JP5811338B2 - インクジェット用インクおよびこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用インクおよびこれを用いたインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明はインクジェット用インク、およびこれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
常温で固い(高ガラス転移温度(Tg))高分子鎖と柔らかい(低Tg)高分子鎖とのブロック共重合体が、圧力印加時において、それらの高分子の融点以下で流動性を示すことが知られている(特許文献1)。
このような性質を持つ高分子材料はバロプラスチック(baroplastic)と呼ばれている。
近年、バロプラスチックを電子写真用のトナー用樹脂として用いる検討が行われてきており、バロプラスチック樹脂をトナー用原料に用いてトナーを作製し、一定の圧力印加(1Mpa〜30Mpa)によって、室温〜80℃以下の温度で定着・印刷が可能であることが特許文献2及び3に開示されている。例えば、特許文献2には、コアシェル構造を有する樹脂粒子を凝集造粒したトナーにおいて、コアとシェルを構成する樹脂がいずれも非結晶性樹脂で、コアを構成する樹脂のガラス転移点とシェルを構成する樹脂のガラス転移点とが20℃以上異なり、シェルを構成する樹脂中に、酸性若しくは塩基性の極性基、又は、アルコール性水酸基を含有することを特徴とするトナーが開示されている。また、特許文献3には、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は前記トナーとキャリアを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を加圧定着する定着工程を含む画像形成方法であって、前記トナーが結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを有するブロック共重合体を含み、前記定着時の最大圧力が1MPa以上10MPa以下であることを特徴とする画像形成方法が開示されている。
しかしながら、インクジェット用インクにおいてこのようなバロプラスチック特性を有する樹脂を使用した例は皆無である。これは、インクジェット記録方法に置いては通常、定着はインクの被記録媒体への吸収により、定着する場合がほとんどであり、定着樹脂としての添加量もインク粘度の制約からあまり添加されないのが実情であった。
近年、インクジェット記録方法が商用印刷に用いられることが多くなり、一般オフセット印刷用紙への印刷が行われるようになってきている。例えば、下記特許文献4、5には印刷用紙での定着性を持たすためにオーバーコート液を使用している例があるが、加熱乾燥を前提としており、環境負荷的には好ましくない。
本発明の目的は、低温での圧力定着により印刷用紙への定着性を低エネルギーで可能とするインクジェット用インクおよびインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、着色剤とこれを分散または溶解する有機溶剤および水を含んでなるインクジェット用インクにおいて、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンを添加してなるインクジェット用インクを用いることにより、印刷用紙上での低エネルギー定着を可能とすることができることを見出し本発明に至った。
被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子として、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であり、かつ前記シェルを構成する樹脂は、酸性の極性基有するコアシェル樹脂粒子を少なくとも含んでいるインクを用いることで従来の加熱定着に比べて低エネルギーで定着が行え、また画像特性も良好となる。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
(1)着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを被記録媒体に吐出する前に、前記バロプラスチック性を示す樹脂粒子を凝集させる媒体を該被記録媒体上に付与し、吐出したインクを凝集させた後、定着温度が70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
(2)着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを被記録媒体に吐出し、温風を供給して溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した後、70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
(3)着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いた転写型のインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを転写体に吐出する前に、前記バロプラスチック性を示す樹脂粒子を凝集させる媒体を転写体上に付与し、吐出したインクを凝集させた後被記録媒体に転写し、70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
(4)着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いた転写型のインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを転写体に吐出し、温風を供給して溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した後、被記録媒体に転写し、70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
(5)前記インクジェット用インクが、前記着色剤として少なくとも顔料分散体を用い、前記バロプラスチック性を示す樹脂粒子が、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であり、かつ前記シェルを構成する樹脂は、酸性の極性基を有するコアシェル樹脂粒子であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、低温での圧力定着均一性、細線再現性、及び、発色性に優れ、画像形成時の定着エネルギーが小さく、環境対応性の高いインクジェット用インクを提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法の一例を示す概略図である。 本発明のインクジェット記録方法の他の例を示す概略図である。 本発明のインクジェット記録方法の他の例を示す概略図である。
