JP2004339669A - 弾性繊維用処理剤及びその弾性繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、弾性繊維の処理剤として用いられるチーズ捲形状、制電性、解舒性、平滑性、編織加工時における風綿吸着の防止に優れる油剤を提供することにある。
【解決手段】本発明は、シリコーン油を20重量部以上、鉱物油及び/又はエステル油を80重量部以下からなるベース成分を使用し、該ベース成分100重量部に対し、有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は有機リン酸エステルの3級アミン塩を0.01〜30重量部使用して構成される弾性繊維用処理剤である。上記の弾性繊維用処理剤において、有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は有機リン酸エステルの3級アミン塩を用いることにより、チーズ捲形状・制電性・解舒性・平滑性・風綿吸着防止能に優れることを特徴とする。
また、本発明は、上記の処理剤が0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする弾性繊維である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弾性繊維用処理剤及び該処理剤を用いて処理された弾性繊維に関する。詳しくは、該処理剤を弾性繊維に付与することで、糸強力の劣化が少なく、チーズ捲形状、制電性、解舒性、平滑性に優れた弾性繊維が得られ、高速編織の工程において、弾性繊維の糸切れやループが少なくなり、弾性繊維と綿糸を用いた編物や織物においては、綿糸がこすれて生じた風綿の吸着が少なくなる様な弾性繊維用処理剤及び該処理剤を用いて処理された弾性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、弾性繊維の処理剤として、いくつかの提案がなされている。特開平10−310979号公報、特公平6−15745号公報、特公昭40−5557号公報、特公昭37−4586号公報には膠着防止剤として、高級脂肪酸の金属塩を処理剤に用いる方法が記載されている。特開平4−146276号公報には制電剤として、アルキルホスフェート金属塩を処理剤に用いる方法が記載されている。特開平7−173770号公報、特開平9−49167号公報には制電剤として、アルキルホスフェート金属塩とアルキルホスフェートアミン塩を処理剤に用いる方法が記載されている。特開平11−61651号公報には制電剤として、有機スルホン酸化合物又は有機硫酸化合物を処理剤に用いる方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
弾性繊維用処理剤は、シリコーン油、鉱物油およびエステル油などの疎水性の平滑剤をベース成分として用いているため、制電性が不十分である。チーズ解舒性については、繊維間の膠着性が強過ぎて解舒性不良となり、糸切れが発生する場合と、チーズ捲形状が悪くて、均一に解舒されないため、糸切れが発生する場合とがあり、後者の場合、解舒時の糸速度がより高速になったり、静電気が多いと更に、糸切れが多くなる。
前述の高級脂肪酸の金属塩を用いた油剤は、膠着防止効果はあるが、静電気防止効果が充分でないため、解舒時に、糸切れが発生することがある。前述の制電剤を処理剤として用いると、静電気防止効果はあるが、有機スルホン酸や有機硫酸は強酸であり、アルカリ金属は強塩基であるため、チーズの湿熱処理時にこれらの強酸、強塩基が解離して、糸強力劣化が起こる場合がある。
又、アルカリ金属塩からなる前述の制電剤を添加すると、チーズ捲形状が良くないため、解舒時に糸切れが起こる場合がある。さらに、弾性繊維と綿糸を交編する場合、制電性が悪いと、風綿が弾性繊維に吸着して吸糸口に詰まり、吸糸口で糸切れが起こるため、たびたび清掃しなければならない問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコーン油を20重量部以上、鉱物油及び/又はエステル油を80重量部以下からなるベース成分を使用し、該ベース成分100重量部に対し、有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は有機リン酸エステルの3級アミン塩を0.01〜30重量部使用して構成される弾性繊維用処理剤である。シリコーン油が20重量部未満では、平滑性が不足し、高速編織加工時に糸切れが起こる場合がある。又、本発明の弾性繊維用処理剤に、有機リン酸エステルのアルカリ金属塩が含まれると、チーズ捲形状の悪化、チーズ湿熱処理時の糸強力劣化、そしてベース成分への溶解性不良をもたらすため、本発明の弾性繊維用処理剤は、有機リン酸エステルのアルカリ金属塩を実質的に使用しない。
【0005】
