JP2004359809A - グリース組成物及び転がり軸受 - Google Patents

グリース組成物及び転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】高温、高速、高荷重などの条件下で使用する場合であっても、長期にわたって十分な耐焼き付き性を達成することが可能なグリース組成物及びそれを用いた転がり軸受の提供。
【解決手段】潤滑油基油と、増ちょう剤と、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、を含有し、当該添加剤の含有量の合計が組成物全量を基準として4〜12質量%であるグリース組成物を転がり軸受に適用する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリース組成物及び軸受に関し、特に、自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチなどの高温高速高荷重条件下において好適に使用でき、剥離寿命及び高温での焼付き寿命に優れたグリース組成物、並びにそのグリース組成物を用いた転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンの各種動力装置の回転箇所、例えば、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ等の自動車電装部品、エンジン補機には、一般に転がり軸受が使用されており、その潤滑には主としてグリースが使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−3466号公報
【特許文献2】
特開平11−269478号公報
【特許文献3】
特開2001−234935号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車の分野では、小型軽量化を目的としたFF車の普及、さらには移住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、上記の電装部品・エンジン補機においても小型軽量化が一層進められている。その一方で、電装部品・エンジン補機にも高性能・高出力化が益々求められている。しかし、小型化による出力の低下は避けられず、例えばオルタネータやカーエアコン用電磁クラッチでは高速化することにより出力の低下分を補っているが、これに伴いアイドラプーリも同様に高速化することになり、潤滑箇所で発熱が助長される。
【0005】
また、エンジン稼働時の静粛化を図るべくエンジンルームの密閉化が進められているが、この場合もエンジンルーム内の高温化が促進されることとなる。
【0006】
さらに、コンプレッサー用プーリ、カーエアコン電磁クラッチ用軸受では、主に、複列アンギュラ玉軸受が使用されていたが、近時、プーリや電磁クラッチの軽量化や低コスト化のため、単列軸受を使用する傾向にある。複列アンギュラ玉軸受と使用条件を同じにして使用される単列玉軸受では、軸受の負荷容量の限界を表すPV値(軸受面圧Pとすべり速度Vとの積)が大きくなること、軸受空間容積が小さいことなどから、グリース封入量が少なく、グリースの発熱量が多い条件で使用される傾向にある。
【0007】
このように、電装部品やエンジン補機の使用条件は益々苛酷となっているため、これらの転がり軸受に適用されるグリースには、耐焼き付き性などの特性においてさらなる改善が望まれている。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温、高速、高荷重などの条件下で使用する場合であっても、長期にわたって十分な耐焼き付き性を達成することが可能なグリース組成物及びそれを用いた転がり軸受を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のグリース組成物は、潤滑油基油と、増ちょう剤と、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、を含有し、当該添加剤の含有量の合計が組成物全量を基準として4〜12質量%であることを特徴とする。
【0010】
本発明のグリース組成物においては、増ちょう剤が下記一般式(1)で表されるジウレア化合物を含むことが好ましい。
【0011】
【化2】
Figure 2004359809
【0012】
[式中、Rは1価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。]
また、本発明のグリース組成物においては、潤滑油基油がエーテル系合成油を含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明の転がり軸受は、内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を略等間隔で回動自在に保持してなり、上記本発明のグリース組成物を、内輪、外輪及び転動体で形成される軸受空間に封入したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
[潤滑油基油]
本発明において使用される潤滑油基油は特に制限されず、通常潤滑油の基油として使用されているものが使用可能である。また、低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され不足による焼付きを避けるために、40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm/sec、より好ましくは20〜250mm/sec、さらに好ましくは40〜150mm/secである基油が望ましい。
【0016】
