JP2000139466A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

Info

Publication number
JP2000139466A
JP2000139466A JP10317119A JP31711998A JP2000139466A JP 2000139466 A JP2000139466 A JP 2000139466A JP 10317119 A JP10317119 A JP 10317119A JP 31711998 A JP31711998 A JP 31711998A JP 2000139466 A JP2000139466 A JP 2000139466A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
maleic acid
isomerase
microorganism
maleate isomerase
ala
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10317119A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhisa Hatakeyama
和久 畠山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP10317119A priority Critical patent/JP2000139466A/ja
Publication of JP2000139466A publication Critical patent/JP2000139466A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化安定性マレイン酸イソメラーゼを用いた
アスパラギン酸の製造方法を提供する。 【解決手段】 マレイン酸イソメラーゼを産生する微生
物の培養物又はその処理物と、アスパルターゼを産生す
る微生物の培養物又はその処理物の存在下、マレイン酸
及びアンモニアから酵素反応によりL−アスパラギン酸
を製造する方法において、前記マレイン酸イソメラーゼ
が、前記マレイン酸イソメラーゼをコードするDNAに
より形質転換されたエシェリヒア・コリJM109の菌
体破砕無細胞抽出液を30℃、1時間、30mM過酸化
水素の条件で酸化処理した際のマレイン酸イソメラーゼ
の活性低下率が40%未満であるものであることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素反応によるL
−アスパラギン酸の製造法に関する。より詳しくは、マ
レイン酸イソメラーゼを産生する微生物の培養物又はそ
の処理物と、アスパルターゼを産生する微生物の培養物
又はその処理物の存在下、マレイン酸及びアンモニアか
ら酵素反応によりL−アスパラギン酸を製造する方法の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素によるマレイン酸の異性化に関して
は、マレイン酸イソメラーゼ(maleate cis-trans isom
erase)がマレイン酸をフマル酸へと異性化することが
知られている。マレイン酸イソメラーゼを産生する微生
物としては、例えばシュードモナス エスピー.(Pseu
domonas sp.)[K. Otsuka, Agric.Biol.Chem., vol.25,
No.9, p.726 (1961)]、アルカリゲネス・フェカリス(A
lcaligenes faecalis)IB-14[Takamura, Agric.Biol.Ch
em., Vol.33, p.718(1969)]、シュードモナス・フルオ
レッセンス(Pseudomonas fluorescens)ATCC23728[Sch
er, J.Biol.Chem., Vol.244, p.1878(1969)]、セラチア
・マルセッセンス(Serratia marcescens)IFO3736[T. K
imura, Agri. Biol. Chem., Vol.50, No.1, p.82(198
6)、アルスロバクター・グロビフォルミス(Arthrobact
er globiformis)IAM12102[Y.Kato, J. Ferment. Engin
eer., Vol.80, p.610(1995)]等が知られている。また、
これらにより産生されるマレイン酸イソメラーゼの分子
量、サブユニット構造、全アミノ酸配列、DNA塩基配
列なども、既に明かにされている[国際公開第WO96/1957
1号、特願平8-194961等]。
【0003】酵素法によるフマル酸からのL−アスパラ
ギン酸の製造法としては、大腸菌を用いる方法[北原
ら、Amino Acids 発酵と代謝、1巻、p.102(1959)]、
シュードモナス属細菌を用いる方法[高橋ら、Amino Ac
ids 発酵と代謝、7巻、p.23(1963);米国特許第3,3
10,475号明細書]、ブレビバクテリウム属細菌を
用いる方法[渡辺ら、日本農芸化学会誌、38巻、p.43
4(1964);特公昭61−29718号公報]等が知られ
ている。
【0004】マレイン酸は、フマル酸よりも安価に得ら
れ、L−アスパラギン酸製造のための原料として有利で
ある。マレイン酸からのL−アスパラギン酸の製造法と
しては、マレイン酸よりL−アスパラギン酸を生成する
微生物菌体を用いてL−アスパラギン酸を得る方法(特
公昭42−11993号公報、特公昭42−11994
号公報、特公昭42−11996号公報、米国特許第
3,391,059号明細書)が知られているが、アス
パラギン酸の対原料収率および生成速度は十分とはいえ
なかった。尚、米国特許第3,391,059号明細書
に記載されているL−アスパラギン酸の理論収量に対す
るモル収率は92%である。
【0005】また、マレイン酸からL−アスパラギン酸
を製造する方法として、マレイン酸をBr触媒で異性化
し、生成したフマル酸にアスパラギン酸生成微生物を作
用させる方法(米国特許第2,955,136号明細
書、同第3,332,992号明細書)があるが、一般
的に化学触媒による異性化では、収率が十分でなく、異
性化の際に加熱を伴うため不純物を生じ易い等の問題点
があった。
【0006】上記のような問題点の解決のために、マレ
イン酸イソメラーゼを産生する微生物の培養物又はその
処理物と、アスパルターゼを産生する微生物の培養物又
はその処理物の存在下、マレイン酸及びアンモニアから
酵素反応によりL−アスパラギン酸を製造する方法が提
案されている(特開平8−84594号公報)。
【0007】一方、これまでに知られているマレイン酸
イソメラーゼは、その安定性が十分とはいえず、酵素的
不安定性が指摘されていた[Y.Kato, J. Ferment. Engin
eer., Vol.80, p.610(1995)]。マレイン酸イソメラーゼ
の酵素的不安定性の要因の一つとしては、反応液中の酸
素の影響が考えられている。そこで酸化不安定性を回避
する方法として、マレイン酸イソメラーゼ活性を有する
微生物またはマレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生
物の調製物とマレイン酸とを水溶液中で混合し、異性化
反応によりマレイン酸からフマル酸を製造するに際し、
反応液中の溶存酸素濃度を4ppm以下に維持して反応
させることを特徴とするフマル酸の製造法が検討されて
いる[特開平8-332092号公報]。しかしながら、
マレイン酸イソメラーゼの酸化安定性を抜本的に改変す
る方法は、これまで、全く知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化安定性
の改変されたマレイン酸イソメラーゼを用いたL−アス
パラギン酸の製造方法を提供することを主な課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本出願人は、酸化安定性
に優れるマレイン酸イソメラーゼとして、そのマレイン
酸イソメラーゼをコードするDNAにより形質転換され
たエシェリヒア・コリJM109の菌体破砕無細胞抽出
液を30℃、1時間、30mM過酸化水素の条件で酸化
処理した際のマレイン酸イソメラーゼの活性低下率が4
0%未満であるマレイン酸イソメラーゼの開発に成功し
ている(特願平10−39650号)。
【0010】本発明者は、上記マレイン酸イソメラーゼ
が、L−アスパラギン酸の製造においても有効であるこ
