JPH0822228B2 - アミノ酸アミド加水分解酵素及びその使用 - Google Patents

アミノ酸アミド加水分解酵素及びその使用

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JPH0822228B2
JPH0822228B2 JP1054995A JP5499589A JPH0822228B2 JP H0822228 B2 JPH0822228 B2 JP H0822228B2 JP 1054995 A JP1054995 A JP 1054995A JP 5499589 A JP5499589 A JP 5499589A JP H0822228 B2 JPH0822228 B2 JP H0822228B2
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、新規なアミノ酸アミド加水分解酵素、そ
の製造方法、該酵素を生産する微生物、及び該酵素を使
用するD−アミノ酸の製造法に関する。D−アミノ酸
は、医薬、農薬、食品の合成原料として有用である。
〔従来の技術〕
アミノ酸アミド加水分解酵素は、通常、L−アミノ酸
アミドに作用してL−アミノ酸を遊離する。ロビンソン
ら(Journal of Biological Chemistry,202,1(195
3))、ホプスら(Archives of Biochemistry and Biop
hysics,114,567−575(1966))、ミナミウラら(Journ
al of Fermentation Technology,33,653(1969))、プ
ランスコットら(Journal of Biochemistry,75,185(19
74))は、各種生物由来のアミノペプチダーゼが、L−
アミノ酸からなるペプチドに作用するのみならず、D−
アミノ酸をN末端とするペプチドに対してもわずかに作
用することを報告しているが、これらは、D−アミノ酸
からなるペプチドにのみ特異的に作用するアミノ酸アミ
ド加水分解酵素ではない。
マエストラッチら(Archives fr Microbiology,13
8,315(1984))は、ブレビバクテリウム(Brevibackte
rium)属細菌の産生するアシルアミド・アミドヒドロラ
ーゼ(EC3.5.1.4)が直鎖あるいは芳香族カルボン酸ア
ミドのみならずD−アラニンアミドにも作用することを
報告しているがD−立体特異的な加水分解については全
く記載されていない。又、本酵素はアミノ酸アミド加水
分解酵素ではない。
特開昭57−13000、特開昭59−15978、特開昭60−3644
6、特開昭62−55097、及び特開昭62−253397には、各種
微生物によるDL−アミノ酸アミド又は、L−アミノ酸ア
ミドの、対応するL−アミノ酸への酵素的加水分解法が
記載されているが、酵素化学的見地から、いかなる酵素
が関与しているのかについて記載されていない。又、D
−アミノ酸アミド含有物のD立体特異的な加水分解につ
いては全く記載されていない。
特開昭60−184392にはアクロモバクター(Achromobac
ter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、及びクル
チア(Kurthia)属細菌菌体によるD−アミノ酸アミド
の、対応するD−アミノ酸への酵素的加水分解法が記載
されているが、酵素化学的見地から、いかなる酵素が関
与しているのかについて記載されていない。又、記載さ
れている加水分解反応はD−アミノ酸アミドを原料とす
るものであり、D−アミノ酸アミド含有物のD立体特異
的な加水分解については確認されていない。
特開昭61−96989にはロドコッカス・エリスロポリス
(Phodococcus erythropolis)菌体によるD−アミノ酸
アミドの、対応するD−アミノ酸への酵素的加水分解法
が記載されているが、酵素化学的見地から、いかなる酵
素が関与しているのかについて記載されていない。又、
D−アミノ酸アミド含有物のD立体特異的な加水分解に
ついては全く記載されていない。
特開昭61−274690には、シュードモナス(Pseudomona
s)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、及びセラチア
