JPH07274985A - D−γ−メチルロイシンの製造法 - Google Patents
D−γ−メチルロイシンの製造法Info
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- JPH07274985A JPH07274985A JP7067794A JP7067794A JPH07274985A JP H07274985 A JPH07274985 A JP H07274985A JP 7067794 A JP7067794 A JP 7067794A JP 7067794 A JP7067794 A JP 7067794A JP H07274985 A JPH07274985 A JP H07274985A
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- Japan
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- methylleucine
- hydantoin
- dimethylpropyl
- cells
- microorganism
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダント
インに、ヒダントイン環を不斉的に開裂加水分解する能
力を有する微生物の菌体又はその菌体処理物を水性媒体
中で作用させることによりD−γ−メチルロイシンを製
造する。該微生物としては、アグロバクテリウム属(A
grobacterium)、シュードモナス属(Ps
eudomonas)、バチルス属(Bacillu
s)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、
アルスロバクター属(Arthrobacter)、オ
ーレオバクテリウム属(Aureobacteriu
m)、ロドコッカス属(Rhodococcus)等に
属する微生物が挙げられる。 【効果】 本発明の方法によれば、従来の発酵法では得
られなかった非天然型のD−γ−メチルロイシンが得ら
れるだけでなく、生物化学的に効率よくD−γ−メチル
ロイシンを製造することができる。
インに、ヒダントイン環を不斉的に開裂加水分解する能
力を有する微生物の菌体又はその菌体処理物を水性媒体
中で作用させることによりD−γ−メチルロイシンを製
造する。該微生物としては、アグロバクテリウム属(A
grobacterium)、シュードモナス属(Ps
eudomonas)、バチルス属(Bacillu
s)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、
アルスロバクター属(Arthrobacter)、オ
ーレオバクテリウム属(Aureobacteriu
m)、ロドコッカス属(Rhodococcus)等に
属する微生物が挙げられる。 【効果】 本発明の方法によれば、従来の発酵法では得
られなかった非天然型のD−γ−メチルロイシンが得ら
れるだけでなく、生物化学的に効率よくD−γ−メチル
ロイシンを製造することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はD−γ−メチルロイシン
の製造法に関し、詳細には医・農薬等の合成中間体とし
て有用なD−γ−メチルロイシンを生物化学的に製造す
る方法に関する。
の製造法に関し、詳細には医・農薬等の合成中間体とし
て有用なD−γ−メチルロイシンを生物化学的に製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】天然に
存在する光学活性アミノ酸の多くは、微生物を用いた発
酵法や天然原料からの抽出法により製造されている。し
かしながらD−γ−メチルロイシンは非天然型アミノ酸
であるため、従来のような発酵法や抽出法によって製造
されていなかった。
存在する光学活性アミノ酸の多くは、微生物を用いた発
酵法や天然原料からの抽出法により製造されている。し
かしながらD−γ−メチルロイシンは非天然型アミノ酸
であるため、従来のような発酵法や抽出法によって製造
されていなかった。
【0003】一方、光学活性アミノ酸を製造する方法と
して、有機化学的合成により製造したDL−アミノ酸を
光学分割する方法がよく知られている(Bull.Ag
r.Chem.Soc.Jap.,21,304(19