とを確認し、本発明を完成した。
【0011】かくして本発明によれば、マレイン酸イソ
メラーゼを産生する微生物の培養物又はその処理物と、
アスパルターゼを産生する微生物の培養物又はその処理
物の存在下、マレイン酸及びアンモニアから酵素反応に
よりL−アスパラギン酸を製造する方法において、前記
マレイン酸イソメラーゼが、前記マレイン酸イソメラー
ゼをコードするDNAにより形質転換されたエシェリヒ
ア・コリJM109の菌体破砕無細胞抽出液を30℃、
1時間、30mM過酸化水素の条件で酸化処理した際の
マレイン酸イソメラーゼの活性低下率が40%未満であ
るものであることを特徴とする方法(以下、本発明方法
ともいう)が提供される。
【0012】本発明方法においては、好ましくは、マレ
イン酸イソメラーゼのメチオニン残基が酸化処理に対し
てより安定な他のアミノ酸残基に置換される。さらに好
ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列の201位の
メチオニン残基に相当するメチオニン残基が酸化処理に
対してより安定な他のアミノ酸残基に置換される。好ま
しい他のアミノ酸残基はシステイン残基である。また、
好ましくは、マレイン酸イソメラーゼはセラチア属細菌
由来である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において「マレイン酸イソメラーゼ(male
ate cis-trans-isomerase; EC5.2.1.1)」とは、マレイ
ン酸(シス型)を異性化してフマル酸(トランス型)を
生成する反応を触媒する酵素を意味する。また、本明細
書では、マレイン酸イソメラーゼをコードするDNA
を、便宜上「マレイン酸イソメラーゼ遺伝子」というこ
とがある。
【0014】マレイン酸イソメラーゼの酸化安定性の評
価方法については、酸素の溶解した溶液中にマレイン酸
イソメラーゼ溶液を保存しその安定性を調べる方法、あ
るいは、酸化剤を用いて加速的に酵素を酸化失活させ、
その効果を比較する方法等が知られているが、後者の方
がより迅速に酸化安定性を評価することができ、簡便で
あると考えられる。酸化剤としては、過酸化水素の他、
N-クロロスクシイミド、N-ブロモスクシイミド、クロラ
ミンT、過ヨウ素酸等が挙げられるが、過酸化水素がよ
り溶解した酸素による酵素酸化の機構に近いと考えられ
る。
【0015】そのため、本発明では、30℃、1時間、
30mM過酸化水素の条件で酸化処理した際のマレイン
酸イソメラーゼの活性低下率により評価することとし
た。即ち、本発明で使用されるマレイン酸イソメラーゼ
は、そのマレイン酸イソメラーゼをコードするDNAに
より形質転換されたエシェリヒア・コリJM109の菌
体破砕無細胞抽出液を30℃、1時間、30mM過酸化
水素の条件で酸化処理した際のマレイン酸イソメラーゼ
の活性低下率が40%未満であり、更に好ましくは、3
5%未満であることを特徴とする。
【0016】ここで、40%未満とは、未処理(30
℃、1時間、0mM過酸化水素)の場合の活性を100
%とした場合に酸化処理後にも60%を超える活性を維
持することを示す。
【0017】マレイン酸イソメラーゼ遺伝子により形質
転換されたエシェリヒア・コリJM109(以下、マレ
イン酸イソメラーゼ組換え大腸菌ともいう)は、マレイ
ン酸イソメラーゼ遺伝子を大腸菌用高発現ベクター(例
えば、pKK223−3(ファルマシア社より市販))
に結合させ、得られたベクターによりエシェリヒア・コ
リJM109(宝酒造製)を、塩化カルシウム法などの
常法により形質転換することによって得られる。酸化処
理は、マレイン酸イソメラーゼ組換え大腸菌を培養して
得られた菌体を、超音波破砕装置などにより破砕し、菌
体破砕物を遠心分離することによって菌体破砕無細胞抽
出液を上清として得、これに、過酸化水素を濃度が30
mMとなるように加え、30℃で1時間保温することに
よって行われる。マレイン酸イソメラーゼ活性測定は、
公知の方法で行うことができる。
【0018】酸化安定性のマレイン酸イソメラーゼをコ
ードするDNA(本明細書では、「酸化安定性マレイン
酸イソメラーゼ遺伝子」ともいう)は、公知のマレイン
酸イソメラーゼ遺伝子を改変することによって得ること
ができる。
【0019】このような改変として好ましいものとして
は、コードされるアミノ酸配列中のメチオニン残基の1
以上を酸化処理に対してより安定な他のアミノ酸残基に
置換するものが挙げられる。より好ましくは、配列番号
2に示すアミノ酸配列の201位のメチオニン残基に相
当するメチオニン残基を酸化処理に対してより安定な他
のアミノ酸残基に置換する。好ましい他のアミノ酸はシ
ステイン残基である。
【0020】マレイン酸イソメラーゼ遺伝子のコードす
るアミノ酸配列には、自然突然変異及び人工突然変異で
生じたものも含め、属間、種間、個体間等で相違があり
得るが、配列番号2に示すアミノ酸配列の201位のメ
チオニン残基に相当するメチオニン残基を特定すること
は当業者であれば容易である。従って、配列番号2に示
すアミノ酸配列の201位のメチオニン残基に相当する
メチオニン残基が酸化処理に対してより安定な他のアミ
ノ酸残基に置換されたマレイン酸イソメラーゼとして、
具体的には、以下の(a)または(b)のタンパク質が挙げら
れる。 (a) 201位のアミノ酸がシステイン残基に置換された
配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質 (b) (a)のタンパク質のアミノ酸配列において1もしく
は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミ
ノ酸配列からなり、かつ(a)のタンパク質と同等の酸化
安定性のマレイン酸イソメラーゼ活性を有するタンパク
【0021】「酸化処理に対してより安定な他のアミノ
酸」とは、そのアミノ酸でメチオニン残基を置換したマ
レイン酸イソメラーゼの酸化安定性が、上記酸化処理に
よる活性低下率に基いて評価したとき、置換前のマレイ
ン酸イソメラーゼの酸化安定性よりも良いアミノ酸を意
味する。
【0022】マレイン酸イソメラーゼ遺伝子は、既に、
いくつかの微生物由来の酵素の塩基配列が完全に決定さ
れているので[国際公開第WO96/19571号等]、同配列に基
づいて合成することも可能であるが、通常は微生物から
PCR等により容易にクローニングすることができる。
その供給源となる微生物としては、マレイン酸イソメラ
ーゼ活性を有する微生物であれば特に制限はないが、具
体的にはアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes fa
ecalis)IFO13111、同IFO12669、同IAM1473、同IAM1258
8、アルカリゲネス・デニトリフィカンス(Alcaligenes
denitrificans)IAM12370、アルカリゲネス・キシロソ
キシダンス(Alcaligenes xylosoxidans)IAM12686アル
カリゲネス・ユウトロフス(Alcaligenes eutrophus)I
AM12305、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudom
onas fluolescens)ATCC23728、シュードモナス・アル
カリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)strain XD-1
[J.Ferment.Bioengineer. Vol.84, p.165-168 (199
7)]、キサントモナス・マルトモナス(Xanthomonas mar
utomonas)ATCC13270、アルスロバクター・グロビフォ
ルミス(Arthrobacter globiformis)IAM12102、アルス
ロバクター・パセンス(Arthrobacter pascens)IAM123
43、アルスロバクター・スルフレウス(Arthrobacter s
ulfureus)IAM1488、アルスロバクター・ウレアファシ
エンス(Arthrobacter ureafaciens)IAM1637、セラチ
ア・マルセッセンス(Serratia marcescens)IFO3736
株、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus ste
arothermophilus)MI−101(FERM BP−1
4801)、同 MI−102(FERMBP−148
