JP2004520322A - パラジウムを用いたカルボニル化によるカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、β−不飽和若しくはγ−不飽和カルボン酸又は飽和カルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
より特定的には、本発明は、パラジウムベース触媒の存在下で一酸化炭素及び水を作用させることによる、ブタジエンのような共役不飽和を含む有機化合物のヒドロキシカルボニル化に関する。こうして得られるカルボン酸は、ペンテン酸であるのが好ましい。
【背景技術】
【0003】
ポリアミド6,6のようなポリアミドの2つの基本成分の内の1つであるアジピン酸への可能なアクセスルートの内の1つは、ブタジエン又はその誘導体の二重カルボニル化である。
【0004】
ブタジエンからアジピン酸をもたらす2つのヒドロキシカルボニル化反応を単一工程で実施することを考えつくのは可能であるが、実際上は経済性から見て実行可能な工業的方法を構想するのに充分高い選択性を得ることが望まれるのであれば、これら2つの反応を連続形式で実施しなければならないということは明らかである。
【0005】
米国特許第3509209号明細書には、塩酸又は臭化水素酸及びパラジウム含有触媒の存在下で15℃〜300℃の温度で1〜1000バール、好ましくは10〜200バールの圧力下で一酸化炭素及び水によってブタジエンを含む各種オレフィンをヒドロキシカルボニル化することが開示されている。
【0006】
記載された条件下においてはペンテン酸の収率が非常低いこと及び現実には得られる生成物がバレロラクトンであることが非常にしばしばあるということが観察されている。
【0007】
フランス国特許第2529885号明細書には、水、ハロゲン化水素酸、パラジウムベース触媒及び第四級オニウム塩(ここで、オニウムは窒素、リン及び砒素から選択される元素のものである)の存在下での共役ジエン(より特定的にはブタジエン)のカルボニル化によるペンテン酸のようなβ−不飽和又はγ−不飽和酸の製造方法が提唱されている。
【0008】
この方法は良好な結果を与えるが、しかし比較的大量の第四級オニウム塩を使用することを必要とする。この化合物は高価な化合物であり、その存在は反応の最後における混合物の処理を複雑にするような性状のものである。
【0009】
また、ヨーロッパ特許公開第0648731号公報にも、パラジウム1モル当たりに少なくとも2モルの割合で塩化クロチル(クロトン酸クロリド)を存在させた下でのブタジエン及びその誘導体のペンテン酸へのヒドロキシカルボニル化方法が開示されており、前記パラジウムは少なくとも一部がπ−クロチル錯体の形にある。この方法はオニウム塩の使用を回避することを可能にする。
【0010】
これらの様々な方法は、許容できる収率及び選択性でカルボン酸を製造することを可能にする。しかしながら、触媒の回収及び再利用はこれらの文献には決して記載されていない。用いられる金属は貴金属なので、この触媒が一部しか回収されないと、これらの方法を工業的に展開することはできない。
【特許文献1】米国特許第3509209号明細書
【特許文献2】フランス国特許第2529885号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許公開第0648731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの目的は、パラジウム触媒を完全に又は実質的に完全に回収することを含むヒドロキシカルボニル化方法を提供することにある。さらに、本発明は、パラジウムをさらなるヒドロキシカルボニル化工程に再循環することを可能にするパラジウム回収方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的で、本発明は、エチレン性又はアセチレン性不飽和と該不飽和に対してα位にある炭素が有する別の不飽和又は電子供与性基とを共役した形で含む化合物を一酸化炭素及び水と反応させることによるβ−不飽和若しくはγ−不飽和カルボン酸又は飽和カルボン酸の製造方法を提供するものである。この反応は、媒体中に可溶のパラジウムベース触媒の存在下で実施される。
【0013】
本発明の方法は、ヒドロキシカルボニル化反応終了時の反応媒体を、第1段階において、この媒体中に存在する一酸化炭素をCOの蒸発又は飛沫同伴によって抽出するために処理し、第2段階において、この媒体中に存在するパラジウムを水素による処理によって酸化状態0のパラジウムに還元するために処理することを特徴とする。こうして還元されたパラジウムは沈殿し、慣用の固液分離手段によって反応媒体から分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の1つの特徴に従えば、水素で処理する前の媒体中のCOの濃度は、溶液1リットル当たりにCO600ミリリットル未満であるのが有利であり、溶液1リットル当たりにCO100ミリリットル未満であるのが好ましい。また、このCOの濃度は、溶液1リットル当たりにCO0.001ミリリットルより高いのが好ましい。
