JP2004175922A - ヌクレオチド重合体マイクロカプセルインキ - Google Patents

ヌクレオチド重合体マイクロカプセルインキ Download PDF

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誠 梅田
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Abstract

【課題】十分に安定な分子生物学的識別性を有する画像を印刷する。
【解決手段】ヌクレオチド重合体を内包するマイクロカプセルと、ヌクレオチド重合体を含有するゲル物質との少なくとも何れか一方をインキに含有させる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヌクレオチド重合体を含むインキ、画像およびその様な画像が形成されたシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
真贋判定用、偽造防止用、秘匿情報用および個別情報識別用などの画像を形成するためのインキとしてDNA等を含有するインキが提案されており、例えば特許文献1に記載されている。また、DNA抽出物質を用いて真贋鑑定認証を行うことが特許文献2に、DNAデータを有するバーコードラベルが特許文献3に、それぞれ記載されている。
【0003】
DNAはデオキシリボヌクレオチドの線状重合体で、各ヌクレオチドの間が糖の3’と5’炭素のリン酸ジエステル結合によって結ばれたポリデオキシリボヌクレオチドである。また、DNA以外のヌクレオチド重合体としてはRNA等があり、RNAはリボヌクレオチドの線状重合体で、各ヌクレオチドの間が糖の3’と5’炭素のリン酸ジエステル結合によって結ばれたポリリボヌクレオチドである。
【0004】
ヌクレオシドはプリン類またはピリミジン類にペントースが結合したものであり、ペントースとしてはD−リボース及び2−デオキシ−D−リボースがある。プリン類とペントースとの結合様式はプリン環の9位の窒素とペントースの1位の炭素との間のβ−N−グリコシド結合であり、ピリミジン類とペントースとの結合様式はピリミジン環の1位の窒素とペントースの1位の炭素との間のβ−N−グリコシド結合である。
【0005】
DNAを構成している塩基は、アデニン及びグアニンの2種類のプリン類、チミン及びシトシンの2種類のピリミジン類の合計4種類である。また、RNAを構成している塩基は、アデニン及びグアニンの2種類のプリン類、チミン及びウラシルの2種類のピリミジン類の合計4種類である。このため、重合度がnのDNA及びRNAを用いれば4通りの組合わせを実現でき、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを4の精度で行うことができる。
【0006】
この様なヌクレオチド重合体を含有するインキを用いて、真贋判定用、偽造防止用、秘匿情報用および個別情報識別用などの画像が、オフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などで作製される。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−070951号公報
【特許文献2】
特開2002−140449号公報
【特許文献3】
特開2002−157570号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヌクレオチド重合体は主鎖にリン酸ジエステル結合を有しており、このリン酸ジエステル結合が条件に依っては容易に加水分解されるため、ヌクレオチド重合体の安定性が不足し、ヌクレオチド重合体の分解が急速に進行する場合がある。
【0009】
また、ヌクレオチド重合体は側鎖にβ−N−グリコシド結合を有しており、このβ−N−グリコシド結合が条件に依っては容易に加水分解されるため、ヌクレオチド重合体の安定性が不足し、ヌクレオチド重合体の分解が急速に進行する場合がある。
【0010】
このため、ヌクレオチド重合体を含有するインキを用いて、真贋判定用、偽造防止用、秘匿情報用および個別情報識別用などの画像を形成しても、画像中のヌクレオチド重合体が分解され、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを十分行えない場合があった。
【0011】
この様な状況に鑑み、本発明に置いては、十分な安定性を有するヌクレオチド重合体含有インキを提供し、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを十分な精度で行うことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、ヌクレオチド重合体を内包するマイクロカプセルと、ヌクレオチド重合体を含有するゲル物質との少なくとも何れか一方を含むインキが提供される。
【0013】
また、この様なインキを用いて、真贋判定用画像、偽造防止用画像、秘匿情報用画像および個別情報識別用画像から選ばれる1種以上の画像が形成されたシートが提供される。
【0014】
以上の様なインキにおいて、ヌクレオチド重合体はマイクロカプセルに内包されているか、ヌクレオチド重合体はゲル物質に内包または含有されている。このため、ヌクレオチド重合体の安定性が向上する。
