JP4481294B2 - 開弁特性可変型内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、開弁特性可変型内燃機関に係り、詳しくは、比較的簡便な構成を採りながら、開弁特性の設定自由度を向上させる技術に関する。
近年、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンと記す)では、出力および燃費の向上や有害排出ガス成分の低減等を図るべく、種々の開弁特性可変機構を搭載したものが増えている。開弁特性可変機構としては、運転状況に応じて低速型カムと高速型カムとを切り換えるものが従来より存在するが、近年では過渡特性の更なる向上やスロットルレス化等を実現すべく、開弁特性(バルブリフトやバルブタイミング)を連続的に変化させるものも出現している。
この種の開弁特性可変機構としては、カムシャフトとロッカアームとの間に先端のローラやローラシャフトが介装される揺動式のコントロールリンクを介装させ、コントロールアームの揺動支点となるコントロールシャフトを支持シャフト回りに旋回させるものが知られている(特許文献1,2参照)。特許文献1の開弁特性可変機構は、カムシャフトのカムローブにローラを転接させるとともに、ロッカアームに形成された凹円弧状のスリッパ面にローラと同軸のローラシャフトを転接させており、ローラがカムローブのベース円に転接した状態でスリッパ面の円弧中心とカムシャフトの回転中心とが一致するように構成されている。また、特許文献2の開弁特性可変機構も、カムシャフトのカムローブにローラを転接させているが、ローラと同軸のタペットローラはロッカアームに形成された凸形状のスリッパ面に転接させている。
特開2001−164911号公報 特開2005−344702号公報
自動車用エンジンでは、高リフト時にバルブクリアランスを小さくして動弁系の衝撃荷重を低減させたり、低リフト時にバルブクリアランスを大きくしてバルブを瞬時に閉じさせたりするというように、バルブリフトの大小に応じてバルブクリアランスを変化させることが望ましい。しかしながら、特許文献1の開弁特性可変機構では、スリッパ面の円弧中心とカムシャフトの回転中心とが一致しているため、コントロールシャフトの位置(すなわち、バルブリフトの大小)に拘わらずバルブクリアランスが一定となってしまう他、バルブリフト特性を変更する際にカムローブ(すなわち、カムシャフト)の新規製作等が必要になる等の問題があった。一方、特許文献2の開弁特性可変機構では、タペットローラがロッカアームの凸形状のスリッパ面に転接しているため、タペットローラの初期位置が微少にずれただけでバルブリフト特性が大幅に狂ってしまう等の問題があった。
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、比較的簡便な構成を採りながら、開弁特性の設定自由度を向上させることができる開弁特性可変型内燃機関を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、カムシャフトに形成されるとともに、所定のベース円を有するカムと、バルブを開弁方向に押圧するバルブ押圧部を有するとともに、支持軸を中心に揺動するロッカアームと、前記カムに転接する第1ローラと、前記ロッカアームに形成された凹円弧状のスリッパ面に転接する第2ローラとをその先端に回動自在に保持するローラリンクと、前記ローラリンクの基端を揺動自在に保持するコントロールシャフトと、前記コントロールシャフトを所定の移動軌跡に沿って移動させるコントロールシャフト駆動手段と
を備えた開弁特性可変型内燃機関であって、前記スリッパ面に対峙する方向に前記カムの回転中心が位置し、前記コントロールシャフトの移動範囲では、前記第1ローラが当該ベース円に転接した状態において、前記ベース円の中心と前記スリッパ面の円弧中心とがオフセットしたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載された開弁特性可変型内燃機関において、前記コントロールシャフトの移動範囲では、前記第1ローラが当該ベース円に転接した状態において、前記ロッカアームのバルブ押圧部と前記バルブとの間隙が0.35mm以内となることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ベース円の中心とスリッパ面の円弧中心との相対位置を適宜設定することで、第2ローラの初期位置のずれに起因するバルブリフト特性の大きな狂いを伴うことなく、バルブリフトに対するバルブクリアランスの値を比較的自由に変更することができるとともに、カムシャフトを新規に製作することなくバルブリフト特性を変更することもできる。また、請求項2の発明によれば、動弁系に過度の衝撃荷重が作用しない範囲で、バルブを瞬時に閉じさせることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態およびその一部変形例を詳細に説明する。
図1は実施形態に係るエンジンの上部を示す要部透視斜視図であり、図2は実施形態に係るエンジンの上部を示す縦断面であり、図3は実施形態に係るVLC機構の要部を示す斜視図であり、図4は実施形態に係るVLC機構の要部を示す縦断面図である。
