JPH11315050A - 3−アシロキシシクロヘキセンの製造法 - Google Patents

3−アシロキシシクロヘキセンの製造法

Info

Publication number
JPH11315050A
JPH11315050A JP13594398A JP13594398A JPH11315050A JP H11315050 A JPH11315050 A JP H11315050A JP 13594398 A JP13594398 A JP 13594398A JP 13594398 A JP13594398 A JP 13594398A JP H11315050 A JPH11315050 A JP H11315050A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
oxygen
palladium
tellurium
acyloxycyclohexene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP13594398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4014288B2 (ja
Inventor
Mitsuji Ono
満司 小野
Yoshiyuki Tsunematsu
義之 恒松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP13594398A priority Critical patent/JP4014288B2/ja
Publication of JPH11315050A publication Critical patent/JPH11315050A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4014288B2 publication Critical patent/JP4014288B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機工業化学品の原料として有用な3−アシ
ロキシシクロヘキセンを、長期間安定的に、かつ固体触
媒成分の液中溶出が大幅に抑制でき、触媒成分の分離が
容易となる簡便な方法で製造する。 【解決手段】 パラジウムとテルルを活性成分として担
持する固体触媒の存在下で、シクロヘキセンとカルボン
酸及び酸素とを液相下で反応させて3−アシロキシシク
ロヘキセンを製造する際に、反応系内の酸素分圧を2〜
8Kg/cm2 の範囲に保持ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素の存在下に、
シクロヘキセンとカルボン酸をパラジウム及びテルルを
活性成分として担持する固体触媒と反応させて3−アシ
ロキシシクロヘキセンを製造する方法に関するものであ
る。更に詳しくは、反応系内の酸素分圧を2〜8kg/
cm2 の範囲に保持して、酸素の存在下に、シクロヘキ
センとカルボン酸を液相下で、パラジウム及びテルルを
活性成分とする固体触媒と反応させて3−アシロキシシ
クロヘキセンを製造する方法に関するものである。3−
アシロキシシクロヘキセンは、香料、医薬、農薬など有
機工業化学の原料として有用な化合物である。さらに通
常の方法により加水分解すると3−ヒドロキシシクロヘ
キセンが得られ、これも有機合成反応の原料として極め
て有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来、シクロヘキセンとカルボン酸及び
分子状酸素とを液相下で反応させて3−アシロキシシク
ロヘキセンを製造する方法としては、パラジウム化合
物、塩化リチウム及び硝酸リチウムからなる触媒の存在
下に反応させる方法(特開昭51−8245号公報に記
載の方法)、酢酸パラジウム、p−キノン及びヘテロ
ポリ酸から成る触媒の存在下に反応させる方法(J.Mo
l.Catal.A:Chem.,114,113−1
22(1996))、酢酸パラジウム、p−キノン及
び遷移金属錯体から成る触媒の存在下に反応させる方法
(J.Am.Chem.Soc.,112(13),5
160−66(1990))などが開示されている。
【0003】しかしながら、上記、及びの方法で
は均一系触媒で反応を行うこと、同時に目的生成物であ
る3−アシロキシシクロヘキセンは、シクロヘキセン及
びカルボン酸に対して高い沸点を有することにより反応