02)、同 MI−105(FERM BP−1480
5)、同MI−110(FERM BP−5339)、
バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)MI−103
(FERM BP−14803)、バチルス・サーキュ
ランス(Bacillus circulans)MI−113(FERM
P−15645)、デレヤ・ハロフィラ(Delaya hal
ophila)MI−111(FERM P−16018)等
が挙げられる。これらの内では、アルカリゲネス・フェ
カリス(Alcaligensfaecalis)IFO 13111株、セラチア
・マルセッセンス(Serratia marcescens)IFO3736株、
バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearot
hermophilus)MI−101(FERM BP−148
01)、同 MI−102(FERMBP−1480
2)、同 MI−105(FERM BP−1480
5)、同MI−110(FERM BP−5339)、
バチルス・ブレビス(Bacillus brevis) MI−10
3(FERM BP−14803)などが好適に用いら
れる。
【0023】これらの菌株は、財団法人発酵研究所(I
FO)、東京大学細胞生物学研究所細胞・機能高分子総
合センターIAMカルチャーコレクション、アメリカン
・タイプ・カルチャーコレクション(ATCC)から入
手可能である。さらに、上記のバチルス属菌株は、後記
実施例1に示すようにして本発明者らにより単離された
株であり、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所に上記の受託番号で寄託されている。
【0024】以下に、これらの供給源微生物の中から、
例示の一つとして、セラチア・マルセッセンス(Serrat
ia marcescens)IFO3736株を選び、同株からマレイン酸
イソメラーゼ遺伝子を取得する方法、及び、同遺伝子の
変異株の作成方法の一例を説明する。
【0025】セラチア・マルセッセンス IFO3736株由来
のマレイン酸イソメラーゼ遺伝子は、供給源微生物の染
色体上に存在し、その塩基配列は既に明らかにされてい
るので[国際公開第WO96/19571号]、その配列をもとに作
成したプライマーDNAを用いて容易に増幅・単離する
ことができる。
【0026】マレイン酸イソメラーゼ遺伝子は、天然の
細菌の染色体DNAから分離されたもののみならず、通
常用いられるDNA合成装置、例えばアプライド・バイ
オシステムズ(Applied Biosystems)社製394DNA/
RNAシンセサイザーを用いて合成されたものであって
もよい。
【0027】変異の導入法には、NTG処理等により非
特異的に変異を導入するランダム変異法(random mutage
nesis)、あるいは、特定のアミノ酸を特定のアミノ酸に
置換する部位特異的変異法がある。結果的に特定の位置
に変異が入ればどちらの方法でも良いが、後者の方がよ
り簡便に目的の変異体を得ることができると考えられ
る。
【0028】部位特異的変異の手法には、様々な手法
(R. Higuchi et al. Recombinant PCR in "PCR Protoc
ols: A Guide to Methods and Applications" p.177, A
cademic Press, 1990: Sambrook, Fritsch and Maniat
is, "Molecular Cloning" Chapter 15, Site-directed
Mutagenesis of Cloned DNA, Cold Spring Harbor Labo
ratory Press, 1989等)があるが、部位特異的に変異を
導入する手法であれば何れの手法を用いてもよい。
【0029】具体的には、変異を導入したいアミノ酸残
基部位に変異を導入した20〜40塩基程度のオリゴヌ
クレオチドAを合成し(例えば、セラチア属細菌イソメ
ラーゼの201番目のアミノ酸残基をシステインに変換
するために、ATGのコドンをTGCに変えた配列表の
配列番号5のようなオリゴヌクレオチドを合成す
る。)、酵素のC末端部位のアミノ酸配列をもとに作製
したオリゴヌクレオチドB(例えば配列表の配列番号
4)と共に、変異を入れたい遺伝子(例えば、セラチア
属細菌の染色体DNA)を鋳型としてPCRプライマー
として用い、変異の導入した遺伝子部分断片1を増幅す
る。さらに、オリゴヌクレオチドAの相補的配列を有す
るオリゴヌクレオチドC(例えば配列表の配列番号6)
を合成し、酵素のN末端部位のアミノ酸配列をもとに作
製したオリゴヌクレオチドD(例えば配列表の配列番号
3)と共にPCRプライマーとして用い、変異の導入し
た遺伝子部分断片2を増幅する。次に、遺伝子部分断片
1および遺伝子部分断片2を鋳型とし、オリゴヌクレオ
チドBおよびDをPCRプライマーとして用いることに
より、変異を導入したマレイン酸イソメラーゼ遺伝子を
取得することができる。
【0030】本発明の実施例においては、セラチア・マ
ルセッセンス由来のマレインイソメラーゼの201位の
メチオニン残基に変異を導入したが、同残基は国際公開
第WO96/19571号において明らかなとおり、アルカリゲネ
ス・フェカリス IFO13111、バチルス・ステアロサーモ
フィラス MI−101、同 MI−102、同 MI
−105、同 MI−110、バチルス・ブレビス M
I−103においても同等の位置に保存されており、そ
のアミノ酸に同様の変異を導入することにより酸化安定
性を向上させることが可能であることは、容易に推察さ
れる。
【0031】本発明の酸化安定性マレイン酸イソメラー
ゼ遺伝子はまたはこれを含むDNA断片は、これらを適
当なベクターに連結して組換えベクターを調製し、この
組換えベクターで適当な宿主微生物を形質転換すること
により、発現させることができる。
【0032】組換えベクターを調製する際には、通常、
マレイン酸イソメラーゼ遺伝子を宿主微生物に適したプ
ロモーターとともに、このプロモーターの下流に該遺伝
子のコード領域の5’末端側が連結されるようにして、
ベクターに挿入する。あるいはプロモーターを含む発現
ベクターを用い、これにマレイン酸イソメラーゼ遺伝子
を挿入してもよい。
【0033】このような発現ベクターを用いた発現方法
の他に、プロモーターを連結したマレイン酸イソメラー
ゼ遺伝子を含むDNA断片を、宿主微生物の染色体中に
直接導入する相同組換え技術[A.A.Vertes, et al., Bi
osci.Biotechnol.Biochem.,Vol.57, p.2036 (1993)、
等]、あるいはトランスポゾンや挿入配列等を用いて導
入する技術[A.A.Vertes et al., Molecular Microbio
l., Vol.11, p.739 (1994)、等]によっても発現させる
ことができる。
【0034】発現ベクターとしては、宿主微生物内で複
製増殖可能であれば特に制限されるものではないが、プ
ラスミドベクター、ファージベクターのいずれかを用い
ることができる。具体的なプラスミドベクターとして
は、pBR322、pUC18、pHSG298、pU
C118、pSTV28、pTWV228、pHY30
0PLK(以上のプラスミドベクターは、例えば宝酒造
(株)から購入できる)、pKK223−3、pTrc
99A(以上は、例えばファルマシア社から購入でき
る)、pCRY31、pCRY3KE、pCRY3KX
(米国特許第5,185,262号明細書)、あるいは
これらの誘導体等を挙げることができる。
【0035】また、ファージベクターとしては、(λF
ixIIベクタ−(Stratagene社から購入できる)等を
挙げることができる。
【0036】マレイン酸イソメラーゼ遺伝子を発現させ
るためのプロモーターは、宿主微生物が保有するプロモ
ーターを一般に用いることができるが、それに限られる
ものではなく、マレイン酸イソメラーゼ遺伝子の転写を
開始させるための原核生物由来の塩基配列であればいか
なるプロモーターであっても良い。具体的には、ラクト
ースオペロンのプロモーター、トリプトファンオペロン
のプロモーター、λファージ由来のPLプロモーター、
トリプトファンラクトース雑種(tac)プロモーター
[H.A.Bose et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A., Vol.