潤滑油基油の具体例としては、鉱油系、合成油系又は天然油系の潤滑油などが挙げられる。鉱油系潤滑油としては、鉱油を、減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。合成油系潤滑基油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマーなどのポリ−α−オレフィン又はこれらの水素化物などが挙げられる。芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼンなどのアルキルベンゼン、あるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレンなどのアルキルナフタレンなどが挙げられる、エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレートなどのジエステル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネートなどのポリオールエステル油、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などが挙げられる。エーテル系油としては、ポリエチレングリーコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテルなどのポリグリコール、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテルなどのフェニルエーテル油などが挙げられる。その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテルなどが挙げられる。天然油系潤滑基油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油又はこれらの水素化物が挙げられる。これらの基油は、1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物として用いもよい。
【0017】
本発明においては上記したいずれの基油も好適に使用することができるが、転がり軸受のグリース寿命およびはく離寿命をさらに延長させるために、好ましくは上述の好ましい動粘度範囲を示すジアルキルジフェニルエーテルおよび/またはエステル系合成油を必須成分とする基油を、通常、基油全量基準で10〜100重量%含む基油を使用するのが望ましい。ジアルキルジフェニルエーテルを必須とする場合はこれを基油全量基準で50〜100重量%含有することが好ましく、エステル計合成油を必須とする場合はこれを基油全量基準で20〜100重量%使用することが好ましい。ジアルキルジフェニルエーテルおよび/またはエステル系合成油以外の基油を併用する場合は、ポリ−α−オレフィンを使用することが好ましく、その配合量は基油全量基準で80重量%以下であることが望ましい。ジアルキルジフェニルエーテルをポリ−α−オレフィンと併用する場合はポリ−α−オレフィンの配合量は基油全量基準で50重量%以下であることが好ましい。エステル系合成油をポリ−α−オレフィンと併用する場合はポリ−α−オレフィンの配合量は基油全量基準で80重量%以下であることが好ましい。
【0018】
ジアルキルジフェニルエーテルは、下記一般式(2)で表すことができる。
【0019】
【化3】
Figure 2004359809
【0020】
式(2)中、R、R及びRのうち1つは水素原子を示し、他の2つはアルキル基を示す。2つのアルキル基は同一でも異なっていてもよい。当該アルキル基は、好ましくは炭素数8〜20の直鎖アルキル基、より好ましくは12〜14の直鎖アルキル基である。
【0021】
ジアルキルジフェニルエーテルの好ましい例としては、下記式(3)〜(14)で表される化合物などを挙げることができ、使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
【0022】
【化4】
Figure 2004359809
【0023】
【化5】
Figure 2004359809
【0024】
【化6】
Figure 2004359809
【0025】
【化7】
Figure 2004359809
【0026】
【化8】
Figure 2004359809
【0027】
【化9】
Figure 2004359809
【0028】
【化10】
Figure 2004359809
【0029】
【化11】
Figure 2004359809
【0030】
【化12】
Figure 2004359809
【0031】
【化13】
Figure 2004359809
【0032】
【化14】
Figure 2004359809
【0033】
【化15】
Figure 2004359809
【0034】
ジアルキルジフェニルエーテルおよび/またはエステル系合成油以外の基油を併用する場合は、ポリ−α−オレフィンを使用することが好ましく、その配合量は基油全量基準で80重量%以下であることが望ましい。ジアルキルジフェニルエーテルをポリ−α−オレフィンと併用する場合はポリ−α−オレフィンの配合量は基油全量基準で50重量%以下であることが好ましい。エステル系合成油をポリ−α−オレフィンと併用する場合はポリ−α−オレフィンの配合量は基油全量基準で80重量%以下であることが好ましい。
【0035】
ポリ−α−オレフィンとは、下記一般式(15)で表すことができる。
【0036】
【化16】
Figure 2004359809
【0037】
式(15)中、Rはアルキル基を示す。同一分子中に含まれるアルキル基は1種のみであってもよく、2種以上の異なるアルキル基が混在してもよい。かかるアルキル基としては、n−オクチル基が好ましい。また、nは整数(好ましくは3〜8の整数)を示す。
【0038】
ポリ−α−オレフィンの使用にあたっては、1種でも、また式中のRおよび/またはnが異なるものの混合物として用いることができる。
【0039】
[増ちょう剤]
本発明において使用される増ちょう剤としては特に制限されないが、例えば、石けん系増ちょう剤、ウレア系増ちょう剤、ベントン、シリカゲル等が挙げられる。これらの中でも、機械部品の損傷防止効果の点から、石けん系増ちょう剤、ウレア系増ちょう剤を使用することが好ましい。
【0040】
石けん系増ちょう剤としては、具体的には、ナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん等が挙げられるが、これらの中でも、耐水性及び熱安定性の点からリチウム石けんが好ましい。リチウム石けんとしては、例えば、リチウムステアレート等の炭素数12〜24の脂肪酸のリチウム塩、リチウム−12−ヒドロキシステアレート等の炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸のリチウム塩、炭素数12〜24のヒドロキシ脂肪酸と炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸との混合物のリチウム塩等のリチウムコンプレックス石けん等が挙げられる。
