JP3804697B2 - ギ酸メチルの製造方法 - Google Patents

ギ酸メチルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメタノールと一酸化炭素とからギ酸メチルを製造する方法に関する。ギ酸メチルはギ酸、ホルムアミド、各種カルボン酸エステル類及び有機化合物の合成原料あるいは溶剤等に有効に利用される工業上重要な有機化学品である。
【0002】
【従来の技術】
ギ酸メチルの製造法として、ギ酸のメタノールによるエステル化、ホルムアルデヒドの2量化、メタノールの酸化、水素と一酸化炭素からの直接合成、メタノールの一酸化炭素によるカルボニル化、メタノールの脱水素等の方法が知られている。この中で、工業的に実用化されている方法は、メタノールの脱水素法および古くから実施されているメタノールのカルボニル化法がある。
【0003】
メタノールの脱水素法は最近実用化された新しい方法で、高選択性触媒(例えば特開平3−151047号、特開昭58−163444号等)の開発により実用化されている(化学と工業、18巻1134〜1136頁(1988))。
メタノールのカルボニル化法は欧米で古くから実施されており、現在もギ酸メチル製造の主要な製造方法として知られている。用いられる触媒としては、金属アルコキシド、DBU(ジアザビシクロウンデセン)等の強塩基触媒、あるいは遷移金属カルボニル等が知られている。
【0004】
カルボニル化法の金属アルコキシド触媒には、アルカリ金属のアルコキシドが用いられ、温度50〜70℃、圧力1〜4MPaで反応が行われる。(Journal of Molecular Catalysis、18巻 215〜222 頁(1983))。該触媒では原料メタノール及び一酸化炭素中の水分や二酸化炭素が触媒毒となり、触媒を失活させるとともに触媒を消費するため極力少なくする必要があり、原料精製系は重要な工程となる。一酸化炭素ガス中の水素共存は反応に影響を与えない。
金属アルコキシドを用いる方法は、ギ酸メチル選択率も高く実際に工業的に行われている方法であるが、反応をより有利に進めるため反応方法や反応器形状、プロセス等を含め多くの提案もされている。
【0005】
DBU等の強塩基触媒を用いる方法は、たとえばメチルセロソルブ溶媒を用いDBUを触媒として圧力17.2〜40.5MPa、温度45〜200℃で反応が行われる(日本化学会誌(4) 457〜465 頁(1977))。
金属カルボニル触媒としてはルテニウムのヒドリドカルボニウム触媒がアルコールのカルボニル化によるギ酸エステル合成に有効であるとされている(J.Mol.Catal.45巻 235〜246 頁(1988))。
以上はいずれも均一触媒系での反応であるが、不均一系触媒としては米国特許第4100360号に塩基性イオン交換樹脂が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のメタノールのカルボニル化法において、金属アルコキシド触媒やDBU触媒は強塩基性であるため次のような欠点を有する。
まず原料メタノールおよび原料一酸化炭素ガス中の不純物の影響を受け易く、特に水分、二酸化炭素は触媒と反応して不溶性の物質に変化して分離不可能になったり、あるいはギ酸塩を副生し、触媒の損失だけでなく運転操作そのものができなくなることさえある。この影響をなくすには、原料のメタノールや一酸化炭素を徹底的に精製することが必要であるが、複雑な工程と大量のエネルギーを必要とし、工業的に負担が大きい。また金属アルコキシドはとり扱う際CO2 や水に触れるなどして失活すると再生が困難である。さらに金属アルコキシドは皮膚への刺激が非常に強いため取り扱いには細心の注意を要する。
【0007】
また塩基性イオン交換樹脂は、高い初期活性を示し不均一系触媒として優れているが、経時的に活性が低下する。また耐熱性が低いことによる樹脂の変質が避けられない。
