JP4031973B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、吸気あるいは排気バルブの駆動位相およびバルブリフト量を変化させることのできる内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジン等の内燃機関の排出ガス対策あるいは燃費低減等のために、吸排気系のバルブの位相あるいはリフト量を、内燃機関の運転状態に応じて変化させることが知られている。そのための可変動弁装置として、油圧力によってカム位相を連続的に変化させるベーン式可変位相動弁装置が知られている。
【0003】
また、内燃機関の運転状態に応じて複数種類のカムを切換えることにより、バルブの駆動位相とリフト量を運転状態に適合させるカム切換式の動弁装置も知られている。
【0004】
あるいは、ステッピングモータによって駆動されるギヤと中間レバーおよびリターンスプリング等を用い、バルブの駆動位相とリフト量を変化させることができるようにした機械式の連続可変動弁装置も知られている。(例えば下記特許文献1を参照)
【0005】
【特許文献1】
特許第3245492号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベーン式可変位相動弁装置は、ベーンの位置を変化させることによってバルブの駆動位相をずらすことができるが、バルブのリフト量を変化させることができない。
【0007】
これに対しカム切換式の動弁装置や機械式の連続可変動弁装置は、リフト量と位相をずらすことができるが、カム切換式の動弁装置は複数種類のカムを必要とするため部品数が多く構造も複雑になる。また機械式の連続可変動弁装置では、リフト量を変化させる機構と、位相をずらす機構を別々に必要とし、構造が複雑化し、寸法も大きくなる。
【0008】
また、従来の一般的な連続位相可変動弁装置の場合、吸気バルブの閉弁時期を遅角させると開弁開始時期も遅角してしまう。このため、吸気および排気のバルブオーバーラップが減少あるいは無くなり、ポンピングロスによる燃費悪化が発生するなどの問題がる。
【0009】
従って本発明の目的は、比較的簡単な構成によりバルブの駆動位相およびバルブリフト量を連続的に変化させることのできる可変動弁装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の可変動弁装置は、請求項1に記載したように、内燃機関に回転自在に設けられたカムシャフトと、回動可能なロッカシャフトと、ロッカアーム機構とを有している。このロッカアーム機構は、前記ロッカシャフトに揺動自在に支持され前記吸気または排気バルブを駆動可能な第1アームと、前記カムにより駆動され前記ロッカシャフト側を支点として揺動する第2アームと、前記ロッカシャフトの近傍に配置された支持軸に揺動自在に設けられ前記第2アームの揺動により変位されて前記第1アームを駆動する第3アームと、前記ロッカシャフトを回動させることにより前記第2アームの前記支点を変位させる可変機構とを具備している。
【0011】
前記可変機構によって変位する前記第2アームの前記支点の位置に応じて、前記カムに対する第2アームの回転位相が進角あるいは遅角するため、第2アームと第3アームを介して駆動される第1アームの駆動位相が進角あるいは遅角することになる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、請求項2に記載したように、前記第3アームが伝達面部を有し、この伝達面部は、第2アームの揺動量を変換して第1アームを駆動すべく、支持軸の中心から該伝達面部までの距離が変化する変換部を備えている。
【0013】
前記可変機構は、例えば請求項3に記載したように、前記ロッカシャフトを回動させることにより前記第2アームの前記支点を変位させるとともに、前記第2アームの前記カムとの当接部を前記カムのベース円の周方向に移動させることによって前記カムに対する前記第2アームの回転位相を変化させるものである。
【0014】
本発明の好ましい形態では、請求項4に記載したように、前記伝達面部は、前記支持軸の中心から該伝達面部までの距離が第3アームの回転方向に変化しない非変換部を有し、前記カムに対する第2アームの回転位相が前記可変機構によって所定角度進角された状態において、第2アームの揺動開始から前記所定角度にほぼ相当する揺動量を該非変換部によってキャンセルするようにしている。
【0015】
