JP2004331832A - Dnaインク組成物とそれを用いた識別画像印刷体、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

Dnaインク組成物とそれを用いた識別画像印刷体、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Hitoshi Arita
均 有田
Akio Kojima
明夫 小島
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Abstract

【課題】偽造されることのない識別機能を有し、インクジェット記録方式によって所望の記録媒体に印刷が可能で、環境汚染の心配のないインクと、該インクにより記録された画像からリアルタイムで識別情報を検出し、個人あるいは工業製品を識別し、偽造防止を可能とする識別システムを提供する。
【解決手段】少なくとも、表面にDNA分子を結合した超微粒子と、水とを組成分とし、必要に応じて、着色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水溶性高分子化合物、pH緩衝剤、蛋白質、糖類などを添加して水性のインクを調製する。このDNAインクを用い、インクジェット記録記録装置によって、所望の記録媒体に識別画像を形成する。識別画像中のDNA情報を、核磁気共鳴現象を利用した検出手段と予め登録されたDNA情報と照合する判断手段とを備えたシステムで識別する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式を適用した偽造防止に係る印刷技術に関し、特にDNA(deoxyribonucleic acid)分子を含有するインク組成物と、DNAインク組成物を用いて、個人あるいは工業製品を識別する機能を有する識別画像を形成した識別画像印刷体とその識別システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、店頭やネットワーク上で個人情報が記録された各種カードを使用する場合に、個人識別情報であるパスワードが盗み取られ、これを使用して偽造カードが作成、利用される問題が発生している。このような偽造カードの使用を防止する一般的な対策として、各種カードに本人の顔写真を記録添付する方法が採用されている。しかし、顔写真は盗撮などにより入手、利用することができるため、この方法だけでカードの偽造を完全に防止することは困難である。
【0003】
このような要請から、DNAを使って偽造の防止に対処する方法が考えられている。例えば、DNA分子とカチオン性界面活性剤とを混合した個人識別用DNAインクを用いてポリイオンコンプレックス化合物の薄膜パターンを形成し、形成される複雑なパターンを個人識別情報として利用することにより偽造を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、この方法では、DNA分子が薄膜状に展開されて形成する複雑な薄膜パターンを識別情報として光学的に検知するものであり、DNA分子の有する固有の生体情報を利用するものではない。また、用いられるDNAインクには有機溶媒(例えば、トルエンや塩化メチレン等)が使用されており、このような有機溶媒を用いる場合には環境汚染上の問題があるほか、印刷可能な記録媒体が限られてしまう。
【0004】
一方、本人から採取し得る生体情報、すなわち、指紋、虹彩、網膜など固有の情報を利用して個人を識別する方法が知られている。このような固有の情報を含んだ生体情報(通常アナログ情報)は、個人差が著しくて生体情報を採取する環境条件が異なると、情報(特徴点、相対的座標情報、閾値など)の採取基準や条件を一定とすることが難しく一義的なデータが得られず、このためデジタル化することは困難であった。
【0005】
そのため、指紋、虹彩、網膜などの生体情報を用いた場合のこれまでの本人認証識別精度は必ずしも高くないという制約があった(例えば、指紋の場合、本人識別率は約1/50万の程度とされている。)。なお、生体情報の一つであるDNA情報についても、従来は上記の指紋、虹彩、網膜などと同様に取り扱われており、特にDNA情報の特異性に着目し、DNA固有情報を適用した技術ではなかった。
【0006】
このような状況から、DNAを用いて個人の識別能力のある生体情報をデジタル情報化(DNA−ID)し、これをDNA利用型記録媒体、そのDNA利用型記録媒体を適用した本人認証システムと電子署名システムに利用することにより偽造を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、その場でインク中に含まれるDNA分子の固有の生体情報を分析検知するものではなく、デジタル情報化された生体情報をバーコードにより読み取るものである。また、用いられるインクの詳細は記載されていないが、通常のインクであることから印刷できる記録媒体が限られてしまい、更に有機溶媒を用いるインクでは環境汚染上の問題がある。
【0007】
また、DNAを混入したインクをベルトや金属プーリなどの工業製品に印刷して識別に関する信頼性を向上し、偽造を防ぐ方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法では、その場(認証確認時)においてインク中のDNA分子の固有生体情報を分析検知するものではなく、インク中の発光性化学物質をスキャナーデコーダーによって検出し、DNAの有無を認識するものである。DNA分子のパターンの詳細が必要な場合において、専門業者により分析されるものであるため、リアルタイムでの認証はできない。また、インクの詳細は記載されていないが、通常のマーク用のインクであることから印刷できる記録媒体が限られてしまい、更に有機溶媒を用いるインクでは環境汚染上の問題がある。
【0008】
上記偽造防止方法は、いずれもDNAを利用する点において従来の認証システムと異なり注目すべき技術であるが、インクにより形成された媒体のDNA分子の固有生体情報そのものをその場(認証システムによる確認時)で検出するものではない。また、DNAを含有する水性液媒体からなる構成としたインクとし、環境汚染上の問題を回避すると共に、これを用いてインクジェット記録方式により、所望の記録媒体に識別画像を印刷し、この識別画像を認証に利用することはこれまで知られていない。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−167530号公報
【特許文献2】
特開2002−288605号公報
【特許文献3】
特開2002−70951号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、DNA分子の有する塩基結合の膨大な組合せに基づく固有の生体情報(固有情報)を利用した偽造されることのない識別機能を有し、所望の記録媒体に画像を印刷することができ、かつ環境汚染の問題のない水溶性のDNAインク組成物を提供することにある。第2の目的は、該DNAインク組成物を用いて、どのような記録媒体にでも印刷できるインクジェット記録方式により、所望の記録媒体上に識別画像を記録する方法と該識別画像が記録された識別画像印刷体を提供することにある。第3の目的は、識別画像が記録された識別画像印刷体を用いて、認証確認時に識別画像中のDNA分子の固有情報をリアルタイムで検出し、個人あるいは工業製品を識別する偽造防止可能な識別システムを提供することにある。第4の目的は、DNAインク組成物を用いてインクジェット記録を実行するためのインクジェット記録装置とそれに用いるインクカートリッジ及び記録ユニットを提供することにある。
すなわち、インクジエット記録方式に適用できるDNAインク組成物(DNAインク)と、DNAインクにより記録される識別画像印刷体及びその記録方法、並びに識別画像印刷体の識別システムと、記録を実現するためのインクジェット記録装置を提供することにある。
なお、以降DNAインク組成物は、説明の簡便化のため、DNAインクと表現することがある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
少なくとも、表面にDNA分子を結合した超微粒子と、水とを組成分とすることにより、インクジェット記録方式に適用可能などのような記録媒体にも印刷できるDNAインク組成物を提供することが可能となる。組成分として、必要に応じて、着色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水溶性高分子化合物、pH緩衝剤、蛋白質、糖類などが加えられる。このDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式を適用した記録装置によって、記録媒体に識別画像を形成した識別画像印刷物を提供することが可能となる。また、核磁気共鳴現象を利用した検出手段と、記録媒体の所定の領域に形成された識別素子として機能する識別画像中のDNA分子固有情報から、認証確認時に直接DNA分子の生体情報を検出し、認証のために予め登録されたDNA情報と照合する判断手段とを備えた識別可能なシステムにより、個人あるいは工業製品の真偽の識別、認証が可能となる。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
請求項1の発明は、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有することを特徴とするDNAインク組成物である。
【0013】
請求項1の構成によれば、インクジェット記録方式により、どのような記録媒体にも画像を印刷することができ、しかも環境汚染等の問題のない水溶性のインクが提供される。このDNAインクにより、滲みなどの問題の無い高品質の画像が形成される。また、膨大な数の塩基結合の組合せによって構成される生体情報(固有情報)を包含したDNA分子をインク中に組み込むことによって識別機能を有する印刷画像の形成が可能となる。すなわち、このDNAインクを用いて形成される画像から得られるDNA分子の固有情報を個人や工業製品識別情報に対応付けて偽造防止に使用することが可能となる。
【0014】
請求項2の発明は、前記超微粒子は、平均粒子径0.05〜0.5μmの超微粒子であることを特徴とする請求項1に記載のDNAインク組成物である。
【0015】
請求項2の範囲に規定することによって、DNAインク調製時、乾燥状態にある超微粒子の水性液への均一な分散を可能とすることができるほか、DNAインク中における超微粒子の分散安定性を維持することができる。
【0016】
請求項3の発明は、前記超微粒子は、有機高分子化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のDNAインク組成物である。
【0017】
請求項3の構成によれば、DNAとの結合、インクの調合性、インクジエット記録に要請される諸特性を満たす好適な超微粒子(ラテックスやエマルジョン等の水分散液)が得られる。有機高分子化合物としては、例えば、スチレンを主体とするビニル系重合体などが例示される。また、三次元架橋された有機高分子化合物が好適に用いられる。
【0018】
請求項4の発明は、前記組成分として、更に着色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水溶性高分子化合物、pH緩衝剤、蛋白質、糖類から選ばれる少なくとも一つの成分を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のDNAインク組成物である。
【0019】
請求項4の構成によれば、定着性や発色性、あるいは凝集防止を考慮した着色、記録媒体への濡れ性、浸透性、滲み低減、記録装置のヘッド吐出安定性など、使用目的や要求特性に応じて、本発明におけるインクジエット記録法に適合したDNAインクが調整される。これによって、所望の記録媒体にインクジエット記録装置を用いて記録することができる。
【0020】
請求項5の発明は、前記全組成分中の固形分濃度が0.1〜10.0wt%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のDNAインク組成物である。
【0021】
請求項5の構成によれば、DNAインクの保存性、信頼性が向上すると共にインクジェット記録装置のヘッドからの吐出安定性を大幅に向上することが可能となる。これによって、所望の記録媒体に高品質の識別画像が記録可能となる。
【0022】
請求項6の発明は、前記組成分として、室温における蒸気圧が0.001〜50mmHgである少なくとも一種の水溶性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のDNAインク組成物である。
【0023】
請求項6の構成によれば、DNAインクの蒸気圧が適正に維持されることにより、DNAインクの保存性及び信頼性が向上するばかりでなくインクジェット記録装置のヘッドからの吐出安定性が向上する。これによって、所望の記録媒体に高品質の識別画像が記録可能となる。
【0024】
請求項7の発明は、前記DNA分子は、人または他の生物から採取されたDNAか、あるいは合成されたDNAであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のDNAインク組成物である。
【0025】
請求項7の構成によれば、膨大な数の塩基結合の組合せによって構成される生体情報(固有情報)を包含したDNA分子により、識別機能を有する印刷画像の形成が可能となる。このDNA分子の固有情報を個人や工業製品識別情報に対応付けて偽造防止に使用することができる。
【0026】
請求項8の発明は、インクジェットヘッドのノズルからインク液滴を吐出して識別画像を印刷するインクジェット記録装置に用いられるDNAインク組成物であって、
該インク組成物は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のDNAインク組成物であることを特徴とするDNAインク組成物である。
【0027】
請求項8によれば、インクジェット記録装置により、所望の記録媒体に高品質の識別画像を形成することができる。
【0028】
請求項9の発明は、前記DNAインク組成物の粘度は1〜20mPa・sで、表面張力は20〜70mN/mであり、かつ前記インクジェットヘッドのノズル面を構成する材料に対する接触角は30〜170゜であることを特徴とする請求項8に記載のDNAインク組成物である。
【0029】
請求項9の構成によれば、DNAインクの粘度、表面張力、ノズル材料に対する接触角が好適に維持されて、インクジェット記録装置に用いられた際に、保存性、信頼性が確保され、またヘッドからの吐出安定性が好適に維持され高品質の識別画像が形成される。
【0030】
請求項10の発明は、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式によって記録媒体上に、該DNA分子の有する固有情報から個人あるいは工業製品を特定し得る識別画像を記録したことを特徴とする識別画像印刷体である。
【0031】
請求項10のインクジェット記録方式によれば、所望の記録媒体に(従来不可能であった記録媒体にも)識別画像の印刷が可能となる。これによって、個人あるいは工業製品に関わる各種の識別画像印刷体の製作が実現する。例えば、各種のクレジットカード、証書、証明書、有価証券、商品などへ応用することにより、偽造による不正を防止することが可能となる。
【0032】
請求項11の発明は、前記DNA分子は、人または他の生物から採取されたDNAか、あるいは合成されたDNAであることを特徴とする請求項10に記載の識別画像印刷体である。
【0033】
請求項12の発明は、前記DNA分子は、個人を特定し得る当該個人から直接採取された生体的断片を基に得られた遺伝子に係わる情報であることを特徴とする請求項11に記載の識別画像印刷体である。
【0034】
請求項11あるいは12の構成によれば、DNA分子の包含する膨大な数の塩基結合の組合せによって構成される固有情報を、個人あるいは工業製品に対応付けすることによって、偽造を防止することが可能となる。
【0035】
請求項13の発明は、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、該DNA分子の有する固有情報から個人あるいは工業製品を特定し得る識別画像を記録媒体上に記録する識別画像印刷体の記録方法であって、
前記識別画像は、インクジェット記録方式により記録されることを特徴とする識別画像印刷体の記録方法である。
【0036】
請求項13の構成によれば、従来不可能であった記録媒体にも識別画像の印刷が可能となる。これによって、個人あるいは工業製品に関わる各種の識別画像印刷体の製作が実現する。
【0037】
請求項14の発明は、記録媒体上に、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式により記録された識別画像中の該DNA分子の有する固有情報を検出する検出手段と、該検出された固有情報と予め登録された個人特定に関連付けられた該DNAに係わる識別情報とを照合する判断手段と、該検出手段と判断手段とを含む全体システムを統合制御する制御管理手段とを備えたことを特徴とする個人認証システムである。
【0038】
請求項15の発明は、前記検出手段は、前記識別画像と非接触の状態で該識別画像中のDNA分子の有する固有情報を核磁気共鳴現象により検出する磁気センサを備えたことを特徴とする請求項14に記載の個人認証システムである。
【0039】
請求項16の発明は、記録媒体上に、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式により記録された識別画像中の該DNA分子の有する固有情報を検出する検出手段と、該検出された固有情報と予め登録された工業製品特定に関連付けられた該DNAに係わる識別情報とを照合する判断手段と、該検出手段と判断手段とを含む全体システムを統合制御する制御管理手段とを備えたことを特徴とする工業製品認証システムである。
【0040】
請求項17の発明は、前記検出手段は、前記識別画像と非接触の状態で該識別画像中のDNA分子の有する固有情報を核磁気共鳴現象により検出する磁気センサを備えたことを特徴とする請求項16に記載の工業製品認証システムである。
【0041】
請求項14〜17の構成によれば、個人あるいは工業製品用識別システムにより、識別画像中のDNA分子固有情報から得られる核磁気共鳴周波数のパターンは、DNA分子の塩基構造の多様性から完全に一致することはなく偽造は不可能になる。このため、各種DNA分子を用い、このDNA分子の情報と個人あるいは工業製品とを対応付けることによって、偽造防止を実現することができる。
【0042】
請求項18の発明は、記録媒体上に、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式により記録された識別画像を備えたDNA識別カードであって、該識別カードは、前記識別画像中のDNA分子の有する固有情報を検出する検出手段と、該検出された固有情報と予め登録された個人または工業製品特定に関連付けられた該DNAに係わる識別情報とを照合する判断手段と、該検出手段と判断手段とを含む全体システムを統合制御する制御管理手段とを備えた個人または工業製品認証システムに用いられることを特徴とするDNA識別カードである。
