JP2004339366A - 樹脂用硬化剤及び硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、電気絶縁材料などに使用されるアクリル樹脂及び、エポキシ樹脂の硬化剤として有用なアルミニウムキレートに関する。さらに、該アルミニウムキレート、アクリル樹脂あるいはエポキシ樹脂から選ばれる1種の樹脂、及び溶剤を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭48−17859号公報(特許文献1)には、分子内にカルボキシル基を有する線状共重合体とアルミニウム錯化合物と、ケトエノール型互変異性化合物と、及び溶剤とを含有する一液性常温硬化型被覆組成物が開示されている。また、特開平4−13787号公報(特許文献2)には、エポキシ当量が180〜4000の範囲内にあるビスフェノール型エポキシ樹脂と、アルミニウムアルコラート化合物と、及びノボラック型フェノール樹脂とを含有する被覆用樹脂組成物が開示されている。しかし、樹脂の種類によっては、それにアルミニウムキレート化合物を配合して得られる硬化性樹脂組成物を塗布して得られる被膜は、その耐溶剤性が悪く、強度も不十分な場合があった。また、公知のβ−ケトエステルあるいはβ−ジケトンを配位子として含むアルミニウムキレート化合物を含有する硬化性樹脂組成物は、それを加熱して硬化する際に昇華物を生ずることがあり、その結果、得られる被膜性能が低下したり、使用環境を汚染したりすることがあった。
【0003】
【特許文献1】
特公昭48−17859号公報、第1〜8頁
【特許文献2】
特開平4−13787号公報、第1〜5頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は耐溶剤性に優れ、強度が高い被膜を形成することができる樹脂、好ましくはアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂用の硬化剤及びそれを含む硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、配位子に特定の構造を有するアルミニウムキレートを樹脂、好ましくはアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂に対し、その硬化剤として使用すると、耐溶剤性が高くまた、強度も高い被膜が形成されることを見出した。また、本発明の特定の構造の配位子を有するアルミキレートを樹脂の硬化剤として使用した場合、昇華物の発生を大幅に低減できることも見出され、本発明は、上記知見に基いて完成されたものである。
【0006】
すなわち本発明の樹脂用硬化剤(1)は
(1)少なくとも1種のアルミニウムアルコキシド、
及び
(2)下記一般式(I)によって表される少なくとも1種のβ−ケトアミド:
【化4】
〔但し、一般式(I)中、R1 は水素原子、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシエチル基、及び置換されていてもよいアリール基から選ばれた1員を表し、R2 は水素原子及び1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれた1員を表し、R3 は1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基を表す〕
を反応させて得られるアルミニウムキレートを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の樹脂用硬化剤(2)は、
(1)少なくとも1種のアルミニウムアルコキシド、
(2)下記一般式(I)によって表される少なくとも1種のβ−ケトアミド:
【化5】
〔但し、一般式(I)中、R1は水素原子、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシエチル基、及び置換されていてもよいアリール基から選ばれた1員を表し、R2 は水素原子及び1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれた1員を表し、R3 は1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基を表す〕
及び
(3)前記β−ケトアミドとは異種のケトエノール型互変異性化合物
を反応させて得られるアルミニウムキレートを含有することを特徴とするものである。
本発明の樹脂用硬化剤(2)において、前記ケトエノール型互変異性化合物(3)が、下記一般式(II)により表されるβ−ケトエステル及び下記一般式(III )により表されるβ−ジケトン:
【化6】
〔但し、一般式(II)中、R4 は1乃至18個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基及びベンジル基から選ばれた1員を表し、R5 は1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基から選ばれた1員を表し、一般式(III )中、R6 及びR7 は、互に独立に、1乃至8個の炭素原子を有するアルキル基、及びアリール基から選ばれた1員を表す〕
から選ばれることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記本発明の樹脂用硬化剤(1)又は(2)、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも一種からなる樹脂、並びに溶剤を含有することを特徴とするものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにポリエポキシ化合物を含んでいてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂用硬化剤(1)は、アルミニウムアルコキシド(1)と、一般式(I)により表されるβ−ケトアミド(2)との反応生成物であり、本発明の樹脂用硬化剤(2)はアルミニウムアルコキシド(1)と一般式のβ−ケトアミド(2)と、このβ−ケトアミド(2)とは異種のケトエノール型互変異性化合物(3)とを反応させて得られるものである。硬化剤(1)において、アルミニウム1原子に対し、β−ケトアミド(2)3分子が、配位結合していることが好ましく、硬化剤(2)においては、アルミニウム1原子に対し、β−ケトアミド(2)及びそれとは異種のケトエノール型互変異性化合物の合計3分子が配位結合していることが好ましい。
前記一般式(I)で表されるβ−ケトアミド(2)は、例えばアセト酢酸アミド、N−メチルアセト酢酸アミド、N,N−ジメチルアセト酢酸アミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミド、アセト酢酸アニリド、N−(2−メチルフェニル)アセト酢酸アミド、N−(4−メトキシフェニル)アセト酢酸アミド、N−(4−クロロフェニル)アセト酢酸アミド、及び3−オキソペンタン酸アミドなどを包含する。式(I)のβ−ケトアミド化合物は、好ましくは、アセト酢酸アミド、N−メチルアセト酢酸アミド、及びN−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミドから選ばれる。
【0008】
一般式(I)により表されるβ−ケトアミド(2)とは異種のケトエノール互変異性化合物(3)は一般式(II)のβ−ケトエステル及び一般式(III )のβ−ジケトンから選ばれることが好ましい。前記一般式(II)で表されるβ−ケトエステル化合物は、例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ベンジル、3−オキソペンタン酸メチル、3−オキソペンタン酸オクチルなどを包含し、好ましくは、アセト酢酸メチル及びアセト酢酸エチルから選ばれる。
【0009】
前記一般式(III )で表されるβ−ジケトン化合物は、例えばアセチルアセトン、1−ベンゾイルアセトン及びジベンゾイルメタンなどを包含し、好ましくは、アセチルアセトンである。
【0010】
本発明のアルミニウムキレートは、例えば、下記の方法により製造することができる。