本発明の処理剤は、通常、弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与される。本発明は弾性繊維に付与することで、チーズ捲形状、制電性、解舒性、平滑性に優れた弾性繊維が得られ、弾性繊維と綿糸の交編時に風綿吸着が少なく、細物弾性繊維(例えば、繊度が33dtex以下)と綿糸の高速編織加工(例えば、糸速度が100m/min以上)が可能な弾性繊維用処理剤及び該処理剤を用いて処理された弾性繊維を提供することを目的とする。
【0006】
本発明では、有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は有機リン酸エステルの3級アミンが用いられる。有機リン酸エステルの2級アミン塩、及び有機リン酸エステルの3級アミン塩において、2級アミンがジアルカノールアミン、N−アルキル置換アルカノールアミン、N,N−ジアルキル置換アミンなどであり、3級アミンがトリアルカノールアミン、N−アルキル置換ジアルカノールアミン、N,N−ジポリオキシアルキレン置換アルキルアミン、N,N−ジアルキル置換アルカノールアミン、N,N,N−トリアルキル置換アミン、N,N,N’,N’−テトラキスポリオキシアルキレン置換アルキルジアミンなどである。
具体的には、ジシクロヘキシルアミン、ジステアリルアミン、ジラウリルアミン、ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリオクチルアミン、トリメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、ステアリルプロパノールアミン、ラウリルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、オクチルブタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシブチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)ヘキサメチレンジアミンなどである。
有機リン酸エステルに含まれる酸性水酸基のモル数と2級または3級アミンに含まれるアミノ基のモル数の比は0.5〜1.5で混合することが好ましい。0.5より少ないと過剰なアミンが皮膚障害を引き起こす可能性がある。
1.5より多いと本来の目的であるアミノ基の中和に対し必要以上に酸性水酸基が過剰となり経済的でない。更に好ましくは0.8〜1.2である。
【0007】
本発明に用いられる有機リン酸エステルの炭化水素基として、分岐を有してもよい飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基もしくは脂芳香族炭化水素基または環状脂肪族炭化水素基などがある。好ましくは分岐を有する平均炭素数6〜24のアルキル基が好ましい。
平均炭素数が24を超えると、ベース成分への溶解性が不足する。
ベース成分への溶解性は直鎖状炭化水素基よりも、分岐を有する炭化水素基の方が良く、好ましい。
本発明に用いられる有機リン酸エステルのオキシアルキレン基として好ましくはオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレンを1〜30個有するものである。分子中のオキシアルキレン基が30個を超えるとベース成分への溶解性が不足する。該有機リン酸エステルの具体例としては、モノメチルリン酸エステル、ジメチルリン酸エステル、トリメチルリン酸エステル、ヘキシルリン酸エステル、オクチルリン酸エステル、デシルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、セチルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル、ベヘニルリン酸エステル、トリオクタコサニルリン酸エステル、オレイルリン酸エステル、2−エチルヘキシルリン酸エステル、イソオクチルリン酸エステル、イソデシルリン酸エステル、イソラウリルリン酸エステル、イソミリスチルリン酸エステル、イソセチルリン酸エステル、イソステアリルリン酸エステル、t−ブチルリン酸エステル、ベンジルリン酸エステル、オクチルフェニルリン酸エステル、シクロヘキシルリン酸エステル、ポリオキシエチレン5モル付加セチルリン酸エステル、ポリオキシエチレン5モル付加イソセチルリン酸エステル、ポリオキシエチレン7モル付加ポリオキシプロピレン3.5モル付加セカンダリーアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレン2モルポリオキシプロピレン5モルリン酸エステル等がある。
【0008】
本発明では有機アミンを有機リン酸エステルで中和してあるために処理剤自身の皮膚障害がないので安全であり、イソシアネートとの反応性がアミンよりも低いリン酸エステルで中和してあるため、アミン自身のイソシアネートへの反応性があり、糸表面のイソシアネートとアミンが反応して、糸同士の反応による膠着を防止することができる。リン酸エステルの酸性水酸基もイソシアネートと反応して、糸同士の反応による膠着を防止することができる。このために弾性繊維をチーズとしたときの解舒性を向上することができる。
【0009】
本発明の処理剤は、30℃における粘度が3〜30mm/Sが好ましい。