80, p.21 (1983)]等が挙げられる。また、得られたマ
レイン酸イソメラーゼ遺伝子固有のプロモーターが機能
可能な微生物を宿主として用いる場合には、該プロモー
ターをそのまま使用してもよい。更には、通常用いられ
るDNA合成装置、例えばアプライド・バイオシステム
ズ(Applied Biosystems)社製394DNA/RNAシン
セサイザーを用いて合成されたものであってもよい。
【0037】これらのプロモーターのうち、誘導性のあ
るプロモーターでは、その誘導因子(物質あるいは温度
等の生育環境、等)により発現効率を向上させることも
できる。たとえば、上記ラクトースオペロンのプロモー
ターの場合には、ラクトースやイソプロピル-β-D-チオ
ガラクトシド(IPTG)を添加することにより遺伝子
発現を誘導することができる。
【0038】酸化安定性マレイン酸イソメラーゼ遺伝子
を導入する宿主としては、特に限定されるものではない
が、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、バチルス(B
acillus)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、シュ
ードモナス(Pseudomonas)属細菌、コリネバクテリウ
ム(Corynebacterium)属細菌、ブレビバクテリウム(B
revibacterium)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)
属細菌、ラクトバチルス(Lactobacillus)属細菌、ス
トレプトマイセス(Streptomyces)属細菌、サーマス
(Thermus)属細菌、ストレプトコッカス(Streptococc
us)属細菌等を好適に用いることができる。
【0039】具体的には、エシェリヒア・コリ(Escher
ichia coli)、バチルス・サチリス(Bacillus subtili
s)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチル
ス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermop
hilus)、セラチア・マルセッセンス(Seratia marcesc
ens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putid
a)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aer
uginosa)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Coryn
ebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラ
バム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム
・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermen
tum)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus e
rythropolis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus t
hermophilus)、ストレプトコッカス・ラクティス(Str
eptococcus lactis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lacto
bacillus casei)、ストレプトマイセス・リビダンス
(Streptomyces lividans)等を用いることができる。
【0040】上記宿主微生物への遺伝子の導入法として
はコンピテントセル法[Journal ofMolecular Biolog
y,Vol.53, p.159 (1970)]、パルス波通電法[J.Indus
t.Microbiol., Vol.5, p.159 (1990)]等による形質転換
法、ファージを用いた形質導入法[E.Ohtsubo, Genetic
s, Vol.64, p.189 (1970)]、接合伝達法[J.G.C.Otto
w, Ann.Rev.Microbiol., Vol.29, p.80 (1975)]、細胞
融合法[M.H.Gabor, J.Bacteriol., Vol.137, p.1346
(1979)]等を用いることができる。
【0041】本発明で使用されるマレイン酸イソメラー
ゼは、上記のようにして得られる形質転換体を培養し、
その培養物からマレイン酸イソメラーゼを採取すること
によって製造することができる。
【0042】本発明のL−アスパラギン酸の製造法は、
通常には、マレイン酸イソメラーゼを産生する微生物の
培養物又はその処理物と、アスパルターゼを産生する微
生物の培養物又はその処理物と、マレイン酸及びアンモ
ニアとを水性溶液中で混合することによって、この混合
液中でマレイン酸及びアンモニアから酵素反応によりL
−アスパラギン酸を生成せしめるステップと、この反応
液よりL−アスパラギン酸を採取するステップとを含
む。
【0043】本発明に用いられる微生物のうち、マレイ
ン酸イソメラーゼを産生する微生物は、上記の酸化安定
性のマレイン酸イソメラーゼを産生するものであれば、
特に制限はなく、例えば、上記の酸化安定性マレイン酸
イソメラーゼ遺伝子を導入した形質転換体を用いること
ができる。
【0044】一方、アスパルターゼを産生する微生物と
しては、フマル酸とアンモニアからL−アスパラギン酸
を生成しうる能力を有するものであれば特に制限はな
く、例えば、アスパルターゼを産生するブレビバクテリ
ウム属、エシェリヒア属、シュードモナス属、バチルス
属等の微生物が挙げられる。具体的には、ブレビバクテ
リウム・フラバム(Brevibacterium flavum)MJ−2
33(FERM BP−1497)、同MJ−233−
AB−41(FERM BP−1498)、ブレビバク
テリウム・アンモニアゲネス ATCC 6872、エ
シェリヒア・コリ(Escherichia coli)ATCC 11
303、同ATCC 27325等を例示することがで
きる。
【0045】マレイン酸イソメラーゼを産生する微生物
の培養は、それ自体既知の通常用いられる、肉エキス、
酵母エキス、ペプトン等の天然栄養源を添加した培地で
行うことができる。該培地には、必要に応じ、窒素源と
して、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸ア
ンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、硝酸
カリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、アンモニア
や、無機物として、リン酸カリウム、硫酸マグネシウ
ム、鉄、マンガン、亜鉛、銅等を添加することができ
る。
【0046】また、マレイン酸イソメラーゼ活性を高め
るためには、培地中にマレイン酸、又はマロン酸を添加
することが望ましい。マレイン酸、マロン酸の添加濃度
は10〜200mM、好ましくは50〜100mMの範
囲内が適当である。
【0047】アスパルターゼを産生する微生物の培養も
同様に、それ自体既知の通常用いられる、肉エキス、酵
母エキス、ペプトン等の天然栄養源を添加した培地を用
いて行うことができる。炭素源として、グルコースやエ
タノールを添加することもできる。該培地には、必要に
応じ、窒素源として、塩化アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸ナ
トリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸
塩、アンモニア、無機物として、リン酸カリウム、硫酸
マグネシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅等を添加するこ
とができる。
【0048】上記マレイン酸イソメラーゼを産生する微
生物及びアスパルターゼを産生する微生物の培養は、通
気撹拌、振盪等の好気的条件下で行い、培養温度は25
〜40℃、好ましくは28〜35℃が適当である。培養
途中のpHは6〜9付近とすることができ、培養中のp
Hの調整は、酸又はアルカリを添加して行うことができ
る。
【0049】本発明方法において「培養物」とは、微生
物菌体及び/又はこの微生物を培養した後の培地(培地
に液体培地を用いた場合にはその培養上清)をいう。ま
た、「処理物」とは、培養物又はそれから回収された菌
体を固定化して得られる固定化物、該菌体を超音波、圧
擦等の手段で破砕した破砕物、該破砕物を水等で抽出し
た抽出物、該抽出物をさらに硫安塩析、カラムクロマト
グラフィー等の処理により得られるマレイン酸イソメラ
ーゼ又はアスパルターゼの粗酵素又は精製酵素、さらに
これら破砕物、抽出物、酵素成分等を固定化して得られ
る固定化物等を意味するものである。
【0050】菌体は、培養物から回収されたまま、ある
いは適当な緩衝液、例えば0.05〜0.2M程度のリ
ン酸緩衝液(pH6〜9)で洗浄された洗浄菌体であっ
てもよい。さらに、上記微生物の培養と酵素反応とを並
行して行なうこともできる。
【0051】菌体等の固定化は、それ自体既知の通常用