【0015】
前記の不飽和を含む化合物とは、次の一般式の化合物を意味するものとする。
【化1】
この式中、エチレン性又はアセチレン性不飽和に対してα位にある炭素は、エチレン性不飽和或は電子供与性基、例えばハロゲン原子、置換若しくは非置換アミノ基又はアルコキシ、ヒドロキシル、オキソ、エポキシ、カルボニル、メルカプトアルキル、エステル及び/若しくはシアノ基を有する。
【0016】
かかる不飽和化合物の例としては、ジオレフィン類、アリルアルコール類、アリルエーテル類、アリルエステル類及びハロゲン化アリル類を挙げることができる。
【0017】
本発明の好ましい化合物はブタジエンであり、これは単純ヒドロカルボニル化によるペンテン酸の製造又は二重ヒドロキシカルボニル化によるアジピン酸の製造を可能にする。
【0018】
本発明の触媒は、反応媒体中に可溶のパラジウム化合物である。本発明の実施のための化合物は、従来技術を示すために上に挙げた文献に記載されたものである。
【0019】
例えば、塩酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸若しくは臭化水素酸、硫酸、硝酸又は炭酸から誘導されるもののような1個以上のアニオン性基を含むパラジウム化合物を挙げることができる。
【0020】
また、スルホン酸類、チオアルコール類、又は酢酸、プロピオン酸若しくはピバル酸のようなカルボン酸類から誘導されるアニオン性基も好適である。
【0021】
また、リン又は窒素原子を含む化合物から形成される錯体を用いることもできる。
【0022】
前記パラジウムはまた、有機錯体の形で存在させることもでき、これは反応媒体中に導入する前に形成させることもでき、該媒体中で直接形成させることもできる。
【0023】
本発明の方法において用いることができる錯体の例には、次のものがある:ビス(π−アリルパラジウムクロリド)、ビス(π−アリルパラジウムブロミド)、アセチルアセトナト(アリル)パラジウム、ビス(π−イソブテニルパラジウムクロリド)、ビス(π−シクロヘキセニルパラジウムクロリド)並びにその他のπ−アリル錯体、例えばビス(π−4−クロルクロチルパラジウムクロリド)及びビス(π−2−メチル−4−クロルクロチルパラジウムクロリド)、π−アリルカルボニルパラジウムクロリド類及びπ−イソブテニルカルボニルパラジウムクロリド(例えば(C4H7Pd2Cl2CO)2)、さらにはエチレンパラジウムクロリド。
【0024】
また、次のような有機パラジウム錯体を用いることも可能である:パラジウムアセチルアセトネート、ビス(ビベンジリデンアセトン)パラジウム、パラジウムクロチルクロリドの二量体、又は芳香族若しくは脂肪族ホスフィンとパラジウムとの錯体、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム若しくはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド。
【0025】
本発明の好ましい具体例に従えば、パラジウム触媒は、パラジウム1モル当たりに少なくとも2モルの割合で塩化クロチルを添加することによってその場で形成される。かくして、このパラジウムは、ヨーロッパ特許公開第0648731号公報に開示されたように、少なくとも一部はπ−クロチル錯体の形にある。
【0026】
本発明に従えば、上記の不飽和有機化合物(よりわかりやすくするためにはこの化合物はブタジエンを参照することによって例示されるであろう)の一酸化炭素及び水によるヒドロキシカルボニル化方法は、大気圧より高い一酸化炭素圧において実施するのが有利である。
【0027】
反応媒体中に存在する水は、反応混合物の重量に対して20重量%又はそれ未満の量を占めるのが有利である。
【0028】
本明細書において用語「ブタジエン誘導体」とは、特にアリル性ブテノール、例えば3−ブテン−2−オール、2−ブテン−1−オール及びそれらの混合物、又はブタジエンの塩化水素付加化合物(クロルブテン類)(その主な物の1つは、塩化クロチルである)を意味するものとする。
【0029】
本方法においては、ブタジエン、その1種以上の誘導体又はブタジエンとその1種以上の誘導体との混合物を用いることができる。しかしながら、ブタジエン又は主としてブタジエンを含む混合物が好ましい基剤である。
【0030】
π−クロチルパラジウム錯体触媒は、(先に形成させておいてから)反応媒体中に導入することもでき、Pdハロゲン化物(より特定的には塩化物)、Pdカルボン酸塩(特に酢酸塩)又は金属パラジウム微粉からその場でπ−クロチルパラジウム錯体触媒を形成させることもできる。
【0031】
本方法において用いられるπ−クロチルパラジウム触媒の量は、広い範囲内で変えることができる。一般的には、反応器に装填されるブタジエン又はブタジエン誘導体1モル当たりにPd10-5モル〜0.2モルが用いられ、10-4モル〜0.1モル/モルであるのが好ましい。
【0032】
また、π−クロチルパラジウム触媒に加えて、別のもっと活性が低い形のパラジウム(例えば金属Pd又はPd塩化物)が反応媒体中に様々な量で存在していてもよい。しかしながら、工業プロセスにおいては、すべての又はほとんどすべてのパラジウムが媒体中に可溶な活性形、例えばπ−クロチルパラジウムの形に(随意に塩化パラジウムと共に)あるのが好ましい。
