JP2004357360A - 給電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を削減すると共に小型化を図ることができる給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置1は、ワイヤハーネス6とプロテクタ7とを備えて構成され、ワイヤハーネス6は一端が自動車車体8側に固定され他端がスライドドア9側に固定されこれらの中間部が弛んだ状態で両者間に配索される。プロテクタ7はスライドドア9に取り付けられ、プロテクタ7内にはカムばね部10が備えられている。カムばね部10は、プロテクタ7内のワイヤハーネス6を離間可能な状態で湾曲部7cに押し付けるように付勢され、スライドドア9のスライド移動時にワイヤハーネス6のスライドドア9側への固定端から所定範囲をスライドドア9のスライド移動方向から自動車車体8の固定端に滑らかに向かうように案内する。ワイヤハーネス6がスライドドア9と自動車車体8との相対変位を吸収して弛んだ状態で移動し、この移動範囲がプロテクタ7とカムばね部10とで規制されているため、安定した給電を維持すると共に部品点数を少なくして小型化を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】給電装置1は、ワイヤハーネス6とプロテクタ7とを備えて構成され、ワイヤハーネス6は一端が自動車車体8側に固定され他端がスライドドア9側に固定されこれらの中間部が弛んだ状態で両者間に配索される。プロテクタ7はスライドドア9に取り付けられ、プロテクタ7内にはカムばね部10が備えられている。カムばね部10は、プロテクタ7内のワイヤハーネス6を離間可能な状態で湾曲部7cに押し付けるように付勢され、スライドドア9のスライド移動時にワイヤハーネス6のスライドドア9側への固定端から所定範囲をスライドドア9のスライド移動方向から自動車車体8の固定端に滑らかに向かうように案内する。ワイヤハーネス6がスライドドア9と自動車車体8との相対変位を吸収して弛んだ状態で移動し、この移動範囲がプロテクタ7とカムばね部10とで規制されているため、安定した給電を維持すると共に部品点数を少なくして小型化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車のスライドドアに適用されスライドドアに搭載された各種電装部品の補機に電力を供給する給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車のスライドドアには、パワーウィンドウ装置などの各種電装部品である補機が多数搭載されており、このスライドドアを搭載した自動車においては、自動車車体側からスライドドア側へ電力を供給するための給電装置が必須な構造となっている。このような給電装置は、通常、スライドドアと車体との間に掛け渡されたワイヤハーネスを備えて構成されている。この給電装置に用いられるワイヤハーネスは、スライドドアの移動量に十分対応し得る長さとスライドドアの車体に対する変位量に対応し得る柔軟性とを兼ね備え且つスライドドアの開閉動作に対する耐久性も併せ持つように構成されている。
【0003】
しかし、このようにワイヤハーネスを構成し、スライドドアと車体との間にワイヤハーネスを配索しただけでは、スライドドアの全閉時にワイヤハーネスの余長部分をスライドドアと車体との間に挟み込んで断線を起こしたり、全開時にワイヤハーネスを引っ張って断線を起こしたりする不具合が発生する場合がある。そこで、このような問題を解消するために、スライドドアや車体とワイヤハーネスとの干渉を極力防止するようにしたスライドドア用給電装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスライドドア用給電装置では、スライドドアにガイドレールを設け、このガイドレールにワイヤハーネスを固定したスライダを摺動自在に係合させ、このスライダを連結部材により車体に連結することで、スライドドアの開閉操作に関係なくスライダを一定位置に留めてワイヤハーネスのスライドドア等との干渉を少なくした構造を実現している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−127845号公報(第3−6頁、第1−3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のスライドドア用給電装置では、スライドドア用給電装置を構成するガイドレール、スライダ及び連結部材などの部品が必要となるため、部品点数が多くなるという問題がある。また、ワイヤハーネスの湾曲部を収容するプロテクタが、ガイドレールのところまで延びている必要があるため、プロテクタが大型化してスライドドアへの取付重量を低減することが困難であるという問題もある。
【0006】
この発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、給電装置を構成する部品点数を削減すると共に小型化を図ることができる給電装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る給電装置は、固定部材とこの固定部材に対してスライド移動可能な移動部材との間を電気的に接続し両部材間に電力を供給する給電装置であって、一端が前記固定部材に固定され他端が前記移動部材に固定され且つこれらの中間部が弛んだ状態で配索されるワイヤハーネスと、このワイヤハーネスの前記移動部材側への固定端から所定範囲を前記移動部材のスライド移動方向から前記固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有するプロテクタとを備え、前記プロテクタは、前記移動部材の移動時に前記ワイヤハーネスが前記湾曲部から離間可能な押圧力をもって前記ワイヤハーネスを前記湾曲部側に押し付けるように付勢されたカムばね部を前記固定端の近傍に備えて構成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ワイヤハーネスがカムばね部により湾曲部側に押し付けられて配索されているため、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態では、カムばね部の押圧力によりワイヤハーネスがプロテクタの湾曲部に押し付けられる。