いられる方法、例えば、アクリルアミドモノマー、アル
ギン酸又はカラギーナン等の適当な担体に固定化させる
方法により行うことができる。
【0052】また、「マレイン酸イソメラーゼを産生す
る微生物の培養物又はその処理物と、アスパルターゼを
産生する微生物の培養物又はその処理物と、マレイン酸
及びアンモニアとを水性溶液中で混合する」とは、マレ
イン酸及びアンモニアを含む水性溶液に各微生物の培養
物又はその処理物を加えること、各微生物の培養物また
はその処理物を含む水性溶液にマレイン酸及びアンモニ
アを加えること、更には、固定化した各微生物またはそ
の処理物を充填したカラムにマレイン酸及びアンモニア
を含有する水性溶液を通液することを含む概念である。
【0053】マレイン酸イソメラーゼを産生する微生物
の培養物又はその処理物及びアスパルターゼを産生する
微生物の培養物又はその処理物を、マレイン酸とアンモ
ニアを含有する水性溶液に作用させる方法としては、発
酵法または酵素法が挙げられる。ここで、「発酵法」と
は、少なくとも、使用する微生物が増殖可能な成分を含
む水性培地中で、その微生物が増殖可能な条件(温度、
pH)で微生物の増殖を伴いながら、目的物質を生成さ
せる方法である。また、「酵素法」とは、使用する微生
物を適当な培養方法で培養し、得られた菌体またはその
処理物を用いて、必ずしも増殖に必要な成分を含有しな
い水溶液中で目的物質を生成させる方法である。
【0054】発酵法の場合、マレイン酸イソメラーゼを
産生する微生物及びアスパルターゼを産生する微生物と
して、前記培養物又は菌体が用いられ、水性溶液とし
て、前記培地にマレイン酸とアンモニアを添加した培地
が用いられる。
【0055】培地中のマレイン酸及びアンモニア濃度
は、前記2種の微生物が、L−アスパラギン酸を生成し
得る濃度であれば特に制限されないが、マレイン酸濃度
は通常1〜40%(wt/vol)、好ましくは5〜2
0%(wt/vol)の範囲内、アンモニア濃度は通常
0.2〜8M、好ましくは1〜4Mの範囲内が適当であ
る。マレイン酸及びアンモニアは培地中へ一括あるいは
逐次添加することができる。また、連続反応において
は、マレイン酸濃度を0.01〜1%程度に維持して反
応させることもできる。
【0056】培養温度は、25〜40℃、好ましくは2
8〜35℃が適当であり、培養中の培地のpHは6〜9
付近とすることができ、pHの調整は、酸又はアルカリ
を添加して行うことができる。培養は、通気撹拌、振盪
等の好気的条件下で、通常約10〜約72時間行うこと
ができる。
【0057】上記のように培養することにより、培地中
にL−アスパラギン酸を著量生成蓄積させることができ
る。
【0058】酵素法の場合、マレイン酸イソメラーゼを
産生する微生物の培養物又はその処理物及びアスパルタ
ーゼを産生する微生物の培養物又はその処理物として、
前記菌体又はその処理物が用いられ、水性溶液として
は、少くともマレイン酸とアンモニアを含有する水溶液
又は適当な緩衝液、例えば0.05〜0.2M程度のリ
ン酸緩衝液が用いられる。
【0059】前記のように調製された菌体又はその処理
物の使用量は特に制限されるものではないが、水性溶液
の容量を基準として、各々0.5〜30%(wt/vo
l)が適当である。
【0060】水性溶液中のマレイン酸及びアンモニア濃
度は、マレイン酸とアンモニアが酵素反応により変換せ
しめられ、L−アスパラギン酸を生成し得る濃度であれ
ば特に制限されないが、マレイン酸濃度は通常1〜40
%(wt/vol)、好ましくは5〜20%(wt/v
ol)の範囲内、アンモニア濃度は通常0.2〜8M、
好ましくは1〜4Mの範囲内が適当である。マレイン酸
及びアンモニアは水性溶液中へ一括あるいは逐次添加す
ることができる。
【0061】水性溶液には、必要に応じて、カルシウム
塩、マグネシウム塩、マンガン塩等の2価金属塩を添加
することができる。
【0062】上記した水性溶液における酵素反応温度
は、通常20〜50℃、好ましくは25〜37℃の範囲
内が適当であり、反応中の水性溶液のpHは6〜10、
好ましくは7〜9付近とすることができ、pHの調整
は、酸又はアルカリを水性溶液に添加して行うことがで
きる。酵素反応は、通気撹拌、振盪等の好気的条件下
で、通常10〜72時間行うことができる。
【0063】上記のように酵素反応させることにより、
水性溶液中にL−アスパラギン酸を著量生成蓄積させる
ことができる。
【0064】本発明においては、マレイン酸からフマル
酸への異性化反応と、フマル酸とアンモニアからL−ア
スパラギン酸を生成する反応とが並行して進行するた
め、反応液中のフマル酸濃度を一定の範囲に抑えること
ができ、効率よくL−アスパラギン酸が生成される。特
に、反応液中のフマル酸の濃度は、0.5%(wt/v
ol)以下に維持されることが好ましい。このフマル酸
の濃度は、反応中に大部分の時間において0.5%(w
t/vol)以下に維持されればよく、瞬時この濃度を
越えることがあっても差し支えない。フマル酸濃度を
0.5%(wt/vol)以下に維持する為には、アス
パルターゼの活性をマレイン酸イソメラーゼ活性に対し
て相対的に過小にならないようにすればよく、例えば、
pHをアルカリ側に維持する、アンモニア濃度を上げ
る、アスパルターゼを産生する微生物をマレイン酸イソ
メラーゼを産生する微生物に対して過剰に添加する等の
方法が挙げられる。
【0065】上記のようにして水性溶液にL−アスパラ
ギン酸を生成蓄積させた後、水性溶液からL−アスパラ
ギン酸を採取するには、それ自体既知の通常用いられる
分離精製法に従って行うことができ、例えば硫酸等電点
沈澱法等により沈澱分離し、水洗、乾燥することによ
り、L−アスパラギン酸を結晶として採取することがで
きる。
【0066】本発明の方法によれば、効率よく、かつ高
収率でマレイン酸とアンモニアからL−アスパラギン酸
を製造することができる。
【0067】
【実施例】以上に本発明を説明してきたが、下記の実施
例により更に具体的に説明する。しかしながら、実施例
は本発明の具体的な認識を得る一助とみなすべきのもの
であり、本発明の範囲を何等限定するものではない。
【0068】
【実施例1】セラチア・マルセッセンスIFO3736
由来のマレイン酸イソメラーゼの部位特異的変異体をコ
ードするDNAの作製 (A) セラチア・マルセッセンスIFO3736株の
染色体DNAの調製 セラチア・マルセッセンスIFO3736株を、LB培
地[組成:トリプトン10g、酵母エキス5g、NaC
l10g、蒸留水 1000ml(NaOHで、pH7
に調整)]を用いて30℃で対数増殖期後期まで振とう
培養し、菌体を集めた。
【0069】得られた菌体を10mg/mlの濃度にな
るよう、リゾチームを含む10mMNaCl−20mM
トリス緩衝液(pH8.0)−1mM EDTA・2N
a溶液15mlに懸濁した。次にプロテナーゼK(宝酒
造製)を最終濃度が100μg/mlになるように添加
し、37℃で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナト
リウム(SDS)を最終濃度が0.5%になるように添
加し、50℃で6時間保温して溶菌させた。この溶菌液
に、等量のフェノール/クロロホルム溶液を添加し、室
温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離
(5,000×g,20分間,10〜12℃)し、上清
画分を分取した。この上清に酢酸ナトリウムを0.3M
となるよう添加した後、2倍量のエタノールをゆっくり
と加えた。水層とエタノール層の間に存在するDNAを
ガラス棒でまきとり、70%エタノールで洗浄した後、
風乾した。得られたDNAに10mMトリス緩衝液(p
H7.5)−1mMEDTA・2Na溶液5mlを加
え、4℃で一晩静置し染色体DNA溶液を得た。
【0070】(B)PCRプライマーの設計 セラチア・マルセッセンスIFO3736株由来のマレ
イン酸イソメラーゼへの部位特異的変異の導入には、リ
コンビナントPCR法(R. Higuchi et al. Recombinan
t PCR in "PCR Protocols: A Guide to Methods and Ap
plications" p.177, Academic Press, 1990)を用い、
同マレイン酸イソメラーゼの201番目のメチオニン残
基をシステインに置換した変異酵素、M201Cを作製
した。
【0071】セラチア・マルセッセンスIFO3736
株由来のマレイン酸イソメラーゼの201番目のメチオ
ニン残基をシステインに置換するため、セラチア・マル
セッセンスIFO3736株由来のマレイン酸イソメラ
ーゼ遺伝子の塩基配列601〜603位のATGコドン
(Metをコード)を、部位特異的変異によりTGCコ
ドン(Cysをコード)に変換した。リコンビナントP
CRに用いたオリゴDNAの配列は以下の通り設計し
た。
【0072】配列SMA3736 TTTCCCGGGA TGAGCAACCA CTACCGCATC (配列番号3) 配列PST3736 CCCCTGCAGT CAATAAGCGC CGGACAGCAG (配列番号4) 配列SM201CF CGCCTGCGTG CAGTGCCCTT CGCTGCCGGC (配列番号5) 配列SM201CR GCCGGCAGCG AAGGGCACTG CACGCAGGCG (配列番号6)
【0073】(C)1stPCR反応 上記(B)のプライマーを用いて、表1の組み合わせ
で、(A)で調製したセラチア・マルセッセンスIFO