3mm/S未満では、処理剤の揮発が問題となり、30mm/Sを超えると平滑性に劣る場合がある。
本発明の処理剤には、平滑性、解舒性、制電性、風綿吸着防止の効果を高めるために高級脂肪酸の金属石鹸、有機カルボン酸有機アミン中和物、アミノ変性シリコーンの有機リン酸エステル中和物、N−置換脂肪酸ビスアミド、N−置換脂肪酸ジアミド、N−置換脂肪酸アミドが0.01〜15重量部添加されていても良い。高級脂肪酸の金属石鹸としては、従来、弾性繊維に用いられている公知のものを用いることができ、ステアリン酸Al、ステアリン酸Ca、イソステアリン酸Mg、イソステアリン酸Ba、ステアリン酸亜鉛等が好ましい。
【0010】
本発明の処理剤には、平滑性、解舒性、制電性、風綿吸着低減の効果を高めるために従来の公知の変性シリコーン(アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、
式:RSiO1/2(式中、R、R、Rは一価炭化水素基である。)で示されるシロキサン単位と式:SiOで示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン樹脂、式:RSiO1/2(式中、R、R、Rは一価炭化水素基である。)示されるシロキサン単位と式:SiOで示されるシロキサン単位及び式:RSiO3/2(式中、Rは一価炭化水素基である。)で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂、式:RSiO3/2(式中、Rは一価炭化水素基である。)で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂等)やつなぎ剤、制電剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等、通常、弾性繊維の処理剤として用いられる成分を配合することができる。
【0011】
本発明の弾性繊維は上記処理剤が弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする。0.1重量%より少ないと本発明の効果が充分でなく、15重量%を越えると不経済である。
【0012】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお具体例における、各特性の評価は次の方法に従って行った。
【0013】
【油剤の作用効果の評価法】
粘度:
キャノンフェンスケ粘度計を用い、30℃おける試料液の動粘度を求めた。
【0014】
ローラー静電気
図1において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(1)をセットし、50m/分の周速で回転させ、チーズ上2cmのところにおいて、春日式電位差測定装置(2)で、回転を始めて1時間後の発生静電気を測定する。
【0015】
編成張力:
図2において、チーズ(3)から縦取りした弾性糸(4)をコンペンセーター(5)を経てローラー(6)、編み針(7)を介して、Uゲージ(8)に付したローラー(9)を経て速度計(10)、巻き取りローラー(11)に連結する。速度計(10)での走行速度が定速(例えば、10m/分、100m/分)になるように巻き取りローラーの回転速度を調整して、巻き取りローラーに巻き取り、そのときの編成張力をUゲージ(8)で測定し、繊維/編み針間の摩擦(g)を計測する。走行糸条より1cmのところで春日式電位差測定装置(12)で発生静電気を測定する。
【0016】
繊維間摩擦係数(F/FμS):
図3において、処理剤が付与された弾性繊維のモノフィラメントを50〜60cm程取り、一方の端に荷重T1(13)を吊り、ローラー(14)を介して、Uゲージ(15)にもう一方の端を掛けて定速(例えば、3cm/分)で引っ張り、そのときの2次張力T2をUゲージ(15)で測定し、式1により、繊維間摩擦係数を求める。
【式1】
摩擦係数(F/FμS)=1/θ・ln(T2/T1)
(式1において、θ=2π、ln=自然対数、T1は22dtex当り1g)
【0017】
チーズ捲形状(捲き崩れ有無)
評価に供する処理剤が付与されたモノフィラメントチーズ(巻き量400g)の捲形状にバルジや綾等の捲き崩れが有るか無いかを目視で確認した。
【0018】
風綿吸着試験法:
図4においてチーズ(16)から20m/分の速度で弾性糸を出し、コンペンセーター(17)を経てローラー(18)から風綿の吸糸口(19)を経て巻取ローラー(20)で80m/分で巻取る。綿糸(21)は、ガイド(22)からローラー(23)と編針(24)を経て巻取ローラー(25)で80m/分の速度で巻取られる。風綿はローラー(23)と編針(24)の間で綿糸を1回撚りでこすり合わせて発生させる。60分間弾性繊維を走行させたときの吸糸口に集積する風綿の重量を測定する。弾性繊維及び綿糸は20℃、45%RHの雰囲気下で3日間調湿したものを用いた。測定雰囲気は20℃、45%RHで行った。吸糸口は、直径0.2mm、長さ10mm、その材質はアルミナである。
【0019】
解舒速度比