また、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態では、ワイヤハーネスがカムばね部に抗して所定位置に止まるように作用する。このため、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制され、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することができる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が規制されているため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネスを直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【0009】
この給電装置に用いられるワイヤハーネスは、例えば複数の電線を束ねてこれらを保護部材により覆った構造からなるものであっても良い。この場合、保護部材はコルゲート材からなるものである。
【0010】
そして、この給電装置を構成するプロテクタのカムばね部は、例えばワイヤハーネスとの接触部分にワイヤハーネスの外形に合わせて形成された保持溝部を有するものであっても良い。保持溝部によりワイヤハーネスを係合支持すれば、カムばね部においてワイヤハーネスがプロテクタと接触することを規制することができる。
【0011】
なお、例えば固定部材は自動車車体であり、移動部材は自動車車体に取り付けられたスライドドアである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、この発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図、図2及び図3は、この給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
図1に示すように、給電装置1は、固定部材としての自動車車体8と、この自動車車体8に対して図中矢印A方向(以下、「A方向」と呼ぶ。)にスライド移動可能な移動部材としてのスライドドア9との間を電気的に接続して、両者間に電力を供給する。この給電装置1は、自動車車体8及びスライドドア9の間を電気的に接続するワイヤハーネス6と、このワイヤハーネス6の一部を内部に収容するプロテクタ7とを備えて構成されている。ワイヤハーネス6は、両端部にコネクタ2〜5を備え、一端部がコネクタ2を介して自動車車体8側の配線8´に備えられた車体側コネクタ2´と接続されて固定されると共に、他端部がコネクタ3〜5を介してスライドドア9側のパワーウィンドウ装置等の各補機(図示せず)と接続されて固定され、両端部間の中間部が弛んだ状態で自動車車体8及びスライドドア9の間に配索されている。なお、このワイヤハーネス6は、例えば複数の電線を束ねてこれらをコルゲート材からなる保護部材で覆った構造からなり、可撓性を備えるものである。
【0013】
一方、プロテクタ7は、スライドドア9に取り付けられており、ワイヤハーネス6のスライドドア9への固定端から所定範囲をA方向から自動車車体8への固定端に滑らかに向かうように湾曲させた状態で内部に収容して案内するための湾曲部7cを有するプロテクタ本体部7aと、このプロテクタ本体部7aに着脱自在に嵌合される蓋部7bとを備えて構成されている。このプロテクタ7は、更にプロテクタ7内のワイヤハーネス6を、スライドドア9の移動時に湾曲部7cから離間可能な押圧力をもって湾曲部7c側に押し付けるように付勢された、カム部11とばね部12とからなるカムばね部10をスライドドア9側の固定端の近傍に備えている。このカムばね部10を備えたプロテクタ7の作用により、スライドドア9のスライド移動時にプロテクタ7内のワイヤハーネス6が、図2及び図3に示すような状態で移動してその移動範囲が所定量に規制されるため、自動車車体8及びスライドドア9間のワイヤハーネス6が余分に弛んだりすることによる不具合が回避される。なお、例えばプロテクタ7の下部は、ワイヤハーネス6のこのような動きを妨げないように開口状態となっている。
【0014】
このカムばね部10のカム部11は、プロテクタ本体部7aに形成された軸部13を中心として回動可能にプロテクタ本体部7aに取り付けられ、ばね部12は、プロテクタ本体部7a及びカム部11に形成された押え軸14a,14bにその両端部が固定されたリターンスプリングから構成されている。このような構造により、カムばね部10は、常にプロテクタ7内のワイヤハーネス6を離間可能な状態で湾曲部7c側に押し付けるように付勢されることとなる。なお、カムばね部10のカム部11には、ワイヤハーネス6との接触部分にワイヤハーネス6の外形に合わせて形成された保持溝部15が備えられており、これによりカムばね部10が図中矢印B方向(以下、「B方向」と呼ぶ。)に回動した場合においても、カムばね部10がワイヤハーネス6をプロテクタ7内で位置決め保持することができると共に、カムばね部10と接触している部分のワイヤハーネス6がプロテクタ本体部7aや蓋部7bと接触して摩耗することを防止することが可能となる。
【0015】
このように構成された給電装置1では、スライドドア9がA方向にスライド移動した場合、ワイヤハーネス6がスライドドア9と自動車車体8との相対変位を適応的に吸収しながら弛んだ状態で移動すると共に、このワイヤハーネス6の移動範囲がプロテクタ7とカムばね部10とで規制されている構造を実現するため、ワイヤハーネス6の中間部に無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることはなく、自動車車体8及びスライドドア9間でのワイヤハーネス6の巻き込み等を防止しつつ安定した給電を維持することが可能となる。また、従来のものに比べ、給電装置1を構成する部品点数を少なくすることができると共にプロテクタ7の大きさを小さくすることができるため、給電装置1の小型化を図ることが可能となる。このため、スライドドア9への給電装置1のプロテクタ7の取付重量を低減すると共にプロテクタ7の取付面積を小さくすることも可能となる。
