JP7168565B2 - ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば非特許文献1には、1,3-ジクロロ-2-メチレンプロパンと酢酸ナトリウムを反応させることにより1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンを製造する方法が記載されている。
また非特許文献2には、イタコン酸メチルを水素化アルミニウムリチウムと反応させた後、無水酢酸と反応させることで1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンを製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの製造方法では、通常廃棄物となる無機副生物が生成物に対し等モル以上発生する。したがって、環境負荷低減の観点からは無機副生物を発生させない製造方法が望まれる。
例えば特許文献3には、酢酸メタリル、酢酸、水および酸素を、気相中において特定の触媒の存在下で反応させることにより、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンを製造する方法が記載されている。この特許文献3には、担持触媒900mLに対し、窒素:酸素:酢酸メタリル:酢酸:水=40.0:2.0:1.2:5.0:3.0(モル/時)の混合ガスを2気圧で通じ、反応温度140℃で気相反応させることにより、酢酸メタリルの転化率25%および選択率95%で1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンを得たことが記載されている(1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの生産効率55g/{L(触媒)・hr})。
また特許文献4には、イソブチレン、酢酸および酸素を含む混合ガスをパラジウム触媒上に気相で通じて反応させることにより1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンを製造する方法が記載され、副生する酢酸メタリルを循環使用して反応ガス中に添加することが記載されている。この特許文献4には、担持触媒10mLに対し、酢酸:酸素:イソブチレン:酢酸メタリル:水蒸気=20:10:50:10:10の混合ガスを毎時4Lの速度で通じ、反応温度155℃で気相反応させることにより、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンを67g/{L(触媒)・hr}の生産効率で得たことが記載されている。
また、本発明の他の課題は、無機副生物を発生させず、かつ収率がより改善されたビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物の製造方法を提供することにある。
また、本発明者らは鋭意検討した結果、モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物、カルボン酸および酸素を特定の液相条件で反応させてビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物を製造する際に、使用されるカルボン酸を半回分方式で供給するなどして、最終的に使用される全カルボン酸のうちの一部(残り)を前記反応過程にある反応液に供給することにより、反応により発生する水により原料のモノアシルオキシ化エキソメチレン化合物や目的とするビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物が加水分解されるのを抑制することができて収率がより改善されることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本願の第2の発明を完成した。
[1]触媒および必要に応じて溶媒の存在下、下記一般式(I)で表されるモノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(以下、「モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)」と称する場合がある)、下記一般式(II)で表されるカルボン酸(以下、「カルボン酸(II)」と称する場合がある)および酸素を液相中で反応させる、下記一般式(III)で表されるビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(以下、「ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)」と称する場合がある)の製造方法。
[2]前記反応過程にある反応液に前記カルボン酸を供給する工程を含む、[1]に記載の製造方法。
[3]使用される前記カルボン酸の全量を連続的に反応器に供給する、[2]に記載の製造方法。
[4]溶媒の存在下で反応を行う、[1]~[3]のいずれか1つに記載の製造方法。
[5]前記溶媒および前記カルボン酸の合計使用量が、前記モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物1モルに対して1モル超50モル以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の製造方法。
[6]前記溶媒が、炭化水素、複素環式化合物、エーテル、ケトン、エステル、アミド、ニトリルおよびアルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の製造方法。
[7]前記溶媒が下記一般式(IV)で表されるエステルである、[6]に記載の製造方法。
[8]R4がメチル基であり、R5が炭素数1~4のアルキル基である、[7]に記載の製造方法。
[9]前記カルボン酸の使用量が、前記モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物1モルに対して0.1モル以上0.6モル以下である、[7]または[8]に記載の製造方法。
[10]R3およびR4がメチル基であり、nが1または2である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の製造方法。
[11]R1およびR2が水素原子である、[1]~[10]のいずれか1つに記載の製造方法。
また、本願の第2の発明によれば、無機副生物を発生させず、かつ収率がより改善されたビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物の製造方法を提供できる。
なお、本発明の発明特定事項の説明とともに、本発明の好ましい形態を示すが、本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。また数値範囲で示した事項について、いくつかの数値範囲がある場合、それらの下限値と上限値とを選択的に組み合わせて好ましい形態とすることができる。
上記の反応においては、形式的には、モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)が酸化されてカルボン酸(II)と脱水縮合し、ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)とともに水を生成する。
モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)およびビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)において、R1およびR2が表す炭素数1~8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基などが挙げられる。
前記アルキル基は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えば炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、シリル基などが挙げられる。置換基を有する場合、置換基の数としては、1~3個が好ましい。
前記シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