本発明のインクジェット用インクは、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンを添加してなり、該バロプラスチック性示す樹脂粒子としては、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であり、かつ前記シェルを構成する樹脂は、酸性の極性基を有するコアシェル樹脂粒子であることが好ましい。
コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であり、かつ前記シェルを構成する樹脂は酸性基を有するコアシェル樹脂粒子は、圧力をかけること(加圧、圧力印加)によって粘度が低下する、いわゆるバロプラスチック挙動が発現し、低温での圧力定着均一性に優れる。
コアを構成する樹脂及びシェルを構成する樹脂のうちのガラス転移温度が高い方の樹脂のTgは、45〜120℃であることが好ましく、50〜110℃の範囲にあることがより好ましい。
高いガラス転移温度の樹脂のTgが45℃以上であると、インクとしての保管性に優れ、輸送時やプリンターなどのインク固着や、連続プリント時などノズルプレートでのインク固着が発生しにくい。
また、高いTgの樹脂のTgが120℃以下であると、200g/m2といった厚紙での定着でも70℃以下で定着可能である。
前記コアシェル樹脂粒子の低Tg樹脂層のTgは高Tgの樹脂層のTgより20℃以上低いことが重要であり、好ましくは30℃以上低いことである。
コアシェルのTg差が、20℃以内になると、圧力可塑化挙動(バロプラスチック挙動)が十分観測されにくくなり、定着時の加熱温度を高くする必要がある。
コアシェル樹脂粒子では、コア又はシェルのどちらが高いTgであってもよいが、コアを低Tg樹脂、シェル層を高Tg樹脂で作製することがより好ましい。
低Tg樹脂をコア、高Tg樹脂をシェルにすることによって、低Tg層が樹脂粒子に露出せず各粒子を構成できるため、前記材料を用いてインクを作製した場合インク構成による膨潤の影響を受け難く、保管での物性変化が起こりにくい。
本発明におけるコアシェル構造を有する樹脂粒子の作製方法について、以下に記す。
乳化重合において、2ステージフィードと呼ばれるモノマーを段階的に重合系へ供給する方法などを用いると、コアとシェルとが異なるTgの樹脂からなるコアシェル樹脂粒子を得ることができる。水性インクへの適用性からは水などの親水性媒体とする液体中で粒子化する製法が適している。
Tgが20℃以上異なり、ミクロ相分離構造を形成する組み合わせとしては、具体的には、ポリスチレンとポリブチルアクリレート、ポリスチレンとポリブチルメタアクリレート、ポリスチレンとポリ2−エチルヘキシルアクリレート、ポリスチレンとポリヘキシルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートとポリエチルアクリレート、ポリイソプレンとポリブチレンなどの組み合わせが挙げられる。
これらの組み合わせによるコアシェル粒子は、どちらがシェル又はコアとなっても圧力可塑挙動を観測することができるが、インク化し、輸送、保管時などの耐久性を両立するためには、シェル側が高Tg相であることが好ましい。
また、これら粒子をインク中の樹脂の原料組成として50重量%以上用いることが好ましいが、そのためには、粒子への水中への分散安定性を得るために粒子樹脂中に酸性の極性基を含有させることが有効で、主にシェル成分にこれら極性基を有すモノマーを共重合することで得られる。
樹脂に酸性極性基を形成するためのモノマーとしては、カルボキシル基又はスルホン基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物などが挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、スルホン化スチレン、アリルスルホコハク酸などを挙げることができる。
また、インクとしての凝集性をコントロールするために塩基性基を入れることも可能であり、窒素原子を有するモノマーを用いることで導入することができる。窒素原子を有するモノマー構造単位として用いられる好ましい化合物としては、(メタ)アクリル酸アミド化合物、(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物又は(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミド化合物としては、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸メチルアミド、メタクリル酸メチルアミド、アクリル酸ジメチルアミド、アクリル酸ジエチルアミド、アクリル酸フェニルアミド、アクリル酸ベンジルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物としては、アクリル酸ヒドラジド、メタクリル酸ヒドラジド、アクリル酸メチルヒドラジド、メタクリル酸メチルヒドラジド、アクリル酸ジメチルヒドラジド、アクリル酸フェニルヒドラジド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物としては、アクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸2−アミノエチルなどが挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物は、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル化合物又は(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物であってもよく、これらの例としては(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルが例示できる。
親水性をコントロールするためにアルコール性水酸基を導入することもでき、アルコール性水酸基を形成するための単量体(モノマー)としては、ヒドロキシアクリレート類が好ましく、具体的には、2−ヒドロキシアクリレート、及び/又はメタクリレート、ヒドロキシプロピル及び/又はヒドロキシブチルアクリレート及び/又はメタクリレートなどが挙げられる。
これら圧力可塑性コアシェル粒子は、インクの結着樹脂として単独で用いることもできるし、従来型の乳化重合による樹脂粒子を混合して用いることもできる。
従来型の乳化重合による樹脂粒子としては、ポリスチレンとn−ペンチルメタクリレートのブロック共重合体、ポリスチレンとn−ブチルメタクリレートのブロック共重合体、ポリスチレン−b(n−ペンチルアクリレート)等が挙げられる。
