JP2004350406A - 給電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を削減すると共に小型化を図ることができる給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置1は、ワイヤハーネス10とプロテクタ7とを備えて構成され、ワイヤハーネス10は一端が自動車車体8に固定され他端がスライドドア9に固定され中間部が弛んだ状態で両者間に配索される。ワイヤハーネス10は、複数の電線13を保護部材15で覆い、更に弾性を有するコイル状のハーネスガイド部材14で覆った構造からなる。プロテクタ7の湾曲部7cは、スライドドア9のスライド移動時にワイヤハーネス10のスライドドア9側への固定端から所定範囲をスライドドア9のスライド移動方向から自動車車体8の固定端に滑らかに向かうように案内する。ワイヤハーネス10が自身の弾性によりスライドドア9と自動車車体8との相対変位を吸収してその弾性復帰力により常に最大曲率を維持しながら弛んだ状態で移動し、この移動範囲がプロテクタ7により規制されているため、安定した給電を維持すると共に部品点数を少なくして小型化を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】給電装置1は、ワイヤハーネス10とプロテクタ7とを備えて構成され、ワイヤハーネス10は一端が自動車車体8に固定され他端がスライドドア9に固定され中間部が弛んだ状態で両者間に配索される。ワイヤハーネス10は、複数の電線13を保護部材15で覆い、更に弾性を有するコイル状のハーネスガイド部材14で覆った構造からなる。プロテクタ7の湾曲部7cは、スライドドア9のスライド移動時にワイヤハーネス10のスライドドア9側への固定端から所定範囲をスライドドア9のスライド移動方向から自動車車体8の固定端に滑らかに向かうように案内する。ワイヤハーネス10が自身の弾性によりスライドドア9と自動車車体8との相対変位を吸収してその弾性復帰力により常に最大曲率を維持しながら弛んだ状態で移動し、この移動範囲がプロテクタ7により規制されているため、安定した給電を維持すると共に部品点数を少なくして小型化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車のスライドドアに適用されスライドドアに搭載された各種電装部品の補機に電力を供給する給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車のスライドドアには、パワーウィンドウ装置などの各種電装部品である補機が多数搭載されており、このスライドドアを搭載した自動車においては、自動車車体側からスライドドア側へ電力を供給するための給電装置が必須な構造となっている。このような給電装置は、通常、スライドドアと車体との間に掛け渡されたワイヤハーネスを備えて構成されている。この給電装置に用いられるワイヤハーネスは、スライドドアの移動量に十分対応し得る長さとスライドドアの車体に対する変位量に対応し得る柔軟性とを兼ね備え且つスライドドアの開閉操作に対する耐久性も併せ持つように構成されている。
【0003】
しかし、このようにワイヤハーネスを構成し、単純にスライドドアと車体との間にワイヤハーネスを配索しただけでは、スライドドアの全閉時にワイヤハーネスの余長部分をスライドドアと車体との間に挟み込んで断線を起こしたり、全開時にワイヤハーネスを引っ張って断線を起こしたりする不具合が発生する場合がある。そこで、このような問題を解消するために、スライドドアや車体とワイヤハーネスとの干渉を極力防止するようにしたスライドドア用給電装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスライドドア用給電装置では、スライドドアにガイドレールを設け、このガイドレールにワイヤハーネスを固定したスライダを摺動自在に係合させ、このスライダを連結部材により車体に連結することで、スライドドアの開閉操作に関係なくスライダを一定位置に留めてワイヤハーネスのスライドドア等との干渉を少なくした構造を実現している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−127845号公報(第3−6頁、第1−3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のスライドドア用給電装置では、スライドドア用給電装置を構成するガイドレール、スライダ及び連結部材などの部品が必要となるため、部品点数が多くなるという問題がある。また、ワイヤハーネスの湾曲部を収容するプロテクタが、ガイドレールのところまで延びている必要があるため、プロテクタが大型化してスライドドアへの取付重量を低減することが困難であるという問題もある。
【0006】
この発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、給電装置を構成する部品点数を削減すると共に小型化を図ることができる給電装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る給電装置は、固定部材とこの固定部材に対してスライド移動可能な移動部材との間を電気的に接続し両部材間に電力を供給する給電装置であって、一端が前記固定部材に固定され他端が前記移動部材に固定され且つこれらの中間部が弛んだ状態で配索されるワイヤハーネスと、このワイヤハーネスの前記移動部材側への固定端から所定範囲を前記移動部材のスライド移動方向から前記固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有するプロテクタとを備え、前記ワイヤハーネスは、複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材からなるハーネスガイド部材で覆った構造からなることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ワイヤハーネスが複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材のハーネスガイド部材で覆った構造からなると共に、プロテクタがワイヤハーネスの移動部材側への固定端から所定範囲を移動部材のスライド移動方向から固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有する構造からなる。