57);J.Am.Chem.Soc.,76,604
5(1954);J.Biol.Chem.,188,
657(1951))。しかし、DL−アミノ酸の光学
分割は操作が煩雑なものになり、収率も低くなると言う
欠点がある。
して、有機化学的合成により製造したDL−アミノ酸を
光学分割する方法がよく知られている(Bull.Ag
r.Chem.Soc.Jap.,21,304(19
57);J.Am.Chem.Soc.,76,604
5(1954);J.Biol.Chem.,188,
657(1951))。しかし、DL−アミノ酸の光学
分割は操作が煩雑なものになり、収率も低くなると言う
欠点がある。
【0004】また、D−アミノ酸を製造する方法とし
て、DL体の5−置換ヒダントイン類にヒダントイン環
を不斉的に開裂加水分解する能力を有する、シュードモ
ナス属等の微生物の菌体、固定化菌体又は菌体処理物を
作用させることによりD−アミノ酸を得る方法が知られ
ているが、主に天然型のアミノ酸のD体に関してのみで
あった(特開昭54−89088号;同55−1156
9号;同55−153595号各公報等)。
て、DL体の5−置換ヒダントイン類にヒダントイン環
を不斉的に開裂加水分解する能力を有する、シュードモ
ナス属等の微生物の菌体、固定化菌体又は菌体処理物を
作用させることによりD−アミノ酸を得る方法が知られ
ているが、主に天然型のアミノ酸のD体に関してのみで
あった(特開昭54−89088号;同55−1156
9号;同55−153595号各公報等)。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは効率よく
D−γ−メチルロイシンを製造する方法を見い出すべく
検討を重ねてきた結果、5−(2,2−ジメチルプロピ
ル)ヒダントインを基質として生物化学的に加水分解す
ることにより目的とするD−γ−メチルロイシンを製造
できることを初めて見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
D−γ−メチルロイシンを製造する方法を見い出すべく
検討を重ねてきた結果、5−(2,2−ジメチルプロピ
ル)ヒダントインを基質として生物化学的に加水分解す
ることにより目的とするD−γ−メチルロイシンを製造
できることを初めて見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】即ち本発明の要旨は、5−(2,2−ジメ
チルプロピル)ヒダントインに、ヒダントイン環を不斉
的に開裂加水分解する能力を有する微生物の菌体又はそ
の菌体処理物を水性媒体中で作用させることを特徴とす
る、D−γ−メチルロイシンの製造法に存する。以下、
本発明につき詳細に説明する。
チルプロピル)ヒダントインに、ヒダントイン環を不斉
的に開裂加水分解する能力を有する微生物の菌体又はそ
の菌体処理物を水性媒体中で作用させることを特徴とす
る、D−γ−メチルロイシンの製造法に存する。以下、
本発明につき詳細に説明する。
【0007】本発明において基質となる5−(2,2−
ジメチルプロピル)ヒダントインは、DL体、L体又は
D体のいずれのものでも構わない。即ちそれは、反応を
触媒する微生物の菌体内酵素が5−(2,2−ジメチル
プロピル)ヒダントインのD体のみに選択的に作用し
て、そのヒダントイン環を開裂加水分解するからであ
る。加水分解されないL体は反応媒体中でラセミ化され
るため、反応系には実質的にD体が常に供給されること
になる。従って本発明の反応を式で示すと、以下のよう
になる。
ジメチルプロピル)ヒダントインは、DL体、L体又は
D体のいずれのものでも構わない。即ちそれは、反応を
触媒する微生物の菌体内酵素が5−(2,2−ジメチル
プロピル)ヒダントインのD体のみに選択的に作用し
て、そのヒダントイン環を開裂加水分解するからであ
る。加水分解されないL体は反応媒体中でラセミ化され
るため、反応系には実質的にD体が常に供給されること
になる。従って本発明の反応を式で示すと、以下のよう
になる。
【0008】
【化1】
【0009】本発明で使用される微生物は、5−(2,
2−ジメチルプロピル)ヒダントインのD体のみに選択
的に作用して、それを開裂加水分解してD−γ−メチル
ロイシンに変換する能力を有するものであれば特に制限
はされない。かかる微生物としては、アグロバクテリウ
ム属(Agrobacterium)、シュードモナス