【0015】
例えば、ヌクレオチド重合体主鎖のリン酸ジエステル結合の加水分解が抑制されるため、ヌクレオチド重合体の安定性が向上し、ヌクレオチド重合体の分解が抑制される。
【0016】
また、ヌクレオチド重合体側鎖のβ−N−グリコシド結合の加水分解が抑制されるため、ヌクレオチド重合体の安定性が向上し、ヌクレオチド重合体の分解が抑制される。
【0017】
このため、ヌクレオチド重合体を含有するインキを用いて、真贋判定用、偽造防止用、秘匿情報用および個別情報識別用などの画像を形成した場合、画像中のヌクレオチド重合体は十分に安定であり分解が抑制されているため、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを十分な精度で行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
(ヌクレオチド重合体)
ヌクレオチド重合体としては、所望の分子生物学的な識別性を有する画像を形成できるものを、高分子量DNA、低分子量DNA、高分子量RNA、低分子量RNA及びこれらの誘導体などの中から選択する。なお、高分子量とは10個以上のヌクレオチド単位が重合したポリマーを言い、低分子量とは9個以下のヌクレオチド単位が重合したオリゴマーを言い、ダイマー及びトリマー等も含むものとする。
【0020】
DNAの調製は、例えば以下の様な方法で行う。
【0021】
(ア)天然物からDNAを抽出する。天然物としては、動物細胞および植物細胞などのクロモソーム、動物細胞および植物細胞などのミトコンドリ及び葉緑体などのオルガネラ、細菌、真菌、ウイルス等を使用し、これらの抽出液を例えばフェノール法などにより除蛋白処理したのち、必要に応じて糖およびRNA等を除去し、例えばクロマトグラム法および超遠心法などでDNAを回収する。この後、必要に応じて、エタノール及びプロパノール等で再結晶することで、高純度のDNAを得ることができる。
【0022】
また、この様にして得られるDNAを部分分解してフラグメント化したものも、ヌクレオチド重合体として用いる。DNAのフラグメント化は、制限酵素およびリボザイム等の酵素を用いる方法や、ジメチル硫酸などの化学的試薬を用いた限定分解法などにより行う。
【0023】
反対に、DNAリガーゼ等により連結されたDNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。
【0024】
以上の様にして得られるDNAは、マキサム−ギルバート法、サンガー法およびDNAチップ法などにより、塩基配列および重合度を確認する。
【0025】
(イ)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により増幅されたDNAも使用できる。PCR法においては、耐熱性のDNAポリメラーゼと1対のプライマーと呼ばれるオリゴヌクレオチドと鋳型DNAとを含む反応溶液の温度を昇降させることにより、鋳型DNAを増幅する。
【0026】
PCR法では、増幅したい鋳型DNA配列を含むものと過剰量の1対のプライマーと耐熱性DNAポリメラーゼを含む反応溶液とを、例えば、95℃で30秒、65℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとして30〜40サイクル反応させる。95℃において、プライマーは増幅したいDNA部位のそれぞれで一本鎖DNAの状態で存在している。これをプライマーの配列に応じて適当な温度(例では65℃)に冷却すると、プライマーと鋳型DNAの間で部分二本鎖が形成される。その後、酵素の反応温度(72℃)に上昇させポリメラーゼ反応を実行させる。この1サイクルの反応により、鋳型DNAは1対プライマーから伸張した新しいDNA鎖と合わせて、2倍に増幅される。そして、この反応サイクルを繰り返すことにより、幾何級数的に鋳型DNAを増幅できる。
【0027】
PCR法で増幅される鋳型DNAを含む材料としては、動物細胞および植物細胞などのクロモソーム、動物細胞および植物細胞などのミトコンドリ及び葉緑体などのオルガネラ、細菌、真菌、ウイルス等を使用することができる。また、ヒト、ペット及び家畜などの血液、体毛および唾液などの動物組織;ワイン用ブドウ、ウイスキー用ムギ、酒用イネ等の植物組織などからDNAを増幅し、ヌクレオチド重合体を調製する。
【0028】
また、この様にして得られるDNAを部分分解してフラグメント化したものも、ヌクレオチド重合体として用いる。DNAのフラグメント化は、制限酵素およびリボザイム等の酵素を用いる方法や、ジメチル硫酸などの化学的試薬を用いた限定分解法などにより行う。
【0029】
反対に、DNAリガーゼ等により連結されたDNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。
【0030】
以上の様にして得られるDNAは、マキサム−ギルバート法、サンガー法およびDNAチップ法などにより、塩基配列および重合度を確認する。
【0031】
(ウ)化学合成
固相合成法および液相合成法などにより化学合成されたDNAを、ヌクレオチド重合体として用いることもできる。
【0032】