後の触媒成分の分離回収、生成物の分離精製工程が煩雑
になる等の問題があった。さらに、シクロアルケンとカ
ルボン酸及び分子状酸素とを担持型パラジウム成分及び
含窒素酸化物から成る触媒の存在下に反応させて3−ア
シロキシシクロオレフィンを製造する方法(特開平3−
275648号公報に記載の方法)が開示されている。
この方法においては、反応系における触媒の状態は、均
一であっても、不均一であってもよいことが記載されて
いるが、本発明者らの検討によれば、シクロヘキセンと
酢酸を用いた反応系では、パラジウム成分の液中溶出が
著しく、実質上は上記、及びの均一系触媒の方法
と同様に触媒成分の分離回収の為の煩雑な工程が必要と
なることが分かった。
【0004】一方、C3〜C6のオレフィンを低級脂肪
酸の存在下にパラジウム、白金のうちの少なくとも一つ
とテルルまたはビスマスを含有する固体触媒を使用して
酸素により酸化してカルボン酸アルケニルエステルを製
造する方法(特開昭53−90212号公報に記載の方
法)が開示されている。この方法によれば、不均一系触
媒を用いて安定な触媒活性を保持できるとの記載がある
が、長期間安定的に触媒活性が保持されることを証明す
る記載は無く、さらに液相系で反応させた際の触媒上の
担持金属成分の溶出挙動に関する例示はなされていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のごとく、酸素の
存在下に、シクロヘキセンとカルボン酸を液相下で反応
させて3−アシロキシシクロヘキセンを製造するに際
し、反応液と触媒成分の分離が容易となる簡便な製造方
法は知られておらず、工業的には担持金属成分の液中溶
出を防止し、かつ3−アシロキシシクロヘキセンを高選
択率にて長期間にわたり安定的に製造できる固体触媒を
用いた製造方法が望まれるところであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意、検討を重ねた結果、酸素の存在下で
シクロヘキセンとカルボン酸を液相下で、パラジウム及
びテルルを活性成分とする固体触媒と反応させて3−ア
シロキシシクロヘキセンを連続的に製造する際に、反応
器内部の酸素分圧を限定された範囲内に保持することに
より、担持金属の液中溶出を防止し、3−アシロキシシ
クロヘキセンを高選択率にて安定的に、かつ簡便に製造
できることを見い出し、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は酸素の存在下に、シクロヘキセンとカルボ
ン酸を液相下で、パラジウム及びテルルを活性成分とし
て担持する固体触媒と反応させて3−アシロキシシクロ
ヘキセンを連続的に製造する方法において、反応系内の
酸素分圧を2〜8kg/cm2 (以下、圧力は絶対圧力
で表示し、kg/cm2 単位を用いる。)の範囲に保持
することを特徴とする3−アシロキシシクロヘキセンの
製造法である。
【0007】本発明によれば、通常60%以上、好適に
は70%以上の高い選択率で3−アシロキシシクロヘキ
センを製造することができる。同時に活性成分として担
持されるパラジウム及びテルルの液中溶出を大幅に抑制
することができる為、反応後の触媒成分の分離回収に係
わる煩雑な操作を必要とせず、長期間にわたり安定的に
3−アシロキシシクロヘキセンを製造することができ
る。以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明の反応は、液相下において固体触媒
上の担持パラジウムが直接の反応活性点となり、シクロ
ヘキセンとカルボン酸イオンより3−アシロキシシクロ
ヘキセンを生成する反応と考えられる。この際、酸素は
直接的あるいは触媒を介して間接的にシクロヘキセンの
アリル水素及びカルボン酸の解離水素の受容体として作
用し水を生成する。このように酸素の存在が反応を円滑
に進行させる上で重要な役割を担うであろうことは容易
に推察でき、反応に必要な酸素を確保せねば酸素不足に
より反応速度が低下し、原料シクロヘキセンの転化率を
低下せしめるであろうことは容易に推測されることであ
る。しかしながら、本発明者らは、反応系内の酸素量の
影響について鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、
一定の酸素量以下に反応系を保持すると、3−アシロキ
シシクロヘキセンの選択率は急激に低下し、酸化脱水素
反応によるベンゼンの生成が主となることが判明した。