【0041】
また、ウレア系増ちょう剤としては、例えば、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物(ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物は除く)等のウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物等のウレタン化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、ジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物又はこれらの混合物が好ましい。特に、耐熱性及び音響防止性の点からジウレア化合物が好ましい。
【0042】
ウレア系増ちょう剤の好ましい例は、下記一般式(16):
A−CONH−R−NHCO−B (16)
で表すことができる。なお、一般式(16)で表される化合物は、ジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物及びジウレタン化合物を包含するものである。
【0043】
一般式(16)中、A及びBは同一でも異なっていてもよく、それぞれ−NHR、−NR10又は−OR11で表される基を表す。ここで、R、R、R10及びR11は同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基であり、好ましくは炭素数6〜20の1価の炭化水素基を表す。
【0044】
、R、R10、R11で表される炭素数6〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖又は分枝状のアルキル基、直鎖又は分枝状のアルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。より具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などの直鎖又は分枝状のアルキル基;ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基等の直鎖又は分枝状のアルケニル基;シクロヘキシル基;メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、イソプロピルシクロヘキシル基、1−メチル−3−プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アミルシクロヘキシル基、アミルメチルシクロヘキシル基、ヘキシルシクロヘキシル基、ヘプチルシクロヘキシル基、オクチルシクロヘキシル基、ノニルシクロヘキシル基、デシルシクロヘキシル基、ウンデシルシクロヘキシル基、ドデシルシクロヘキシル基、トリデシルシクロヘキシル基、テトラデシルシクロヘキシル基等のアルキルシクロヘキシル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トルイル基、エチルフェニル基、キシリル基、プロピルフェニル基、クメニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフチル基、プロピルナフチル基等のアルキルアリール基;ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基などのアリールアルキル基等が挙げられる、これらの中でも、耐熱性及び音響防止性の点から、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基及びアルキルアリール基が好ましい。
【0045】
一般式(16)中のRは2価の有機基を表し、好ましくは2価の炭化水素基を表す。かかる2価の炭化水素基としては、具体的には、直鎖又は分枝状のアルキレン基、直鎖又は分枝状のアルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基等が挙げられる。Rで表される2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15である。
【0046】
で表される2価の炭化水素基の好ましい例としては、エチレン基、2,2−ジメチル−4−メチルヘキシレン基、並びに下記式(17)〜(26)で表される基が挙げられ、中でも式(18)、(20)で表される基が好ましい。
【0047】
【化17】
Figure 2004359809
【0048】
【化18】
Figure 2004359809
【0049】
【化19】
Figure 2004359809
【0050】
【化20】
Figure 2004359809
【0051】
【化21】
Figure 2004359809
【0052】
【化22】
Figure 2004359809
【0053】
【化23】
Figure 2004359809
【0054】
【化24】
Figure 2004359809
【0055】
【化25】
Figure 2004359809
【0056】
【化26】
Figure 2004359809
【0057】
一般式(16)で表される化合物は、例えば、OCN−R−NCOで表されるジイソシアネートと、RNH、R10NH又はR11OHで表される化合物もしくはこれらの混合物とを、基油中、10〜200℃で反応させることにより得られる。なお、原料化合物を表す式中のR、R、R、R10、R11は、それぞれ式(16)中のR、R、R、R10、R11と同義である。
【0058】
一般式(16)で表される化合物の中でも、耐熱性及び音響防止性の点から、式中のA及びBが−NHRである化合物、すなわち下記一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。ここで、一般式(1)中、Rは1価の有機基を表し、上述のRと等価である。また、Rは2価の有機基を表し、上述のRと等価である。