インク中の好ましい樹脂量としてはインク中の顔料の濃度にもよるが、0.5〜20重量%であり、インク中に顔料を0.5%〜10重量%含有し、顔料1に対して樹脂量が0.5倍以上であることが定着性を確保する上で好ましく。樹脂量としては0.5重量%未満では水を主溶媒として乾燥しやすい場合でも定着が不十分であり20重量%以上では吐出力が高いヘッドでも安定吐出ができない状態になりやすい。
この場合の前記コアシェル粒子の比率は、全結着樹脂中の50重量%以上であることが、目的の達成のために好ましい。
本発明におけるガラス転移温度とは、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本発明におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)にしたがい、例えば、DSCによって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(5−10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度を得ることができる。
なお、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、公知の種々の方法により求めることができ、測定方法の相異によって若干の差異があるが、本発明においては下記の測定法によって求めることが好ましい。
すなわち、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定する。
温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。
試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作成された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、重量平均分子量Mw=28.8×104数平均分子量Mn=13.7×104となることにより確認できる。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい。
具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東ソー社製)等を用いることができる。
なお、溶媒及び測定温度は上記に記載した条件に限定されるものではなく、適当な条件に変更してもよい。
本発明のインクジェット用インクは、転写方式を用いる場合やすべり性が要求される場合、離型剤としてワックスエマルジョンを用いることができる。
離型剤としてのワックスエマルジョンの使用量としては、樹脂固形分100重量部に対して、1〜25重量部であることが好ましく、5〜15重量部であることがより好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ワックス、パラフィン系ワックス、水添ヒマシ油、カルナバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、モンタン酸エステル等の高級脂肪酸エステル系ワックス、アルキル変性シリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸ステアリルアルコール等の高級アルコール、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン等、公知のものを用いることができる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、チタンブラックなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などが挙げられる。
後述する好ましい着色剤と組み合わせて用いる着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物などを好ましく用いることができる。
着色剤の使用量は、インク100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることが特に好ましい。
また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
これらの分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザー、超音波ホモジェナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。
また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
本発明で用いる各インクにおいて、それに含まれる着色剤の割合は、通常、0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲である。
0.1重量%未満では淡色インクに用いた場合でも着色力がなく、一方20重量%を超えると粘度が高くなり、ノズルから吐出することが難しくなる。
本発明で用いる各インクにおいて、それに含まれる着色剤は、水溶性の着色剤及び/又は水不溶性の着色剤であることができる。
水溶性着色剤としては、水溶性染料が用いられる。
この水溶性染料は、必要に応じ他の着色剤と混合して用いることができる。
水不溶性着色剤には、無機顔料、有機顔料及び表面を染料や顔料で着色した微粒子が包含される。
これらの着色剤の平均粒径は、10〜300nm、好ましくは20〜120nmである。
水不溶性着色剤を構成する表面を染料や顔料で着色した微粒子において、該微粒子には、高分子微粒子の他、シリカ微粒子やアルミナ微粒子等の金属酸化物微粒子が包含される。
このような微粒子をインク中に含有させることにより、普通紙での定着性の改良、着色性のさらなる改良を行うことができる。
光沢性を付与する目的からは、高分子微粒子を用いることが好ましい。
特にアクリル系やポリエステル系の微粒子に染顔料が含浸されたもの、即ち、表層もしくは内部、あるいは全体に染顔料が存在する着色高分子微粒子を用いることが好ましい。
より具体的には、特開平2000−53898号公報に開示された方法により製造された着色微粒子が挙げられる。
本発明で用いるインクにおいて着色剤として水溶性染料を用いることができる。
この場合の水溶性染料には、アニオン性基を有しないものやアニオン性基を有するものが包含され、従来公知の各種のものを用いることができる。
水溶性着色剤として用いることのできる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される、染料で耐水、耐光性が優れたものが好ましく用いられる。
これら染料を具体的に挙げれば、以下のものが挙げられる。
(酸性染料及び食用染料)