併せてシクロヘキセンの転化速度は向上し、望ましくな
い生成物であるベンゼンが高収率にて得られるという予
想外の事実を見出したのである。また、一定の酸素量以
上に反応系を保持すると、酸化脱水素反応によるベンゼ
ンの生成を抑制できるが、固体触媒上に活性成分として
担持されるパラジウム及びテルルの液中溶出が抑制でき
なくなることが判明した。
【0009】すなわち、本発明の方法は、反応器内部の
酸素分圧を限定された範囲内に保持することにより、そ
の目的を達成することができる。つまり、酸素の存在下
に、シクロヘキセンとカルボン酸を液相下で、パラジウ
ム及びテルルを活性成分として担持する固体触媒と反応
させて3−アシロキシシクロヘキセンを製造する方法に
おいて、反応系内の酸素分圧を2〜8kg/cm2 の範
囲に保持することを特徴とする3−アシロキシシクロヘ
キセンの製造法である。反応系内の酸素分圧が2kg/
cm2 未満では3−アシロキシシクロヘキセンへの選択
率は低下し、酸化脱水素反応によるベンゼンの生成量が
増大する。また、反応系内の酸素分圧が8kg/cm2
を越えると固体触媒上に活性成分として担持されるパラ
ジウム及びテルルの液中溶出が抑制できなくなる。反応
系内の酸素分圧が2〜8kg/cm2 の範囲に保持され
ない場合、担持金属の液中溶出を防止すると同時に、3
−アシロキシシクロヘキセンを高選択率にて安定的に、
かつ簡便に製造することができなくなる。
【0010】これらの理由は定かではないが、本発明に
おいては固体触媒上に活性成分として担持されるパラジ
ウム及びテルルが適度な酸化状態に保たれることが重要
であると考えられる。つまり、反応系内に酸素が不足す
ると、パラジウムは、より還元状態で安定化しシクロヘ
キセンの脱水素能が増大している可能性がある。このこ
とは反応基質にシクロヘキセンを用いる本発明の大きな
特徴である。また、反応系内に酸素が過剰となると活性
成分として担持されたパラジウム及びテルル自身の酸化
反応が起こりやすくなり、液中溶出が抑制できなくなる
ことが考えられる。
【0011】本発明に適用される触媒はパラジウム及び
テルルを必須の活性成分として担体に担持した固体触媒
である。触媒の調製法は特に限定されるものではなく、
担体付き金属触媒調製のためによく知られている方法を
用いることができる。特に、適当なパラジウム化合物及
びテルル化合物を担体に担持させ、周知の適当な方法に
より還元して調製することができる。例えば、パラジウ
ム及びテルルの金属、酸化物、水酸化物、塩酸塩、硝酸
塩、カルボン酸塩、錯塩等から選ばれる化合物を適当な
溶媒に溶解して固体担体を浸漬し、公知の含浸法、吸着
法、共沈法等の担持法により触媒成分を担体に担持させ
た後、気相下にて水素気流中もしくは還元性化合物を含
む気流中で、または液相下にて公知の還元剤、例えば、
ホルマリン、ヒドラジン等で還元して調製される。触媒
調製の為に用いられるパラジウム化合物としては金属パ
ラジウム、酸化パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラ
ジウム、酢酸パラジウム及びパラジウムアンミン錯体等
が挙げられる。また、テルル化合物としては金属テル
ル、酸化テルル、塩化テルル、テルル酸、オルソテルル
酸等が挙げられる。パラジウム及びテルルは同時にまた
は順次に担体上に担持、還元せしめることができる。つ
まり、パラジウムを予め担持、還元せしめた固体触媒を
用いて、テルルを後から担持、還元せしめる調製方法を
用いてもよい。触媒調製のために用いられる担体として
は、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チ
タニア、マグネシア、ゼオライト、珪藻土等を用いるこ
とができるが、中でも安定性に優れた活性炭をを用いる
ことが好ましい。活性炭は市販のものをそのまま使用し
てもよいが、硝酸等の酸を用いる通常の洗浄処理を施し
たものを使用することができる。
【0012】担体へのパラジウム及びテルルの担持量
は、特に限定されず、広い範囲で変化し得るが、パラジ
ウムとテルルの合計量が0.1〜20重量%の範囲が適
当であり、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲で
ある。担体に担持されるテルルは、触媒中のパラジウム
に対するテルルの担持比率で、通常パラジウム1グラム
原子に対して0.02〜1グラム原子の範囲から選択さ
れ、より好ましくはパラジウム1グラム原子に対し0.