このため、例えばワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態ではワイヤハーネスが湾曲部に沿って自身の弾性で曲がった状態となり、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態ではワイヤハーネスが湾曲部から離間して自身の弾性復帰力によって最大曲率を維持しながら曲がった状態となる。従って、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制されると共にワイヤハーネスの中間部が湾曲部から離間しても常に安定した弛み形状を保とうとする。このため、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することが可能となる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が自身の弾性と弾性復帰力とプロテクタとにより規制され、ワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がった状態を保とうとするため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネス自身に弾性を持たせ、その弾性復帰力によりワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がろうとするため、従来のようなワイヤハーネスの中間部をガイドレールのところまで覆って保護する大きさのプロテクタは不要となる。このため、ワイヤハーネスの動きを規制して直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、如いては給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【0009】
なお、ワイヤハーネスは、例えば複数の電線の外周及びハーネスガイド部材の外周の少なくとも一方が更に保護部材により覆われた構造からなるものでも良い。このようにすれば、ワイヤハーネスの弾性及び電線保護性能を更に高めることができる。
【0010】
また、ワイヤハーネスの保護部材は、例えばコルゲート材からなるものである。
【0011】
なお、例えば固定部材は自動車車体であり、移動部材は自動車車体に取り付けられたスライドドアである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、この発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図、図2及び図3は、この給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図、図4は、この給電装置に用いられるワイヤハーネスの断面図、図5は、このワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
図1に示すように、給電装置1は、固定部材としての自動車車体8と、この自動車車体8に対して図中矢印A方向(以下、「A方向」と呼ぶ。)にスライド移動可能な移動部材としてのスライドドア9との間を電気的に接続して、両者間に電力を供給する。この給電装置1は、自動車車体8及びスライドドア9の間を電気的に接続するワイヤハーネス10と、このワイヤハーネス10の一部を内部に収容するプロテクタ7とを備えて構成されている。
【0013】
ワイヤハーネス10は、両端部にコネクタ2〜5を備え、一端部がコネクタ2を介して自動車車体8側の配線8´に備えられた車体側コネクタ2´と接続されて固定されると共に、他端部がコネクタ3〜5を介してスライドドア9側のパワーウィンドウ装置等の各補機(図示せず)と接続されて固定され、両端部間の中間部が弛んだ状態で自動車車体8及びスライドドア9の間に配索されている。
【0014】
このワイヤハーネス10は、図4及び図5に示すように、絶縁被覆11に芯線12が覆われた構造の複数の電線13をテープなどの保護部材15で束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材からなるハーネスガイド部材14で覆った構造からなり、例えば所定方向に所定の曲率で折り曲げることができると共に自信の弾性により直線状に戻ろうとする弾性復帰力を備えている。
【0015】
一方、プロテクタ7は、スライドドア9に取り付けられており、ワイヤハーネス10のスライドドア9への固定端から所定範囲をA方向から自動車車体8への固定端に滑らかに向かうように湾曲させた状態で内部に収容して案内するための湾曲部7cを有するプロテクタ本体部7aと、このプロテクタ本体部7aに着脱自在に嵌合される蓋部7bとを備えて構成されている。なお、このプロテクタ7の下部は、ワイヤハーネス10の動きを妨げないように開口状態となっている。
【0016】
このように構成された給電装置1では、例えばワイヤハーネス10のスライドドア9側の端部が自動車車体8側の端部から離れた位置にある状態ではワイヤハーネス10がプロテクタ7の湾曲部7cに沿って自身の弾性で曲がった状態となり、ワイヤハーネス10のスライドドア9側の端部が自動車車体8側の端部に近づくように移動した状態ではワイヤハーネス10がプロテクタ7の湾曲部7cから離間して自身の弾性復帰力で最大曲率を維持しながら曲がった状態となる。このため、スライドドア9が自動車車体8に対して移動してもワイヤハーネス10の移動範囲がプロテクタ7やワイヤハーネス10の弾性及び弾性復帰力により規制され、その中間部が常に最大曲率を維持しようとして曲がるため、スライドドア9の移動に伴う自動車車体8及びスライドドア9間でのワイヤハーネス10の巻き込みや噛み込みなどによる不具合を防止することができる。