本発明の目的は、メタノールのカルボニル化によるギ酸メチルの製造方法において、長期間にわたって高活性を有する触媒を開発し、ギ酸メチルを工業的に有利に製造する方法を提供するにことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者等は以上の如き課題を有するメタノールのカルボニル化法によるギ酸メチルの製造方法について鋭意研究を進めた結果、フッ化アルカリと酸化亜鉛を組み合わせた触媒がギ酸メチル合成反応に高活性を示し、ギ酸メチルが長期間、極めて高選択率で得られること、また該触媒は強塩基性でないので上記の課題を有せず、ギ酸メチルを工業的に製造できることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明は、フッ化アルカリ及び酸化亜鉛の存在下、液相でメタノールと一酸化炭素を反応させることを特徴とするギ酸メチルの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で触媒に用いられるフッ化アルカリは周期律表Ia族元素のフッ化物であって、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられる。これらのフッ化アルカリはCO2 と反応しないため空気中のCO2 によって失活することはなく、また吸湿しても100℃以上で乾燥して使用すればよいので、空気中での取り扱いが可能である。
【0010】
また酸化亜鉛はそのまま市販品を用いるか、またはアルミナ、シリカその他の担体に担持されたもの、あるいは共沈法その他の方法により担体成分を加えて調製したものが使用できる。酸化亜鉛は取り扱いに際して空気中の水分やCO2 と接触しないことが望ましいが200〜800℃で前処理することにより容易に最高の活性を発現する。
【0011】
本発明ではメタノールと一酸化炭素を反応させてギ酸メチルを製造する方法において、フッ化アルカリと酸化亜鉛を組み合わせて用いるならば、その形態に制限はなく、フッ化アルカリを酸化亜鉛に担持したもの、それぞれを混合したもの、いずれも可能である。フッ化アルカリと酸化亜鉛のモル比は0.05〜50、好ましくは0.1〜10である。
フッ化アルカリ、酸化亜鉛とも金属アルコキシドほど皮膚への刺激が強くないので取扱が容易である。
【0012】
原料のメタノールは工業用グレードをそのまま使用できるが、使用に先だって乾燥剤等により、メタノール中の水分を少なくすることが好ましい。
一酸化炭素は、その他のガスとして、水素、窒素等の本反応に不活性なガスを含有することは差し支えないが、一酸化炭素濃度が低すぎる場合には反応時の一酸化炭素分圧を維持するために全圧力を高くする必要があるので、原料ガス中の一酸化炭素濃度は20%以上が好ましい。反応に悪影響を与える二酸化炭素、水分は極力少なくし、脱湿、脱炭酸等のガス精製工程を通してから使用することが好ましい。
【0013】
一酸化炭素とメタノールのモル比は理論的には1:1であるが、一酸化炭素が若干過剰な条件が採用され、モル比は1:1〜1:100であるが、好ましいモル比は1:1.2〜1:50である。反応器または反応管から分離された未反応一酸化炭素は、反応系に循環再使用することができる。
またメタノールと触媒のモル比は特に制限はないが、通常50:1〜500:1の範囲である。
メタノールと一酸化炭素の反応の圧力は、0.5〜20MPaであるが、1〜10MPaが好ましい。反応温度は50℃ないし250℃好ましくは100℃ないし200℃である。
【0014】
本発明の反応の方法は特に制限されないが、通常、液相のメタノールに触媒を混合し、一酸化炭素を導入することにより行われる。内部撹拌装置を有する槽型反応器を用いる回分方式、原料一酸化炭素あるいはメタノールを供給しながら反応を行う半回分方式のいずれも可能である。
本発明において原料としてフッ化アルカリを溶解させたメタノールを用い、酸化亜鉛を反応器内に留めて生成液と分離する方法を用いれば、フッ化アルカリのみではギ酸メチル分解活性が非常に小さいため、ギ酸メチルを蒸留により取り出す際に分解することなく得ることができる。
【0015】
例えば、酸化亜鉛触媒を管型反応器に充填し、反応管上部から一酸化炭素とフッ化アルカリを溶解させたメタノールを並流で連続供給するトリクルベッド式、下部からフッ化アルカリの溶解したメタノールを連続供給し、並流もしくは向流で一酸化炭素を連続供給する方式等のいずれも実施できる。
反応管からはフッ化アルカリの溶解したメタノールとギ酸メチル混合物が得られ、ここから蒸留によりギ酸メチルを分離したのち回収されたフッ化アルカリの溶解したメタノールを循環して新規供給メタノールとともに供給する循環方式も可能である。
また本反応は平衡反応であり、生成するギ酸メチルは原料のメタノールよりも低沸点物であるから、生成したギ酸メチルを蒸留で系外に連続的に抜き出し平衡を崩しながら行う反応蒸留方式を採用すれば高い反応率で容易にギ酸メチルを得ることができる。