【0043】
請求項19の発明は、上記DNA識別カードは、更にIC素子が併設されたことを特徴とする請求項18に記載のDNA識別カードである。
【0044】
請求項18あるいは19の構成によれば、例えば、各種クレジットカードとして、個人及び商品等の識別機能(識別素子としての機能)を有する形態にして用いることができ、商品売買、取引等における個人あるいは工業製品の認証、金額の精算処理記録、更新などが不正なく行うことができる。
【0045】
請求項20の発明は、インク組成物をそれぞれ独立に収容するインク供給手段と、該インク組成物を個別にインクジェットヘッドのノズルから吐出する吐出手段とを備えたインクジェット記録装置であって、
前記インク組成物は、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物であることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0046】
請求項20の構成によれば、どのような記録媒体に対しても高品質の識別画像の印刷記録が可能である。
【0047】
請求項21の発明は、インク組成物をそれぞれ独立に収容するインク供給手段と、該インク組成物を個別にインクジェットヘッドのノズルから吐出する吐出手段とを備えたインクジェット記録装置の該インク供給手段に装着されるインク収容部を設けたインクカートリッジであって、
前記インク収容部に少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を収容したことを特徴とするインクカートリッジである。
【0048】
請求項22の発明は、インクジェット記録装置に搭載され、インク収容部と該インクを吐出するヘッド部とを備えた記録ユニットであって、
前記インク収容部に収容されるインクは、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物であることを特徴とする記録ユニットである。
【0049】
請求項21あるいは22の構成によれば、インクジエット記録装置をコンパクトに構成することができるほか、簡単で着実なメンテナンス作業を可能とすると共に、更に部品の交換を容易とし、しかも画像品質の安定化を実現することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のDNAインク組成物(DNAインク)、該DNAインクにより記録される識別画像を記録した識別画像印刷体、その記録方法、インクジエット記録装置、認証システムに係る実施の形態について説明する。
本発明のDNAインク組成物は、前記のように少なくとも、表面にDNA分子を結合した超微粒子と、水とを必須組成分として構成されるものである。そして、必要に応じて着色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水溶性高分子化合物、pH緩衝剤、蛋白質、糖類などが適宜組成分として添加され調製される。
【0051】
先ず、本発明における必須成分である超微粒子の表面に結合させるDNA分子としては、人のDNAを初めとして各種生物(例えば、鮭などの魚や、ウサギ、ヤギなどの動物等)のDNAあるいは各種合成DNA等が利用できる。
超微粒子の表面に結合させるDNA分子としては、例えば、人由来の細胞(例えば、口腔細胞の切片等から得られたDNA分子)をそのまま用いることもできるが、遺伝子以外の領域(遺伝子間、例えばマイクロサテライト領域)のみの情報を用いるように細胞を加工して用いることもできる。このような加工により、生体的、身体的な遺伝子情報を省き、プライバシを保護することができる。
【0052】
いずれにしても、DNA分子それぞれが有する固有の塩基結合構造は、膨大な数字の組合せからなる固有の生体情報(固有情報)であり、この膨大な固有情報を有するDNA分子を識別画像中に組込むことによって識別機能を発揮し、例えば、証書、クレジットカード、有価証券、商品、あるいは各種証明書(身分証明書、運転免許証、社員証等)などの個人あるいは工業製品に関わる偽造防止のために使用することができる。
【0053】
また、本発明に用いられる超微粒子としては、生物に由来する超微粒子、無機系超微粒子、有機系超微粒子等を挙げることができる。生物に由来する超微粒子としては、例えば、赤血球分散処理されたブドウ球菌、連鎖球菌等の細菌類等が挙げられる。また、無機系超微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ベントナイト等が挙げられる。更に、有機系超微粒子としては、例えば、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類などのビニル系モノマーの単一重合体及び/またはそれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などのブタジエン系共重合体などの有機高分子化合物からなる超微粒子が挙げられる。
【0054】
こうした超微粒子へのDNA分子の結合は、後述するように、物理的および/または化学的になされるが、その中で物理的結合は微粒子表面が疏水性であることが好ましく、スチレン単一重合体微粒子、スチレンを主成分とするビニル系共重合体微粒子またはスチレンを主成分とするスチレン−ブタジエン共重合体などが好適に用いられる。このような有機系超微粒子としては、3次元架橋された有機高分子化合物が好適に用いられる。
上記超微粒子の粒子径は、生物に由来する微粒子、無機系微粒子、有機系微粒子のいずれの場合にあっても0.05〜5μmが好ましく、0.1〜2μmが特に好ましい。粒子径が0.05μmよりも小さいと乾燥した状態から分散液として調製する場合に分散するのが困難になり、また粒子径が5μmよりも大きいと分散安定性が低下する。
【0055】
以下に、有機高分子化合物からなる有機系超微粒子とその合成方法、及び表面にDNAが結合した超微粒子(DNA複合体)とその形成方法について説明する。
本発明に利用可能な有機高分子化合物からなる有機系超微粒子は、種々の樹脂のラテックス、エマルジョン等水分散体の形態を取るものが挙げらる。これら超微粒子、すなわちポリマー粒子を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ワックス類等が挙げられる。以下、ビニル重合系とポリエステル系を例に挙げて説明する。
【0056】
(1)ビニル重合系超微粒子の合成方法
代表的なビニル重合系超微粒子は、アニオン性基含有モノマー(1〜10重量%)と、非イオン性水溶性モノマー(0.5〜5重量%)と、他のモノマー(85〜98.5重量%)とを含む重合性モノマー100重量部を、アニオン性界面活性剤0.1〜10重量部の存在下、乳化重合を行うことで得られる。すなわち、水分散型樹脂組成物として得られる重合体は、水系媒体中で上記重合性モノマー、アニオン性界面活性剤、及び必要に応じて非イオン性界面活性剤、消泡剤等を乳化、懸濁させた後、水溶性の熱重合開始剤を加熱下、添加して熱重合することにより得られる。
【0057】
上記重合に用いられるアニオン性基含有モノマーは、エチレン性不飽和二重結合と、アニオン性基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基)との両方を併せ持つ化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、3−スルホプロピルアクリレート等が挙げられる。アニオン性基含有モノマーは、上記のように重合性モノマー中に1〜10重量%含まれることが好ましい。1重量%よりも少ない場合、あるいは10重量%よりも多い場合には、いずれも得られるビニル重合系超微粒子(水分散型樹脂組成物)の安定性を損ない、記録液(DNAインク組成物)に用いた際、記録ヘッド部分での目詰まりにつながる恐れがある。
【0058】
また、上記非イオン性水溶性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー、または(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジ−N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミドや、その誘導体、あるいはポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。非イオン性水溶性モノマーは、前記のように重合性モノマー中に0.5〜5重量%含まれるのが好適である。 0.5重量%よりも少ない場合、あるいは5重量%よりも多い場合には、共に得られるビニル重合系超微粒子(水分散型樹脂組成物)の安定性を損ない、記録液(DNAインク組成物)に用いた際、記録ヘッド部分での目詰まりにつながる恐れがある。
【0059】
一方、他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート、アクロレイン等の反応性モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。含有量は、重合性モノマー中に85〜98.5重量%であるのが好適である。
【0060】
次に、上記重合に用いられるアニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(花王社製「エマールO」、「エマール10」等)、高級アルコール硫酸ナトリウム(花王社製「エマール40」等)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製「ネオペレックスNo.6」、「ネオペレックスF−65」等)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(花王社製「ペレックスNB−L」等)、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王社製「ペレックスOT−P」、「ペレックスCS」等)、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム(花王社製「ペレックスSS−L」等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製「エマール20C 」、「レベノールWX」等)、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王社製「デモールRN」等)などが挙げられる。
【0061】
上記アニオン性界面活性剤の使用量が0.1重量部より少ないと、得られる水分散型樹脂組成物の安定性が悪くなるため、記録液(DNAインク)に用いた場合、記録液の保存安定性が悪く、また記録ヘッドの目詰まりを起こす恐れがある。一方、10重量部より多いと、得られる記録液の表面張力が著しく低下し、記録ヘッドのノズルから吐出する記録液滴がミストになり、解像度の低下や、ヘッド汚れを引き起こす。
上記ビニル重合系有機高分子化合物からなる超微粒子の合成については、後述の実施例1で更に具体的な例を示す。
【0062】
(2)ポリエステル系超微粒子の合成方法
本発明における有機高分子化合物のポリエステル系超微粒子として、共重合ポリエステル樹脂を用いることができる。このような共重合ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸類と多価アルコ−ル類との縮合により得られるものであり、例えば、80mol%以上のシクロヘキサンジカルボン酸を含む多価カルボン酸類と、50〜70mol%の脂肪族ジオールと、30〜50mol%のトリシクロデカンジメタノールを含む多価アルコール類とから得られ、イオン性基としてカルボン酸のトリアルカノールアミン塩の基を100〜500eq./tonの範囲で含有する有機高分子化合物が挙げられる。
【0063】
上記共重合ポリエステル樹脂は、脂環族系単量体を主構成成分とするものであり、低比重と高ガラス転移温度を両立すると同時に、弱アルカリ領域における耐加水分解性に優れる樹脂である。このようなポリエステル樹脂は、イオン性基としてカルボン酸のトリアルカノールアミン塩の基を、上記のように100〜500eq./tonの範囲で含有することが必須である。イオン性基は、ポリエステル樹脂微粒子に分散安定性を付与する働きを有し、イオン性基の含有量が所定の量より少ない場合には、十分なる水分散性が得られないことがあり、またイオン性基の含有量が多過ぎる場合には、ポリエステル樹脂が水溶化して目的とする水分散体が得られないことがある。
【0064】
前記カルボン酸のトリアルカノールアミン塩からなるイオン性基は、ポリエステル樹脂にカルボキシル基を導入し、その後にトリアルカノールアミンにより中和することによって得られる。トリアルカノールアミンとしては、トリエタノールアミンの使用が好ましい。中和に用いる塩基としてアルカリ金属の水酸化物を用いた場合、共重合ポリエステル樹脂の不必要な加水分解を招き、分散体の安定性が損なわれる。また、アンモニア、アルキルアミン等の他の有機アミン類を用いた場合、アミン臭が残る。このため、記録液(DNAインク)の組成分として有機アミン類を使用すると、このDNAインクを搭載するインクジエット記録装置の使用環境が制約される懸念がある。
【0065】
本発明におけるポリエステル樹脂のガラス転移温度は、40℃以上であることが好ましく、更に50℃以上、なお更に好ましくは60℃以上である。ガラス転移温度が低いと、インクの最低造膜温度が下がり、ノズル閉塞等が生じやすくなる。本発明におけるポリエステル樹脂の軟化温度は、100℃以下であることが好ましい。軟化温度が100℃を越えるとインクの定着性が不良となる。
上記ポリエステル系有機高分子化合物からなる超微粒子の合成例については、後述の実施例1で更に具体的に示す。
【0066】
次に、表面にDNAが結合した超微粒子(DNA複合体)とその形成方法について説明する。
超微粒子とDNA分子との結合は、公知のDNA分子の物理的および/または化学的に結合する方法(例えば、特開昭53−52620号公報、特公昭53−12966号公報に記載の方法等)により行うことができる。この超微粒子とDNA分子との結合反応は、水を溶媒とするか、またはアルコール類あるいはケトン類など水と相溶性のある有機溶媒と水との混合溶媒とすることで良好に行うことができる。また、反応系中には超微粒子の安定化、非特異凝集の防止などの目的でリン酸塩緩衝液−生理食塩水、Tris−HCl緩衝液などの緩衝液、牛血清アルブミンなどの不活性蛋白質、界面活性剤などを添加することが好ましい。反応溶液のpHは、通常6〜10、好ましくは7〜9である。また、反応溶液中の微粒子の濃度は、通常0.01〜2.0重量%である。
【0067】
前記有機高分子化合物からなる超微粒子とDNA分子を化学的に結合させるには、超微粒子表面に例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキシラン基などを配向させ、ポリアミド化合物、ポリイミド化合物、ポリアルデヒド化合物、ポリオキシラン化合物などを介してDNA分子と反応させる方法、あるいは微粒子表面にアルデヒド基、オキシラン基などを配向させ、DNA分子と反応させる方法などがある。
上記DNA分子を結合させた超微粒子の分散体に用いられる分散媒を除去することにより、乾燥したDNA複合体が得られる。分散媒の除去は、60℃以下、好ましくは30℃以下で行うのがDNA分子の活性度を維持する上で有利である。分散媒除去についての特に好ましい態様は、凍結乾燥による除去であり、その場合、DNA分子の活性度は定常的に高い状態に維持される。
【0068】
乾燥したDNA複合体を再び分散する分散媒としては、水単独、あるいはアルコール類やケトン類など水と相溶性のある有機溶媒と水との混合溶媒が使用される。また、分散媒には適宜pH緩衝剤、蛋白質、界面活性剤、水溶性高分子化合物などが添加されても構わない。
【0069】
また、インクジエット記録装置における記録液が接する記録ヘッドのノズルプレート接液面は、一般に記録液に含まれる溶媒のpHの影響を受けやすい。このため、pH緩衝剤が添加され、最適のpHに調節される。例えば、リン酸塩やTris−HCl緩衝剤などが使用される。蛋白質は、前記のように非特異反応を防止する目的で添加され、例えば牛血清アルブミン、ゼラチンなどが使用される。
【0070】
更に、界面活性剤、水溶性高分子化合物は、乾燥DNA複合体の分散助剤として有効であり、例えば、トウィーン20(商品名・: 製)などの非イオン界面活性剤やアニオン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子化合物が用いられる。しかし、これらの添加物はDNA複合体が凝集反応を起こさない範囲で使用される。
【0071】
また、乾燥DNA複合体を用いてインク組成物を作製する場合、上記分散媒を用いて適宜希釈調整される。その固形分濃度は、使用するインクの種類により異なるが、一般的に好ましくは、0.01〜5%、より好ましくは0.05〜2%の範囲で調整される。分散媒に乾燥DNA複合体を分散させるには、乾燥DNA複合体を収容した容器に所定量の分散媒を注入し、撹拌具を挿入・撹拌する方法、あるいはセル(容器)を振盪する方法を適宜選択できる。なかでも、超微粒子の分散に最も効果的である超音波撹拌による分散が好ましい。超音波撹拌に使用する超音波については、セル(容器)の種類やサイズによって異なるが、一般的には、振動周波数として15〜50Hzの超音波が用いられる。
【0072】
上記分散工程において、分散媒体中への乾燥DNA複合体の分散の度合は、光学的測定手段を用いて測定され、その光学的測定手段としては、例えば、透過光強度を測定する方法、あるいは散乱光強度を測定する方法、または透過光と散乱光強度を組合わせて測定する方法が適宜使用される。
上記DNAが結合した超微粒子(DNA複合体)の作製については、後述の実施例2で更に具体的な例を示す。
【0073】
次に、本発明に用いられる必要により用いられる、着色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水溶性高分子化合物、pH緩衝剤等について説明する。
本発明において用いられる着色剤としては、染料あるいは顔料が使用できる。
染料は、DNAインク組成物(DNAインク)の組成分として直接溶解して用いてもよいし、無機質または有機質の微粒子に担持あるいは含ませて用いてもよい。この微粒子は、DNAが結合される超微粒子であってもよいし、あるいはDNAが結合される超微粒子とは別の微粒子であっても構わない。
本発明で用いられる水溶性染料としては、必要に応じて他の色材と混合して用いることができる。用いられる水溶性染料としては、カラ−インデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水、耐光性が優れたものが用いられる。以下に具体的を挙げる。
【0074】
(1)酸性染料及び食用染料として;
C.I.アシッド.イエロ− 17,23,42,44,79,142、