≪実施形態の構成≫
<全体構成>
図1に示すエンジン(開弁特性可変型内燃機関)Eは自動車用の4サイクル直列4気筒エンジンであり、そのシリンダヘッド1には、図2に示すように、各気筒2つずつの排気バルブ2と吸気バルブ3とを備え、これらバルブ2,3を排気カムシャフト4と吸気カムシャフト5とによって駆動するDOHC4バルブ型の動弁機構が設けられている。なお、排気バルブ2と排気カムシャフト4との間には排気ロッカアーム6が介装され、吸気バルブ3と吸気カムシャフト5との間には吸気ロッカアーム7が介装されている。また、排気バルブ2および吸気バルブ3は、バルブスプリング8,9によってそれぞれ閉鎖方向に常時付勢されている。図1中、符号10で示す部材は、排気ロッカアーム6の揺動支点となるロッカシャフトである。
シリンダヘッド1の上面には5つのカムホルダ(支持部材)11〜15が締結されており、これらカムホルダ11〜15によって両カムシャフト4,5や両ロッカアーム6,7が回転あるいは揺動自在に支持されている。なお、本実施形態では、各カムホルダ11〜15のうち、右端のものをフロントカムホルダ11、中央のものをセンタカムホルダ13、左端のものをリヤカムホルダ15、その他の2つをミドルカムホルダ12,14とそれぞれ記す。また、各カムホルダ11〜15の上面には平板状のベースプレート18が設置されており、このベースプレート18とヘッドカバー19とによって動弁機構が覆われている。
本実施形態のエンジンEには、開弁特性可変機構として、排気バルブ2のリフト量を可変制御するVLC(Variable valve Lift Control)機構20が搭載されている。
<VLC機構>
図3に示すように、VLC機構20は、ベースプレート18(図2には示さず)の上面に両カムシャフト4,5と平行に設置された電動モータ21と、図示しない減速ギヤ機構を介してこの電動モータ21に回転駆動されるギヤシャフト22と、ギヤシャフト22に形成されたギヤ22aに噛み合うドリブンギヤ部23a,24aとシャフトホルダ部23b,24bとをそれぞれ有する左右一対のギヤリンク23,24と、両ギヤリンク23,24のシャフトホルダ部23b,24bにそれぞれ回動自在に支持されたコントロールシャフト25と、コントロールシャフト25がその基端に嵌挿されたローラリンク26と、ローラリンク26の先端にローラシャフト(第2ローラ)27を介して回動自在に支持されたローラ(第1ローラ)28とを主要構成要素としている。
図1中に符号29で示す部材は電動モータ21の回転量を検出するセンサ(ロータリエンコーダ)であり、図示しないエンジンECUは、このセンサ29の検出信号に基づきコントロールシャフト25の位置を判定し、電動モータ21への供給電流をフィードバック制御する。また、図2,図3中に符号30で示す部材はギヤリンク23,24をカムホルダ11〜15に揺動自在に支持させる支持ピンである。また、符号31で示す部材はアジャストスクリュー(バルブ押圧部)であり、排気ロッカアーム6に装着されて排気バルブ2のステム端2aを押圧する。
両ギヤリンク23,24は、図4中に実線で示す位置(最小リフト位置)と破線で示す位置(最大リフト位置)との間で無段階に回動し、これによって、コントロールシャフト25(すなわち、シャフトホルダ部23b,24b)が支持ピン30を中心に旋回することになる。ローラリンク26は、ギヤリンク23,24が最小リフト位置にある場合には最小リフト点Pg1を中心に揺動し、ギヤリンク23,24が最大リフト位置にある場合には最大リフト点Pg2を中心に揺動する。
ローラ28は、排気カムシャフト4のカムローブ4aに転接している。また、ローラシャフト27は、排気ロッカアーム6に形成された円弧状のスリッパ面6aに転接している。本実施形態の場合、スリッパ面6aに対峙する方向には排気カムシャフト4の回転中心が位置しており、コントロールシャフト25の移動範囲では、ローラ28がカムローブ4aのベース円Cbに転接した状態において、ベース円Cbの中心Pcに対してスリッパ面6aの円弧中心Psが図4中で斜め左上方にオフセットしている。したがって、スリッパ面6aの曲率半径Rは、ベース円Cbの中心Pcとスリッパ面6aの円弧中心Psとが一致している場合に較べ、有意に大きく設定されている。
≪実施形態の作用≫
自動車のエンジンEが始動されると、エンジンECUは、運転者によるスロットルペダルの踏込量や冷却水温等、種々の運転情報に基づき排気バルブ2の目標リフト量を設定し、VLC機構20の電動モータ21に駆動電流を出力する。すると、図示しない減速ギヤ機構を介してギヤシャフト22が電動モータ21によって回転駆動され、ギヤシャフト22のギヤ22aにドリブンギヤ部23a,24aで噛み合ったギヤリンク23,24が正逆いずれかの方向に回転駆動される。
アイドル運転時等にバルブリフトを低減させる場合、エンジンECUは、図5に示すように、ギヤリンク23,24を最小リフト位置に回動させ、最小リフト点Pg1を中心にローラリンク26を揺動させるようにする。これにより、カムローブ4aによってローラ28が押し下げられても、図5中に矢印で示すようにローラシャフト27がスリッパ面6aに沿って転動することで、排気ロッカアーム6の揺動量(すなわち、排気バルブ2のリフト量)が最小となる。