【0059】
【化27】
Figure 2004359809
【0060】
本発明のグリース組成物において、増ちょう剤の配合割合は、組成物全量基準で2〜30質量%である。増ちょう剤の配合割合が2質量%未満であると、増ちょう剤の添加効果が不十分となり、グリース組成物を十分にグリース状にすることができなくなる。同様の理由から、増ちょう剤の配合割合は、組成物全量基準で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量以上である。また、増ちょう剤の配合割合が30質量%を超えると、グリース組成物が過剰に硬くなって十分な潤滑性能を得ることができなくなる。同様の理由から、増ちょう剤の配合割合は、組成物全量基準で、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0061】
[添加剤]
本発明のグリース組成物は、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤を必須成分として含有する。
【0062】
フェノール系化合物としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のアルキルフェノール系化合物が使用可能であり、特に限定されるのもではないが、下記一般式(27)で表されるアルキルフェノール化合物を用いることが好ましい。
【0063】
【化28】
Figure 2004359809
【0064】
一般式(27)において、R12は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R13は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R14は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は下記一般式(28)で表される基を示す。
【0065】
【化29】
Figure 2004359809
【0066】
[式中、R15は炭素数1〜6のアルキレン基又は硫黄原子を示し、R16は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R17は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、kは0又は1を示す。]
以下、一般式(27)で表される化合物の中で好ましいものを列挙する。
【0067】
14が炭素数1〜4のアルキル基である場合の化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等を挙げることができる。
【0068】
14が一般式(28)で表される基である場合の化合物の例としては、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等、4,4−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0069】
アミン系添加剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意の芳香族アミン系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、α−ナフチルアミン類及びジフェニルアミン類が好ましく、下記一般式(29)で表されるα−ナフチルアミン類及び下記一般式(31)で表されるジフェニルアミン類から選ばれる1種又は2種以上の芳香族アミンが好ましいものとして挙げられる。
【0070】
【化30】
Figure 2004359809
【0071】
[式中、R20は水素原子又は下記一般式(30):
【0072】
【化31】
Figure 2004359809
【0073】
(式中、R21は水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を示す)
で表される基を示す。]
【0074】
【化32】
Figure 2004359809
【0075】
[式中、R22は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
先ず、一般式(29)で表されるα−ナフチルアミン類について説明する。
【0076】
一般式(29)において、R20は水素原子又は一般式(30)で表される基であり、好ましくは一般式(30)で表される基である。
【0077】
一般式(30)で表される基において、R21は水素原子又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示す。R21で示されるアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、及びヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられるが、中でも炭素数8〜16の分枝アルキル基が好ましい。
【0078】
一般式(30)中のR21がアルキル基であるフェニル−α−ナフチルアミン類は、市販のものを用いても良いが、常法に従い合成することが可能である。当該化合物の合成方法としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物、あるいは炭素数2〜16のオレフィン又は炭素数2〜16のオレフィンオリゴマーとフェニル−α−ナフチルアミンとをフリーデル・クラフツ触媒を用いて反応させる方法が挙げられる。フリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などの金属ハロゲン化物;硫酸、リン酸、五酸化リン、フッ化ホウ素、酸性白土、活性白土などの酸性触媒;などを用いることができる。
【0079】
次に、一般式(31)で表されるジフェニルアミンについて説明する。
【0080】
一般式(31)中のR22は、前述の通り水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜16のアルキル基である。R21及びR22の一方または双方が水素原子の場合にはそれ自身が酸化によりスラッジとして沈降する恐れがある。