C.I.アシッド.イエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッド.レッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、C.I.アシッド.ブルー9,29,45,92,249、C.I.アシッド.ブラック1,2,7,24,26,94、C.I.フード.イエロー3,4、C.I.フード.レッド7,9,14、C.I.フード.ブラック1,2等。
(直接性染料)
C.I.ダイレクト.イエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144、C.I.ダイレクト.レッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、C.I.ダイレクト.オレンジ26,29,62,102、C.I.ダイレクト.ブルー1,2,6,15,22,,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、C.I.ダイレクト.ブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171等。
(塩基性染料)
C.I.ベーシック.イエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、C.I.ベーシック.レッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、C.I.ベーシック.ブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、C.I.ベーシック.ブラック2,8等。
(反応性染料)
C.I.リアクティブ.ブラック3,4,7,11,12,17、C.I.リアクティブ.イエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、C.I.リアクティブ.レッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97,180、C.I.リアクティブ.ブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95等。
本発明では、特に、酸性染料及び直接性染料を好ましく用いることができる。
また、インクジェット記録用染料として開発されたアビシア製のプロジェットシアン2、プロジェットマゼンタ2、プロジェットイエロー2等のProjet(TM)シリーズ染料も好ましく用いられる。
水溶性着色剤としては、アニオン性基を有する水溶性染料を用いることができる。
このような染料には、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料が包含される。
アニオン性基を有する水溶性染料の具体例を、遊離酸型で示すと、以下のものを例示することができる。
Figure 0005811338
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X+Y=2〜4
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X+Y=2〜4
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前記水不溶性の着色剤として用いることのできる顔料の具体例を示すと、以下のものを挙げることができる。
(黒色)
ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等。
(イエロー)
C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153等。
(マゼンタ)
C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219等。
(シアン)
C.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63;等。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として下記顔料を単独もしくは混合して用いることができる。
C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36等。
カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、1次粒子が15nmから40nm、BET吸着法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5乃至10%を有するものが好ましく使用される。
前記顔料は、その水中分散性を高めるために、カプセル化顔料や、ポリマーをグラフト化した顔料等の形態で用いることができる。
本発明で用いるインクにおいて、それに含まれる着色剤としてアニオン性基を有する表面処理顔料を用いることができる。
この場合の好ましい顔料には、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、イソジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック系、アゾメチン系、ローダミンBレーキ系の有機顔料の他、カーボンブラック系顔料が包含される。
本発明で用いるアニオン性基を含有する顔料は、前記アニオン性基を有しないカーボンブラックや有機顔料に対して、アニオン性基導入処理を施すことによって得ることができる。
このようなアニオン性基導入処理としては、従来公知の各種の方法を用いることができる。
例えば、カルボン酸基を導入する為の方法として、ハロゲン基(塩素、臭素等)を有する有機カルボン酸(モノクロル酢酸等)を反応させる方法や、硝酸、次亜塩素酸等で酸化処理する方法等がある。
スルホン酸基を導入する方法として、硫酸や発煙硫酸、クロロスルホン酸等のスルホン化剤を反応させる方法がある。
リン酸基を導入する方法として、リン酸を反応させる方法がある。
さらに、ジアゾニウム化合物を反応させてカルボン酸基やスルホン酸基を導入する方法がある。
本発明で用いるアニオン性基を有する好ましいカーボンブラックとしては、次亜塩素酸処理したカルボン酸基を有するカーボンブラックや、スルホン化剤処理したスルホン酸基を有するカーボンブラック、ジアゾニウム化合物で処理したカルボン酸基やスルホン酸基を有するカーボンブラックが挙げられる。
アニオン性基を有するカーボンブラックの場合、その遊離酸型のもののpHは、2〜6、好ましくは4〜6である。
なお、本明細書において着色剤に関して言うpHは、着色剤1gを水100gに投入し、温度25℃で60分間保持したときのその水のpHを意味する。
本発明で用いるカルボン酸基やスルホン酸基等のアニオン性基を有する有機顔料において、イエロー顔料としてはベンチジン骨格を含まないC.Iピグメントイエロー74、128、138が好ましい。
マゼンタ顔料としてはキナクリドン系のC.I.ピグメントレッド122、209が好ましい。