属(Pseudomonas)、バチルス属(Baci
llus)、アルカリゲネス属(Alcaligene
s)、アルスロバクター属(Arthrobacte
r)、オーレオバクテリウム属(Aureobacte
rium)、ロドコッカス属(Rhodococcu
s)に属する微生物等が挙げられる。
2−ジメチルプロピル)ヒダントインのD体のみに選択
的に作用して、それを開裂加水分解してD−γ−メチル
ロイシンに変換する能力を有するものであれば特に制限
はされない。かかる微生物としては、アグロバクテリウ
ム属(Agrobacterium)、シュードモナス
属(Pseudomonas)、バチルス属(Baci
llus)、アルカリゲネス属(Alcaligene
s)、アルスロバクター属(Arthrobacte
r)、オーレオバクテリウム属(Aureobacte
rium)、ロドコッカス属(Rhodococcu
s)に属する微生物等が挙げられる。
【0010】アグロバクテリウム属に属する微生物とし
ては、Agrobacteriumradiobact
er等が挙げられ、具体的にはAgrobacteri
um radiobacter NRRLB 1129
1(Agricultural Research Service Culture Collecti
on)等が挙げられる。シュードモナス属に属する微生物
としては、Pseudomonas hydantoi
nophilum、Pseudomonas dimi
nuta等が挙げられ、具体的にはPseudomon
as diminuta JCM 2792(Japan co
llection of Microorganisms:理化学研究所微生物系統
保存施設)等が挙げられる。
ては、Agrobacteriumradiobact
er等が挙げられ、具体的にはAgrobacteri
um radiobacter NRRLB 1129
1(Agricultural Research Service Culture Collecti
on)等が挙げられる。シュードモナス属に属する微生物
としては、Pseudomonas hydantoi
nophilum、Pseudomonas dimi
nuta等が挙げられ、具体的にはPseudomon
as diminuta JCM 2792(Japan co
llection of Microorganisms:理化学研究所微生物系統
保存施設)等が挙げられる。
【0011】バチルス属に属する微生物としては、Ba
cillus brevis、Bacillus li
cheniformis等が挙げられ、具体的にはBa
cillus brevis IFO 3331(財団
法人 発酵研究所)、Bacillus lichen
iformis IFO 12200等が挙げられる。
cillus brevis、Bacillus li
cheniformis等が挙げられ、具体的にはBa
cillus brevis IFO 3331(財団
法人 発酵研究所)、Bacillus lichen
iformis IFO 12200等が挙げられる。
【0012】アルカリゲネス属に属する微生物として
は、Alcaligenes aquamarinu
s、Alcaligenes eutrophus等が
挙げられ、具体的にはAlcaligenes aqu
amarinus FERM P−4229(工業技術
院生命工学工業技術研究所)、Alcaligenes
eutrophus DSM 428(Deutsche Samml
ung von Mikroorganismen und Zullkulturen GmbH, Bra
unschweig, FRG)等が挙げられる。
は、Alcaligenes aquamarinu
s、Alcaligenes eutrophus等が
挙げられ、具体的にはAlcaligenes aqu
amarinus FERM P−4229(工業技術
院生命工学工業技術研究所)、Alcaligenes
eutrophus DSM 428(Deutsche Samml
ung von Mikroorganismen und Zullkulturen GmbH, Bra
unschweig, FRG)等が挙げられる。
【0013】アルスロバクター属に属する微生物として
は、Arthrobacter crystallop
oietes等が挙げられ、具体的にはArthrob
