JP2004359594A - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応混合物からビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析分離した後の母液の全量を異性化処理した後、縮合反応工程、濃縮工程ないし晶析・固液分離工程に再循環すると共に、系内に不純物の蓄積を防ぐためにブローする異性化処理液からビスフェノールAとフェノールを回収する。
【選択図】 無
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスフェノールAの製造方法に関し、詳しくは、フェノールとアセトンから高品質のビスフェノールAを効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビスフェノールAはエポキシ樹脂或いはポリカーボネート樹脂の原料として重要な化合物であり、近年その用途及び需要が増大している。高品質の樹脂を得るためには、無色で高純度のビスフェノールAが要求されている。
ビスフェノールAは、通常、フェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下に反応させることにより製造される。酸性触媒としては、強酸性陽イオン交換樹脂が代表的である。反応生成物は、ビスフェノールAの他に、未反応フェノール、未反応アセトン、反応生成水及び着色物質等の反応副生物を含んでいる。反応副生物のうち、主なものは、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下2,4′−異性体と記すことがある)であり、他にトリメチルインダン、ダイアニン化合物(Dianin’s Compound)、トリスフェノール、ポリフェノール及び着色物質等がある。これらの物質は、ビスフェノールAを原料として製造される樹脂等の性能を低下させるので好ましくない。
【0003】
反応混合液から高純度のビスフェノールAを回収する方法の一つとして、該反応生成液から、未反応アセトン、反応生成水及び一部の未反応フェノールを蒸留等で除去した後、残った濃縮混合液を冷却することによってビスフェノールAをフェノールとの付加物(アダクト)として晶析させ、この結晶(アダクト結晶)を反応副生物を含む母液から分離した後、フェノールを除去してビスフェノールAを回収する方法がある(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
このアダクト結晶を分離した母液中には、2,4′−異性体、トリメチルインダン、ダイアニン化合物、トリスフェノール、ポリフェノール及び着色物質等の反応副生物の他に、多くのフェノール及びビスフェノールAが含まれているので、この母液を反応系に循環させることができる。しかしながら、これらの反応副生物を、そのまま循環させると系内に蓄積し、結晶ひいては製品の純度及び色相を悪化させる。
【0004】
このため母液を更に濃縮して結晶(回収結晶)を取り出し、その結晶を反応生成液の結晶化工程に供給する方法がある(例えば特許文献3参照)。しかし、この回収結晶を除いた母液は、なおビスフェノールAに転化し得る2,4′−異性体及びトリスフェノール等を多く含んでいるが、同時に工程のどの部分にも循環できないポリフェノール及び着色物質を多く含んでいるため、廃棄しなければならない。
一方、アダクト結晶を分離した母液中の2,4′−異性体を酸触媒でビスフェノールAに異性化して循環させる方法(例えば特許文献4参照)や、該母液の一部を異性化処理すると共に、残りの母液を更に濃縮して結晶(回収結晶)を取り出し、さらにその回収結晶を除いた母液(回収母液)からフェノールを回収する方法が知られている(例えば特許文献5参照)。
しかしながら、上記特許文献4記載の方法では、ポリフェノールや着色物質等の不純物はそのまま循環されるため、系内に蓄積し高純度の製品を得ることができない。また、不純物の蓄積防止のため、アダクト結晶を分離した母液の一部をパージする方法もあるが、このパージ母液の中に多く含まれているフェノール及びビスフェノールAが損失となる。
一方、前記特許文献5記載の方法では、アダクト結晶を分離した母液の一部をパージする際にビスフェノールAならびにフェノールを回収する方法であるが、該母液のビスフェノールA濃度が低く、不純物濃度が高いため、ビスフェノールAの回収率が低く、ビスフェノールAに転化できる異性体の多くを廃棄しなければならない。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−28126号公報
【特許文献2】
特開昭63−132850号公報
【特許文献3】
特公昭52−46946号公報
【特許文献4】
米国特許第4,400,555号公報
【特許文献5】