【0016】
なお、以上の実施例では、プロテクタ7をその主面がスライドドア9と平行になるように取り付けたが、プロテクタ7を、その主面が水平になるようにスライドドア9に取り付けるようにしても良い。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、ワイヤハーネスがカムばね部により湾曲部側に押し付けられて配索されているため、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態では、カムばね部の押圧力によりワイヤハーネスがプロテクタの湾曲部に押し付けられる。また、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態では、ワイヤハーネスがカムばね部に抗して所定位置に止まるように作用する。このため、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制され、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することができる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が規制されているため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
【0018】
また、本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネスを直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図である。
【図2】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【図3】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【符号の説明】1…給電装置、2〜5…コネクタ、6…ワイヤハーネス、7…プロテクタ、7a…プロテクタ本体部、7b…蓋部、7c…湾曲部、8…自動車車体、9…スライドドア、10…カムばね部、11…カム部、12…ばね部、15…保持溝部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車のスライドドアに適用されスライドドアに搭載された各種電装部品の補機に電力を供給する給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車のスライドドアには、パワーウィンドウ装置などの各種電装部品である補機が多数搭載されており、このスライドドアを搭載した自動車においては、自動車車体側からスライドドア側へ電力を供給するための給電装置が必須な構造となっている。このような給電装置は、通常、スライドドアと車体との間に掛け渡されたワイヤハーネスを備えて構成されている。この給電装置に用いられるワイヤハーネスは、スライドドアの移動量に十分対応し得る長さとスライドドアの車体に対する変位量に対応し得る柔軟性とを兼ね備え且つスライドドアの開閉動作に対する耐久性も併せ持つように構成されている。
【0003】
しかし、このようにワイヤハーネスを構成し、スライドドアと車体との間にワイヤハーネスを配索しただけでは、スライドドアの全閉時にワイヤハーネスの余長部分をスライドドアと車体との間に挟み込んで断線を起こしたり、全開時にワイヤハーネスを引っ張って断線を起こしたりする不具合が発生する場合がある。そこで、このような問題を解消するために、スライドドアや車体とワイヤハーネスとの干渉を極力防止するようにしたスライドドア用給電装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスライドドア用給電装置では、スライドドアにガイドレールを設け、このガイドレールにワイヤハーネスを固定したスライダを摺動自在に係合させ、このスライダを連結部材により車体に連結することで、スライドドアの開閉操作に関係なくスライダを一定位置に留めてワイヤハーネスのスライドドア等との干渉を少なくした構造を実現している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−127845号公報(第3−6頁、第1−3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のスライドドア用給電装置では、スライドドア用給電装置を構成するガイドレール、スライダ及び連結部材などの部品が必要となるため、部品点数が多くなるという問題がある。また、ワイヤハーネスの湾曲部を収容するプロテクタが、ガイドレールのところまで延びている必要があるため、プロテクタが大型化してスライドドアへの取付重量を低減することが困難であるという問題もある。
【0006】
この発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、給電装置を構成する部品点数を削減すると共に小型化を図ることができる給電装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る給電装置は、固定部材とこの固定部材に対してスライド移動可能な移動部材との間を電気的に接続し両部材間に電力を供給する給電装置であって、一端が前記固定部材に固定され他端が前記移動部材に固定され且つこれらの中間部が弛んだ状態で配索されるワイヤハーネスと、このワイヤハーネスの前記移動部材側への固定端から所定範囲を前記移動部材のスライド移動方向から前記固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有するプロテクタとを備え、前記プロテクタは、前記移動部材の移動時に前記ワイヤハーネスが前記湾曲部から離間可能な押圧力をもって前記ワイヤハーネスを前記湾曲部側に押し付けるように付勢されたカムばね部を前記固定端の近傍に備えて構成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ワイヤハーネスがカムばね部により湾曲部側に押し付けられて配索されているため、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態では、カムばね部の押圧力によりワイヤハーネスがプロテクタの湾曲部に押し付けられる。