すなわちアルミニウムアルコキシドを、適当な溶媒(例えば2−プロパノール、エタノール等)に溶解し、この溶液中に、所定モル量のβ−ケトアミド化合物、β−ケトエステル、β−ジケトンを、そのまま、或いはこれらを適当な溶媒(例えば2−プロパノール、エタノール等)に溶解した溶液を滴下し、この混合液を加熱して、アルミニウムキレートを製造する。反応終了後、反応液から溶媒を留去し、冷却して晶析を行うことにより、目的のアルミニウムキレート化合物を製造することができる。
【0011】
上記のようにして得られる本発明のアルミニウムキレートとしては、例えばトリス(アセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(AAM)3と記す)、ビス(アセトアセタミダト)(エチルアセトアセタト)アルミニウム(III )(以下、Al(AAM)2(EAA)と記す)、トリス(アセトアセタニリダト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)3と記す)、ビス(アセトアセタニリダト)(エチルアセトアセタト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)2(EAA)と記す)、トリス(ジエチルアセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(DEAA)3と記す)、トリス(N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(HYAAM)3と記す)、(エチルアセトアセタト)ビス(N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(EAA)(HYAAM)2と記す)、ビス(アセトアセタニリダト)(オレイルアセトアセタト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)2(OLAA)と記す)、ビス(アセトアセタミダト)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III )(以下、Al(AAM)2(acac) と記す)、ビス(アセトアセタニリダト)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)2(acac) と記す)などが包含される。
【0012】
本発明の硬化剤を配合する樹脂には、それが本発明の硬化剤により硬化する限り、格別の制限はないが、一般にアクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた1種以上からなるものであることが好ましい。
【0013】
アクリル樹脂としては、一分子中に1個以上の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸モノマー、すなわち、アクリル酸及びメタクリル酸;他のエチレン性不飽和カルボン酸例えばクロトン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸など、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、及び(メタ)アクリル酸モノグリセリルエステル等;アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸ジメチルアミノエチル、及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル等;飽和含酸素三〜五員環基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の群から選ばれた少なくとも1種の重合体及び共重合体、並びに前記モノマーと、これに共重合可能な他のモノマー、例えば、アクリル酸エステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、及びアクリル酸−2−エチルヘキシル等;メタクリル酸エステル、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ラウリル、及びメタクリル酸グリシジル等;不飽和カルボン酸アミド、例えばアクリル酸アミド及びN−メチロールアクリル酸アミド等;その他の重合性モノマー、例えばアクリロニトリル、酢酸ビニル、及びスチレン等、の群から選ばれた少なくとも1種とを共重合することにより得られる樹脂等が包含される。
【0014】
エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型等);環状脂肪族エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール等)、ジグリシジルヒダントイン等のヒダントイン型エポキシ樹脂、及びこれらエポキシ樹脂をアミンあるいはポリアミドで変性した樹脂等を挙げることができる。
また、ポリエポキシ化合物としては、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルポリオール、低重合度のビスフェノール型エポキシ樹脂等が例示できる。
【0015】
本発明の硬化剤含有樹脂組成物に含まれる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類あるいは、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、水、ジメチルホルムアミドなどが例示できる。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物には、前述のように、好ましくはアクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂、本発明のアルミニウムキレート及び溶剤が含有される。
アクリル樹脂、特に水溶性アクリル樹脂が用いられる場合には、前記のポリエポキシ化合物、特に水に可溶なポリグリシジルエーテルポリオールが併用されることが好ましい。ポリグリシジルエーテルポリオールが含有されない場合には、ポットライフが短く、硬化処理が困難になることがある。
【0017】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明のアルミニウムキレートとは異種の硬化剤、必要により、例えば低級アミン、メラミン樹脂などのアミノ樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート、及び酸無水物等の1種以上と、顔料、顔料分散剤、酸化防止剤、レベリング剤、粘弾性調整剤等の添加剤も含有されていてもよい。
【0018】
アクリル樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の場合は、溶剤:10〜90重量%、アクリル樹脂:10〜90重量%、ポリエポキシ化合物:0〜50重量%、前記一般式(1)で表されるアルミニウムキレート:0.01〜20重量%の範囲で配合することが好ましい。エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の場合は、溶剤:10〜90重量%、エポキシ樹脂:10〜90重量%、前記一般式(1)で表されるアルミニウムキレート:0.01〜20重量%の範囲で配合することが好ましい。含有量が0.01重量%より少ない場合は、硬化性が不十分となり耐溶剤性などの性能が低い被膜しか与えないので好ましくない。20重量%を超えるとポットライフが短くなり、硬化処理が困難になるため好ましくない。
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分を、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー等で混合する一般的な方法により得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、電気絶縁材料等に利用することができる。
【0020】
【実施例】
本発明を、下記実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例により限定されるものではない。
なお、アルミニウム含有量の測定は、キレート滴定法で行った。
【0021】
製造例1
300ml4ッ口フラスコに、アルミニウムトリイソプロポキシド16.83g(82.4mmol)、2−プロパノール 39.27gを仕込み、これを50℃に加熱した。この混合物に、アセト酢酸アミド2−プロパノール溶液(アセト酢酸アミド25.00g、247.2mmol)100gを滴下した。滴下終了後、82℃において還流下2時間反応を行い、冷却後析出した結晶をろ過、乾燥してAl(AAM)325.72g(収率95.4%)を得た。