固相合成法においては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリルアミド等の樹脂製のビーズ、ピン及びチップ等の支持担体上でリン酸ジエステル法、リン酸トリエステル法、ホスファイト法などによりDNAを化学合成する。
【0033】
リン酸トリエステル法およびホスファイト法による固相合成法の場合、樹脂製支持担体に結合した保護基の導入されたヌクレオシドに対して3’から5’方向にヌクレオチド鎖を延長する。ヌクレオシドの結合したヌクレオチド鎖の5’水酸基の保護基を除去し、それに対してヌクレオチドを縮合する。この2つの操作を繰返すことにより樹脂製支持担体上でヌクレオチド鎖を延長し、縮合反応の後で未反応の水酸基をブロックする。その後、目的とするDNAを支持担体から切り離し回収し精製する。
【0034】
また、液相合成法においては、縮合反応を均一系で行う毎に反応生成物を単離精製し、次のヌクレオチドを縮合する。
【0035】
以上の様に化学合成で得られるDNAを部分分解してフラグメント化したものも、ヌクレオチド重合体として用いる。DNAのフラグメント化は、制限酵素およびリボザイム等の酵素を用いる方法や、ジメチル硫酸などの化学的試薬を用いた限定分解法などにより行う。
【0036】
反対に、DNAリガーゼ等により連結されたDNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。
【0037】
以上の様にして得られるDNAは、マキサム−ギルバート法、サンガー法およびDNAチップ法などにより、塩基配列および重合度を確認する。
【0038】
一方、RNAの調製は、例えば以下の様な方法で行う。
【0039】
(ア)天然物から、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNA等のRNAを抽出する。天然物としては、動物細胞および植物細胞などのクロモソーム、動物細胞および植物細胞などのミトコンドリ及び葉緑体などのオルガネラ、細菌、真菌、ウイルス等を使用し、これらの抽出液を例えばフェノール法などにより除蛋白処理したのち、必要に応じて糖およびDNA等を除去し、例えばクロマトグラム法および超遠心法などでRNAを回収する。この後、必要に応じて、エタノール及びプロパノール等で再結晶することで、高純度のRNAを得ることができる。
【0040】
また、この様にして得られるRNAを部分分解してフラグメント化したものも、ヌクレオチド重合体として用いる。RNAのフラグメント化は、RNase及びリボザイム等の酵素を用いる方法や、化学的試薬を用いた限定分解法などにより行う。
【0041】
反対に、RNAリガーゼ等により連結されたRNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。
【0042】
以上の様にして得られるRNAは、Donis−Keller法などにより、塩基配列および重合度を確認する。また、RNAを逆転写してDNAを合成し、このDNAの塩基配列および重合度を、マキサム−ギルバート法、サンガー法およびDNAチップ法などにより確認して、元のRNAの塩基配列および重合度を確認する。
【0043】
(イ)逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法により増幅されたRNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。RT−PCR法においては、鋳型RNAを逆転写して鋳型DNAを合成し、この鋳型DNAをPCR法により増幅し、増幅されたDNAを転写して鋳型RNAに戻すことにより、鋳型RNAを増幅する。鋳型RNAを逆転写して鋳型DNAを合成する逆転写酵素としては、ウイルス等を由来とするもの等を使用する。また、DNAからRNAを転写する酵素としては、細菌由来のRNAポリメラーゼ等を使用する。
【0044】
RT−PCR法で増幅される鋳型RNAを含む材料としては、動物細胞および植物細胞などのクロモソーム、動物細胞および植物細胞などのミトコンドリ及び葉緑体などのオルガネラ、細菌、真菌、ウイルス等を使用することができる。より具体的には、ヒト、ペット及び家畜などの血液、体毛および唾液などの動物組織;ワイン用ブドウ、ウイスキー用ムギ、酒用イネ等の植物組織などよりRNAを増幅し、ヌクレオチド重合体を調製する。
【0045】
また、この様にして得られるRNAを部分分解してフラグメント化したものも、ヌクレオチド重合体として用いる。RNAのフラグメント化は、RNase及びリボザイム等の酵素を用いる方法や、化学的試薬を用いた限定分解法などにより行う。
【0046】
反対に、RNAリガーゼ等により連結されたRNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。
【0047】
以上の様にして得られるRNAは、Donis−Keller法などにより、塩基配列および重合度を確認する。また、RNAを逆転写してDNAを合成し、このDNAの塩基配列および重合度を、マキサム−ギルバート法、サンガー法およびDNAチップ法などにより確認して、元のRNAの塩基配列および重合度を確認する。
【0048】
(ウ)化学合成
固相合成法および液相合成法などにより化学合成されたRNAを、ヌクレオチド重合体として用いることもできる。
【0049】