acter crystallopoietes JC
M 2522等が挙げられる。オーレオバクテリウム属
に属する微生物としては、Aureobacteriu
m testaceum等が挙げられ、具体的にはAu
reobacterium testaceum JC
M 1353等が挙げられる。
は、Arthrobacter crystallop
oietes等が挙げられ、具体的にはArthrob
acter crystallopoietes JC
M 2522等が挙げられる。オーレオバクテリウム属
に属する微生物としては、Aureobacteriu
m testaceum等が挙げられ、具体的にはAu
reobacterium testaceum JC
M 1353等が挙げられる。
【0014】ロドコッカス属に属する微生物としては、
Rhodococcus erythropolis等
が挙げられ、具体的にはRhodococcus er
ythropolis IFO 12320、Rhod
ococcus erythropolis IFM
0165(Research Institute for Chemobiodynamics,
Chiba University, Chiba, JAPAN:千葉大学真核微生物
研究センター)等が挙げられる。
Rhodococcus erythropolis等
が挙げられ、具体的にはRhodococcus er
ythropolis IFO 12320、Rhod
ococcus erythropolis IFM
0165(Research Institute for Chemobiodynamics,
Chiba University, Chiba, JAPAN:千葉大学真核微生物
研究センター)等が挙げられる。
【0015】本発明において、これらの微生物は、予め
ヒダントイン類を含む培地中で培養させたもの(前培養
したもの)が、ヒダントイン環の不斉的解裂加水分解能
が増強されているので好ましいが、それに限るものでは
ない。その際の培地としては、通常の炭素源、窒素源、
無機イオンを含有する通常の培地が使用できる。さらに
ビタミン、アミノ酸などの有機微量栄養素を添加するこ
ともできる。
ヒダントイン類を含む培地中で培養させたもの(前培養
したもの)が、ヒダントイン環の不斉的解裂加水分解能
が増強されているので好ましいが、それに限るものでは
ない。その際の培地としては、通常の炭素源、窒素源、
無機イオンを含有する通常の培地が使用できる。さらに
ビタミン、アミノ酸などの有機微量栄養素を添加するこ
ともできる。
【0016】炭素源としてはグルコース、シュクロース
などの炭水化物、フマル酸、リンゴ酸などの有機酸、ア
ルコール類その他が適宜使用されるが、主にグルコース
が0.1−5%で用いられ、好ましくは0.5−2%で
ある。窒素源としては、アンモニア塩や硝酸塩といった
無機窒素源、あるいは酵母エキスやペプトンといった有
機窒素源が適宜使用される。本発明においては主に酵母
エキスが0.1−5%で用いられ、好ましくは0.3−
1%である。
などの炭水化物、フマル酸、リンゴ酸などの有機酸、ア
ルコール類その他が適宜使用されるが、主にグルコース
が0.1−5%で用いられ、好ましくは0.5−2%で
ある。窒素源としては、アンモニア塩や硝酸塩といった
無機窒素源、あるいは酵母エキスやペプトンといった有
機窒素源が適宜使用される。本発明においては主に酵母
エキスが0.1−5%で用いられ、好ましくは0.3−
1%である。
【0017】無機イオンとしては、マグネシウムイオ
ン、燐酸イオン、カリウムイオン、鉄イオン、その他が
必要に応じて適宜使用される。本発明においては、主に
硫酸マグネシウム0.01−0.1%、燐酸二水素カリ
ウム0.05−0.5%、燐酸水素二カリウム0.1−
1%、硫酸マンガン0.005−0.05%が用いられ
る。
ン、燐酸イオン、カリウムイオン、鉄イオン、その他が
必要に応じて適宜使用される。本発明においては、主に
硫酸マグネシウム0.01−0.1%、燐酸二水素カリ
ウム0.05−0.5%、燐酸水素二カリウム0.1−
1%、硫酸マンガン0.005−0.05%が用いられ
る。
【0018】また反応を触媒する酵素の誘導物質として
添加する5−置換ヒダントイン類としては、メチルヒダ
ントイン、イソプロピルヒダントイン、ヒダントイン、
メチルチオエチルヒダントイン、5−(2,2−ジメチ
ルプロピル)ヒダントイン等が使用される。好ましく