C.I.アシッド.レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、
C.I.アシッド.ブル− 9,29,45,92,249、
C.I.アシッド.ブラック 1,2,7,24,26,94、
C.I.フ−ド.イエロ− 3,4、
C.I.フ−ド.レッド 7,9,14、
C.I.フ−ド.ブラック 1,2等を用いることができる。
【0075】
(2)直接性染料として;
C.I.ダイレクト.イエロ− 1,12,24,26,33,44,50,86 ,120,132,142,144、
C.I.ダイレクト.レッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、
C.I.ダイレクト.オレンジ 26,29,62,102、
C.I.ダイレクト.ブル− 1,2,6,15,22,,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、
C.I.ダイレクト.ブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171等を用いることができる。
【0076】
(3)塩基性染料として;
C.I.ベ−シック.イエロ− 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、
C.I.ベ−シック.レッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、
C.I.ベ−シック.ブル− 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、
C.I.ベ−シック.ブラック 2,8等を用いることができる。
【0077】
(4)反応性染料として;
C.I.リアクティブ.ブラック 3,4,7,11,12,17、
C.I.リアクティブ.イエロ− 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、
C.I.リアクティブ.レッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97、180、
C.I.リアクティブ.ブル− 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95等を用いることができる。
【0078】
上記染料中で、特に酸性染料及び直接性染料が好ましく用いることができる。また、インクジェット用染料として開発されたアビシア製のプロジェットシアン2、プロジェットマゼンタ2、プロジェットイエロ−2等のProjet(TM)シリーズ染料も好ましい。
特に、耐水性と信頼性のバランスから、スルホン酸、カルボン酸の導入された染料が好ましい。例えば、限定されるものではないが、具体的には、下記構造式(Y−1)〜(Y−7)、(M−1)〜(M−5)、(C−1)〜(C−3)、(Bk1)、(Bk2)で表される染料(遊離酸型で記載)が挙げられる。
【0079】
【化1】
Figure 2004331832
【0080】
【化2】
Figure 2004331832
【0081】
【化3】
Figure 2004331832
【0082】
【化4】
Figure 2004331832
【0083】
【化5】
Figure 2004331832
【0084】
【化6】
Figure 2004331832
【0085】
一方、本発明で用いられる顔料としては、有機顔料と無機顔料がある。
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ロ−ダミンBレ−キ顔料、カ−ボンブラック等が挙げられ、無機顔料としては、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロ−、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロ−、金属粉が挙げられる。更に、具体的な黒用顔料及びカラーインク用顔料の例を下記に挙げる。
【0086】
黒用顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、あるいは銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、もしくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を挙げることができる。
【0087】
イエロー用顔料として、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153等を挙げることができる。
【0088】
マゼンタ用顔料として、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B (Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219等を挙げることができる。
【0089】
シアン用顔料として、C.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63等を挙げることができる。
【0090】
中間色としては、レッド、グリーン、ブルー用として下記顔料を単独もしくは混合して用いることができる。
例えば、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36等が挙げられる。
【0091】
黒用のカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、1次粒子が15〜40nm、BET吸着法による比表面積が50〜300m/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH2〜9を有するものが使用される。特に、pH6以下の酸性カーボンブラックが高濃度で好ましい。更に、次亜塩素酸化処理したカーボンブラックやスルホン化剤処理したカーボンブラック、ジアゾニュウム化合物にて処理してスルホン酸、カルボン酸等のアニオン性解離基を導入したカーボンブラックが更に好ましい。
【0092】
イエロー顔料としては、ベンチジン骨格を含まないC.I.ピグメントイエロー74、128、138が好ましい。マゼンタ顔料としては、キナクリドン系のC.I.ピグメントレッド122、209が好ましい。シアンとしては、フタロシアニン化合物であるC.I.ピグメントブルー15:3やアルミ配位フタロシアニン、無金属フタロシアニンが好ましい。これらカラー有機顔料も表面処理によりスルホン酸基、カルボン酸基が導入された顔料は更に分散安定性が優れ、分散剤なしに分散安定性が得られるものは自己分散顔料として好適に用いることができる。また、表面をカプセル化した顔料やポリマーをグラフトした顔料等も分散安定性に優れ信頼性の高いインクとすることができる。
【0093】
本発明のDNAインク組成物中における着色材の添加量は、その使用目的にもよるが0.1〜20重量%、好ましくは、0.2〜8重量%の範囲で使用される。添加量が0.1重量%よりも少ないと淡色インクに用いた場合でも着色力がなく、20重量%よりも多いと粘度が高くなり、インクジエット記録装置の記録ヘッドから液滴として吐出することが難しくなる。
なお、インク中の顔料粒子径範囲としては10nm〜300nmのものを用い平均粒子径が60nm〜120nmとすることが好ましい。
【0094】
本発明において、顔料分散剤を用いた顔料分散液を用いることもできる。
顔料分散剤として用いられる水溶性高分子化合物(親水性高分子)として、天然系、半合成系、純合成系の高分子化合物がある。
例えば、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グ−アガム、カラヤガム、ロ−カストビ−ンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシ−ドデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギ−ナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラ−ゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。また、半合成系では、メチルセルロ−ス、エチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス等の繊維素系高分子、デンプングリコ−ル酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。あるいは、純合成系では、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエ−テル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ−ル、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
特に、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや他の親水基を有するモノマーの共重合体から構成される、カルボン酸基を導入したものが高分子分散剤として好ましい。
また、界面活性剤を用いる場合は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等のアニオン界面活性剤、ノニルフェニルエーテル等ノニオン系界面活性剤を用いることもできる。
【0095】
本発明における着色材として、染料や顔料で着色された微粒子を用いることにより、普通紙での定着性の改良、発色性の改良を行い、凝集等が起こりにくい着色微粒子記録液を得ることができる。着色微粒子としては、微粒子が高分子からなるものシリカ、アルミナ等の無機微粒子からなるものいずれも用いることができる。光沢性を付与する目的からは高分子微粒子を用いることが好ましい。
特に、アクリル系やポリエステル系の微粒子に染顔料が含浸されたもの、すなわち、表層もしくは内部、あるいは全体に染顔料が存在する着色高分子微粒子を用いることが好ましい。より具体的には、特開平2000−53898号公報に開示された方法により製造された着色微粒子が挙げられる。なお、前記のように、染料を含む微粒子はDNAを結合する超微粒子であってもよい。
上記顔料着色剤分散液については、後述の実施例3で更に具体的な例を示す。
【0096】
本発明のDNAインク組成物の組成分として、界面活性剤を使用することができ、界面活性剤によって記録紙への濡れ性を改善することができる。好ましい界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
具体的な例としては、アニオン系界面活性剤として、下記一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、及び/または下記一般式(III)で表される炭素鎖が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸を用いることにより普通紙印刷特性も改善され、更に着色材の溶解・分散安定性が得られる。
【0097】
【化7】
Figure 2004331832
【0098】
上記式中、Rは炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンを表し、mは3〜12の整数を示す。
【0099】
【化8】
Figure 2004331832
【0100】
上記式中、R、Rは炭素数5〜7の分岐したアルキル基を表し、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンを表す。
【0101】
更に、本発明の界面活性剤の対イオンとして、リチウムイオン、あるいは第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムを用いることにより、界面活性剤が優れた溶解安定性を示す。
好ましい非イオン系の界面活性剤として、下記一般式(IV)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、あるいは下記一般式(V)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。これらを併用することにより、更に相乗効果として浸透性が向上し、これによって色境界滲みが低減され、また文字滲みも少ないインクが得られる。
【0102】
【化9】
Figure 2004331832
【0103】
上記式中、Rは分岐してもよい6〜14の炭素鎖を表し、kは5〜12の整数を示す。
【0104】
【化10】
Figure 2004331832
【0105】
上記式中、p、qはそれぞれ0〜40の整数を示す。
【0106】
本発明のDNAインク組成物における上記各一般式(II)、(III)、(IV)、(V)で表される界面活性剤の添加量は、0.05〜10重量%が好ましく、このような配合量とすることにより、インクジエット記録装置を用いたインクジエット記録システム(プリンタ−システム)により要求されるインク特性に対して所望の浸透性を付与することが可能である。ここで、添加量が0.05重量%よりも少ない場合には、2色重ね部の境界での滲みが発生し、一方、10重量%よりも多い場合、化合物自体が低温で析出しやすことがあり信頼性が悪くなる。
【0107】
以下に、前記一般式(II)、(III)で表される界面活性剤の具体例を遊離酸型、すなわち、下記構造式(II−1)〜(II−6)、及び下記構造式(III−1)〜(III−4)に示す。
【0108】
【化11】
Figure 2004331832
【0109】
【化12】
Figure 2004331832
【0110】
本発明のDNAインク組成物(インク)は、水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、またはインクの乾燥を防止するため、あるいは本発明の化合物の溶解安定性を向上するため、等の目的から水溶性有機溶媒を使用することができる。
このような水溶性有機溶媒として用いられる溶媒としては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、1、3−プルパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1、6ヘキサンジオ−ル、グリセロ−ル、1、2、6−ヘキサントリオ−ル、1、2、4−ブタントリオ−ル、1、2、3−ブタントリオ−ル、ペトリオール等の多価アルコ−ル類;エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、テトラエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル等の多価アルコ−ルアルキルエ−テル類;エチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、エチレングリコ−ルモノベンジルエ−テル等の多価アルコ−ルアリ−ルエ−テル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類;プロピレンカ−ボネ−ト、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等がある。これらの溶媒は、単独もしくは、複数混合して水と共に用いられる。
【0111】
これらの中で特に好ましいものは、ジエチレングリコ−ル、チオジエタノ−ル、ポリエチレングリコ−ル(分子量:200〜600)、トリエチレングリコ−ル、グリセロ−ル、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、1、2、4−ブタントリオ−ル、ペトリオール、1,3ブタンジオール、2,3ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、N−メチル−2−ピロリドン,N−ヒドロキシエチルピロリドン、2−ピロリドン、1、3ジメチルイミダゾリジノンである。これらの溶媒用いることにより、その高い溶解性が発揮されると共に、インクからの水分蒸発によって生じる噴射特性不良を防止する優れた効果が得られる。特に、本発明において着色剤の分散安定性を得るのに好ましい溶剤の例として、N−ヒドロキシエチル2ーピロリドン等のピロリドン誘導体が挙げられる。
【0112】
更に、本発明のDNAインク組成物の組成分として、表面張力を調整する目的から浸透剤を用いることができる。
前記界面活性剤(II)〜(V)以外に、添加される浸透剤としては、ジエチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、エチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、エチレングリコ−ルモノアリルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコ−ルクロロフェニルエ−テル等の多価アルコ−ルのアルキル及びアリ−ルエ−テル類;2−エチル−1,3ヘキサンジオール、2,2、4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジーオール等のジオール類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、フッ素系界面活性剤、エタノ−ル、2−プロパノ−ル等の低級アルコ−ル類が挙げられる。
特に好ましい浸透剤は、多価アルコールアルキルエーテルのジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、炭素数6以上のジオールである2−エチル−1,3ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。ジオール類は、水不溶性着色材の凝集が発生しにくいため好適である。
【0113】
上記添加量は、目的とする所望の物性にもよるが、0.01重量%〜25重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%で範囲で添加される。0.1重量%よりも少ないと浸透性が不十分であり、20重量%よりも多いと粒子特性(粒子化)において悪影響を及ぼす。また、これらの添加によりインクジェット記録装置のインクジェットヘッド部材や記録器具への濡れ性も改善され、充填性が向上して気泡発生などが回避されて、記録不良が発生しにくくなる。
【0114】
本発明おけるDNAインク(インク)の物性は、適用されるインクジエット記録装置に適合するように、適宜組成分と配合量等を選択することによって調整することが可能である。
例えば、紙への浸透性を物性として考慮する場合、インクの表面張力(動的表面張力)を調整するようにして組成分を選択し、インクを処方することができる。すなわち、インクジエット記録装置の記録ヘッドから吐出されたインク液滴が記録媒体上で表面形成されて、直ちに(1秒以内の短い時間)測定された表面張力、いわゆる動的表面張力は、インクの浸透性と対応し、記録媒体(紙)への浸透性を示す指標となる。なお、この動的表面張力は、飽和時間後において測定される静的表面張力とは異なる。測定は、従来公知の方法(例えば、特開昭63−312372号公報参照。)など、1秒以内で動的表面張力を測定できる方法であればいずれも使用して実施できる。