【0016】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例で制限されるものでない。
【0017】
実施例1〜3
内容積100mlのステンレス製オートクレーブに所定量の触媒とメタノールを充填した。オートクレーブの内部を窒素により充分置換した後、一酸化炭素を所定圧力まで充填した。これを振盪しながら所定温度に加熱した。2時間振盪反応の後、オートクレーブを水中で冷却した。オートクレーブのバルブを開いて内部ガスを徐々にパージし、ガス量を計量するとともに組成を分析した。オートクレーブ圧力が大気圧になってから内容物を取り出し、秤量した後分析した。各実施例の反応条件と結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003804697
【0019】
実施例4〜6
実施例4および実施例5では10〜20メッシュの酸化亜鉛を、実施例6では酸化亜鉛を10%担持したアルミナを充填したステンレス製管型反応器を流通反応装置に設置した。実施例6では粒径2.3mmのアルミナに硝酸亜鉛を含浸し、乾燥、焼成することにより調製した。内部を窒素ガスで充分に置換するとともに漏れのないことを確かめた。次いで一酸化炭素で4.9MPaに昇圧し、120℃に加熱した。ついで乾燥したフッ化カリウムを1.0%溶解させたメタノールを供給して反応を開始し、ガス流量、反応圧力一定条件下で実験した。反応生成物を冷却後気液分離し分離された生成液を分析した。実施例4においては反応開始500h経過後でも初期の活性を有していた。反応条件と結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
Figure 0003804697
【0021】
実施例7
10〜20メッシュの酸化亜鉛にフッ化セシウムを水溶液により含浸して調製したCsF(5%)/ZnO 触媒を9.7ml充填したステンレス製管型反応器を流通反応装置に設置し、実施例4〜6と同様の方法で反応を行った。ただし原料はメタノール、反応条件は、圧力 4.9MPa、温度 180℃、LHSV 0.35/h、GHSV 36/hとした。その結果、ギ酸メチル収率5.0%、ギ酸メチル選択率98.8%であった。なお温度180℃におけるギ酸メチルの収率5.0%は平衡値に近い数値である。
【0022】
比較例1〜2
内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、所定量の触媒及びメタノールを充填した。オートクレーブの蓋を締めて、内部を窒素ガスで充分に置換するとともに漏れのないことを確かめた。次いでオートクレーブに一酸化炭素を所定圧力まで充填した。これを振盪しながら所定温度に加熱した。2時間振盪反応の後、オートクレーブを振盪台から取り外し、水に浸けて冷却した。オートクレーブのバルブを開いて内部ガスを徐々にパージし、ガス量を計量するとともに組成を分析した。オートクレーブ圧力が大気と同圧になったら内容物を取り出し、秤量したのち分析した。反応条件と結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
Figure 0003804697
【0024】
【発明の効果】
以上の比較例から塩化カリウムと酸化亜鉛、或いはフッ化カリウムまたは酸化亜鉛のみのではギ酸メチル合成活性が非常に低いが、本発明によるフッ化アルカリ及び酸化亜鉛からなる触媒を用いる実施例では高い活性を示し、ギ酸メチルが長期間、極めて高選択率で得られることが分かる。
更に本発明の触媒は強塩基性でないので空気中で容易に取り扱うことができ、メタノールと一酸化炭素とからギ酸メチルを工業的に極めて有利に製造することができる。従って本発明の産業上の意義は大きい。

Claims (2)

  1. フッ化アルカリ及び酸化亜鉛の存在下、液相でメタノールと一酸化炭素を反応させることを特徴とするギ酸メチルの製造方法。
  2. 原料としてフッ化アルカリを溶解させたメタノールを用い、酸化亜鉛の存在下、一酸化炭素と反応させ、反応生成液から酸化亜鉛を分離した後、蒸留によりギ酸メチルを分離する請求項1のギ酸メチルの製造方法。
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