【0017】
従って、この給電装置1では、スライドドア9がA方向にスライド移動した場合、ワイヤハーネス10がスライドドア9と自動車車体8との相対変位を適応的に吸収しながら弛んだ状態で移動すると共に、このワイヤハーネス10自身が弾性を備えその弾性復帰力で中間部が最大曲率を維持しながら曲がると共にその移動範囲がプロテクタ7で規制されている構造を実現するため、ワイヤハーネス10の中間部に無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることはなく、自動車車体8及びスライドドア9間でのワイヤハーネス10の巻き込み等を防止しつつ安定した給電を維持することが可能となる。
【0018】
また、従来のものに比べ、給電装置1を構成する部品点数を少なくすることができると共にプロテクタ7の大きさをワイヤハーネス10の移動範囲を規制するのに必要十分なだけの大きさにすることができる(即ち、ワイヤハーネス10の中間部をすべて覆うような大きさよりも小さくすることができる)ため、給電装置1の小型化を図ることが可能となる。このため、スライドドア9への給電装置1のプロテクタ7の取付重量を低減すると共にプロテクタ7の取付面積を小さくすることができる。
【0019】
なお、ワイヤハーネス10としては、図6に示すように、複数の電線13の外周を保護部材15で覆わずにそのままハーネスガイド部材14で覆った構造からなるものや、図7に示すように、ハーネスガイド部材14の外周を保護部材15で覆った構造からなるものを用いても良い。
【0020】
また、以上の実施例では、プロテクタ7をその主面がスライドドア9と平行になるように取り付けたが、プロテクタ7を、その主面が水平となるようにスライドドア9に取り付けるようにしても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、ワイヤハーネスが複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材のハーネスガイド部材で覆った構造からなると共に、プロテクタがワイヤハーネスの移動部材側への固定端から所定範囲を移動部材のスライド移動方向から固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有する構造からなる。このため、例えばワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態ではワイヤハーネスが湾曲部に沿って自身の弾性で曲がった状態となり、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態ではワイヤハーネスが湾曲部から離間して自身の弾性復帰力によって最大曲率を維持しながら曲がった状態となる。従って、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制されると共にワイヤハーネスの中間部が湾曲部から離間しても常に安定した弛み形状を保とうとする。このため、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することが可能となる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が自身の弾性と弾性復帰力とプロテクタとにより規制され、ワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がった状態を保とうとするため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
【0022】
また、本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネス自身に弾性を持たせ、その弾性復帰力によりワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がろうとするため、従来のようなワイヤハーネスの中間部をガイドレールのところまで覆って保護する大きさのプロテクタは不要となる。このため、ワイヤハーネスの動きを規制して直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、如いては給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図である。
【図2】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【図3】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【図4】同給電装置に用いられるワイヤハーネスの断面図である。
【図5】同ワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
【図6】他のワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
【図7】更に他のワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