【0115】
本発明におけるDNAインク組成物(インク)の表面張力の値は、50mN/m以下が好ましく、より好ましくは、40mN/m以下とすると優れた乾燥性が得られる。これに対して、インクの吐出安定性からは、動的な表面張力が低下し過ぎると粒子化が不安定となりやすい。安定に吐出できる動的な表面張力は、1m秒において、好ましくは40mN/m以上である。
【0116】
本発明におけるDNAインク組成物(インク)の粘度としては、1〜10mPa・Sの範囲が好ましく、インクジエット記録装置に搭載される記録ヘッドの吐出方式により適宜選定される。
インク中の固形分量は、0.01〜25重量%、水分量は25〜93重量%の範囲、より好ましくは50〜80重量%の範囲である。
【0117】
本発明では、インク中の粒子表面(顔料や、着色微粒子表面)のζ電位と粒子の凝集発生との関係から、電導度として1〜6mS/cmの範囲とすると、(顔料等の)粒子の凝集を起さず、長期に亘って分散安定性を損なわずに粒子径の変化の少ない信頼性の高いインクとすることができる。
電導度を上記範囲とするには、電導度調整剤の添加により調整することができる。好ましい電導度調整剤としては、テトラメチルアンモニウム塩化物等の第4級アンモニウム塩、あるいはアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0118】
その他pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレ−ト試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0119】
なお、このインクのpHを6以上にすることによりインクの保存安定性が得られ、また、オフィスで使用されているコピ−用紙や用箋等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙にインクを9〜60μmの微細な吐出口より吐出し重量が2ng〜50ngの液滴として5〜20m/sで飛翔させ、単色での付着量を1.5〜30g/mとしてJIS P−8122試験法によるステキヒトサイズ度が3秒以上の、いわゆる普通紙に記録するこにより、高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。
なお、前記一般式(III)の界面活性剤を用いる場合には、pHが9以上では保存時に分解による物性変化が起こりやすいため、(III)を用いる場合は、pHを6〜9とすることが好ましい。
【0120】
また、本発明のDNAインク組成物には、従来から知られている防腐防黴剤、防錆剤や他の添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノ−ルナトリウム、イソチアゾリン等が本発明に使用できる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコ−ル酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリト−ル、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0121】
その他目的に応じて、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、消泡剤を添加することもできる。
消泡剤としては、油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、リン酸エステル系、アミン系、アミド系、金属石鹸系、硫酸エステル系、シリコーン系等が挙げられる。これらは単独でもまたは二種以上で用いることができる。この中でも、シロキサン結合を有するシリコーン系消泡剤が、インクタンクのスポンジ吸収体負圧制御の容易性から好ましい。特にポリエチレンオキサイド及び/又はポリプロピレンオキサイドを付加したポリシロキサン系消泡剤が有効である。
【0122】
DNAインク(インク)中における消泡剤の含有量としては、0.00001〜10重量%、より好ましくは0.0001〜5重量%であり、0.00001%未満では十分な消泡効果を示さず、10%を超えると着色材の溶解度や分散安定性が低下したり、インクの吐出安定性が低下する等の問題が生じる。また、インク吸収体のインク保持のためには、インク吸収体に用いるウレタン、あるいはポリプロピレン繊維等からなるスポンジ吸収体の繊維密度、構造等と、これに対する消泡剤の親和性等から上記含有量の範囲内で最適な消泡剤量を決めればよい。
【0123】
本発明のDNAインクは、PZTによる圧力を用いたもの、静電気力により撓ませた振動板により吐出するもの、膜沸騰を利用したバブルジェット(登録商標)方式のドロップオンディマンドインクジェットプリンターはもとより、インクを荷電するとともにPZTで振動させるいわゆる荷電制御方式のいずれのプリンターにも良好に使用できる。特に信頼性の高さから20μm以下のノズル径の小さなものでも安定に吐出できる。
【0124】
前記のように本発明のDNAインクを用いて、インクジエット記録方式により、記録媒体上に識別画像を記録し、識別画像印刷物を得ることができる。
本発明のDNAインク(インク)を用いて記録を行うのに好適な、本発明のインクジェット記録装置の一例を以下に説明する。
先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図1に示す。図1は、インク流路に沿ったヘッド1の断面図であり、ヘッド1はインクを通す流路(ノズル)2を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板3とを接着して得られる。発熱素子基板3は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層4、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極5−1及び5−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層6、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層7、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板8から構成されている。
【0125】
上記ヘッド1の電極5−1及び5−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板3のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク9に気泡が発生し、その圧力でメニスカス11が突出し、インク9がヘッド1のノズル2を通して吐出し、吐出オリフィス10よりインク小滴12となり、被記録材(記録媒体)13に向かって飛翔する。
【0126】
図2に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図2において、符号21はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード21は記録ヘッド25による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録ヘッド25の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0127】
符号22は記録ヘッド25の突出口面のキャップであり、ブレード21に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド25の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、符号23はブレード21に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード21と同様、記録ヘッド25の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード21、キャップ22及びインク吸収体23によって吐出回復部24が構成され、ブレード21及びインク吸収体23によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0128】
記録ヘッド25は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う。符号26は記録ヘッド25を搭載し、記録ヘッド25の移動を行うためのキャリッジである。このキャリッジ26はガイド軸27と摺動可能に係合し、キャリッジ26の一部はモーター28によって駆動されるベルト29と接続している(図示されていない)。これによりキャリッジ26はガイド軸27に沿った移動が可能となり、記録ヘッド25による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0129】
符号31は被記録材(記録媒体)を挿入するための紙給部、符号32は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッド25の吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー33を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド25が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部24のキャップ22は記録ヘッド25の移動経路から退避しているが、ブレード21は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド25の吐出口がワイピングされる。
【0130】
尚、キャップ22が記録ヘッド25の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ22は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド25がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ22及びブレード21は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド25の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0131】
図3は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ40の一例を示す図である。ここで符号41は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋41中のインクをヘッドに供給可能にする。符号43は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0132】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図4に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図4において、符号50は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部51から液滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテートまたはポリオレフィン系樹脂を用いることが本発明にとって好ましい。また、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。符号52はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット50は、前記図2に示す記録ヘッド25に換えて用いられるものであって、キャリッジ26に対して着脱自在になっている。
【0133】
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録装置を挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図5に示す。
【0134】
図5において、ヘッドは、図示されていないインク室に連通したインク流路60と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート61と、インクに直接圧力を作用させる振動板62と、この振動板62に接合され、電気信号により変位する圧電素子63と、オリフィスプレート61、振動板62等を支持固定するための基板64とから構成されている。
【0135】
図5において、インク流路60は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート61は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口65が形成され、表面にPTFEニッケルの共析メッキ等の撥インク層が設けられている。振動板62はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子63は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。
【0136】
以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子63にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子63に接合された振動板を変形させ、インク流路60内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート61の吐出口65より吐出して記録を行うように動作する。このような記録ヘッドは、前記図4に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。インクジェット記録装置の細部の動作は、先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0137】
次に、他の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例として静電アクチュエータを用いたインクジェットを示す。図6は本発明を適用したインクジェットヘッドの断面図である。図に示すように、インクジェットヘッド71は、シリコン基板72を挟み、上側に同じくシリコン製のノズルプレート73、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸製のガラス基板74がそれぞれ積層された3層構造となっている。中央のシリコン基板72には、それぞれ独立した複数のインク室75、これらに共通に設けられた共通インク室76及びこの共通インク室76を複数のインク室75にそれぞれ接続しているインク供給路77としてそれぞれ機能する溝が、その表面(図中、上面)からエッチングを施すことにより形成されている。これらの溝がノズルプレート73によって塞がれて、各部分75、76、77が区画形成されている。
【0138】
ノズルプレート73には、各インク室75の先端側の部分に対応する位置に、インクノズル81が形成されており、これらが各インク室75に連通している。また、ノズルプレート73には共通インク室76に連通するインク供給口が形成されている。インクは、外部の図示しないインクタンクから、インク供給口を通って共通インク室76に供給される。共通インク室76に供給されたインクは、インク供給路77を通って、互いに独立したインク室75にそれぞれ供給される。
【0139】
インク室75は、その底壁78が図1の上下方向に弾性変位可能なダイヤフラムとして機能するように薄肉に形成されている。したがって、この底壁78の部分を、以後の説明の都合上、ダイヤフラム78と称して説明することもある。
【0140】
次に、シリコン基板72の下面に接しているガラス基板74においては、その上面、すなわちシリコン基板72との接合面には、シリコン基板72の各インク室75に対応した位置に、浅くエッチングされた凹部79が形成されている。したがって、各インク室75の底壁78は、非常に僅かの隙間を隔てて、ガラス基板74の凹部79の凹部表面83と対峙している。なお、ガラス基板74の凹部79はインク室75の底壁78に対向しているので、振動板対向壁あるいは単に対向壁82と称する。
【0141】
ここで、各インク室75の底壁78は、それぞれ電荷を蓄えるための電極として機能する。そして、各インク室75の底壁78に対峙するように、ガラス基板74の凹部表面83には、セグメント電極80が形成されている。各セグメント電極80の表面は無機ガラスからなる絶縁層により覆われている。このように、セグメント電極80と各インク室底壁78とは、絶縁層を挟んで互いに対向電極(電極間距離をGとする)を形成している。
【0142】
本発明において識別画像が印刷される記録媒体としては、紙の他、プラスチック、金属、ガラスなどを用いることができる。このような記録媒体に記録された識別画像印刷体は、それ自体単独で用いることができ、例えば、証書、有価証券、各種クレジットカード、商品等の識別機能(識別素子としての機能)を有する形態にして用いることができる。バーコード化して印刷することも可能である。
また、識別画像印刷体にICや顔写真を併設したり、あるいは別の基材(例えば、紙、プラスチック、金属、ガラス等)に識別画像印刷体と、ICや顔写真とを設けた形態で使用することもできる。このような形態とすることにより、商品売買、取引等における個人あるいは工業製品の認証、金額の精算処理記録、更新などが不正なく行われる。当然、本人断定の実印ICカードとしても利用可能である。
【0143】
本発明において、前記記録装置により印刷された識別画像印刷物のDNAインク画像、すなわち個人あるいは工業製品に対応付けされた識別素子として機能する識別画像は、利用すべく選定したDNA分子の固有情報をリアルタイムで検出する手段と、検知した情報と予め登録されている当該DNA分子の生体情報とを照合・判断して、識別画像の真偽を判断する手段と、これらを制御管理する手段とを基本的な構成手段として備えた個人あるいは工業製品用認証システムにより識別され、偽造等による不正な行為が防止される。
【0144】
前記応用例の中でクレジットカード、すなわちDNAインク組成物を用いてインクジエット記録により印刷された個人確認照合のための識別画像と、金額精算の記録、更新のためのメモリ用IC(EEPROM)と制御用IC(CPU)を記録媒体上に備えたICカードを用いる場合を例として、本発明における個人あるいは工業製品用認証システムに係る一実施の形態について図7を参考に概略を説明する。
【0145】