03〜0.5グラム原子、更に好ましくは0.05〜
0.3グラム原子の範囲である。
【0013】本発明の方法で、シクロヘキセンと反応さ
せるカルボン酸としては、脂肪族、脂環族、芳香族など
任意のものを用いることができるが、工業的には酢酸、
プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等の低級脂肪族カルボン
酸を用いることが好ましく、特に好ましいのは酢酸であ
る。本発明の方法で用いられるシクロヘキセンの純度に
は特に制限は無く、例えば若干のシクロヘキサン、ベン
ゼンを含んでいても、また微量の水を含んでいても特に
さしつかえない。
【0014】本発明の方法における酸化的アシロキシ化
反応は、溶媒中あるいは無溶媒下で実施することができ
る。ここで溶媒としては飽和炭化水素、エーテル、エス
テル等の不活性溶剤を使用することができるが、通常は
低級脂肪族カルボン酸、好ましくは原料として用いるカ
ルボン酸を原料兼溶媒として用いる。この際の溶媒を兼
ねる原料カルボン酸とシクロヘキセンの割合は、固体触
媒が存在する反応場に供給される初期濃度の比率とし
て、シクロヘキセン1モル当たり原料カルボン酸が5〜
500モルの範囲が適当であり、より好ましくは6〜3
00モルの範囲である。シクロヘキセンに対してカルボ
ン酸の量が少なくなると、反応速度が低下すると同時
に、酸化脱水素反応によるベンゼンの生成比が増加し3
−アシロキシシクロヘキセンの選択率が低下するので好
ましくない。また、シクロヘキセンに対してカルボン酸
の量が過剰になると単位反応器容量当たりの3−アシロ
キシシクロヘキセンの生産性が低下し工業的製法として
は実用的でない。
【0015】本発明の方法では、上述の原料を酸素の存
在下に液相下で、パラジウム及びテルルを活性成分とし
て担持する固体触媒と反応させる。本発明で使用する酸
素は分子状酸素、すなわち純酸素気体または酸素気体を
反応に不活性な希釈剤、例えば窒素、アルゴン、ヘリウ
ム、炭酸ガス等で希釈した混合気体の形とすることがで
き、空気を用いることもできる。酸素はこれら不活性気
体と任意の混合比率にて、反応系内の酸素分圧を2〜8
kg/cm2 の範囲に保持できるような任意の加圧状態
として反応系に供給することができるが、酸素濃度は反
応系内で気体が爆発組成とならない範囲が好ましい。酸
素と不活性気体の混合気体の供給圧力は、任意の反応温
度条件下にて反応器内部で反応液が液相を形成し得る反
応器内の操作圧力と同一、あるいは以上の圧力であるこ
とが好ましい。本発明の方法では、反応は通常20〜1
50℃、好ましくは30〜130℃、より好ましくは4
0〜120℃の範囲で行われる。150℃を越えて高温
になると酸化脱水素反応によるベンゼンの生成比率及び
高沸点副生物の生成比率が増加し、3−アシロキシシク
ロヘキセンへの反応選択性を低下せしめるので好ましく
ない。また20℃未満の低温では、反応速度が低下して
好ましくない。
【0016】本発明の方法では、酸素の存在下に、反応
系内の酸素分圧を2〜8kg/cm2 の範囲に保持し、
シクロヘキセンとカルボン酸を液相下で、パラジウム及
びテルルを活性成分として担持する固体触媒と反応させ
ることにより、担持金属の液中溶出を防止し、3−アシ
ロキシシクロヘキセンを高選択率にて安定的に、かつ簡
便に製造できる。この場合、反応系における触媒の状態
は不均一であって、反応系の状態は液相であるが、反応
を行うにあたっては、上述した如く酸素を含有する気体
を用いて反応系に酸素を供給する必要があり、反応系内
は実質上、液相と触媒成分である固相及び酸素を含有す