【符号の説明】1…給電装置、2〜5…コネクタ、7…プロテクタ、8…自動車車体、9…スライドドア、10…ワイヤハーネス、11…絶縁被覆、12…芯線、13…電線、14…ハーネスガイド部材、15…保護部材。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車のスライドドアに適用されスライドドアに搭載された各種電装部品の補機に電力を供給する給電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車のスライドドアには、パワーウィンドウ装置などの各種電装部品である補機が多数搭載されており、このスライドドアを搭載した自動車においては、自動車車体側からスライドドア側へ電力を供給するための給電装置が必須な構造となっている。このような給電装置は、通常、スライドドアと車体との間に掛け渡されたワイヤハーネスを備えて構成されている。この給電装置に用いられるワイヤハーネスは、スライドドアの移動量に十分対応し得る長さとスライドドアの車体に対する変位量に対応し得る柔軟性とを兼ね備え且つスライドドアの開閉操作に対する耐久性も併せ持つように構成されている。
【0003】
しかし、このようにワイヤハーネスを構成し、単純にスライドドアと車体との間にワイヤハーネスを配索しただけでは、スライドドアの全閉時にワイヤハーネスの余長部分をスライドドアと車体との間に挟み込んで断線を起こしたり、全開時にワイヤハーネスを引っ張って断線を起こしたりする不具合が発生する場合がある。そこで、このような問題を解消するために、スライドドアや車体とワイヤハーネスとの干渉を極力防止するようにしたスライドドア用給電装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスライドドア用給電装置では、スライドドアにガイドレールを設け、このガイドレールにワイヤハーネスを固定したスライダを摺動自在に係合させ、このスライダを連結部材により車体に連結することで、スライドドアの開閉操作に関係なくスライダを一定位置に留めてワイヤハーネスのスライドドア等との干渉を少なくした構造を実現している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−127845号公報(第3−6頁、第1−3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のスライドドア用給電装置では、スライドドア用給電装置を構成するガイドレール、スライダ及び連結部材などの部品が必要となるため、部品点数が多くなるという問題がある。また、ワイヤハーネスの湾曲部を収容するプロテクタが、ガイドレールのところまで延びている必要があるため、プロテクタが大型化してスライドドアへの取付重量を低減することが困難であるという問題もある。
【0006】
この発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、給電装置を構成する部品点数を削減すると共に小型化を図ることができる給電装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る給電装置は、固定部材とこの固定部材に対してスライド移動可能な移動部材との間を電気的に接続し両部材間に電力を供給する給電装置であって、一端が前記固定部材に固定され他端が前記移動部材に固定され且つこれらの中間部が弛んだ状態で配索されるワイヤハーネスと、このワイヤハーネスの前記移動部材側への固定端から所定範囲を前記移動部材のスライド移動方向から前記固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有するプロテクタとを備え、前記ワイヤハーネスは、複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材からなるハーネスガイド部材で覆った構造からなることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ワイヤハーネスが複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材のハーネスガイド部材で覆った構造からなると共に、プロテクタがワイヤハーネスの移動部材側への固定端から所定範囲を移動部材のスライド移動方向から固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有する構造からなる。このため、例えばワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態ではワイヤハーネスが湾曲部に沿って自身の弾性で曲がった状態となり、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態ではワイヤハーネスが湾曲部から離間して自身の弾性復帰力によって最大曲率を維持しながら曲がった状態となる。従って、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制されると共にワイヤハーネスの中間部が湾曲部から離間しても常に安定した弛み形状を保とうとする。このため、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することが可能となる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が自身の弾性と弾性復帰力とプロテクタとにより規制され、ワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がった状態を保とうとするため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネス自身に弾性を持たせ、その弾性復帰力によりワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がろうとするため、従来のようなワイヤハーネスの中間部をガイドレールのところまで覆って保護する大きさのプロテクタは不要となる。このため、ワイヤハーネスの動きを規制して直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、如いては給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【0009】