図7において、ICカード400には、 記録媒体410上に制御動作を行う制御用IC(CPU)403と、金額精算等の記録、更新のためのデータの読出・書込及び消去が行われるメモリ用IC(EEPROM:Electrically Erasable Programmable)402、及び個人あるいは工業製品識別用のDNAインクにより印刷された識別画像401が形成されている。
【0146】
本実施の形態の個人あるいは工業製品用認証システムでは、図7に示すように、検出手段100と、判断手段200と、ホストコンピューターとしての機能を有する制御管理手段300とを備えている。
図7の検出手段100には、記録媒体410上の識別画像401からDNA分子の情報を検出する磁気センサ110が設けられている。この磁気センサ110により、DNA分子の核磁気共鳴現象を利用して固有情報(共鳴周波数)を検出し、個人あるいは工業製品識別データを得ることができる。
【0147】
すなわち、磁気センサ110には、発磁気部110aと受磁気部110bとが設けられており、ICカード400が検出手段100に挿着されると、発磁気部110aからICカード400の識別画像401の表面に磁気が照射される。この磁気照射により、受磁気部10bが受ける識別画像401中のDNA分子の共鳴周波数が磁気センサ110で電気信号に光電変換される。このようにして、磁気センサ110により、識別画像401中のDNA分子構造(固有情報)に対応する共鳴周波数信号が出力される。
【0148】
上記磁気センサ110は、共鳴周波数検出信号の波形を整形して出力する検出信号出力回路120に接続され、例えば、個人IDが付加されて、判断手段200の共鳴周波数再生回路210に入力される。
また、検出手段100には、ICカード400のメモリ用IC402(EEPROM)に金額精算の記録、更新等データの読出・書込動作と消去動作とを制御する読出・書込制御装置130が設けられている。
【0149】
この検出手段100は、判断手段200に接続されており、ICカード400の識別画像401から検出した個人あるいは工業製品識別データ(DNA分子から得られる共鳴周波数)と、制御管理手段300に登録されている、予め個人あるいは工業製品識別データとして対応付けがなされたDNA分子の共鳴周波数とを照合、判断して、識別画像401の真偽を識別する。すなわち、図7に示すように判断手段200は、ネットワークを介して制御管理手段300に接続されており、検出手段100で得られた識別画像401の共鳴周波数を再生する共鳴周波数再生回路210で再生された共鳴周波数と、制御管理手段に格納されている個人あるいは工業製品識別データである共鳴周波数とを比較照合し、DNAの共鳴周波数が一致するか否かの真偽を判断する。
【0150】
また、判断手段200には、判断回路220、判断結果を表示するディスプレイ230、制御管理手段300とのインタフェース動作を行うインタフェース240が設けられている。なお図7に示すように、共鳴周波数再生回路210(出力端子)は、判断回路220及びインタフェース240(各入力端子)と接続され、判断回路220(出力端子)は、ディスプレイ230(入力端子)に接続され、読出・書込制御装置130(出力端子)は、インタフェース240(入力端子)と接続されている。
【0151】
更に、制御管理手段300には、全体の動作を制御する制御用IC(CPU)317が搭載されている。
この制御用IC310(CPU)は、母線Lを介して、プログラム用IC320(ROM)、読出・書込用IC330(RAM)、データメモリ340、演算回路350、インタフェース360に接続している。
すなわち、上記プログラム用IC320には、制御プログラムが格納され、読出・書込用IC330により、制御動作時に各種のデータの読出・書込みが行われる。また、データメモリ340には、個人または工業製品識別用のデータ(DNA分子の共鳴周波数等)を含む固有情報が格納される。演算回路350では、識別システムの動作時に各種の演算を行い、インタフェース360は、判断手段200とのインタフェース動作を行う。なお、図7に示すように、インタフェース360の入出力端子が、ネットワークを介して、判断回路220の入出力端子に接続されている。また、判断手段200のインタフェース240の出力端子が、ネットワークを介して、インタフェース360の入力端子に接続されている。
【0152】
上記のような構成とした本発明の識別システムにより、識別する動作の概略は以下のようである。
まず、個人あるいは工業製品に対応付けるように選定したDNA分子の生体情報(核磁気現象を利用した共鳴周波数)が、個人識別データとして登録されている利用者が所有するICカード(クレジットカード)が、検出手段100に装着される。次に、検出手段100により得られた識別画像401から、個人IDを検出し、インタフェース240からネットワークを介して制御管理手段300に送信すると同時に、識別画像401で得られ、共鳴周波数再生回路210で再生された共鳴周波数データを判断手段200の判断回路220に入力する。
判断手段200からの個人IDは、制御管理手段300のインタフェース360に入力され、制御用IC310(CPU)の指令によつて作動する演算回路350により、この個人IDに対応する個人(または工業製品)識別データが、データメモリ340から検索される。検索された個人識別データは、インタフェース370から、ネットワークを介して判断手段200に送信され判断回路220に入力される。
【0153】
判断回路220では、制御管理手段300から入力される個人識別データと、共鳴周波数再生回路210から送信される共鳴周波数データとを比較照合して、共鳴周波数データが個人(または工業製品)識別データに合致するか、あるいは不一致であるかを判断する。
判断結果が一致する場合には、判断回路220から制御管理手段300に、識別一致信号が送信され、判断手段200のディスプレイ230に識別が一致した旨の表示がなされる。
この識別一致の表示結果から、ICカード400に対して検出手段100を操作して、金銭処理等の清算処理を行う。なお、利用者が買物をするような場合には、制御管理手段300にICカード400の残金確認を行い、これに基づいてICカード400に設けたメモリ用IC402の情報が書き換えられる。なお、上記識別不一致の場合には、当然に取引は成立しないことになる。
【0154】
このように、本発明に係る個人あるいは工業製品用識別システムにより、識別画像記録記体に用いられるDNA分子生体情報から得られる核磁気共鳴周波数のパターンは、DNA分子の塩基構造の多様性から完全に一致することはなく偽造は不可能になる。このため、各種DNA分子を用い、このDNA分子の情報と個人あるいは工業製品とを対応付けることによって、偽造防止が実現される。
【0155】
【実施例】
以下、実施例における各実験例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はなんら実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明における超微粒子の合成例として、ビニル重合系超微粒子の合成を実験〔実験例1−1〕〜〔実験例1−4〕に、またポリエステル系超微粒子の合成を〔実験例1−5〕〜〔実験例1−8〕にそれぞれ示す。
【0156】
〔実験例1−1〕
下記表1に示す原料を用い、それぞれ表に示した配合割合で各原料を予めN ガスで飽和された反応釜および滴下槽に仕込んだ。滴下槽にも別途所定の原料を仕込んだ。反応釜に各原料を投入後、昇温して重合反応を開始した。重合反応は、55〜57℃で開始し、反応釜の温度が59℃となったとき、滴下槽仕込原料を滴下を開始した。滴下時間は100分とした。重合は、60〜65℃の温度範囲に制御して行い、約3時間で反応は終結した。その後、反応液を25%アンモニア水でpH8〜9に調整し、固形分20%の水分散型樹脂組成物(ビニル重合系有機高分子化合物からなる微粒子含有組成物)を得た。
【0157】
【表1】
Figure 2004331832
【0158】
得られた水分散型樹脂組成物の微粒子の粒子径をレーザー光散乱法により測定した結果、平均粒子径が120nm(0.12μm)と超微粒子であることが確認された。重合進行性(良、否)、得られた水分散型樹脂組成物中の凝集物の生成(有、無)、および微粒子の平均粒径を下記表2に示す。
【0159】
〔実験例1−2〕、〔実験例1−3〕
下記表2に示す原料を用い、それぞれ製造例1における反応方法と同様にして固形分20%の各水分散型樹脂組成物(ビニル重合系有機高分子化合物からなる微粒子含有組成物)を得た。重合進行性(良、否)、得られた水分散型樹脂組成物中の凝集物の生成(有、無)、および製造例1と同様にして測定した微粒子の平均粒径を表2に示す。いずれも超微粒子であることが確認された。
【0160】
【表2】
Figure 2004331832
【0161】
〔実験例1−4〕
コア層とシェル層から構成される有機高分子化合物からなる微粒子(ポリマー微粒子)を製造した。なお、ポリマー微粒子のコア層とシェル層の屈折率の差が0.17となるようにコア層を構成するモノマーとシェル層を構成するモノマーを選択し以下のような方法で製造した。
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下漏斗を取りつけた1Lのフラスコに、蒸留水400ml、過硫酸カリウム0.15g、Emulgen913(Kao−Atlas社製)1.6gを仕込んで攪拌し、これに予め混合しておいたスチレン50g、n−ドデシルメルカプタン0.1g、LevenolWZ(Kao−Atlas社製)0.4gを加えて、窒素置換しながら75℃まで加熱し、75℃に保ったまま1時間重合した。次いで、予め混合しておいたメタクリル酸トリデシル45g、メタクリル酸5g及びn−ドデシルメルカプタン0.1gを、過硫酸カリウム0.15gを溶解した蒸留水15gに混合した混合液を1.5時間かけて一定速度で滴下した。その後、75℃で5時間保持して、得られた乳濁液を常温まで冷却し、中和剤としてアンモニア水を添加してpHを調整した。pHを調整後、更に0.4μmのフィルターで濾過し、ポリマー微粒子の濃度が30%となるように蒸留水で調製した。得られたポリマー微粒子のガラス転移点は12℃であった。また、得られたポリマー微粒子を分散粒子とするポリマーエマルジョンの最低成膜温度はおよそ20℃近辺であった。
【0162】
〔実験例1−5〕
温度計、攪拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、下記処方1のシクロヘキサンジカルボン酸、エチレングリコ−ル、トリシクロデカンジメタノール、テトラブトキシチタネ−トを仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステル化反応を行った。次いで、240℃に昇温した後、系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、120分間反応を続けた。
【0163】
<処方1>
シクロヘキサンジカルボン酸 156.4重量部
エチレングリコ−ル 111.6重量部
トリシクロデカンジメタノール 78.4重量部
テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部
【0164】
その後、オ−トクレ−ブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温度を200〜220℃に保ち、無水トリメリット酸15.4重量部を加え、60分間反応を行い、共重合ポリエステル樹脂(A1−5)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂は、下記表3に示すように平均分子量は、3300、酸価は360eq./ton、ガラス転移温度は70℃であった。また、得られた共重合ポリエステル樹脂の組成は、NMR分析の結果、下記表3に示す組成比であった。
【0165】
〔実験例1−6〕〜〔実験例1−8〕(製造例6〜8)
実験例1−5の処方1における酸成分、グリコール成分を一部変えた他は、実験例1−5と同様にして、各実験例1−6〜実験例1−8共重合ポリエステル樹脂(A1−6)〜(A1−8)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂の組成は、NMR分析の結果、表3に示す組成比であった。併せて、得られた共重合ポリエステル樹脂の平均分子量、酸価、ガラス転移温度を下記表3に示す。なお、共重合ポリエステル樹脂(A1−8)では、蛍光X線分析により、硫黄元素の含有量を求め、スルホン酸ナトリウム基当量に換算した値を示す。
【0166】
【表3】
Figure 2004331832
【0167】
実施例2
本発明におけるDNAが結合した超微粒子(DNA複合体)、すなわち鮭、ウサギ、ヤギ、合成DNAなどを用いたDNA複合体懸濁液の調製例を下記〔実験例2−1〕〜〔実験例2−8〕にそれぞれ示す。
【0168】
〔実験例2−1〕:DNA複合体懸濁液1
前記実験例1−1で合成した水分散型樹脂組成物、平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子からなる1%懸濁液100mlにDNA分子(鮭由来)0.5g(100ml)を加え、よく撹拌した後、40℃で2時間加温して乾燥ラテックスを得た。
得られた乾燥ラテックスを遠心洗浄した後、1%懸濁液となるように、1%牛血清アルブミン、3%ショ糖を添加したpH7.2のリン酸塩緩衝液−生理食塩水(以下PBS)を加え、DNA複合体懸濁液1とした。
【0169】
〔実験例2−2〕:DNA複合体懸濁液2
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−2で合成した平均粒子径100nm(0.1μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、ウサギ由来由来のDNA分子を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液2を調製した。
【0170】
〔実験例2−3〕:DNA複合体懸濁液3
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−3で合成した平均粒子径100nm(0.1μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、ヤギ由来由来のDNA分子を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液3を調製した。
【0171】
〔実験例2−4〕:DNA複合体懸濁液4
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−4で合成した平均粒子径340nm(0.34μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、合成DNA分子(理科研株式会社製)を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液4を調製した。
【0172】
〔実験例2−5〕:DNA複合体懸濁液5
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−5で合成した平均粒子径340nm(0.34μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、合成DNA分子(エスペックオリゴサービス社製)を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液5を調製した。
【0173】
〔実験例2−6〕:DNA複合体懸濁液6
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−6で合成した平均粒子径440nm(0.44μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、合成DNA分子(日本バイオサービス社製)を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液6を調製した。
【0174】
〔実験例2−7〕:DNA複合体懸濁液7
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−7で合成した平均粒径440nm(0.44μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、合成DNA分子(QIAGEN受託サービス製)を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液7を調製した。
【0175】
〔実験例2−8〕:DNA複合体懸濁液8
実験例2−1で用いた平均粒子径120nm(0.12μm)の超微粒子懸濁液に替えて、前記実験例1−8で合成した平均粒子径500nm(0.50μm)の超微粒子懸濁液を用い、また、鮭由来のDNA分子に替えて、合成DNA分子(有限会社ダテコンセプト製)を用いた他は、実験例2−1と同様の方法により、DNA複合体懸濁液8を調製した。
【0176】
実施例3
本発明において用いられる表面処理された自己分散顔料分散液の調製例を下記実験例3−1〜実験例3−5にそれぞれ示す。
〔実験例3−1〕:次亜塩素酸処理したカーボンブラック分散液1
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック(キャボット社製、商品名モナーク1300)300gを水1000ミリリットルに良く混合した後、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で8時間撹拌した。この液に、更に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)100gを加え、横型分散機で3時間分散した。得られたスラリーを水で10倍に希釈した後、水酸化リチウムでpHを調整し、電導度0.2mS/cmまで限外濾過膜により脱塩濃縮して顔料濃度15%のカーボンブラック分散液を得た。このカーボンブラック分散液を遠心処理して粗大粒子を除き、更に1ミクロンのナイロンフィルターで濾過し、カーボンブラック分散液1とした。カーボンブラック分散液1をICPにより測定した結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。また、塩素イオン濃度も10ppm以下であった。マイクロトラックUPAで測定したカーボンブラック分散液1の平均粒子径は、D50%において95nmであった。
【0177】
〔実験例3−2〕:スルホン化剤処理したカーボンブラック分散液2