る気相より構成される。また、反応方式は特に制限はな
く回分式、半回分式、連続式などのいずれでもよい。例
えば回分式の混合撹拌槽型反応器を用いる場合には、酸
素含有気体を反応器内に形成される液相部に直接吹き込
んでもよいし、液相部と接触して存在する気相部に導入
してもよい。この時、反応系の酸素分圧が常に2〜8k
g/cm2 の範囲に保持されるように、反応によって消
費される酸素の相当量を連続的あるいは断続的に供給せ
しめるとよい。また、連続式の固定床型反応器を用いる
場合には反応器入口側の酸素分圧を8kg/cm2 以下
とし反応器出口側の酸素分圧が2kg/cm2 以上とな
るように供給酸素量、触媒充填量等の反応条件を管理す
ればよい。
【0017】本発明の方法において、用いる固体触媒は
実施する反応形態、例えば固定床方式、流動床方式、懸
濁触媒方式等に応じて粉末状担体、破砕状担体、粒子状
担体及び柱状担体等にパラジウム及びテルルを担持した
ものを使用することができる。この際、担体の大きさに
ついて特に制限はない。また、該固体触媒の使用量は、
実施する反応形態、用いる担体の形状、固体触媒中のパ
ラジウム及びテルルの担持量等によって任意に選ぶこと
ができ特に制限はないが、例えば回分式反応の場合、シ
クロヘキセン1モルに対して、固体触媒に担持されたパ
ラジウムが0.1グラム原子以下となる量の固体触媒が
用いられる。本発明によれば、通常60%以上、好適に
は70%以上の高い選択率で3−アシロキシシクロヘキ
センを製造することができる。同時に活性成分として担
持されるパラジウム及びテルルの液中溶出を大幅に抑制
することができる為、反応後の触媒成分の分離回収に係
わる煩雑な操作を必要とせず、長期間にわたり安定的に
3−アシロキシシクロヘキセンを製造することができ
る。
【0018】
【実施例】以下実施例をもって、本発明を更に詳述す
る。 (実施例1) 1)固体触媒の調製 市販の5%−パラジウム担持カーボン(和光純薬製)を
40℃にて12時間、真空乾燥処理した。乾燥処理後の
パラジウム担持カーボン5.0gを二酸化テルルの塩酸
溶液(0.0375gの二酸化テルルを20mlの6N
−塩酸溶液に溶解したもの)と共にガラスフラスコに入
れ、ロータリーエバポレーターに設定、ゆっくり撹拌混
合しながら、常圧下に温度90℃のオイルバスに浸し濃
縮乾固した。ガラスフラスコを取り出した後、氷にて冷
却された水浴に浸し、37%ホルムアルデヒド溶液15
mlを約1時間かけて滴下した。続いて、30%水酸化
カリウム水溶液10mlを約1時間かけて滴下した。さ
らに約12時間静置した後に減圧吸引濾過し、濾液が中
性となるまで熱水で繰り返し洗浄した。含水触媒ケーク
を磁性皿に移した後、横置きパイレックスガラス中に保
持し、N2 を100Nml/分で供給しながら、ゆっく
り昇温し、200℃にて2時間乾燥、さらに昇温し40
0℃にて1時間保持した後、N2 を引き続き供給しなが
ら一夜放冷し、室温下で触媒を回収した。この触媒はパ
ラジウムを4.97重量%、テルルを0.60重量%含
有しており、パラジウム1グラム原子に対して0.10
グラム原子のテルルを含有する固体触媒を得た。
【0019】2)シクロヘキセンの酸化的アシロキシ化
反応 気相部に自動保圧弁と、さらに排出ガスライン中に酸素
濃度計を設置し、ガス自給式撹拌翼及び原料導入ポット
を取り付けたSUS316材質の総容量200mlのオ
ートクレーブに、酢酸40gを仕込み、1)で得られた
固体触媒0.86gを懸濁させる。さらに原料導入ポッ
トにシクロヘキセン0.82g及び酢酸10gを仕込ん
だ後、系内を窒素ガスを用いて置換し、撹拌しながら9
