JP2004521234A - 内燃機関のガス交換バルブを可変リフト調節するためのバルブ駆動装置 - Google Patents

Abstract

内燃機関のガス交換バルブを可変リフト調節するためのバルブ駆動装置であって、このバルブ駆動装置では、ガス交換バルブ（２）が、回転軸線（４）を中心に可動なローラ（５）を有する伝達要素（３）を介在し、空リフト曲線部（６’）とリフト曲線部（６”）を含んでいる制御軌道（６）と作用接続状態にあり、この制御軌道（６）が、ガス交換バルブ（２）のリフト操作のためにカムシャフト（７）のカム（７’）により制御されスプリング荷重のかけられている旋回レバー（８）の端部領域に設けられているバルブ駆動装置のために、旋回レバー（８）の純粋な旋回運動を達成するために、本発明に従い、次のことが提案される。即ち、旋回レバー（８）の揺動回転点（１２）が、任意のリフト操作中、変更不能な瞬間中心を形成することであり、この際、バルブクリアランスに起因する衝撃を回避するために、旋回レバー（８）の制御軌道（６）は、空リフト曲線部（６’）とリフト曲線部（６”）との間に、各々のバルブクリアランスに対応して適合されている傾斜部（２０）を有する。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、内燃機関のガス交換バルブを可変リフト調節するためのバルブ駆動装置に関し、このバルブ駆動装置では、ガス交換バルブが、回転軸線を中心に回転可能なローラを有する伝達要素を介在し、空リフト曲線部とリフト曲線部を含んでいる制御軌道と作用接続状態にあり、この制御軌道は、ガス交換バルブのリフト操作のためにカムシャフトのカムにより制御される旋回レバーの端部領域に設けられていて、この際、スプリング荷重がかけられ曲線軌道を介してカムに付設されている旋回レバーは、可変リフト調節のために、他方の端部において、調節装置を用いて制御されて位置変更可能及び固定可能である揺動回転点を介し、円軌道に沿って支持されている。
【背景技術】
【０００２】
このようなバルブ駆動装置は特許文献１から知られていて、そこでは旋回レバーが、その制御軌道から離れた方の端部領域において、制御シャフトの噛合部に係合するための円弧状の噛合部を有していて、その制御シャフトは、ガス交換バルブの所定のリフトに割り当てられている旋回位置を変更させるための調節装置として用いられる。この際、旋回レバーの揺動回転点は部分円の接触点内に得られる。
【０００３】
このような構成によると、隣接するカムシャフトのカムが旋回レバーに作用する場合、旋回レバーは、静止している制御シャフトの噛合部において転がり接触運動を行い、この際、伝達要素のローラに関し、旋回運動或いは回転運動の他に、意図されたリフトに対してガス交換バルブのリフトが変更される状況下においては並進運動成分も発生することになる。
【０００４】
更に、類似する他のバルブ駆動装置が特許文献２から知られていて、そこでは、ゼロ・リフトから完全・リフトまでの可変リフトを達成するためにカムシャフトのカムにより旋回される旋回レバーが、その自由なレバー端部において、リフト設定のために用いられる曲線ディスクと線接触状態で隣接し、長穴を介し、ハウジングに固定されたボルトにて案内されている。この案内方式においても、旋回レバーは、ガス交換バルブのリフト操作時、その揺動回転点におけて回転運動成分並びに並進運動成分の影響下にあり、この際、並進運動成分は前カムの機能或いは傾斜部の機能と対応しているが、それ以外ではバルブ駆動の動性の向上と対立している。
【０００５】
【特許文献１】ドイツ特許出願公開第19708484号明細書
【特許文献２】ドイツ特許発明第4223172号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明が解決しようとする課題は、当初に掲げた形式のバルブ駆動装置のために、旋回レバーが純粋な回転運動或いは旋回運動時に向上されたバルブ駆動・動性を可能とするように、旋回レバーを動作機構的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記の課題は、請求項１に記載された措置により解決される。即ち、内燃機関のハウジング部分に配設されている円軌道が、伝達要素のローラの回転軸線を中心に半径「Ｒ」を有する接続リンクとして、旋回レバーを被制御式で位置変更可能に支持するために用いられ、この際、旋回レバーの制御軌道には、空リフト曲線部とリフト曲線部との間の移行領域内に、バルブ駆動装置内のバルブクリアランスに適合されている傾斜部が形成されている。
【０００８】
本発明により次の長所が達成されている。即ち、旋回レバーの揺動回転点が、設定されるバルブ・リフトのためのリフト操作中、不変の瞬間中心を形成し、それにより、長所として並進運動成分が回避されるということである。本発明のこのことを基礎にし、ガス交換バルブのリフト変更時の制御時間がより遥かに大きな範囲で短縮され、この際、部分リフト時に引き延ばされる開閉部分が実質的に排除される。また本発明は剛性の高いバルブ駆動装置を提供し、更にこの高い剛性は増加されるバルブ加速度にとって有利である。つまり本発明に従うバルブ駆動装置は、実際のゼロリフトを可能とし、ガス交換バルブが最大限に開くことによる全負荷において、高い回転数強度と関連し、増加された回転モーメントを可能とする。