また、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態では、ワイヤハーネスがカムばね部に抗して所定位置に止まるように作用する。このため、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制され、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することができる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が規制されているため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネスを直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【0009】
この給電装置に用いられるワイヤハーネスは、例えば複数の電線を束ねてこれらを保護部材により覆った構造からなるものであっても良い。この場合、保護部材はコルゲート材からなるものである。
【0010】
そして、この給電装置を構成するプロテクタのカムばね部は、例えばワイヤハーネスとの接触部分にワイヤハーネスの外形に合わせて形成された保持溝部を有するものであっても良い。保持溝部によりワイヤハーネスを係合支持すれば、カムばね部においてワイヤハーネスがプロテクタと接触することを規制することができる。
【0011】
なお、例えば固定部材は自動車車体であり、移動部材は自動車車体に取り付けられたスライドドアである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、この発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図、図2及び図3は、この給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
図1に示すように、給電装置1は、固定部材としての自動車車体8と、この自動車車体8に対して図中矢印A方向(以下、「A方向」と呼ぶ。)にスライド移動可能な移動部材としてのスライドドア9との間を電気的に接続して、両者間に電力を供給する。この給電装置1は、自動車車体8及びスライドドア9の間を電気的に接続するワイヤハーネス6と、このワイヤハーネス6の一部を内部に収容するプロテクタ7とを備えて構成されている。ワイヤハーネス6は、両端部にコネクタ2〜5を備え、一端部がコネクタ2を介して自動車車体8側の配線8´に備えられた車体側コネクタ2´と接続されて固定されると共に、他端部がコネクタ3〜5を介してスライドドア9側のパワーウィンドウ装置等の各補機(図示せず)と接続されて固定され、両端部間の中間部が弛んだ状態で自動車車体8及びスライドドア9の間に配索されている。なお、このワイヤハーネス6は、例えば複数の電線を束ねてこれらをコルゲート材からなる保護部材で覆った構造からなり、可撓性を備えるものである。
【0013】
一方、プロテクタ7は、スライドドア9に取り付けられており、ワイヤハーネス6のスライドドア9への固定端から所定範囲をA方向から自動車車体8への固定端に滑らかに向かうように湾曲させた状態で内部に収容して案内するための湾曲部7cを有するプロテクタ本体部7aと、このプロテクタ本体部7aに着脱自在に嵌合される蓋部7bとを備えて構成されている。このプロテクタ7は、更にプロテクタ7内のワイヤハーネス6を、スライドドア9の移動時に湾曲部7cから離間可能な押圧力をもって湾曲部7c側に押し付けるように付勢された、カム部11とばね部12とからなるカムばね部10をスライドドア9側の固定端の近傍に備えている。このカムばね部10を備えたプロテクタ7の作用により、スライドドア9のスライド移動時にプロテクタ7内のワイヤハーネス6が、図2及び図3に示すような状態で移動してその移動範囲が所定量に規制されるため、自動車車体8及びスライドドア9間のワイヤハーネス6が余分に弛んだりすることによる不具合が回避される。なお、例えばプロテクタ7の下部は、ワイヤハーネス6のこのような動きを妨げないように開口状態となっている。
【0014】
このカムばね部10のカム部11は、プロテクタ本体部7aに形成された軸部13を中心として回動可能にプロテクタ本体部7aに取り付けられ、ばね部12は、プロテクタ本体部7a及びカム部11に形成された押え軸14a,14bにその両端部が固定されたリターンスプリングから構成されている。このような構造により、カムばね部10は、常にプロテクタ7内のワイヤハーネス6を離間可能な状態で湾曲部7c側に押し付けるように付勢されることとなる。なお、カムばね部10のカム部11には、ワイヤハーネス6との接触部分にワイヤハーネス6の外形に合わせて形成された保持溝部15が備えられており、これによりカムばね部10が図中矢印B方向(以下、「B方向」と呼ぶ。)に回動した場合においても、カムばね部10がワイヤハーネス6をプロテクタ7内で位置決め保持することができると共に、カムばね部10と接触している部分のワイヤハーネス6がプロテクタ本体部7aや蓋部7bと接触して摩耗することを防止することが可能となる。
【0015】
