JP2004517772A - タイヤトレッドのトレッドデザイン要素の表面輪郭 - Google Patents

タイヤトレッドのトレッドデザイン要素の表面輪郭 Download PDF

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Abstract

少なくとも2つの溝により区切られた少なくとも1つのトレッドデザイン要素(3)を有し、各トレッドデザイン要素が、エッジ(7、8)により区切られた接触面(4)を備え、該接触面(4)は、トレッドの接触面に対して実質的に垂直でかつ点A1および点A2でモチーフの2つのエッジをカットする横断平面で見て、点A1と点A2との間の幾何学的輪郭Pが両点A1、A2を通る仮想直線Dに対してレリーフ関係をなしている少なくとも1つのバンプ(9、10)を有する構成のプロットを有し、直線Dから最も離れた各バンプ(9、10)の点B1、B2は、この直線Dから高さHiでかつ近い方の点A1または点A2から距離Diの位置にあり、0.1<Di/L<0.25(ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離)、かつ0.1mm<Hi<2.5mmであることを特徴とする重車両タイヤ用トレッド。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は重車両に装着するためのタイヤのトレッドに関し、より詳しくは、前記トレッドのトレッドデザインを形成するレリーフ要素(relief components)の表面形状に関する。
【0002】
(背景技術)
濡れ路面上での満足できるグリップ性能を得るため、タイヤのトレッドに、リブの形状またはブロックの形状をもつレリーフモチーフを区切る複数の溝で形成されたトレッドデザインを用いることは既知のプラクティスである。また、このようにして形成された複数のレリーフ要素に、細幅(切開部(incision)として知られている)またはゼロ幅(「サイプ」)の溝の形態をなす少なくとも1つのスロットを設けて、濡れ路面を覆う水の層をカットするための多数のエッジを形成することもできる。
【0003】
タイヤが装着された車両の走行中にタイヤのトレッドと路面との間に小さい滑り運動が存在すると、漸進的かつ均一な摩耗が生じる。この「均一な」摩耗上に、このトレッドのトレッドデザインを形成するレリーフ要素の或る領域により顕著に生じる「不均一な」摩耗が重畳されることが判明している。
【0004】
特に、前車軸に装着するための重車両用タイヤ(すなわち、重車両の操舵前車軸に装着すべきタイヤ)の場合には、リブの長手方向エッジ(リブの接触面を区切るエッジ)の領域の方に、前記リブの接触面の残部より一層顕著な摩耗が生じることが判明している。この不均一「レール」摩耗を除去するため、特に、リブエッジに複数の横方向切開部を設けることからなる種々の解決法が提案されている。しかしながら、この解決法には欠点がない訳ではない。なぜならば、この解決法は、リブの剛性を局部的に変えることに加え、トレッド成形金型内に多数のサイプを設けなくてはならないため、工業的実施がコスト高になってしまうからである。
【0005】
また、重車両の駆動車軸(駆動トルクまたは制動トルクが伝達される車軸)に装着すべきタイヤの場合には、これらのタイヤのトレッドに、実質的に横方向および周方向の溝により区切られた複数のブロックから形成されるトレッドデザインを用いることが既知のプラクティスであることも判明している。このトレッドデザインの各ブロックは「前方(leading)」面および「後方(trailing)」面を有し、これらの各面はブロックの接触面をカットしてエッジ(それぞれ、前方エッジおよび後方エッジ)を形成している。前方エッジは、後方エッジより以前に、路面とタイヤとの接触領域のセンタリングを行なう。これらのタイヤに間欠的に(車両の加速および制動のフェーズにそれぞれ対応して)作用する駆動力および制動力と組み合わされる転がり機構では、ブロックの表面の残部に観察される摩耗(「鋸歯状」摩耗)と比較して、後方エッジおよび/または前方エッジの領域により顕著なブロックの摩耗が生じることも判明している。
【0006】
不均一摩耗のこの問題を解決すべく提案されている解決法として、実質的にトレッドの厚さ方向に配向された孔または切開部を設けることにより、前方エッジおよび/または後方エッジの領域のブロックの圧縮剛性を変えることが数多く提案されている。いうまでもなく、これらの解決法はコストが嵩みかつ適正制御が困難である。提案されている他の解決法によれば、ブロックの後方エッジにより顕著な摩耗が発生することを防止するため、転がり面に対する前方面の傾斜角は90°より大きく、前記傾斜角は、ブロックの頂面から出発して前方面に向かってブロックの内部で測定したものである(90°より大きい角度は、定義により、正のクリアランス角に等しい)。この解決法は後方エッジの摩耗に関しては有効であることが判明しているが、実際には、全体としてのブロックの摩耗速度はかなり大きくなり、これは、このトレッドデザインの本来的可能性と比較したとき、短い摩耗寿命に反映される。