特開平8−333290号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下で、本発明の目的は、アダクト結晶を分離した母液からフェノール及びビスフェノールAを効率よく回収し、高品質のビスフェノールAを効率的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、フェノールとアセトンとの縮合反応によるビスフェノールAの製造方法において、反応混合物からビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析分離した後の母液の全量を異性化処理した後、縮合反応工程、濃縮工程ないし晶析・固液分離工程に再循環すると共に、系内に不純物の蓄積を防ぐためにブローする異性化処理した液の一部から更にビスフェノールAとフェノールを回収することにより、該母液からフェノール及びビスフェノールAを効率よく回収し、高品質のビスフェノールAを効率的に得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、以下のビスフェノールAの製造方法を提供するものである。
1.(1)過剰量のフェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下、縮合反応させる縮合反応工程、(2)縮合反応工程で得られた反応混合物を濃縮する濃縮工程、(3)濃縮工程で得られた濃縮液を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、該付加物と母液に分離する晶析・固液分離工程および(4)ビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収するアダクト分解工程を有するビスフェノールAの製造方法において、前記(3)晶析・固液分離工程で得られた母液の全量を異性化触媒と接触させて異性化処理した後、該異性化処理液の一部を前記の(1)縮合反応工程、(2)濃縮工程および(3)晶析・固液分離工程の少なくともいずれかに再循環し、残りの異性化処理液よりビスフェノールAおよびフェノールを回収することを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
2.残りの異性化処理液を濃縮した後、冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、固液分離後、付加物は濃縮工程および/または晶析・固液分離工程に再循環すると共に、液相部からフェノールを回収する上記1のビスフェノールAの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、アダクト結晶を分離した母液の全量を異性化処理することにより、母液中の不純物をできるだけビスフェノールAに転化してビスフェノールAの濃度を上げ、また不純物濃度を下げることができるので、ビスフェノールAの回収率を高くすることができると共に、系内に不純物が蓄積することを防止するためにその一部をパージする際に、パージされる高沸点成分を少なくすることができる。
この異性化処理以降の工程については、(5)異性化処理工程、(6)ブロー異性化処理液のアダクト回収工程および(7)アダクト回収母液のフェノール回収工程に分けることができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0010】
(1)縮合反応工程
原料のフェノールとアセトンは、化学量論的にフェノール過剰で反応させる。フェノールとアセトンとのモル比は、フェノール/アセトン=3〜30、好ましくは、5〜20の範囲である。反応温度は、通常、50〜100℃、反応圧力は、通常、常圧〜1.5MPa、好ましくは常圧〜0.6MPaで行われる。触媒としては、通常、スルホン酸型等の強酸性陽イオン交換樹脂が用いられる。
更に、強酸性陽イオン交換樹脂触媒の一部をメルカプトアルキルアミン等の助触媒により中和された触媒を用いることもある。例えば、2−メルカプトエチルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジ−n−ブチル−4−メルカプトブチルアミン、2,2−ジメチルチアゾリジン等でスルホン酸基の5〜30モル%が中和されたものが挙げられる。
フェノールとアセトンとの縮合反応は、連続方式でしかも押し流れ方式である固定床流通方式、或いは懸濁床回分方式で行われる。固定床流通方式の場合、反応器に供給する原料液の液空間速度は、0.2〜50hr−1である。また、懸濁床回分方式で行う場合、反応温度、反応圧力によって異なるが、一般的に、該原料液に対して20〜100重量%の範囲の樹脂触媒量であり、処理時間は、0.5〜5時間程度である。
【0011】
(2)濃縮工程