【0081】
22で表されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられ、中でも炭素数3〜16の分枝アルキル基が好ましい。
【0082】
一般式(31)で表されるジフェニルアミンは市販のものを用いても良いが、常法に従い合成することが可能である。当該化合物の合成方法としては、一般式(29)で表されるα−ナフチルアミンと同様に、炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物とジフェニルアミン、あるいは炭素数2〜16のオレフィン又は炭素数2〜16のオレフィン又はこれらのオリゴマーとジフェニルアミンとをフリーデル・クラフツ触媒を用いて反応させることにより、容易に合成することができる。フリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、フェニル−α−ナフチルアミンの合成の際に列挙したような金属ハロゲン化物や酸性触媒等が用いられる。
【0083】
また、上記一般式(29)、(31)で表されるアミン系化合物の他、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、4,4’−テトラメチル−ジ−アミノジフェニルメタン、N,N’−ジサリチルデン−1,2−プロピレンジアミン等のアミン系酸化防止剤を使用することができる。
【0084】
また、硫黄系化合物としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意の硫黄系化合物が使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、フェノチアジン,シチレン等が挙げられる。
【0085】
また、リン系化合物としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のリン系化合物が使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛,ジチオリン酸亜鉛,ジラウリルチオプロピオネート,ジステアリルチオプロピオネート等が挙げられる。
【0086】
本発明のグリース組成物においては、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、フェノール系添加剤及び/又はアミン系添加剤を必須成分として用いることが好ましい。
【0087】
また、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物の含有量の合計は、組成物全量を基準として4〜12質量%であることが必要であり、好ましくは4.5〜11質量%、より好ましくは5〜10質量%である。当該含有量の合計が4質量%未満の場合及び12質量を超える場合には、長期にわたる耐焼付き性が不十分となる。特に、当該含有量の合計が12質量%を超えると、グリース組成物に含まれる潤滑油基油の絶対量の減少により潤滑箇所に供給される潤滑油基油量の確保が困難となって耐焼付き性が不十分となる。
【0088】
[その他の添加剤]
本発明のグリース組成物は、潤滑油基油、増ちょう剤及び上記特定の添加剤を必須成分として含有するが、後述するその他の添加剤をさらに含有してもよい。
【0089】
(有機金属塩)
本発明のグリース組成物は、有機金属塩をさらに含有してもよい。これにより剥離寿命及び高温での焼付き寿命を一層高水準で達成することができる。かかる有機金属塩としては、下記一般式(32)〜(37)で表される有機金属塩が好ましい。
【0090】
一般式(32)で表される有機金属塩はジアルキルジチオカルバミン酸(DTC)系化合物であり、一般式(33)で表される有機金属塩はジアルキルジチオリン酸(DTP)系化合物である。
【0091】
【化33】
Figure 2004359809
【0092】
【化34】
Figure 2004359809
【0093】
式中、Mは金属原子を示し、具体的には、Sb、Bi、Sn、Ni、Te、Se、Fe、Cu、Mo、Znなどが挙げられる。また、R23は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、同一分子中のR23は同一でも異なってもよい。R23で表される炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基などが挙げられ、中でも1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−メチルウンデカン基、1−メチルヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−ヘプチル基、4−メチルシクロヘキシル基、n−ブチル基、イソブチル基、イソプロピル基、イソヘプチル基、イソペンチル基、ウンデシル基、エイコシル基、エチル基、オクタデシル基、オクチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、シクロペンチル基、ジメチルシクロヘキシル基、デシル基、テトラデシル基、ドコシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリメチルシクロヘキシル基、ノニル基、プロピル基、ヘキサデシル基、ヘキシル基、ヘニコシル基、ヘプタデシル基、ヘプチル基、ペンタデシル基、ペンチル基、メチル基、tert−ブチルシクロヘキシル基、tert−ブチル基、2−ヘキセニル基、2−メタリル基、アリル基、ウンデセニル基、オレイル基、デセニル基、ビニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘプタデセニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、sec−ペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、第三オクチルフェニル基、イソノニルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、フェニル基、ベンジル基、1−フェニルメチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、1,1−ジメチルベンジル基、2−フェニルイソプロピル基、3−フェニルヘキシル基、ベンズヒドリル基、ビフェニル基が好ましい。また、これらの基はエーテル結合を有しても良い。