は、主にメチルヒダントイン又は5−(2,2−ジメチ
ルプロピル)ヒダントイン等が0.001−0.5%、
より好ましくは0.005−0.2%で使用される。
添加する5−置換ヒダントイン類としては、メチルヒダ
ントイン、イソプロピルヒダントイン、ヒダントイン、
メチルチオエチルヒダントイン、5−(2,2−ジメチ
ルプロピル)ヒダントイン等が使用される。好ましく
は、主にメチルヒダントイン又は5−(2,2−ジメチ
ルプロピル)ヒダントイン等が0.001−0.5%、
より好ましくは0.005−0.2%で使用される。
【0019】前培養は、上記の培地中で25−40℃、
12−24時間程度培養することが好ましい。前記微生
物を培養する際には、5−置換ヒダントイン類を初めか
ら含有した培地で培養してもよいし、培養途中から添加
してもよいし、全く添加しなくてもよい。培養は好気条
件下、pH4−8、温度25−40℃の範囲で制御しつ
つ行うと望ましい結果が得られる。
12−24時間程度培養することが好ましい。前記微生
物を培養する際には、5−置換ヒダントイン類を初めか
ら含有した培地で培養してもよいし、培養途中から添加
してもよいし、全く添加しなくてもよい。培養は好気条
件下、pH4−8、温度25−40℃の範囲で制御しつ
つ行うと望ましい結果が得られる。
【0020】本発明における「菌体処理物」とは、微生
物菌体の抽出物や微生物菌体の磨砕物、さらにそれらを
硫安分別、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過等
の公知の方法により分離精製したものを意味し、本発明
においては、5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダン
トインに微生物菌体自身(生菌体または乾燥菌体)を作
用させてもよいし、あるいは菌体処理物を作用させても
よい。
物菌体の抽出物や微生物菌体の磨砕物、さらにそれらを
硫安分別、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過等
の公知の方法により分離精製したものを意味し、本発明
においては、5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダン
トインに微生物菌体自身(生菌体または乾燥菌体)を作
用させてもよいし、あるいは菌体処理物を作用させても
よい。
【0021】また上記のようにして増殖させた菌体また
はその菌体処理物を、κ−カラゲーナン、アルギン酸、
寒天、ポリアクリルアミドゲル等のゲルで包括固定化し
た後、5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダントイン
と反応させることも可能である。菌体自身を作用させる
場合、上記のようにして十分に菌を生育させた後、菌体
を分離し洗浄後、水あるいは緩衝液に懸濁させ、5−
(2,2−ジメチルプロピル)ヒダントインを飽和濃度
以上添加する。5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダ
ントインは水性媒体に対する溶解度が低いが、反応の進
行とともに溶解されて行く。通常は0.1−5%の範囲
で添加するが、より好ましくは0.2−3%である。添
加後、10−50℃、好ましくは25−40℃の温度
で、pHは4.0−10.0、好ましくは7.0−9.
0で、窒素置換をした後、1−14日、通常は1−7日
程度反応を行う。
はその菌体処理物を、κ−カラゲーナン、アルギン酸、
寒天、ポリアクリルアミドゲル等のゲルで包括固定化し
た後、5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダントイン
と反応させることも可能である。菌体自身を作用させる
場合、上記のようにして十分に菌を生育させた後、菌体
を分離し洗浄後、水あるいは緩衝液に懸濁させ、5−
(2,2−ジメチルプロピル)ヒダントインを飽和濃度
以上添加する。5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダ
ントインは水性媒体に対する溶解度が低いが、反応の進
行とともに溶解されて行く。通常は0.1−5%の範囲
で添加するが、より好ましくは0.2−3%である。添
加後、10−50℃、好ましくは25−40℃の温度
で、pHは4.0−10.0、好ましくは7.0−9.