前記シクロアルキル基は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えば炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数6~14のアリールオキシ基、前記したシリル基などが挙げられる。置換基を有する場合、置換基の数としては、1~3個が好ましい。
前記アリール基は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えばR1およびR2がシクロアルキル基である場合に有していてもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。置換基を有する場合、置換基の数としては、1~3個が好ましい。
前記アルケニル基は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えばR1およびR2がアルキル基である場合に有していてもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。置換基を有する場合、置換基の数としては、1~3個が好ましい。
前記アルコキシ基は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えばR1およびR2がアルキル基である場合に有していてもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。置換基を有する場合、置換基の数としては、1~3個が好ましい。
つまり、前記アルコキシ基は、例えば置換基としてアリール基を有するアラルキルオキシ基であってもよい。そのようなアラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、1-フェニルエトキシ基、2-フェニルエトキシ基、1-フェニルプロポキシ基、2-フェニルプロポキシ基、3-フェニルプロポキシ基、4-フェニルブトキシ基、1-ナフチルメトキシ基、2-ナフチルメトキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えばR1およびR2がシクロアルキル基である場合に有していてもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。置換基を有する場合、置換基の数としては、1~3個が好ましい。
本発明の製造方法において用いる触媒は、モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)およびカルボン酸(II)の反応を促進するものであればよく、担体に貴金属が担持された触媒が好ましい。触媒は市販されているものを用いてもよく、公知の方法で合成したものを用いてもよい。
本発明の製造方法においては、触媒に対して必要に応じて触媒活性化剤を添加してもよい。前記触媒活性化剤としては、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、硝酸塩、カルボン酸塩または炭酸塩;マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、硝酸塩、カルボン酸塩または炭酸塩などが挙げられる。中でも、カルボン酸(II)の塩が好ましく、カルボン酸(II)のアルカリ金属塩がより好ましく、入手性や反応活性の観点から酢酸カリウムがさらに好ましい。
本発明の製造方法は溶媒の存在下で反応を行ってもよい。当該溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン等の炭化水素(脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素等);ピリジン、キノリン等の複素環式化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン;カルボン酸エステル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン等のエステル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、フェノール等のアルコールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。中でも、カルボン酸エステルが好ましく、生産効率およびビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)の収率の観点からからエステル(IV)がより好ましい。
本発明の製造方法において用いる酸素としては、原子状および/または分子状酸素を用いることができ、好ましくは分子状酸素である。分子状酸素を用いる場合、窒素、アルゴン、ヘリウムおよび二酸化炭素等の不活性な気体との混合気体として用いるのが好ましい。この場合、酸素濃度は、反応系内で気体が爆発組成とならない範囲に調整して使用するのがより好ましい。
分子状酸素または分子状酸素を含む混合気体を反応系に供給する方法としては、反応系内の液相部に供給する方法、気相部に供給する方法、液相部と気相部の両方に供給する方法が挙げられる。
本発明の製造方法においては、前記溶媒およびカルボン酸(II)の合計使用量が、モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)1モルに対して1モル超50モル以下であることが好ましく、1.5モル以上35モル以下であることがより好ましく、2モル以上10モル以下であることがさらに好ましい。前記合計使用量を1モル超とすることで、反応により発生する水によるモノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)やビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)の加水分解が抑制され、生産効率およびビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)の収率がより優れたものとなる。前記合計使用量を50モル以下とすることで、過剰な溶媒およびカルボン酸(II)の回収工程が短くなり、経済的に有利となる。
前記精製により分離された原料および溶媒は、再び反応に用いることができる。また、分離した触媒も、再び反応に用いることができる。
下記の実施例1~8および比較例1、2についての反応後の溶液(反応混合物)の分析は、ガスクロマトグラフ GC2014(島津製作所社製 FID検出器)、キャピラリーカラム(アジレントテクノロジー社製 DB-1、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いて、下記条件にて行った。
カラム温度 :50℃(5分)→10℃/分→250℃(5分)
FID温度 :250℃
注入口温度 :250℃
キャリアガス :ヘリウム
メイクアップガス :ヘリウム
注入量 :0.2μL
カラムのガス流速 :0.38mL/分
スプリット比 :20
下記の実施例9および10についての反応後の溶液(反応混合物)の分析は、ガスクロマトグラフ GC2014(島津製作所社製 FID検出器)、キャピラリーカラム(アジレントテクノロジー社製 DB-1、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いて、下記条件にて行った。
カラム温度 :50℃(5分)→10℃/分→250℃(5分)
FID温度 :250℃
注入口温度 :250℃
キャリアガス :ヘリウム
メイクアップガス :ヘリウム
注入量 :0.2μL
カラムのガス流速 :1.02mL/分
パージ流速 :3.0mL/分
スプリット比 :100
上記条件で分析したモノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)の、仕込み物質量に対する消費物質量の割合を転化率として、以下の式を用いて算出した。
転化率(%)={(モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)の消費物質量)/(モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)の仕込み物質量)}×100