シアン顔料としては、フタロシアニン化合物であるC.I.ピグメントブルー15:3やアルミ配位フタロシアニン、無金属フタロシアニンが好ましい。
これらのアニオン性基(遊離酸型)を有する有機顔料において、そのpHは2〜6、好ましくは4〜6である。
本発明で用いるアニオン性基を有する顔料は、分散安定性にすぐれ、界面活性剤等の分散剤を用いなくても水中に均一に分散することのできる、いわゆる自己分散型顔料として用いることができる。
本発明で用いる顔料において、その平均粒径(D50)は10〜300nm、好ましくは20〜120nm、より好ましくは60〜110nmである。平均粒径(D50)は、光学的な測定によるマイクロトラックUPAなどで求められる粒度分布より得られる平均粒子径である。
本発明で用いる各インクは、着色剤を水中に溶解又は分散させることによって得ることができる。
本発明で用いる水不溶性着色剤を含むインク(着色剤分散液)は、水中に該着色剤を分散させることによって得ることができる。
このインクにおいては、水不溶性着色剤を水中に均一に分散させる分散剤を含有させることが好ましい。
分散剤としては、高分子系分散剤や界面活性剤系分散剤が用いられる。
高分子系分散剤としては、親水性高分子が用いられる。
このようなものとしては、例えば、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
特にアクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや他の親水基を有するモノマーの共重合体からなるようなカルボン酸基を導入したものが高分子系分散剤として好ましい。
界面活性剤系分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等のアニオン系界面活性剤や、ノニルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤が用いられる。
インク中に含まれる高分子系分散剤の割合は、0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
インク中に含まれる界面活性剤系分散剤の割合は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
インクに使用する分散剤としては高分子系分散剤、界面活性剤系分散剤を用いることができるが、対応するメディアによってその定着性を重視する場合は高分子系分散剤や顔料を被覆する樹脂を用いることが好ましい。顔料粒子径が60−100nmで普通紙のようなインク吸収性が早く、定着に問題がないような用紙については界面活性剤系分散剤を用いることができる。
本発明で用いる各インクには、紙等の被記録材への浸透性、濡れ性を改善するために、界面活性剤を含有させることができる。
この場合の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
より具体的には、アニオン系界面活性剤としては、下記一般式(a)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩(a)及び/又は下記一般式(b)で表される炭素鎖が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸(b)を挙げることができる。
Figure 0005811338
R:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、m:3〜12の数、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン等の塩形成性陽イオン
Figure 0005811338
5、R6:炭素数5〜7の分岐したアルキル基、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン等の塩形成性陽イオン
前記界面活性剤(a)及び(b)において、その対イオンとして、リチウムイオンや第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムを用いるときには、該界面活性剤は優れた溶解安定性を示す。
好ましい非イオン系の界面活性剤としては、下記一般式(c)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(c)、下記一般式(d)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤(d)があげられる。
これらを併用することにより、さらに浸透性にすぐれた界面活性剤を得ることができる。
本発明の場合、特に、重合度が5〜12のポリオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンフェニルエーテル(c)と、主鎖に6以上、好ましくは10〜20の炭素を有するアセチレングリコール系界面活性剤とを併用するのが好ましい。
この界面活性剤を用いることにより、色境界滲みが低減され、また文字滲みも少ないインクが得られる。
Figure 0005811338
R:分岐しても良い炭素数6〜14のアルキル基、k:5〜12の数
Figure 0005811338
p、q:0〜40の数
前記界面活性剤(a)、(b)、(c)及び(d)のインク中の含有量は、0.05〜10重量%の間でプリンターシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性をあたえることが可能である。
ここで0.05重量%未満ではいずれの場合も2色重ね部の境界での滲みが発生しやすく、10重量%超の場合は界面活性剤自体が低温で析出しやすいことがあり信頼性が悪くなる。
前記界面活性剤(a)、(b)の具体例を遊離酸型で以下に示す。
Figure 0005811338
Figure 0005811338
本発明で用いる各インクは、水を液媒体として使用するものであるが、インクに所望の物性を付与するため、インクの乾燥を防止するために、また、水溶性成分の溶解安定性を向上するため等の目的で、水溶性有機溶媒を使用することができる。
その具体例を下記に例示する。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセロール、1、2、6−ヘキサントリオール、1、2、4−ブタントリオール、1、2、3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。
これらの溶媒は、水とともに単独もしくは、複数混合して用いられる。
これらの中で特に好ましいものは、ジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1、2、4−ブタントリオール、ペトリオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン,N−ヒドロキシエチルピロリドン、2−ピロリドン、1、3−ジメチルイミダゾリジノンであり、これらを用いることにより本化合物の高い溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