また、この生成物の構造を確認するために、アルミニウム含量、IRスペクトルの測定を行った。
Al含量:8.23%(理論値8.25%)
IRスペクトル:3470〜3216cm−1 (N−H伸縮振動)、1629cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1590cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1529cm−1 (アミドN−H変角振動)、1420、1351cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、773cm−1 (C=O共役系変角振動)、497、440cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0022】
製造例2
300ml4ッ口フラスコ中に、(エチルアセトアセタト)ジ(イソプロポキシ)アルミニウム(III )(川研ファインケミカル社製、商標:ALCH)27.13g(98.9mmol)と、エタノール 63.31gとを仕込み、これを70℃に加熱した。この混合物にアセト酢酸アミドエタノール溶液(アセト酢酸アミド20.00g、197.8mmol)100gを滴下した。滴下終了後、この反応混合物に、78℃において還流下、2時間加熱して反応を行い、冷却後析出した結晶をろ過し、乾燥してAl(AAM)2(EAA)21.63g(収率61.3%)を得た。
Al含量:8.23%(理論値8.25%)
IRスペクトル:3452〜3212cm−1 (N−H伸縮振動)、1628cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C、エステルC=O伸縮振動)、1531cm−1 (アミドN−H変角振動)、1421、1350cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1295cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、783cm−1 (C=O共役系変角振動)、505、438cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0023】
製造例3
製造例2と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りに、アセト酢酸アニリドを使用して、Al(Acan)318.98g(収率89.9%)を製造した。
Al含量:4.83%(理論値4.86%)
IRスペクトル:3398、3315cm−1 (N−H伸縮振動)、1620cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1590cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1556cm−1 (アミドN−H変角振動)、1437、1328cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、785cm−1 (C=O共役系変角振動)、753cm−1 (芳香環面内変角振動)、692、407cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0024】
製造例4
製造例2と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りにアセト酢酸アニリドを使用して、Al(Acan)2(EAA)26.88g(収率93.7%)を製造した。
Al含量:5.28%(理論値5.31%)
IRスペクトル:3392、3308cm−1 (N−H伸縮振動)、1615cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1552cm−1 (アミドN−H変角振動)、1529cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、1437、1327cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1299cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、785cm−1 (C=O共役系変角振動)、753cm−1 (芳香環面内変角振動)、693、409cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0025】
製造例5
300ml4ッ口フラスコ中に、アルミニウムトリイソプロポキシド17.32g(84.8mmol)、及び2−プロパノール 98.14gを仕込み、50℃に加熱した。この混合物中に、N,N−ジエチルアセト酢酸アミド40.00g(254mmol)を滴下した。滴下終了後、82℃の温度で、還流下、2時間加熱して反応を行った。その後、得られた反応混合液を濃縮して、Al(DEAA)3 42.00g(収率99.9%)を得た。
Al含量:5.45%(理論値5.45%)
IRスペクトル:1618cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1576cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1410cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、785cm−1 (C=O共役系変角振動)、529、456cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0026】
製造例6
製造例1と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りに、N−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミドを使用して、Al(HYAAM)314.21g(収率99.7%)を製造した。
Al含量:6.44%(理論値6.47%)
IRスペクトル:3340cm−1 (O−H伸縮振動)、1604cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1571cm−1 (アミドN−H変角振動)、1419cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1295cm−1 (アミドC−N伸縮振動)、
779cm−1 (C=O共役系変角振動)、626、487cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0027】
製造例7
製造例2と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りにN−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミドを使用して、Al(EAA)(HYAAM)231.45g(収率99.1%)を製造した。
Al含量:6.45%(理論値6.48%)
IRスペクトル:3330cm−1 (O−H伸縮振動)、1608cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1572cm−1 (アミドN−H変角振動)、1522cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、1419cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1294cm−1 (エステルC=O、アミドC−N伸縮振動)、784cm−1 (C=O共役系変角振動)、627、492cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0028】
製造例8