本発明の好ましい形態では、請求項5に記載したように、前記第2アームは、その基端部がロッカシャフト側に設けた接続部材によって回動可能に支持され、第2アームの一部に設けた当接部がカムに当接するとともに第2アームの他端側に設けた作動部が第3アームに当接し、かつ、前記第3アームに設けられ前記第2アームの当接部をカムに当接させる方向に前記第2アームを変位させるよう前記第3アームを付勢するスプリングを備えている。
【0016】
本発明の好ましい形態では、請求項6に記載したように、前記第1アームに二股状のシャフト嵌挿部を形成し、これら二股状のシャフト嵌挿部間に前記第2アームの一部を位置させている。あるいは、請求項7記載したように、前記第2アームに二股状の基端部を形成し、これら基端部間に前記第1アームの一部を位置させてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第1の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1に示す可変動弁装置10は、内燃機関(一例として自動車用エンジン)の例えば吸気系を構成する吸気バルブ11を開閉駆動するものである。吸気バルブ11は、弁ばね12によって吸気通路13を閉止する方向に付勢されている。なお、排気バルブ側にこの可変動弁装置10と同様の動弁装置が設けられていてもよい。
【0018】
可変動弁装置10は、内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回転自在に設けられたカムシャフト20と、ロッカシャフト21と、カムシャフト20に形成されたカム22の回転運動によって前記バルブ11を開閉駆動するロッカアーム機構23とを備えている。
【0019】
カムシャフト20とロッカシャフト21は、互いに平行となるように配置されている。カムシャフト20は、内燃機関のクランクシャフト(図示せず)の回転に応じて、図1に矢印R1で示す方向に回転するようになっている。
【0020】
ロッカシャフト21は、図1に矢印R2で示す方向に揺動可能すなわち往復回動することができる。このロッカシャフト21は、図2に示す可変機構25によって、前記矢印R2方向に揺動する。ロッカシャフト21に、例えばスタッドボルト等の球面状の自在継手部26を有する接続部材27が取付けられている。
【0021】
ロッカアーム機構23は、以下に説明する第1アーム31と、第2アーム32と、第3アーム33を含んでいる。
第1アーム31は、ロッカシャフト21に相対回転自在(揺動自在)に支持されている。第1アーム31にアジャストスクリュー35が設けられ、カムシャフト20が矢印R1で示す方向に回動したとき、アジャストスクリュー35の先端がバルブ11を開弁方向に駆動するようになっている。このアジャストスクリュー35によって、第1アーム31とバルブ11との間に遊びがなくなるよう調整可能である。アジャストスクリュー35の近傍に、ローラ等の力伝達部材36を備えた力伝達部37が設けられている。
【0022】
図2に示されるように、第1アーム31は、アジャストスクリュー35が設けられている端部40と、ロッカシャフト21が挿通するシャフト嵌挿部41,42とを有している。シャフト嵌挿部41,42は、端部40から二股状に分岐する形状に形成されている。
【0023】
ロッカシャフト21とカムシャフト20との間に第2アーム32が設けられている。この第2アーム32は、自在継手部26に対して揺動自在に嵌合する基端部50と、後述する第3アーム33の中継部66に当接する作動部51とを有している。
【0024】
基端部50と作動部51との間に、カム22に転接するローラ等のカムフォロア52を有する当接部53が設けられている。このため第2アーム32は、カム22の回転に伴って、ロッカシャフト21側の自在継手部26の中心C1を支点として揺動することになる。
【0025】
すなわち可変機構25によってロッカシャフト21を矢印R2方向に揺動させると、第2アーム32の基端部50がロッカシャフト21の周方向に変位し、これに伴い、当接部53がカム22の周方向に変位するため、カム22に対する第2アーム32の回転位相を遅角側あるいは進角側に変化させることができる。
【0026】
第2アーム32の少なくとも一部は、第2アーム32の当接部53がカム22のベース円22bに当接している状態において、前記シャフト嵌挿部41,42間に位置している。
【0027】
このようにシャフト嵌挿部41,42間に第2アーム32の一部を挟み込む構成によれば、第2アーム32とカム22との接触部、あるいは第2アーム32と第3アーム33との接触部などに偏荷重が生じた場合でも、第2アーム32がロッカシャフト21の軸線方向に変位することを防止でき、偏摩耗等の不具合を防ぐことができる。