3736株由来の染色体を鋳型としてPCRを行うと、
セラチア・マルセッセンスIFO3736株由来の染色
体上のマレイン酸イソメラーゼ遺伝子部分の増幅によ
り、各々表1に示す大きさのPCR反応産物が得られる
と期待される。
【0074】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 番号 プライマー1 プライマー2 断片の大きさ ──────────────────────────────────── SMW SMA3736 PST3736 約 770bp MC1A SMA3736 SM201CR 約 620bp MC1B SM201CF PST3736 約 160bp ────────────────────────────────────
【0075】実際のPCR反応はパーキンエルマーシー
タス社製のDNAサーマルサイクラーを用いて下記の条
件で行った。 反応液: 50mM KCl 10mM Tris−HCl(pH8.4) 1.5mM MgCl2 鋳型DNA 5μl 上記(A)で作製したプライマー 各々0.25μM dNTPs 各々200μM TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造) 2.5unit
s 以上を混合し、100μlとした。
【0076】PCRサイクル: デナチュレーション過程:94℃ 60秒 アニーリング過程:60℃ 120秒 エクステンション過程:72℃ 180秒 以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
【0077】上記で生成した反応液10μlを2%アガ
ロースゲルにより電気泳動を行ったところ表1に示した
大きさのDNA断片が検出された。
【0078】(D)2ndPCR反応 次に、プライマーとしてSMA3736およびPST3
736を用いて、上記(C)で調製したPCR反応産物
MC1およびMC2を鋳型として、PCR反応を行う
と、セラチア・マルセッセンスIFO3736株由来の
染色体上のマレイン酸イソメラーゼ遺伝子全体が連結さ
れた状態で増幅することにより、約770bpの変異型
マレイン酸イソメラーゼ遺伝子がPCR反応産物が得ら
れると期待される。PCRの条件は、上記(C)に準じ
た。但し、鋳型DNAは、上記(C)で生成したPCR
産物をGENECLEAN KIT(BIO 101, INC.
製)を用いゲルから切り出し精製したものを用いた。
【0079】上記で生成した反応液10μlを2%アガ
ロースゲルにより電気泳動を行ったところいずれも約7
70bpの大きさのDNA断片が検出された。
【0080】(E)増幅断片の発現ベクターへの導入、
および、大腸菌での発現 上記(C)項で得たPCR産物SMW、上記(D)項で
得たPCR産物MC1、および、大腸菌用高発現ベクタ
ーpKK223−3(ファルマシア社より市販)をそれ
ぞれ制限酵素SmaIおよびPstIで切断した後、切
断した個々のPCR産物とベクターとを混合し、50m
Mトリス緩衝液(pH7.6)、10mMジチオスレイ
トール、1mM ATP、10mM MgCl2及びT4
DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し(各成分
の濃度は最終濃度である)、4℃で15時間反応させ、
結合させた。
【0081】得られたプラスミド混液を用い、塩化カル
シウム法〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロ
ジー(Journal of Molecular Biology)、53、159 (19
70)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造
製)を形質転換し、アンピシリン50mgを含む培地
〔トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、N
aCl 5g及び寒天16gを蒸留水11に溶解〕に塗
抹した。
【0082】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素SmaIおよびPstIにより切断し、挿
入断片を確認した。この結果、プラスミドpKK223
−3の長さ4.6kbのDNA断片に加え、SMW、M
C1の長さ約760bpの挿入断片が認められた。それ
ぞれのプラスミドの名前をpKK−SMW、pKK−M
C1と命名し、該プラスミドを含有したエシェリヒア・
コリJM109をそれぞれエシェリヒア・コリECSM
W、ECMC1と命名した。
【0083】なお、上記で得られたマレイン酸イソメラ
ーゼ遺伝子の挿入断片については、その塩基配列を、Dy
e Terminator Cycle Sequencing FS Core Kit(ABI
社製)を用いた、ジデオキシヌクレオチド酵素法(dide
oxychain termination法)[Sanger,F.et al.,プロシ
ーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンス・オブ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメ
リカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)Vol.74,p.5463,(197
7)]により確認した。
【0084】
【実施例2】セラチア・マルセッセンスIFO3736
株由来のマレイン酸イソメラーゼの部位特異的変異体の
酸化安定性評価 実施例1で作製したエシェリヒア・コリECSMW、E
CMC1株を、アンピシリン50μg/mlを含むLB
(トリプトン10g,イーストエキストラクト5g,N
aCl5g)培地に植菌し、30℃で15時間好気的に
振とう培養した。得られた培養物を遠心分離(3,00
0×g、4℃、20分間)して菌体を回収後、緩衝液A
[20mM リン酸カリウム、0.5mMジチオスレイ
トール、pH7.2]で洗浄した。
【0085】得られた菌体1gを2mlの緩衝液Aに懸
濁し、超音波破砕装置により菌体を破砕した後、菌体破
砕物を遠心分離(10、000×g、4℃、30分間)
し、上清の可溶性画分を無細胞菌体抽出液として得た。
【0086】次いで、各無細胞菌体抽出液0.5ml
に、0mM、6mM、20mM、60mM、200mM
の過酸化水素溶液を0.5ml加え(最終処理濃度:0
mM、3mM、10mM、30mM、100mM過酸化
水素)、それぞれ30℃で1時間保温し、マレイン酸イ
ソメラーゼ酸化処理とした。次に、マレイン酸反応液
[組成:マレイン酸308g、Triton X-1002g、25
%アンモニア水により、pH8.5に調製 / 脱イオ
ン水 900ml]9mlを添加後、30℃で反応させ
た。20分、60分、240分反応後の反応液を、10
0℃で2分間処理し反応を停止させた後、遠心分離
(3,000×g、4℃、20分間)し、得られた上清
液について有機酸カラム(島津製作所製SCR−101
Hカラム)、UV検出器(210nm)を用いた高速液
体クロマトグラフィー分析(島津社製、LC-5A)に
供した。
【0087】HPLCにより検出されるマレイン酸の減
少よりマレイン酸イソメラーゼの残存活性を測定したそ
の結果を表2に示す。活性はECMC1株において過酸
化水素の濃度0mMで処理時の活性を100とする相対
値で示す。なお、30℃、1時間、30mM過酸化水素
の条件で酸化処理した際の活性低下率は、ECSMW株
では80%、ECMC1株では30%であった。
【0088】
【表2】 表2 組換え大腸菌無細胞抽出液酸化処理後のマレイン酸イソメラーゼの残存活性 ──────────────────────────────────── 過酸化水素処理濃度 0mM 10mM 30mM 100mM 300mM ──────────────────────────────────── ECSMW 300 120 60 30 10 ECMC1 100 80 70 60 30 ────────────────────────────────────
【0089】この結果より、セラチア・マルセッセンス
IFO3736株由来のマレイン酸イソメラーゼの20
1番目のメチオニン残基をシステインに置換することに
より、同酵素の酸化安定性が向上することが示された。
【0090】
【実施例3】 酸化安定性マレイン酸イソメラーゼを用
いるアスパラギン酸の製造法 (A)マレイン酸イソメラーゼを産生する微生物の培養 トリプトン10g、酵母エキス5g、NaCl5g及び
蒸留水1000ml(苛性ソーダでpH7.2に調整)
の組成の培地100mlを500ml容の三角フラスコ
に分注し、120℃、20分間滅菌処理したものに、エ
シェリヒア・コリ ECSMW株、および、ECMC1
株をそれぞれ植菌し、30℃にて24時間振とう培養し
た。
【0091】次に、上記と同様の培地1500mlを3
L容のジャーファーメンターに入れ、120℃、20分
間滅菌処理したものに、上記振とう培養液30mlをそ
れぞれ接種し、これを30℃にて24時間培養した。得
られた培養液を遠心分離(8000rpm、15分、4
℃)して集菌した菌体を、0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.0)で1回洗浄し、以下の反応に供試した。
【0092】(B)アスパルターゼを産生する微生物の
培養 尿素4g、(NH42SO4 14g、KH2PO4 0.