300ml4ッ口フラスコ中に、アルミニウムトリイソプロポキシド5.75g(28.2mmol)を仕込み、50℃に加熱した。これに、アセト酢酸オレイル9.94g(28.2mmol)を滴下し、その後90℃において30分間加熱し、さらに減圧下で、1時間加熱して反応させた。反応混合液を50℃に冷却後、これにアセト酢酸アニリド/テトラヒドロフラン溶液(アセト酢酸アニリド10.00g、56.4mmol)100.0gを滴下混合した。滴下終了後、この混合液を67℃において、還流下2時間加熱して反応させた。得られた反応混合液を濃縮し、冷却し、析出した結晶をろ過し、乾燥して、Al(Acan)2(OLAA)18.89g(収率95.2%)を得た。
Al含量:3.82%(理論値3.83%)
IRスペクトル:3307、3218cm−1 (N−H伸縮振動)、2924、2853cm−1(CH2、CH3のC−H伸縮振動)、1615cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1564cm−1 (アミドN−H変角振動)、1522cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、1437cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1328cm−1 (アミドC−N伸縮振動)、1296cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、786cm−1 (C=O共役系変角振動)、693、506cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0029】
製造例9
500ml4ッ口フラスコ中に、アルミニウムトリイソプロポキシド11.52g(56.4mmol)及び2−プロパノール 34.57gを仕込み、この混合液を50℃に加熱した。この混合液中に、アセト酢酸アニリド/2−プロパノール溶液(アセト酢酸アミド20.00g、112.9mmol)200gを滴下混合した。滴下終了後、この混合液を、82℃において、還流下2時間加熱して反応させた。得られた反応混合液を50℃に冷却後、その中にアセチルアセトン5.65g(56.4mmol)滴下混合した。滴下終了後、還流下反応混合液を82℃において、2時間加熱して反応後、冷却し析出した結晶をろ過し、乾燥して、Al(acac)(Acan)2 24.86g(収率92.1%)を得た。
Al含量:5.63%(理論値5.64%)
IRスペクトル:3394、3310cm−1 (N−H伸縮振動)、1621cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1590cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1554cm−1 (アミドN−H変角振動)、1437、1325cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、753cm−1 (芳香環面内変角振動)、692cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0030】
製造例10
製造例1と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りに、アセト酢酸アニリドを使用して、Al(AAM)2(acac)27.66g(収率95.2%)を製造した。
Al含量:8.25%(理論値8.27%)
IRスペクトル:3457〜3217cm−1 (N−H伸縮振動)、1626cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1533cm−1 (アミドN−H変角振動)、1419、1352cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、774cm−1 (C=O共役系変角振動)、497、438cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0031】
製造例1〜10において製造されたアルミニウムキレートの種類及び分析結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
下記実施例及び比較例の各々において、表1に示されたアルミニウムキレートを含有する硬化性樹脂組成物を製造し、この組成物から所定の硬化条件で被膜を調製し、その硬化性能を試験した。
【0034】
実施例1〜10,比較例1〜3
実施例1〜10及び比較例1〜3の各々において、表2,3及び4に記載の組成に従って、アクリル樹脂(商標:ウォーターゾールS−744;樹脂固形分40%;アンモニア中和型;大日本インキ化学工業社製;以下、樹脂A−1と記す)、ポリエポキシ化合物(商標:デナコールEX−421;固形分100%;ナガセケムテックス社製;以下、ポリエポキシ化合物C−1と記す)、及びあらかじめ溶剤に溶解したアルミニウムキレートを、5分間攪拌混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
実施例11〜20,比較例4〜6
実施例11〜20及び比較例4〜6の各々において、エポキシ樹脂(商標:エピコート1010;樹脂固形分100%;ジャパンエポキシレジン社製以下これをE−lと記す)を濃度40重量%になるようにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、これをDMFと記す)に溶解した。この溶液25.0g(純分10g)に、表5,6,7に記載の組成に従って、アルミニウムキレートを濃度が30重量%になるように調整したDMF溶液1.33g(アルミニウムキレートとして0.4g、エポキシ樹脂固形分に対して4重量%)を添加し、5分間攪拌混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
前記実施例1〜20及び比較例1〜6の各々において調製された硬化性樹脂組成物を下記硬化被覆試験に供した。試験結果を表2〜7に示す。
硬化被膜の試験
(1)ラビング試験
前記硬化性樹脂組成物を鋼板上にアプリケーターを用いて膜厚6μmになるように塗布し、表2〜7に記載の条件で硬化して被膜を作製した。
実施例1〜10及び比較例1〜3の各々において調製された硬化性樹脂組成物から得られた被膜に対しては、メタノールを滲み込ませた脱脂綿で被膜を擦り、被膜が傷つかない最大摩擦回数を測定した。この数字が大きいほど耐溶剤性が高いことを示している。
実施例11〜20及び比較例4〜6の各々の硬化性樹脂組成物から得られた被膜に対しては、DMFを滲み込ませた脱脂綿で擦り、被膜が傷つかない最大の回数を測定した。
【0043】
(2)ゲル分率
実施例1〜20及び比較例1〜6の各々の硬化性樹脂組成物を、鋼板上に、アプリケーターを用いて膜厚25μmになるように塗布し、第2〜7に記載の条件下で乾燥被膜を作製した。
実施例1〜10及び比較例1〜3の各々の硬化性樹脂組成物から得られた鋼板上の被膜に対しては、それを鋼板とともにメタノール中に浸漬し、50℃に加熱しながら放置し、16時間後に被膜つき鋼板を取り出して乾燥した。また、実施例11〜20及び比較例4〜6の各々の硬化性組成物から得られた鋼板上の被膜に対しては、それを鋼板とともにDMF中に浸漬し、50℃に加熱放置した。16時間後に被膜つき鋼板を取り出して乾燥させた。上記溶剤浸漬後の被膜の各々の重量の、溶剤浸漬前の各被膜の重量に対する比率(%)を計算し、その値をもって各樹脂組成物被膜のゲル分率を表した。この数字が大きいほど、当該被膜の耐溶剤性が高いことを示している。
【0044】
(3)鉛筆硬度
実施例1〜20及び比較例1〜6の各々の樹脂組成物を、鋼板上に、アプリケーターを用いて膜厚6μmになるように塗布し、表2〜7に記載の条件下で、硬化して被膜を形成した。この被膜に、鉛筆を押し付けながら動かし、被膜に傷が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を測定した。鉛筆の硬度が硬いほど、被膜の硬度が高いことを示している。
【0045】
【発明の効果】