市販のカーボンブラック顔料(デグサ社製:プリンテックス#85)150gをスルホラン400ml中に良く混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140〜150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウエットケーキを得た。このカーボンブラックウエットケーキを2000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムでpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮して、顔料濃度10重量%のカーボンブラック分散液とした。このカーボンブラック分散液を1ミクロンのナイロンフィルターで濾過し、カーボンブラック分散液2とした。カーボンブラック分散液2のICP測定の結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。また、硫酸イオン濃度も100ppm以下であった。平均粒子径(D50%)は80nmであった。
【0178】
〔実験例3−3〕:ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液3
表面積が230m/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で撹拌した。5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを10倍に希釈し遠心処理し粗大粒子を除き、pHをジエタノールアミンで調整してpH8〜9とし、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。このカーボンブラック分散液をポリプロピレン製の0.5μmフィルターにて濾過してカーボンブラック分散液3とした。カーボンブラック分散液3のICP測定の結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。また、硝酸イオン濃度も10ppm以下であった。平均粒子径(D50%)は99nmであった。
【0179】
〔実験例3−4〕:ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液4
2リットルの水と43gのスルファニル酸を含む約75℃の溶液を撹拌しながら、230m/gの表面積と70ml/100gのDBPAを有する202g のカーボンブラックに添加した。この混合物を撹拌しながら室温まで冷やし、26.2gの濃硝酸を添加した。更に、亜硝酸ナトリウム20.5gを添加した。4−スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩を作製し、これをカーボンブラックと反応させた。発生した泡立ちが停止するまで分散系を撹拌した。得られたスラリーを希釈した後、水酸化リチウムでpHを8〜9に調整し、粗大粒子を遠心処理により除き、引き続いて限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度15%のカーボンブラック分散液を得た。このカーボンブラック分散液4をポリプロピレン製の1μmフィルターにて濾過し、カーボンブラック分散液4とした。
カーボンブラック分散液4をICPにより測定した結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。また、硝酸イオン濃度は50ppm以下であった。平均粒子径(D50%)は95nmであった。
【0180】
〔実験例3−5〕:表面化学処理したカラー顔料分散液イエロー顔料分散液1、マゼンタ顔料分散液1、シアン顔料分散液1
<イエロー顔料分散液1>
イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理し、カルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度15%のイエロー顔料分散液1とした。平均粒径(D50%)70nm、ICPにより測定した結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
<マゼンタ顔料分散液1>
マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントマゼンタ122を用い、顔料濃度15%のマゼンタ顔料分散液1を作製した。平均粒径(D50%)60nm、ICPにより測定した結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
<シアン顔料分散液1>
シアン顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用い、顔料濃度15%のシアン顔料分散液1を作製した。平均粒径(D50%)80nm、ICPにより測定した結果、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
【0181】
顔料分散剤を用いた顔料分散液の調整例(界面活性剤分散:イエロー分散液2、マゼンタ分散液2、シアン分散液2、高分子分散:イエロー分散液3、マゼンタ分散液3、シアン分散液3)を下記実験例3−6に示す。
〔実験例3−6〕:分散剤−顔料分散液
イエロー顔料:C.I.ピグメントイエロー128、マゼンタ顔料:C.I.ピグメントレッド122、シアン顔料:C.I.ピグメントブルー15:3、分散剤A:花王社製ノニオン性界面活性剤(「エマルゲン913」、HLB15.5)、分散剤B:ジョンソンポリマー社製アクリル系樹脂水溶液(「ジョンクリル611」アンモニア中和、固形分20%、酸価 57)を用い、以下の製造工程(1)、(2)により、界面活性剤分散型のイエロー分散液2、マゼンタ分散液2、シアン分散液2と、高分子分散型のイエロー分散液3、マゼンタ分散液3、シアン分散液3をそれぞれ調製した。
【0182】
(1)ソルトミリング微細化工程:
ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に上記の各顔料250部、塩化ナトリウム2500部およびジエチレングリコール200部を仕込み,3時間混練した。次に、この混合物を2.5リットルの温水に投入し,約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗を5回繰り返して塩化ナトリウムおよび溶剤を除き、それぞれの顔料の乾燥品を得た。
(2)表面処理工程:
それぞれの顔料、分散剤について、ペイントコンディショナーに、顔料20部と上記AあるいはBの分散剤5部(固形分換算)と水を加え、全量で100部として3時間分散した。得られたそれぞれの水性顔料分散体に15000rpmで6時間の遠心分離を施した。
各表面処理顔料20部に30%アンモニア水0.1部、精製水79.9部を加え、ペイントコンディショナーで再分散し、顔料濃縮液を作製した。各顔料20部に分散剤A(処方A)または分散剤B(処方B)を5部(固形分)および精製水を加え、全量で100部としてペイントコンディショナーにて分散し、逆浸透膜にて精製しインクジェット用濃縮記録液を作製した。濃縮液は1μmナイロンフィルターにて濾過,続いて0.5μmのポリピロピレンフィルターにて濾過し使用分散液とした。
得られたそれぞれ分散液のFe、Ca、Siの含有量は、いずれも100ppm以下であった。また、分散液の平均粒径は、イエロー分散液2は93nm、イエロー分散液3は80nm、マゼンタ分散液2は60nm、マゼンタ分散液3は56nm、シアン分散液2は90nm シアン分散液3は87nmであった。
【0183】
アクリル系やポリエステル系(有機高分子化合物)微粒子の表層もしくは内部、あるいは全体に染料顔料が存在する着色高分子微粒子を用いた分散液の調製例を下記実験例3−7に示す。
〔実験例3−7〕:マゼンタ分散液4、イエロー分散液4、ブルー分散液4
攪拌翼、冷却管、窒素ガス導入管を取り付けた密閉可能な反応容器に、重合溶媒としてメチルエチルケトン20重量部、重合性不飽和モノマーとして下記の仕込み組成分(初期仕込みモノマー及び重合連鎖移動剤)を仕込み、窒素ガス置換を充分行った。
【0184】
<仕込み組成>
メタクリル酸メチル、モノマー 12.8重量部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、モノマー 1.2重量部
メタクリル酸、モノマー 2.9重量部
シリコーンマクロマー(チッソ(株)製 FM−0711) 2重量部
スチレンアクリルニトリルマクロマー(東亜合成(株)製AN−6) 1重量部
メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤) 0.3重量部
【0185】
窒素雰囲気下、上記反応容器内の混合液を撹拌しながら65℃まで昇温させた。これとは別に、下記の滴下モノマー及び重合連鎖移動剤との滴下組成分とメチルエチルケトン60部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2部とを混合し、充分窒素置換して得られた混合液を3時間かけて反応容器内に徐々に滴下した。
【0186】
<滴下組成分>
メタクリル酸メチル、モノマー 51重量部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、モノマー 4.2重量部
メタクリル酸、モノマー 11重量部
シリコーンマクロマー(チッソ(株)製 FM−0711) 8重量部
スチレンアクリルニトリルマクロマー(東亜合成(株)製AN−6) 4重量部
メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤) 1.2重量部
【0187】
滴下が終了して2時間後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させることによりビニル系ポリマー溶液を得た。得られたビニル系ポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、完全に溶媒を除去することによって単離した。重量平均分子量は約10,000、Tgは180℃であった。
【0188】
上記で得られたビニル系ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたビニル系ポリマー5gに、トルエン25gおよび下記構造式(I)のアントラキノン系染料5gを加えて完全に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を2g加えてビニル系ポリマーの酸性基を一部中和した。次いで、イオン交換水300gを加え、撹拌した後、乳化装置であるナノメーカーTM(ナノマイザー社製)を用いて、30分間乳化した。得られた乳化物を減圧下60℃でトルエンを完全に除去し、更に一部の水を除去することにより濃縮し、限外濾過膜によりモノマー等不純物を除去し、精製された分散性染料を含浸させたビニル系ポリマー微粒子のマゼンタ分散液4(平均粒径;98nm、固形分濃度;10%)を得た。
【0189】
【化13】
Figure 2004331832
【0190】
染料を替えた他は上記マゼンタ分散液4の場合と同様にして、イエロー分散液4およびブルー分散液4を得た。すなわち、染料をC.I.ディスパースイエロー118に替えて、イエロー分散液4(平均粒径;98nm、固形分濃度;10%)を調製し、染料をC.I.ディスパースブルー36に替えて、ブルー分散液4(平均粒径;98nm、固形分濃度;10%)を調製した。
【0191】
実施例4
前記で得た各種超微粒子にDNAが結合した各種DNA複合体懸濁液と自己分散顔料または顔料分散剤を用いた顔料分散液、あるいは染顔料が保持された着色高分子微粒子を用いた分散液とを用いて、以下に示すそれぞれのインク処方に準拠して各DNAインク組成物(インク)をそれぞれ調製した。
【0192】
〔実験例4−1〕:ブラックインク1
下記インク処方4−1の組成物を用いて混合し、1日放置後に水酸化リチウムにてpHを9に調整した。これを0.5μmのポリプロピレンフィルターにより濾過してDNAインク組成物を得、ブラックインク1とした。
【0193】
<インク処方4−1>
DNA複合体懸濁液1 (インク中固形分濃度として) 2重量%
カーボン分散液1 (インク中固形分濃度として) 5重量%
グリセロ−ル 15重量%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 5重量%
2−エチル−1,3ヘキサンジオール 1重量%
前記構造式(II−2)の活性剤 1重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
なお、以下分散液、染料の濃度はインク中の色材固形分濃度を示す。
【0194】
〔実験例4−2〕:ブラックインク2
下記インク処方4−2の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8.8に調整してDNAインク組成物を得、ブラックインク2とした。
【0195】
<インク処方4−2>
DNA複合体懸濁液2 (インク中固形分濃度として) 2重量%
カーボン分散液2 4重量%
1,2,6−ヘキサントリオール 8重量%
1,5−ペンタンジオ−ル 8重量%
2−ピロリドン 8重量%
前記構造式(II−3)の活性剤 1.0重量%
前記構造式(III−1)の活性剤 1.2重量%
尿素 5重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0196】
〔実験例4−3〕:ブラックインク2
下記インク処方4−3の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、ブラックインク3とした。
【0197】
<インク処方4−3>
DNA複合体懸濁液3 (インク中固形分濃度として) 2重量%
カーボン分散液3 4.5重量%
ジエチレングリコ−ル 5重量%
グリセロ−ル 5重量%
2−ピロリドン 2重量%
スチレンアクリル酸重合体 0.5重量%
前記構造式(II−2)の活性剤 1重量%
前記構造式(IV) の活性剤(R:C19 ,k:12) 1重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0198】
〔実験例4−4〕:イエローインク1
下記インク処方4−4の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク1とした。
【0199】
<インク処方4−4>
DNA複合体懸濁液4 (インク中固形分濃度として) 2重量%
イエロー分散液1 1.0重量%
エチレングリコ−ル 5重量%
グリセロ−ル 2重量%
1,5−ペンタンジオール 8重量%
2−ピロリドン 2重量%
ポリオキシエチレンポリオキシエチレンブロック共重合体 1重量%
前記構造式(II−4)の活性剤 1重量%
前記構造式(V)の界面活性剤 (p,q=20) 0.8重量%
尿素 5重量%
安息香酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0200】
〔実験例4−5〕:マゼンタインク1
下記インク処方4−5の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.1に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク1とした。
【0201】
<インク処方4−5>
DNA複合体懸濁液4 (インク中固形分濃度として) 2重量%
マゼンタ分散液1 1.0重量%
エチレングリコ−ル 5重量%
グリセロ−ル 15重量%
2−ピロリドン 2重量%
ポリオキシエチレンポリオキシエチレンブロック共重合体 1重量%
前記構造式(II−4)の活性剤 1重量%
前記構造式(V)の活性剤 (p,q=20) 0.8重量%
尿素 5重量%
安息香酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0202】
〔実験例4−6〕:シアンインク1
下記インク処方4−6の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを???に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク1とした。
【0203】
<インク処方4−6>
DNA複合体懸濁液4 (インク中固形分濃度として) 2重量%
シアン分散液1 5重量%
グリセロ−ル 15重量%
Nーヒドロキシエチルピロリドン 5重量%
2−エチル−1,3ヘキサンジオール 1重量%
前記構造式(II−2)の活性剤 1重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0204】
〔実験例4−7〕:イエローインク2
下記インク処方4−7の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化ナトリウムによりpHを7.8に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク2とした。
【0205】
<インク処方4−7>
DNA複合体懸濁液5 (インク中固形分濃度として) 2重量%
イエロー分散液2 3重量%
トリエチレングリコ−ル 5重量%
ペトリオ−ル 10重量%
N−メチルー2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(IV)の活性剤(R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0206】
〔実験例4−8〕:マゼンタインク2
下記インク処方4−8の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化ナトリウムによりpHを7.8に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク2とした。
【0207】
<インク処方4−8>
DNA複合体懸濁液5 (インク中固形分濃度として) 2重量%
マゼンタ分散液2 3重量%
トリエチレングリコ−ル 5重量%
ペトリオ−ル 10重量%
N−メチルー2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(IV)の活性剤(R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0208】
〔実験例4−9〕:シアンインク2
下記インク処方4−9の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化ナトリウムによりpHを7.8に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク2とした。
【0209】
<インク処方4−9>
DNA複合体懸濁液5 (インク中固形分濃度として) 2重量%
シアン分散液2 24重量%
トリエチレングリコ−ル 5重量%
ペトリオ−ル 10重量%
N−メチルー2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(IV)の活性剤(R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0210】
〔実験例4−10〕:イエローインク3
下記インク処方4−10の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク3とした。
【0211】
<インク処方4−10>