【0007】
(発明の開示)
本発明の1つの要旨は、重車両の前車軸または後車軸用タイヤのトレッドであって、不均一摩耗を発生させることなくかつ大きい工業的コストを付加することなくして、転がり摩耗に関して満足できる性能が得られるトレッドを提供することにある。
【0008】
本発明による重車両用タイヤのトレッドは、少なくとも2つの溝により区切られた少なくとも1つのレリーフモチーフすなわちレリーフ要素(リブまたはブロックの形態をなしている)を有し、各レリーフモチーフは、転がり時に路面と接触することを意図した接触面および少なくとも2つの側面を備え、接触面と各側面との交差部がエッジを形成している。各エッジは、タイヤと路面との接触跡の1つの限界に一致する。本発明によるトレッドの各モチーフは、トレッドの接触面に対して実質的に垂直でかつ点A1および点A2でモチーフの2つのエッジをカットする横断平面で見て、該横断平面上の接触面のプロットが、点A1と点A2との間に延びている幾何学的輪郭Pを有し、
・該輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線に対し、レリーフの少なくとも1つの第一インジケータバンプ(i)を有し、この第一バンプ(i)は1つのエッジの領域に配置され、トレッドに対して最外方にある前記輪郭の点Biは、点A1および点A2を通る直線から距離Hiでかつ近い方の点A1または点A2から距離Diの位置にあり、前記距離Diは、直線に対して垂直でかつ近い方の点A1または点A2を通って測定され、
・前記輪郭Pは、点A1および点A2を通る直線から距離Hcでかつ両点A1、A2の実質的に中央に位置する点Cを通り、
・0.1<Di/L<0.25、ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離であり、
・0.1mm<Hi<2.5mm
・0mm<Hc<Hi/2
であることを特徴とする。
【0009】
距離Hiが0.1mmより小さい場合には、摩耗に関する効果は殆どみられない。またHiが2.5mmより大きいと、トレッドと路面との間の接触圧力に関するバンプの効果は、リブの中央部分(点Cの領域)に生じる効果と比較して過度になり、この場合には前記中央部分により顕著な摩耗が生じる。
【0010】
輪郭Pは、点Biと最も近接したエッジAiとの間で、凸状の幾何学的輪郭、すなわち点Aiおよび点Biを通る直線の外側にある輪郭で実質的に一定曲率をもつ輪郭により形成されるのが好ましい。また、点Biと点Cとの間では、これらの両点Bi、Cを通る直線より下に位置する。
【0011】
実質的に長手方向の少なくとも1つの連続リブを有するトレッドデザインが用いられたトレッドを備えた重車両用タイヤの場合には、前記リブの接触面を区切る各エッジの領域に、リブの長手方向に連続バンプを設けることを考慮することは賢明である。接触面は、横断平面(すなわち、トレッドの横方向を含みかつトレッドの接触面に実質的に垂直な平面)内で、トレッドの横方向を含みかつトレッドの接触面に実質的に垂直な平面)内で、リブのエッジの1つに位置する各点A1と点A2との間に延びている幾何学的輪郭Pを備えたプロットを有し、
・前記輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線に対してレリーフ関係をなす2つのバンプを有し、第一バンプは点A1を通るエッジの領域に配置され、第二バンプは点A2を通るエッジの領域に配置され、
・トレッドに対して最外方にある第一バンプの点B1は、点A1および点A2を通る直線から距離H1でかつ点A1から距離D1の位置にあり、該距離D1は、点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A1を通って測定され、
・トレッドに対して最外方にある第二バンプの点B2は、点A1および点A2を通る直線から距離H2でかつ点A2から距離D2の位置にあり、該距離D2は、点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A2を通って測定され、
・輪郭Pは、点B1と点B2との間で、点A1および点A2を通る直線から距離Hcに位置する点Cを通り、
・0.1<D1/L<0.25、ここで、Lは点A1とA2との間の距離であり、
・0.1<D1/L<0.25、
・0.1mm<H1<2.5mm
・0.1mm<H2<2.5mm
・0mm<Hc<(H1+H2)/4
であることを特徴とする。
【0012】
周方向リブの各エッジに近接して平スポットを形成する構成のフランス国特FR 2 317 112号の教示とは異なり、本発明は、エッジAiと点Biとの間に採用される輪郭により、各エッジAiに近接した領域で路面と接触する過程で、ポアソン効果(圧縮力から生じる横方向変形)による変形を大幅に低減させる。かくして、各領域でのリブの位置の変位を低減でき、従って摩耗を低減できる。