特定のβ−ケトアミド類を配位子として含むアルミニウムキレートを、樹脂、好ましくはアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂の硬化剤として使用することにより、耐溶剤性が高く、かつ、機械的強度も高い硬化被膜を形成することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、電気絶縁材料などに使用されるアクリル樹脂及び、エポキシ樹脂の硬化剤として有用なアルミニウムキレートに関する。さらに、該アルミニウムキレート、アクリル樹脂あるいはエポキシ樹脂から選ばれる1種の樹脂、及び溶剤を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭48−17859号公報(特許文献1)には、分子内にカルボキシル基を有する線状共重合体とアルミニウム錯化合物と、ケトエノール型互変異性化合物と、及び溶剤とを含有する一液性常温硬化型被覆組成物が開示されている。また、特開平4−13787号公報(特許文献2)には、エポキシ当量が180〜4000の範囲内にあるビスフェノール型エポキシ樹脂と、アルミニウムアルコラート化合物と、及びノボラック型フェノール樹脂とを含有する被覆用樹脂組成物が開示されている。しかし、樹脂の種類によっては、それにアルミニウムキレート化合物を配合して得られる硬化性樹脂組成物を塗布して得られる被膜は、その耐溶剤性が悪く、強度も不十分な場合があった。また、公知のβ−ケトエステルあるいはβ−ジケトンを配位子として含むアルミニウムキレート化合物を含有する硬化性樹脂組成物は、それを加熱して硬化する際に昇華物を生ずることがあり、その結果、得られる被膜性能が低下したり、使用環境を汚染したりすることがあった。
【0003】
【特許文献1】
特公昭48−17859号公報、第1〜8頁
【特許文献2】
特開平4−13787号公報、第1〜5頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は耐溶剤性に優れ、強度が高い被膜を形成することができる樹脂、好ましくはアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂用の硬化剤及びそれを含む硬化性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、配位子に特定の構造を有するアルミニウムキレートを樹脂、好ましくはアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂に対し、その硬化剤として使用すると、耐溶剤性が高くまた、強度も高い被膜が形成されることを見出した。また、本発明の特定の構造の配位子を有するアルミキレートを樹脂の硬化剤として使用した場合、昇華物の発生を大幅に低減できることも見出され、本発明は、上記知見に基いて完成されたものである。
【0006】
すなわち本発明の樹脂用硬化剤(1)は
(1)少なくとも1種のアルミニウムアルコキシド、
及び
(2)下記一般式(I)によって表される少なくとも1種のβ−ケトアミド:
【化4】
〔但し、一般式(I)中、R1 は水素原子、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシエチル基、及び置換されていてもよいアリール基から選ばれた1員を表し、R2 は水素原子及び1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれた1員を表し、R3 は1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基を表す〕
を反応させて得られるアルミニウムキレートを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の樹脂用硬化剤(2)は、
(1)少なくとも1種のアルミニウムアルコキシド、
(2)下記一般式(I)によって表される少なくとも1種のβ−ケトアミド:
【化5】
〔但し、一般式(I)中、R1は水素原子、1乃至4個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシエチル基、及び置換されていてもよいアリール基から選ばれた1員を表し、R2 は水素原子及び1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれた1員を表し、R3 は1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基を表す〕
及び
(3)前記β−ケトアミドとは異種のケトエノール型互変異性化合物
を反応させて得られるアルミニウムキレートを含有することを特徴とするものである。
本発明の樹脂用硬化剤(2)において、前記ケトエノール型互変異性化合物(3)が、下記一般式(II)により表されるβ−ケトエステル及び下記一般式(III )により表されるβ−ジケトン:
【化6】
〔但し、一般式(II)中、R4 は1乃至18個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基及びベンジル基から選ばれた1員を表し、R5 は1乃至3個の炭素原子を有するアルキル基及びアリール基から選ばれた1員を表し、一般式(III )中、R6 及びR7 は、互に独立に、1乃至8個の炭素原子を有するアルキル基、及びアリール基から選ばれた1員を表す〕
から選ばれることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記本発明の樹脂用硬化剤(1)又は(2)、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも一種からなる樹脂、並びに溶剤を含有することを特徴とするものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにポリエポキシ化合物を含んでいてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂用硬化剤(1)は、アルミニウムアルコキシド(1)と、一般式(I)により表されるβ−ケトアミド(2)との反応生成物であり、本発明の樹脂用硬化剤(2)はアルミニウムアルコキシド(1)と一般式のβ−ケトアミド(2)と、このβ−ケトアミド(2)とは異種のケトエノール型互変異性化合物(3)とを反応させて得られるものである。硬化剤(1)において、アルミニウム1原子に対し、β−ケトアミド(2)3分子が、配位結合していることが好ましく、硬化剤(2)においては、アルミニウム1原子に対し、β−ケトアミド(2)及びそれとは異種のケトエノール型互変異性化合物の合計3分子が配位結合していることが好ましい。
前記一般式(I)で表されるβ−ケトアミド(2)は、例えばアセト酢酸アミド、N−メチルアセト酢酸アミド、N,N−ジメチルアセト酢酸アミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミド、アセト酢酸アニリド、N−(2−メチルフェニル)アセト酢酸アミド、N−(4−メトキシフェニル)アセト酢酸アミド、N−(4−クロロフェニル)アセト酢酸アミド、及び3−オキソペンタン酸アミドなどを包含する。式(I)のβ−ケトアミド化合物は、好ましくは、アセト酢酸アミド、N−メチルアセト酢酸アミド、及びN−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミドから選ばれる。
【0008】
一般式(I)により表されるβ−ケトアミド(2)とは異種のケトエノール互変異性化合物(3)は一般式(II)のβ−ケトエステル及び一般式(III )のβ−ジケトンから選ばれることが好ましい。前記一般式(II)で表されるβ−ケトエステル化合物は、例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ベンジル、3−オキソペンタン酸メチル、3−オキソペンタン酸オクチルなどを包含し、好ましくは、アセト酢酸メチル及びアセト酢酸エチルから選ばれる。
【0009】
前記一般式(III )で表されるβ−ジケトン化合物は、例えばアセチルアセトン、1−ベンゾイルアセトン及びジベンゾイルメタンなどを包含し、好ましくは、アセチルアセトンである。
【0010】
本発明のアルミニウムキレートは、例えば、下記の方法により製造することができる。
すなわちアルミニウムアルコキシドを、適当な溶媒(例えば2−プロパノール、エタノール等)に溶解し、この溶液中に、所定モル量のβ−ケトアミド化合物、β−ケトエステル、β−ジケトンを、そのまま、或いはこれらを適当な溶媒(例えば2−プロパノール、エタノール等)に溶解した溶液を滴下し、この混合液を加熱して、アルミニウムキレートを製造する。反応終了後、反応液から溶媒を留去し、冷却して晶析を行うことにより、目的のアルミニウムキレート化合物を製造することができる。
【0011】