一方、高負荷運転時等にバルブリフトを増大させる場合、エンジンECUは、図6に示すように、ギヤリンク23,24を最大リフト位置に回動させ、最大リフト点Pg2を中心にローラリンク26を揺動させるようにする。これにより、カムローブ4aによってローラ28が押し下げられると、スリッパ面6aに沿ったローラシャフト27の転動が殆ど起こらないことから、排気バルブ2のリフト量が最大となる。
本実施形態では、前述したように、ローラ28がカムローブ4aのベース円Cbに転接した状態において、ベース円Cbの中心Pcに対してスリッパ面6aの円弧中心Psが斜め上方にオフセットしている。これにより、コントロールシャフト25の位置(すなわち、ローラリンク26の揺動支点)が変動すると、ローラシャフト27がスリッパ面6aを転動し、アジャストスクリュー31と排気バルブ2のステム端2aとの間隙(すなわち、バルブクリアランス)Sが変化する。すると、バルブクリアランスSは、ローラリンク26が最小リフト点Pg1を中心に揺動する際には図7中に実線で示すように比較的大きく(例えば、0.35mm)となり、ローラリンク26が最大リフト点Pg2を中心に揺動する際には図7中に二点鎖線で示すように殆ど0となる。
その結果、本実施形態では、最小リフト時においては、図8中に実線で示すように排気バルブ2が瞬時に閉じることによって圧力波が大きくなり、脈動効果を向上させることができた。また、最大リフト時においては、図8中に二点鎖線で示すように排気バルブ2の開弁および閉弁が滑らかに行われ、動弁系(アジャストスクリュー31やステム端2a間等)の衝撃荷重が低減されるようになった。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態は本発明を排気バルブ側のリフト量のみを可変制御する直列4気筒DOHCガソリンエンジンに適用したものであるが、吸気バルブ側のリフト量も可変制御するものや、V型エンジンやSOHCエンジン、ディーゼルエンジン等にも当然に適用可能である。また、カムのベース円の中心とスリッパ面の円弧中心との位置関係についても、上記実施形態での例示に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば任意に設定可能である。また、上記実施形態ではアクチュエータによる動力伝達部材の駆動に平歯車機構を採用したが、ウォーム減速機構やチェーン駆動機構、カム機構等を採用してもよい。また、開弁特性可変機構の具体的構成等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
実施形態に係るエンジンの上部を示す要部透視斜視図である。 実施形態に係るエンジンの上部を示す縦断面である。 実施形態に係るVLC機構の要部を示す斜視図である。 実施形態に係るVLC機構の要部を示す縦断面図である。 VLC機構の作動説明図である。 VLC機構の作動説明図である。 VLC機構の作動に伴うバルブクリアランスの変化を示す図である。 実施形態に係るバルブリフト−バルブタイミング線図である。
符号の説明
1 シリンダヘッド
2 排気バルブ
3 吸気バルブ
4 排気カムシャフト
4a カムローブ(カム)
6 排気ロッカアーム
6a スリッパ面
20 VLC機構
21 電動モータ
22 ギヤシャフト
23 ギヤリンク
24 ギヤリンク
25 コントロールシャフト
26 ローラリンク
27 ローラシャフト(第2ローラ)
28 ローラ(第1ローラ)
31 アジャストスクリュー(バルブ押圧部)
Cb ベース円
E エンジン

Claims (2)

  1. カムシャフトに形成されるとともに、所定のベース円を有するカムと、
    バルブを開弁方向に押圧するバルブ押圧部を有するとともに、支持軸を中心に揺動するロッカアームと、
    前記カムに転接する第1ローラと、前記ロッカアームに形成された凹円弧状のスリッパ面に転接する第2ローラとをその先端に回動自在に保持するローラリンクと、
    前記ローラリンクの基端を揺動自在に保持するコントロールシャフトと、
    前記コントロールシャフトを所定の移動軌跡に沿って移動させるコントロールシャフト駆動手段と
    を備えた開弁特性可変型内燃機関であって、
    前記スリッパ面に対峙する方向に前記カムの回転中心が位置し、
    前記コントロールシャフトの移動範囲では、前記第1ローラが当該ベース円に転接した状態において、前記ベース円の中心と前記スリッパ面の円弧中心とがオフセットしたことを特徴とする開弁特性可変型内燃機関。
  2. 前記コントロールシャフトの移動範囲では、前記第1ローラが当該ベース円に転接した状態において、前記ロッカアームのバルブ押圧部と前記バルブとの間隙が0.35mm以内となることを特徴とする、請求項1に記載された開弁特性可変型内燃機関。
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