【0028】
ロッカシャフト21の近傍に、ロッカシャフト21と平行に支持軸60が配置されている。この支持軸60に、伝達カムとして機能する第3アーム33が揺動自在に設けられている。第3アーム33は、スプリング61によって、図1中の反時計回り方向、すなわち第2アーム32の当接部53をカム22に当接させる方向に付勢されている。
【0029】
第3アーム33に、第1アーム31の力伝達部37に接する伝達面部65と、第2アーム32の作動部51に当接する中継部66が設けられている。カム面として機能する伝達面部65は、第2アーム32が揺動することに伴って、第3アーム33の回転方向、すなわち支持軸60の周方向に変位する。
【0030】
従って第2アーム32が揺動すると、力伝達部37と伝達面部65との接触位置が支持軸60の周方向に変位することになる。すなわちカム22の凸部22aによって第2アーム32が自在継手部26を中心として第3アーム33側に揺動され、中継部66を介して第3アーム33が時計回りに回動したとき、伝達面部65によって第1アーム31が矢印R3方向に回動することにより、バルブ11が開弁することになる。
【0031】
さらに詳しくは、伝達面部65は、支持軸60の中心C2からの距離が変化しない非変換部70と、支持軸60の中心C2からの距離が第3アーム33の先端部33aに向かって増加する変換部71とを有している。すなわちこの伝達面部65は、第2アーム32の揺動量を変換して第1アーム31を駆動すべく、第3アーム33の回転方向に関して支持軸60の中心C2からの距離が変化するよう形成されている。
【0032】
一方、非変換部70は、カム22に対する第2アーム32の当接部53の回転位相が可変機構25によって所定角度進角されたとき、第2アーム32の揺動開始からほぼ前記所定角度までの揺動量をキャンセルすることができるようなカム面形状としている。
【0033】
次に、上記可変動弁装置10の動作について説明する。
図1はロッカシャフト21が可変機構25によって中立位置Nよりも角度θ1だけ遅角側に駆動された状態を示している。この場合、第2アーム32の当接部53は、カム22に対して中立点P1よりも遅角側(図1において左側)に角度αだけ変位している。また、第2アーム32の作動部51が図1において左側に変位している。
【0034】
この状態でカムシャフト20が矢印R1方向に回転し、図3に示すようにカム22の凸部22aが第2アーム32の当接部53を押上げると、第2アーム32が自在継手部26の中心C1を支点として反時計回りに回動する。このため第2アーム32の作動部51が中継部66を押し、第3アーム33が時計回りに回動する。これにより、伝達面部65の変換部71が力伝達部37を押すため、第1アーム31が回動してバルブ11が開弁する。
【0035】
この場合、図1に示すように開弁前に力伝達部37が変換部71の近傍に位置しているため、第3アーム33が時計回りに回転する際に、伝達カムとして機能する第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70が短くなり、結果として変換部71が長くなる。
【0036】
このため、カム角が小さいうちから第1アーム31がバルブ11を開弁させる方向に駆動され始め、しかも力伝達部37が変換部71を長い範囲にわたって接しながら第1アーム31が矢印R3方向に押される。このため大きなバルブリフト量H1(図3に示す)となる。
【0037】
このため図4に曲線L1で示すように、バルブリフトが大きく、かつ、バルブリフトのピークが遅角する。この場合、高回転、高負荷の大吸気量に適したバルブの駆動となる。
【0038】
図5は、ロッカシャフト21が可変機構25によって中立位置Nに駆動された状態を示している。この場合、第2アーム32の当接部53は、カム22に対し前記中立点P1において接している。また、第2アーム32の作動部51が図5において、図1と比較して右側に少し変位することにより、第3アーム33が反時計回りに少し回転する。このため図1の状態と比較して、伝達カムとして機能する第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70がやや長くなり、結果として変換部71がやや短くなる。
【0039】
この状態でカムシャフト20が回転し、図6に示すようにカム22の凸部22aが第2アーム32の当接部53を押上げると、第2アーム32が自在継手部26の中心C1を支点として反時計回りに回動する。このため第2アーム32の作動部51が中継部66を押し、第3アーム33が時計回りに回動する。これにより、伝達面部65の変換部71が力伝達部37を押すため、第1アーム31が回動してバルブ11が開弁する。