図5において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(26)をセットし、巻き取り側に紙管(27)をセットする。巻き取り速度を一定速度にセットした後、ローラー(28)及び(29)を同時に起動させる。この状態では糸(30)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れないので、解舒点(31)は図5に示す状態にある。解舒速度を変えることによって、チーズからの糸(30)の解舒点(31)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(32)と一致するように解舒速度
を設定する。解舒速度比は式2によって求める。この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。
【0020】
【式2】
解舒速度比(%)=(巻取速度−解舒速度)÷解舒速度×100
【0021】
皮膚障害試験:
各処理剤をアセトンに2重量%溶解させ、日本薬局方ガーゼを浸す。同ガーゼを30分間放置して乾燥させた後、一辺1.5cmに切り分けて、上腕裏側に貼布し、48時間保つ。48時間後に剥離し、30分間隔を空けて表1に基づき判定した。判定に対して表中のように採点を行い、これらの数値にそれを示した被研者数を乗じ、全被研者数で除して、各処理剤の平均の反応強度を算出した。各処理剤の平均の反応強度が、0点から1点未満を○、1点以上2点未満を△、2点以上を×として評価した。
【0022】
【表1】
Figure 2004339669
【0023】
繊維引張強度保持率:
JIS1013に準じて測定を行った。
【0024】
紡糸原液の調整
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比率1:2で反応させ、次いで1,2−ジアミノプロパンのジメチルホルムアミド溶液を用いて鎖延長し、ポリマー濃度27%のジメチルホルムアミド溶液を得た。30℃での濃度は1500mPaSであった。
【0025】
実施例1〜5及び比較例1〜3
ポリウレタン紡糸原液を190℃のN気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に表2又は表3に記載の成分を用いて作製した表4に記載の処理剤(表中の配合量は重量部)をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分500mの速度でボビンに巻き取り77dtexモノフィラメントチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。
又、経時劣化促進試験として、得られたチーズを60℃、80%RHの雰囲気中に10日間放置した後、20℃、45%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。これらの結果を表4に示す。
【0026】
【表2】
Figure 2004339669
【0027】
【表3】
Figure 2004339669
【0028】
【表4】
Figure 2004339669
【0029】
実施例6〜10及び比較例4〜6
実施例1〜5と同様にして、ポリウレタン紡糸原液を190℃のN気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に表5又は表6に記載の成分を用いて作製した表7に記載の処理剤(表中の配合量は重量部)をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分500mの速度でボビンに巻き取り44dtexモノフィラメントチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。又、経時劣化促進試験として、得られたチーズを60℃、80%RHの雰囲気中に10日間放置した後、20℃、45%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。これらの結果を表7に示す。
【0030】
【表5】
Figure 2004339669
【0031】
【表6】
Figure 2004339669
【0032】
【表7】
Figure 2004339669
【0033】
実施例11〜15及び比較例7〜9
紡糸原液の調整
数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール100重量部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25重量部を70℃で反応させ、N,N’−ジメチルアセトアミド250重量部を加え冷却しながら反応混合物を溶解させた。1,2−ジアミノプロパン5重量部をN,N’−ジメチルアセトアミド184重量部に溶解させたものを添加し、ジメチルシリコーン10000mm/sを0.2重量%添加した。この様にして得られたポリウレタン紡糸原液を4つの細孔を有する紡糸口金より180℃のN気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に表2又は表3に記載の成分を用いて作製した