(Serratia)属細菌菌体によるD−アミノ酸アミドの、
対応するD−アミノ酸への酵素的加水分解法が記載され
ているが、酵素化学的見地からいかなる酵素が関与して
いるかについて記載されていない。又、記載されている
加水分解反応はD−アミノ酸アミドを原料とするもので
あり、D−アミノ酸アミド含有物のD立体特異的な加水
分解については全く記載されていない。
特開昭63−87998、および銅谷ら、昭和63年度日本醗
酵工学会大会講演要旨集p34には、ロドコッカス(Rhodo
coccus)属細菌菌体によるDL−アミノ酸アミドの、対応
するD−アミノ酸への酵素的加水分解法が記載されてい
るが、酵素化学的見地からいかなる酵素が関与している
のかについて記載されていない。又、記載されている加
水分解反応はアクロモバクター(Achromobacter)属細
菌によるものではない。
尾崎ら、昭和63年度日本醗酵工学会大会講演要旨集p3
4には、アルスロバクター(Arthrobacter)属細菌菌体
によるDL−アラニンアミドの、対応するD−アラニンへ
の酵素的加水分解法が記載されているが、酵素化学的見
地からいかなる酵素が関与しているのかについて記載さ
れていない。又、記載されている加水分解反応はアクロ
モバクター(Achromobacter)属細菌によるものではな
い。
浅野ら、昭和63年度日本日本農芸化学会大会講演要旨
集p588;浅野、昭和63年度有機合成夏期セミナー「活き
た有機合成の新手法と新概念」要旨集p28;浅野、ペトロ
テック12,42(1988)には、未同定細菌より精製したD
−アミノ酸アミド加水分解酵素によるDL−アミノ酸アミ
ドの、対応するD−アミノ酸への酵素的加水分解法が記
載されているが、記載されている加水分解酵素の分子量
は122,000であり、本発明の酵素とは、分子量の点で異
なる。また、該酵素が作用する基質としてはD−アラニ
ンアミド、D−2−アミノ酪酸アミド、D−セリンアミ
ド、D−スレオニンアミド、D−メチオニンアミド、及
びD−ノルバリンアミドのアミノ酸アミド、並びにD−
アラニルグリシン、D−アラニル−D−アラニル−D−
アラニン、D−アラニル−L−アラニル−L−アラニ
ン、D−アラニル−D−アラニル−D−アラニル−D−
アラニン、D−アラニンパラニトロアニアリド等のD−
アラニン誘導体が言及されているにすぎず、他のアミノ
酸誘導体に作用する旨の記載はない。
特公昭61−68には、D−アミノ酸を含むオリゴペプチ
ドに作用する放線菌由来のD−アミノ酸ペプチダーゼの
製造法が記されているが、本酵素はペプチドのC末端に
作用するカルボキシペプチダーゼ様酵素であって、D−
アミノ酸アミドに特異的な加水分解酵素ではない。
従って、アクロモバクター属細菌の菌体処理物による
DL−アミノ酸アミドの、対応するD−アミノ酸へD立体
選択的な加水分解法については、D−アラニンアミド、
D−2−アミノ酪酸アミド、D−セリンアミド、D−ス
レオニンアミド、D−メチオニンアミド、及びD−ノル
バリンアミド以外、全く知られていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って本発明は、今まで存在することが知られていな
かった基質特異性および分子量を有するD−アミノ酸ア
ミドに特異的な加水分解酵素、該酵素の新規な製造方
法、該酵素を生産する微生物、及び該酵素を利用するD
−アミノ酸の新規な製造法を提供しようとするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者等は、該酵素を生産する新規な微生物及び該
酵素の新規な製造方法を開発するために、D−アミノ酸
誘導体に特異的に作用するアミノ酸アミド加水分解酵素
活性を有する菌株を広範囲にスクリーニングしたとこ
ろ、アクロモバクター属細菌が新規なD−アミノ酸アミ
ノ酸アミド加水分解酵素を生産することを見出した。
前記の目的は、D−アミノ酸誘導体に特異的に作用す
ることを特徴とするアミノ酸アミド加水分解酵素;アミ
ノ酸アミド加水分解酵素を生産する細菌を培養し、この
培養物から前記酵素を採取することを特徴とする前記酵
素の製造方法;前記酵素又は該酵素の含有物の存在下で
D−アミノ酸アミド含有物を反応せしめ、該D−アミノ
酸を採取することを特徴とするD−アミノ酸の製造方