【０００９】
本発明の有利な構成では更に次のことが提案される。即ち、旋回レバーが、その制御軌道から離れた方の端部において、軸線を中心に回転運動することのできるローラを介し、ハウジング側の円軌道或いは接続リンクに対して支持されていて、更にこの旋回レバーは、調節装置を用い、その都度、次のように固定可能である。即ち、円軌道に対する等距離経路に沿って制御され移動することのできるローラの軸線が、各々の可変リフト調節のために用いられる旋回レバーの揺動回転点を形成するようにである。
【００１０】
旋回レバーの円軌道・ローラが、旋回レバーと相対回転不能に結合されているピン状部材上にニードル支承或いは転がり支承され配設されているという他の提案との関係において、本発明に従い旋回レバーの円軌道・ローラの軸線に移された瞬間中心或いは揺動回転点により、遥かに少ない摩擦及び高い機能精度で、摩耗の減少されたバルブ駆動装置が得られ、この際、更に調節装置のためのエネルギーは有利にも軽減されている。
【００１１】
他の有利な実施形態によれば、伝達要素として、液圧式のバルブクリアランス調整装置を介してハウジング側で支持されているローラ・ドラッグレバーが設けられていて、この際、並進運動成分を排除する代わりに設けられている傾斜部は、最大限可能なバルブクリアランスを越える最大リフトと共に、実質的に一定のリフト速度に定められている。
【００１２】
伝達要素の形態として他の可能性は、ローラを有するバケットタペットとして、又は、バルブレバーとして、機械的に設定されているバルブクリアランスを有する揺動レバーとして形成することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本発明を図面に描かれた例に基づき説明する。
【００１４】
唯一の図に従うバルブ駆動装置１は、非図示の内燃機関のガス交換バルブ２を可変リフト調節するために用いられ、この際、このガス交換バルブ２は、非図示の内燃機関のシリンダの同種の複数のインテークバルブの１つである。このバルブ駆動装置１において、ガス交換バルブ２は、回転軸線４の回りで可動なローラ５を有する伝達要素３を介在し、空リフト曲線部６’とリフト曲線部６”を含んでいる制御軌道６と作用接続状態にあり、この制御軌道６は、ガス交換バルブ２のリフト操作のためにカムシャフト７のカム７’により制御される旋回レバー８の端部領域に配設されている。スプリング９を用いてローラ１０を介してカム７’に遊びがないように付設されている旋回レバー８は、ガス交換バルブ２を可変リフト調節するために、他方の端部において、調節装置１１を用いて制御されて位置変更可能及び固定可能である揺動回転点１２を介し、円軌道に沿って支持されている。
【００１５】
ガス交換バルブ２のリフトが減少される場合に旋回レバー８がその揺動回転点１２の回りで純粋に回転運動或いは純粋に旋回運動することを達成するために、本発明に従い、非図示の内燃機関のハウジング部分１３に配設されている円軌道１４が、伝達要素３のローラ５の回転軸線４を中心に半径「Ｒ」を有する接続リンク１５として、旋回レバー８を被制御式で位置変更可能に支持するために設けられている。好ましくは、スプリング荷重のかけられた旋回レバー８は、その制御軌道から離れた方の端部において、軸線１６を中心に回転運動可能なローラ１７を介し、ハウジング側の円軌道１４或いは接続リンク１５に対して支持されていて、更にこの旋回レバー８は、調節装置１１の曲線ディスク１８を用い、スプリング９の作用のもと、その都度、次のように固定可能である。即ち、円軌道１４或いは接続リンク１５に対する等距離経路１９に沿って制御され移動することのできる接続リンク側のローラ１７の軸線１６が、各々の可変リフト調節のために用いられる旋回レバー８の揺動回転点１２を形成するようにである。
【００１６】
本発明により有利には、旋回レバー８の揺動回転点１２が、減少するように設定されたリフト或いは各リフトのために、各々のリフト操作の間、変更不能な瞬間中心を形成する。
【００１７】
本発明に従う変更不能な瞬間中心或いは揺動回転点１２により、本明細書の冒頭で述べられた旋回レバー８の並進運動成分が排除される。この際、リフト中、制御軌道６の空リフト曲線部６’からリフト曲線部６”へと伝達要素３のローラ５が移行する場合、バルブ駆動装置１のバルブクリアランスに由来する衝撃を確実に回避するために、旋回レバー８の制御軌道６には、本発明に従い、空リフト曲線部６’とリフト曲線部６”との間の移行領域内に、バルブ駆動装置１内のバルブクリアランスに適合されている傾斜部２０が形成されている。
【００１８】
本発明に従って動作機構的に完全に形成されたバルブ駆動装置１により、ガス交換バルブ２の実際のゼロリフトが実現され得て、更には、ガス交換バルブ２のリフト変更時における制御時間がより強く短縮され、部分リフト時における開閉経過の引き延ばしが排除或いは著しく減少され、その結果、より大きな最大バルブ加速度が有利にも達成可能である。更に内燃機関の全負荷において改善並びに増加された回転モーメント経過も得られる。
【００１９】