【0033】
π−クロチルパラジウム錯体は、例えば塩化パラジウムのようなパラジウム塩と塩化クロチルとを溶媒(これは水/メタノール混合物から成ることができる)中で反応させることによって、調製することができる。この混合物を、一般的には周囲温度において、有利には穏和な一酸化炭素流下で撹拌する。π−クロチルパラジウム錯体が沈殿する。随意のガス抜き工程の後に、混合物を水中に注ぎ、次いで例えばクロロホルムのような好適な有機溶媒を用いて抽出する。次いで溶媒を蒸発させることによって有機溶液からこの錯体を単離する。
【0034】
促進剤の塩化クロチルは、(先に生成させておいてから)反応混合物中に導入することもでき、ブタジエン及び/又は2−ブテン−1−オールと塩酸とからその場で生成させることもできる。
【0035】
この塩化クロチルは、モル/モルとしてパラジウムの量の5〜10倍を占めるのが好ましいが、ヒドロキシカルボニル化されるべき基剤の全部又は一部を構成することができるので、もっと多量に存在させることもできる。
【0036】
全体として、反応媒体中のCl/Pdモル比が高いと反応速度に悪影響が出るので、このモル比を100又はそれ未満、好ましくは20又はそれ未満にするのが好ましい。
【0037】
上記のように、反応混合物中の水の濃度は、前記混合物の重量に対して20重量%又はそれ未満の値に保つのが有利である。これは、水の濃度が反応速度に影響を及ぼすからである。この水の濃度は、8重量%又はそれ未満の値に保つのが好ましく、5重量%又はそれ未満の値に保つのがさらにより一層好ましい。
【0038】
水はヒドロキシカルボニル化反応の必須反応成分なので、本発明の方法の有利な別形態は、反応が進行するにつれてこの水を注入ことから成る。この別形態は、反応が実施されるのを可能にしながら反応混合物中の水の濃度を非常に低い値に保つことを可能にする。
【0039】
第三成分の溶媒を存在させることも排除されないが、この反応は、反応成分自体及び反応生成物以外の溶媒なしで実施されるのが一般的である。また、ヒドロキシカルボニル化反応の開始時からペンテン酸(より特定的には3−ペンテン酸)を導入して副反応を最小限にするのが好ましいこともある。
【0040】
本方法を工業的に実施するに当たっては、未反応ブタジエンを再循環する操作によって、その他の化合物(特にヒドロキシカルボニル化反応の際に生成した副生成物)が多少なりとも有意の量で反応媒体中に導入されてもよい。従って、反応混合物中に例えばブテン類、γ−バレロラクトン、吉草酸、アジピン酸、2−メチルグルタル酸、2−エチルコハク酸、2−メチルブタン酸又は2−メチルブテン酸が存在していてよい。本方法の可能な連続実施の要件の観点からは、これらの化合物の存在量はヒドロキシカルボニル化反応に装填される反応混合物の90重量%に達してもよい。
【0041】
ブタジエンの濃度は、特にパラジウム触媒の安定性の点、即ち本質的に反応混合物中でパラジウムを溶液状に保つという点で、有意の反応パラメーターである。かくして、反応混合物の総重量に対してブタジエンが0.2重量%未満になるのは好ましくないということが観察された。反応をバッチ式で実施する場合には、ブタジエン又はその誘導体の転化を抑制して反応混合物がブタジエン又はその誘導体を少なくとも0.5重量%含むようにするのが好ましい。
【0042】
また、ブタジエンの濃度は、反応混合物の重量に対する重量として50%又はそれ未満の値に保つのが好ましく、反応をバッチ式で実施する場合には30%又はそれ未満の値に、反応を連続プロセスで実施する場合には10%又はそれ未満の値に保つのがさらにより一層好ましいであろう。
【0043】
上記のヒドロキシカルボニル化プロセスの具体例には、他の具体例と比べて、反応が終わるまでパラジウムを反応媒体中で溶液状に保って高い反応速度を維持することができるという利点がある。
【0044】
ヒドロキシカルボニル化反応は一般的に60℃〜230℃の範囲、好ましくは90℃〜200℃範囲の温度で、その温度において50〜500バール、好ましくは100〜300バールの加圧下において、実施することができる。
【0045】
25℃において測定した時の一酸化炭素の分圧は、25バール〜440バール、好ましくは55バール〜240バールである。
【0046】
すでに示したように、本発明の方法は連続式で実施することもバッチ式で実施することもできる。従って、当然ながら、上で定義した各種操作条件は、選択した実施方法に従って調整されるべきである。
【0047】
ヒドロキシカルボニル化反応の最後に得られる反応媒体は、溶解した形のパラジウムを含む。
【0048】
本発明は、不溶性の形でパラジウムをほぼ100%の回収率で回収することができるこの反応媒体の処理を提供するものである。
【0049】
この処理の第1段階は、反応媒体中に溶解した一酸化炭素を抽出することから成る。この抽出は、COを含まない雰囲気下で媒体を加熱することによって達成することができる。反応媒体を不活性雰囲気又は水素雰囲気下に置き、随意にこの不活性ガス又は水素を反応媒体中にスパージすることによって実施するのがより一層有利である。用語「不活性ガス」とは、窒素又は希ガスを意味するものとする。