【0094】
一般式(34)〜(36)で示される有機金属塩は有機亜鉛化合物である。
【0095】
【化35】
Figure 2004359809
【0096】
【化36】
Figure 2004359809
【0097】
【化37】
Figure 2004359809
【0098】
式中、R24は、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。同一分子中のR24は同一でも異なっていてもよい。
【0099】
上記有機亜鉛化合物の中でも、式(34)中のR24がいずれも水素原子であるメチルカプトベンゾチアゾール亜鉛、式(35)中のR24がいずれも水素原子であるベンゾアミドチオフェノール亜鉛、並びに式(36)中のR24がいずれも水素原子であるメルカプトベンゾイミダゾール亜鉛が好ましい。
【0100】
一般式(37)で表される有機金属塩はアルキルキサントゲン酸亜鉛である。
【0101】
【化38】
Figure 2004359809
【0102】
ここで、Rは、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
【0103】
上記一般式(32)〜(37)で表される有機金属塩は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0104】
これらの有機金属塩の含有量は0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。当該含有量が0.1質量%未満では十分な剥離寿命及び高温での焼付き寿命の向上効果が得られない傾向にある。他方、当該含有量が10質量%を超えると、有機金属塩と軸受材料とが反応する恐れがあり、また、これらの有機金属塩は比較的高価でありコスト高の要因となりやすく、また、高温での焼付き寿命が短くなるおそれがある。
【0105】
[ナフテン酸塩、コハク酸又はその誘導体]
また、本発明のグリース組成物は、ナフテン酸塩、コハク酸又はその誘導体をさらに含有してもよい。これにより剥離寿命及び高温焼付き寿命を一層高水準で達成することができる。
【0106】
本発明にかかるナフテン酸塩は、ナフテン核を有するカルボン酸塩であれば特に制限されず、当該カルボン酸は飽和、不飽和のいずれでもよいが、ナフテン核を有する飽和カルボン酸塩であることが好ましい。このようなナフテン酸塩の具体例としては、飽和単環カルボン酸塩(C2n−1COOM)、飽和複環カルボン酸塩(C2n−3COOM)及びこれらの誘導体が挙げられる。例えば単環のカルボン酸塩としては、下記一般式(38)又は(39)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0107】
【化39】
Figure 2004359809
【0108】
【化40】
Figure 2004359809
【0109】
式(38)、(39)中、R26は炭化水素基を表す。かかる炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基等が挙げられる。また、Mは金属元素を表し、具体的には、Co、Mn、Zn、Al、Ca、Ba、Li、Mg、Cuなどが挙げられる。これらのナフテン酸塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0110】
また、本発明にかかるコハク酸又はその誘導体としては、コハク酸、アルキルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、コハク酸イミド等を挙げることができる。これらのコハク酸又はその誘導体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0111】
ナフテン酸塩、コハク酸又はその誘導体の含有量は、グリース組成物全量を基準としてそれぞれ0.1〜10質量%である。当該添加量が0.1質量%に満たないと、十分な防錆性を有することができない。また、当該添加量が10質量%を超えると、グリースが軟化してグリース漏れを発生させる恐れがある。さらに、それぞれの添加量がグリース組成物全量を基準として0.25〜5質量%の範囲内であると、さび止め性能がより高められると共に、グリース漏れによる焼付きがより確実に防止されるので好ましい。
【0112】
本発明のグリース組成物には、さらにその性能を高めるため、必要に応じて公知の添加剤を含有させることもできる。この添加剤としては例えば、金属石けん、ベントン、シリカゲルなどのゲル化剤;塩素系、イオウ系などの極圧剤;脂肪酸、動植物油などの油性剤;ソルビタンエステルなどのさび止め剤;ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性化剤;ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などが挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。この際、これらの添加剤の含有量は、本発明の目的を達成できれば特に限定されるものではないが、含有量の総和がグリース組成物全量を基準として20質量%以下であることが好ましい。
【0113】
[グリース組成物の製造方法]
本発明のグリース組成物を調製するには、潤滑油基油に、増ちょう剤と、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、必要に応じてその他の添加剤と、を均一混合する方法により得ることができる。また、例えば一般式(16)で表される化合物又はその混合物などの増ちょう剤を一段階の反応で調製する際に、溶媒として潤滑油基油を用い、さらに反応後の混合物にフェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、必要に応じてその他の添加剤と、を加える方法によっても、本発明のグリース組成物を得ることができる。
【0114】
[転がり軸受]