法;を提供することにより解決される。
〔具体的な説明〕
(1)微生物 本発明において使用する微生物としてはD−アミノ酸
誘導体に特異的なアミノ酸アミド加水分解酵素を生産で
きるアクロモバクター(Achromobacter)属に属する微
生物であればよく、このような微生物は保存菌のなかか
ら選択することができる場合もあり、また自然界から分
離することができる。
このような微生物としては、例えば本発明者により分
離された新菌株アクロモバクターsp.SCRC−SV3を挙げる
ことができる。この菌株アクロモバクターsp.SCRC−SV3
は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第1060
8号(FERM P−10608)として寄託されている。
この菌株の分離源は神奈川県相模原市である。
前記の新規な菌株は第1表に示すような菌学的性質を
有する。
上記の菌学的性質に基づきチェスターとクーパー〔Jo
urnal of Clinical Microbiology,9,425(1979)〕及
び、Manual of Clinical Microbiology 4th ed.,P330,
(1985)の記述に従って、前記SCRC SV3の菌株を次のよ
うに同定した。すなわち、グラム陰性、胞子の生成無
し、短桿菌、運動性、好気的、オキシダーゼ陽性、及び
グルコースから酸が生成する。このような性質からアク
ロモバクター属に属する細菌であることが明らかであ
る。
なお、これらの菌株に変異を生じさせて一層生産性の
高い菌株を得ることもできる。また、これらの菌株の細
胞中に存在するアミノ酸アミド加水分解酵素の生産に関
与する遺伝子を切り出し、これを適切なベクター例えば
プラスミドに挿入し、このベクターを用いて適当な宿
主、例えばエッシェリッヒア・コリ(Escherichia col
i)や酵母のごとき異種宿主もしくはアクロモバクター
属細菌のごとき同種宿主を形質転換することにより、本
発明のアミノ酸アミド加水分解酵素生産株を人為的に創
製することもできる。
(2)酵素の製造方法 前記の微生物を培養して本発明のアミノ酸アミド加水
分解酵素を製造しようとする場合、基礎栄養培地とし
て、この発明の微生物が増殖し得るものであればいずれ
を使用してもよい。この培地は、窒素源として例えば硫
安、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等の1種類又は複
数種類を含有する。また、この培地には必要に応じて炭
素源としてグルコース、澱粉、グリセリン等を加えるこ
とができる。この培地には無機塩類、例えばリン酸二カ
リウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム等を加える
ことが好ましい。また、酵素の誘導物質となりうる少量
のD−アミノ酸アミドを添加することも好ましい。D−
アミノ酸アミドの添加量は基礎培地の組成、培養する菌
株の性質により異なるが、および0.01〜5%である。
培養は固体培地又は液体培地のいずれを用いてもよい
が、目的酵素を多量に得るためには、液体培地を用い、
振盪培養、通気・攪拌培養等により好気的条件下で培養
を行なうのが好ましい。培養温度は菌が生育し、アミノ
酸アミド加水分解酵素が生産される温度範囲内であれば
いずれの温度でも良いが、好ましくは25〜45℃である。
pHは5〜11、好ましくは6〜10の範囲である。培養時間
は酵素活性が発現される時間を選べば良いが好ましくは
6〜72時間である。
次に得られた培養物から本発明のアミノ酸アミド加水
分解酵素が採取されるが、精製法として通常の酵素精製
法を用いることが出来る。遠心分離等によって菌体を集
め、超音波処理、ダイノミル等の機械的方法によって菌
体を破砕する。細胞片などの固形物を遠心分離などによ
って除き、粗酵素を得、さらにこれに硫酸プロタミン又
は流酸ストレプトマイシンを加えて処理を行ない、塩
析、有機溶媒沈殿、吸着クロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、
アフィニティークロマトグラフィー等を行ない、さらに
硫酸アンモニウム等の塩やポリエチレングリコール等の
添加により結晶化等の公知の方法によって均一の結晶酵
素標品を単離することが出来る。