なお、ワイヤハーネスは、例えば複数の電線の外周及びハーネスガイド部材の外周の少なくとも一方が更に保護部材により覆われた構造からなるものでも良い。このようにすれば、ワイヤハーネスの弾性及び電線保護性能を更に高めることができる。
【0010】
また、ワイヤハーネスの保護部材は、例えばコルゲート材からなるものである。
【0011】
なお、例えば固定部材は自動車車体であり、移動部材は自動車車体に取り付けられたスライドドアである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、この発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図、図2及び図3は、この給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図、図4は、この給電装置に用いられるワイヤハーネスの断面図、図5は、このワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
図1に示すように、給電装置1は、固定部材としての自動車車体8と、この自動車車体8に対して図中矢印A方向(以下、「A方向」と呼ぶ。)にスライド移動可能な移動部材としてのスライドドア9との間を電気的に接続して、両者間に電力を供給する。この給電装置1は、自動車車体8及びスライドドア9の間を電気的に接続するワイヤハーネス10と、このワイヤハーネス10の一部を内部に収容するプロテクタ7とを備えて構成されている。
【0013】
ワイヤハーネス10は、両端部にコネクタ2〜5を備え、一端部がコネクタ2を介して自動車車体8側の配線8´に備えられた車体側コネクタ2´と接続されて固定されると共に、他端部がコネクタ3〜5を介してスライドドア9側のパワーウィンドウ装置等の各補機(図示せず)と接続されて固定され、両端部間の中間部が弛んだ状態で自動車車体8及びスライドドア9の間に配索されている。
【0014】
このワイヤハーネス10は、図4及び図5に示すように、絶縁被覆11に芯線12が覆われた構造の複数の電線13をテープなどの保護部材15で束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材からなるハーネスガイド部材14で覆った構造からなり、例えば所定方向に所定の曲率で折り曲げることができると共に自信の弾性により直線状に戻ろうとする弾性復帰力を備えている。
【0015】
一方、プロテクタ7は、スライドドア9に取り付けられており、ワイヤハーネス10のスライドドア9への固定端から所定範囲をA方向から自動車車体8への固定端に滑らかに向かうように湾曲させた状態で内部に収容して案内するための湾曲部7cを有するプロテクタ本体部7aと、このプロテクタ本体部7aに着脱自在に嵌合される蓋部7bとを備えて構成されている。なお、このプロテクタ7の下部は、ワイヤハーネス10の動きを妨げないように開口状態となっている。
【0016】
このように構成された給電装置1では、例えばワイヤハーネス10のスライドドア9側の端部が自動車車体8側の端部から離れた位置にある状態ではワイヤハーネス10がプロテクタ7の湾曲部7cに沿って自身の弾性で曲がった状態となり、ワイヤハーネス10のスライドドア9側の端部が自動車車体8側の端部に近づくように移動した状態ではワイヤハーネス10がプロテクタ7の湾曲部7cから離間して自身の弾性復帰力で最大曲率を維持しながら曲がった状態となる。このため、スライドドア9が自動車車体8に対して移動してもワイヤハーネス10の移動範囲がプロテクタ7やワイヤハーネス10の弾性及び弾性復帰力により規制され、その中間部が常に最大曲率を維持しようとして曲がるため、スライドドア9の移動に伴う自動車車体8及びスライドドア9間でのワイヤハーネス10の巻き込みや噛み込みなどによる不具合を防止することができる。
【0017】
従って、この給電装置1では、スライドドア9がA方向にスライド移動した場合、ワイヤハーネス10がスライドドア9と自動車車体8との相対変位を適応的に吸収しながら弛んだ状態で移動すると共に、このワイヤハーネス10自身が弾性を備えその弾性復帰力で中間部が最大曲率を維持しながら曲がると共にその移動範囲がプロテクタ7で規制されている構造を実現するため、ワイヤハーネス10の中間部に無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることはなく、自動車車体8及びスライドドア9間でのワイヤハーネス10の巻き込み等を防止しつつ安定した給電を維持することが可能となる。
【0018】
また、従来のものに比べ、給電装置1を構成する部品点数を少なくすることができると共にプロテクタ7の大きさをワイヤハーネス10の移動範囲を規制するのに必要十分なだけの大きさにすることができる(即ち、ワイヤハーネス10の中間部をすべて覆うような大きさよりも小さくすることができる)ため、給電装置1の小型化を図ることが可能となる。このため、スライドドア9への給電装置1のプロテクタ7の取付重量を低減すると共にプロテクタ7の取付面積を小さくすることができる。
【0019】
なお、ワイヤハーネス10としては、図6に示すように、複数の電線13の外周を保護部材15で覆わずにそのままハーネスガイド部材14で覆った構造からなるものや、図7に示すように、ハーネスガイド部材14の外周を保護部材15で覆った構造からなるものを用いても良い。
【0020】