上記条件で分析したモノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)の消費物質量に対する、ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)の生成物質量の割合を選択率として、以下の式を用いて算出した。
選択率(%)={(ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)の生成物質量)/(モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)の消費物質量)}×100
テトラクロロパラジウム酸ナトリウム4.00g(13.6mmol)およびテトラクロロ金酸四水和物2.80g(6.8mmol)を含む水溶液に、シリカ担体(5mmφ)250mLを浸し、全量吸水させた。続いて、メタケイ酸ナトリウム16g(131mmol)を含む水溶液200mLを加え、20時間静置させた。その後、ヒドラジン一水和物9.50g(190mmol)を添加し、パラジウム塩および金塩を金属に還元した。還元後の触媒を水洗した後、110℃で4時間乾燥した。その後、酢酸カリウム13.34g(136mmol)を含有する水溶液中に上記の金属パラジウムを含む担体を投入し、全液を吸収させた後、110℃で4時間乾燥して触媒1を調製した。
テトラクロロパラジウム酸ナトリウム4.00g(13.6mmol)およびテトラクロロ金酸四水和物3.90g(9.5mmol)を含む水溶液に、シリカ担体(5mmφ)250mLを浸し、全量吸水させた。続いて、メタケイ酸ナトリウム16g(131mmol)を含む水溶液200mLを加え、20時間静置させた。その後、ヒドラジン一水和物9.50g(190mmol)を添加し、パラジウム塩および金塩を金属に還元した。還元後の触媒を水洗した後、110℃で4時間乾燥した。その後、酢酸カリウム13.34g(136mmol)を含有する水溶液中に上記の金属パラジウムを含む担体を投入し、全液を吸収させた後、110℃で4時間乾燥して触媒2を調製した。
ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積100mLの電磁撹拌式オートクレーブに、触媒1を1.3g、酢酸を46.0g(766mmol)および酢酸イソプレニルを3.0g(23mmol)仕込み、オートクレーブ内を酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで20気圧(ゲージ圧)とした後、撹拌しながらオートクレーブ内の温度を120℃に上げた。その後、酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで90気圧(ゲージ圧)を保ちながら200mL/分の流速で混合ガスを流しつつ、5時間反応させた。酢酸イソプレニルの転化率は83%、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンへの選択率は85%であった。1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの収量は3.1g(17mmol)であり、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの生成効率(単位時間かつ触媒単位質量あたりの収量)は0.48g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
酢酸を40g(666mmol)および酢酸イソプレニルを9g(70mmol)使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行ったところ、酢酸イソプレニルの転化率は80%、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンへの選択率は82%であった。1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの収量は8.6g(46mmol)であり、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの生成効率は1.34g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積100mLの電磁撹拌式オートクレーブに、触媒2を1.3g、酢酸を40g(666mmol)および酢酸メタリルを8g(70mmol)仕込み、オートクレーブ内を酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで20気圧(ゲージ圧)とした後、撹拌しながらオートクレーブ内の温度を140℃に上げた。その後、酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで90気圧(ゲージ圧)を保ちながら200mL/分の流速で混合ガスを流しつつ、5時間反応させた。酢酸メタリルの転化率は99%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は61%であった。1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収量は7.3g(42mmol)であり、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの生成効率は1.14g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
内径23mm、長さ20cmのステンレス製反応管に触媒1を17g(約30mL)詰めた後、酢酸イソプレニル、酢酸、酸素および窒素を酢酸イソプレニル:酢酸:酸素:窒素=28:3:8:61の体積比で15L/hrの速度で流し、165℃で反応させた。4時間後の反応管出口組成を分析したところ、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの生成速度は0.032g(生成物)/{g(触媒)・hr}であり、反応管に導入した酢酸イソプレニルに対する1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの収率は2.3%であった。この結果から、気相反応は液相反応よりも生産性が低いことが示された。
反応温度を190℃としたこと以外は比較例1と同様の操作を行い、反応を行ったところ、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの生成速度は0.015g(生成物)/{g(触媒)・hr}であり、反応管に導入した酢酸イソプレニルに対する1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの収率は0.5%であった。
その後、190℃、大気圧下で窒素のみを15NL/hrの速度で1時間流したのち、室温まで冷やして反応管から触媒を取り出した。反応後の触媒を観察すると、反応前は灰色であった触媒が茶色に変色していた。
酢酸を3.2g(53.3mmol)および酢酸メタリルを6.0g(52.6mmol)使用し、さらに溶媒としてヘプタンを40g(399mmol)使用したこと以外は実施例3と同様の操作を行い、反応を行ったところ、酢酸メタリルの転化率は82%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は60%であった。1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収量は4.5g(26mmol)であり、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの生成効率は0.70g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
酢酸を4.5g(74.9mmol)および酢酸メタリルを17.0g(148.9mmol)使用し、さらに溶媒として酢酸エチルを26.0g(295mmol)使用したこと以外は実施例3と同様の操作を行い、反応を行ったところ、酢酸メタリルの転化率は78%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は80%であった。1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収量は16.0g(93mmol)であり、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの生成効率は2.50g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
