JP2004344505A - 吸入式投薬器 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸入口から吸入される空気の流量が多い場合にのみ薬粉を流出させることにより、薬粉の投薬効率を向上する。
【解決手段】カプセル収容室8の下流側には、このカプセル収容室8よりも大きな容積をもった薬粉受室16を設ける構成とする。従って、吸入口21から空気を吸入したときに、空気流の流量が少なく勢いが弱い場合には、薬粉を薬粉受室16内にためて吸入途中での落下を防止する。また、所定時間が経過し、空気流の流量が多くなった場合には、この空気流によりカプセルK内の薬粉、薬粉受室16内にたまった薬粉を吸入口21から流出させる。これにより、空気流量が多く投薬効率が良好なときにだけ、薬粉を吸入することができる。また、薬粉受室16の下流側に薬粉拡散室18を設けることにより、薬粉を微粒化して、投薬効率を向上することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】カプセル収容室8の下流側には、このカプセル収容室8よりも大きな容積をもった薬粉受室16を設ける構成とする。従って、吸入口21から空気を吸入したときに、空気流の流量が少なく勢いが弱い場合には、薬粉を薬粉受室16内にためて吸入途中での落下を防止する。また、所定時間が経過し、空気流の流量が多くなった場合には、この空気流によりカプセルK内の薬粉、薬粉受室16内にたまった薬粉を吸入口21から流出させる。これにより、空気流量が多く投薬効率が良好なときにだけ、薬粉を吸入することができる。また、薬粉受室16の下流側に薬粉拡散室18を設けることにより、薬粉を微粒化して、投薬効率を向上することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、患者の息の吸込みによって粉体状の薬品(薬粉)を肺等に投与するのに用いて好適な吸入式投薬器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、喘息患者等の肺等に薬品を投与する方法としては、専用の投薬器を用い、薬粉収容室に充填された粉体状の薬品(以下、薬粉という)を吸入する方法が知られている。
【0003】
また、吸入式投薬器は、軸方向の一側が空気取入れ口となると共に他側が空気と一緒に薬粉を吸入する吸入口となり、途中に薬粉収容室が設けられた投薬器本体と、該投薬器本体の空気取入れ口から取入れた空気と一緒に薬粉収容室内の薬粉を吸入口側に供給する通気路とにより大略構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−221280号公報
【0005】
そして、従来技術による吸入式投薬器により薬粉を吸入する場合には、薬粉収容室に薬粉を充填し、投薬器本体の他側を口にくわえる。この状態で吸入口から息を吸込むことにより、空気取入れ口から通気路に空気を取入れ、該通気路を流通する空気流によって薬粉収容室内の薬粉を吸入口内に放出し、該吸入口から肺内に吸入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸入式投薬器を用いて薬粉を吸入する場合、患者は、息を大きく吸込むようにして吸入口から薬粉を吸入する。しかし、患者のなかには、息の吸込みを開始した直後は、吸引力の弱さから空気流量が少なくなる場合がある。その後、息の吸込みを継続することにより、徐々に流量が増大し空気流が安定する傾向にある。このような吸入パターンの場合、吸入開始直後には、流量が少なく勢いの弱い空気流が通気路に流通することになる。
【0007】
このため、吸入開始直後には、薬粉収容室内の薬粉は勢いが弱い状態で吸入口側に流出するから、該吸入口、口腔内等に落下して付着してしまう。これにより、従来技術による吸入式投薬器は、薬粉収容室内に充填された規定量の薬粉を肺等に投与することができなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、空気流量が多い場合にのみ吸入口から薬粉を吸入できるようにし、薬粉収容室内の薬粉を効率よく投与することができるようにした吸入式投薬器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、粉体状の薬品を収容する薬粉収容室と、該薬粉収容室の下流側に該薬粉収容室よりも大きな容積をもって設けられた薬粉受室と、該薬粉受室の下流側に設けられ当該薬粉受室から流出した薬粉を拡散する薬粉拡散室と、該薬粉拡散室から拡散されて流出する薬粉を吸入する吸入口とにより構成している。
【0010】
このように構成したことにより、吸入口から空気を吸入すると、吸入開始直後には、流量が少なく勢いの弱い空気流が薬粉収容室に流入し、この勢いの弱い空気流と一緒に薬粉が流出する。このときに、勢いの弱い薬粉は薬粉収容室よりも大きな薬粉受室に流入したときに、該薬粉受室内に落下させることができる。従って、吸入口、口腔等に落下して付着してしまう薬粉は、薬粉受室内にためておくことができ、薬粉拡散室、吸入口側に流出するのを防止することができる。
【0011】
そして、空気の吸入を開始して所定時間経過し、流量が多く勢いの強い空気流が吸入口から吸入されるようになると、この強い空気流により薬粉収容室から流出する薬粉、薬粉受室内にたまった薬粉を薬粉拡散室側に流出させることができる。この結果、空気流量が多く勢いが強いときにだけ薬粉を微粒化した状態で吸入口から吸入することができ、薬粉を例えば患者の肺の気管支まで効率よく投与することができる。
【0012】
また、請求項2の発明は、薬粉受室は、吸入口から吸入する空気流量が20リットル/分以下では薬粉収容室から流出した薬粉を一時的にためる機能を有し、吸入口から吸入する空気流量が30リットル/分以上では薬粉収容室から流出した薬粉を拡散して微粒化する機能を有している。
【0013】