【0050】
この段階は、20℃(周囲温度)〜150℃の範囲の温度において実施することができる。
【0051】
この操作は、ほとんどすべての一酸化炭素を抽出するために実施され、ほとんどすべての一酸化炭素を反応媒体から抽出することができる。かくして、有利なことに、反応媒体中の一酸化炭素の濃度を溶液1リットル当たりに600ミリリットル未満、好ましくは溶液1リットル当たりに100ミリリットル未満にすることができる。反応媒体中のCOの濃度は、0.001ミリリットル/リットル〜600ミリリットル/リットルの範囲であるのが有利である。
【0052】
一酸化炭素を抽出した後に、本発明の方法は、溶解したパラジウム(一般的に酸化状態が+2のもの)を酸化状態0のパラジウム(Pd(0))に還元する段階を含む。このパラジウムは、濾過や沈降分離、遠心分離、蒸留、液状媒体の蒸発のような通常の液体/固体分離技術によって反応媒体から分離される。
【0053】
本発明の好ましい具体例に従えば、反応媒体中に不溶の化合物は、Pd(0)を沈殿させる前に前記媒体中に存在させる。
【0054】
この不溶性化合物は、反応媒体に任意の時点で添加することができ、例えばヒドロキシカルボニル化プロセスの開始時、その終了時又はパラジウム還元段階の直前に添加することができる。
【0055】
この不溶性化合物は、ヒドロキシカルボニル化反応の開始前に添加するのが有利である。
【0056】
本発明に従えば、酸化状態0のパラジウムが沈殿し、この不溶性化合物から成る不均質相上又は中に付着し、こうして反応媒体からのその抽出及び分離が容易になる。
【0057】
一般的に、この不溶性化合物はヒドロキシカルボニル化反応に対して影響がないものであるべきであり、特にパラジウムの触媒作用や反応の選択性に影響を及ぼすものであるべきでない。
【0058】
本発明にとって好適な不溶性化合物としては、無機化合物(有利には多孔質のもの又は大きい比表面積を示すもの)を挙げることができる。この類の化合物の中では、例として、活性炭、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化セリウム又はより一般的に希土類金属酸化物を挙げることができる。
【0059】
本発明にとって好適なその他の不溶性化合物としては、ポリスチレンフォームのようなポリマーフォーム又はシリコーン油を挙げることができる。
【0060】
不溶性化合物の添加量は臨界的ではなく、広い範囲内で変えることができる。
【0061】
本発明の1つの特徴に従えば、酸化状態0へのパラジウムの還元段階は、反応媒体を水素雰囲気下におくことによって実施される。
【0062】
しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、NaBH4のようなホウ水素化物又は金属水素化物のような還元用化合物を前記媒体に添加することも可能である。
【0063】
この還元段階は、周囲温度(20℃)〜150℃の間で、1バール〜100バールの間の水素圧下において実施することができる。
【0064】
しかしながら、ヒドロカルボニル化合物中に存在する不飽和に影響を及ぼすことなくパラジウムを酸化状態0に還元することを可能にする具体例においては、還元段階の温度を20℃(周囲温度)〜80℃の範囲にするのが有利である。
【0065】
別の具体例においては、80℃〜150℃の範囲の温度で、ヒドロカルボニル化によって得られるカルボン酸の不飽和を水素化して飽和カルボン酸を得ることができる。かくして、本発明の方法は、ブタジエンから出発してペンタン酸を得ることを可能にする。
【0066】
本発明の方法は、反応媒体中に存在するパラジウムをすべて回収することを可能にする。
【0067】
さらに、パラジウムを含む不溶性化合物は、酸で処理することによってパラジウムを再溶解させ、これをさらなるヒドロキシカルボニル化段階に再循環できるようにすることができる。
【0068】
かくして、本発明の方法は、パラジウムの触媒作用による不飽和化合物のヒドロキシカルボニル化反応を、触媒を損失することなく実施することを可能にする。従って、かかる方法を経済性よく運転することができる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に例示するが、これら実施例は本発明を単に例示するだけのものであり、その範囲を限定するものではない。
【0070】
例1
【0071】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:2.7g(50ミリモル)
・クロルブテン:0.3g(0.35ミリモル)
・水:0.9g(50ミリモル)
・活性炭上のパラジウム(3%):0.71g
【0072】
このPd/C触媒は、Engelhard社よりEscat(登録商標)162 5207の商品名で販売されている。
【0073】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールに上昇させ、一定圧を保つためにCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0074】