固相合成法においては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリルアミド等の樹脂製のビーズ、ピン及びチップ等の支持担体上でリン酸ジエステル法、リン酸トリエステル法、ホスファイト法などによりRNAを化学合成する。その後、目的とするRNAを支持担体から切り離し回収し精製する。
【0050】
また、液相合成法においては、縮合反応を均一系で行う毎に反応生成物を単離精製し、次のヌクレオチドを縮合する。
【0051】
また、この様にして得られるRNAを部分分解してフラグメント化したものも、ヌクレオチド重合体として用いる。RNAのフラグメント化は、RNase及びリボザイム等の酵素を用いる方法や、化学的試薬を用いた限定分解法などにより行う。
【0052】
反対に、RNAリガーゼ等により連結されたRNAも、ヌクレオチド重合体として用いることができる。
【0053】
以上の様にして得られるRNAは、Donis−Keller法などにより、塩基配列および重合度を確認する。また、RNAを逆転写してDNAを合成し、このDNAの塩基配列および重合度を、マキサム−ギルバート法、サンガー法およびDNAチップ法などにより確認して、元のRNAの塩基配列および重合度を確認する。
【0054】
以上では、ヌクレオチド重合体としてDNA及びRNAの調製方法を説明したが、以上の方法で得られたDNAをRNAポリメラーゼ等を用いて転写されたRNAや、以上の方法で得られたRNAを逆転写酵素などを用いて逆転写されたDNAも、ヌクレオチド重合体として使用できる。
【0055】
更に、以上の様にして得られるDNA及びRNAを、化学的および酵素的に修飾し、例えば、UV発色基、ラジオアイソトープ、蛋白結合基、リンカー、官能基などが導入された誘導体;抗体抗原反応、レクチンなどの接着分子、特異的受容体とそのリガンド、DNAやRNAの相補的相互作用基、抗体、抗原または受容体など標識プローブなどが導入された誘導体も、ヌクレオチド重合体として使用できる。
【0056】
なお、以上に説明したヌクレオチド重合体は、必要に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0057】
また、DNAとRNAとのキメラヌクレオチド重合も使用できる。
【0058】
ヌクレオチド重合体の塗工前のインキ全体に占める割合は、ヌクレオチド重合体の検出感度が高く、検出に先立ちヌクレオチド重合体が画像中に放出されるため、微量で十分である。このため、インキの製造コストを低下させる観点から、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。一方、十分な分子生物学的識別性を実現する観点からは、0.00001質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上が更に好ましい。
【0059】
なお、マイクロカプセル壁およびゲル物質の質量を無視することもある。
【0060】
(マイクロカプセル及びゲル物質)
以上に説明したヌクレオチド重合体をマイクロカプセルに内包したり、ゲル物質で内包、コート及び含有することにより、ヌクレオチド重合体の耐熱性および耐加水分解性などを向上できる。
【0061】
例えば、ヌクレオチド重合体を適当な媒体中に分散および溶解などし、その表面にモノマー及びプレポリマーを配置し樹脂化して、カプセル壁を形成したりゲル化することで、ヌクレオチド重合体を内包するマイクロカプセルや、ゲル物質で内包、コート及び含有などされたヌクレオチド重合体を調製できる。
【0062】
カプセル壁およびゲル物質としては、ゼラチン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ尿素、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリウレア等を使用する。
【0063】
マイクロカプセル及びゲル物質は、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被覆法などの化学的カプセル化方法および化学的ゲル化方法;コアセルベーション法、液中硬化被覆法、液中乾燥法、融解分散冷却法などによる物理化学的カプセル化方法および物理化学的ゲル化方法;パンコーティング法、気中懸濁化法、噴霧乾燥法などによる機械的カプセル化方法および機械的ゲル化方法などにより製造できる。
【0064】
例えば、界面重合法においては、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体とマイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体との何れにもカプセル樹脂壁またはゲル物質の原料が存在しており、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体に含まれる原料とマイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体に含まれる原料とが反応してカプセル樹脂壁またはゲル物質が形成される。
【0065】
