pichia pastoris)。
39.pSW37を含んで成り、そしてATCC98174と確認される、形質転換された大腸
菌。
40.pSW23を含んで成り、そしてATCC98175と確認される、形質転換された大腸
菌。
41.式
式中:
Aは:
からなる群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はHまたはOHであり;
R3はH、Cl、OCF2H、(CH3)2CHCH2、H2C=C(CH3)CH2NH、
R4はClまたはFである;
のニトリルを対応するアミドに転換する方法であって、
1)ニトリルを、請求の範囲第6項および第29項に記載の核酸断片を含んで成
る請求の範囲第35項に記載の形質転換された宿主細胞と接触させ、形質転換さ
れた宿主細胞は、ラセミニトリルを対応する鏡像異性体R−またはS−アミドへ
立体特異的に転換することができ、宿主細胞がエシェリヒア(Escherichia)、シ
ュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバクター(A cinetobacter
)、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ハン
セヌラ(Hansenula)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、アスペ
ルギルス(Aspergillus)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウム(Peni cillium
)から成る群から選択され、そして
2)工程1)の生成物を回収する、
ことを含んで成る、前記方法。
42.式
式中、
Aは:
から成る群から選択され;
R1はC1−C4アルキルであり;
R2はHまたはOHであり;そして
R3はH、Cl、OCF2H、(CH3)2CHCH2、H2C=C(CH3)CH2NH、
R4はClまたはFである;
のニトリルを、対応する鏡像異性体(R)または(S)−カルボン酸に転換する
方法であって、
1)ニトリルを、ラセミニトリルを対応する鏡像異性体(R)−または(S)−
カルボン酸に立体特異的に転換する請求の範囲第38項に記載の形質転換された
宿主細胞と接触させ、宿主細胞がエシェリヒア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas
)、ロドコッカス(Rhodococcus)、アシネトバクター(Acinetobacter)
、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、ハンセヌラ(Hansenu la
)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピヒア(Pichia)、アスペルギルス(Asper gillus
)、ニューロスポラ(Neurospora)およびペニシリウム(Penicillium)から成
る群から選択され、そして
2)工程1)の生成物を回収する、
ことを含んで成る、前記方法。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12N 9/78 C12N 9/78
9/80 9/80 A
C12P 7/40 C12P 7/40
13/02 13/02
//(C12N 15/09 ZNA
C12R 1:40)
(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12N 9/78
C12R 1:19)
(C12N 9/78
C12R 1:84)
(C12N 9/80
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BA
,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,
EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,KP,K
R,KZ,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG
,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,
SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,U
S,UZ,VN
(72)発明者 ペイン,マーク・スコツト
アメリカ合衆国デラウエア州19808−3344
ウイルミントン・ニユーエルドライブ2408