また、以上の実施例では、プロテクタ7をその主面がスライドドア9と平行になるように取り付けたが、プロテクタ7を、その主面が水平となるようにスライドドア9に取り付けるようにしても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、ワイヤハーネスが複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材のハーネスガイド部材で覆った構造からなると共に、プロテクタがワイヤハーネスの移動部材側への固定端から所定範囲を移動部材のスライド移動方向から固定部材側の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有する構造からなる。このため、例えばワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部から離れた位置にある状態ではワイヤハーネスが湾曲部に沿って自身の弾性で曲がった状態となり、ワイヤハーネスの移動部材側の端部が固定部材側の端部に近づくように移動した状態ではワイヤハーネスが湾曲部から離間して自身の弾性復帰力によって最大曲率を維持しながら曲がった状態となる。従って、移動部材が固定部材に対して移動してもワイヤハーネスの移動範囲が規制されると共にワイヤハーネスの中間部が湾曲部から離間しても常に安定した弛み形状を保とうとする。このため、移動部材の移動に伴う両部材間でのワイヤハーネスの巻き込みや噛み込みなどによる不具合を効果的に防止することが可能となる。このように、ワイヤハーネスの移動範囲が自身の弾性と弾性復帰力とプロテクタとにより規制され、ワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がった状態を保とうとするため、移動部材の移動時にワイヤハーネスに対して無理な引っ張りや圧縮などの余計なストレスがかかることは無く、高い耐久性と安定した給電性能を発揮することができる。
【0022】
また、本発明によれば、ガイドレールなどの部品が不要であるため給電装置を構成する部品の部品点数を削減することができる。また、ワイヤハーネス自身に弾性を持たせ、その弾性復帰力によりワイヤハーネスの中間部が最大曲率を維持しながら曲がろうとするため、従来のようなワイヤハーネスの中間部をガイドレールのところまで覆って保護する大きさのプロテクタは不要となる。このため、ワイヤハーネスの動きを規制して直接保護するプロテクタを小型化することが可能となり、如いては給電装置全体の小型化を図ることができる。これにより、給電装置の構成を簡単にしてコストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る給電装置を示す分解斜視図である。
【図2】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【図3】同給電装置の動作を説明するための給電装置の一部断面を示す側面図である。
【図4】同給電装置に用いられるワイヤハーネスの断面図である。
【図5】同ワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
【図6】他のワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
【図7】更に他のワイヤハーネスの一部断面分解斜視図である。
【符号の説明】1…給電装置、2〜5…コネクタ、7…プロテクタ、8…自動車車体、9…スライドドア、10…ワイヤハーネス、11…絶縁被覆、12…芯線、13…電線、14…ハーネスガイド部材、15…保護部材。
Claims (4)
- 固定部材とこの固定部材に対してスライド移動可能な移動部材との間を電気的に接続し両部材間に電力を供給する給電装置であって、
一端が前記固定部材に固定され他端が前記移動部材に固定され且つこれらの中間部が弛んだ状態で配索されるワイヤハーネスと、
このワイヤハーネスの前記移動部材側への固定端から所定範囲を前記移動部材のスライド移動方向から前記固定部材の固定端に滑らかに向かうように案内するための湾曲部を有するプロテクタとを備え、
前記ワイヤハーネスは、
複数の電線を束ね、これらの外周をコイル状に形成された弾性を有する金属部材からなるハーネスガイド部材で覆った構造からなる
ことを特徴とする給電装置。 - 前記ワイヤハーネスは、前記複数の電線の外周及び前記ハーネスガイド部材の外周の少なくとも一方が更に保護部材により覆われた構造からなる
ことを特徴とする請求項1記載の給電装置。 - 前記保護部材は、コルゲート材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の給電装置。
- 前記固定部材は自動車車体であり、前記移動部材は前記自動車車体に取り付けられたスライドドアであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の給電装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003144440A JP2004350406A (ja) | 2003-05-22 | 2003-05-22 | 給電装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004350406A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011151906A (ja) * | 2010-01-20 | 2011-08-04 | Yazaki Corp | ワイヤハーネス及び該ワイヤハーネスを備えたスライド体用の給電装置 |
JP2021023022A (ja) * | 2019-07-26 | 2021-02-18 | 矢崎総業株式会社 | ワイヤハーネス |
WO2022202957A1 (ja) * | 2021-03-25 | 2022-09-29 | 株式会社豊田自動織機 | ワイヤハーネス、及び電動圧縮機 |
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-
2003
- 2003-05-22 JP JP2003144440A patent/JP2004350406A/ja active Pending
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