この方法において使用されるアミノ酸アミド加水分解
酵素の使用形態は特に限定されない。例えば、精製され
た酵素を使用することができるのは無論のこと、細胞を
含有する培養液、培養生菌体、アセトン等によって脱水
処理された風乾菌体、菌体破砕物、種々の段階まで精製
された部分精製物を使用することが出来る。さらにこれ
らの酵素または酵素含有物をポリアクリルアミド、光架
橋性樹脂、ポリウレタン樹脂、カッパカラギーナン、ア
ルギン酸ナトリウム、イオン交換樹脂、半透膜、高分子
酵素修飾剤等により固定化したものを使用することが出
来る。
(3)力価の測定法 本発明においては次の方法により力価を測定した。ト
リス−塩酸緩衝液(pH8.5)50μmol、D−フェニルアラ
ニンアミド5μmol、及び適当量の酵素サンプルを0.5ml
になるように混合し、30℃において10分間反応せしめた
後、沸騰水中に3分間浸して反応を停止し、生成したD
−フェニルアラニンを以下の方法によって定量した。す
なわち、上記反応液0.5mlに、フェノール10.6μmol、4
−アミノアンチピリン0.79μmol、パーオキシダーゼ5
単位を加えて、1.5mlとし、30℃において5分間保温し
た後、D−アミノ酸オキシダーゼを0.14単位加えて1.6m
lとし、37℃において60分間振盪した。これを沸騰水中
に3分間浸して反応を停止し、500nmにおける吸収を測
定して、検量線より反応液中のD−フェニルアラニン量
を求めた。また、他のD−及びL−アミノ酸アミドに対
する本酵素の活性は、生成するアンモニアを定量キット
(協和メデックス社製)を用いて測定して求めた。1分
間当り1μmolのD−フェニルアラニンを生成する酵素
量を1単位とした。
(4)酵素の性質 本発明のアミノ酸アミド加水分解酵素は次の性質を有
する。
(1)作用:次式に示す反応を触媒する。
D−アミノ酸アミド+H2O→D−アミノ酸+NH3 (2)基質特異性:本酵素は、D−トリプトファンアミ
ド、D−フェニルアラニンアミド、D−チロシンアミド
等の芳香族D−アミノ酸アミド、及びその他の比較的疎
水性の高いD−アミノ酸アミドを良好な基質とする。具
体的には第2表の通りである。
これらに対応するL−アミノ酸アミドには作用しな
い。
(3)至適pH:pH8付近が至適である。
(4)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中、30℃にて
1時間保温した後の残存活性を測定した場合、pH7.0〜1
0.0付近が安定である。
(5)至適温度:40℃付近における活性が最大である。
(6)温度安定性:0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)中、各温
度において10分間処理した後の残存活性を測定したとこ
ろ、35℃で85%の活性が残存していた。
(7)吸収スペクトル:278nmに極大吸収を有する。
(8)金属イオン、阻害剤の影響:亜鉛、水銀等の金属
イオン及びPMSF等の阻害剤によって活性が阻害される。
(9)等電点:アンホラインを用いる焦点電気泳動によ
り測定した場合、約5.3である。
(10)分子量:高速液体クロマトグラフィー(TSK3000S
W)により約38,000と算出される。
(11)均一性:高速液体クロマトグラフィー(TSK DEAE
5PW)により第1図Aに示す如く単一のピークを与え
る。また、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により第1
図Bに示す如く単一のバンドを与える。
(5)D−アミノ酸の製造法 新規なアミノ酸アミド加水分解酵素を用いて、D−ア
ミノ酸アミド含有物からD−アミノ酸を合成する方法
は、以下のごとくに行われる。本発明に用いられるD−
アミノ酸アミド含有物は、例えば、公知の方法に従って
それぞれのD−アミノ酸メチルエステル含有物を合成
し、続いて、アンモニアガスと反応せしめるか、あるい
は、ストレッカー法により合成したα−アミノニトリル
を化学的あるいは酵素的に水和して得ることができる。
また、DL−アミノ酸アミドの酵素による光学分割の際に
副生するD−アミノ酸アミドを用いることもできる。本
発明に用いる酵素としては、アミノ酸アミド加水分解酵
素、アミダーゼ、アミノペプチダーゼ、アシラーゼ等い