【0040】
言い換えると、図5に示す閉弁時において、伝達面部65に接している力伝達部37から変換部71までの距離が少し長くなる。すなわち、図1よりも長い非変換部70を経たのちに、力伝達部37と変換部71が当接することになる。このため第3アーム33が時計回りに回転する際に、力伝達部37が変換部71によって中程度の長さにわたって押されながら、第3アーム33が時計回りに回転する。このため中程度のバルブリフト量H2(図6に示す)となり、かつ、図4に曲線L2で示すようにバルブの駆動位相が中立となるため、中回転、中負荷の吸気量に適したバルブの駆動となる。
【0041】
図7は、ロッカシャフト21が可変機構25によって中立位置Nよりも角度θ2だけ進角側に駆動された状態を示している。この場合、第2アーム32の当接部53は、カム22に対して中立点P1よりも進角側(図1において右側)に角度βだけ変位している。また、第2アーム32の作動部51が図7において右側に変位し、第3アーム33が反時計回りに変位しているため、図5の状態と比較して、伝達カムとして機能する第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70がさらに長くなり、結果として、変換部71がさらに短くなる。
【0042】
この状態でカムシャフト20が回転し、図8に示すようにカム22の凸部22aが第2アーム32の当接部53を押上げると、第2アーム32が自在継手部26の中心C1を支点として反時計回りに回動する。このため第2アーム32の作動部51が中継部66を押し、第3アーム33が時計回りに回動する。これにより、伝達面部65の変換部71が力伝達部37を押すため、第1アーム31が回動してバルブ11が開弁する。
【0043】
この場合、伝達カムとして機能する第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70の期間(距離)が長いため、第2アーム32の揺動に伴って第3アーム33が時計回りに回転する際、力伝達部37が変換部71上を移動する距離が短い。このため第1アーム31の回動量は僅かであり、バルブリフト量H3(図8に示す)が小さくなる。このため図4に曲線L3で示すようにバルブの駆動位相が進角するとともに、バルブリフトが小さくなるため、低回転、低負荷の小吸気量に適したバルブの駆動となる。
【0044】
上記構成の可変動弁装置10を吸気系に適用すれば、吸気バルブ11の開き側を固定して閉じ側を連続的に変えることができるため、高膨張比サイクルとすることができる。
【0045】
また、慣性吸気との相乗作用により、燃費低減を図ることが可能である。慣性吸気とは、ピストンの吸入作用で生じた圧力の脈動が、吸気管内の吸気に慣性を起こすことを言う。この慣性吸気を利用して、吸気の脈動のピーク時期に吸気バルブ11を閉じ始めることにより、ピストンが下死点を過ぎても新気がシリンダ内に流入を続け、体積効率を高めることができる。エンジンの回転数によって脈動のピーク時期が異なるため、ピーク時期に合わせて吸気バルブ11を閉弁し始めることにより吸入空気量を増大できる。
【0046】
前記実施形態の可変動弁装置10では、図4の曲線L1の開弁開始から終了までの位相と、バルブリフト量を基準として、曲線L2,L3に示すように、ロッカシャフト21を可変機構25によって駆動した場合に、第2アーム32のカム22に対して進角させた期間が、第3アーム33の非変換部70と力伝達部37と接する期間を長くすることによってキャンセルされることにより、開弁開始時期を略一定とすることができる。
【0047】
従って、この可変動弁装置10によれば、開弁開始時期を固定したまま閉弁時期を変化させることができるため、慣性吸気の脈動に合わせて閉弁時期を変化させることにより、吸入空気量の増大を図り、燃費低減の効果が得られる。
【0048】
また、空気量を最適に制御することで良好な燃焼状態となり、未燃物等が減少して排出ガス成分が良化する。
【0049】
従来の一般的な連続位相可変動弁装置の場合、吸気バルブの閉弁時期を遅角させると開弁開始時期も遅角してしまう。このため、吸気および排気のバルブオーバーラップが減少あるいは無くなり、ポンピングロスが発生する。
【0050】
これに対して前記実施形態の可変動弁装置10によれば、開弁開始時期を固定した状態で閉弁時期を遅角することができるので、バルブオーバーラップを保ったまま閉弁時期を遅角させることにより、吸入空気量増加の効果が得られる。このため燃費低減の効果が得られる。