0℃まで昇温した。この後、原料ポットより酢酸に溶解
させたシクロヘキセンをオートクレーブ内に瞬時に供給
すると同時に、7%の酸素を含有する窒素の混合ガスを
気相部に導入し、系内圧力を60kg/cm2 まで昇圧
した後、反応を開始した。その後、反応器気相部から連
続的にガスパージを行い、排出される気相酸素濃度が7
%となるように空気と窒素の混合比を調製した希釈酸素
ガスを反応器に連続的に供給し、系内圧力60kg/c
2 (系内酸素分圧4.2kg/cm2 )を保ち2時間
反応を行った。
【0020】反応後、固体触媒を濾別した後に、反応液
をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、シ
クロヘキセンの転化率は57.4%であり、3−アセト
キシシクロヘキセンの選択率は転化したシクロヘキセン
基準で74.8%であることが確認された。一方、IC
P発光分光分析により反応液中のパラジウム及びテルル
の溶出濃度を測定した。パラジウム及びテルルの溶出濃
度は共に0.1ppm以下であった。これらの結果を表
1に示す。70%以上の高い選択率で3−アセトキシシ
クロヘキセンを得ると同時に活性成分として担持される
パラジウム及びテルルの液中溶出を抑制することができ
た。
【0021】(実施例2)実施例1と同じ固体触媒を用
いて、系内圧力を36kg/cm2 (系内酸素分圧2.
5kg/cm2 )とした他は、実施例1と同様の操作で
2時間反応を行った。結果を表1に示す。実施例1と同
様、高い選択率で3−アセトキシシクロヘキセンを得る
と同時に活性成分として担持されるパラジウム及びテル
ルの液中溶出を抑制することができた。 (実施例3)実施例1と同じ固体触媒を用いて、系内圧
力を107kg/cm2 (系内酸素分圧7.5kg/c
2 )とした他は、実施例1と同様の操作で2時間反応
を行った。結果を表1に示す。実施例1及び2と同様、
高い選択率で3−アセトキシシクロヘキセンを得ると同
時に活性成分として担持されるパラジウム及びテルルの
液中溶出を抑制することができた。
【0022】(比較例1)実施例1と同じ固体触媒を用
いて、系内圧力を21kg/cm2 (系内酸素分圧1.
5kg/cm2 )とした他は、実施例1と同様の操作で
2時間反応を行った。結果を表1に示す。酸化脱水素反
応によるベンゼンの生成が主となり、3−アセトキシシ
クロヘキセンを高い選択率にて得ることができなかっ
た。 (比較例2)実施例1と同じ固体触媒を用いて、系内圧
力を130kg/cm2 (系内酸素分圧9.1kg/c
2 )とした他は、実施例1と同様の操作で2時間反応
を行った。結果を表1に示す。高い選択率で3−アセト
キシシクロヘキセンが得られたが、活性成分として担持
されるパラジウム及びテルルの液中溶出を抑制すること
ができなかった。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例5) 1)固体触媒の調製 22〜32メッシュのヤシガラ破砕炭(ツルミコール社
製HC−30Sを分級したもの)100gに15重量%
の硝酸水溶液500mlを加えて、5時間加熱還流を行
った後、デカンテーション及び吸引濾過により硝酸水溶
液を除去した。次にイオン交換水を500mlを加えて
1時間加熱還流を行った後、デカンテーション及び吸引
濾過により洗浄水を除去した。同様の洗浄操作を4回繰
り返した後、80℃の温度下で真空乾燥を行い、硝酸前
処理をした活性炭を調製した。
【0025】上記にように処理した活性炭16.0g
を、パラジウムを22.3重量%含有する硝酸溶液2.