DNA複合体懸濁液6 (インク中固形分濃度として) 2重量%
イエロー分散液3 4重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
1、3−ブタンジオール 3重量%
前記構造式(II−1)の活性剤 0.3重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0212】
〔実験例4−11〕:マゼンタインク3
下記インク処方4−11の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク3とした。
【0213】
<インク処方4−11>
DNA複合体懸濁液6 (インク中固形分濃度として) 2重量%
マゼンタ分散液3 4重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
1、3ブタンジオール 3重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0214】
〔実験例4−12〕:シアンインク3
下記インク処方4−12の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク3とした。
【0215】
<インク処方4−12>
DNA複合体懸濁液6 (インク中固形分濃度として) 2重量%
シアン分散液3 4重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
1、3ブタンジオール 3重量%
前記構造式(II−1)の活性剤 0.3重量%
テトラメチルアンモニウム硝酸塩(電導度調整剤) 0.4重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0216】
〔実験例4−13〕:イエローインク4
下記インク処方4−13の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク4とした。
【0217】
<インク処方4−13>
DNA複合体懸濁液7 (インク中固形分濃度として) 2重量%
イエロー分散液4 1.0重量%
エチレングリコ−ル 5重量%
グリセロ−ル 2重量%
1,3−プロパンジオール 8重量%
2−ピロリドン 2重量%
ポリオキシエチレンポリオキシエチレンブロック共重合体 1重量%
前記構造式(II−4)の活性剤 0.5重量%
尿素 5重量%
安息香酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0218】
〔実験例4−14〕:マゼンタインク4
下記インク処方4−14の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.1に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク4とした。
【0219】
<インク処方4−14>
DNA複合体懸濁液7 (インク中固形分濃度として) 2重量%
マゼンタ分散液4 1.0重量%
エチレングリコ−ル 5重量%
グリセロ−ル 15重量%
2−ピロリドン 2重量%
ポリオキシエチレンポリオキシエチレンブロック共重合体 1重量%
前記構造式(II−4)の活性剤 0.3重量%
前記構造式(V)の活性剤(p、q=20) 0.2重量%
尿素 5重量%
安息香酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0220】
〔実験例4−15〕:シアンインク4
下記インク処方4−15の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8.4に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク4とした。
【0221】
<インク処方4−15>
DNA複合体懸濁液7 (インク中固形分濃度として) 2重量%
シアン分散液4 5重量%
グリセロ−ル 15重量%
Nーヒドロキシエチルピロリドン 5重量%
2−エチル−1,3ヘキサンジオール 1重量%
前記構造式(II−2)の活性剤 1重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0222】
〔実験例4−16〕:イエローインク5
下記インク処方4−16の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化ナトリウムによりpHを7.8に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク5とした。
【0223】
<インク処方4−16>
DNA複合体懸濁液8 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(Y1)の染料 1重量%
前記構造式(Y2)の染料 1重量%
乳酸 1重量%
1、5ペンタンジオール 5重量%
トリメチロールプロパン 7重量%
2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(IV)の活性剤(R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 2重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0224】
〔実験例4−17〕:マゼンタインク5
下記インク処方4−17の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを7.8に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク5とした。
【0225】
<インク処方4−17>
DNA複合体懸濁液8 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(M5)の染料 1.5重量%
C.I.アシッドレッド52 0.5重量%
1、5ペンタンジオール 5重量%
トリメチロールプロパン 7重量%
2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(IV)の活性剤(R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0226】
〔実験例4−18〕:シアンインク5
下記インク処方4−18の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク5とした。
【0227】
<インク処方4−18>
DNA複合体懸濁液8 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(C1) 1重量%
前記構造式(C2) 2重量%
アシッドブルー9 0.5重量%
硝酸カルシウム 6重量%
トリエチレングリコ−ル 5重量%
トリメチロールプロパン 7重量%
2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(IV)の活性剤 (R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 1重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0228】
〔実験例4−19〕:ブラックインク4
下記インク処方4−19の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8に調整してDNAインク組成物を得、ブラックインク4とした。
【0229】
<インク処方4−19>
DNA複合体懸濁液8 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式 (Bk1) の染 4重量%
前記構造式(Y4)の染料 2重量%
硝酸カルシウム 6重量%
トリエチレングリコ−ル 5重量%
トリメチロールプロパン 7重量%
2ーピロリドン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=15) 0.5重量%
具体例(IV)の活性剤(R:C1021 , k:7) 1重量%
ヒドロキシエチル尿素 1重量%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0230】
〔実験例4−20〕:イエローインク6
下記インク処方4−20の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを7.2に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク6とした。
【0231】
<インク処方4−20>
DNA複合体懸濁液1 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(Y4)の染料 1重量%
前記構造式(Y5)の染料 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテエル 10重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=0) 0.5重量%
尿素 2重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0232】
〔実験例4−21〕:マゼンタインク6
下記インク処方4−21の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8.1に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク6とした。
【0233】
<インク処方4−21>
DNA複合体懸濁液1 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(M1)の染料 2重量%
前記構造式(M2)の染料 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0234】
〔実験例4−22〕:シアンインク6
下記インク処方4−22の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク6とした。
【0235】
<インク処方4−22>
DNA複合体懸濁液1 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(C2)の染料 2重量%
前記構造式(C3)の染料 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)の活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0236】
〔実験例4−23〕:イエローインク7
下記インク処方4−23の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、イエローインク7とした。
【0237】
<インク処方4−23>
DNA複合体懸濁液2 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(Y7)の染料 1重量%
前記構造式(Y6)の染料 0.5重量%
C.I.アシッドイエロー17 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテエル 10重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(IV)活性剤(p+q=0) 0.5重量%
尿素 2重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0238】
〔実験例4−24〕:マゼンタインク7
下記インク処方4−24の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、マゼンタインク7とした。
【0239】
<インク処方4−24>
DNA複合体懸濁液2 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(M1)の染料 2重量%
前記構造式(M2)の染料 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0240】
〔実験例4−25〕:シアンインク7
下記インク処方4−25の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを9.5に調整してDNAインク組成物を得、シアンインク7とした。
【0241】
<インク処方4−25>
DNA複合体懸濁液2 (インク中固形分濃度として) 2重量%
前記構造式(C3)の染料 3重量%
前記構造式(C2)の染料 1重量%
硝酸カルシウム 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロ−ル 7重量%
1、3ブタンジオール 3重量%
前記構造式(I−1)の活性剤 1重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=15) 0.5重量%
前記構造式(V)活性剤(p+q=0) 0.5重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0242】
〔実験例4−26〕:ブラックインク5
下記インク処方4−2の組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、水酸化リチウムによりpHを8.8に調整してDNAインク組成物を得、ブラックインク2とした。
【0243】
〔比較実験例4−1〕:ブラックインク5
前記〔実験例4−1〕のインク処方4−1においてDNA複合体懸濁液1を除いた以外は〔実験例4−1〕と同様に調製してブラックインク5とした。
【0244】
〔比較実験例4−2〕:ブラックインク6
前記〔実験例4−2〕のインク処方4−2においてDNA複合体懸濁液1を除いた以外は〔実験例4−2〕と同様に調製してブラックインク6とした。
【0245】
〔比較実験例4−3〕:ブラックインク7
前記〔実験例4−3〕のインク処方4−3においてDNA複合体懸濁液1を除いた以外は〔実験例4−3〕と同様に調製してブラックインク7とした。
【0246】
〔比較実験例4−4〕:イエローインク8
前記〔実験例4−4〕のインク処方4−4においてDNA複合体懸濁液4を除いた以外は〔実験例4−4〕と同様に調製してイエローインク8とした。
【0247】
〔比較実験例4−5〕:マゼンタインク8
前記〔実験例4−5〕のインク処方4−5においてDNA複合体懸濁液4を除いた以外は〔実験例4−5〕と同様に調製してマゼンタインク8とした。
【0248】
〔比較実験例4−6〕:シアンインク8
前記〔実験例4−6〕のインク処方4−6においてDNA複合体懸濁液4を除いた以外は〔実験例4−6〕と同様に調製してシアンインク8とした。
【0249】
〔比較実験例4−7〕:イエローインク9
前記〔実験例4−7〕のインク処方4−7においてDNA複合体懸濁液5を除いた以外は〔実験例4−7〕と同様に調製してイエローインク9
【0250】
〔比較実験例4−8〕:マゼンタインク9
前記〔実験例4−8〕のインク処方4−8においてDNA複合体懸濁液5を除いた以外は〔実験例4−8〕と同様に調製してマゼンタインク9とした。
【0251】
〔比較実験例4−9〕:シアンインク9
前記〔実験例4−9〕のインク処方4−9においてDNA複合体懸濁液5を除いた以外は〔実験例4−9〕と同様に調製してシアンインク9とした。
【0252】
〔比較実験例4−10〕:イエローインク10
前記〔実験例4−10〕のインク処方4−10においてDNA複合体懸濁液6を除いた以外は〔実験例4−10〕と同様に調製してイエローインク10とした。
【0253】
〔比較実験例4−11〕:マゼンタインク10
前記〔実験例4−11〕のインク処方4−11においてDNA複合体懸濁液6を除いた以外は〔実験例4−11〕と同様に調製してマゼンタインク10とした。
【0254】
〔比較実験例4−12〕:シアンインク10
前記〔実験例4−12〕のインク処方4−12においてDNA複合体懸濁液6を除いた以外は〔実験例4−12〕と同様に調製してシアンインク10とした。
【0255】
〔比較実験例4−13〕:イエローインク11
前記〔実験例4−13〕のインク処方4−13においてDNA複合体懸濁液7を除いた以外は〔実験例4−13〕と同様に調製してイエローインク11とした。
【0256】
〔比較実験例4−14〕:マゼンタインク11
前記〔実験例4−14〕のインク処方4−14においてDNA複合体懸濁液7を除いた以外は〔実験例4−14〕と同様に調製してマゼンタインク11とした。
【0257】
〔比較実験例4−15〕:シアンインク11
前記〔実験例4−15〕のインク処方4−15においてDNA複合体懸濁液7を除いた以外は〔実験例4−15〕と同様に調製してシアンインク11とした。
【0258】
〔比較実験例4−16〕:イエローインク12
前記〔実験例4−16〕のインク処方4−16においてDNA複合体懸濁液8を除いた以外は〔実験例4−16〕と同様に調製してイエローインク12とした。
【0259】
〔比較実験例4−17〕:マゼンタインク12
前記〔実験例4−17〕のインク処方4−17においてDNA複合体懸濁液8を除いた以外は〔実験例4−17〕と同様に調製してマゼンタインク12とした。
【0260】
〔比較実験例4−18〕:シアンインク9
前記〔実験例4−18〕のインク処方4−18においてDNA複合体懸濁液8を除いた以外は〔実験例4−18〕と同様に調製してシアンインク9とした。
【0261】
〔比較実験例4−19〕:ブラックインク8
前記〔実験例4−19〕のインク処方4−19においてDNA複合体懸濁液8を除いた以外は〔実験例4−19〕と同様に調製してブラックインク8とした。
【0262】
〔比較実験例4−20〕:イエローインク13
前記〔実験例4−20〕のインク処方4−20においてDNA複合体懸濁液1を除いた以外は〔実験例4−20〕と同様に調製してイエローインク13とした。
【0263】
〔比較実験例4−21〕:マゼンタインク13
前記〔実験例4−21〕のインク処方4−21においてDNA複合体懸濁液1を除いた以外は〔実験例4−21〕と同様に調製してマゼンタインク13とした。
【0264】
〔比較実験例4−22〕:シアンインク13
前記〔実験例4−22〕のインク処方4−22においてDNA複合体懸濁液1を除いた以外は〔実験例4−22〕と同様に調製してシアンインク13とした。
【0265】
〔比較実験例4−23〕:イエローインク14
前記〔実験例4−23〕のインク処方4−23においてDNA複合体懸濁液2を除いた以外は〔実験例4−23〕と同様に調製してイエローインク14とした。
【0266】
〔比較実験例4−24〕:マゼンタインク14
前記〔実験例4−24〕のインク処方4−24においてDNA複合体懸濁液2を除いた以外は〔実験例4−24〕と同様に調製してイエローインク14とした。
【0267】
〔比較実験例4−25〕:シアンインク14
前記〔実験例4−25〕のインク処方4−25においてDNA複合体懸濁液2を除いた以外は〔実験例4−25〕と同様に調製してシアンインク14とした。