また、in situ重合法においては、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体とマイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体との何れか一方のみにカプセル樹脂壁またはゲル物質の原料が存在しており、マイクロカプセル又はゲル物質の内部媒体に含まれる原料のみが反応してカプセル樹脂壁またはゲル物質が形成されか、マイクロカプセル又はゲル物質の外部媒体に含まれる原料のみが反応してカプセル樹脂壁またはゲル物質が形成される。
【0066】
以上の重合法において使用される界面活性剤は特に制限されず、アニオン性単量体、カチオン性単量体、ノニオン性単量体、アニオン性重合体、カチオン性重合体、ノニオン性重合体の何れでも使用できる。中でも、乳化能が高い、カプセル内包物の保護性が高い、カプセル樹脂壁の凝集性に優れる、カプセル樹脂壁形成反応を阻害しない等の理由から、アニオン性単量体、アニオン性重合体などが好ましい。
【0067】
具体的には、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコール、ヘキサエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カイゼン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油などを使用する。
【0068】
また、カプセル化反応の際の全体に対して、界面活性剤の使用量は0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、一方、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましくい。
【0069】
カプセル樹脂壁およびゲル物質としては熱可塑性および熱硬化性の何れでも良く、カプセル及びゲル物質内包物の性質、所望のマイクロカプセル及びゲル物質の構造などを考慮して選択する。中でも、マイクロカプセル及びゲル物質の構造を制御し易いなどの理由から、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホンアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂などが好ましく、必要に応じて2種類以上の樹脂を併用できる。
【0070】
具体的には、例えば、尿素樹脂から作製する場合、メチロール化尿素系化合物を用いたin situ重合法、尿素系化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法、ハロゲン化カルボニル化合物とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0071】
また、メラミン樹脂から作製する場合、メチロール化メラミン系化合物を用いたin situ重合法、メラミン系化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0072】
また、ポリウレタン樹脂から作製する場合、イソシアネート化合物とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法、カルボニルモノオキシ化合部とアミン類とを用いた界面重合法、アミノ−カルボニルモノオキシ化合部を用いたin situ重合法などにより作製できる。
【0073】
また、ウレタン−尿素樹脂から作製する場合、イソシアネート化合物と水とを用いた界面重合法、イソシアネート化合物とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0074】
また、ポリアミド樹脂から作製する場合、アミノ酸誘導体を用いたin situ重合法、カルボン酸誘導体とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0075】
また、ポリエステル樹脂から作製する場合、カルボン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0076】
また、ポリエーテル樹脂から作製する場合、カルボン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0077】
また、ポリオレフィン樹脂から作製する場合、エチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン−ジビニルベンゼン等を用いたin situ重合法などにより作製できる。
【0078】
また、カプセル樹脂壁をポリスルホンアミド樹脂から作製する場合、スルホン酸誘導体とアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0079】
また、ポリスルホネート樹脂から作製する場合、スルホン酸誘導体とヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0080】
また、エポキシ樹脂から作製する場合、エポキシドとヒドロキシル化合物とを用いた界面重合法、エポキシドとアミン類とを用いた界面重合法などにより作製できる。更に、プレポリマーからin situ重合法および界面重合法などによっても作製できる。
【0081】