0で、窒素置換をした後、1−14日、通常は1−7日
程度反応を行う。
【0022】菌体の処理物を作用させる場合、タンパク
質重量で10−1000mg程度の菌体抽質物または菌
体磨砕物を含む0.01−1M燐酸緩衝液(pH7−
9)等の溶液に、5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒ
ダントインを上記範囲で添加、反応させる。微生物菌体
またはその菌体処理物を固定化した場合は、上記の条件
下で攪拌型反応槽内で5−(2,2−ジメチルプロピ
ル)ヒダントインと反応させる。
質重量で10−1000mg程度の菌体抽質物または菌
体磨砕物を含む0.01−1M燐酸緩衝液(pH7−
9)等の溶液に、5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒ
ダントインを上記範囲で添加、反応させる。微生物菌体
またはその菌体処理物を固定化した場合は、上記の条件
下で攪拌型反応槽内で5−(2,2−ジメチルプロピ
ル)ヒダントインと反応させる。
【0023】尚、本発明でいう水性媒体とは、水または
燐酸バッファー等の通常使用し得る緩衝液を意味する。
かかる水性媒体は、基質となる5−(2,2−ジメチル
プロピル)ヒダントインに対して過剰量存在することが
望ましい。かくして得られるD−γ−メチルロイシン
は、反応物から公知の方法、例えば酸による沈澱、ある
いはODS樹脂などによるカラムクロマトグラフィー等
で精製することができる。
燐酸バッファー等の通常使用し得る緩衝液を意味する。
かかる水性媒体は、基質となる5−(2,2−ジメチル
プロピル)ヒダントインに対して過剰量存在することが
望ましい。かくして得られるD−γ−メチルロイシン
は、反応物から公知の方法、例えば酸による沈澱、ある
いはODS樹脂などによるカラムクロマトグラフィー等
で精製することができる。
【0024】前述したように、本発明によって得られる
D−γ−メチルロイシンは、医農薬の合成中間体等とし
て有用な物質である。
D−γ−メチルロイシンは、医農薬の合成中間体等とし
て有用な物質である。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定
されるものではない。
明するが、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定
されるものではない。
【0026】実施例1−2 酵母エキス3g、グルコース10g、K2 HPO4 3
g、KH2 PO4 1g、MgSO4 500mg、MnS
O4 10mg及び5−メチルヒダントイン 2gを水1
Lに含有する培地をへそ付き三角フラスコ10本に満た
し、120℃において20分間殺菌した。30℃に冷却
した後に、普通寒天培地上で24時間培養したAgro
bacterium radiobacter NRR
LB 11291(実施例1)またはPseudomo
nas diminuta JCM2792(実施例
2)を1白金耳接種し、30℃、20時間、160rp
mのロータリーシェーカーで培養した。20時間後培養
物を回収し、菌体を遠心分離によって分離した。分離し
た菌体をさらに0.1モル燐酸バッフアー(pH8.
0)に懸濁洗浄し、遠心分離によって分離し、休止菌体
を得た。100ml容サンプル瓶に50mlになるよう
にバッファーに懸濁した休止菌体を入れ、5−(2,2
−ジメチルプロピル)ヒダントインを1g添加した。サ
ンプル瓶を窒素置換したのちに、蓋を閉め、30℃にて
攪拌した。途中発生するアンモニアガスを抜き、窒素置
換しながら反応させた。7日間後反応溶液を取り出し、
遠心分離によって菌体と反応上清とに分離した。上清を
シリカゲルのTLCおよびカイラルプレート(Merc
k14101)によって調べ、D−γ−メチルロイシン
の生成を確認した。またHPLCにて定量を行った。結
果を下記表1に示す。
g、KH2 PO4 1g、MgSO4 500mg、MnS
O4 10mg及び5−メチルヒダントイン 2gを水1
Lに含有する培地をへそ付き三角フラスコ10本に満た
し、120℃において20分間殺菌した。30℃に冷却
した後に、普通寒天培地上で24時間培養したAgro
bacterium radiobacter NRR
LB 11291(実施例1)またはPseudomo
nas diminuta JCM2792(実施例
2)を1白金耳接種し、30℃、20時間、160rp
mのロータリーシェーカーで培養した。20時間後培養
物を回収し、菌体を遠心分離によって分離した。分離し
た菌体をさらに0.1モル燐酸バッフアー(pH8.