ずれの通称名で呼ばれるものでも良いが、N末端が遊離
のD−アミノ酸アミドに対してD立体特異的に作用して
D−アミノ酸を生成する加水分解酵素であれば良い。具
体的には、本発明のアミノ酸アミド加水分解酵素を挙げ
ることができる。
アミノ酸アミド加水分解酵素反応によるD−アミノ酸
の製造の態様については、特に制限はないが、通常は前
記の酵素を含む反応液に基質としてのD−アミノ酸アミ
ド、及び水が含まれていれば反応が進行する。
酵素の態様としては、特に制限はないが、細胞を含有
する培養液、培養菌体、酵素源を含む処理物、培養上清
液、他は培養液から分離した菌体の処理物、これから得
た酵素剤、さらに、これらの酵素又は、酵素含有物を常
法によって固定化したもの等、酵素反応手段として実施
される方法であれば反応に供することができる。工業的
な実施にあたっては、生菌体、固定化菌体等を用いるの
が有利である。反応液中のアミノ酸アミド加水分解酵素
の量は基質であるD−アミノ酸アミドの量等によって異
なり、特に限定されないが、通常1〜100,000単位とす
るのが便利である。
原料のD−アミノ酸アミドの濃度は反応を阻害しない
程度であれば良く、反応液中の前記酵素の濃度等により
異なり特に限定されないが、1〜500g/とするのが便
利である。低濃度で使用する場合には遊離塩基の形で使
用することができるが、比較的高濃度で使用する場合に
は例えば、塩酸塩やトシル酸塩等の形で使用するのがpH
調整の観点から好ましい。D−アミノ酸アミド含有物又
はその塩はバッチ式反応においては反応開始時に一度に
添加することもでき、又反応の進行と共に複数回に分割
して、もしくは連続的に添加することもできる。
反応媒体としては、水、又はアセトン、アセトニトリ
ル、DMSOもしくはDMF等を含む緩衝作用を有する水溶液
を用いることができる。緩衝液としては、例えば、トリ
ス−HCl緩衝液、リン酸緩衝液、イミダゾール−HCl緩衝
液、HEPES−NaOH緩衝液、TRICINE−HaOH緩衝液、炭酸ナ
トリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸−NaOH緩
衝液等を使用することができる。また、ケトン、エーテ
ル、炭化水素、芳香族オレフィン、ハロゲン化炭化水
素、有機酸エステル、アルコール、ニトリル等水と混合
しない有機溶媒をも用いることもできる。例えば、メチ
ブチルケトン、イソプロピルエーテル、石油エーテル、
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、四塩化炭素、ク
ロロフォルム、二塩化メチレン、トリクロロエタン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール等を水と
共存させて使用することができる。また、それらの有機
溶媒の混合物を使うこともできるし、水を飽和させた有
機溶媒、水性緩衝液との二層系あるいは、ミセル、逆ミ
セル、エマルジョンとして反応させることもできる。
反応のpHとしては、pH5〜11、好ましくはpH6〜10とす
る。
反応の温度も反応のpHと同様に考えることができる
が、通常は20〜60℃、好ましくは25〜50℃である。
反応時間は、特に限定されないが、反応混合物の基質
濃度、酵素力価等、に依存して基質D−アミノ酸アミド
含有物が充分な収率でD−アミノ酸に転換されるまで反
応を維持する。
生成したD−アミノ酸は任意に常法によって精製採取
することができる。例えば、反応終了後に、トリクロロ
酢酸を加えて蛋白質を沈澱せしめ、菌体(存在する場合
には)と共に濾過し、濾液をイオン交換樹脂等により精
製し、結晶化する。
次に実施例によりこの発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1.アクロモバクターsp.SCRC−SV3からのD−アミ
ノ酸アミダーゼの精製 グルコース0.1%、トリプトン0.5%、酵母エキス0.5
%、及びK2HPO40.1%を含有し、pH7.0に調整した培地10
を120℃、15分間加熱殺菌した後、アクロモバクターs
p.SCRC−SV3(微工研菌寄第10608号)を接種して24時間
培養の後、菌体を得た。
菌体を生理的食塩水で洗浄した後、0.1mM EDTA及び5m
M 2−メルカプトエタノールを含むリン酸緩衝液(pH7.