【0013】
好ましくは、重車両の前車軸に装着することを意図したタイヤの場合、このタイヤは、本質的に周方向リブからなるトレッドデザインを有し、高さH1およびH2は、
・0.1mm<H1<0.4mm
・0.1mm<H2<0.4mm
である。
【0014】
本発明に従って高さH1およびH2の2つのバンプが設けられた少なくとも1つの周方向リブを備えたトレッドの場合には、このようなトレッドが設けられたタイヤを重車両に装着して、最高高さ(H1またはH2)のバンプを車両の軸線方向外方に位置決めし、接触領域内の圧力を最適に均一化するのが有利である。
【0015】
好ましい一変更形態では、点B1と点B2との間の輪郭Pの点Cは、点A1および点A2を通る直線上にある(すなわちHc=0)である。好ましい変更形態では、点A1および点A2を通る直線から最小距離に位置する輪郭Pの点Cは、点A1および点A2に対して実質的に等距離にある。
【0016】
本発明によるトレッドが設けられたタイヤがそのリムに装着されかつ公称膨張圧力に膨張されたとき、これらの条件が有効に満足できるものとなることが好ましい。
【0017】
各リブの方向に延びている本発明のバンプを設けることにより、リブと路面との間に一定圧力分散が変更されるため、路面とリブとの間の滑り現象の発生が防止され、従って少なくともトレッドが新しいときに一方のエッジまたは他方のエッジの領域に局部摩耗が生じることが防止される。
【0018】
複数のブロックを有するトレッドデザインを用いたトレッドを有する重車両用タイヤの場合には、一般に周方向および横方向の溝および/または切開部で区切られる各ブロックをここで考察する。これらのブロックは、タイヤの転がり表面の一部を形成しかつ転がり時に路面と接触する頂面と、横方向(タイヤの軸線方向に一致)の2つの間隔を隔てた側面と、前方面および後方面とを有する。前方面は前方エッジと呼ばれる第一エッジ(転がり時に路面と最初に接触するブロックのエッジに一致する)に沿って頂面をカットし、一方後方面は後方エッジと呼ばれる第二エッジに沿って後方頂面をカットする。
【0019】
冒頭で述べた欠点を解消すること、より詳しくは、複数のゴムブロックを有するトレッドのトレッドデザインに不均一摩耗が発生することを防止することが提案されており、実質的に長手方向の溝および実質的に横方向の溝により区切られた各ブロックに、転がり時に路面と接触することを意図した頂面および側面が設けられ、頂面と各側面との交差部にエッジが形成される。
【0020】
本発明によるトレッドデザインは、新しい状態において、トレッドの少なくとも1つのブロックが、任意の長手方向横断平面(すなわち、トレッドの長手方向を含みかつブロックの接触面に対して実質的に垂直な任意の平面)で見て、この平面上の接触面のプロットが2つの点A1とA2との間で延びている幾何学的輪郭により形成されるように構成され、点A1は前方エッジと横断平面との交差点であり、点A2は後方エッジとこの同じ横断平面との交差点であり、
・幾何学的輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線に対してレリーフ関係をなす少なくとも1つの第一連続バンプを有し、この第一バンプは前方エッジまたは後方エッジの一方の領域に配置され、トレッドに対して最外方にある前記輪郭Pの点Biは、点A1および点A2を通る直線から距離Hiでかつ近い方の点A1または点A2から距離Diの位置にあり、該距離Diは、点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ近い方の点A1または点A2を通って測定され、
輪郭Pは,点A1および点A2を通る直線から距離Hcでかつ両点A1、A2の実質的に中央に位置する点Cを通り、
・0.1<Di/L<0.25、ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離であり、
・0.1mm<Hi<2.5mm
・0mm<Hc<Hi/2
であることを特徴とする。
【0021】
例えば駆動車軸に装着することを意図したタイヤの場合に、駆動トルクまたは制動トルクの付与を考慮に入れると、前方エッジの領域に第一連続バンプを設けかつ後方エッジの領域に第二連続バンプを設けることを考慮することは賢明である。両バンプは必ずしも同じ形状である必要はない。任意の長手方向横断平面で見て、該平面上での接触面のプロットは、2つの点A1とA2との間で延びている幾何学的輪郭Pにより形成され、点A1は前方エッジと横断平面との交差点であり、点A2は後方エッジとこの同じ横断平面との交差点であり、
・幾何学的輪郭Pは、連続しておりかつ点A1および点A2を通る仮想直線に対してレリーフ関係をなすの第一バンプおよび第二バンプを有し、第一および第二バンプは、それぞれ、前方エッジおよび後方エッジの領域に配置され、トレッドに対して最外方にある第一バンプの点B1は、点A1および点A2を通る直線から距離Hiでかつ点A1から距離D1の位置にあり、該距離D1は、点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A1を通って測定され、トレッドに対して最外方にある第二バンプの点B2は、点A1および点A2を通る直線から距離H2でかつ点A2から距離D2の位置にあり、該距離D2は、点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A2を通って測定され、
・輪郭Pは,点A1および点A2を通る直線から距離Hcでかつ両点A1、A2間の実質的に中央に位置する点Cを通り、
・0.1<D1/L<0.25および0.1<D2/L<0.25、ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離であり、
・0.1mm<H1<2.5mmおよび0.1mm<H2<2.5mm
・0mm<Hc<(H1+H2)/4
であることを特徴とする。
【0022】
加えられる駆動トルクまたは制動トルクから生じる応力の不均一性を考慮に入れると、接触面の輪郭を長手方向断平面で見て非対称にし、点B2から、直線A1A2に対して垂直でかつA2を通る直線に至る距離D2を、点B1から、点A1を通りかつ点A1および点A2を通る直線に対して垂直な直線に至る距離D1より大きくする(好ましくは、0.1<D1/D2<1.0>ことを考慮することが賢明である。
【0023】
また、本発明によるトレッドの適用分野として、前述のように、後方エッジに近い部分の摩耗を低減させるため、ブロックが正のクリアランス角をもつ前方面を備えているトレッドがある。この特別な場合には、複数のブロックを備えたトレッドについて、少なくとも幾つかのブロックが前方面を備え、該前方面とブロックの接触面とのなす平均角度が90°より大きく(この角度はブロックの内部で測定したものである)、従来技術によるこの構成と、前方エッジまたは後方エッジの領域内の接触面上に連続バンプを設けることとを組み合わせることは賢明である。この連続バンプは、長手方向断平面でのブロックの接触面のプロットが、2つの点A1とA2との間で延びる幾何学的輪郭Pにより形成されるようにして形成される。点A1は前方エッジと横断平面との交差点であり、点A2は後方エッジとこの同じ横断平面との交差点である。幾何学的輪郭Pは、
・点A1および点A2を通る仮想直線に対してレリーフ関係をなすバンプを有し、このバンプは前方エッジまたは後方エッジの領域に配置され、トレッドに対して最外方にある前記輪郭Pの点Biは、点A1および点A2を通る直線から距離Hiでかつ近い方の点A1または点A2から距離Diの位置にあり、該距離Diは、点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A1または点A2を通って測定され、
・輪郭Pは,点A1および点A2を通る直線から距離Hcでかつ両点A1、A2間の実質的に中央に位置する点Cを通り、
・0.1<Di/L<0.25、ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離であり、
・0.1mm<Hi<2.5mm
・0mm<Hc<Hi/2
であることを特徴とする。
【0024】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の他の特徴および長所は、本発明の要旨の非制限的な例示実施形態を示す添付図面を参照して以下に述べる説明から明らかになるであろう。
図1は、重車両の前車軸に装着するためのタイヤのトレッド1の外面を示す平面図である。幅Wのトレッド1には、実質的に同じ幅Lをもつ4つの周方向リブ3を区切る3つの周方向溝2を有するトレッドが用いられている。リブ3のうちの2つは、いわゆるトレッドの側部を形成しかつ2つの中間リブの両側に配置される。各リブ3は、
このトレッドが設けられたタイヤが転がるときに、路面と接触することを意図した半径方向外方の接触面4と、
トレッドの厚さ部分が実質的に半径方向に延びている2つの側面5、6とを有している。
各側面5、6は、接触面4がエッジ7、8を形成しないようにする。
【0025】
エッジ7、8の間に配置された接触面4の部分の平均摩耗と比較して、これらのエッジ7、8により顕著な摩耗が発生することを防止するため、各エッジに近接した各リブ3の接触面4には周方向の連続レリーフが形成されている(図2参照)。接触面4は、図1のII−II線に沿う図2の断面図に示すように、点A1、A2(それぞれ、エッジ7、8と横断平面との交差部分である)を通りかつ破線で示す仮想直線Dより半径方向外方の2つのバンプ9、10をそなえたプロットPを有している。用語「横断平面」とは、トレッドがタイヤ上に配置された状態で、トレッドの軸線方向を含みかつトレッドの周方向に垂直な横断平面を意味するものである。
【0026】
第一バンプ9は、点A1と、直線Dから半径方向に最も離れた点B1との間に延びている。この点B1は、直線Dから距離H1を隔て、かつ点A1から距離D1(この距離は直線Dに平行に測定したものである)を隔てた点に位置している。
【0027】
第二バンプ10は、点A2と、直線Dから半径方向に最も離れた点B2との間に延びている。この点B2は、直線Dから距離H2を隔て、かつ点A2から距離D2(この距離は直線Dに平行に測定したものである)を隔てた点に位置している。
【0028】
2つのバンプ9、10は高さが異なり、大きい高さをもつバンプ9は、トレッドの軸線方向外側に最も近いエッジ7の領域内でリブ3の接触面4上に配置するのが好ましい。
また、点Cを通る横断平面内での接触面のプロットPは、この例では、直線Dより上方で、高さH2の1/2より小さい距離Hcに位置している。
【0029】
好ましくは、各リブ3の接触面4のプロットPの幾何学的輪郭は、図2に示すように、次のような態様で形成される。
・全体が、点A1および点B1を通る直線δ1の外側に位置する凸状セクションA1B1。この凸状セクションA1B1は、点B1で、点A1および点A2を通る直線Dに平行な直線に接している。
・全体が、点B1および点Cを通る直線δ2の内側に位置し、点Cで、点A1および点A2を通る直線Dに平行な接線を有するセクションB1C。
・これも、全体が、点B2および点Cを通る直線δ3の内側に位置し、点Cで、セクションB1Cに接するように連結されているセクションCB2。
・全体が、点A2および点B2を通る直線δ4の外側に位置する凸状セクションA2B2。この凸状セクションA2B2は、点B2で、点A1および点A2を通る直線Dに平行な直線に接している。
【0030】
図面の平面で見て直線状のリブについて本願で述べる説明は、必ずしも周方向ではない局部的方向をもつリブ(例えば波状またはジグザグ状リブ)の場合にも適用できる。
【0031】
下記の値すなわち、
L=38mm、W=250mm、
D1=D2=4.5mm、およびH1=H2=0.3mm
をもつ2つの連続バンプを備えたリブで形成されたトレッドデザインを有するサイズ315/80 R 22.5のタイヤについてシミュレーションを行なった。
【0032】
図3は、複数のブロック11、11′(図示の場合には周方向溝12および横方向溝13により区切られている)を有するタイヤトレッドデザインの変更形態を示すものである。この形式のトレッドデザインは、特に、駆動車軸に装着することを意図したものである。溝により区切られたブロックを含むトレッドデザインについてここに述べる説明は、ブロックが周方向溝および実質的に横方向の切開部により区切られたトレッドデザインの場合にも適用できる。この例では、このトレッドデザインは、トレッドを軸線方向に限定する側部に配置された2列のブロック11′を有し、これらの2列は、中間列のブロック11の両側に配置されている。各トレッドデザインブロック11、11′は、接触面14、14′と、周方向溝12を区切る2つの側面15、16、15′、16′と、図3に矢印Rで示す転がり方向に対して前面および後面(それぞれ、前方面および後方面と呼ぶ)とを有している。前方面および後方面は、それぞれ、前方エッジ19、19′および後方エッジ20、20′に沿って接触面をカットする。
【0033】
各ブロック11、11′の前方エッジ19、19′および後方エッジ20、20′の領域により顕著な摩耗が生じることを防止するため、中間列の各ブロック11の前方エッジ19および後方エッジ20の領域に、これらの各エッジに沿って延びるレリーフモチーフを設けることが提案される。より詳しくは、中間列のブロック11の接触面14および横方向に対して垂直な横断平面(IV−IV線断面)で見たブロック11を示す図4から明らかなように、接触面14のプロットPは、前方エッジ19および後方エッジ20に沿って延びている第一バンプ21および第二バンプ22を有している。前方エッジ19の領域に設けられた第一バンプ21は、点A1(前方エッジ19と横断平面との交差部)と、該点A1を通る直線から距離D1に位置しかつ点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A1および点A2を通る直線Dから距離H1に位置する点B1との間に延びているプロットを有する。後方エッジ20の領域に設けられた第二バンプ22は、点A2(後方エッジ20と横断平面との交差部)と、該点A2を通る直線から距離D2に位置しかつ点A1および点A2を通る直線に対して垂直でかつ点A1および点A2を通る直線Dから距離H2に位置する点B2との間に延びているプロットを有する。
【0034】
ブロック11の接触面14のプロットは、2つのバンプ21、22の間に、点A1および点A2を通る直線Dに実質的に融合する部分を有し、この部分は点E1と点E2との間に延びている幅Sを有している。この幅Sは、非制限的態様で示す例では、点A1と点E1とを分離する距離(または点A2と点E2とを分離する距離)に実質的に等しい。
【0035】
点B1と点B2とを連結する輪郭を通る点Cが、点A1および点A2を通る直線D上(Hc=0)で、これらの両点A1、A2の実質的に中央に位置している。
【0036】
この実施形態の場合には、前方エッジ19に近接して配置されたバンプ21の高さH1は、後方エッジ20に近接して配置されたバンプ22の高さH2より小さい。
【0037】
また、トレッドデザインの側方列のブロック11′は、これらの前方面19′が接触面14′に対して90°より大きいクリアランス角αを形成する特別な特徴を有している(クリアランス角の測定は、接触面から出発してブロックの内部で行なわれる)。これらのブロック11′については、前方エッジ19′に沿うレリーフモチーフを設けることを考慮するのが有利である。V−V線(図5)に沿う断面で見て、前方エッジおよび後方エッジ上の点A1と点A2との間に延びている接触面14′のプロットP′には単一バンプ21′が設けられており、該バンプ21′は、点A1′および点A2′を通る線から距離H1′にありかつこれらの両点A1′、A2′を通る線に対して垂直でかつ点A1′を通る直線から距離D1′にある点B1′を通る。また、このプロットP′は、両点A1′、A2′の実質的に中央にありかつ両点A1′、A2′を通る直線に対して高さHc′(すなわち、ゼロより大きくかつ高さH1′の1/2より小さい高さ)に位置する点C′を通る。次にこのプロットP′は、後方エッジ20′上の点A2′まで均一かつ単調に延びている。前方エッジ19′に沿うレリーフモチーフは、95〜110°の間のクリアランス角αと組み合わされるのが有利である。図5に関連して説明した上記構成は、駆動トルクを受ける重車両用タイヤに特に有利である。
【0038】
この後者の実施形態の他の変更形態は、側方列のブロックの表面に、後方エッジの領域に配置される単一バンプを設け、同時に、90°より大きいクリアランス角を形成する前方面を設けることからなる(この構成は、制動装置が設けられた重車両の車軸に装着されるタイヤに場合に特に好ましい)。この場合、クリアランス角は95〜110°の間が好ましい。
【0039】
図3〜図5に関連して述べた上記説明は、もちろん単なる一例であり、例えば全てのブロックを図4または図5のいずれかに示したようにして構成したものも本発明の範囲内に包含されることは明らかである。
【0040】
横断平面での各リブの外面のプロットは、点A1と点B1との間および点B2と点A2との間では凸状輪郭、すなわち曲率の符号が変化しない輪郭であって、点A1と点B1との間の輪郭についてはこれらの両点A1、B1を通る仮想直線に対して全体が同じ側に位置しかつ点B2と点A2との間の輪郭についてはこれらの両点を通る仮想直線に対して全体が同じ側に位置する凸状輪郭を有することが好ましい。この構成は、各リブの転がり表面上に形成される各「バンプ」を一層有効にできる。
【0041】
サイズ315/80 R 22.5のタイヤについて、比較転がり摩耗試験を行なった。本発明によるタイヤの全てのトレッドデザインブロックは、これらの前方面上に102°のクリアランス角が設けられた。また、各回転軸線に対して垂直な平面に沿う断面で見たとき、各ブロックは、新しい状態において、
・後方エッジに近接して形成されかつ1mmに等しい最大高さ(この高さは、前方エッジおよび後方エッジを通る線に対して測定される)をもつ連続バンプと、
・このバンプ上の点であって、前方エッジおよび後方エッジを通る線から最も遠くて、後方エッジ上の点を通る直線に対して垂直でかつ該直線から10mmに等しい距離にある点とを有する。
【0042】
試験は、本発明によるこのようなタイヤを車両に装着しかつサーキットで走行させ、本発明による表面輪郭を備えていない同じトレッドデザインの基準タイヤと比較することにより行なった。本件出願人は、本発明によるトレッドデザインによれば、摩耗が、基準タイヤに比べてより均一でかつ小さくなることを見出した。
【0043】
本発明は本願で説明しかつ図示した例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を施すことができる。
【0044】
トレッドの中間部分の複数のブロックおよび該ブロックの側方の複数のリブで形成されたトレッドデザインによる他の組合わせを考えることができる。リブの少なくとも1つのエッジには周方向の少なくとも1つの連続バンプを設け、ブロックの接触面には横方向に延びる少なくとも1つのバンプを設けることができる。
【0045】
本発明の精神において、複数のブロックを有するトレッドデザインの場合に、後方エッジおよび前方エッジ上に連続バンプを設けることと、実質的に周方向の溝により区切られた他方のエッジ上に少なくとも1つの連続バンプを設けることとを組み合わせることも当業者のなし得る範囲内のことである。
【0046】
本発明の1つの変更態様は、トレッドデザインにおいて、中央列、中間列および側方列に複数のブロックを設け、中央列のブロックにはバンプを設けず、中間列および側方列の各ブロックの後方エッジに近接してバンプを設けることである。中間列のブロックには、側方列のバンプの高さの1/2に等しい最大高さをもつバンプを設ける。
【0047】
本発明の概念は、実質的に横方向および周方向に整合する対角線をもつダイヤモンド状ブロックの場合にも適用できる。この場合には、4つのエッジをもつ各ブロックは、路面との同時に接触する2つの連続エッジと、同時に路面との接触面から離れる他の2つのエッジとを有している。あらゆる不均一摩耗を防止するため、路面との接触から同時に離れる2つのエッジにレリーフモチーフを設けることを提案できる。
本発明によるトレッドは、例えば閉リングの形態で別個に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
重車両の前車軸に装着するための本発明による4つのリブを備えたタイヤトレッドデザインを示す部分概略図である。
【図2】
図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】
駆動車軸に装着するための重車両用タイヤのトレッドデザインを示す平面図である。
【図4】
図3に示したトレッドデザインの中央部分からのブロックのIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】
図3のトレッドデザインのショルダ部分からのブロックのV−V線に沿う周方向断面図である。

Claims (12)

  1. 少なくとも2つの溝(2、12、13)により区切られた少なくとも1つのレリーフモチーフ(リブ(3)またはブロック(11、11′)の形態をなしている)を有し、各レリーフモチーフは、転がり時に路面と接触することを意図した接触面(4、14、14′)および少なくとも2つの側面(5、6、15、16、15′、16′)を備え、接触面と各側面との交差部が、トレッドの接触面に対して実質的に垂直でかつ点A1および点A2でモチーフの2つのエッジをカットする横断平面で見て、トレッドの各モチーフのエッジ(7、8、19、20、19′、20′)を形成し、この横断平面上での接触面のプロットは点A1と点A2との間に或る幾何学的輪郭Pを有する構成の重車両に装着するためのタイヤのトレッド(1)において、
    ・前記輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線Dに対し、レリーフの少なくとも1つの第一インジケータバンプ(i)を有し、この第一バンプは1つのエッジの領域に配置され、トレッドに対して最外方にある前記輪郭の点Biは、直線Dから距離Hiでかつ近い方の点A1または点A2から距離Diの位置にあり、前記距離Diは、直線Dに対して垂直でかつ近い方の点A1または点A2を通って測定され、
    ・前記輪郭Pは、点A1および点A2を通る直線Dから距離Hcでかつ両点A1、A2の実質的に中央に位置する点Cを通り、
    ・0.1<Di/L<0.25、ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離であり、
    ・0.1mm<Hi<2.5mm
    ・0mm<Hc<Hi/2
    であることを特徴とするトレッド。
  2. 実質的に長手方向のリブ(3)を有し、これらのリブの接触面(4)は、横断平面(すなわち、トレッドの横方向を含みかつトレッドの接触面に実質的に垂直な平面)内で、リブのエッジの1つに位置する各点A1と点A2との間に延びている幾何学的輪郭Pを備えたプロットを有し、
    ・前記輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線Dに対してレリーフ関係をなす2つのバンプ(9、10)を有し、第一バンプ(9)は点A1を通るエッジ(7)の領域に配置され、第二バンプ(10)は点A2を通るエッジ(8)の領域に配置され、
    ・トレッドに対して最外方にある第一バンプ(9)の点B1は、直線Dから距離H1でかつ点A1から距離D1の位置にあり、該距離D1は、直線Dに対して垂直でかつ点A1を通って測定され、
    ・トレッドに対して最外方にある第二バンプ(10)の点B2は、直線Dから距離H2でかつ点A2から距離D2の位置にあり、該距離D2は、直線Dに対して垂直でかつ点A2を通って測定され、
    ・輪郭Pは、点B1と点B2との間で、直線Dから距離Hcに位置する点Cを通り、
    ・0.1<D1/L<0.25、ここで、Lは点A1とA2との間の距離であり、
    ・0.1<D1/L<0.25、
    ・0.1mm<H1<2.5mm
    ・0.1mm<H2<2.5mm
    ・0mm<Hc<(H1+H2)/4
    であることを特徴とする請求項1記載のトレッド。
  3. ・0.1mm<H1<0.4mm
    ・0.1mm<H2<0.4mm
    であることを特徴とする請求項2記載のトレッド。
  4. 前記点Cは、点A1および点A2を通る直線D上にある(Hc=0)であることを特徴とする請求項2または3記載のトレッド。
  5. 少なくとも1つのリブ(3)について、バンプ(9、10)は異なる高さ(H1またはH2)を有し、最大高さのバンプは他方のバンプに対して軸線方向外方にあるように配置されることを特徴とする請求項2および3のいずれか1項記載のトレッド。
  6. 一般に周方向の複数の溝および/または切開部(12)および横方向の複数の溝および/または切開部(13)で形成されるトレッドデザインを有し、前記溝および/または切開部は複数のゴムブロック(11、11′)を区切り、これらのブロックは、タイヤの転がり表面の一部を形成しかつ転がり時に路面と接触する頂面(14、14′)と、横方向(タイヤの軸線方向に一致)の2つの間隔を隔てた側面(15、16、15′、16′)と、前方面および後方面(17、18、17′、18′)とを有し、前方面は前方エッジ(19、19′)と呼ばれる第一エッジに沿って頂面をカットし、一方後方面は後方エッジ(20、20′)と呼ばれる第二エッジに沿って後方頂面をカットし、前記トレッドデザインは、新しい状態において、トレッドの少なくとも1つのブロックが、任意の長手方向横断平面(すなわち、トレッドの長手方向を含みかつブロックの接触面に対して実質的に垂直な任意の平面)で見て、この平面上での接触面のプロットが2つの点A1とA2との間で延びている幾何学的輪郭Pにより形成されるように構成され、点A1は前方エッジと横断平面との交差点であり、点A2は後方エッジとこの同じ横断平面との交差点であり、
    ・前記幾何学的輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線Dに対してレリーフ関係をなす少なくとも1つの第一バンプ(21、22、21′)を有し、この第一バンプは前方エッジまたは後方エッジの一方の領域に配置され、トレッドに対して最外方にある前記輪郭Pの点Biは、直線Dから距離Hiでかつ近い方の点A1または点A2から距離Diの位置にあり、該距離Diは、直線Dに対して垂直でかつ近い方の点A1または点A2を通って測定され、
    ・前記輪郭Pは,点A1および点A2を通る直線Dから距離Hcでかつ両点A1、A2間の実質的に中央に位置する点Cを通り、
    ・0.1<Di/L<0.25、ここで、Lは両点A1、A2を分ける距離であり、
    ・0.1mm<Hi<2.5mm
    ・0mm<Hc<Hi/2
    であることを特徴とする重車両用タイヤのトレッド。
  7. 少なくとも幾つかのブロック(11)の接触面上には、前方エッジ(19)の領域に配置されたバンプ(21)および後方エッジ(20)の領域に配置されたバンプ(22)が設けられていることを特徴とする請求項6記載のトレッド。
  8. 同じブロック(11)のバンプ(21、22)の高さH1、H2は異なっていることを特徴とする請求項7記載のトレッド。
  9. 少なくとも幾つかのトレッドデザインによるブロックは、90°より大きいクリアランス角の前方面を有していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のトレッド。
  10. ・輪郭Pは、点A1および点A2を通る仮想直線Dに対し、レリーフの2つのバンプ(21、22)を有し、第一バンプ(21)は点A1を通るエッジ(19)の領域に配置され、第二バンプ(22)は点A2を通るエッジ(20)の領域に配置され、
    ・トレッドに対して最外方にある第一バンプ(21)の点B1は、直線Dから距離H1でかつ点A1から距離D1の位置にあり、該距離D1は、直線Dに対して垂直でかつ点A1を通って測定され、
    ・トレッドに対して最外方にある第二バンプ(22)の点B2は、直線Dから距離H2でかつ点A2から距離D2の位置にあり、該距離D2は、直線Dに対して垂直でかつ点A2を通って測定され、
    ・前記輪郭Pは、点A1および点A2を通る直線Dから距離Hcでかつ両点A1、A2の実質的に中央に位置する点Cを通り、
    ・0.1<Di/L<0.25、ここで、Lは点A1とA2との間の距離であり、
    ・0.1mm<Hi<2.5mm
    ・0mm<Hc<Hi/2
    であることを特徴とする請求項6記載のトレッド。
  11. 前記接触面の輪郭Pは、長手方向断平面で見て非対称であり、点B2から点A2を通りかつ直線Dに対して垂直な直線に至る距離D2は、点B1から点A1を通りかつ直線Dに対して垂直な直線に至る距離D1より大きいことを特徴とする請求項10記載のトレッド。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載のトレッドを有することを特徴とするタイヤ。
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