5g、K2HPO4 0.5g、MgSO4・7H2O0.
5g、FeSO4・7H2O20mg、MnSO4・nH2
O20mg、D-ビオチン200μg、塩酸チアミン10
0μg、酵母エキス1g、カザミノ酸1g及び蒸留水1
000ml(pH6.6)の組成の培地100mlを5
00ml容の三角フラスコに分注し、120℃、15分
間滅菌処理したものに滅菌済み50%グルコース水溶液
4mlを加え、ブレビバクテリウム フラバム AB−
41菌株を植菌し、33℃にて24時間振とう培養し
た。
【0093】次に、上記と同様の培地1000mlを2
L容のジャーファーメンターに入れ、120℃、20分
間滅菌処理したものに、上記振とう培養液20mlと滅
菌済み50%グルコース水溶液200mlを加え、これ
を33℃にて24時間培養した。得られた培養液を遠心
分離(8000rpm、15分、4℃)して集菌した。
本菌体は、夾雑するリンゴ酸副生活性を以下の方法で除
いた。すなわち、アスパラギン酸100g,アンモニア
180ml、塩化カルシウム2.2g,Tween20
0.8g(水で全量1Lとする)の組成の溶液に菌体を
懸濁し、45℃にて3時間振とうし、遠心分離(800
0rpm、15分、4℃)して菌体を回収した。
【0094】(C)マレイン酸とアンモニアからのアス
パラギン酸生成 回収した両菌体(マレイン酸イソメラーゼ産生菌[EC
SMW株、あるいは、ECMC1株]10g、アスパルタ
ーゼ産生菌150g)を、反応液(マレイン酸266g、ア
ンモニア390ml(水で全量を1000mlにする:
pH9))に添加し、30℃で24時間反応させた。2
66gのマレイン酸からは、マレイン酸イソメラーゼ産
生菌としてECSMW株を用いた場合には180g/l
のL-アスパラギン酸が、マレイン酸イソメラーゼ産生菌
としてECMC1株を用いた場合270g/lのL-アス
パラギン酸が得られた。反応後、L-アスパラギン酸アン
モニウムに、硫酸を加えてアスパラギン酸を沈澱させ、
そして沈殿を水洗後乾燥させ、アスパラギン酸結晶を得
た。マレイン酸イソメラーゼ産生菌としてECSMW株
を用いた場合の得られた結晶は177gであり、マレイ
ン酸イソメラーゼ産生菌としてECMC1株を用いた場
合の得られた結晶は267gであった。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、酸化安定性に優れたマ
レイン酸イソメラーゼを利用することによって、効率的
よくかつ高収率でマレイン酸とアンモニアからL−アス
パラギン酸を製造する製造法が提供される。
【0096】
【配列表】 <110> 三菱化学株式会社 <120> L−アスパラギン酸の製造方法 <130> J02427 <160> 6 <210> 1 <211> 753 <212> DNA <213> Serratia marcescens <220> <221> CDS <222> 1..753 <400> 1 atg agc aac cac tac cgc atc ggc cag atc gtg ccc agc tcc aac acc 48 Met Ser Asn His Tyr Arg Ile Gly Gln Ile Val Pro Ser Ser Asn Thr 1 5 10 15 acg atg gaa acc gag atc ccg gcg atg ctg ggc gcg cgc cag ctg ata 96 Thr Met Glu Thr Glu Ile Pro Ala Met Leu Gly Ala Arg Gln Leu Ile 20 25 30 cgc ccg gag cgt ttc acc ttt cac tcc agc cgc atg cgc atg aaa cac 144 Arg Pro Glu Arg Phe Thr Phe His Ser Ser Arg Met Arg Met Lys His 35 40 45 gtc aat aaa gaa gaa ttg gcg gcg atg gac gcc gag tcc gat cgc tgc 192 Val Asn Lys Glu Glu Leu Ala Ala Met Asp Ala Glu Ser Asp Arg Cys 50 55 60 gcg ctg gag ctg tcc gac gcg cgg gtc gac gtg ctc ggc tac gcc tgc 240 Ala Leu Glu Leu Ser Asp Ala Arg Val Asp Val Leu Gly Tyr Ala Cys 65 70 75 80 ctg gtg gcc atc atg gcg atg ggg ctg ggc tac cac cgc gaa tcg cag 288 Leu Val Ala Ile Met Ala Met Gly Leu Gly Tyr His Arg Glu Ser Gln 85 90 95 gcc cgg ctg gcg cag gtg acg aaa gac aat cag gcc gcc gcg ccg gtc 336 Ala Arg Leu Ala Gln Val Thr Lys Asp Asn Gln Ala Ala Ala Pro Val 100 105 110 atc agc agc gcc ggc gcg ctg gtc aac ggc ctg aag gtg atc ggc gcc 384 Ile Ser Ser Ala Gly Ala Leu Val Asn Gly Leu Lys Val Ile Gly Ala 115 120 125 aaa cgc atc gcg ctg gtg gcg ccc tac atg aaa ccg ctg acc cag ctg 432 Lys Arg Ile Ala Leu Val Ala Pro Tyr Met Lys Pro Leu Thr Gln Leu 130 135 140 gtg gtg gac tac atc cag cac gaa ggc atc gag gtc aag gta tgg cgc 480 Val Val Asp Tyr Ile Gln His Glu Gly Ile Glu Val Lys Val Trp Arg 145 150 155 160 gcg ctg gag atc ccg gac aac ctc gac gtc ggc cgg cac gat ccg gcc 528 Ala Leu Glu Ile Pro Asp Asn Leu Asp Val Gly Arg His Asp Pro Ala 165 170 175 agg ctg ccg ggg atc gtc gcc gag atg gac tta cgc gag gtc gat gct 576 Arg Leu Pro Gly Ile Val Ala Glu Met Asp Leu Arg Glu Val Asp Ala 180 185 190 atc gtg ctg tcc gcc tgc gtg cag atg cct tcg ctg ccg gcc gtc ccg 624 Ile Val Leu Ser Ala Cys Val Gln Met Pro Ser Leu Pro Ala Val Pro 195 200 205 acg gtg gag gcc caa acc ggc aaa ccg gtg atc acc gcc gcc atc gcc 672 Thr Val Glu Ala Gln Thr Gly Lys Pro Val Ile Thr Ala Ala Ile Ala 210 215 220 acc act tac gcg atg ctg acc gcg ctg gag ctg gaa ccg atc gtt ccc 720 Thr Thr Tyr Ala Met Leu Thr Ala Leu Glu Leu Glu Pro Ile Val Pro 225 230 235 240 ggc gcc ggc gcc ctg ctg tcc ggc gct tat tga 753 Gly Ala Gly Ala Leu Leu Ser Gly Ala Tyr 245 250 <210> 2 <211> 250 <212> PRT <213> Serratia marcescens <400> 2 Met Ser Asn His Tyr Arg Ile Gly Gln Ile Val Pro Ser Ser Asn Thr 1 5 10 15 Thr Met Glu Thr Glu Ile Pro Ala Met Leu Gly Ala Arg Gln Leu Ile 20 25 30 Arg Pro Glu Arg Phe Thr Phe His Ser Ser Arg Met Arg Met Lys His 35 40 45 Val Asn Lys Glu Glu Leu Ala Ala Met Asp Ala Glu Ser Asp Arg Cys 50 55 60 Ala Leu Glu Leu Ser Asp Ala Arg Val Asp Val Leu Gly Tyr Ala Cys 65 70 75 80 Leu Val Ala Ile Met Ala Met Gly Leu Gly Tyr His Arg Glu Ser Gln 85 90 95 Ala Arg Leu Ala Gln Val Thr Lys Asp Asn Gln Ala Ala Ala Pro Val 100 105 110 Ile Ser Ser Ala Gly Ala Leu Val Asn Gly Leu Lys Val Ile Gly Ala 115 120 125 Lys Arg Ile Ala Leu Val Ala Pro Tyr Met Lys Pro Leu Thr Gln Leu 130 135 140 Val Val Asp Tyr Ile Gln His Glu Gly Ile Glu Val Lys Val Trp Arg 145 150 155 160 Ala Leu Glu Ile Pro Asp Asn Leu Asp Val Gly Arg His Asp Pro Ala 165 170 175 Arg Leu Pro Gly Ile Val Ala Glu Met Asp Leu