40分間の反応(ブタジエン転化率(DC)63%に相当)の後に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでガス抜きする。20バールの水素加圧下で3回水素パージを実施する。媒体中のCO含有率は、溶液1リットル当たりにCO0.6ミリリットルだった。
【0075】
20バールの水素圧をかけ、混合物を撹拌しながら80℃に1時間加熱する(パラジウムの還元段階)。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。採集されたチャコール(活性炭)を分析前に乾燥させる。
【0076】
濾過後に採集された反応塊を液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0077】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=92%
CY(二酸)=4.6%
CY(2−メチル−3−ブテン酸)=2.9%
CY(ペンタン酸)=0.07%
【0078】
採集されたチャコール(活性炭)上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの98%がチャコール(活性炭)上に回収され、反応媒体中に溶解した形で見つかったのは1%だけであることが示された。
【0079】
用語「ブタジエンの転化率(DC)」とは、(消失したブタジエンのモル数)対(装填したブタジエンのモル数)の比(%)を意味するものとする。
【0080】
用語「CY」とは、その物質Xについての選択性を意味し、(生成した物質Xのモル数)対(転化したブタジエンのモル数について計算される物質Xの理論モル数)の比(%)に相当する。
【0081】
例2
【0082】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:2.6g
・クロルブテン:0.15g
・水:0.9g
・酢酸パラジウム:0.10g
・チャコールCeca L3S:1.1g
【0083】
このチャコールは、Ceca社より販売されている。
【0084】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0085】
19分間の反応(ブタジエンのDC65%に相当)の後に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでガス抜きする。20バールの水素加圧下で水素パージを2回実施する。得られた溶液は、1リットル当たりにCO40ミリリットルを含んでいた。
【0086】
20バールの水素圧をかけ、この混合物を撹拌しながら40℃に15分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0087】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=83%
CY(二酸)=11%
CY(2−メチル−3−ブテン酸)=3.6%
CY(ペンタン酸)=1.8%
【0088】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応媒体中に溶解した形で見つかったのは反応に装填されたパラジウムの1%だけであり、残りはチャコール上に回収されたことが示された。
【0089】
例3
【0090】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:3.2g
・クロルブテン:0.32g
・水:0.9g
・酢酸パラジウム0.10g
・チャコールCeca L3S:1.0g
【0091】
このチャコールは、Ceca社より販売されている。
【0092】
このガラスフラスコ125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0093】
23分間の反応(ブタジエンのDC70%に相当)の後に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却する。このオートクレーブの圧力を下げ、重量含有率95/5のH2/CO混合物で60バールの加圧下に置く。このオートクレーブを40℃に45分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後に、反応混合物を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0094】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=87%
CY(二酸)=10%
CY(ペンタン酸)=0.25%
CY(2−メチル−3−ブテン酸)=3.2%
【0095】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、チャコール上に回収されたのは反応に装填されたパラジウムの34%だけであり、62%は反応媒体中に溶解した形にあることが示された。