このように構成された給電装置1では、スライドドア9がA方向にスライド移動した場合、ワイヤハーネス6がスライドドア9と自動車車体8との相対変位を適応的に吸収しながら弛んだ状態で移動すると共に、このワイヤハーネス6の移動範囲がプロテクタ7とカムばね部10とで規制されている構造を実現するため、ワイヤハーネス6の中間部に無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることはなく、自動車車体8及びスライドドア9間でのワイヤハーネス6の巻き込み等を防止しつつ安定した給電を維持することが可能となる。また、従来のものに比べ、給電装置1を構成する部品点数を少なくすることができると共にプロテクタ7の大きさを小さくすることができるため、給電装置1の小型化を図ることが可能となる。このため、スライドドア9への給電装置1のプロテクタ7の取付重量を低減すると共にプロテクタ7の取付面積を小さくすることも可能となる。
【0016】
なお、以上の実施例では、プロテクタ7をその主面がスライドドア9と平行になるように取り付けたが、プロテクタ7を、その主面が水平になるようにスライドドア9に取り付けるようにしても良い。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、ワイヤハーネスがカムばね部により湾曲部側に押し付けられて配索されているため、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態では、カムばね部の押圧力によりワイヤハーネスがプロテクタの湾曲部に押し付けられる。また、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態では、ワイヤハーネスがカムばね部に抗して所定位置に止まるように作用する。このため、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制され、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することができる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が規制されているため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
【0018】
また、本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネスを直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図である。
【図2】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【図3】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【符号の説明】1…給電装置、2〜5…コネクタ、6…ワイヤハーネス、7…プロテクタ、7a…プロテクタ本体部、7b…蓋部、7c…湾曲部、8…自動車車体、9…スライドドア、10…カムばね部、11…カム部、12…ばね部、15…保持溝部。
Claims (5)
- 固定部材とこの固定部材に対してスライド移動可能な移動部材との間を電気的に接続し両部材間に電力を供給する給電装置であって、
一端が前記固定部材に固定され他端が前記移動部材に固定され且つこれらの中間部が弛んだ状態で配索されるワイヤハーネスと、
このワイヤハーネスの前記移動部材側への固定端から所定範囲を前記移動部材のスライド移動方向から前記固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有するプロテクタとを備え、
前記プロテクタは、
前記移動部材の移動時に前記ワイヤハーネスが前記湾曲部から離間可能な押圧力をもって前記ワイヤハーネスを前記湾曲部側に押し付けるように付勢されたカムばね部を前記固定端の近傍に備えて構成されている
ことを特徴とする給電装置。 - 前記ワイヤハーネスは、複数の電線を束ねてこれらを保護部材により覆った構造からなるものであることを特徴とする請求項1記載の給電装置。
- 前記保護部材は、コルゲート材からなることを特徴とする請求項2記載の給電装置。
- 前記プロテクタのカムばね部は、前記ワイヤハーネスとの接触部分に前記ワイヤハーネスの外形に合わせて形成された保持溝部を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の給電装置。 - 前記固定部材は自動車車体であり、前記移動部材は前記自動車車体に取り付けられたスライドドアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の給電装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003149362A JP2004357360A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 給電装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003149362A JP2004357360A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 給電装置 |
Publications (1)
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---|---|
JP2004357360A true JP2004357360A (ja) | 2004-12-16 |
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ID=34045493
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003149362A Pending JP2004357360A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 給電装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004357360A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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