縮合反応工程からの反応混合物は通常二段の工程で濃縮が行なわれる。第一濃縮工程において、減圧蒸留等の方法により未反応アセトン、反応生成水等が除かれる。減圧蒸留は、温度30〜180℃、圧力13〜67kPaで実施される。続いて、第二濃縮工程において、フェノールを留去し、ビスフェノールAの濃度を調整する。この際のビスフェノールAの濃度は20〜60重量%とすることが好ましい。ビスフェノールAの濃度が20重量%よりも小さい場合には収率が低くなり、また、60重量%より大きくなると固化温度が高くなり、輸送不可能になるという問題が起きる。従って、通常は第一濃縮工程において反応混合液を予め濃縮することにより前記濃度に調整する。この第二濃縮工程は、通常、圧力4〜40kPa,温度70〜140℃の条件下で実施することが好ましい。
【0012】
(3)晶析・固液分離工程
濃縮工程からの濃縮液は、通常、70〜140℃から35〜60℃まで冷却され、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を晶析し、スラリー状になる。冷却は、外部熱交換器や、晶析器に加えられる水の蒸発による除熱によって行われる。
次にスラリー状の液は固液分離される。この晶析・固液分離工程で得られる母液の組成は、通常、フェノール:65〜85重量%、ビスフェノールA:10〜20重量%、2,4′−異性体等の副生物:5〜15重量%であり、2,4′−異性体等の不純物を多く含んでいる。
従来は不純物の蓄積防止のため母液の一部がパージされていた。しかし本発明では異性化処理工程において該母液の全量を処理して、該母液中に含まれているフェノールとビスフェノールAを回収する。
固液分離により回収されたアダクトは、次にアダクト分解工程に送られてフェノールを除去することによって高純度のビスフェノールAが得られる。
【0013】
固液分離機器のフィルター表面に濾過されて堆積されたアダクトを主成分とする固体成分は洗浄液による洗浄に付される。洗浄液としては、蒸発して回収したフェノール、原料フェノール、水、水−フェノール混合液の他、ビスフェノールAの飽和フェノール溶液と同じものも使用される。
使用される洗浄液の量は多い方が、洗浄効率の点で良いことは当然であるが、結晶の再溶解ロス、洗浄液の循環、回収、再使用の観点から自ずと上限があり、通常は、重量基準で結晶量の0.1〜10倍程度が最も効率的である。
なお、晶析・固液分離の後に結晶を再溶解し、再度晶析と固液分離を繰り返しても良い。この晶析と固液分離を多段で繰り返すことによりアダクト結晶内に取り込まれた不純物が順次減少して行く。
この場合、再溶解の溶解液ならびに固液分離で得られるアダクトを主成分とする固体成分の洗浄液としては、蒸発して回収したフェノール、原料フェノール、水、水−フェノール混合液の他、ビスフェノールAの飽和フェノール溶液と同じものを各段で使用できる。
固液分離において使用される固液分離機器としては通常使用されるものであれば特に制限されないが、ベルトフィルター、ドラムフィルター、トレイフィルター、遠心分離器等が使用される。
【0014】
(4)アダクト分解工程
上記の固液分離により回収されたビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)は、アダクト分解工程においてフェノールを除去して高純度ビスフェノールAとなる。例えば前記特許文献1および特許文献2に記載されているように、一般的には、該付加物を100〜160℃で加熱溶融することによりビスフェノールAとフェノールとに分解し、この溶融液から蒸発缶などによって大部分のフェノールを除去し、更に、スチームストリッピングにより残存するフェノールを除去することによって、ビスフェノールAを得る。
【0015】
(5)異性化処理工程
晶析・固液分離工程で得られる液相部分(母液)は、次に異性化処理工程に全量供給され、母液中の反応副生物を異性化処理する。この異性化処理液の一部は、縮合反応工程、濃縮工程および晶析・固液分離工程の少なくともいずれかに再循環する。特に、異性化処理液はフェノールを65〜85重量%含むことから、この一部を蒸発させ晶析操作に相応したビスフェノールAの濃度に調製するため前述の濃縮工程に供給することが好ましい。
異性化処理は、通常、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が用いられ、反応温度50〜100℃で、連続式でしかも押し流れ方式である固定床流通方式の場合、液空間速度は0.2〜50hr−1で行われる。
この異性化処理工程は並列に複数あっても良い。たとえば、異性化処理液を縮合反応工程、濃縮工程又は晶析・固液分離工程に再循環するための異性化処理工程と、不純物の蓄積を防ぐためにブローする異性化処理液を処理するための異性化処理工程に分割して設置することも可能である。
【0016】
(6)ブロー異性化処理液のアダクト回収工程
不純物の蓄積を防ぐためにブローする異性化処理液は、濃縮した後、冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を晶析させ、固液分離後、該アダクトは濃縮工程および/または晶析・固液分離工程に再循環する。