これにより、薬粉受室は、吸入口から吸入する空気流量が20リットル/分以下となる場合、例えば吸入を開始した直後、吸入途中で息継ぎをしたときには、薬粉をためて薬粉が吸入されないようにすることができる。一方、薬粉受室は、吸入口から吸入する空気流量が30リットル/分以上になったときには、薬粉収容室から流出した薬粉を拡散して微粒化することができ、薬粉を効率よく投与することができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、薬粉受室と薬粉拡散室とを連通する連通路は、薬粉拡散室の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室に開口する構成としている。これにより、連通路は、薬粉拡散室に流入する空気流を該薬粉拡散室の内面に沿って旋回流とすることができ、薬粉拡散室で薬粉をより一層微粒化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る吸入式投薬器について、気管支喘息の患者に薬粉を投与する場合を例に挙げ、図1ないし図8に従って詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は吸入式投薬器の基部をなす投薬器本体で、該投薬器本体1は、後述するボディ2、カプセルホルダ5、カプセル収容室8等により大略構成されている。
【0017】
2は投薬器本体1の一側に位置して該投薬器本体1の外形をなすボディで、該ボディ2は、略円筒状に形成された筒状体2Aと、該筒状体2Aの外周から図1中の上向きに突設され、後述する穴あけ具14の支持部14Aを可動に支持する長円筒状の穴あけ具ガイド2Bとから構成されている。また、筒状体2Aの一側には後述するキャップ7が螺着されるねじ部2Cが刻設され、他側には後述のアダプタ収容筒20が螺着される他のねじ部2Dが刻設されている。さらに、筒状体2Aの内周側には後述のホルダ収容部3が形成されている。
【0018】
3はボディ2の筒状体2A内周側に形成されたホルダ収容部で、該ホルダ収容部3は、後述するカプセルホルダ5のカプセル保持部6を出入れ可能に収容するものである。また、ホルダ収容部3は、図3に示す如く、筒状体2Aの中央下側寄りに位置し、該筒状体2Aの軸方向に伸長して一側に開口した四角形状の有底穴として形成されている。
【0019】
4はホルダ収容部3内の上面側に形成されたカプセル嵌合溝で、該カプセル嵌合溝4は、後述するカプセル保持部6のカプセル嵌合凹部6Bと共にカプセル収容室8を形成している。また、カプセル嵌合溝4は、カプセルKを上側から保持するもので、該カプセルKの外径寸法に応じた断面半円弧状の溝として形成されている。
【0020】
5はボディ2に対して着脱可能に設けられたカプセルホルダで、該カプセルホルダ5は、前述したボディ2等と共に投薬器本体1を構成している。また、カプセルホルダ5は、後述のカプセル保持部6とキャップ7とから大略構成されている。
【0021】
6はカプセルホルダ5の本体をなし、ホルダ収容部3に出入れ可能に設けられたカプセル保持部を示している。具体的に、カプセル保持部6は、図4に示す如く、ホルダ収容部3内で軸方向に延びて形成された引出し部6Aと、該引出し部6Aの上面側に軸方向に長尺な断面半円弧状の凹溝として形成さたカプセル嵌合凹部6Bと、前記引出し部6Aの一端部から軸方向に突出し、キャップ7の内筒部7Aに回転可能かつ抜止め状態で係合する係合軸部6Cとにより大略構成されている。
【0022】
また、7はカプセル保持部6の一端側に取付けられたキャップで、該キャップ7は、図2、図4に示す如く、中央部に位置してカプセル保持部6の係合軸部6Cが挿着される小径な内筒部7Aと、外周側に位置して大径な外筒部7Bと、該外筒部7Bを内筒部7Aに連結するために放射状に形成された複数本、例えば4本の脚部7Cと、該各脚部7C間にそれぞれ形成された空気取入れ口7Dと、前記外筒部7Bの内周に刻設され、ボディ2のねじ部2Cに螺着されるねじ部7Eとにより大略構成されている。ここで、空気取入れ口7Dは、通気路の一部を構成するもので、外部の空気を取入れ、この空気を流入側通路11に向け供給するものである。
【0023】
8はカプセル保持部6をホルダ収容部3内に押込んだときに、カプセル嵌合溝4とカプセル嵌合凹部6Bと間に形成される薬粉収容室としてのカプセル収容室(図1、図6、図7中に図示)で、該カプセル収容室8は、内部に粉体状の薬品(薬粉)が充填されたカプセルKを収容して保持するものである。
【0024】
このように形成されたカプセルホルダ5は、キャップ7を把持して例えば反時計回りに回転させることにより該キャップ7を緩める。このときに、キャップ7とカプセル保持部6とは回転可能に係合しているから、キャップ7だけを回転させることができる。そして、キャップ7を緩めたら、カプセル保持部6を引出すことにより、該カプセル保持部6を引出し位置に配置することができる。この引出し位置では、引出し部6Aに形成されたカプセル嵌合凹部6Bに薬粉が充填されたカプセルKを嵌合させたり、カプセル嵌合凹部6Bから使用済みのカプセルKを取出したりすることができる。
【0025】
また、カプセル嵌合凹部6BにカプセルKを嵌合させた状態で、引出し部6Aをホルダ収容部3内に押込み、キャップ7を時計回りに回転させて締め込むことにより、図6、図7に示す如く、カプセル保持部6を押込み位置に配置し、カプセルKをカプセル収容室8で保持することができる。
【0026】
次に、図1において、9はカプセル収容室8の一側寄りに位置して設けられた流入側のピン挿入穴で、該ピン挿入穴9は、カプセル収容室8を径方向に貫通するようにボディ2に形成されたボディ側挿入穴9Aと、該ボディ側挿入穴9Aに対応してカプセルホルダ5に形成されたホルダ側挿入穴9Bとにより構成されている。
【0027】
また、10はカプセル収容室8の他側寄りに位置して設けられた流出側のピン挿入穴で、該ピン挿入穴10は、流入側のピン挿入穴9と平行にカプセル収容室8を貫通したボディ側挿入穴10Aとホルダ側挿入穴10Bとにより構成されている。
【0028】
11はボディ2に設けられ、カプセル収容室8内のカプセルKに空気を流入する2本の流入側通路で、該各流入側通路11は、一端がキャップ7の空気取入れ口7Dを介して大気側に連通し、他端が流入側のピン挿入穴9に連通している。
【0029】
12はボディ2に設けられ、カプセル収容室8内のカプセルKから薬粉を含んだ空気を後述の薬粉受室16側に流出する2本の流出側通路で、該流出側通路12は、一端が流出側のピン挿入穴10に連通し、他端が薬粉受室16に連通している。
【0030】
そして、前述したピン挿入穴9と流入側通路11とは、カプセル保持部6の空気取入れ口7Dから取入れた外気をカプセル収容室8(カプセルK)に供給する流入側の通気路を構成し、ピン挿入穴10と流出側通路12とは、カプセルKに充填された薬粉を空気と一緒に吸入口21側となる薬粉受室16に流出する流出側の通気路を構成している。
【0031】
13は各通路11,12と90度ずらした位置でボディ2の筒状体2Aを軸方向に貫通するように穿設された2本の補助通気路(図2、図3中に図示)で、該各補助通気路13は、息を吸込むときに流通する空気の流量を増やすことで、このときの息苦しさを解消している。
【0032】
一方、14はボディ2に設けられた穴あけ具で、該穴あけ具14は、カプセル収容室8に収容されたカプセルKに穴あけを施すものである。また、穴あけ具14は、図1に示す如く、ボディ2の穴あけ具ガイド2B内に可動に支持された支持部14Aと、該支持部14Aからピン挿入穴9,10に向けて延びたピン14B,14Bと、前記支持部14Aと筒状体2Aとの間に設けられた戻しばね14Cとにより大略構成されている。
【0033】
そして、戻しばね14Cは、各ピン14BがカプセルKから離間する方向に支持部14Aを付勢し、カプセルKの穴あけ後に支持部14A、各ピン14Bを初期位置まで戻すものである。また、各ピン14Bの先端部は傾斜面によって鋭利な針先形状をなしている。
【0034】
このように穴あけ具14は、支持部14Aを戻しばね14Cに抗して穴あけ具ガイド2B内に押込み、ピン14B,14Bをピン挿入穴9,10に挿入することにより、図6、図7に示す如く、各ピン14Bの先端をカプセル収容室8内のカプセルKに突き刺し、該カプセルKに径方向に貫通する4個の穴Hをあけるものである。
【0035】
次に、15はボディ2の他端部に嵌合して設けられた第1のアダプタで、該アダプタ15は、軸方向に延びる筒状体として形成され、後述する第2のアダプタ17と一緒にアダプタ収容筒20によりボディ2側に固定されている。また、アダプタ15は、一側に向けて開口し、他側が底部15Aとなる有底筒状に形成され、開口側の端面がボディ2の筒状体2Aに衝合して配設されている。これにより、第1のアダプタ15は、ボディ2との間に後述の薬粉受室16を画成している。
【0036】
16はカプセル収容室8の下流側に位置して第1のアダプタ15とボディ2との間に画成された薬粉受室で、該薬粉受室16は、第1のアダプタ15内に軸方向に延びる中空の空間として形成されている。そして、薬粉受室16は、直径寸法D、長さ寸法Lをもって形成され、その容積はカプセル収容室8よりも大きく設定されている。
【0037】
ここで、薬粉受室16は、吸入口21から息を吸込み、このときの空気流量が20リットル/分以下のときにはカプセル収容室8のカプセルKから流出した薬粉を一時的にためる機能を有している。一方、吸入口21から吸入する空気流量が30リットル/分以上のときにはカプセルKから流出した薬粉を拡散し、微粒化して流出させる機能を有している。
【0038】
さて、患者が吸入口21から息を吸込んだときの空気流量は、このときの息の吸込状態により種々の吸込パターンをもって変化する。具体的には、ゆっくりと大きく息を吸込む吸込パターン、複数回に分けて息継ぎをしながら息を吸込む吸込パターン等がある。これらの吸込パターンのうち、例えば息継ぎをして息を吸込む吸込パターンでは、図8に示すように空気流量が変化する。
【0039】
図8について具体的に説明すると、患者が吸入口21から息を吸込むとき、息の吸込みを開始した直後では、空気流量が20リットル/分以下となり、このときの空気流は弱いものとなる。その後、息の吸込みを継続すると、流量が徐々に増大し、空気流量が30リットル/分を超えて空気流が安定する。
【0040】
この空気流量の変化に基づいて、吸入口21から吸入する空気流量が20リットル/分以下となる場合、例えば吸入を開始した直後、吸入途中で息継ぎをしたときに、勢いの弱い空気流に混入した薬粉がアダプタ収容筒20側に流出して吸入口21、舌、口腔内面、咽喉等に落下して付着しないように、薬粉受室16は、図6に示すように、このときの薬粉を一時的にためて吸入口21側に流出するのを防止する。
【0041】
一方、吸入口21から吸入する空気流量が30リットル/分以上になったときには、勢いの強い空気流に混入した薬粉は気管支等の患部まで到達させることができる。従って、薬粉受室16は、図7に示すように、カプセルKから流出した薬粉と一緒にためておいた薬粉を吸入口21側に流出させる。しかも、薬粉受室16は、内部で乱流を形成することにより、薬粉を拡散して微粒化することもできる。
【0042】
17は第1のアダプタ15の他側に衝合して設けられた第2のアダプタで、該アダプタ17は、第1のアダプタ15と一緒にアダプタ収容筒20によりボディ2側に固定されている。また、第2のアダプタ17は、軸方向に延びる略円柱体として形成され、その軸中心には後述の薬粉拡散室18が形成されている。
【0043】
18は薬粉受室16の下流側に位置して第2のアダプタ17に設けられた薬粉拡散室で、該薬粉拡散室18は、第2のアダプタ17の軸中心に位置して軸方向に延びる小径な円柱状の空間として形成されている。そして、薬粉拡散室18は、後述の連通路19から空気流に混入して薬粉が供給されると、この薬粉を旋回流(乱流)により拡散することにより、微粒化した薬粉を吸入口21に供給するものである。
【0044】
また、19は第1のアダプタ15と第2のアダプタ17とに亘って設けられた複数本、例えば4本の連通路で、該各連通路19は、薬粉受室16と薬粉拡散室18とを連通するものである。また、各連通路19は、図1、図5に示す如く、第1のアダプタ15の底部15Aに設けられ、薬粉受室16の外周側に連通して軸方向に延びた軸方向通路19Aと、該軸方向通路19Aと薬粉拡散室18とを連通するように放射状に延びた径方向通路19Bとにより構成されている。
【0045】
ここで、各連通路19の径方向通路19Bは、薬粉拡散室18の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室18に開口している。これにより、連通路19は、薬粉拡散室18に流入する空気流を該薬粉拡散室18の内面に沿って旋回流とすることができ、薬粉拡散室18で薬粉をより一層微粒化する機能を有している。
【0046】
次に、20は筒状体2Aの他側に取付けられたアダプタ収容筒で、該アダプタ収容筒20は、一側が開口する有蓋円筒状に形成されている。また、アダプタ収容筒20の一端部内面には、ボディ2のねじ部2Dに螺着するねじ部20Aが刻設されている。さらに、アダプタ収容筒20の他側は、患者が口にくわえるマウスピース20Bとなり、該マウスピース20Bはくわえ易いように他側に向けて漸次縮径している。そして、アダプタ収容筒20は、その内部に各アダプタ15,17を収容し、この状態でねじ部20Aをボディ2のねじ部2Dに螺着することにより、該各アダプタ15,17をボディ2側に固定することができる。
【0047】
21はアダプタ収容筒20の他側に設けられた吸入口で、該吸入口21は、前述した薬粉受室16、薬粉拡散室18とほぼ同じ軸線上となるマウスピース20Bの中心部に配置されている。また、吸入口21は、薬粉拡散室18で拡散して微粒化された薬粉を流出(放出)するもので、該薬粉拡散室18から他側に向け漸次拡開して形成されている。
【0048】
本実施の形態による吸入式投薬器は上述の如き構成を有するもので、次に、患者が薬粉を吸入するときの動作について説明する。
【0049】
まず、カプセルホルダ5をホルダ収容部3から引出し、カプセル保持部6のカプセル嵌合凹部6BにカプセルKを嵌合させる。この状態で、カプセル保持部6をホルダ収容部3内に押込み、カプセル収容室8にカプセルKをセットする。次に、穴あけ具14の支持部14Aを穴あけ具ガイド2Bに沿って押込むことにより、各ピン14BによりカプセルKに4個の穴Hを形成する。
【0050】
このようにカプセル収容室8内のカプセルKに各穴Hをあけたら、患者はアダプタ収容筒20のマウスピース20Bを口にくわえて息を吸込む。このときに、吸入を開始した直後には、図8に示すように流量が20リットル/分以下となる場合がある。この時、薬粉受室16は、図6に示す如く、勢いの弱い空気流に混入した薬粉が吸入口21、舌、口腔内面、咽喉等に落下して付着しないように、薬粉を一時的にためてアダプタ収容筒20側に流出するのを防止する。
【0051】
そして、息の吸込みを継続すると、空気流量が徐々に増大し、30リットル/分を超えて空気流が安定する。このときには、勢いの強い空気流に混入した薬粉は患部まで到達させることができるから、薬粉受室16は、図7に示す如く、カプセルKから流出した薬粉と一緒にためておいた薬粉を連通路19を介して薬粉拡散室18、吸入口21側に流出させる。しかも、空気流の勢いが強い場合には、薬粉受室16は、内部で乱流を形成することができ、薬粉を拡散して微粒化することができる。
【0052】
また、薬粉受室16から連通路19を通って薬粉拡散室18に流入する薬粉は、連通路19によって薬粉拡散室18に形成される旋回流により、再度拡散され、さらに微粒化することができる。これにより、空気流量が多く勢いが強いときにだけ薬粉を微粒化した状態で吸入口21から吸入することができ、薬粉を例えば患者の肺の気管支まで効率よく投与することができる。
【0053】
かくして、本実施の形態によれば、アダプタ収容筒20から空気の吸入を開始した直後のように、例えば空気流量が20リットル/分以下で勢いが弱い場合には、薬粉が吸入途中で落下するのを避けるために、薬粉受室16内に落下させてためることができる。また、吸入開始から所定時間が経過し、例えば空気流量が30リットル/分を越えたときには、カプセルKから流出する薬粉、薬粉受室16内にたまった薬粉を吸入口21から流出させることができる。
【0054】
この結果、空気流量が多く勢いが強いときにだけ薬粉を吸入口21から吸入することができるから、カプセルK内に充填された規定量の薬粉を例えば患者の気管支まで効率よく投与することができる。
【0055】
また、薬粉受室16の下流側には薬粉拡散室18を設け、該薬粉拡散室18では連通路19によって旋回流を形成しているから、薬粉をより一層微粒化することができ、投薬効率を向上することができる。
【0056】
なお、実施の形態では、ボディ2からカプセルホルダ5を出し入れしてカプセルKを着脱する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、特開平11−221280号公報のように、カプセル収容室に対しカプセルを直接的に出し入れする構成としてもよい。
【0057】
また、実施の形態では、各連通路19の径方向通路19Bを薬粉拡散室18の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室18に開口する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば各連通路の径方向通路を互いに対抗するように薬粉拡散室に開口させる構成としてもよい。この場合には、各連通路の径方向通路から流出する空気流を互いに衝突させて乱流を形成し、この乱流により薬粉を拡散することができる。
【0058】
また、実施の形態では、カプセル収容室8内に薬粉が充填されたカプセルKを収容する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、投薬器本体に薬粉収容室を設け、該薬粉収容室に薬粉を直接的に充填し、この薬粉を吸入する構成としてもよい。
【0059】
さらに、実施の形態では、各アダプタ15,17をボディ2側に固定するアダプタ収容筒20の他端側にマウスピース20Bを一体的に設け、該マウスピース20Bに吸入口21を設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアダプタ収容筒20と吸入口21が設けられたマウスピース20Bとを別体に設け、接着、溶着等の固着手段を用いて固着する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る吸入式投薬器を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す吸入式投薬器の右側面図である。
【図3】カプセルホルダを取外した投薬器本体の右側面図である。
【図4】カプセルホルダを拡大して示す拡大縦断面図である。
【図5】連通路等を図1中の矢示V−V方向から拡大して示す横断面図である。
【図6】20リットル/分以下の空気流量をもって吸入口から空気を吸入している状態の吸入式投薬器を示す縦断面図である。
【図7】30リットル/分以上の空気流量をもって吸入口から空気と薬粉を吸入している状態の吸入式投薬器を示す縦断面図である。
【図8】薬粉を吸入したときの空気流量の変化の一例を示す特性線図である。
【符号の説明】
2 ボディ
8 カプセル収容室(薬粉収容室)
16 薬粉受室
18 薬粉拡散室
19 連通路
19B 径方向通路
21 吸入口
K カプセル
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、患者の息の吸込みによって粉体状の薬品(薬粉)を肺等に投与するのに用いて好適な吸入式投薬器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、喘息患者等の肺等に薬品を投与する方法としては、専用の投薬器を用い、薬粉収容室に充填された粉体状の薬品(以下、薬粉という)を吸入する方法が知られている。
【0003】
また、吸入式投薬器は、軸方向の一側が空気取入れ口となると共に他側が空気と一緒に薬粉を吸入する吸入口となり、途中に薬粉収容室が設けられた投薬器本体と、該投薬器本体の空気取入れ口から取入れた空気と一緒に薬粉収容室内の薬粉を吸入口側に供給する通気路とにより大略構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−221280号公報
【0005】
そして、従来技術による吸入式投薬器により薬粉を吸入する場合には、薬粉収容室に薬粉を充填し、投薬器本体の他側を口にくわえる。この状態で吸入口から息を吸込むことにより、空気取入れ口から通気路に空気を取入れ、該通気路を流通する空気流によって薬粉収容室内の薬粉を吸入口内に放出し、該吸入口から肺内に吸入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸入式投薬器を用いて薬粉を吸入する場合、患者は、息を大きく吸込むようにして吸入口から薬粉を吸入する。しかし、患者のなかには、息の吸込みを開始した直後は、吸引力の弱さから空気流量が少なくなる場合がある。その後、息の吸込みを継続することにより、徐々に流量が増大し空気流が安定する傾向にある。このような吸入パターンの場合、吸入開始直後には、流量が少なく勢いの弱い空気流が通気路に流通することになる。
【0007】
このため、吸入開始直後には、薬粉収容室内の薬粉は勢いが弱い状態で吸入口側に流出するから、該吸入口、口腔内等に落下して付着してしまう。これにより、従来技術による吸入式投薬器は、薬粉収容室内に充填された規定量の薬粉を肺等に投与することができなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、空気流量が多い場合にのみ吸入口から薬粉を吸入できるようにし、薬粉収容室内の薬粉を効率よく投与することができるようにした吸入式投薬器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、粉体状の薬品を収容する薬粉収容室と、該薬粉収容室の下流側に該薬粉収容室よりも大きな容積をもって設けられた薬粉受室と、該薬粉受室の下流側に設けられ当該薬粉受室から流出した薬粉を拡散する薬粉拡散室と、該薬粉拡散室から拡散されて流出する薬粉を吸入する吸入口とにより構成している。
【0010】
このように構成したことにより、吸入口から空気を吸入すると、吸入開始直後には、流量が少なく勢いの弱い空気流が薬粉収容室に流入し、この勢いの弱い空気流と一緒に薬粉が流出する。このときに、勢いの弱い薬粉は薬粉収容室よりも大きな薬粉受室に流入したときに、該薬粉受室内に落下させることができる。従って、吸入口、口腔等に落下して付着してしまう薬粉は、薬粉受室内にためておくことができ、薬粉拡散室、吸入口側に流出するのを防止することができる。
【0011】
そして、空気の吸入を開始して所定時間経過し、流量が多く勢いの強い空気流が吸入口から吸入されるようになると、この強い空気流により薬粉収容室から流出する薬粉、薬粉受室内にたまった薬粉を薬粉拡散室側に流出させることができる。この結果、空気流量が多く勢いが強いときにだけ薬粉を微粒化した状態で吸入口から吸入することができ、薬粉を例えば患者の肺の気管支まで効率よく投与することができる。
【0012】
また、請求項2の発明は、薬粉受室は、吸入口から吸入する空気流量が20リットル/分以下では薬粉収容室から流出した薬粉を一時的にためる機能を有し、吸入口から吸入する空気流量が30リットル/分以上では薬粉収容室から流出した薬粉を拡散して微粒化する機能を有している。
【0013】
これにより、薬粉受室は、吸入口から吸入する空気流量が20リットル/分以下となる場合、例えば吸入を開始した直後、吸入途中で息継ぎをしたときには、薬粉をためて薬粉が吸入されないようにすることができる。一方、薬粉受室は、吸入口から吸入する空気流量が30リットル/分以上になったときには、薬粉収容室から流出した薬粉を拡散して微粒化することができ、薬粉を効率よく投与することができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、薬粉受室と薬粉拡散室とを連通する連通路は、薬粉拡散室の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室に開口する構成としている。これにより、連通路は、薬粉拡散室に流入する空気流を該薬粉拡散室の内面に沿って旋回流とすることができ、薬粉拡散室で薬粉をより一層微粒化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る吸入式投薬器について、気管支喘息の患者に薬粉を投与する場合を例に挙げ、図1ないし図8に従って詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は吸入式投薬器の基部をなす投薬器本体で、該投薬器本体1は、後述するボディ2、カプセルホルダ5、カプセル収容室8等により大略構成されている。
【0017】
2は投薬器本体1の一側に位置して該投薬器本体1の外形をなすボディで、該ボディ2は、略円筒状に形成された筒状体2Aと、該筒状体2Aの外周から図1中の上向きに突設され、後述する穴あけ具14の支持部14Aを可動に支持する長円筒状の穴あけ具ガイド2Bとから構成されている。また、筒状体2Aの一側には後述するキャップ7が螺着されるねじ部2Cが刻設され、他側には後述のアダプタ収容筒20が螺着される他のねじ部2Dが刻設されている。さらに、筒状体2Aの内周側には後述のホルダ収容部3が形成されている。
【0018】
3はボディ2の筒状体2A内周側に形成されたホルダ収容部で、該ホルダ収容部3は、後述するカプセルホルダ5のカプセル保持部6を出入れ可能に収容するものである。また、ホルダ収容部3は、図3に示す如く、筒状体2Aの中央下側寄りに位置し、該筒状体2Aの軸方向に伸長して一側に開口した四角形状の有底穴として形成されている。
【0019】
4はホルダ収容部3内の上面側に形成されたカプセル嵌合溝で、該カプセル嵌合溝4は、後述するカプセル保持部6のカプセル嵌合凹部6Bと共にカプセル収容室8を形成している。また、カプセル嵌合溝4は、カプセルKを上側から保持するもので、該カプセルKの外径寸法に応じた断面半円弧状の溝として形成されている。
【0020】
5はボディ2に対して着脱可能に設けられたカプセルホルダで、該カプセルホルダ5は、前述したボディ2等と共に投薬器本体1を構成している。また、カプセルホルダ5は、後述のカプセル保持部6とキャップ7とから大略構成されている。
【0021】
6はカプセルホルダ5の本体をなし、ホルダ収容部3に出入れ可能に設けられたカプセル保持部を示している。具体的に、カプセル保持部6は、図4に示す如く、ホルダ収容部3内で軸方向に延びて形成された引出し部6Aと、該引出し部6Aの上面側に軸方向に長尺な断面半円弧状の凹溝として形成さたカプセル嵌合凹部6Bと、前記引出し部6Aの一端部から軸方向に突出し、キャップ7の内筒部7Aに回転可能かつ抜止め状態で係合する係合軸部6Cとにより大略構成されている。
【0022】
また、7はカプセル保持部6の一端側に取付けられたキャップで、該キャップ7は、図2、図4に示す如く、中央部に位置してカプセル保持部6の係合軸部6Cが挿着される小径な内筒部7Aと、外周側に位置して大径な外筒部7Bと、該外筒部7Bを内筒部7Aに連結するために放射状に形成された複数本、例えば4本の脚部7Cと、該各脚部7C間にそれぞれ形成された空気取入れ口7Dと、前記外筒部7Bの内周に刻設され、ボディ2のねじ部2Cに螺着されるねじ部7Eとにより大略構成されている。ここで、空気取入れ口7Dは、通気路の一部を構成するもので、外部の空気を取入れ、この空気を流入側通路11に向け供給するものである。
【0023】
8はカプセル保持部6をホルダ収容部3内に押込んだときに、カプセル嵌合溝4とカプセル嵌合凹部6Bと間に形成される薬粉収容室としてのカプセル収容室(図1、図6、図7中に図示)で、該カプセル収容室8は、内部に粉体状の薬品(薬粉)が充填されたカプセルKを収容して保持するものである。
【0024】
このように形成されたカプセルホルダ5は、キャップ7を把持して例えば反時計回りに回転させることにより該キャップ7を緩める。このときに、キャップ7とカプセル保持部6とは回転可能に係合しているから、キャップ7だけを回転させることができる。そして、キャップ7を緩めたら、カプセル保持部6を引出すことにより、該カプセル保持部6を引出し位置に配置することができる。この引出し位置では、引出し部6Aに形成されたカプセル嵌合凹部6Bに薬粉が充填されたカプセルKを嵌合させたり、カプセル嵌合凹部6Bから使用済みのカプセルKを取出したりすることができる。
【0025】
また、カプセル嵌合凹部6BにカプセルKを嵌合させた状態で、引出し部6Aをホルダ収容部3内に押込み、キャップ7を時計回りに回転させて締め込むことにより、図6、図7に示す如く、カプセル保持部6を押込み位置に配置し、カプセルKをカプセル収容室8で保持することができる。
【0026】
次に、図1において、9はカプセル収容室8の一側寄りに位置して設けられた流入側のピン挿入穴で、該ピン挿入穴9は、カプセル収容室8を径方向に貫通するようにボディ2に形成されたボディ側挿入穴9Aと、該ボディ側挿入穴9Aに対応してカプセルホルダ5に形成されたホルダ側挿入穴9Bとにより構成されている。
【0027】
また、10はカプセル収容室8の他側寄りに位置して設けられた流出側のピン挿入穴で、該ピン挿入穴10は、流入側のピン挿入穴9と平行にカプセル収容室8を貫通したボディ側挿入穴10Aとホルダ側挿入穴10Bとにより構成されている。
【0028】
11はボディ2に設けられ、カプセル収容室8内のカプセルKに空気を流入する2本の流入側通路で、該各流入側通路11は、一端がキャップ7の空気取入れ口7Dを介して大気側に連通し、他端が流入側のピン挿入穴9に連通している。
【0029】
12はボディ2に設けられ、カプセル収容室8内のカプセルKから薬粉を含んだ空気を後述の薬粉受室16側に流出する2本の流出側通路で、該流出側通路12は、一端が流出側のピン挿入穴10に連通し、他端が薬粉受室16に連通している。
【0030】
そして、前述したピン挿入穴9と流入側通路11とは、カプセル保持部6の空気取入れ口7Dから取入れた外気をカプセル収容室8(カプセルK)に供給する流入側の通気路を構成し、ピン挿入穴10と流出側通路12とは、カプセルKに充填された薬粉を空気と一緒に吸入口21側となる薬粉受室16に流出する流出側の通気路を構成している。
【0031】
13は各通路11,12と90度ずらした位置でボディ2の筒状体2Aを軸方向に貫通するように穿設された2本の補助通気路(図2、図3中に図示)で、該各補助通気路13は、息を吸込むときに流通する空気の流量を増やすことで、このときの息苦しさを解消している。
【0032】
一方、14はボディ2に設けられた穴あけ具で、該穴あけ具14は、カプセル収容室8に収容されたカプセルKに穴あけを施すものである。また、穴あけ具14は、図1に示す如く、ボディ2の穴あけ具ガイド2B内に可動に支持された支持部14Aと、該支持部14Aからピン挿入穴9,10に向けて延びたピン14B,14Bと、前記支持部14Aと筒状体2Aとの間に設けられた戻しばね14Cとにより大略構成されている。
【0033】
そして、戻しばね14Cは、各ピン14BがカプセルKから離間する方向に支持部14Aを付勢し、カプセルKの穴あけ後に支持部14A、各ピン14Bを初期位置まで戻すものである。また、各ピン14Bの先端部は傾斜面によって鋭利な針先形状をなしている。
【0034】
このように穴あけ具14は、支持部14Aを戻しばね14Cに抗して穴あけ具ガイド2B内に押込み、ピン14B,14Bをピン挿入穴9,10に挿入することにより、図6、図7に示す如く、各ピン14Bの先端をカプセル収容室8内のカプセルKに突き刺し、該カプセルKに径方向に貫通する4個の穴Hをあけるものである。
【0035】
次に、15はボディ2の他端部に嵌合して設けられた第1のアダプタで、該アダプタ15は、軸方向に延びる筒状体として形成され、後述する第2のアダプタ17と一緒にアダプタ収容筒20によりボディ2側に固定されている。また、アダプタ15は、一側に向けて開口し、他側が底部15Aとなる有底筒状に形成され、開口側の端面がボディ2の筒状体2Aに衝合して配設されている。これにより、第1のアダプタ15は、ボディ2との間に後述の薬粉受室16を画成している。
【0036】
16はカプセル収容室8の下流側に位置して第1のアダプタ15とボディ2との間に画成された薬粉受室で、該薬粉受室16は、第1のアダプタ15内に軸方向に延びる中空の空間として形成されている。そして、薬粉受室16は、直径寸法D、長さ寸法Lをもって形成され、その容積はカプセル収容室8よりも大きく設定されている。
【0037】
ここで、薬粉受室16は、吸入口21から息を吸込み、このときの空気流量が20リットル/分以下のときにはカプセル収容室8のカプセルKから流出した薬粉を一時的にためる機能を有している。一方、吸入口21から吸入する空気流量が30リットル/分以上のときにはカプセルKから流出した薬粉を拡散し、微粒化して流出させる機能を有している。
【0038】
さて、患者が吸入口21から息を吸込んだときの空気流量は、このときの息の吸込状態により種々の吸込パターンをもって変化する。具体的には、ゆっくりと大きく息を吸込む吸込パターン、複数回に分けて息継ぎをしながら息を吸込む吸込パターン等がある。これらの吸込パターンのうち、例えば息継ぎをして息を吸込む吸込パターンでは、図8に示すように空気流量が変化する。
【0039】
図8について具体的に説明すると、患者が吸入口21から息を吸込むとき、息の吸込みを開始した直後では、空気流量が20リットル/分以下となり、このときの空気流は弱いものとなる。その後、息の吸込みを継続すると、流量が徐々に増大し、空気流量が30リットル/分を超えて空気流が安定する。
【0040】
この空気流量の変化に基づいて、吸入口21から吸入する空気流量が20リットル/分以下となる場合、例えば吸入を開始した直後、吸入途中で息継ぎをしたときに、勢いの弱い空気流に混入した薬粉がアダプタ収容筒20側に流出して吸入口21、舌、口腔内面、咽喉等に落下して付着しないように、薬粉受室16は、図6に示すように、このときの薬粉を一時的にためて吸入口21側に流出するのを防止する。
【0041】
一方、吸入口21から吸入する空気流量が30リットル/分以上になったときには、勢いの強い空気流に混入した薬粉は気管支等の患部まで到達させることができる。従って、薬粉受室16は、図7に示すように、カプセルKから流出した薬粉と一緒にためておいた薬粉を吸入口21側に流出させる。しかも、薬粉受室16は、内部で乱流を形成することにより、薬粉を拡散して微粒化することもできる。
【0042】
17は第1のアダプタ15の他側に衝合して設けられた第2のアダプタで、該アダプタ17は、第1のアダプタ15と一緒にアダプタ収容筒20によりボディ2側に固定されている。また、第2のアダプタ17は、軸方向に延びる略円柱体として形成され、その軸中心には後述の薬粉拡散室18が形成されている。
【0043】
18は薬粉受室16の下流側に位置して第2のアダプタ17に設けられた薬粉拡散室で、該薬粉拡散室18は、第2のアダプタ17の軸中心に位置して軸方向に延びる小径な円柱状の空間として形成されている。そして、薬粉拡散室18は、後述の連通路19から空気流に混入して薬粉が供給されると、この薬粉を旋回流(乱流)により拡散することにより、微粒化した薬粉を吸入口21に供給するものである。
【0044】
また、19は第1のアダプタ15と第2のアダプタ17とに亘って設けられた複数本、例えば4本の連通路で、該各連通路19は、薬粉受室16と薬粉拡散室18とを連通するものである。また、各連通路19は、図1、図5に示す如く、第1のアダプタ15の底部15Aに設けられ、薬粉受室16の外周側に連通して軸方向に延びた軸方向通路19Aと、該軸方向通路19Aと薬粉拡散室18とを連通するように放射状に延びた径方向通路19Bとにより構成されている。
【0045】
ここで、各連通路19の径方向通路19Bは、薬粉拡散室18の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室18に開口している。これにより、連通路19は、薬粉拡散室18に流入する空気流を該薬粉拡散室18の内面に沿って旋回流とすることができ、薬粉拡散室18で薬粉をより一層微粒化する機能を有している。
【0046】
次に、20は筒状体2Aの他側に取付けられたアダプタ収容筒で、該アダプタ収容筒20は、一側が開口する有蓋円筒状に形成されている。また、アダプタ収容筒20の一端部内面には、ボディ2のねじ部2Dに螺着するねじ部20Aが刻設されている。さらに、アダプタ収容筒20の他側は、患者が口にくわえるマウスピース20Bとなり、該マウスピース20Bはくわえ易いように他側に向けて漸次縮径している。そして、アダプタ収容筒20は、その内部に各アダプタ15,17を収容し、この状態でねじ部20Aをボディ2のねじ部2Dに螺着することにより、該各アダプタ15,17をボディ2側に固定することができる。
【0047】
21はアダプタ収容筒20の他側に設けられた吸入口で、該吸入口21は、前述した薬粉受室16、薬粉拡散室18とほぼ同じ軸線上となるマウスピース20Bの中心部に配置されている。また、吸入口21は、薬粉拡散室18で拡散して微粒化された薬粉を流出(放出)するもので、該薬粉拡散室18から他側に向け漸次拡開して形成されている。
【0048】
本実施の形態による吸入式投薬器は上述の如き構成を有するもので、次に、患者が薬粉を吸入するときの動作について説明する。
【0049】
まず、カプセルホルダ5をホルダ収容部3から引出し、カプセル保持部6のカプセル嵌合凹部6BにカプセルKを嵌合させる。この状態で、カプセル保持部6をホルダ収容部3内に押込み、カプセル収容室8にカプセルKをセットする。次に、穴あけ具14の支持部14Aを穴あけ具ガイド2Bに沿って押込むことにより、各ピン14BによりカプセルKに4個の穴Hを形成する。
【0050】
このようにカプセル収容室8内のカプセルKに各穴Hをあけたら、患者はアダプタ収容筒20のマウスピース20Bを口にくわえて息を吸込む。このときに、吸入を開始した直後には、図8に示すように流量が20リットル/分以下となる場合がある。この時、薬粉受室16は、図6に示す如く、勢いの弱い空気流に混入した薬粉が吸入口21、舌、口腔内面、咽喉等に落下して付着しないように、薬粉を一時的にためてアダプタ収容筒20側に流出するのを防止する。
【0051】
そして、息の吸込みを継続すると、空気流量が徐々に増大し、30リットル/分を超えて空気流が安定する。このときには、勢いの強い空気流に混入した薬粉は患部まで到達させることができるから、薬粉受室16は、図7に示す如く、カプセルKから流出した薬粉と一緒にためておいた薬粉を連通路19を介して薬粉拡散室18、吸入口21側に流出させる。しかも、空気流の勢いが強い場合には、薬粉受室16は、内部で乱流を形成することができ、薬粉を拡散して微粒化することができる。
【0052】
また、薬粉受室16から連通路19を通って薬粉拡散室18に流入する薬粉は、連通路19によって薬粉拡散室18に形成される旋回流により、再度拡散され、さらに微粒化することができる。これにより、空気流量が多く勢いが強いときにだけ薬粉を微粒化した状態で吸入口21から吸入することができ、薬粉を例えば患者の肺の気管支まで効率よく投与することができる。
【0053】
かくして、本実施の形態によれば、アダプタ収容筒20から空気の吸入を開始した直後のように、例えば空気流量が20リットル/分以下で勢いが弱い場合には、薬粉が吸入途中で落下するのを避けるために、薬粉受室16内に落下させてためることができる。また、吸入開始から所定時間が経過し、例えば空気流量が30リットル/分を越えたときには、カプセルKから流出する薬粉、薬粉受室16内にたまった薬粉を吸入口21から流出させることができる。
【0054】
この結果、空気流量が多く勢いが強いときにだけ薬粉を吸入口21から吸入することができるから、カプセルK内に充填された規定量の薬粉を例えば患者の気管支まで効率よく投与することができる。
【0055】
また、薬粉受室16の下流側には薬粉拡散室18を設け、該薬粉拡散室18では連通路19によって旋回流を形成しているから、薬粉をより一層微粒化することができ、投薬効率を向上することができる。
【0056】
なお、実施の形態では、ボディ2からカプセルホルダ5を出し入れしてカプセルKを着脱する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、特開平11−221280号公報のように、カプセル収容室に対しカプセルを直接的に出し入れする構成としてもよい。
【0057】
また、実施の形態では、各連通路19の径方向通路19Bを薬粉拡散室18の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室18に開口する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば各連通路の径方向通路を互いに対抗するように薬粉拡散室に開口させる構成としてもよい。この場合には、各連通路の径方向通路から流出する空気流を互いに衝突させて乱流を形成し、この乱流により薬粉を拡散することができる。
【0058】
また、実施の形態では、カプセル収容室8内に薬粉が充填されたカプセルKを収容する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、投薬器本体に薬粉収容室を設け、該薬粉収容室に薬粉を直接的に充填し、この薬粉を吸入する構成としてもよい。
【0059】
さらに、実施の形態では、各アダプタ15,17をボディ2側に固定するアダプタ収容筒20の他端側にマウスピース20Bを一体的に設け、該マウスピース20Bに吸入口21を設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアダプタ収容筒20と吸入口21が設けられたマウスピース20Bとを別体に設け、接着、溶着等の固着手段を用いて固着する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る吸入式投薬器を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す吸入式投薬器の右側面図である。
【図3】カプセルホルダを取外した投薬器本体の右側面図である。
【図4】カプセルホルダを拡大して示す拡大縦断面図である。
【図5】連通路等を図1中の矢示V−V方向から拡大して示す横断面図である。
【図6】20リットル/分以下の空気流量をもって吸入口から空気を吸入している状態の吸入式投薬器を示す縦断面図である。
【図7】30リットル/分以上の空気流量をもって吸入口から空気と薬粉を吸入している状態の吸入式投薬器を示す縦断面図である。
【図8】薬粉を吸入したときの空気流量の変化の一例を示す特性線図である。
【符号の説明】
2 ボディ
8 カプセル収容室(薬粉収容室)
16 薬粉受室
18 薬粉拡散室
19 連通路
19B 径方向通路
21 吸入口
K カプセル
Claims (3)
- 粉体状の薬品を収容する薬粉収容室と、該薬粉収容室の下流側に該薬粉収容室よりも大きな容積をもって設けられた薬粉受室と、該薬粉受室の下流側に設けられ当該薬粉受室から流出した薬粉を拡散する薬粉拡散室と、該薬粉拡散室から拡散されて流出する薬粉を吸入する吸入口とにより構成してなる吸入式投薬器。
- 前記薬粉受室は、前記吸入口から吸入する空気流量が20リットル/分以下では前記薬粉収容室から流出した薬粉を一時的にためる機能を有し、前記吸入口から吸入する空気流量が30リットル/分以上では前記薬粉収容室から流出した薬粉を拡散して微粒化する機能を有してなる請求項1に記載の吸入式投薬器。
- 前記薬粉受室と薬粉拡散室とを連通する連通路は、前記薬粉拡散室の接線方向に偏心した位置で該薬粉拡散室に開口する構成としてなる請求項1または2に記載の吸入式投薬器。
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JP2009517146A (ja) * | 2005-12-02 | 2009-04-30 | ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 調合薬の計量投与器具、貯蔵器具及び計量投与方法 |
KR101399480B1 (ko) | 2006-06-16 | 2014-05-28 | 씨아이피엘에이 엘티디. | 향상된 건조 분말 흡입기 |
JP7451574B2 (ja) | 2019-06-24 | 2024-03-18 | デ モトゥ コーディス ピーティーワイ リミテッド | 呼吸器送達デバイス |
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2003
- 2003-05-23 JP JP2003146635A patent/JP2004344505A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009517146A (ja) * | 2005-12-02 | 2009-04-30 | ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 調合薬の計量投与器具、貯蔵器具及び計量投与方法 |
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