上記のようにして得られる本発明のアルミニウムキレートとしては、例えばトリス(アセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(AAM)3と記す)、ビス(アセトアセタミダト)(エチルアセトアセタト)アルミニウム(III )(以下、Al(AAM)2(EAA)と記す)、トリス(アセトアセタニリダト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)3と記す)、ビス(アセトアセタニリダト)(エチルアセトアセタト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)2(EAA)と記す)、トリス(ジエチルアセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(DEAA)3と記す)、トリス(N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(HYAAM)3と記す)、(エチルアセトアセタト)ビス(N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアセタミダト)アルミニウム(III )(以下、Al(EAA)(HYAAM)2と記す)、ビス(アセトアセタニリダト)(オレイルアセトアセタト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)2(OLAA)と記す)、ビス(アセトアセタミダト)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III )(以下、Al(AAM)2(acac) と記す)、ビス(アセトアセタニリダト)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III )(以下、Al(Acan)2(acac) と記す)などが包含される。
【0012】
本発明の硬化剤を配合する樹脂には、それが本発明の硬化剤により硬化する限り、格別の制限はないが、一般にアクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた1種以上からなるものであることが好ましい。
【0013】
アクリル樹脂としては、一分子中に1個以上の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸モノマー、すなわち、アクリル酸及びメタクリル酸;他のエチレン性不飽和カルボン酸例えばクロトン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸など、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、及び(メタ)アクリル酸モノグリセリルエステル等;アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸ジメチルアミノエチル、及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル等;飽和含酸素三〜五員環基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばアクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の群から選ばれた少なくとも1種の重合体及び共重合体、並びに前記モノマーと、これに共重合可能な他のモノマー、例えば、アクリル酸エステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、及びアクリル酸−2−エチルヘキシル等;メタクリル酸エステル、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ラウリル、及びメタクリル酸グリシジル等;不飽和カルボン酸アミド、例えばアクリル酸アミド及びN−メチロールアクリル酸アミド等;その他の重合性モノマー、例えばアクリロニトリル、酢酸ビニル、及びスチレン等、の群から選ばれた少なくとも1種とを共重合することにより得られる樹脂等が包含される。
【0014】
エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型等);環状脂肪族エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール等)、ジグリシジルヒダントイン等のヒダントイン型エポキシ樹脂、及びこれらエポキシ樹脂をアミンあるいはポリアミドで変性した樹脂等を挙げることができる。
また、ポリエポキシ化合物としては、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルポリオール、低重合度のビスフェノール型エポキシ樹脂等が例示できる。
【0015】
本発明の硬化剤含有樹脂組成物に含まれる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類あるいは、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、水、ジメチルホルムアミドなどが例示できる。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物には、前述のように、好ましくはアクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂、本発明のアルミニウムキレート及び溶剤が含有される。
アクリル樹脂、特に水溶性アクリル樹脂が用いられる場合には、前記のポリエポキシ化合物、特に水に可溶なポリグリシジルエーテルポリオールが併用されることが好ましい。ポリグリシジルエーテルポリオールが含有されない場合には、ポットライフが短く、硬化処理が困難になることがある。
【0017】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明のアルミニウムキレートとは異種の硬化剤、必要により、例えば低級アミン、メラミン樹脂などのアミノ樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート、及び酸無水物等の1種以上と、顔料、顔料分散剤、酸化防止剤、レベリング剤、粘弾性調整剤等の添加剤も含有されていてもよい。
【0018】
アクリル樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の場合は、溶剤:10〜90重量%、アクリル樹脂:10〜90重量%、ポリエポキシ化合物:0〜50重量%、前記一般式(1)で表されるアルミニウムキレート:0.01〜20重量%の範囲で配合することが好ましい。エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物の場合は、溶剤:10〜90重量%、エポキシ樹脂:10〜90重量%、前記一般式(1)で表されるアルミニウムキレート:0.01〜20重量%の範囲で配合することが好ましい。含有量が0.01重量%より少ない場合は、硬化性が不十分となり耐溶剤性などの性能が低い被膜しか与えないので好ましくない。20重量%を超えるとポットライフが短くなり、硬化処理が困難になるため好ましくない。
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分を、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー等で混合する一般的な方法により得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、電気絶縁材料等に利用することができる。
【0020】
【実施例】
本発明を、下記実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例により限定されるものではない。
なお、アルミニウム含有量の測定は、キレート滴定法で行った。
【0021】
製造例1
300ml4ッ口フラスコに、アルミニウムトリイソプロポキシド16.83g(82.4mmol)、2−プロパノール 39.27gを仕込み、これを50℃に加熱した。この混合物に、アセト酢酸アミド2−プロパノール溶液(アセト酢酸アミド25.00g、247.2mmol)100gを滴下した。滴下終了後、82℃において還流下2時間反応を行い、冷却後析出した結晶をろ過、乾燥してAl(AAM)325.72g(収率95.4%)を得た。