また、ポリカーボネート樹脂から作製する場合、ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0082】
また、フェノール樹脂から作製する場合、芳香族ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとを用いた界面重合法、尿素系化合物と芳香族ヒドロキシ化合物とを用いた界面重合法などにより作製できる。
【0083】
なお、原料としては、上記以外にも、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、ポリアミン、ポリカルボン酸、多塩基酸クロライド、酸無水物、エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル化合物、ポリサルファイド、有機アミン類、酸アミド類、水溶性エポキシ化合物、フェノール類、ホルマリン、ホスゲン、スピロアセタール系複素環状アミン、アルデヒド等も使用できる。
【0084】
以上に記載したカプセル樹脂壁のうち、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂などは熱硬化性樹脂である。また、ポリウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホンアミド樹脂、ポリスルホネート樹脂およびポリカーボネート樹脂などは熱可塑性樹脂である。
【0085】
なお、以上に説明してきたカプセル化反応において、反応温度は、普通50〜100℃とする。特に、耐熱性に乏しいジアゾニウム塩などを使用する場合は、は反応温度を低くする。
【0086】
また、マイクロカプセル樹脂壁およびゲル物質を水溶性樹脂により作製することもできる。水溶性樹脂壁としては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−無水マレイン酸系樹脂、スチレン−無水マレイン酸系樹脂、イソブテン−無水マレイン酸系樹脂、その他のオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、酢酸ビニル共重合体、アクリル系共重合体などを使用する。
【0087】
また、コラーゲン、コラーゲン誘導体、にわか、ゼラチン、アルブミン、アルブミン誘導体、カゼイン、大豆タンパク等のポリアミノ酸類;デンプン、加工デンプン、酸変性デンプン、酸化デンプン、アセチルデンプン、メチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミノアルキルデンプン、アミロース、アミロース誘導体、デキストリン、ブリテッシュガム等のデンプン類;セルロース等のセルロース類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類;硝酸セルロース、酢酸セルロース、ビスコース等のセルロースエステル類;アラビアゴム、トラガントゴム、カラヤゴム、ローカストビーンゴム、グアーゴム、コンニャクマンナン、アルギン酸、ふのり等の複合多糖類なども使用する。
【0088】
これらは、コアセルベーション法、液中硬化被覆法、液中乾燥法などにより製造できる。
【0089】
以上の様にして得られるマイクロカプセル及びゲルの体積平均粒子径は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましく、一方、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。なお、マイクロカプセルの体積平均粒子径は、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて、体積基準により測定することもできる。
【0090】
なお、マイクロカプセル及びゲル物質は、必要に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0091】
(インキ組成物)
以上の様なマイクロカプセル及びゲル物質と、インキを作製するに必要なインキ原料とを混合してインキ組成物を作製する。インキ原料としては、顔料および染料などの色材;油類、樹脂、可塑剤、ワックス類、溶剤などのビヒクル、乾燥制御剤、粘度制御剤、分散制御剤、色調調整剤、反応剤などの助剤などを添加する。
【0092】
また、インキの種類としては、蒸発乾燥性インキ、浸透乾燥性インキ、冷却固化乾燥性インキ、加湿乾燥性インキ、加圧乾燥性インキ、酸化重合硬化性インキ、二液硬化性インキ、触媒硬化性インキ、熱硬化性インキ、紫外線硬化性インキ、電子線硬化性インキ等を挙げることができる。
【0093】
以上の様なインキの具体例を以下に挙げる。
【0094】
Figure 2004175922
【0095】
Figure 2004175922
【0096】
Figure 2004175922
【0097】
Figure 2004175922
【0098】
Figure 2004175922
【0099】
Figure 2004175922
【0100】
(印刷方法)
以上の様なインキを用いて、真贋判定用、偽造防止用、秘匿情報用および個別情報識別用などの画像を、オフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの方法で基体シート(支持体)上に作製できる。