【0051】
一般に低負荷で空気過剰になると排気温度が低くなるが、前記実施形態の可変動弁装置10によれば、エンジンの運転状態に応じて吸入空気量を制御できるので、低負荷時に吸入空気量を減少させることにより、排気温度を高くすることができる。このため、触媒が活性化されて触媒が効果的に機能する。この場合には触媒によって排出ガスを浄化できるので、排出ガス成分が少し悪化しても燃費が良い状態にエンジン本体をセッティングすることができる。これにより、エンジン本体の燃費を良くするとともに、排出ガスを触媒で浄化することにより、高燃費と排出ガスの浄化を両立できることになる。また、この可変動弁装置10によれば、低負荷時に吸入空気量を減少させることにより、吸入空気量を制御するための吸気または排気絞りを設ける必要もなく、コスト低減が可能である。
【0052】
図9は本発明の第2の実施形態の可変動弁装置10Aを示している。この可変動弁装置10Aでは、第2アーム32の基端部50側に二股部32a,32bが形成されている。そして第2アーム32がカム22のベース円22b(図1に示す)に接している状態において、第1アーム31の少なくとも一部が、二股部32a,32b間に位置している。それ以外の構成と作用および効果については、前記第1の実施形態の可変動弁装置10と同様であるため、両者に共通の個所に共通の符号を付して説明は省略する。
【0053】
この第2の実施形態のように、二股部32a,32b間に第1アーム31の一部を挟み込む構成によれば、第2アーム32とカム22との接触部、あるいは第2アーム32と第3アーム33との間の接触部などに偏荷重が生じた場合でも、第2アーム32がロッカシャフト21の軸線方向に変位することを防止できるので、偏摩耗等の不具合を防ぐことができる。
【0054】
図10は本発明の第3の実施形態の可変動弁装置10Bを示している。この可変動弁装置10Bは、第1アーム31のシャフト嵌挿部31aが二股状になっていない点で、前記第1の実施形態の可変動弁装置10と相違する。それ以外の構成と作用および効果については、前記第1の実施形態の可変動弁装置10と同様であるため、両者に共通の個所に共通の符号を付して説明は省略する。
【0055】
なお、図7の状態からさらに第2アーム32をカム22に対して進角可能と設定することによって、図4のL4に示す休筒状態(バルブリフト量が極小またはゼロ)とすることもでき、燃費低減の効果が得られる。
【0056】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明によれば、可変機構によって第2アームのロッカシャフト側の支点を変位させることにより、支点の位置に応じて吸気または排気バルブの駆動位相を連続的に変化させることができる。
【0057】
請求項2に記載した発明によれば、第3アームの伝達面部に、支持軸の中心からの距離が変化する変換部を設けたことにより、第2アームの揺動量が第3アームにより変換されて第1アームに伝達される。このため、第2アームのロッカシャフト側の前記支点の位置を前記可変機構によって移動させることにより、吸気または排気バルブのリフト量を変化させることができる。
【0058】
請求項3に記載した発明によれば、前記支点をロッカシャフトの軸まわりに変位させる可変機構により、吸気または排気バルブの駆動位相を連続的に変化させることができる。
【0059】
請求項4に記載した発明によれば、可変機構によってカムに対する第2アームの回転位相が所定角度進角されても、非変換部によって第2アームの揺動開始から略所定角度の揺動量がキャンセルされることにより、バルブリフト量にかかわらず開弁開始時期を略同一にすることができる。
【0060】
請求項5に記載した発明によれば、第3アームを付勢するスプリングを設けたことにより、第2アームが常にカムに当接するように第2アームと第3アームの位置を保持することができる。
【0061】
請求項6と請求項7に記載した発明によれば、第2アームとカムとの間の接触部、あるいは第2アームと第3アームとの接触部などに偏荷重が生じても、第2アームがロッカシャフトの軸線方向に変位することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の一実施形態を示す可変動弁装置の位相が遅角した状態における閉弁時の正面図。
【図2】 図1に示された可変動弁装置の一部の平面図。
【図3】 図1に示された可変動弁装置の位相が遅角した状態における開弁時の正面図。