【0268】
<インク化>
上記〔実験例4−1〕〜〔実験例4−25〕の本発明に係るDNAインク組成物(DNAインク)と〔比較実験例4−1〕〜〔比較実験例4−25〕に示す通常のインクのそれぞれのインク化に際しては、前記DNA複合体懸濁液(本発明の場合)、着色材(顔料分散液や染料)、界面活性剤、水溶性有機溶剤などを水中に添加して攪拌混合し、単分散状態になったことを顕微鏡観察により確認した後、そこへ水溶性高分子、防腐剤等、その他の添加物を添加して更に十分攪拌し、完全に溶解させて調製した。得られた分散液をメンブランフィルターによって加圧濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して各インクとした。
上記インク処方により得られたそれぞれのDNAインクと通常のインクの超微粒子平均粒子径、分散媒粘度、最低造膜温度(MFT)、pHを表4に示す。
なお、評価に使用したインクは全て、20℃において表面張力30〜60mN/mとし、インク中の着色樹脂の重量濃度を20%に調整した。粘度は、レオメトリックス社製RFS−IIを使用し、温度20℃、せん断速度500s−1で測定した。また、粒径分布の測定については、大塚電子社製電気泳動光散乱装置ELS−800を使用した。
【0269】
【表4】
Figure 2004331832
【0270】
実施例5
次に、上記本発明に係るDNAインク〔実験例4−1〕〜〔実験例4−25〕と通常のインク〔比較実験例4−1〕〜〔比較実験例4−25〕を用いて4色インクセットを構成し、このインクセットを用いた画像をインクジエト記録により形成して、(1)画像の鮮明性、(2)画像の耐水性、(3)画像の耐光性、(4)画像の乾燥性、(5)保存安定性、(6)印字休止時信頼性、(7)周波数共鳴応答性を評価を実施した。各試験方法と評価基準は下記による。結果を下記表5に示す。
【0271】
〔試験方法と評価基準〕
(1)画像の鮮明性:
サ−マルインクジェット方式の各色ノズル径18μm、600dpiピッチの300ノズルを有するインクジェットプリンタ−及び積層PZTを液室流路の加圧に使用した各色ノズル径28μm、200dpiピッチの300ノズルを有するインクジェットプリンタ−、静電アクチュエーターを液室流路の加圧に使用した各色300ノズルを有するインクジェットプチンターにて印字を行い、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、濃度を目視により総合的に判断した。またOHP投影時の発色も評価した。なお、印字用紙は、市販の再生紙、上質紙とボンド紙及び水溶性樹脂層の吸収層を持つ光沢フィルム、およびOHPシートである。
<評価基準>
ランク5:紙種によらず2色重ね部境界のにじみ、画像濃度が高く鮮明性、色再現性が高いもの
ランク4:上記で画像濃度がやや低いもの
ランク3:色境界滲みは少ないが紙種により2次色のむら等が認められるも
ランク2:紙種により色境界滲みが発生するもの
ランク1:上記で画像濃度も低く鮮明性に劣るもの
【0272】
(2)画像の耐水性:
画像サンプルを30℃の水に1分間浸漬し、処理前後の画像濃度の変化をX−Rite938にて測定し、下記式により耐水性(耐色率%)を求めた。
耐色率(%)=[1−(処理後の画像濃度/処理前の画像濃度)]×100
<評価基準>
ランク5:いづれの紙でも耐色率が10%以下である場合
ランク4:耐色率が20%以下である場合
ランク3:耐色率が30%未満である場合
ランク2:耐色率が30%以上である場合
ランク1:耐色率が50%以上である場合
【0273】
(3)画像の耐光性:
画像サンプルをキセノンウェザオメーターCi35W(アトラス社製)にてボロシリ/ボロシリのフィルターを使用し、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、0.35W/mで暴露試験を行い、28時間後の褪色状態をX−Rite938を用いて色差により判定した。
<評価基準>
ランク○:ΔEが各色6未満である場合
ランク△:各色15未満である場合
ランク×:各色15以上である場合
【0274】
(4)画像の乾燥性:
印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけ、インクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。
<評価基準>
ランク○:いずれの紙でも10秒以内で乾燥した場合
ランク×:いずれの紙でも10秒を超えて乾燥した場合
【0275】
(5)保存安定性:
各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、70℃でそれぞれの条件下で3カ月保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈澱物析出、粒子径の変化の有無を調べた。
<評価基準>
ランク○:いずれの条件で保存しても物性等の変化がない場合
ランク×:物性等の変化が有る場合(但し、該当インクは無い)
【0276】
(6)印字休止時信頼性:
ノズル径30μm128ノズルを有するPZTで駆動するヘッドを有するプリンタ−を使用し、動作中にキャップ、クリ−ニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその信頼性を評価した。
<評価基準>
ランク5:特に問題がない場合
ランク4:滴重量の変化が小で噴射方向曲がりが限度内である場合
ランク3:噴射方向曲がりが小である場合
ランク2:滴重量変化大であるが目詰まり発生はない場合2
ランク1:顕著な目詰まりが発生する場合
【0277】
(7)周波数共鳴応答性:
印字画像に低周波数から高周波数の磁気を当てて共鳴する周波数を検出した。
<評価基準>
ランク○:検出できた場合
ランク×:検出できない場合
【0278】
【表5】
Figure 2004331832
【0279】
評価の結果、本発明のDNAインク組成物は、いずれも画像の鮮明性、画像の耐水性、画像の耐光性、画像の乾燥性、保存安定性、印字休止時信頼性に優れたインクジエット記録システムに適合したインクであることが確認された。また、印刷された画像から、各磁気共鳴を利用した検出手段によりDNA情報を検知することが可能であることが確認された。なお、通常インクの場合には、DNA情報に基づく共鳴周波数は当然に検出されない。
【0280】
【発明の効果】
請求項1の発明に係わるDNAインク組成物によると、環境汚染等の問題のない水溶性インクが提供され、どのような記録媒体にも印刷でき、滲みなどの無い高品質の画像が形成できる。また、DNA分子をインク中に組み込むことによって、個人あるいは工業製品を識別する機能を有する印刷画像が形成され、偽造防止に使用することが可能となる。
請求項2の発明に係わるDNAインク組成物によると、超微粒子の水性液への均一な分散性と分散安定性を維持することができる。
請求項3の発明に係わるDNAインク組成物によると、インクジエット記録に要請される諸特性を満たす好適な超微粒子(ラテックスやエマルジョン等の水分散液)を得ることができる。
請求項4の発明に係わるDNAインク組成物によると、本発明におけるインクジエット記録法に適合したDNAインクが調整され、所望の記録媒体にインクジエット記録装置を用いて記録することができる。
請求項5及び6記載の発明に係わるDNAインク組成物によると、インクの保存性・信頼性とインクジェットプリンターのヘッドからの吐出安定性を大幅に向上することが可能となる。
請求項7の発明に係わるDNAインク組成物によると、識別機能を有する印刷画像の形成が可能となり、DNA分子の固有情報を個人や工業製品識別情報に対応付けて偽造防止に使用することができる。
請求項8の発明に係わるDNAインク組成物によると、所望の記録媒体に高品質の識別画像を形成することができる。
請求項9の発明に係わるDNAインク組成物によると、保存性、信頼性が確保され、ヘッドからの吐出安定性も好適で高品質の識別画像が形成される。
請求項10〜12の発明に係わる識別画像印刷体によると、 所望の記録媒体に識別画像の印刷が可能となり、個人あるいは工業製品に関わる各種の識別画像印刷体の製作が実現し、DNA分子の包含する膨大な数の塩基結合の組合せによって構成される固有情報を、個人あるいは工業製品に対応付けすることによって偽造を防止することができる。
請求項13の発明に係わる識別画像印刷体の記録方法によると、所望の記録媒体に個人あるいは工業製品に関わる各種の識別画像の印刷が可能となる。
請求項14〜17の発明に係わる個人認証システムあるいは工業製品個人認証システムによると、識別画像中のDNA分子固有情報からリアルタイムで多様な核磁気共鳴周波数のパターンが得られ、このDNA分子の固有情報を個人あるいは工業製品とを対応付けることによって偽造を防止することができる。
請求項18あるいは19の発明に係わるDNA識別カードによると、各種クレジットカード等の形態にして用いることができ、取引における個人あるいは工業製品の認証、金額の精算処理記録、更新などが不正なく実行できる。
請求項20の発明に係わるインクジエット記録装置によると、どのような記録媒体に対しても高品質の識別画像を印刷記録することができる。
請求項21または22の発明に係わるインクカートリッジあるいは記録ユニットによると、インクジエット記録装置のコンパクト化、メンテナンス作業や部品交換を容易化し、画像品質を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるインクジエット記録装置の主要部を構成する、熱エネルギーを利用する態様の記録ヘッドの概略断面図である。
【図2】本発明における記録ヘッドを組み込んだインクジエット記録装置の構成例を説明するための外観斜視図である。
【図3】図2のインクジエット記録装置の記録ヘッドに供給するインクを収容したインクカートリッジの概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明におけるインクジエット記録装置に装着される記録ヘッドとインク収容部を一体に備えた記録ユニットを説明するための外観斜視図である。
【図5】本発明におけるインクジエット記録装置の主要部を構成する、力学エネルギーを利用する態様の記録ヘッド(圧電素子使用)の概略断面図である。
【図6】本発明におけるインクジエット記録装置の主要部を構成する、他の力学エネルギーを利用する態様の記録ヘッド(静電アクチュエータ使用)の概略断面図である。
【図7】本発明のDNAインクによって記録された識別画像中のDNA分子から、個人または工業製品を識別するための識別システム構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
1 ヘッド
2 流路(ノズル)
3 発熱素子基板
4 保護層
5−1、5−2 電極
6 発熱抵抗体層
7 蓄熱層
8 基板
9 インク
10 吐出オリフィス
11 メニスカス
12 インク小滴
13 被記録材(記録媒体)
21 ブレード
22 キャップ
23 インク吸収体
24 吐出回復部
25 記録ヘッド
26 キャリッジ
27 ガイド軸
28 モーター
29 ベルト
31 紙給部
32 紙送りローラー
33 排紙ローラー
40 インクカートリッジ
41 インク袋
42 栓
43 インク吸収体
50 記録ユニット
51 ヘッド部
52 大気連通口
60 インク流路
61 オリフィスプレート
62 振動板
63 圧電素子
64 基板
65 吐出口
71 インクジェットヘッド
72 シリコン基板
73 ノズルプレート
74 ガラス基板
75 インク室
76 共通インク室
77 インク供給路
78 底壁(ダイヤフラム)
79 凹部
80 セグメント電極
81 インクノズル
82 対向壁
83 凹部表面
100 検出手段
110 磁気センサ
110a 発磁気部
110b 受磁気部
120 検出信号出力回路
130 読出・書込制御装置
200 判断手段
210 共鳴周波数再生回路
220 判断回路
230 ディスプレイ
240 インタフェース
300 制御管理手段
310 制御用IC
320 プログラム用IC
330 書込・読出用IC
340 データメモリ
350 演算回路
360 インタフェース
400 ICカード
401 識別画像
402 メモリ用IC
403 制御用IC
410 記録媒体
L 母線

Claims (22)

  1. 少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有することを特徴とするDNAインク組成物。
  2. 前記超微粒子は、平均粒子径0.05〜0.5μmの超微粒子であることを特徴とする請求項1に記載のDNAインク組成物。
  3. 前記超微粒子は、有機高分子化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のDNAインク組成物。
  4. 前記組成分として、更に着色材、水溶性有機溶剤、界面活性剤、水溶性高分子化合物、pH緩衝剤、蛋白質、糖類から選ばれる少なくとも一つの成分を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のDNAインク組成物。
  5. 前記全組成分中の固形分濃度が0.1〜10.0wt%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のDNAインク組成物。
  6. 前記組成分として、室温における蒸気圧が0.001〜50mmHgである少なくとも一種の水溶性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のDNAインク組成物。
  7. 前記DNA分子は、人または他の生物から採取されたDNAか、あるいは合成されたDNAであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のDNAインク組成物。
  8. インクジェットヘッドのノズルからインク液滴を吐出して識別画像を印刷するインクジェット記録装置に用いられるDNAインク組成物であって、
    該インク組成物は、前記請求項1〜7のいずれかに記載のDNAインク組成物であることを特徴とするDNAインク組成物。
  9. 前記DNAインク組成物の粘度は1〜20mPa・sで、表面張力は20〜70mN/mであり、かつ前記インクジェットヘッドのノズル面を構成する材料に対する接触角は30〜170゜であることを特徴とする請求項8に記載のDNAインク組成物。
  10. 少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式によって記録媒体上に、該DNA分子の有する固有情報から個人あるいは工業製品を特定し得る識別画像を記録したことを特徴とする識別画像印刷体。
  11. 前記DNA分子は、人または他の生物から採取されたDNAか、あるいは合成されたDNAであることを特徴とする請求項10に記載の識別画像印刷体。
  12. 前記DNA分子は、個人を特定し得る当該個人から直接採取された生体的断片を基に得られた遺伝子に係わる情報であることを特徴とする請求項11に記載の識別画像印刷体。
  13. 少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、該DNA分子の有する固有情報から個人あるいは工業製品を特定し得る識別画像を記録媒体上に記録する識別画像印刷体の記録方法であって、
    前記識別画像は、インクジェット記録方式により記録されることを特徴とする識別画像印刷体の記録方法。
  14. 記録媒体上に、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式により記録された識別画像中の該DNA分子の有する固有情報を検出する検出手段と、該検出された固有情報と予め登録された個人特定に関連付けられた該DNAに係わる識別情報とを照合する判断手段と、該検出手段と判断手段とを含む全体システムを統合制御する制御管理手段とを備えたことを特徴とする個人認証システム。
  15. 前記検出手段は、前記識別画像と非接触の状態で該識別画像中のDNA分子の有する固有情報を核磁気共鳴現象により検出する磁気センサを備えたことを特徴とする請求項14に記載の個人認証システム。
  16. 記録媒体上に、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式により記録された識別画像中の該DNA分子の有する固有情報を検出する検出手段と、該検出された固有情報と予め登録された工業製品特定に関連付けられた該DNAに係わる識別情報とを照合する判断手段と、該検出手段と判断手段とを含む全体システムを統合制御する制御管理手段とを備えたことを特徴とする工業製品認証システム。
  17. 前記検出手段は、前記識別画像と非接触の状態で該識別画像中のDNA分子の有する固有情報を核磁気共鳴現象により検出する磁気センサを備えたことを特徴とする請求項16に記載の工業製品認証システム。
  18. 記録媒体上に、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を用い、インクジェット記録方式により記録された識別画像を備えたDNA識別カードであって、
    該識別カードは、前記識別画像中のDNA分子の有する固有情報を検出する検出手段と、該検出された固有情報と予め登録された個人または工業製品特定に関連付けられた該DNAに係わる識別情報とを照合する判断手段と、該検出手段と判断手段とを含む全体システムを統合制御する制御管理手段とを備えた個人または工業製品認証システムに用いられることを特徴とするDNA識別カード。
  19. 上記DNA識別カードは、更にIC素子が併設されたことを特徴とする請求項18に記載のDNA識別カード。
  20. インク組成物をそれぞれ独立に収容するインク供給手段と、該インク組成物を個別にインクジェットヘッドのノズルから吐出する吐出手段とを備えたインクジェット記録装置であって、
    前記インク組成物は、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  21. インク組成物をそれぞれ独立に収容するインク供給手段と、該インク組成物を個別にインクジェットヘッドのノズルから吐出する吐出手段とを備えたインクジェット記録装置の該インク供給手段に装着されるインク収容部を設けたインクカートリッジであって、
    前記インク収容部に少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物を収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
  22. インクジェット記録装置に搭載され、インク収容部と該インクを吐出するヘッド部とを備えた記録ユニットであって、
    前記インク収容部に収容されるインクは、少なくとも表面にDNA分子が結合した超微粒子と、水とを組成分として含有するDNAインク組成物であることを特徴とする記録ユニット。
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