152gと二酸化テルル0.530gを溶解させた30
重量%の硝酸水溶液40gに浸漬した。次いで、3時間
加熱還流を行った後に約15時間室温まで放冷し、吸着
担持処理を実施した。デカンテーション及び吸引濾過を
行った後、次いで150℃の温度下で3時間真空乾燥を
実施した。担持処理後の触媒を縦型石英ガラス管に全量
充填し、窒素気流中200℃において2時間さらに乾燥
させ、次いでメタノールを室温で飽和した窒素気流中2
00℃において2時間、さらにゆっくり昇温し400℃
において2時間還元処理を実施した。次いで窒素気流中
に400℃において2時間保持した後に、窒素気流下で
放冷し、室温下にて触媒を回収した。この触媒はパラジ
ウムを2.60重量%、テルルを0.44重量%含有し
ており、パラジウム1グラム原子に対して0.141グ
ラム原子のテルルを含有する固体触媒を得た。
【0026】2)シクロヘキセンの酸化的アシロキシ化
流通反応 気相部に排出ガス冷却器及び自動保圧弁と、さらに排出
ガスライン中に酸素濃度計を設置したSUS316材質
の内容積1000mlのオートクレーブを反応器とした
槽型流通反応装置を用いた。ガス自給式撹拌翼の下部に
設置されたSUS316材質のワイヤー編み目状ホルダ
ー内に1)で得られた固体触媒8.0gを封入固定し、
シクロヘキセンを2重量%含有する酢酸溶液250gを
仕込み、7%の酸素を含有する窒素の混合ガスを用い
て、系内圧力を60kg/cm2 とし撹拌下に90℃に
て1.5時間回分反応を行った。この後、反応器気相部
から連続的にガスパージを行い、排出される気相酸素濃
度が7%となるように空気と窒素の混合比を調製した希
釈酸素ガスを反応器に連続的に供給し、系内圧力60k
g/cm2 (系内酸素分圧4.2kg/cm2 )を保
持、同時にシクロヘキセンを2重量%含有する酢酸溶液
を50g/時で供給して連続的に反応を実施した。反応
液は、液面制御抜き出し弁より連続的に取り出した。流
通反応開始から4〜5時間、及び49〜50時間の反応
液を、固体触媒を濾別した後に、ガスクロマトグラフィ
ーにより反応液組成を、及び、ICP発光分光分析によ
り反応液中のパラジウム及びテルルの溶出濃度を測定し
た。これらの結果を表2に示す。70%以上の高い選択
率にて、かつ安定的に3−アセトキシシクロヘキセンが
得られた。同時に活性成分として担持されるパラジウム
及びテルルの液中溶出を抑制することができた。
【0027】(比較例3)実施例5と同じ固体触媒を用
いて、系内圧力を21kg/cm2 (系内酸素分圧1.