本発明の転がり軸受は、内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を略等間隔で回動自在に保持してなり、上記本発明のグリース組成物を、内輪、外輪及び転動体で形成される軸受空間に封入したことを特徴とするものである。
【0115】
図1は本発明の転がり軸受の実施形態にかかる玉軸受を示す模式断面図であり、玉軸受1をその回転軸を含む平面で切断したものである。
【0116】
図1に示した玉軸受1においては、内輪10と外輪11との間の空間には転動体としての複数の玉13が保持器12を介して略等間隔で保持されており、内輪10、外輪11、保持器12及び玉13で形成される軸受空間(グリース封入部S)には本発明のグリース組成物が充填されている。このグリース封入部Sの両側の露出面には該露出面を覆うようにリング状のシール14が配置されており、シール14の内径側端部に形成されたリップ15が内輪10と接することで、グリース封入部Sが封止され、グリースの漏洩及び外部からグリース封入部Sへの水分や異物の混入が防止される。
【0117】
上記実施形態においては、グリース封入部Sに本発明のグリース組成物を封入することによって、高温、高速及び高荷重条件下で使用する場合であっても、十分な剥離寿命及び高温焼付き寿命の達成が可能となる。従って、自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチなどの高温、高速及び高荷重条件下において好適に使用することができる。
【0118】
なお、本発明の転がり軸受は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、図1には玉軸受を示したが、本発明の転がり軸受は円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、針状ころ軸受等のころ軸受であってもよい。
【0119】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0120】
[実施例1]
潤滑油基油としてジアルキルジフェニルエーテル(40℃における動粘度:100mm/s)を用意し、この基油の半量と、及びアミン混合物(シクロヘキシルアミン:ステアリルアミン=8:2(モル比))と、を反応容器に秤取して混合物Aとし、70〜80℃に加温した。一方、基油の半量と、ジフェニルメタンジイソシアネートと、を別の容器に秤取して混合物Bとし、70〜80℃に加温して混合物Aに加えて攪拌した。反応熱により反応混合物の温度は上昇し、約30分間この状態で攪拌を続け、さらに昇温して170〜180℃で30分間保持した。このようにして、ジアルキルジフェニルエーテル中で増ちょう剤としてのジウレア化合物を合成した。
【0121】
反応混合物の冷却後、p,p−ジオクチルジフェニルアミン及びN−フェニル−1−ナフチルアミンを添加し、ロールミルを通してグリースを得た。得られたグリース組成物の組成を表1に示す。また、得られたグリースのちょう度はNLGI No.2(混和ちょう度265〜295)であった。
【0122】
[実施例2〜5、比較例1、2]
実施例2〜5及び比較例1、2においては、それぞれp,p−ジオクチルジフェニルアミン及びN−フェニル−1−ナフチルアミンの含有量を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にしてグリース組成物を調製した。得られたグリース組成物のちょう度はいずれもNLGI No.2(混和ちょう度265〜295)であった。
【0123】
[焼付き寿命試験]
次に、実施例1〜5及び比較例1、2の各グリース組成物を用いて焼付き寿命試験を行った。具体的には、内径φ35mm、外径φ52mm、幅13mmの接触ゴムシール付き深溝玉軸受にグリース組成物を0.9g封入し、外輪回転速度9000min−1、軸受温度160℃、ラジアル荷重2000Nの条件で軸受を連続回転させた。焼付きが生じて軸受外輪温度が170℃以上に上昇するまでの時間(焼付き寿命)を測定した。この試験を各グリース組成物について4回行い、その平均値に基づいて耐焼付き性を評価した。焼付き寿命の平均値を表1に示す。
【0124】
【表1】
Figure 2004359809
【0125】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、高温、高速、高荷重などの条件下で使用する場合であっても、長期にわたって十分な耐焼き付き性を達成することが可能なグリース組成物及びそれを用いた転がり軸受が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…玉軸受、10…内輪、11…外輪、12…保持器、13…玉、14…シール、15…リップ。

Claims (4)

  1. 潤滑油基油と、増ちょう剤と、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物から選ばれる少なくとも1種の添加剤と、を含有し、前記添加剤の含有量の合計が組成物全量を基準として4〜12質量%であることを特徴とするグリース組成物。
  2. 前記増ちょう剤が下記一般式(1)で表されるジウレア化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のグリース組成物。
    Figure 2004359809
    [式中、Rは1価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。]
  3. 前記潤滑油基油がエーテル系合成油を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
  4. 内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を略等間隔で回動自在に保持してなり、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のグリース組成物を、前記内輪、前記外輪及び前記転動体で形成される軸受空間に封入したことを特徴とする転がり軸受。
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