Arg Glu Val Asp Ala 180 185 190 Ile Val Leu Ser Ala Cys Val Gln Met Pro Ser Leu Pro Ala Val Pro 195 200 205 Thr Val Glu Ala Gln Thr Gly Lys Pro Val Ile Thr Ala Ala Ile Ala 210 215 220 Thr Thr Tyr Ala Met Leu Thr Ala Leu Glu Leu Glu Pro Ile Val Pro 225 230 235 240 Gly Ala Gly Ala Leu Leu Ser Gly Ala Tyr 245 250 <210> 3 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 3 tttcccggga tgagcaacca ctaccgcatc 30 <210> 4 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 4 cccctgcagt caataagcgc cggacagcag 30 <210> 5 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 5 cgcctgcgtg cagtgccctt cgctgccggc 30 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 6 gccggcagcg aagggcactg cacgcaggcg 30
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 9/90 C12R 1:425) (C12P 13/20 C12R 1:19)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイン酸イソメラーゼを産生する微生
    物の培養物又はその処理物と、アスパルターゼを産生す
    る微生物の培養物又はその処理物の存在下、マレイン酸
    及びアンモニアから酵素反応によりL−アスパラギン酸
    を製造する方法において、前記マレイン酸イソメラーゼ
    が、前記マレイン酸イソメラーゼをコードするDNAに
    より形質転換されたエシェリヒア・コリJM109の菌
    体破砕無細胞抽出液を30℃、1時間、30mM過酸化
    水素の条件で酸化処理した際のマレイン酸イソメラーゼ
    の活性低下率が40%未満であるものであることを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】 マレイン酸イソメラーゼのメチオニン残
    基が酸化処理に対してより安定な他のアミノ酸残基に置
    換された請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 配列番号2に示すアミノ酸配列の201
    位のメチオニン残基に相当するメチオニン残基が酸化処
    理に対してより安定な他のアミノ酸残基に置換された請
    求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 他のアミノ酸残基がシステイン残基であ
    る請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 マレイン酸イソメラーゼがセラチア属細
    菌由来であることを特徴とする請求項4記載の方法。
JP10317119A 1998-11-09 1998-11-09 L−アスパラギン酸の製造方法 Pending JP2000139466A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10317119A JP2000139466A (ja) 1998-11-09 1998-11-09 L−アスパラギン酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10317119A JP2000139466A (ja) 1998-11-09 1998-11-09 L−アスパラギン酸の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000139466A true JP2000139466A (ja) 2000-05-23

Family

ID=18084658

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10317119A Pending JP2000139466A (ja) 1998-11-09 1998-11-09 L−アスパラギン酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000139466A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019119614A1 (zh) * 2017-12-19 2019-06-27 江南大学 一种双酶偶联全细胞催化马来酸合成l-天冬氨酸的方法
CN110724680A (zh) * 2019-10-29 2020-01-24 天津大学 一种3-苯基马来酸异构酶及其应用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019119614A1 (zh) * 2017-12-19 2019-06-27 江南大学 一种双酶偶联全细胞催化马来酸合成l-天冬氨酸的方法
US10837036B2 (en) 2017-12-19 2020-11-17 Jiangnan University Method for preparing L-aspartic acid with maleic acid by whole-cell biocatalysis
CN110724680A (zh) * 2019-10-29 2020-01-24 天津大学 一种3-苯基马来酸异构酶及其应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2377693C (en) Methods for producing l-amino acids
JP4074365B2 (ja) ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子及び該遺伝子破壊株
US8460902B1 (en) DNA encoding hydantoinase, DNA encoding N-carbamyl-L-amino acid hydrolase, recombinant DNA, transformed cell, method of producing protein, and method of producing optically active amino acid
JPH11513255A (ja) 立体特異的ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼ酵素をコードする核酸断片、ならびにキラルアミドおよび酸の生産に有用なそれら酵素を発現する組換え微生物
WO2006041143A1 (ja) 新規なd-セリン合成活性を有する酵素をコードするdna、該酵素の製造方法、及びこれを利用したd-セリンの製造方法
JP3408737B2 (ja) ニトリルヒドラターゼの活性化に関与するタンパク質及びそれをコードする遺伝子
CA2259954C (en) Process for the preparation of (s)- or (r)-3,3,3-trifluoro-2-hydroxy-2-methylpropionic acid
KR100244066B1 (ko) D-N-카르바모일-α-아미노산의 제조법
JP4108095B2 (ja) 新規なニトリルヒドラターゼ
JP4216719B2 (ja) ハロゲン化合物耐性新規ギ酸脱水素酵素及びその製造方法
JPH10337185A (ja) アスパルターゼ活性を有する新規なタンパク質および該タンパク質をコードする遺伝子dna
JP2000139466A (ja) L−アスパラギン酸の製造方法
JP2003024073A (ja) D−ヒダントインハイドロラーゼをコードするdna、n−カルバミル−d−アミノ酸ハイドロラーゼをコードするdna、該遺伝子を含む組み換えdna、該組み換えdnaにより形質転換された細胞、該形質転換細胞を用いるタンパク質の製造方法、および、d−アミノ酸の製造方法
JP2004215513A (ja) 改良型ニトリルヒドラターゼ
JPH07163383A (ja) L−アラニンの製造法
JPH11137254A (ja) バチルス属細菌由来のトランスグルタミナーゼの製造法
JPH11221083A (ja) 酸化安定性マレイン酸イソメラーゼをコードするdna
JP2003189863A (ja) アスパラギン酸アミド並びにその誘導体の製造方法
JP4253195B2 (ja) 改変型エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ
CA2198160A1 (en) Enzyme with leudh activity, nucleotide sequence coding therefor and process for the preparation of the enzyme
JP5096911B2 (ja) 5−置換ヒダントインラセマーゼ、これをコードするdna、組換えdna、形質転換された細胞、および、光学活性n−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法
JP2000279172A (ja) 新規なインドール酸化酵素をコードするdnaとその利用
JP2902112B2 (ja) D―α―アミノ酸の製造法
JP4627039B2 (ja) アミダーゼ活性を有するポリペプチド及びその遺伝子
JP2004222538A (ja) 改良型ニトリルヒドラターゼ