JP2004356586A - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ発振部CH1とレーザ発振部CH2との間を電気的に分離する分離溝110の内部に、活性層104からの漏出光を吸収する光吸収層112を設ける。これにより、一方の活性層104からの漏出光が、他方の活性層104へ到達することを阻止して、当該他方側のレーザ発振部の安定した出力を確保することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばマルチビーム半導体レーザ装置に関し、更に詳しくは、分離溝を介して隣り合う一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層への漏れ光の入射による悪影響を排除できる半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体レーザ装置は、例えば光ディスク等の光学記録媒体に対する記録再生を行う光学装置、あるいはレーザビームプリンタ等の光源として用いられているが、近年、半導体レーザ装置を用いてより高速に記録再生あるいはプリントを行うことができるようにするために、複数のレーザ発振部をそれぞれ独立に駆動するようにマルチビーム化の要求が高まっている。
【0003】
図10に、従来の2ビーム・ジャンクションアップ・マルチビーム半導体レーザ装置の構成を模式的に示す。図示する半導体レーザ装置は、半導体基板1上に2つのレーザ発振部CH1,CH2を分離溝10を介して並置形成して構成されている。
なお、図10は、レーザ発振部CH1,CH2をその共振器構造の長手方向正面側から見たときの図である。
【0004】
各レーザ発振部CH1,CH2は互いに同一の構成を有し、半導体基板1の上面にはバッファ層2、n型クラッド層3、活性層4、第1のp型クラッド層5、第2のp型クラッド層6、p側電極7が積層形成され、半導体基板1の下面にはn側電極9が形成されている。なお、8は電流ブロック層である。
【0005】
このような構成の半導体レーザ装置は、p側電極7とn側電極9との間に所定の電圧が印加されることにより、各レーザ発振部CH1,CH2の活性層4に電流が注入され、電子−正孔再結合による発光がそれぞれ起こる。レーザ発振部CH1,CH2において発生した光は、活性層4において図10において紙面垂直方向の各端面を往復して増幅され、外部に射出されるようになっている。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献を以下に示す。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−354888号公報
【特許文献2】
特開平6−29618号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように構成される従来の半導体レーザ装置において、各レーザ発振部CH1,CH2の間に形成される分離溝10は、各レーザ発振部CH1,CH2の電気的絶縁を図るためのもので、電流ブロック層8の表面からバッファ層2に至る深さに形成されている。これにより、各レーザ発振部CH1,CH2を各々個別に出力制御できるようにしている。
【0009】
しかしながら、従来の半導体レーザ装置の構成においては、各々のレーザ発振部CH1,CH2の各々の活性層4が分離溝10を介して対向する位置関係にあるので、2つのレーザ発振部CH1,CH2を同時に駆動させたときに、一方のレーザ発振部の活性層4から漏れ出た光Lが他方のレーザ発振部の活性層4へ入射し、当該他方のレーザ発振部の発振動作に悪影響を及ぼすという問題がある。漏出光Lが入射したレーザ発振部においては出力変動が引き起こされ、例えばレーザビームプリンタに適用した場合、「白スジ」と称される色ムラを発生させる場合がある。
【0010】
なお、上記特許文献1には、素子間を分離する分離溝にポリイミド等の平坦化膜を充填した構成が記載されている。また、上記特許文献2には、素子間を分離する分離溝を窒化シリコン膜でコーティングした構成が記載されている。しかしながら、これら平坦化膜及びコーティング膜はそもそも光透過性であるので、上述したような隣接するレーザ発振部からの漏出光の入射を規制することはできない。
【0011】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、分離溝を介して隣り合う一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層への漏出光の入射を規制して出力の安定化を図ることができる半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の半導体レーザ装置は、分離溝の形成領域に、レーザ発振部の活性層からの漏出光を吸収する光吸収層を形成したことを特徴とする。
【0013】
このような構成の半導体レーザ装置は、隣り合うレーザ発振部の間に分離溝を形成する工程と、分離溝の内部に吸光性材料を充填する工程とを経て製造することができる。
【0014】
以上の構成の半導体レーザ装置においては、分離溝の形成領域に形成された光吸収層によって各レーザ発振部の活性層からの漏出光を効率良く吸収し、対向するレーザ発振部の活性層へ上記漏出光を到達できないようにする。これにより、一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層への漏出光の入射を規制して各レーザ発振部の出力の安定化を図ることが可能となる。
【0015】
また、本発明の他の半導体レーザ装置は、分離溝の何れか一方の側面に、一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層へ向かう漏出光を遮る遮光膜を形成したことを特徴とする。
【0016】
このような構成の半導体レーザ装置は、隣り合うレーザ発振部の間に分離溝を形成する工程と、分離溝の何れか一方の側面に遮光膜を形成する工程とを経て製造することができる。
【0017】
以上の構成の半導体レーザ装置においては、分離溝の一方の側面に形成された遮光膜によって一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層への漏出光の入射を防止できる。これにより、各レーザ発振部の出力の安定化を図ることが可能となる。
【0018】
本発明の更に他の半導体レーザ装置は、分離溝の各側面を、一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層への漏出光の入射を制限できる角度のテーパ面としたことを特徴とする。
【0019】
このような構成の半導体レーザ装置は、隣り合うレーザ発振部の間に分離溝を形成する工程と、分離溝の各側面を、一方のレーザ発振部の活性層から他方のレーザ発振部の活性層への漏出光の入射を制限できる角度のテーパ面に形成する工程とを経て製造される。
【0020】
以上の構成の半導体レーザ装置においては、分離溝の側面の傾斜角を調整することにより、漏出光の出射方向を規制でき、対向する活性層への漏出光の入射量を低減することができる。これにより、各レーザ発振部の出力の安定化を図ることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、以下に説明する各実施の形態では、例えばジャンクションアップ型マルチビーム半導体レーザ装置に本発明を適用した例について説明する。また、具体的な数値及び組成を挙げて説明しているが、これに限定されることはない。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による半導体レーザ装置100の構成を示す断面模式図であり、各レーザ発振部CH1,CH2をその共振器構造の長手方向正面側から見た図である。
【0023】
本実施の形態の半導体レーザ装置100は、同一の半導体基板101の上に、分離溝110を介して、2つのレーザ発振部CH1,CH2がその共振器方向(図1において紙面垂直方向、以下同じ。)に垂直な方向(図1において横方向、以下同じ。)へ並置形成された構成を備えている。
【0024】
これらレーザ発振部CH1,CH2は互いに同一の構造を有しており、図において、半導体基板101の上面に対して垂直な方向に、基板101の側からバッファ層102、n型クラッド層103、MQW構造の活性層104、第1のp型クラッド層105、光ガイド層111、第2のp型クラッド層106が順次それぞれ積層されることによって構成されている。
【0025】
バッファ層102は、半導体基板101とn型クラッド層103との間の格子定数の相違に起因するn型クラッド層103の格子ひずみの発生を抑止するために形成されるもので、半導体基板101の格子定数とn型クラッド層103の格子定数との中間の格子定数を有している。
【0026】
本実施の形態では、半導体基板101はn型GaAs、バッファ層102及びn型クラッド層103はn型AlGaAsで構成されている。また、バッファ層102の組成比はアルミニウム(Al)15%(モル%、以下同じ)、ガリウム(Ga)35%、ヒ素(As)50%、n型クラッド層103の組成比はアルミニウム23.5%、ガリウム26.5%、ヒ素50%である。
【0027】
第1のp型クラッド層105及び第2のp型クラッド層106はそれぞれp型AlGaAsで構成されており、その組成比は共にアルミニウム23.5%、ガリウム26.5%、ヒ素50%である。
【0028】
光ガイド層111は、組成比がアルミニウム15%、ガリウム35%、ヒ素50%のp型AlGaAsで構成される。光ガイド層111を第1,第2のp型クラッド層105,106間に介在させることによって、活性層104に閉じ込められた光の強度ピークを、第1のp型クラッド層105と第2のp型クラッド層106とが互いに対向する領域へ集約させることができる。
【0029】
以上のように、n型クラッド層103、活性層104、第1のp型クラッド層105、光ガイド層111及び第2のp型クラッド層106によりレーザ発振部CH1,CH2が構成される。
【0030】
第2のp型クラッド層106の形成幅は、第1のp型クラッド層105の上に積層された電流ブロック層108によって規制されている。電流ブロック層108は、第2のp型クラッド層106の上に形成されたp側電極107と、基板101の下面に形成されたn側電極109との間に電圧が印加された際、第2のp型クラッド層106へ集中的に給電する作用を果たす。
【0031】
なお、電流ブロック層108はn型GaAsで構成されている。また、p側電極107は、第2のp型クラッド層106の上にTi、Pt、Auを順に積層して構成され、n側電極109は、半導体基板101の下面にAuGe、Ni、Auを順に積層して構成されている。
【0032】
分離溝110は、レーザ発振部CH1,CH2の共振器方向全域にわたって形成され、その深さは電流ブロック層108の表面からバッファ層102に至っている。この分離溝110の形成により、各レーザ発振部CH1,CH2が電気的に絶縁され、各レーザ発振部CH1,CH2の同時駆動は勿論、個別の駆動制御が可能となっている。
【0033】
さて、本実施の形態においては、分離溝110の形成領域に、レーザ発振部CH1,CH2の各活性層104からの漏出光を吸収する光吸収層112が形成されている。
【0034】
光吸収層112の構成材料は、分離溝110に向かって射出される各活性層104からの漏出光を吸収できる材料であれば特に限定されず、漏出光の波長に応じて適当な吸光材を選定できる。
【0035】
また、光吸収層112を黒又は黒褐色等の黒系の色(例えば黒褐色等)で構成するようにすれば、全ての波長領域における漏出光の吸収作用を得ることができる。
本実施の形態では、黒色に着色したポリイミドで光吸収層112を構成している。
【0036】
なお、ポリイミド以外には、エポキシ樹脂や感光性レジスト等の他の合成樹脂材料、ガラス、セラミック、金属材料等、黒に着色した材料であれば全て適用可能である。また、金属材料等の導電性材料で光吸収層112を構成する場合には、レーザ発振部CH1,CH2との電気的絶縁を図るために、前もって、分離溝110内に絶縁層を形成する必要がある。
【0037】
光吸収層112は、分離溝110を介して各レーザ発振部CH1,CH2の活性層104が互いに対向する全領域に形成されている。すなわち、光吸収層112は、分離溝110の形成範囲全域にわたって、分離溝110の底部から少なくとも活性層104が埋没する高さ位置以上に形成されている。
【0038】
以上のように構成される本実施の形態の半導体レーザ装置100においては、p側電極107とn側電極109との間に所定の電圧が印加されることにより、各レーザ発振部CH1,CH2の活性層104に電流が注入され、電子−正孔再結合による発光がそれぞれ起こる。レーザ発振部CH1,CH2において発生した光は、活性層4において図1において紙面垂直方向の各端面間を往復して増幅され、外部に射出される。
【0039】
このとき、レーザ発振部CH1,CH2の活性層104から分離溝110の方向に光が漏出する。この漏出光が、対向するレーザ発振部の活性層104へ入り込むと、当該レーザ発振部の出力が変動し、特に、レーザ発振部CH1,CH2の同時駆動においては互いに安定した出力が得られなくなる。
【0040】
そこで、本実施の形態の半導体レーザ装置100においては、分離溝110の内部に、上記漏出光を吸収する光吸収層112が形成されているので、一方の活性層104からの漏出光は光吸収層112で吸収(あるいは減衰)され、対向する他方の活性層104へ到達できなく(あるいは到達しにくく)なる。
【0041】
これにより、レーザ発振部CH1,CH2の同時駆動の際、各レーザ発振部CH1,CH2の安定した動作を確保でき、例えばレーザプリンタに適用した場合に色ムラの発生しないレーザを安定して提供することが可能となる。
【0042】
図2は、光吸収層112の形成工程を説明する工程断面図である。
【0043】
半導体基板101上にレーザ発振部CH1,CH2、分離溝110及びp側電極107を形成した後、スピンコート法により黒系の色に着色した液状のポリイミド樹脂112Aを全面塗布する(図2A)。続いて、形成したポリイミド樹脂層112Aをベーキングして硬化させた後、酸素プラズマを用いた全面エッチング(あるいはアッシング)によって、分離溝110の内部を除く基板表面の全てのポリイミド樹脂層112Aを除去する(図2B,C)。これにより、分離溝110の内部に光吸収層112を形成することができる。
【0044】
その後、基板101の裏面(下面)にn側電極109を形成することによってプロセス終了となる。
【0045】
図3に、n側電極109の形成工程を示す。この工程では、半導体基板101の裏面(下面)をラッピングして、例えば450μm厚から120μm厚にまで半導体基板101を薄厚化する。その後、半導体基板101の裏面全面にレジスト113Aを塗布する(図3D)。次いで、公知のフォトリソ技術を用いてレジスト113Aをパターニングし、レジストパターン113を作製する(図3E)。そして、レジストパターン113Aを含む半導体基板101裏面にAuGe、Ni、Auを蒸着等の公知の真空薄膜形成技術を用いて順に成膜した後、リフトオフ、アロイ化することで、目的とするn側電極109が形成される(図3F)。
【0046】
(第2の実施の形態)
図4〜図6は、本発明の第2の実施の形態を示している。
なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0047】
図4は、本実施の形態の半導体レーザ装置200の構成を示す断面模式図であり、各レーザ発振部CH1,CH2をその共振器構造の長手方向正面側から見た図である。
【0048】
本実施の形態の半導体レーザ装置200においては、隣り合う2つのレーザ発振部CH1,CH2の間を分離する分離溝110の一側面全域に対して、遮光膜201が形成されている。
【0049】
本実施の形態によっても、一方のレーザ発振部の活性層104から他方のレーザ発振部の活性層104への漏出光の入射を遮光膜201によって確実に防止することができるので、上述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0050】
また、分離溝110の一側面にのみ遮光膜201を形成するようにしたので、分離溝110の両側面に遮光膜201を形成する場合に比べて、図4の例ではCH2側の活性層104から漏出した光の反射による戻り量を相対的に少なくすることができる。これにより、漏出光の戻りによるCH2側のレーザ発振部における出力変動を極力少なくして、安定したレーザ発振動作を確保することができる。
【0051】
図示するように、遮光膜201は分離溝110の内壁面に対して絶縁膜202を介して形成されている。遮光膜201は、AlやAu等の金属膜で構成され、絶縁膜202は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等で構成されている。
【0052】
図5及び図6に、遮光膜201の作製プロセスの一例を示す。
【0053】
半導体基板101上にレーザ発振部CH1,CH2、分離溝110及びp側電極107を形成した後、絶縁膜202Aを全面に成膜する(図5A)。その後、形成した絶縁膜202Aの上にレジスト204Aを全面塗布しベーキングする(図5B)。次いで、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて分離溝110上にレジストパターン204を形成し(図5C)、形成したレジストパターン204をマスクとして絶縁膜202Aをエッチング除去する(図5D)。
【0054】
続いて、レジストパターン204を有機溶剤を用いて除去した後(図6E)、形成した絶縁膜202を含む基板全面に再度レジスト205Aを全面塗布し、ベーキングする(図6F)。次いで、分離溝110の底面及び一方の側面(図ではレーザ発振部CH1側の側面)を露出するようにレジストパターン205を形成した後(図6G)、レジストパターン205をマスクとしてAlやAu等でなる遮光膜201を成膜する。そして、レジストパターン205を除去することによって、分離溝101の一側面に遮光膜201が形成された半導体レーザ装置200を製造することができる(図6H)。
【0055】
なお、本実施の形態においては、分離溝110の他方側(レーザ発振部CH2側)の側面にも絶縁膜202を形成しているので、遮光膜201の形成時に当該他方側の側面に成膜金属が付着したとしてもレーザ発振部CH2の電気的接続不良を回避することができる。
【0056】
なおまた、本実施の形態の半導体レーザ装置200においては、遮光膜201によってレーザ発振部CH1,CH2の放熱性の向上をも図ることができる。
すなわち、ジャンクションアップ型の半導体レーザ装置においては、半導体基板101側にヒートシンクが接続される構成であるので高い放熱性が望めなかったところ、本実施の形態によって従来のジャンクションアップ型の半導体レーザよりも優れた放熱性を得ることができる。また、遮光膜201の上に別途、絶縁膜を形成する必要もないので、生産性にも優れている。
【0057】
(第3の実施の形態)
図7〜図9は、本発明の第3の実施の形態を示している。
なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0058】
図7は、本発明の第3の実施の形態による半導体レーザ装置300の構成を示す断面模式図であり、各レーザ発振部CH1,CH2をその共振器構造の長手方向正面側から見た図である。
【0059】
本実施の形態の半導体レーザ装置300においては、隣り合う2つのレーザ発振部CH1,CH2の間を分離する分離溝110の各側面110a,110bを、一方のレーザ発振部の活性層104から他方のレーザ発振部の活性層104への漏出光Lの入射を制限できる角度の傾斜面(テーパ面)としている。
【0060】
活性層104から分離溝110へ射出する漏出光Lの出射角は、出射面となる分離溝110の各側面110a,110bの傾斜角に関係して定まる。そこで、分離溝110の側面110a,110bの傾斜角θを調整することにより、漏出光Lの出射方向を規制でき、対向する活性層104への漏出光の入射量を低減することが可能となる。
【0061】
したがって、本実施の形態によれば、互いに対向関係にある一方のレーザ発振部の活性層104から他方のレーザ発振部の活性層104への漏出光の入射量を規制することができるので、上述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0062】
ここで、分離溝110の底部の幅を7μm、分離溝110の底面から活性層104の上層面までの高さを2.9μm、活性層104の層厚を0.1μm、活性層(AlGaAs)104の屈折率を3.6とした場合を例に挙げると、理論上、分離溝110の側面110a、110bの傾斜角θを約5°に設定すれば、漏出光Lの入射光量を低減できる。
なおまた、分離溝110の各側面110a,110bの傾斜角θは、それぞれ同一である必要はなく、個々に異なっていてもよい。
【0063】
次に、図8及び図9を参照して、本実施の形態の半導体レーザ装置300の製造方法について説明する。
【0064】
基板101上に一対のレーザ発振部CH1,CH2及びp側電極107を形成した後、レジスト301Aを全面塗布しベーキングする(図8A)。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて分離溝110の形成領域が露出するレジストパターン301を形成し(図8B)、RIE(反応性イオンビームエッチング)等により基板表面を加工し、バッファ層102の形成領域に到達する深さの分離溝110を形成する(図8C)。
【0065】
なお、これまでの分離溝110の形成工程は、第1,第2の実施の形態における分離溝の形成工程と共通である。
【0066】
分離溝110の形成後、硫酸系エッチャントを使って分離溝110の側面110a,110bに所定角度の傾斜を設ける(図9D)。最後にレジストパターン301を除去してプロセス完了となる(図9E)。
【0067】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0068】
例えば以上の各実施の形態では、分離溝110の内部に光吸収層112を形成した構成、分離溝110の一側面を遮光膜でコーティングした構成、及び分離溝110の各側面を所定角度に傾斜させた構成をそれぞれ説明したが、側面を傾斜させた分離溝110内に光吸収層を形成したり、又は遮光膜をコーティングする等、各実施の形態を相互に組み合わせ構成することも可能である。
【0069】
また、以上の実施の形態では、2ビーム型のマルチレーザを例に挙げて説明したが、勿論これに限らず、4ビーム型のマルチレーザ等にも本発明は適用可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、分離溝を介して隣り合うレーザ発振部の各活性層間における漏出光による干渉を効果的に防止できるので、同時駆動の際の各レーザ発振部の出力の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による半導体レーザ装置100の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】半導体レーザ装置100の製造工程を説明する工程断面図である。
【図3】半導体レーザ装置100の製造工程を説明する工程断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による半導体レーザ装置200の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】半導体レーザ装置200の製造工程を説明する工程断面図である。
【図6】半導体レーザ装置200の製造工程を説明する工程断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による半導体レーザ装置300の構造を模式的に示す断面図である。
【図8】半導体レーザ装置300の製造工程を説明する工程断面図である。
【図9】半導体レーザ装置300の製造工程を説明する工程断面図である。
【図10】従来の半導体レーザ装置の構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
100,200,300…半導体レーザ装置、101…半導体基板、102…バッファ層、103…n型クラッド層、104…活性層、105…第1のp型クラッド層、106…第2のp型クラッド層、107…p側電極、108…電流ブロック層、109…n側電極、110…分離溝、110a,110b…傾斜面、111…光ガイド層、112…光吸収層、201…遮光膜、CH1,CH2…レーザ発振部、L…漏出光。
Claims (7)
- 同一基板上に、分離溝を介して、複数のレーザ発振部がその共振器方向と垂直な方向に並置形成された半導体レーザ装置において、
前記分離溝の形成領域に、前記レーザ発振部の活性層からの漏出光を吸収する光吸収層を形成した
ことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 前記光吸収層が、黒系色の合成樹脂材料層でなる
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。 - 同一基板上に、分離溝を介して、複数のレーザ発振部がその共振器方向と垂直な方向に並置形成された半導体レーザ装置において、
前記分離溝の何れか一方の側面に、一方の前記レーザ発振部の活性層から他方の前記レーザ発振部の活性層へ向かう漏出光を遮る遮光膜を形成した
ことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 同一基板上に、分離溝を介して、複数のレーザ発振部がその共振器方向と垂直な方向に並置形成された半導体レーザ装置において、
前記分離溝の各側面を、一方の前記レーザ発振部の活性層から他方の前記レーザ発振部の活性層への漏出光の入射を制限できる角度のテーパ面とした
ことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 同一基板上に、複数のレーザ発振部がその共振器方向と垂直な方向に並置形成された半導体レーザ装置の製造方法において、
隣り合う前記レーザ発振部の間に分離溝を形成する工程と、
前記分離溝の内部に吸光性材料を充填する工程とを有する
ことを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 同一基板上に、複数のレーザ発振部がその共振器方向と垂直な方向に並置形成された半導体レーザ装置の製造方法において、
隣り合う前記レーザ発振部の間に分離溝を形成する工程と、
前記分離溝の何れか一方の側面に遮光膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体レーザの製造方法。 - 同一基板上に、複数のレーザ発振部がその共振器方向と垂直な方向に並置形成された半導体レーザ装置の製造方法において、
隣り合う前記レーザ発振部の間に分離溝を形成する工程と、
前記分離溝の各側面を、一方の前記レーザ発振部の活性層から他方の前記レーザ発振部の活性層への漏出光の入射を制限できる角度のテーパ面に形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
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