0)300mlに懸濁し、9KHzにおける超音波処理を約20分
(計約2.5時間)行ない菌体を破砕した。破砕菌体は14,
000×g、20分間の遠心分離で除去し、D−アミノ酸ア
ミダーゼを含む素抽出液を得た。この無細胞抽出液にプ
ロタミン硫酸を3.8g加えて、30分攪拌した後、14,000×
g、20分間の遠心分離で沈澱を除去した。この上清に固
形硫酸アンモニウムを加え60%硫酸アンモニウムと飽和
した。30分攪拌の後、14,000×gで20分間の遠心分離で
得られる、酵素活性を有する沈殿を少量の0.01Mリン酸
緩衝液(pH7.0)で溶解し、さらに0.1mMのEDTA及び5mM
の2−メルカプトエタノールを含む0.01Mリン酸緩衝液
(pH7.0)で透析した。この酵素液をあらかじめ0.1mMの
EDTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを含む0.01Mリ
ン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650
Mのカラムに通過させ、0.1mMのEDTA、5mMの2−メルカ
プトエタノール、及び0.1MのNaClを含む0.01Mリン酸緩
衝液(pH7.0)溶出した。
活性区分を集め、DEAE−トヨパール650Mのカラムクロ
マトグラフィーのステップを繰り返した。活性区分を集
め、0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを
含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、あらかじめ
同じ緩衝液で平衡化したヒドロキシアパタイトのカラム
に通過させ、0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタ
ノールを含む0.01Mから0.5Mリン酸緩衝液(pH7.0)の直
線的な濃度勾配で酵素を溶出させた。この活性区分を集
め、0.1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノールを
含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、濃縮し、0.
1mMのEDTA及び5mMの2−メルカプトエタノール及び0.1M
NaClを含む0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した
セファデックスG−200によるゲル濾過クロマトグラフ
ィーを行なった。次に、同上の緩衝液を用いて、TSK G3
000 SWゲル濾過カラムを用いる高速液体クロマトグラフ
ィーを行なった。さらに、活性区分をTSK DEAE−トヨパ
ールイオン交換カラムを用いる高速液体クロマトグラフ
ィーにかけ、0.2〜0.3Mのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
の濃度勾配で溶出させた。こうして、アミノペプチダー
ゼを約5,000倍に精製した。この精製工程における比活
性及び回収率を第3表に示す。
この酵素はPheny1−5PWカラムクロマトグラフィーに
より単一のピークを与え(第1図)、ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動において均一であることが証明された
(第2図)。
実施例2.アクロモバクターsp.SCRC−SV3の部分精製酵素
によるDL−フェニルアラニンアミドからのD−フェニル
アラニンの合成 DL−フェニルアラニンアミド塩酸塩1.50g(0.0075mo
l)を0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)75mlに溶解し、0.01M
リン酸緩衝液(pH7.0)で透析したアミノペプチダーゼ2
10単位(実施例1において部分精製した比活性14.9単位
/mgの酵素)を加えて、37℃で1時間保温した。反応液
中に生成したD−フェニルアラニンをアンバーライトIR
A−400(Cl-)カラムに吸着させ、水洗後、1N塩酸で溶
出させた。この溶液を減圧下濃縮し、Dowex 50W×8(H
+)カラムに吸着させ、水洗後、1Nアンモニア水で溶出
させた。減圧下濃縮し、D−フェニルアラニンを581mg
(47.0%)得た。得られたD−フェニルアラニンは水−
メタノール−イソプロピルアルコール−エーテルで再結
晶し、市販のD−フェニルアラニンとスペクトルデータ
を比較した。融点:270℃。
▲〔α〕20 D▼+35.5゜(c=0.48,H2O)で光学的に
純粋なD体であった。マススペクトル、核磁気共鳴スペ
クトル、および赤外吸収スペクトルによる分析結果はい
ずれも、生成物がD−フェニルアラニンであることを示
した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の精製酵素のPheny1−5PWカラムクロ
マトグラフィーの溶出プロフィールを示し、本発明の酵
素が均一であることを示す。 第2図は本発明の精製酵素のポリアクリルアミドゲル電
気泳動の結果をスケッチしたものであり、本発明の酵素
が均一であることを示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の物性: (イ)D−フェニルアラニンアミド及び水からD−フェ
    ニルアラニン及びアンモニアを生成する反応を触媒す
    る; (ロ)高速液体クロマトグラフィーゲル濾過法において
    約38,000の分子量を有する; (ハ)D−フェニルアラニンアミドを良好な基質とする
    が、D−バリンアミド、D−グルタミンアミド及びD−
    スレオニンアミドに対しては実質上作用しない; (ニ)至適pH:pH8付近が至適である; (ホ)pH安定性:各pHの緩衝液(0.05M)中、30℃にて
    1時間保温した後の残存活性を測定した場合、pH7.0〜1
    0.0付近が安定である;及び (ヘ)至適温度:40℃付近における活性が最大である; を有するアミノ酸アミド加水分解酵素。
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