また、この生成物の構造を確認するために、アルミニウム含量、IRスペクトルの測定を行った。
Al含量:8.23%(理論値8.25%)
IRスペクトル:3470〜3216cm−1 (N−H伸縮振動)、1629cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1590cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1529cm−1 (アミドN−H変角振動)、1420、1351cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、773cm−1 (C=O共役系変角振動)、497、440cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0022】
製造例2
300ml4ッ口フラスコ中に、(エチルアセトアセタト)ジ(イソプロポキシ)アルミニウム(III )(川研ファインケミカル社製、商標:ALCH)27.13g(98.9mmol)と、エタノール 63.31gとを仕込み、これを70℃に加熱した。この混合物にアセト酢酸アミドエタノール溶液(アセト酢酸アミド20.00g、197.8mmol)100gを滴下した。滴下終了後、この反応混合物に、78℃において還流下、2時間加熱して反応を行い、冷却後析出した結晶をろ過し、乾燥してAl(AAM)2(EAA)21.63g(収率61.3%)を得た。
Al含量:8.23%(理論値8.25%)
IRスペクトル:3452〜3212cm−1 (N−H伸縮振動)、1628cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C、エステルC=O伸縮振動)、1531cm−1 (アミドN−H変角振動)、1421、1350cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1295cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、783cm−1 (C=O共役系変角振動)、505、438cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0023】
製造例3
製造例2と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りに、アセト酢酸アニリドを使用して、Al(Acan)318.98g(収率89.9%)を製造した。
Al含量:4.83%(理論値4.86%)
IRスペクトル:3398、3315cm−1 (N−H伸縮振動)、1620cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1590cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1556cm−1 (アミドN−H変角振動)、1437、1328cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、785cm−1 (C=O共役系変角振動)、753cm−1 (芳香環面内変角振動)、692、407cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0024】
製造例4
製造例2と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りにアセト酢酸アニリドを使用して、Al(Acan)2(EAA)26.88g(収率93.7%)を製造した。
Al含量:5.28%(理論値5.31%)
IRスペクトル:3392、3308cm−1 (N−H伸縮振動)、1615cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1552cm−1 (アミドN−H変角振動)、1529cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、1437、1327cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1299cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、785cm−1 (C=O共役系変角振動)、753cm−1 (芳香環面内変角振動)、693、409cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0025】
製造例5
300ml4ッ口フラスコ中に、アルミニウムトリイソプロポキシド17.32g(84.8mmol)、及び2−プロパノール 98.14gを仕込み、50℃に加熱した。この混合物中に、N,N−ジエチルアセト酢酸アミド40.00g(254mmol)を滴下した。滴下終了後、82℃の温度で、還流下、2時間加熱して反応を行った。その後、得られた反応混合液を濃縮して、Al(DEAA)3 42.00g(収率99.9%)を得た。
Al含量:5.45%(理論値5.45%)
IRスペクトル:1618cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1576cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1410cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、785cm−1 (C=O共役系変角振動)、529、456cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0026】
製造例6
製造例1と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りに、N−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミドを使用して、Al(HYAAM)314.21g(収率99.7%)を製造した。
Al含量:6.44%(理論値6.47%)
IRスペクトル:3340cm−1 (O−H伸縮振動)、1604cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1571cm−1 (アミドN−H変角振動)、1419cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1295cm−1 (アミドC−N伸縮振動)、
779cm−1 (C=O共役系変角振動)、626、487cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0027】
製造例7
製造例2と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りにN−(2−ヒドロキシエチル)アセト酢酸アミドを使用して、Al(EAA)(HYAAM)231.45g(収率99.1%)を製造した。
Al含量:6.45%(理論値6.48%)
IRスペクトル:3330cm−1 (O−H伸縮振動)、1608cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1572cm−1 (アミドN−H変角振動)、1522cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、1419cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1294cm−1 (エステルC=O、アミドC−N伸縮振動)、784cm−1 (C=O共役系変角振動)、627、492cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0028】
製造例8
300ml4ッ口フラスコ中に、アルミニウムトリイソプロポキシド5.75g(28.2mmol)を仕込み、50℃に加熱した。これに、アセト酢酸オレイル9.94g(28.2mmol)を滴下し、その後90℃において30分間加熱し、さらに減圧下で、1時間加熱して反応させた。反応混合液を50℃に冷却後、これにアセト酢酸アニリド/テトラヒドロフラン溶液(アセト酢酸アニリド10.00g、56.4mmol)100.0gを滴下混合した。滴下終了後、この混合液を67℃において、還流下2時間加熱して反応させた。得られた反応混合液を濃縮し、冷却し、析出した結晶をろ過し、乾燥して、Al(Acan)2(OLAA)18.89g(収率95.2%)を得た。