0)に懸濁洗浄し、遠心分離によって分離し、休止菌体
を得た。100ml容サンプル瓶に50mlになるよう
にバッファーに懸濁した休止菌体を入れ、5−(2,2
−ジメチルプロピル)ヒダントインを1g添加した。サ
ンプル瓶を窒素置換したのちに、蓋を閉め、30℃にて
攪拌した。途中発生するアンモニアガスを抜き、窒素置
換しながら反応させた。7日間後反応溶液を取り出し、
遠心分離によって菌体と反応上清とに分離した。上清を
シリカゲルのTLCおよびカイラルプレート(Merc
k14101)によって調べ、D−γ−メチルロイシン
の生成を確認した。またHPLCにて定量を行った。結
果を下記表1に示す。
【0027】
【表1】 表1 ────────────────────────────────── D−γ−メチルロイシン生成量(g/l) 光学純度(%) ────────────────────────────────── 実施例1 10.3 98 実施例2 0.65 98 ──────────────────────────────────
【0028】実施例3Agrobacterium radiobacter
NRRLB 11291を用いて同様に反応を行った
後、反応上清に水飽和したフェノールを加え除タンパク
した後、クロロホルムを用いてフェノールを取り除き、
D−γ−メチルロイシンを含んだ水層画分を得た。これ
を濃縮乾固した後エタノールを加え、副生成物を除去し
てD−γ−メチルロイシンの結晶を0.2g得た。 1H
−NMR及び比旋光度の結果を以下に示す。
NRRLB 11291を用いて同様に反応を行った
後、反応上清に水飽和したフェノールを加え除タンパク
した後、クロロホルムを用いてフェノールを取り除き、
D−γ−メチルロイシンを含んだ水層画分を得た。これ
を濃縮乾固した後エタノールを加え、副生成物を除去し
てD−γ−メチルロイシンの結晶を0.2g得た。 1H
−NMR及び比旋光度の結果を以下に示す。
【0029】
【表2】 1H−NMR(in DMSO−d6 ,250MHz) δ=3.07(1H,dd,J=8.2,3.6Hz) 1.93(1H,dd,J=14.5,3.6Hz) 1.36(1H,dd,J=14.5,18.2Hz) 0.91(9H,s) 比旋光度 +10.2
【0030】実施例4 実施例1と同様の培地10mlを21φの試験管に入れ
て殺菌し、冷却した後下記表2に示す菌を1白金耳植菌
し、30℃で24時間培養を行い、同様にして休止菌体
を得た。5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダントイ
ンを5mg、リン酸バッファーを0.5ml及び休止菌
体を2mlのエッペンドルフチューブに入れ、窒素封入
した後30℃、24時間振とうさせながら反応させた。
結果を表2に示す。
て殺菌し、冷却した後下記表2に示す菌を1白金耳植菌
し、30℃で24時間培養を行い、同様にして休止菌体
を得た。5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダントイ
ンを5mg、リン酸バッファーを0.5ml及び休止菌
体を2mlのエッペンドルフチューブに入れ、窒素封入
した後30℃、24時間振とうさせながら反応させた。
結果を表2に示す。
【0031】
【表3】 表2 ──────────────────────────────────── 微 生 物 D-GML L-GML 光学純度 (g/L) (g/L) (%) ──────────────────────────────────── Alcaligenes aquamarinus FERM P-4229 0.082 0.033 42.6 Alcaligenes eutrophus DSM 428 0.022 0.019 7.3 Arthrobacter crystallopoietes JCM 2522 0.010 0.000 100.0 Aureobacterium testaceum JCM 1353 0.048 0.000 100.0 Bacillus brevis IFO 3331 0.018 0.009 33.3 Bacillus licheniformis IFO 12200 0.022 0.000 100.0 Rhodococcus erythropolis IFO 12320 0.070 0.024 48.4 Rhodococcus erythropolis IFM 0165 0.021 0.000 100.0 ──────────────────────────────────── D-GML:D−γ−メチルロイシン L-GML:L−γ−メチルロイシン
【0032】実施例5 実施例4において、培地を10% サッカロース、0.