更にバルブ駆動装置１内の磨耗を軽減するために、旋回レバー８の接続リンク・ローラ或いは円軌道・ローラ１７が、旋回レバー８と相対回転不能に結合されているピン状部材２１上にニードル支承或いは転がり支承され配設されていることが考慮されている。
【００２０】
更に唯一の図から見られるように、旋回レバー８のカム・ローラ１０は同様にニードル支承されていて、同様のことが伝達要素３のローラ５にも該当する。
【００２１】
更に唯一の図から見られるように、伝達要素３として、液圧式バルブクリアランス調整装置２２を介してハウジング側で支持されているローラ・ドラッグレバー２３が設けられていて、そのローラ５は旋回レバー８の制御軌道６と共に作用し、この制御軌道６は、実質的に一定のリフト速度に定められ且つ最大限可能なバルブクリアランスを越える最大リフトを有する傾斜部２０を有する。
【００２２】
伝達要素３としては、ローラを有するバケットタペットも考慮され、また機械的に設定されているバルブクリアランスを有する揺動レバーも考慮され得る。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】内燃機関のガス交換バルブを可変リフト調節するためのバルブ駆動装置を示す図である。
【符号の説明】
【００２４】
１ バルブ駆動装置
２ ガス交換バルブ
３ 伝達要素
４ 回転軸線
５ ローラ
６ 制御軌道
６’ 空リフト曲線部
６” リフト曲線部
７ カムシャフト
７’ カム
８ 旋回レバー
９ スプリング
１０ カム・ローラ
１１ 調節装置
１２ 揺動回転点
１３ ハウジング部分
１４ 円軌道
１５ 接続リンク
１６ 軸線
１７ ローラ
１８ 曲線ディスク
１９ 等距離経路
２０ 傾斜部
２１ ピン状部材
２２ バルブクリアランス調整装置
２３ ローラ・ドラッグレバー

Claims (6)

1. 内燃機関のガス交換バルブを可変リフト調節するためのバルブ駆動装置であって、
   − このバルブ駆動装置では、ガス交換バルブ（２）が、回転軸線（４）を中心に可動なローラ（５）を有する伝達要素（３）を介在し、空リフト曲線部（６’）とリフト曲線部（６”）を含んでいる制御軌道（６）と作用接続状態にあり、この制御軌道（６）が、ガス交換バルブ（２）のリフト操作のためにカムシャフト（７）のカム（７’）により制御される旋回レバー（８）の端部領域に設けられていて、更には、
   − スプリング荷重がかけられ曲線軌道（カム・ローラ１０）を介してカム（７’）に付設されている旋回レバー（８）が、可変リフト調節のために、他方の端部において、調節装置（１１）を用いて制御されて位置変更可能及び固定可能である揺動回転点（１２）を介し、円軌道に沿って支持されている、前記装置において、
   − 内燃機関のハウジング部分（１３）に配設されている円軌道（１４）が、伝達要素（３）のローラ（５）の回転軸線（４）を中心に半径（Ｒ）を有する接続リンク（１５）として、旋回レバーを被制御式で位置変更可能に支持するために用いられ、更には、
   − 旋回レバー（８）の制御軌道（６）には、空リフト曲線部（６’）とリフト曲線部（６”）との間の移行領域内に、バルブ駆動装置（１）内のバルブクリアランスに適合されている傾斜部（２０）が形成されていることを特徴とする装置。
2. − スプリング荷重のかけられた旋回レバー（８）が、その制御軌道から離れた方の端部において、軸線（１６）を中心に回転運動することのできるローラ（１７）を介し、ハウジング側の円軌道（１４）或いは接続リンク（１５）に対して支持されていて、更に
   − この旋回レバーが、調節装置（１１）を用い、その都度、次のように固定可能であること、即ち、
   − 円軌道（１４）に対する等距離経路（１９）に沿って制御され移動することのできる接続リンク側のローラ（１７）の軸線（１６）が、各々の可変リフト調節のために用いられる旋回レバー（８）の揺動回転点（１２）を形成するようにであることを特徴とする、請求項１に記載の装置。
3. 旋回レバー（８）の連結リンク・ローラ或いは円軌道・ローラ（１７）が、旋回レバー（８）と相対回転不能に結合されているピン状部材（２１）上にニードル支承或いは転がり支承され配設されていることを特徴とする、請求項２に記載の装置。
4. − 伝達要素（３）として、液圧式のバルブクリアランス調整装置（２２）を介してハウジング側で支持されているローラ・ドラッグレバー（２３）が設けられていて、更に
   − 実質的に一定のリフト速度に定められている制御軌道（６）の傾斜部（２０）が、最大限可能なバルブクリアランスを越える最大リフトを有することを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項又は複数項に記載の装置。
5. 伝達要素（３）として、ローラを有するバケットタペットが用いられることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載の装置。
6. 伝達要素（３）として、機械的に設定されているバルブクリアランスを有するバルブレバーが用いられることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載の装置。