表8に記載の処理剤をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分500mの速度でボビンに巻き取り、22dtexマルチフィラメントのチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。
又、経時劣化促進試験として、得られたチーズを60℃、80%RHの雰囲気中に10日間放置した後、20℃、45%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。これらの結果を表8に示す。
【0034】
【表8】
Figure 2004339669
【0035】
【発明の効果】
本発明の処理剤を用いることにより、良好なチーズ捲形状、安定した制電性、良好な解舒性、良好な平滑性を弾性繊維に与えることができ、又、弾性繊維と綿糸との交編時の風綿吸着が少ないことによる糸切れ回数の減少で、編織機の稼働率向上及び編織物品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラー静電気発生量の測定方法を説明する模式図。
【図2】編成張力の測定方法及び静電気発生量の測定方法を説明する模式図。
【図3】繊維間摩擦係数の測定方法を説明する模式図。
【図4】風綿吸着の測定方法を説明する模式図
【図5】解舒速度比の測定方法を説明する模式図。
【符号の説明】
1 弾性繊維のチーズ
2 春日式電位差測定装置
3 弾性繊維のチーズ
4 糸
5 コンペンセーター
6 ローラー
7 編み針
8 Uゲージ
9 ローラー
10 速度計
11 巻き取りローラー
12 春日式電位差測定装置
13 荷重
14 ローラー
15 Uゲージ
16 弾性繊維のチーズ
17 コンペンセーター
18 ローラー
19 風綿の吸糸口
20 弾性繊維の巻取ローラー
21 綿糸
22 ガイド
23 ローラー
24 編針
25 綿糸の巻取ローラー
26 チーズ
27 巻き取り用紙管
28 ローラー
29 ローラー
30 走行糸条
31 解舒点
32 チーズとローラーの接点

Claims (7)

  1. シリコーン油を20重量部以上、鉱物油及び/又はエステル油を80重量部以下からなるベース成分を使用し、該ベース成分100重量部に対し、有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は3級アミン塩を0.01〜30重量部使用して構成される弾性繊維用処理剤。
  2. 有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は3級アミン塩において、有機リン酸エステルが、炭化水素基もしくはオキシアルキレン基を少なくとも分子中に1つ以上含む有機リン酸エステルである請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  3. 有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は3級アミン塩において、有機リン酸エステルの炭化水素基が平均炭素数6〜24の分岐を有するアルキル基である請求項2に記載の弾性繊維用処理剤。
  4. 有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は3級アミン塩において、有機リン酸エステルが分子中にオキシアルキレン基を1〜30個有する有機リン酸エステルである請求項2に記載の弾性繊維用処理剤。
  5. 有機リン酸エステルの2級アミン塩及び/又は3級アミン塩において、2級アミンがジアルカノールアミン、N−アルキル置換アルカノールアミン、N,N−ジアルキル置換アミンであり、3級アミンがトリアルカノールアミン、N−アルキル置換ジアルカノールアミン、N,N−ジポリオキシアルキレン置換アルキルアミン、N,N−ジアルキル置換アルカノールアミン、N,N,N−トリアルキル置換アミン、N,N,N’,N’−テトラキスポリオキシアルキレン置換アルキルジアミンである請求項1〜4に記載の弾性繊維用処理剤。
  6. 請求項1〜5に記載の弾性繊維用処理剤100重量部に対して、有機カルボン酸有機アミン中和物、アミノ変性シリコーンの有機リン酸エステル中和物、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、シリコーンレジン、高級脂肪酸の金属塩、N−置換脂肪酸ビスアミド、N−置換脂肪酸ジアミド、N−置換脂肪酸アミドの少なくとも一種が0.01〜15重量部更に添加されていることを特徴とする弾性繊維用処理剤。
  7. 請求項1〜6に記載の弾性繊維用処理剤が弾性繊維に対し0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする弾性繊維。
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