5kg/cm2 )に保持した他は、実施例5と同様の方
法にて連続的に反応を行った。結果を表2に示す。反応
初期より酸化脱水素反応によるベンゼンの生成が主とな
り、3−アセトキシシクロヘキセンを高い選択率にて、
かつ安定的に得ることはできなかった。 (比較例4)実施例5と同じ固体触媒を用いて、系内圧
力を130kg/cm2 (系内酸素分圧9.1kg/c
2 )に保持した他は、実施例5と同様の方法にて連続
的に反応を行った。結果を表2に示す。反応初期は高い
選択率にて3−アセトキシシクヘキセンが得られたが、
活性成分として担持されるパラジウム及びテルルの液中
溶出を抑制することができなかった。また、3−アセト
キシシクロヘキセンの選択率は経時的に低下すると同時
に、活性成分の液中溶出は止まらず、安定的に3−アセ
トキシシクロヘキセンを得ることはできなかった。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】本発明により、酸素の存在下に、シクロ
ヘキセンとカルボン酸を液相下で、パラジウム及びテル
ルを活性成分として担持する固体触媒と反応させるに際
し、触媒成分の液中溶出を防止し、3−アシロキシシク
ロヘキセンを高選択率にて安定的に、かつ簡便に製造す
ることができる。これらの実現は3−アシロキシシクロ
ヘキセンの製造を工業的に実施する上で極めて有用とな
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素の存在下に、シクロヘキセンとカル
    ボン酸を液相下で、パラジウム及びテルルを活性成分と
    して担持する固体触媒と反応させて3−アシロキシシク
    ロヘキセンを製造する方法において、反応系内の酸素分
    圧を2〜8kg/cm2 の範囲に保持することを特徴と
    する3−アシロキシシクロヘキセンの製造法。
  2. 【請求項2】 カルボン酸が酢酸であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 固体触媒の担体として、活性炭を用いる
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項、または第2項
    に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応温度20〜150℃の条件で反応を
    行うことを特徴とする特許請求の範囲第1〜3項のいず
    れか1項に記載の製造方法。
JP13594398A 1998-05-01 1998-05-01 3−アシロキシシクロヘキセンの製造法 Expired - Fee Related JP4014288B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13594398A JP4014288B2 (ja) 1998-05-01 1998-05-01 3−アシロキシシクロヘキセンの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13594398A JP4014288B2 (ja) 1998-05-01 1998-05-01 3−アシロキシシクロヘキセンの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11315050A true JPH11315050A (ja) 1999-11-16
JP4014288B2 JP4014288B2 (ja) 2007-11-28

Family

ID=15163480

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13594398A Expired - Fee Related JP4014288B2 (ja) 1998-05-01 1998-05-01 3−アシロキシシクロヘキセンの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4014288B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP4014288B2 (ja) 2007-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003245555A (ja) 炭素に担持されたルテニウム/鉄触媒の製造
JP7291142B2 (ja) 1-アシルオキシ-2-メチル-2-プロペンの製造方法
EP0335501B1 (en) Method for reactivating a group viii noble metal catalyst for use in the purification of crude terephthalic acid
JP5016920B2 (ja) α,β−不飽和カルボン酸の製造方法
EP3310749B1 (en) Use of molybdenum and vanadium mixed oxides as catalysts for the oxidation of unsaturated alcohols into unsaturated carboxylic acids
KR870000035B1 (ko) 옥살산 디에스테르의 제법
WO2020022364A1 (ja) 1,3-ビスアシルオキシ-2-メチレンプロパンの製造方法
KR100978775B1 (ko) 혼합 금속 산화물 촉매 및 아세트산 제조 방법
JP4014288B2 (ja) 3−アシロキシシクロヘキセンの製造法
JP4014287B2 (ja) 3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法
US6833472B2 (en) Process for the purification of aromatic carboxylic acids
KR910003426B1 (ko) 옥살산의 디에스테르의 제조방법
US7994091B2 (en) Method for producing palladium-containing catalyst
KR870000522B1 (ko) 연속공정에 의한 인돌의 공업적 제조방법
JP3769312B2 (ja) コハク酸の製造方法
EP0031530B1 (en) Process for producing pyrogallol
JPH06135895A (ja) グリコ−ル酸エステルの製造法
JPS63174950A (ja) 芳香族エステルの製造方法
JP7168565B2 (ja) ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物の製造方法
US20050119511A1 (en) Catalyst for preparing fluorine-containing alcohol compound and a process for preparation of fluorine-containing alcohol compound
JPH06157416A (ja) グリオキシル酸エステルの製造方法
JP4888463B2 (ja) フェニルエステルの製造法
JPH08157415A (ja) 高純度テレフタル酸の製造方法
JPS5935907B2 (ja) 芳香族ポリカルボン酸の製造法
EP1669340A1 (en) Method for oxidizing aromatic compound having alkyl substituent, method for producing aromatic aldehyde compound and method for producing aromatic carboxylic acid ester

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20031203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040218

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070911

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110921

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110921

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120921

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130921

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees