JP2004500381A - 液体炭化水素製品を精製する方法 - Google Patents
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Abstract
少なくとも1000の分子量を有する高分子量汚染物質を5%以下含む液体炭化水素製品を精製する方法であって、前記製品の液流を疎水性の無孔膜またはナノフィルター膜と接触させ、精製した製品流を浸透液として回収する。主たる製品として、スチレン、イソプレン、ブタジエン、ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ピペリレン、C2〜C5のモノオレフィン類およびアクリル酸エステル類を含有するプロセス流体を含むさまざまな液体炭化水素製品を処理することができる。
Description
【0001】
本発明は、高分子量汚染物質を除去することによって液体炭化水素製品を精製する方法に関する。
【0002】
高分子量汚染物質を含有する液体炭化水素製品は多数存在する。その汚染は通常はその製品を製造する工程で生じるものであって、その工程に本質的に存在する物質の望ましくない重合によるものである。そのような重合性物質はそれ自体がその液体炭化水素製品(たとえば、スチレン、ブタジエン、イソプレン等)であるかもしれないが、その炭化水素製品を製造する工程に固有の1種または複数の別のモノマーでもあり得る。そのような別のモノマーは、それ自体が、その工程の別途の生成物であり得る。その重合性物質は、共通して、その工程の条件下で重合しやすい傾向を有する。たとえば、ジシクロペンタジエンとシスおよびトランス−1,3−ペンタジエン(ピペリレン)は、少量のポリイソプレンを含有する可能性があるが、それは両方とも一般に分解連続流出液のC5留分から製造し、それがそこからイソプレンも製造するものであるためである。したがって、ピペリレンまたはジシクロペンタジエンを製造する工程には本質的にイソプレンが存在し、ポリイソプレンを生成する。
【0003】
さらに、重合性炭化水素製品(たとえば、スチレン)を、ホモポリマー、コポリマーまたはブロックコポリマー(たとえば、シンジオタクチックポリスチレン、ランダムスチレン−ブタジエンコポリマーまたはスチレン−ブタジエンブロックコポリマー)を製造するための供給原料として使用する場合は、その製品それ自体が正規の条件下で制御することなくポリマー状汚染物質を形成している可能性がある。そのようなポリマー状汚染物質は、所期のポリマー形成を好ましくない形で阻害することの他に、通常は所期のポリマーとは異なる反応性をも有する。この後者の側面は、所期のポリマーを最終製品にもっていくときに深刻な障害となる可能性がある。
【0004】
その望ましくない重合は、除去または回避が困難な重合開始剤を形成する痕跡程度存在する物質によって引き起こされる反応によって起こり得る。そのような開始剤は、オレフィンまたはその他の不飽和二重結合(C=C)を有する化合物の存在下で酸素が入り込むことによって次々に形成される過酸化物によって形成されるラジカルでありえよう。重合はまた、重合反応の触媒として作用する物質、特にその工程に固有の物質であるこの触媒が存在することによって起こるかもしれない。
【0005】
高分子量汚染物質は、一般的には、液体製品の全重量に対して5重量%までの比較的少量で存在する。しかしながら、3重量%以下または1重量%以下という低い量でもすでに製品の適性を低下させ、あるいは、後の処理または直接の最終用途に対して完全に不適切にすることさえしばしばである。
【0006】
本発明の方法から恩恵を得るためには、本発明の方法に適用すべき液体炭化水素の製品は通常は少なくとも0.00001重量%、より特化すれば少なくとも0.001重量%の高分子量汚染物質を含有していなければならない。しかしながら、場合によってはさらに少ない量であっても本発明の方法を利用することには魅力があり得る。
【0007】
一般に、分子量の違いに基づいて現実の製品から汚染物質を分離する技術が当業界ではいくつか知られている。そのような、知られていてかつ応用されている技術の1つは蒸留であって、分離はさまざまな成分間の沸点の違いに基づいて起こり、その違いはさまざまな成分間の異なる蒸発性の違いと関連している。しかしながら、実際は、高分子量汚染物質は極少量存在するに過ぎないために蒸留処理は相対的に費用のかかる製品の精製方法となっている。すなわち、そのような蒸留処理においては、処理すべき液流の大部分を形成する実際の製品は、蒸発させ、気体の頂部フラクションとして回収し、その後その先の使用のために凝縮しなければならず、一方、高分子量の汚染物質は、液体の底部フラクションとして回収しなければならないであろう。この処理が本質的にエネルギー集約的であることの他に、蒸留処理を行うには、多くの装置が必要となろう。さらに、蒸留で通常加えられる高温によって炭化水素製品の(熱)分解の危険も増大する。これが製品の損失と装置の汚れを導きかねない。高温を加えることは、蒸留を低圧で実施することによって避けることができようが、過酸化物の生成を導きかねない酸素の入り込みの危険性を増大させることになろう。上で説明したようにこれら過酸化物は重合反応を誘発する。さらに、低圧蒸留では、より高価な装置を使用することが必要となろう。これらの要因が、蒸留処理を経済的観点から魅力のないものとしていることが理解されよう。
【0008】
本発明は、高分子量汚染物質を効率よく高い費用効果で除去する方法を提供することを目的としている。
【0009】
これらおよびその他の目的を、液体炭化水素製品から高分子量汚染物質を除去するための膜分離処理を使用することによって実現した。
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも1000の分子量を有する高分子量汚染物質5%以下を含む液体炭化水素製品を精製する方法であって、その製品の液流を疎水性の無孔膜またはナノフィルター膜と接触させ、精製した製品流を浸透液として回収する方法に関する。
【0011】
この明細書を通して使用する分子量は、ドルトンで表し、ポリスチレンの較正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づくものである。
【0012】
膜分離を利用する利点は、蒸留とは全く異なって、処理する炭化水素の相を変化させる必要がないことである。これはエネルギーを節約し、機械設備をあまり要さない。膜分離は、吸収とは全く異なり、脱離のステップを必要とせず、あるいは、吸収においては可能性のある結果である、装填した吸収剤からなるかさばった不良品となることもない。多孔性の膜による膜分離とは全く異なり、ここで提案した膜分離は浸透液の透過が溶液拡散機構によって起こる(下文参照)ので膜の細孔の目詰まりが発生することはありえないと言う利点を有する。
【0013】
本発明の方法による分離は、製品を2つのフラクションすなわち浸透液と残留液(retentate)に分けることを目指している。その浸透液はその汚染物質の濃度が低下しているという意味で品位が向上している。その結果その浸透液は元の製品と比較して高い価値を獲得したことになる。元の製品と比較して増加した比率の汚染物質を含有する残留液は、汚染物質の濃度(分離の結果)および認められたその最終用途によって価値が決まる。その残留液の価値は、元の原材料の価値より低いかまたはそれと近似したものであり得る。段カット−膜を通過し浸透液として回収される元の製品流の重量百分率として定義される−は、広い範囲、すなわち、10重量%から99重量%、好ましくは、30重量%から95重量%で変化し得る。残留液が元の製品の価値と近い価値を依然として有する場合は、段カットは比較的低くし、一方、残留液の価値が元の製品の価値よりずっと低くなり得る場合は、できるだけ多くの浸透液を回収することを目指す。したがって、本発明のさらなる利点は、元の製品より常に高い価値を有する浸透液の他に、残留液にもまた段カットを適切に制御することによって比較的高い価値を持たせられることである。
【0014】
処理すべき液体炭化水素製品は、その液体製品の全体重量を基準として5重量%以下の高分子量汚染物質を含有する。しかしながら、本方法は、処理すべき液体炭化水素製品が、3重量%以下、より適切には、1重量%以下の高分子量汚染物質を含有するときに特に適している。高分子量汚染物質の濃度が0.1重量%以下であってもなお、本発明の方法は大いに有効である。
【0015】
処理すべき液体炭化水素製品は、所望の化学製品と5重量%以下の高分子量汚染物質を含む工業的に生産されて流れ出る化学製品であってよく、その所望の化学製品は、場合によって1つまたは複数のヘテロ原子を含み、適切には250未満、より適切には200未満、さらに適切には150未満の分子量を有する炭化水素である。その所望の化学製品の分子は、好ましくは重合性オレフィン結合である部分であってそこから重合(共重合を含む)を起こすことができる少なくとも1つの部分を有するものが適している。
【0016】
したがって、本発明の方法によって精製することができる適当な化学製品の1つの種類は、一般式(I)
R1R2C=CR3R4 (I)
のモノオレフィン類[ただし、R1、R2、R3、R4は同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素、C1〜C5のアルキル、C1〜C5のアルケニル、アリール(好ましくはフェニル)、CN、Cl、またはR5がC1〜C4のアルキル基を表すC(O)OR5基を表す]である。R1が指示した基を表し、一方、R2、R3、R4は水素を表すものが好ましい。
【0017】
適当なオレフィン性不飽和化合物の他の種類は、一般式(II)
R1R2C=CHR6−CHR7=CR3R4 (II)
によって特徴づけられる共役ジエン[ただし、R1、R2、R3、R4は式(I)におけるものと同一意味を有し、R6およびR7は同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素、C1〜C4のアルキル、好ましくはメチルまたはエチルを表す]である。
【0018】
適当な化学製品のさらに他の種類は、環状構造中に1つまたは複数のオレフィン結合を含有する化合物である。このタイプの有用な化合物は、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、シクロヘキセン等の脂環式モノおよびジオレフィンである。
【0019】
好ましい化学製品は、15個までの炭素原子、より適切には4個から10個の炭素原子を含み、例としては、スチレン、イソプレン、ブタジエン、シス−1,3−ペンタジエン、トランス−1,3−ペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、C2〜C5のモノオレフィン類(適切には、エテンおよびプロペン)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0020】
前記全製品の中で、ジシクロペンタジエンおよびスチレンが、本発明の目的にとっては大いに好ましい。
【0021】
高分子量汚染物質は少なくとも1000の分子量を有する。本発明の方法においては、少なくとも1000の分子量を有する高分子量汚染物質全体の少なくとも80重量%を除去し、適切には少なくとも90重量%、より適切には少なくとも95重量%を除去する。最も適切には、これら汚染物質の99重量%以上を除去する。最高の最終製品の品質を確保するためには、少なくとも2500の分子量を有する汚染物質を事実上除去するのが好ましく、一方、少なくとも5000の分子量を有する汚染物質を事実上除去することがさらに好ましい。この文脈において事実上の除去とは、前記汚染物質の少なくとも95重量%、より適切には、少なくとも99重量%を除去することを意味する。汚染物質の分子量の上限は重要ではなく500,000も高いこともあり得る。ポリマー状汚染物質の一般的な分子量範囲は1000から300,000、より一般的には5000から200,000である。
【0022】
使用する膜は、疎水性であり、無孔膜またはナノフィルター膜のいずれかであり得る。膜は、処理すべき液流が膜を通過できなければならない炭化水素(様)液流であるために、疎水性である必要がある。その膜は、適切には0.5μmから10μm、より適切には1μmから5μmの厚さを有する。その膜は、一般に、必要な機械的強度を与えるために少なくとも1つの基体層上で支える。そのような膜は、しばしば、複合膜または薄膜複合材と称する。一般に、複合膜は、ミクロフィルターまたはウルトラフィルター上または他の多孔性材料上で支えられている無孔膜またはナノフィルター膜で構成されている。その基体は必要な機械的強度を与えるためにその代わりに更なる多孔性の支持体上で支えてもよい。その無孔膜またはナノフィルター膜はまた、基体なしで使用してもよいが、そのような場合は膜の厚さがかかる圧力に耐えるために十分なものでなくてはならないことが理解されよう。そのときは10μmより大きい厚さが必要となり得る。そのように厚い膜は膜のスループットを著しく制限し、それによって単位時間当たりおよび膜面積当りの回収できる精製製品の量が減少するために、工程の経済的観点からこれは好ましくない。
【0023】
疎水性ナノフィルター膜は、当技術分野では知られており、記載されている(可能な)用途としては、たとえば、廃液の処理、溶解している潤滑油の有機溶媒からの分離、有機触媒複合体の有機溶媒からの分離、またはペイント廃液の有機溶媒に溶解している低分子量オリゴマーの分離等がある。
【0024】
一般に本発明の目的に役立つナノフィルター膜は、分子量に関して400〜5000ドルトンのカットオフ値を持たなければならない。適当な疎水性複合ナノフィルター膜およびその調製法については、たとえば、US−A−5,205,934およびUS−A−5,265,734に開示されている。これらの複合膜は、ミクロフィルターまたはウルトラフィルター等の多孔性の基体膜を下側に持ち、その基体は、細孔保護体で処理した後それにシリコーン層をコーティングし、次いでそれを架橋してある。適当な基体材料の例は、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等である。細孔保護体は、ヒドロキシ末端ポリシロキサンであり得る。最後のシリコーンコーティングおよび細孔を保護するシリコーン層は、一般に50nm〜500nmの厚さを有する。適当な疎水性複合ナノフィルター膜の他の例は、US−A−5,151,182に開示されており、それは、1μm未満の厚さを有する架橋層を持ち、その層は、溶剤に安定な多孔性膜基体上に支えられているポリスルホンタイプのポリマーおよび/またはポリフェニレンオキシドタイプのポリマーならびに少なくとも1つのクロロメチル化またはブロモメチル化ポリフェニレンオキシドタイプのポリマーを含む。架橋は、架橋剤としてアミンを使用することにより実施する。その基体として適切なのは、不溶化したポリアクリロニトリルである。
【0025】
コートした基体膜は、機械的強度を増すために多孔性支持体上で支えることができる。適当な支持体材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニルポリマー、芳香族ポリイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポレエチレンテレフタレート等のポリエステル、ガラス繊維、およびアルミナおよび/またはシリカをベースとする無機支持体が挙げられる。その複合膜は、たとえば、シリンダー状または平面状等所望の形を持たせることができる。
【0026】
無孔膜を使用する場合、浸透液の透過は、溶液拡散機構によって起こる。すなわち、浸透させられる炭化水素は膜基質中に溶解し、薄い選択膜の層を通って拡散し、その後それが浸透液側で脱着される。浸透を推進する主な力は流体静力学的圧力である。
【0027】
ナノフィルター膜の使用と比較した疎水性無孔膜使用の利点は、填塞作用のないこと、すなわち、細孔をふさぐ大きい分子によって膜が目詰まりを起こす可能性のないことである。これは多孔性膜においては起こりうることであり、その結果フラックスを再生させることが一層困難となる。したがって、本発明の目的のためには無孔膜を使用するのが好ましい。しかしながら、ナノフィルター膜もまた本発明の方法で使用できるであろうことを強調しておく。
【0028】
無孔膜はそれ自体当技術分野では知られており、原則として、少なくとも1000の分子量を有する化合物の80重量%以上を保持することができ、それによって上で特定した炭化水素製品を溶液拡散機構によって透過させることができる疎水性の無孔膜であればいずれも使用することができる。一般に、そのような膜は、液体炭化水素製品と一旦接触してもその膜が溶解することのないように必要な網状組織を持たせるために架橋する。架橋した無孔膜は、当技術分野ではよく知られている。一般に、架橋は、たとえば、架橋剤を反応させる等いくつかの方法で実施することができ、場合によっては照射によって高めることもできる。
【0029】
現在入手できる適当な架橋無孔膜の一例は、架橋したシリコーンゴムをベースにした膜であって、その中でポリシロキサン膜は膜のうちでも特に有用なグループである。一般にポリシロキサンは、繰り返し単位−Si−O−を含有し、そのケイ素原子は、水素または炭化水素基を有している。好ましくは、その繰り返し単位は、式(III)
−[Si−(R)(R’)−O−]n− (III)
のものである。
【0030】
上式中、RおよびR’は同一であっても異なっていてもよく、水素、または、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール、およびアルカリールからなる群から選択される炭化水素基を表す。好ましくは、RおよびR’の少なくとも1つの基がアルキル基であり、最も好ましくは、両方の基がメチル基である。本発明の目的のために非常に適するポリシロキサンは、(−OHまたは−NH2末端の)ポリジメチルシロキサンである。架橋はそのときポリシロキサンの反応性末端−OH基または−NH2基を介して行われる。好ましいポリシロキサン膜は、架橋したエラストマー状ポリシロキサン膜である。また、他のゴム状無孔膜も使用することができよう。一般に、ゴム状膜とは、単一ポリマーまたはポリマーを組み合わせた無孔の表面層を持ち、その内の少なくとも1つのポリマーが作業温度、すなわち、実際の分離が起こるときの温度より十分に低いガラス転移温度を有する膜として定義することができる。無孔膜として適することが可能な他のグループは、いわゆる、スーパーガラス状ポリマーである。そのような材料の一例として、ポリトリメチルシリルプロピンがある。
【0031】
適当な架橋エラストマー状ポリシロキサン膜の一例がUS−A−5,102,551に広範に記載されている。それによれば、適当な膜は、550から150,000、好ましくは550から4200(架橋前)の分子量を持つ上述のポリシロキサンポリマーを、架橋剤として、(i)ポリイソシアナート、または(ii)ポリ(塩化カルボニル)、または(iii)R4−aSi(A)a(ただし、Aは、−OH、−NH2、−OR、または−OOCR、aは2、3、または4、Rは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、またはアラルキルである)を用いて架橋したものから構成される。適当なポリシロキサン膜に関するさらなる詳細は、US−A−5,102,551の中で見出すことができる。
【0032】
本発明の目的のために好ましい無孔膜は架橋したポリジメチルシロキサン膜である。
【0033】
本明細書で先に示したように、無孔膜はそれだけで使用してもよいが、他の材料の基体層上で支えることもできる。そのような基体層は、ナノフィルター膜に関して上述の微孔性基体であり得よう。すなわちそれは、たとえば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルイミド、またはポリアミドイミド製の基体であり得る。
【0034】
その無孔膜は、1000以上の分子量を有する化合物全体の、好ましくは少なくとも80重量%であるが、最も好ましくは少なくとも99重量%を保持すべきである。膜によって保持される分子量が250と1000の間にある化合物のフラクションは、膜の架橋度、段カット、温度、分離される流体と膜の間の相互作用等に依存するであろう。一般に、架橋度が高く段カットが低いほど、膜を通過する250から1000の間の分子量を有する化合物でかつ最後に浸透液中に行くフラクションは少ない。架橋度が低く段カットが高いほど、最後に浸透液中に行く250から1000の間の分子量を有する化合物のフラクションは多いであろう。温度が高くなるほど高分子量成分の保持率は低下するであろう。さらに、無孔膜は、はっきりとしたカットオフ値を持たないため、分子量の低い化合物は、分子量の高い化合物より容易に無孔膜を通過するのであろう。
【0035】
液体炭化水素製品を疎水性の無孔膜またはナノフィルター膜と接触させるのは、膜間圧力差を、2バールから80バール、より好ましくは、10バールから50バールの範囲とし、フラックスを、1日当り膜1m2につき200kgと500kg(kg/m2d)の間、より好ましくは、250kg/m2dから2500kg/m2dとし、温度を、10℃から80℃、より好ましくは、10℃から40℃の範囲とするのが好ましい。
【0036】
上述のように、本発明による方法の利点の1つは、高分子量汚染物質の全てが実質的に除去されることである。このことは、精製した炭化水素製品のその後の処理または直接の最終用途にとって有利である。1つの具体的な事例において、精製した炭化水素製品が、反応物として使うための次の製品の特性の著しい改良をもたらすことがわかった。すなわち、本発明に従って精製したジシクロペンタジエンを不飽和ポリエステル樹脂の製造に使用したとき、ポリエステル樹脂の製品特性に顕著な改良が認められた。したがって、さらなる態様において、本発明は、本発明の方法によって得られる精製したジシクロペンタジエン製品の不飽和ポリエステル樹脂の製造するための用途にも関する。
【0037】
不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールおよびジシクロペンタジエンとを反応させることによって製造できることは当技術分野ではよく知られている。かくして形成された樹脂を次いで回収し、その不飽和ポリエステルポリマーと共重合できるエチレン性不飽和モノマーと混合してブレンドを形成する。適当なエチレン性不飽和モノマーはよく知られており、たとえば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、その他が挙げられる。適当な不飽和ジカルボン酸またはその無水物の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸のような不飽和酸/酸無水物が挙げられ、それらは、芳香族および脂肪族のジカルボン酸と組み合わせて使用することができる。多価アルコールのジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、その他を使用することができる。アルコール、ジカルボン酸、およびジシクロペンタジエンの間の反応は、一般に、100℃から200℃の温度で行う。
【0038】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定するものではない。
実施例1
ポリエーテルイミド(PEI)のウルトラフィルター膜上に支えられた2μmの厚さを有する架橋したポリジメチルシロキサン(PDMS)の無孔層からなる疎水性膜を用いて実験を行った。その膜は、原材料用の入り口、浸透液用の出口、残留液用の出口を有するフローセル内に取り付けた。有効膜面積は100cm2であった。
【0039】
原材料は、保存容器から供給ポンプを用いてフローセルに供給し、膜上を414リットル/時間の流量で循環した。浸透液は製品として回収し、一方、残留液は保存容器に戻した。
【0040】
その原材料は、85重量%のジシクロペンタジエン(DCPD)を含有し、残りの15重量%が、(共)二量体、(共)三量体、(共)四量体等、およびポリマー状物質のC5ジオレフィン誘導体を形成するジシクロペンタジエン主体の液流であった。
【0041】
その原材料を、30バールおよび29℃で399kg/m2dの平均フラックスにより膜を通過させることにより約2kgの浸透液を生成した。段カットは50%であった。空気との接触による酸化を避けるために浸透液は窒素雰囲気中で集めた。
【0042】
浸透液と残留液の両方を、ガスクロマトグラフィ(GC)および屈折率検知器と組み合わされているGPCを用いて分析した。GC分析は、浸透液と残留液中の低分子量(<250)成分の含量を比較するために行った。ポリマー状物質は、GC分析によっては検知できず、これらの物質についてはGPC分析を行った。GPCの結果を図1に示す。
【0043】
GCのデータは、250より下の分子量を有する化合物は全部が膜によって保持されないことを示した。GPCの結果は、残留液中のポリマー状汚染物質が、62,000の重量平均で、5000から200,000の範囲の分子量を有することを示した。そのポリマー状汚染物質は、ポリイソプレンであって、残留液中に1560mg/リットルの濃度を有することがわかった。そのポリマー状汚染物質は、図1に明示されているように浸透液中には全く存在しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
GPCの結果を示す図である。
本発明は、高分子量汚染物質を除去することによって液体炭化水素製品を精製する方法に関する。
【0002】
高分子量汚染物質を含有する液体炭化水素製品は多数存在する。その汚染は通常はその製品を製造する工程で生じるものであって、その工程に本質的に存在する物質の望ましくない重合によるものである。そのような重合性物質はそれ自体がその液体炭化水素製品(たとえば、スチレン、ブタジエン、イソプレン等)であるかもしれないが、その炭化水素製品を製造する工程に固有の1種または複数の別のモノマーでもあり得る。そのような別のモノマーは、それ自体が、その工程の別途の生成物であり得る。その重合性物質は、共通して、その工程の条件下で重合しやすい傾向を有する。たとえば、ジシクロペンタジエンとシスおよびトランス−1,3−ペンタジエン(ピペリレン)は、少量のポリイソプレンを含有する可能性があるが、それは両方とも一般に分解連続流出液のC5留分から製造し、それがそこからイソプレンも製造するものであるためである。したがって、ピペリレンまたはジシクロペンタジエンを製造する工程には本質的にイソプレンが存在し、ポリイソプレンを生成する。
【0003】
さらに、重合性炭化水素製品(たとえば、スチレン)を、ホモポリマー、コポリマーまたはブロックコポリマー(たとえば、シンジオタクチックポリスチレン、ランダムスチレン−ブタジエンコポリマーまたはスチレン−ブタジエンブロックコポリマー)を製造するための供給原料として使用する場合は、その製品それ自体が正規の条件下で制御することなくポリマー状汚染物質を形成している可能性がある。そのようなポリマー状汚染物質は、所期のポリマー形成を好ましくない形で阻害することの他に、通常は所期のポリマーとは異なる反応性をも有する。この後者の側面は、所期のポリマーを最終製品にもっていくときに深刻な障害となる可能性がある。
【0004】
その望ましくない重合は、除去または回避が困難な重合開始剤を形成する痕跡程度存在する物質によって引き起こされる反応によって起こり得る。そのような開始剤は、オレフィンまたはその他の不飽和二重結合(C=C)を有する化合物の存在下で酸素が入り込むことによって次々に形成される過酸化物によって形成されるラジカルでありえよう。重合はまた、重合反応の触媒として作用する物質、特にその工程に固有の物質であるこの触媒が存在することによって起こるかもしれない。
【0005】
高分子量汚染物質は、一般的には、液体製品の全重量に対して5重量%までの比較的少量で存在する。しかしながら、3重量%以下または1重量%以下という低い量でもすでに製品の適性を低下させ、あるいは、後の処理または直接の最終用途に対して完全に不適切にすることさえしばしばである。
【0006】
本発明の方法から恩恵を得るためには、本発明の方法に適用すべき液体炭化水素の製品は通常は少なくとも0.00001重量%、より特化すれば少なくとも0.001重量%の高分子量汚染物質を含有していなければならない。しかしながら、場合によってはさらに少ない量であっても本発明の方法を利用することには魅力があり得る。
【0007】
一般に、分子量の違いに基づいて現実の製品から汚染物質を分離する技術が当業界ではいくつか知られている。そのような、知られていてかつ応用されている技術の1つは蒸留であって、分離はさまざまな成分間の沸点の違いに基づいて起こり、その違いはさまざまな成分間の異なる蒸発性の違いと関連している。しかしながら、実際は、高分子量汚染物質は極少量存在するに過ぎないために蒸留処理は相対的に費用のかかる製品の精製方法となっている。すなわち、そのような蒸留処理においては、処理すべき液流の大部分を形成する実際の製品は、蒸発させ、気体の頂部フラクションとして回収し、その後その先の使用のために凝縮しなければならず、一方、高分子量の汚染物質は、液体の底部フラクションとして回収しなければならないであろう。この処理が本質的にエネルギー集約的であることの他に、蒸留処理を行うには、多くの装置が必要となろう。さらに、蒸留で通常加えられる高温によって炭化水素製品の(熱)分解の危険も増大する。これが製品の損失と装置の汚れを導きかねない。高温を加えることは、蒸留を低圧で実施することによって避けることができようが、過酸化物の生成を導きかねない酸素の入り込みの危険性を増大させることになろう。上で説明したようにこれら過酸化物は重合反応を誘発する。さらに、低圧蒸留では、より高価な装置を使用することが必要となろう。これらの要因が、蒸留処理を経済的観点から魅力のないものとしていることが理解されよう。
【0008】
本発明は、高分子量汚染物質を効率よく高い費用効果で除去する方法を提供することを目的としている。
【0009】
これらおよびその他の目的を、液体炭化水素製品から高分子量汚染物質を除去するための膜分離処理を使用することによって実現した。
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも1000の分子量を有する高分子量汚染物質5%以下を含む液体炭化水素製品を精製する方法であって、その製品の液流を疎水性の無孔膜またはナノフィルター膜と接触させ、精製した製品流を浸透液として回収する方法に関する。
【0011】
この明細書を通して使用する分子量は、ドルトンで表し、ポリスチレンの較正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づくものである。
【0012】
膜分離を利用する利点は、蒸留とは全く異なって、処理する炭化水素の相を変化させる必要がないことである。これはエネルギーを節約し、機械設備をあまり要さない。膜分離は、吸収とは全く異なり、脱離のステップを必要とせず、あるいは、吸収においては可能性のある結果である、装填した吸収剤からなるかさばった不良品となることもない。多孔性の膜による膜分離とは全く異なり、ここで提案した膜分離は浸透液の透過が溶液拡散機構によって起こる(下文参照)ので膜の細孔の目詰まりが発生することはありえないと言う利点を有する。
【0013】
本発明の方法による分離は、製品を2つのフラクションすなわち浸透液と残留液(retentate)に分けることを目指している。その浸透液はその汚染物質の濃度が低下しているという意味で品位が向上している。その結果その浸透液は元の製品と比較して高い価値を獲得したことになる。元の製品と比較して増加した比率の汚染物質を含有する残留液は、汚染物質の濃度(分離の結果)および認められたその最終用途によって価値が決まる。その残留液の価値は、元の原材料の価値より低いかまたはそれと近似したものであり得る。段カット−膜を通過し浸透液として回収される元の製品流の重量百分率として定義される−は、広い範囲、すなわち、10重量%から99重量%、好ましくは、30重量%から95重量%で変化し得る。残留液が元の製品の価値と近い価値を依然として有する場合は、段カットは比較的低くし、一方、残留液の価値が元の製品の価値よりずっと低くなり得る場合は、できるだけ多くの浸透液を回収することを目指す。したがって、本発明のさらなる利点は、元の製品より常に高い価値を有する浸透液の他に、残留液にもまた段カットを適切に制御することによって比較的高い価値を持たせられることである。
【0014】
処理すべき液体炭化水素製品は、その液体製品の全体重量を基準として5重量%以下の高分子量汚染物質を含有する。しかしながら、本方法は、処理すべき液体炭化水素製品が、3重量%以下、より適切には、1重量%以下の高分子量汚染物質を含有するときに特に適している。高分子量汚染物質の濃度が0.1重量%以下であってもなお、本発明の方法は大いに有効である。
【0015】
処理すべき液体炭化水素製品は、所望の化学製品と5重量%以下の高分子量汚染物質を含む工業的に生産されて流れ出る化学製品であってよく、その所望の化学製品は、場合によって1つまたは複数のヘテロ原子を含み、適切には250未満、より適切には200未満、さらに適切には150未満の分子量を有する炭化水素である。その所望の化学製品の分子は、好ましくは重合性オレフィン結合である部分であってそこから重合(共重合を含む)を起こすことができる少なくとも1つの部分を有するものが適している。
【0016】
したがって、本発明の方法によって精製することができる適当な化学製品の1つの種類は、一般式(I)
R1R2C=CR3R4 (I)
のモノオレフィン類[ただし、R1、R2、R3、R4は同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素、C1〜C5のアルキル、C1〜C5のアルケニル、アリール(好ましくはフェニル)、CN、Cl、またはR5がC1〜C4のアルキル基を表すC(O)OR5基を表す]である。R1が指示した基を表し、一方、R2、R3、R4は水素を表すものが好ましい。
【0017】
適当なオレフィン性不飽和化合物の他の種類は、一般式(II)
R1R2C=CHR6−CHR7=CR3R4 (II)
によって特徴づけられる共役ジエン[ただし、R1、R2、R3、R4は式(I)におけるものと同一意味を有し、R6およびR7は同じであっても異なっていてもよく、独立して、水素、C1〜C4のアルキル、好ましくはメチルまたはエチルを表す]である。
【0018】
適当な化学製品のさらに他の種類は、環状構造中に1つまたは複数のオレフィン結合を含有する化合物である。このタイプの有用な化合物は、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、シクロヘキセン等の脂環式モノおよびジオレフィンである。
【0019】
好ましい化学製品は、15個までの炭素原子、より適切には4個から10個の炭素原子を含み、例としては、スチレン、イソプレン、ブタジエン、シス−1,3−ペンタジエン、トランス−1,3−ペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、C2〜C5のモノオレフィン類(適切には、エテンおよびプロペン)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0020】
前記全製品の中で、ジシクロペンタジエンおよびスチレンが、本発明の目的にとっては大いに好ましい。
【0021】
高分子量汚染物質は少なくとも1000の分子量を有する。本発明の方法においては、少なくとも1000の分子量を有する高分子量汚染物質全体の少なくとも80重量%を除去し、適切には少なくとも90重量%、より適切には少なくとも95重量%を除去する。最も適切には、これら汚染物質の99重量%以上を除去する。最高の最終製品の品質を確保するためには、少なくとも2500の分子量を有する汚染物質を事実上除去するのが好ましく、一方、少なくとも5000の分子量を有する汚染物質を事実上除去することがさらに好ましい。この文脈において事実上の除去とは、前記汚染物質の少なくとも95重量%、より適切には、少なくとも99重量%を除去することを意味する。汚染物質の分子量の上限は重要ではなく500,000も高いこともあり得る。ポリマー状汚染物質の一般的な分子量範囲は1000から300,000、より一般的には5000から200,000である。
【0022】
使用する膜は、疎水性であり、無孔膜またはナノフィルター膜のいずれかであり得る。膜は、処理すべき液流が膜を通過できなければならない炭化水素(様)液流であるために、疎水性である必要がある。その膜は、適切には0.5μmから10μm、より適切には1μmから5μmの厚さを有する。その膜は、一般に、必要な機械的強度を与えるために少なくとも1つの基体層上で支える。そのような膜は、しばしば、複合膜または薄膜複合材と称する。一般に、複合膜は、ミクロフィルターまたはウルトラフィルター上または他の多孔性材料上で支えられている無孔膜またはナノフィルター膜で構成されている。その基体は必要な機械的強度を与えるためにその代わりに更なる多孔性の支持体上で支えてもよい。その無孔膜またはナノフィルター膜はまた、基体なしで使用してもよいが、そのような場合は膜の厚さがかかる圧力に耐えるために十分なものでなくてはならないことが理解されよう。そのときは10μmより大きい厚さが必要となり得る。そのように厚い膜は膜のスループットを著しく制限し、それによって単位時間当たりおよび膜面積当りの回収できる精製製品の量が減少するために、工程の経済的観点からこれは好ましくない。
【0023】
疎水性ナノフィルター膜は、当技術分野では知られており、記載されている(可能な)用途としては、たとえば、廃液の処理、溶解している潤滑油の有機溶媒からの分離、有機触媒複合体の有機溶媒からの分離、またはペイント廃液の有機溶媒に溶解している低分子量オリゴマーの分離等がある。
【0024】
一般に本発明の目的に役立つナノフィルター膜は、分子量に関して400〜5000ドルトンのカットオフ値を持たなければならない。適当な疎水性複合ナノフィルター膜およびその調製法については、たとえば、US−A−5,205,934およびUS−A−5,265,734に開示されている。これらの複合膜は、ミクロフィルターまたはウルトラフィルター等の多孔性の基体膜を下側に持ち、その基体は、細孔保護体で処理した後それにシリコーン層をコーティングし、次いでそれを架橋してある。適当な基体材料の例は、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等である。細孔保護体は、ヒドロキシ末端ポリシロキサンであり得る。最後のシリコーンコーティングおよび細孔を保護するシリコーン層は、一般に50nm〜500nmの厚さを有する。適当な疎水性複合ナノフィルター膜の他の例は、US−A−5,151,182に開示されており、それは、1μm未満の厚さを有する架橋層を持ち、その層は、溶剤に安定な多孔性膜基体上に支えられているポリスルホンタイプのポリマーおよび/またはポリフェニレンオキシドタイプのポリマーならびに少なくとも1つのクロロメチル化またはブロモメチル化ポリフェニレンオキシドタイプのポリマーを含む。架橋は、架橋剤としてアミンを使用することにより実施する。その基体として適切なのは、不溶化したポリアクリロニトリルである。
【0025】
コートした基体膜は、機械的強度を増すために多孔性支持体上で支えることができる。適当な支持体材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニルポリマー、芳香族ポリイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポレエチレンテレフタレート等のポリエステル、ガラス繊維、およびアルミナおよび/またはシリカをベースとする無機支持体が挙げられる。その複合膜は、たとえば、シリンダー状または平面状等所望の形を持たせることができる。
【0026】
無孔膜を使用する場合、浸透液の透過は、溶液拡散機構によって起こる。すなわち、浸透させられる炭化水素は膜基質中に溶解し、薄い選択膜の層を通って拡散し、その後それが浸透液側で脱着される。浸透を推進する主な力は流体静力学的圧力である。
【0027】
ナノフィルター膜の使用と比較した疎水性無孔膜使用の利点は、填塞作用のないこと、すなわち、細孔をふさぐ大きい分子によって膜が目詰まりを起こす可能性のないことである。これは多孔性膜においては起こりうることであり、その結果フラックスを再生させることが一層困難となる。したがって、本発明の目的のためには無孔膜を使用するのが好ましい。しかしながら、ナノフィルター膜もまた本発明の方法で使用できるであろうことを強調しておく。
【0028】
無孔膜はそれ自体当技術分野では知られており、原則として、少なくとも1000の分子量を有する化合物の80重量%以上を保持することができ、それによって上で特定した炭化水素製品を溶液拡散機構によって透過させることができる疎水性の無孔膜であればいずれも使用することができる。一般に、そのような膜は、液体炭化水素製品と一旦接触してもその膜が溶解することのないように必要な網状組織を持たせるために架橋する。架橋した無孔膜は、当技術分野ではよく知られている。一般に、架橋は、たとえば、架橋剤を反応させる等いくつかの方法で実施することができ、場合によっては照射によって高めることもできる。
【0029】
現在入手できる適当な架橋無孔膜の一例は、架橋したシリコーンゴムをベースにした膜であって、その中でポリシロキサン膜は膜のうちでも特に有用なグループである。一般にポリシロキサンは、繰り返し単位−Si−O−を含有し、そのケイ素原子は、水素または炭化水素基を有している。好ましくは、その繰り返し単位は、式(III)
−[Si−(R)(R’)−O−]n− (III)
のものである。
【0030】
上式中、RおよびR’は同一であっても異なっていてもよく、水素、または、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール、およびアルカリールからなる群から選択される炭化水素基を表す。好ましくは、RおよびR’の少なくとも1つの基がアルキル基であり、最も好ましくは、両方の基がメチル基である。本発明の目的のために非常に適するポリシロキサンは、(−OHまたは−NH2末端の)ポリジメチルシロキサンである。架橋はそのときポリシロキサンの反応性末端−OH基または−NH2基を介して行われる。好ましいポリシロキサン膜は、架橋したエラストマー状ポリシロキサン膜である。また、他のゴム状無孔膜も使用することができよう。一般に、ゴム状膜とは、単一ポリマーまたはポリマーを組み合わせた無孔の表面層を持ち、その内の少なくとも1つのポリマーが作業温度、すなわち、実際の分離が起こるときの温度より十分に低いガラス転移温度を有する膜として定義することができる。無孔膜として適することが可能な他のグループは、いわゆる、スーパーガラス状ポリマーである。そのような材料の一例として、ポリトリメチルシリルプロピンがある。
【0031】
適当な架橋エラストマー状ポリシロキサン膜の一例がUS−A−5,102,551に広範に記載されている。それによれば、適当な膜は、550から150,000、好ましくは550から4200(架橋前)の分子量を持つ上述のポリシロキサンポリマーを、架橋剤として、(i)ポリイソシアナート、または(ii)ポリ(塩化カルボニル)、または(iii)R4−aSi(A)a(ただし、Aは、−OH、−NH2、−OR、または−OOCR、aは2、3、または4、Rは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、またはアラルキルである)を用いて架橋したものから構成される。適当なポリシロキサン膜に関するさらなる詳細は、US−A−5,102,551の中で見出すことができる。
【0032】
本発明の目的のために好ましい無孔膜は架橋したポリジメチルシロキサン膜である。
【0033】
本明細書で先に示したように、無孔膜はそれだけで使用してもよいが、他の材料の基体層上で支えることもできる。そのような基体層は、ナノフィルター膜に関して上述の微孔性基体であり得よう。すなわちそれは、たとえば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルイミド、またはポリアミドイミド製の基体であり得る。
【0034】
その無孔膜は、1000以上の分子量を有する化合物全体の、好ましくは少なくとも80重量%であるが、最も好ましくは少なくとも99重量%を保持すべきである。膜によって保持される分子量が250と1000の間にある化合物のフラクションは、膜の架橋度、段カット、温度、分離される流体と膜の間の相互作用等に依存するであろう。一般に、架橋度が高く段カットが低いほど、膜を通過する250から1000の間の分子量を有する化合物でかつ最後に浸透液中に行くフラクションは少ない。架橋度が低く段カットが高いほど、最後に浸透液中に行く250から1000の間の分子量を有する化合物のフラクションは多いであろう。温度が高くなるほど高分子量成分の保持率は低下するであろう。さらに、無孔膜は、はっきりとしたカットオフ値を持たないため、分子量の低い化合物は、分子量の高い化合物より容易に無孔膜を通過するのであろう。
【0035】
液体炭化水素製品を疎水性の無孔膜またはナノフィルター膜と接触させるのは、膜間圧力差を、2バールから80バール、より好ましくは、10バールから50バールの範囲とし、フラックスを、1日当り膜1m2につき200kgと500kg(kg/m2d)の間、より好ましくは、250kg/m2dから2500kg/m2dとし、温度を、10℃から80℃、より好ましくは、10℃から40℃の範囲とするのが好ましい。
【0036】
上述のように、本発明による方法の利点の1つは、高分子量汚染物質の全てが実質的に除去されることである。このことは、精製した炭化水素製品のその後の処理または直接の最終用途にとって有利である。1つの具体的な事例において、精製した炭化水素製品が、反応物として使うための次の製品の特性の著しい改良をもたらすことがわかった。すなわち、本発明に従って精製したジシクロペンタジエンを不飽和ポリエステル樹脂の製造に使用したとき、ポリエステル樹脂の製品特性に顕著な改良が認められた。したがって、さらなる態様において、本発明は、本発明の方法によって得られる精製したジシクロペンタジエン製品の不飽和ポリエステル樹脂の製造するための用途にも関する。
【0037】
不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールおよびジシクロペンタジエンとを反応させることによって製造できることは当技術分野ではよく知られている。かくして形成された樹脂を次いで回収し、その不飽和ポリエステルポリマーと共重合できるエチレン性不飽和モノマーと混合してブレンドを形成する。適当なエチレン性不飽和モノマーはよく知られており、たとえば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、その他が挙げられる。適当な不飽和ジカルボン酸またはその無水物の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸のような不飽和酸/酸無水物が挙げられ、それらは、芳香族および脂肪族のジカルボン酸と組み合わせて使用することができる。多価アルコールのジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、その他を使用することができる。アルコール、ジカルボン酸、およびジシクロペンタジエンの間の反応は、一般に、100℃から200℃の温度で行う。
【0038】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定するものではない。
実施例1
ポリエーテルイミド(PEI)のウルトラフィルター膜上に支えられた2μmの厚さを有する架橋したポリジメチルシロキサン(PDMS)の無孔層からなる疎水性膜を用いて実験を行った。その膜は、原材料用の入り口、浸透液用の出口、残留液用の出口を有するフローセル内に取り付けた。有効膜面積は100cm2であった。
【0039】
原材料は、保存容器から供給ポンプを用いてフローセルに供給し、膜上を414リットル/時間の流量で循環した。浸透液は製品として回収し、一方、残留液は保存容器に戻した。
【0040】
その原材料は、85重量%のジシクロペンタジエン(DCPD)を含有し、残りの15重量%が、(共)二量体、(共)三量体、(共)四量体等、およびポリマー状物質のC5ジオレフィン誘導体を形成するジシクロペンタジエン主体の液流であった。
【0041】
その原材料を、30バールおよび29℃で399kg/m2dの平均フラックスにより膜を通過させることにより約2kgの浸透液を生成した。段カットは50%であった。空気との接触による酸化を避けるために浸透液は窒素雰囲気中で集めた。
【0042】
浸透液と残留液の両方を、ガスクロマトグラフィ(GC)および屈折率検知器と組み合わされているGPCを用いて分析した。GC分析は、浸透液と残留液中の低分子量(<250)成分の含量を比較するために行った。ポリマー状物質は、GC分析によっては検知できず、これらの物質についてはGPC分析を行った。GPCの結果を図1に示す。
【0043】
GCのデータは、250より下の分子量を有する化合物は全部が膜によって保持されないことを示した。GPCの結果は、残留液中のポリマー状汚染物質が、62,000の重量平均で、5000から200,000の範囲の分子量を有することを示した。そのポリマー状汚染物質は、ポリイソプレンであって、残留液中に1560mg/リットルの濃度を有することがわかった。そのポリマー状汚染物質は、図1に明示されているように浸透液中には全く存在しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
GPCの結果を示す図である。
Claims (9)
- 少なくとも1000の分子量を有する高分子量汚染物質を5%以下含む液体炭化水素製品を精製する方法であって、製品流を疎水性の無孔膜またはナノフィルター膜と接触させ、精製した製品流を浸透液として回収する方法。
- 前記高分子量汚染物質が、少なくとも5000の分子量を有する請求項1に記載の方法。
- 前記液体炭化水素製品が、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含み、250未満の分子量を有する炭化水素を所望の化学製品として含む工業的に生産された化学製品流である請求項1または2に記載の方法。
- 前記炭化水素の分子が、少なくとも1つのオレフィン結合を含む請求項3に記載の方法。
- 前記所望の化学製品が、スチレン、イソプレン、ブタジエン、ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ピペリレン、C2〜C5のモノオレフィン類およびアクリル酸エステル類からなる群から選択される請求項3および/または4に記載の方法。
- 前記所望の化学製品が、ジシクロペンタジエンである請求項5に記載の方法。
- 前記膜が、疎水性の架橋ポリシロキサンの無孔膜である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記液体炭化水素製品を、2バールから80バールの範囲の膜間圧力差と、1日当り200kg/m2膜と5000kg/m2膜の間のフラックスと、10℃から80℃の範囲の温度で膜と接触させる請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項6に記載の方法によって得られる精製したジシクロペンタジエンの使用であって、不飽和ポリエステル樹脂を製造するための使用。
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