【図4】 図1に示された可変動弁装置のカム角とバルブリフトとの関係を示す図。
【図5】 図1に示された可変動弁装置の位相中立状態における閉弁時の正面図。
【図6】 図1に示された可変動弁装置の位相中立状態における開弁時の正面図。
【図7】 図1に示された可変動弁装置の位相が進角した状態における閉弁時の正面図。
【図8】 図1に示された可変動弁装置の位相が進角した状態における開弁時の正面図。
【図9】 本発明の第2の実施形態を示す可変動弁装置の一部の平面図。
【図10】 本発明の第3の実施形態を示す可変動弁装置の一部の平面図。
【符号の説明】
10,10A,10B…可変動弁装置
11…バルブ
20…カムシャフト
21…ロッカシャフト
22…カム
23…ロッカアーム機構
25…可変機構
26…自在継手部
27…接続部材
31…第1アーム
32…第2アーム
33…第3アーム
37…力伝達部
60…支持軸
61…スプリング
65…伝達面部
70…非変換部
71…変換部

Claims (7)

  1. 内燃機関に回転自在に設けられたカムシャフトと、
    前記内燃機関に設けられた回動可能なロッカシャフトと、
    前記カムシャフトに形成されたカムによって駆動されて吸気または排気バルブを開閉するロッカアーム機構とを有し、
    前記ロッカアーム機構は、
    前記ロッカシャフトに揺動自在に支持され前記吸気または排気バルブを駆動可能な第1アームと、
    前記カムにより駆動され前記ロッカシャフト側を支点として揺動する第2アームと、
    前記ロッカシャフトの近傍に配置された支持軸に揺動自在に設けられ前記第2アームの揺動により変位されて前記第1アームを駆動する第3アームと、
    前記ロッカシャフトを回動させることにより前記第2アームの前記支点を変位させる可変機構と、
    を具備したことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記第3アームは、前記第2アームの揺動により変位されて前記第1アームを駆動すべく前記第1アームと接する伝達面部を有し、
    該伝達面部は、前記第2アームの揺動量を変換して前記第1アームを駆動すべく、前記支持軸の中心から該伝達面部までの距離が変化する変換部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 前記可変機構は、前記ロッカシャフトを回動させることにより前記支点を変位させるとともに、前記第2アームの前記カムとの当接部を前記カムのベース円の周方向に移動させることによって、前記カムに対する前記第2アームの回転位相を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記伝達面部は、前記支持軸の中心から該伝達面部までの距離が前記第3アームの回転方向に変化しない非変換部を有し、
    前記カムに対する前記第2アームの回転位相が前記可変機構によって所定角度進角された状態において、前記第2アームの揺動開始から前記所定角度にほぼ相当する揺動量を該非変換部によってキャンセルすることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 前記第2アームは、その基端部が前記ロッカシャフト側に設けた接続部材によって回動可能に支持され、
    前記第2アームの一部に設けた当接部が前記カムに当接するとともに該第2アームの他端側に設けた作動部が前記第3アームに当接し、かつ、
    前記第3アームに設けられ前記第2アームの前記当接部を前記カムに当接させる方向に前記第2アームを変位させるよう前記第3アームを付勢するスプリングを備えていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  6. 前記第1アームは、前記ロッカシャフトを挿通するシャフト嵌挿部が前記バルブ側の端部から二股状に分岐する形状をなし、
    この二股状のシャフト嵌挿部間に前記第2アームの一部が位置していることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  7. 前記第2アームは、前記基端部側が前記作動部側から二股状に分岐する形状をなし、
    この二股状の基端部間に前記第1アームの一部が位置することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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