【0096】
例4
【0097】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.2g
・ブタジエン:2.7g
・クロルブテン:0.20g
・水:0.9g
・活性炭上のパラジウム(3%):1.0g
【0098】
このPd/C触媒は、Engelhard社よりEscat(登録商標)162 5207の商品名で販売されている。
【0099】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをこのオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0100】
24分間の反応の後に(ブタジエンのDC51%に相当)、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでゆっくりガス抜きする。パージは実施せず、CO濃度は溶液1リットル当たりにCO1000ミリリットルとした。次いで20バールの水素圧をかけ、この混合物を撹拌しながら40℃に15分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0101】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=87%
CY(二酸)=10%
CY(ペンタン酸)=0.3%
【0102】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの88%が反応媒体中に溶解した形にあることが示された。
【0103】
例5
【0104】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:2.7g
・クロルブテン:0.30g
・水:0.9g
・酢酸パラジウム:0.11g
・チャコールCeca L3S:1.0g
【0105】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0106】
14分間の反応(ブタジエンのDC64%に相当)の後に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでゆっくりガス抜きする。パージは実施しない。次いで20バールの水素圧をかけ、この混合物を撹拌しながら80℃に15分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0107】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=80%
CY(二酸)=15%
CY(ペンタン酸)=0.2%
CY(2−メチル−3−ブテン酸)=3.8%
【0108】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの80%が反応媒体中に溶解した形にあることが示された。
【0109】
例6
【0110】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:2.6g
・クロルブテン:0.30g
・水:0.91g
・酢酸パラジウム:0.10g
・チャコールCeca L3S:1.0g
【0111】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。
CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0112】
反応終了時に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでゆっくりガス抜きする。40バールの水素でパージを実施してCO濃度を溶液1リットル当たりのCO40ミリリットルに落とす。次いで20バールの水素圧をかけ、この混合物を撹拌しながら40℃に15分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0113】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=80%
CY(二酸)=12%
CY(ペンタン酸)=2.1%
CY(2−メチル−3−ブテン酸)=3.9%
【0114】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの1%が反応媒体中に溶解した形にあることが示された。
【0115】
例7
【0116】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:2.8g
・クロルブテン:0.31g
・水:0.9g
・酢酸パラジウム:0.10g
・チャコールCeca L3S:1.0g
【0117】
このチャコールは、Ceca社より販売されている。
【0118】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0119】