3% ポリペプトン、0.2% 5−メチルヒダントイ
ン、0.3% K2 HPO4 、0.1% KH 2 PO
4 、0.05% MgSO4 、10mg/l MnSO
4 に変えた以外は同様にして、反応を行った。結果を下
記表3に示す。
3% ポリペプトン、0.2% 5−メチルヒダントイ
ン、0.3% K2 HPO4 、0.1% KH 2 PO
4 、0.05% MgSO4 、10mg/l MnSO
4 に変えた以外は同様にして、反応を行った。結果を下
記表3に示す。
【0033】
【表4】 表3 ──────────────────────────────────── 微 生 物 D-GML L-GML 光学純度 (g/L) (g/L) (%) ──────────────────────────────────── Bacillus licheniformis IFO 12200 2.337 0.088 92.7 Bacillus brevis IFO 3331 1.445 0.502 48.4 Rhodococcus erythropolis IFO 12320 1.432 0.398 56.5 Rhodococcus erythropolis IFM 0165 0.904 0.019 95.9 Arthrobacter crystallopoietes JCM 2522 1.515 0.235 73.1 Alcaligenes aquamarinus FERM P-4229 1.666 0.152 83.3 Pseudomonas hydantoinophilum FERM P-4347 0.504 0.198 43.6 ────────────────────────────────────
【0034】
【発明の効果】上記の結果より、本発明の方法によれ
ば、従来の発酵法では得られなかった非天然型のD−γ
−メチルロイシンが得られるだけでなく、生物化学的に
効率よくD−γ−メチルロイシンを製造することができ
る。本発明方法で得られる非天然型のD−γ−メチルロ
イシンは、医・農薬等の合成中間体として有用である。
ば、従来の発酵法では得られなかった非天然型のD−γ
−メチルロイシンが得られるだけでなく、生物化学的に
効率よくD−γ−メチルロイシンを製造することができ
る。本発明方法で得られる非天然型のD−γ−メチルロ
イシンは、医・農薬等の合成中間体として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 13/06 C12R 1:05) (C12P 13/06 C12R 1:06) (C12P 13/06 C12R 1:08) (C12P 13/06 C12R 1:10)
Claims (2)
- 【請求項1】 5−(2,2−ジメチルプロピル)ヒダ
ントインに、ヒダントイン環を不斉的に開裂加水分解す
る能力を有する微生物の菌体又はその菌体処理物を水性
媒体中で作用させることを特徴とする、D−γ−メチル
ロイシンの製造法。 - 【請求項2】 微生物が、アグロバクテリウム属、シュ
ードモナス属、バチルス属、アルカリゲネス属、アルス
ロバクター属、オーレオバクテリウム属及びロドコッカ
ス属に属する微生物から選ばれることを特徴とする、請
求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7067794A JPH07274985A (ja) | 1994-04-08 | 1994-04-08 | D−γ−メチルロイシンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7067794A JPH07274985A (ja) | 1994-04-08 | 1994-04-08 | D−γ−メチルロイシンの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07274985A true JPH07274985A (ja) | 1995-10-24 |
Family
ID=13438526
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7067794A Pending JPH07274985A (ja) | 1994-04-08 | 1994-04-08 | D−γ−メチルロイシンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07274985A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002072841A1 (fr) * | 2001-03-08 | 2002-09-19 | Ajinomoto Co., Inc. | Adn codant pour une hydantoinase, adn codant pour une hydrolase d'acide amine l carbamyle, adn recombinant, cellules transformees, procede de production de proteine et procede de production d'acide amine optiquement actif |
-
1994
- 1994-04-08 JP JP7067794A patent/JPH07274985A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002072841A1 (fr) * | 2001-03-08 | 2002-09-19 | Ajinomoto Co., Inc. | Adn codant pour une hydantoinase, adn codant pour une hydrolase d'acide amine l carbamyle, adn recombinant, cellules transformees, procede de production de proteine et procede de production d'acide amine optiquement actif |
US7098020B2 (en) | 2001-03-08 | 2006-08-29 | Ajinomoto Co., Inc. | DNA encoding hydantoinase, DNA encoding N-carbamyl-L-amino acid hydrolase, recombinant DNA, transformed cell, method of producing protein, and method of producing optically active amino acid |
US7361490B2 (en) | 2001-03-08 | 2008-04-22 | Ajinomoto Co., Inc. | DNA encoding hydantoinase, DNA encoding N-carbamyl-L-amino acid hydrolase, recombinant DNA, transformed cell, method of producing protein and method of producing optically active amino acid |
US8460902B1 (en) | 2001-03-08 | 2013-06-11 | Ajinomoto Co., Inc. | DNA encoding hydantoinase, DNA encoding N-carbamyl-L-amino acid hydrolase, recombinant DNA, transformed cell, method of producing protein, and method of producing optically active amino acid |
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