酢酸を5.5g(91.6mmol)および酢酸メタリルを20.7g(181mmol)使用し、さらに溶媒として酢酸イソブチルを20.7g(178mmol)使用したこと以外は実施例3と同様の操作を行い、反応を行ったところ、酢酸メタリルの転化率は80%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は86%であった。1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収量は21.5g(125mmol)であり、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの生成効率は3.36g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
酢酸を4.3g(72mmol)および酢酸イソプレニルを18.2g(142mmol)使用し、さらに溶媒として酢酸エチルを25g(284mmol)使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、反応を行ったところ、酢酸イソプレニルの転化率は70%、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンへの選択率は82%であった。1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの収量は15.2g(82mmol)であり、1,4-ジアセトキシ-2-メチレンブタンの生成効率は2.37g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
酢酸を15.8g(263mmol)および酢酸メタリルを30.0g(263mmol)使用したこと以外は実施例3と同様の操作を行い、反応を行ったところ、酢酸メタリルの転化率は75%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は23%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収量は7.8g(45mmol)、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの生成効率は1.22g(生成物)/{g(触媒)・hr}であった。
※1:モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)/カルボン酸(II)/溶媒
※2:モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物(I)の転化率
※3:ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)への選択率
※4:ビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物(III)の生成効率[g(生成物)/{g(触媒)・hr}]
ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積100mLの電磁撹拌式オートクレーブに、触媒2を1.3g、酢酸メタリルを30.0g(263mmol)仕込み、オートクレーブ内を酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで20気圧(ゲージ圧)とした後、撹拌しながらオートクレーブ内の温度を140℃に上げた。その後、酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで90気圧(ゲージ圧)を保ちながら200mL/分の流速で混合ガスを流しつつ、酢酸を3.16g/時間で連続的に供給し、5時間反応させた(酢酸の合計の使用量は15.8g(263mmol))。
酢酸メタリルの転化率は70%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は39%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収率は27%であった。
ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積100mLの電磁撹拌式オートクレーブに、触媒2を1.3g、酢酸メタリルを17.0g(149mmol)、溶媒として酢酸エチルを26.0g(295mmol)仕込み、オートクレーブ内を酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで20気圧(ゲージ圧)とした後、撹拌しながらオートクレーブ内の温度を140℃に上げた。その後、酸素/窒素=8/92(モル比)の混合ガスで90気圧(ゲージ圧)を保ちながら200mL/分の流速で混合ガスを流しつつ、酢酸を0.90g/時間で連続的に供給し、5時間反応させた(酢酸の合計の使用量は4.5g(74.9mmol))。
酢酸メタリルの転化率は88%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンへの選択率は90%、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパンの収率は79%であった。
Claims (11)
- 触媒および必要に応じて溶媒の存在下、下記一般式(I)で表されるモノアシルオキシ化エキソメチレン化合物、下記一般式(II)で表されるカルボン酸および酸素を液相中で反応させ、前記触媒が担体に貴金属が担持された触媒であり、前記貴金属がパラジウムである、下記一般式(III)で表されるビスアシルオキシ化エキソメチレン化合物の製造方法。
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~8のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基を表し、R3は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルコキシ基または置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリールオキシ基を表し、R4は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基を表し、nは1~8の整数を表す。) - 前記反応過程にある反応液に前記カルボン酸を供給する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 使用される前記カルボン酸の全量を連続的に反応器に供給する、請求項2に記載の製造方法。
- 溶媒の存在下で反応を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記溶媒および前記カルボン酸の合計使用量が、前記モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物1モルに対して1モル超50モル以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記溶媒が、炭化水素、複素環式化合物、エーテル、ケトン、エステル、アミド、ニトリルおよびアルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
- R4がメチル基であり、R5が炭素数1~4のアルキル基である、請求項7に記載の製造方法。
- 前記カルボン酸の使用量が、前記モノアシルオキシ化エキソメチレン化合物1モルに対して0.1モル以上0.6モル以下である、請求項7または8に記載の製造方法。
- R3およびR4がメチル基であり、nが1または2である、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
- R1およびR2が水素原子である、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
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