反応終了時に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却する。このオートクレーブの圧力を下げ、次いで20バールの水素加圧下で水素パージを3回実施(CO濃度を溶液1リットル当たり0.6ミリリットルに落とす)し、次いで10バールの水素圧をかけ、この混合物を撹拌しながら80℃に5分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0120】
次の結果が得られた:
CY(3−ペンテン酸)=81%
CY(4−ペンテン酸)=3.7%
CY(二酸)=8.5%
CY(2−メチル−3−ブテン酸)=3.3%
CY(ペンタン酸)=4.4%
【0121】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの97%がチャコール上に回収され、反応媒体中に溶解した形にあるのは1%だけであることが示された。
【0122】
例8
【0123】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・3−ペンテン酸(純度90%):10.0g
・ブタジエン:2.7g
・クロルブテン:0.30g
・水:0.95g
・酢酸パラジウム:0.10g
・アルミナ(DegussaタイプC):1.0g
【0124】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0125】
試験終了時に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでガス抜きする。20バールの水素加圧下で水素パージを3回実施(CO濃度を溶液1リットル当たり0.6ミリリットルに落とす)し、次いで20バールの水素圧をかけ、この混合物を撹拌しながら80℃に45分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたアルミナを分析前に乾燥させる。
【0126】
採集されたアルミナ上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの97%がアルミナ上に回収され、反応媒体中に溶解した形にあるのは0.05%未満だけであることが示された。
【0127】
例9
【0128】
(1)π−クロチル−Pd塩化物錯体の調製
【0129】
150cm3の丸底ガラスフラスコに、5.04gのPdCl2、3.37gのNaCl、50cm3のメタノール、15cm3の水、8.03gの塩化クロチル及びさらに20cm3のメタノールを連続的に装填する。
【0130】
この不均質混合物を撹拌すると、次第に茶褐色になって濁ってきた。次いでこの溶液を撹拌しながら穏和な一酸化炭素流で1時間処理する(吹込)。この混合物は透明になり、黄色の沈殿が現れた。撹拌及びCO流を停止し、溶液を1時間放置し、次いで水300cm3中に注ぎ、50cm3のクロロホルムで5回抽出する。得られた麦わら色の有機相を水100cm3で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで一晩乾燥させ、次いで溶媒を蒸発させる。こうして淡黄色固体3.35gが回収され、この固体は94%を超える純度を有していた(核磁気共鳴NMRによる定量測定)。
【0131】
(2)クロルブテンのヒドロキシカルボニル化
【0132】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・クロルブテン:5.0g
・クロルクロチルパラジウム:10.3mg
【0133】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら130℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。
【0134】
60分後に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでガス抜きする。この均質反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0135】
次の結果が得られた:
RY(P3)=12.7%
RY(P2)=4.4%
【0136】
残部の大部分はクロルブテンだった。
【0137】
こうして得られた溶液2.09gをガラスフラスコ中に入れ、Ceca L3Sチャコール95mgを添加する15バールの水素加圧下でパージを2回実施し、この混合物を20バールのH2下で振り混ぜ、80℃に加熱する。この温度に圧したら、40バールの水素圧を60分間かける。このオートクレーブをガス抜きし、反応媒体を濾過する。
【0138】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムの100%がチャコール上に回収されたことが示された。
【0139】
例10
【0140】
ガラスフラスコに以下のものを装填する。
・ペンテン酸:10.0g
・ブタジエン:2.6g
・クロルブテン:0.30g
・水:0.92g
・酢酸パラジウム:0.11g
・チャコールCeca L3S:1.0g
【0141】