このブロー異性化処理液は、蒸発缶等によりフェノールの一部を除去することで濃縮される。濃縮後のビスフェノールAの濃度は、20〜50重量%程度であり、圧力5.3〜40kPa、温度70〜140℃の範囲で実施される。
こうして得られたブロー異性化処理液の濃縮液は、通常、70〜140℃から35〜60℃まで冷却され、アダクトを晶析させて、固液分離される。
この固液分離操作で得られた結晶(以下、回収結晶と云う)は、前述の濃縮工程(第二濃縮工程)又は晶析・固液分離工程に戻される。回収結晶は、晶析・固液分離工程で得られる固相部分(結晶)よりも多くの不純物を含んでいる。しかし、回収結晶中の不純物の濃度は縮合反応工程で得られる反応液中の濃度よりも低いので回収結晶を晶析・固液分離工程に供給した場合には、反応副生物の濃度は低くなり、回収結晶が供給されない場合よりも高純度の結晶が得られる。
【0017】
(7)アダクト回収母液のフェノール回収工程
一方、ブロー異性化処理液のアダクト回収工程で得られた液相部分(母液)の組成は、フェノール45〜70重量%、ビスフェノールA5〜15重量%、2,4′−異性体等の副生物20〜40重量%であり、反応副生物である2,4′−異性体等を多く含んでいるが、フェノールも多く含んでいる。
そこで、この液相部分から充填式蒸留塔等を使用する方法によりフェノールを回収し、残留物である副生物及び着色物質等を多く含んだ高沸点化合物は系外に排出することによって、系内への不純物の蓄積がなく、高品質のビスフェノールAが製品として得られる。系外に排出された高沸点化合物は焼却炉等によって処分される。前記フェノール回収処理は、通常、圧力4〜33kPa、温度120〜180℃で行われ、残留物中の残存フェノール量が20重量%以下、好ましくは5〜18重量%になるまで行う。ここで回収したフェノールは、例えば、晶析・固液分離工程での洗浄液或いは反応用原料としても再利用可能である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、%は、特に記載はない限り重量%とする。フェノール及びビスフェノールA等は、HPLC分析によって定量した。また、色相は、ビスフェノールA20gをエタノール20mlに溶解し、分光光度計で吸光度を測定し求めた。
【0019】
実施例1
内径40mm、高さ1,500mmの充填層式の反応器を3基直列に接続し、スルホン酸型イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオン−104H)を2−メルカプトエチルアミンにてスルホン酸基の20モル%を部分中和したものを5.5リットル充填した。フェノールとアセトンとの混合物(フェノール/アセトン=10/1(モル比)を触媒層の温度を80℃に保ちながら、液空間速度1hr−1にて連続的に100時間通液させた。
この反応器から得られた反応生成液のうち20kgを、減圧下で未反応アセトン、反応生成水及び少量のフェノールを除去した。得られた濃縮液は、ビスフェノールA30.5%、2,4′−異性体及びトリスフェノール3.8%、その他の不純物3.4%を含んでいた。この濃縮液を90℃から45℃に冷却して、結晶を析出させた後、遠心分離機により分離し、2830gの結晶と6170gの母液を得た。
次に、得られた結晶を溶融し、2kPa、170℃に操作された蒸留塔に送り、大部分のフェノールを留去回収した。塔底からビスフェノールAを抜き出し、更にスチームストリッピングにより残存フェノールを完全に除去して、ビスフェノールAの製品を1640g得た。得られたビスフェノールAは、2,4′−異性体0.04%、その他の不純物0.025%を含んでおり、その色相は、10APHAであった。
遠心分離機で分離された母液を、温度70℃、液空間速度1hr−1の条件下でスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオン−104H)に接触させ、異性化処理を行った。この異性化処理液は、ビスフェノールA14.0%、2,4′−異性体及びトリスフェノール4.2%、その他の不純物4.9%含んでおり、6130g得ることができた。
異性化処理液490gを減圧下でフェノールの一部を留去し、フェノール50.8%、ビスフェノールA29.8%、不純物(2,4′−異性体を含む)19.4%を含む濃縮液を230g得た。この濃縮液を冷却し、回収結晶を晶析させて、遠心分離機で分離して105gの結晶と120gの母液を得た。この回収結晶は、フェノール45.6%、ビスフェノールA51.1%、不純物3.3%を含んでいた。回収結晶を分離した母液中には、フェノールが67.8%含まれており、温度165℃、圧力14kPaの条件下で蒸留を行い、フェノール70gを回収した。
【0020】
実施例2