【0101】
(シート)
基体シート(支持体)としては、通常の紙の他に、合成紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン及び塩化ビニル等の合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面にマット処理およびコロナ処理などの表面処理を施す場合もある。
【0102】
(分子生物学認識法)
以上の様なヌクレオチド重合体を含むインキにより形成された画像は、マイクロカプセル及びゲル物質を所定の手法により破壊しヌクレオチド重合体を放出後に分子生物学的に認識でき、真贋判定用、偽造防止用、秘匿情報用および個別情報識別などに使用できる。
【0103】
マイクロカプセル及びゲル物質を破壊する手法としては、画像を加圧、加熱および加湿などして、マイクロカプセル及びゲル物質を破壊するか透過性を向上し、ヌクレオチド重合体を放出させる。
【0104】
具体的には、マイクロカプセル樹脂壁およびゲル物質が熱硬化性樹脂の場合、加圧によりマイクロカプセル及びゲル物質を破壊または透過性を向上できる。また、マイクロカプセル樹脂壁およびゲル物質が熱可塑性樹脂の場合、加圧および加熱によりマイクロカプセル及びゲル物質を破壊または透過性を向上できる。更に、マイクロカプセル樹脂壁およびゲル物質が水溶性樹脂壁の場合、加圧、加熱および加湿によりマイクロカプセル及びゲル物質を破壊または透過性を向上できる。
【0105】
ヌクレオチド重合体を放出後の分子生物学的認識とは、ハイブリダイゼーション法、免疫沈降法、ブロッデング法、染色法などの分子生物学で使用される方法により、所定のヌクレオチド重合体の有無を判定することを言い、これらの方法を用いれば画像に所定のヌクレオチド重合体が存在しているか否かを判定できるため、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを行える。これらの分子生物学で使用される方法の中でも、感度および操作性の理由から、ハイブリダイゼーション法が好ましい。
【0106】
DNA及びRNA等のヌクレオチド重合体は、塩基対合則に従って、相補的な塩基配列を持つヌクレオチド重合体と特異的に結合し、安定な二本鎖を形成する。この操作をハイブリダイゼーションという。
【0107】
ハイブリダイゼーションの際には、画像に含まれているヌクレオチド重合体と相補なヌクレオチド重合体に適当なプローブを結合しておき、このプローブ化相補ヌクレオチド重合体を用いて、画像に含まれているヌクレオチド重合体の有無を判定する。例えば、発光性のプローブを有する相補ヌクレオチド重合体を使用し、画像に含まれるヌクレオチド重合体とハイブリダイゼーションを行う。画像が所定のヌクレオチド重合体を含有していれば、発光性プローブ化相補ヌクレオチド重合体が画像中のヌクレオチド重合体と二本鎖を形成して画像に固定されるため、画像部分の発光をもって、ヌクレオチド重合体の存在を確認できる。画像がヌクレオチド重合体を含有していなければ、ハイブリダイゼーション後も画像部分は発光しないため、ヌクレオチド重合体が存在していないことを確認できる。よって、例えば真の物品にヌクレオチド重合体を含有するインキによって画像を形成すれば、ハイブリダイゼーション後に画像部分が発光することをもって、真の物品を判定できるため、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを行える。
【0108】
プローブの方法としては、発色性基および蛍光基など導入し蛍光および燐光などの発光および消光などを利用する光学的方法、染色性基を利用する染色法、放射性核種を利用した放射線的方法、電気化学的方法などを利用する。
【0109】
なお、調製直後のDNAは二本鎖で存在しているが、インキ中では変性され一本鎖で存在していると考えられる。このため、インキに添加するDNAと同様のDNAにプローブを導入することで検出用のDNAを調製できる。DNAを含むインキで形成された画像中には+鎖および−鎖の何れもが一本鎖で存在しているため、検出用DNAとして画像中のDNAと同じDNAにプローブが導入されたものを使用すれば、プローブ化DNAは画像中の+鎖および−鎖の何れとハイブリダイズするため、真贋判定、偽造防止、情報秘匿および個別情報識別などを行える。
【0110】
一方、RNAは調製直後において既に一本鎖である。このため、相補的な一本鎖にプローブが導入されたものを検出用に使用する。
【0111】
なお、以上の何れの場合においても、画像中のDNAの検出にはプローブ化DNA及びプローブ化RNAの何れも使用でき、画像中のRNAの検出にはプローブ化一本鎖DNA及びプローブ化RNAの何れも使用できる。
【0112】
(用途分野)
以上に説明してきた本発明のインキを用いれば、十分に安定な分子生物学的識別性を有する画像を形成できる。重合度がnのヌクレオチド重合体は4のバリエーションがあり情報量が極めて多く、また、分子生物学的識別を1/4の精度で行えるため、信頼性が高い。更に、生物材料由来のヌクレオチド重合体を使用し、ヌクレオチド重合体の配列をゲノムの指紋領域のものとすると、1個の固体を由来とするヌクレオチド重合体を含有する画像を1種類のヌクレオチド重合体で完全に同定できるため、信頼性が高い。これらの特性を利用して、以下の様な用途への応用が考えられる。
【0113】
(ア)希少価値の高い美術品などの製作者の同定:製作者の髪毛などからPCR法によりDNAを調製し、このDNAを含む画像を美術品に形成することで、美術品の真贋判定および偽造防止を行う。美術品は高額であるため高精度の分子生物学的識別性が要求される。
【0114】
(イ)サラブレッド等の高額動物の血統書:血統書を付与するサラブレッドの血液および体毛などからPCR法によりDNAを調製し、このDNAを含む画像で血統書を作製することで、血統書の真贋判定および偽造防止を行う。サラブレッドは高額であるため高精度の分子生物学的識別性が要求される。
【0115】
(ウ)希少価値の高いワインなどのラベル:ビンテージワイン等の原料ブドウからPCR法によりDNAを調製し、このDNAを含む画像でワインビンに貼付されるラベルを作製することで、ビンテージワインの真贋判定および偽造防止を行う。ビンテージワインは高額であるため高精度の分子生物学的識別性が要求される。更に、ワインをサンプリングすることなく真贋判定を行えるため、真贋判定の際にワインビンを開ける必要がなく、ワインを劣化させることなく非破壊的に真贋判定を行える。
【0116】
(エ)凍結精子などのラベル:精子からPCR法によりDNAを調製し、このDNAを含む画像で凍結精子保存用チューブに貼付されるラベルを作製することで、凍結精子の真贋判定および偽造防止を行う。倫理問題の観点から凍結精子の分子生物学的識別性には高精度が要求される。更に、凍結精子をサンプリングすることなく真贋判定を行えるため、真贋判定の際に凍結精子を解凍する必要がなく、凍結精子を劣化させることなく非破壊的に真贋判定を行える。
【0117】
(オ)預金通帳などの預金者の同定:預金者の髪毛などからPCR法によりDNAを調製し、このDNAを含む画像を預金通帳に形成することで、預金通帳の真贋判定および偽造防止を行う。預金通帳およびカード等に付与された電気および磁気的な真贋判定法および偽造防止法と併用することにより、より高精度の分子生物学的識別を行う。
【0118】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用する。
【0119】
(実施例1)インキ1、シート1
ビンテージワインの原料ブドウからPCR法によりDNA1を調製する。また、このDNA1にUV発色基を導入した検出用DNA1を調製する。
【0120】
一方、キシレン100質量部に10質量部の油化シェルエポキシ(株)社製エピコート828を溶解し、0.1質量部のDNA1を40質量部の水に溶解したものを滴下し乳化する。これを30℃で2時間、更に60℃で6時間反応して、DNA1がエポキシ樹脂でカプセル化された、平均粒子径7μmのヌクレオチド重合体内包マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルを用いてDNA1の濃度が0.005質量%となるようインキ1を調製し、得られたインキ1を用いて印刷により真贋判定用の画像を形成し、シート1を作製する。この画像の真否は、加圧によりマイクロカプセルからDNA1を放出後に、検出用DNA1を用いてハイブリダイゼーション法により判定できる。
【0121】
(実施例2)インキ2、シート2
サラブレッドの体毛からRT−PCR法によりRNA1を調製する。また、このRNA1にUV発色基を導入した検出用RNA1を調製する。
【0122】
一方、100質量部のベンゼンに1.2質量部のヘキサメチレンビスクロロホルムに溶解し、10質量部の水に0.01質量部のRNA1と0.1質量部のヘキサメチレンジアミンとを溶解したものを滴下し乳化する。これを1時間反応させ、RNA1を含有し平均粒子径10μmのポリウレタン樹脂からなるゲル物質を得る。このゲル物質を用いてRNA1の濃度が0.005質量%となるようインキ2を調製し、得られたインキ2を用いて印刷により真贋判定用の画像を形成し、シート2を作製する。この画像の真否は、加熱によりゲル物質からRNA1を放出後に、検出用RNA1を用いてハイブリダイゼーション法により判定できる。
【0123】
【発明の効果】
ヌクレオチド重合体を内包するマイクロカプセルと、ヌクレオチド重合体を含有するゲル物質との少なくとも何れか一方をインキに含有させることにより、十分に安定な分子生物学的識別性を有する画像を印刷できる。

Claims (4)

  1. ヌクレオチド重合体を内包するマイクロカプセルと、ヌクレオチド重合体を含有するゲル物質との少なくとも何れか一方を含むインキ。
  2. 前記ヌクレオチド重合体は、高分子量DNA、低分子量DNA、高分子量RNA、低分子量RNA及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1記載のインキ。
  3. 前記ヌクレオチド重合体の塗工前のインキ全体に占める割合は、1質量%以下である請求項1又は2記載のインキ。
  4. 請求項1乃至3何れかに記載のインキを用いて、真贋判定用画像、偽造防止用画像、秘匿情報用画像および個別情報識別用画像から選ばれる1種以上の画像が形成されたシート。
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