Al含量:3.82%(理論値3.83%)
IRスペクトル:3307、3218cm−1 (N−H伸縮振動)、2924、2853cm−1(CH2、CH3のC−H伸縮振動)、1615cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1564cm−1 (アミドN−H変角振動)、1522cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、1437cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、1328cm−1 (アミドC−N伸縮振動)、1296cm−1 (エステルC=O伸縮振動)、786cm−1 (C=O共役系変角振動)、693、506cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0029】
製造例9
500ml4ッ口フラスコ中に、アルミニウムトリイソプロポキシド11.52g(56.4mmol)及び2−プロパノール 34.57gを仕込み、この混合液を50℃に加熱した。この混合液中に、アセト酢酸アニリド/2−プロパノール溶液(アセト酢酸アミド20.00g、112.9mmol)200gを滴下混合した。滴下終了後、この混合液を、82℃において、還流下2時間加熱して反応させた。得られた反応混合液を50℃に冷却後、その中にアセチルアセトン5.65g(56.4mmol)滴下混合した。滴下終了後、還流下反応混合液を82℃において、2時間加熱して反応後、冷却し析出した結晶をろ過し、乾燥して、Al(acac)(Acan)2 24.86g(収率92.1%)を得た。
Al含量:5.63%(理論値5.64%)
IRスペクトル:3394、3310cm−1 (N−H伸縮振動)、1621cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1590cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1554cm−1 (アミドN−H変角振動)、1437、1325cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、753cm−1 (芳香環面内変角振動)、692cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0030】
製造例10
製造例1と同様にして、但し、アセト酢酸アミドの代りに、アセト酢酸アニリドを使用して、Al(AAM)2(acac)27.66g(収率95.2%)を製造した。
Al含量:8.25%(理論値8.27%)
IRスペクトル:3457〜3217cm−1 (N−H伸縮振動)、1626cm−1 (アミドC=O伸縮振動)、1591cm−1 (エノールC=C伸縮振動)、1533cm−1 (アミドN−H変角振動)、1419、1352cm−1 (COCH3のC−H変角振動)、774cm−1 (C=O共役系変角振動)、497、438cm−1 (Al−O伸縮振動)
【0031】
製造例1〜10において製造されたアルミニウムキレートの種類及び分析結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
下記実施例及び比較例の各々において、表1に示されたアルミニウムキレートを含有する硬化性樹脂組成物を製造し、この組成物から所定の硬化条件で被膜を調製し、その硬化性能を試験した。
【0034】
実施例1〜10,比較例1〜3
実施例1〜10及び比較例1〜3の各々において、表2,3及び4に記載の組成に従って、アクリル樹脂(商標:ウォーターゾールS−744;樹脂固形分40%;アンモニア中和型;大日本インキ化学工業社製;以下、樹脂A−1と記す)、ポリエポキシ化合物(商標:デナコールEX−421;固形分100%;ナガセケムテックス社製;以下、ポリエポキシ化合物C−1と記す)、及びあらかじめ溶剤に溶解したアルミニウムキレートを、5分間攪拌混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
実施例11〜20,比較例4〜6
実施例11〜20及び比較例4〜6の各々において、エポキシ樹脂(商標:エピコート1010;樹脂固形分100%;ジャパンエポキシレジン社製以下これをE−lと記す)を濃度40重量%になるようにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、これをDMFと記す)に溶解した。この溶液25.0g(純分10g)に、表5,6,7に記載の組成に従って、アルミニウムキレートを濃度が30重量%になるように調整したDMF溶液1.33g(アルミニウムキレートとして0.4g、エポキシ樹脂固形分に対して4重量%)を添加し、5分間攪拌混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
前記実施例1〜20及び比較例1〜6の各々において調製された硬化性樹脂組成物を下記硬化被覆試験に供した。試験結果を表2〜7に示す。
硬化被膜の試験
(1)ラビング試験
前記硬化性樹脂組成物を鋼板上にアプリケーターを用いて膜厚6μmになるように塗布し、表2〜7に記載の条件で硬化して被膜を作製した。
実施例1〜10及び比較例1〜3の各々において調製された硬化性樹脂組成物から得られた被膜に対しては、メタノールを滲み込ませた脱脂綿で被膜を擦り、被膜が傷つかない最大摩擦回数を測定した。この数字が大きいほど耐溶剤性が高いことを示している。
実施例11〜20及び比較例4〜6の各々の硬化性樹脂組成物から得られた被膜に対しては、DMFを滲み込ませた脱脂綿で擦り、被膜が傷つかない最大の回数を測定した。
【0043】
(2)ゲル分率
実施例1〜20及び比較例1〜6の各々の硬化性樹脂組成物を、鋼板上に、アプリケーターを用いて膜厚25μmになるように塗布し、第2〜7に記載の条件下で乾燥被膜を作製した。
実施例1〜10及び比較例1〜3の各々の硬化性樹脂組成物から得られた鋼板上の被膜に対しては、それを鋼板とともにメタノール中に浸漬し、50℃に加熱しながら放置し、16時間後に被膜つき鋼板を取り出して乾燥した。また、実施例11〜20及び比較例4〜6の各々の硬化性組成物から得られた鋼板上の被膜に対しては、それを鋼板とともにDMF中に浸漬し、50℃に加熱放置した。16時間後に被膜つき鋼板を取り出して乾燥させた。上記溶剤浸漬後の被膜の各々の重量の、溶剤浸漬前の各被膜の重量に対する比率(%)を計算し、その値をもって各樹脂組成物被膜のゲル分率を表した。この数字が大きいほど、当該被膜の耐溶剤性が高いことを示している。
【0044】
(3)鉛筆硬度
実施例1〜20及び比較例1〜6の各々の樹脂組成物を、鋼板上に、アプリケーターを用いて膜厚6μmになるように塗布し、表2〜7に記載の条件下で、硬化して被膜を形成した。この被膜に、鉛筆を押し付けながら動かし、被膜に傷が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を測定した。鉛筆の硬度が硬いほど、被膜の硬度が高いことを示している。
【0045】
【発明の効果】
特定のβ−ケトアミド類を配位子として含むアルミニウムキレートを、樹脂、好ましくはアクリル樹脂及び/又はエポキシ樹脂の硬化剤として使用することにより、耐溶剤性が高く、かつ、機械的強度も高い硬化被膜を形成することができる。
Claims (5)
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂用硬化剤と、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも一種からなる樹脂と、及び溶剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- ポリエポキシ化合物がさらに含まれる、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
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2003
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