このガラスフラスコを125ミリリットルオートクレーブ中に導入する。このオートクレーブを即座に周囲温度においてCO100バールに加圧する。このオートクレーブをオーブン中に入れ、振り混ぜながら混合物を140℃に加熱する。設定温度に達したら、CO圧を200バールにし、一定圧を保つためにオートクレーブをCO源に連結する。CO源において測定される圧力差との関連でCO消費を評価する。
【0142】
反応終了時に、オートクレーブを水浴中で20℃に冷却し、次いでゆっくりガス抜きする。60バールの水素加圧下でパージを5回実施する(CO濃度を溶液1リットル当たり0.05ミリリットルに落とす)。次いでこの混合物を70バールの水素加圧下で撹拌しながら140℃に35分間加熱する。冷却し、ガス抜きした後、反応媒体を濾過する。回収されたチャコールを分析前に乾燥させる。反応塊を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。
【0143】
次の結果が得られた:
CY(ペンタン酸)=93%
CY(二酸)=3.0%
CY(2−メチル−3−ブタン酸)=3.9%
【0144】
採集されたチャコール上のパラジウム及び濾過後の反応塊中のパラジウムの定量測定をICP−OES又はICP−MSによって実施する。その結果、反応に装填されたパラジウムのほぼ100%がチャコール上に回収され、反応媒体中に溶解した形にあるのは0.025%だけであることが示された。
Claims (14)
- パラジウムをベースとする触媒の存在下でエチレン性又はアセチレン性不飽和と別の不飽和又は電子供与性基とを共役した形で含む化合物を一酸化炭素及び水と反応させることによって不飽和カルボン酸又は飽和カルボン酸を製造する方法であって、
ヒドロキシカルボニル化反応終了後に気体による処理によってこの反応媒体から一酸化炭素を抽出してCO濃度を溶液1リットル当たりにCO600ミリリットル未満にし、
次いでこの反応媒体を水素で処理してパラジウムを酸化状態0に還元し、
沈殿したパラジウムを反応媒体から分離する
ことから成ることを特徴とする、前記方法。 - 水素による処理の段階の前に前記反応媒体中の一酸化炭素濃度を10ミリモル/リットル未満にしておくことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 水素による処理の段階の前に前記反応媒体中の一酸化炭素濃度を0.001ミリリットル/リットル〜600ミリリットル/リットルの範囲にしておくことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 一酸化炭素の飛沫同伴(抽出)のための気体が窒素、希ガス又は水素より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- パラジウムを酸化状態0に還元する段階を1バール〜100バールの範囲の水素加圧下で実施することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- パラジウムを酸化状態0に還元する段階を20℃〜150℃の範囲の温度において実施することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 反応媒体中に不溶性の化合物を該媒体に添加し、次いでパラジウムを酸化状態0に還元する段階の後に前記化合物を前記媒体から分離することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記の反応媒体中に不溶性の化合物が活性炭、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化セリウム、ポリスチレンフォーム及びシリコーン油より成る群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記の反応媒体中に不溶性の化合物を反応の開始時に添加することを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
- 前記の反応媒体中に不溶性の化合物をパラジウムを還元する段階の前に添加することを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
- 前記の共役エチレン性不飽和を含む化合物がジオレフィン類、アリルアルコール類、アリルエーテル類、アリルエステル類及びハロゲン化アリル類より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- ジオレフィン類がブタジエンであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 反応媒体から分離された後の不溶性化合物を処理することによって前記不溶性化合物上に付着したパラジウムを回収することを特徴とする、請求項7〜12のいずれかに記載の方法。
- 還元されたパラジウムを含む不溶性化合物の処理が、強酸による攻撃によってパラジウムを溶解させることであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
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