実施例1と同様の方法で、反応生成液19.5kgを減圧蒸留して未反応アセトン、生成水及び少量のフェノールを除去した液に、実施例1で得た異性化処理液5640gと回収結晶105gを加えて溶解した。この溶液は、フェノール62.3%、ビスフェノールA30.6%、2,4′−異性体及びトリスフェノール3.8%、その他の不純物3.3%を含んでいた。この混合溶液を90℃から45℃に冷却して、結晶を析出させた後、遠心分離機により分離し、3650gの結晶と7930gの母液を得た。
この結晶は実施例1と同様に脱フェノール処理し、ビスフェノールAの製品を2120g得た。得られたビスフェノールAは、2,4′−異性体0.03%、その他の不純物0.023%を含んでおり、その色相は、回収結晶を再循環していない参考例1の場合と同等の10APHAであった。
【0021】
比較例1
反応から晶析・固液分離工程まで参考例1と同様の処理を行い、2830gの結晶と6170gの母液を得た。この母液のうち490gを減圧下で一部のフェノールを留去し、フェノール52.9%、ビスフェノールA26.1%、不純物(2,4′−異性体を含む)21.0%を含む濃縮液を230g得た。この濃縮液を冷却し、回収結晶を晶析させて、遠心分離機で分離して80gの結晶と145gの母液を得た。この回収結晶は、フェノール45.6%、ビスフェノールA50.1%、不純物4.3%を含んでいた。回収結晶を分離した母液中には、フェノールが63.4%含まれており、温度165℃、圧力14kPaの条件下で蒸留を行い、フェノール55gを回収した。
【0022】
比較例2
実施例1と同様の方法で、主反応生成物19.5kgを得た。これに比較例1で得た異性化処理液5660gを加え、減圧蒸留して未反応アセトン、生成水及び少量のフェノールを除去した。そこへ、比較例1で得た結晶80gを加えて溶解した。この溶液は、フェノール61.0%、ビスフェノールA30.6%、2,4′−異性体及びトリスフェノール4.1%、その他の不純物4.3%を含んでいた。この混合溶液を90℃から45℃に冷却して、結晶を析出させた後、遠心分離機により分離し、3570gの結晶と8010gの母液を得た。
この結晶は比較例1と同様に脱フェノール処理し、ビスフェノールAの製品を2100g得た。得られたビスフェノールAは、2,4′−異性体0.05%、その他の不純物0.03%を含んでおり、その色相は20APHAであった。
【0023】
以上の実施例1および比較例1から分かるように、パージされる母液が同量の条件において、実施例1において本発明によりパージされる母液を異性化処理した後、ビスフェノールAおよびフェノールを回収することにより、比較例に対してビスフェノールAで17%、フェノールで33%回収量が多くなり、しかも回収結晶における不純物の濃度が低下することから、製品ビスフェノールAの品質が悪化しないことが分かる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、母液中の反応副生物を異性化処理し再循環する工程で、不純物の蓄積防止のためにパージしていた不純物を多く含む母液からフェノール及びビスフェノールAを効率良く回収することができ、更に、系内への不純物の蓄積が起こらず、無色で高品質のビスフェノールAが製品として得られる。
また、本発明の方法によれば、フェノール及びビスフェノールAを効率よく回収することができ、その結果、廃油処理の負荷を低減させることができ、経済的にも有利にビスフェノールAを製造することができる。
Claims (2)
- (1)過剰量のフェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下、縮合反応させる縮合反応工程、(2)縮合反応工程で得られた反応混合物を濃縮する濃縮工程、(3)濃縮工程で得られた濃縮液を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、該付加物と母液に分離する晶析・固液分離工程および(4)ビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収するアダクト分解工程を有するビスフェノールAの製造方法において、前記(3)晶析・固液分離工程で得られた母液の全量を異性化触媒と接触させて異性化処理した後、該異性化処理液の一部を前記の(1)縮合反応工程、(2)濃縮工程および(3)晶析・固液分離工程の少なくともいずれかに再循環し、残りの異性化処理液よりビスフェノールAおよびフェノールを回収することを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
- 残りの異性化処理液を濃縮した後、冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、固液分離後、付加物は濃縮工程および/または晶析・固液分離工程に再循環すると共に、液相部からフェノールを回収する請求項1に記載のビスフェノールAの製造方法。
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