特に本発明において着色剤の分散安定性を得るのに好ましい溶剤として、N−ヒドロキシエチル2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン誘導体が挙げられる。
溶剤の含有量としては顔料の含有濃度にもよるが、5wt%〜45wt%である。溶剤量が多いと顔料の分散剤が十分に機能できなくなり、凝集が起こる。一方、溶剤が少ないと種類にもよるが保湿性が得られず、ノズルでの目詰まりがおきやすくなる。
また、前記界面活性剤(a)〜(d)以外で表面張力を調整する目的で添加される浸透剤として、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2、4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジーオール等のジオール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられるが、特に好ましいのは多価アルコールアルキルエーテルとしてジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、炭素数6以上のジオールとして2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
ジオール類は水不溶性着色剤の凝集が発生しにくいということで好適である。
浸透剤の添加量はその種類や所望の物性にもよるが0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%で範囲で添加される。
下限未満では浸透性が不十分であり上限以上では粒子化特性に悪影響を及ぼす。
またこれらの添加にうよりインクジェットヘッド部材や記録器具への濡れ性も改善され、充填性が向上し気泡による記録不良が発生しにくくなる。
本発明おけるインクの表面張力等の物性は、そのシステムにより適宜調整可能である。
ここでインクの表面張力とは、紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を測定することがインクの浸透性と対応する。
その測定法としては、特開昭63−312372号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できる。
表面張力の値は50mN/m以下が好ましく、より好ましくは40mN/m以下とすると優れた乾燥性が得られる。
これに対してインクの吐出安定性からは、動的な表面張力が低下しすぎると粒子化が不安定となりやすい。
安定に吐出できる動的な表面張力は1m秒において好ましくは40mN/m以上である。
インクの粘度の範囲としては、1mPa・sから20mPa・sの間で吐出方式により適宜選定される。
インク中の顔料粒子径範囲としては、使用するヘッドのノズル径にもよるが、10nm〜300nmのものを用い、その平均粒子径を20nm〜120nmの範囲とすることが好ましい。
高精細の画像を得るためのノズル径15〜25μmのノズル径の場合、300nmより粒子径が大きい粒子径のものが存在するとインクの吐出安定性が得られない。また粒子径が10nmより小さいと顔料種にもよるが耐光性が十分に得られない場合があり、また高温での凝集が発生するなどの不具合がある。
インク中の固形分量は、1〜25重量%、水分量は25〜93重量%の範囲、より好ましくは50〜80重量%の範囲である。
本発明においては、顔料インクや着色微粒子インクの粒子表面のゼータ電位(ζ電位)等の関係から、各インクの電導度を分散安定性を損なわない電導度範囲である1mS/cm〜6mS/cmの範囲とすると、顔料の凝集等の発生を起さず長期に渡って粒子径の変化の少ない信頼性の高いインクとすることができる。
微調整をするために着色剤の分散を阻害しない範囲で電導度調整剤を添加することもできる。
好ましい電導度調整剤としては、テトラメチルアンモニウム塩化物等の第4級アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
本発明で用いるインクには、従来より用いられている補助添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤として、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、イソチアゾリン等が使用できる。
その他pH調整剤として、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを所望範囲以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬として、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
その他目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することもできる。
本発明のインクは、従来一般的に用いられているインクジェット記録装置におけるインクセットとして使用される。インクセットに含まれるインクジェット用インクとしては、ブラックインクとカラーインクとからなり、各インクがすべてが本発明のインクジェット用インクであることが好ましい。カラーインクとしては、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等が挙げられる。さらにレッド、オレンジ、ブルー、グリーンといった特色インクも適宜用いることができる。また顔料濃度が低いグレイ、ライトシアン、ライトマゼンタ等を用いることで粒状性を改善することも可能である。
このインクジェット記録装置では、インクセットのインクを熱エネルギーや機械エネルギー等により、印字ノズルから微小液滴として飛翔させ、これを被記録材上に付着させ、カラー画像を形成させる。
本発明のインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法は、記録紙等の被記録媒体上にインクを吐出する方法、及び転写体上にインクを吐出した後、被記録媒体に転写する転写型の記録方法に用いることができる。
被記録媒体上にインクを吐出する場合は、インクを被記録媒体に吐出する前に、前記バロプラスチック性を有する樹脂粒子を凝集させる媒体を被記録媒体上に付与し、吐出したインクを凝集させた後、定着温度が70℃以下で加圧定着させる、及び/又はインクを被記録媒体に吐出し、溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した後、70℃以下で加圧定着させることが好ましい、
また、転写体を用いる場合は、インクを転写体上に吐出する前に、前記バロプラスチック性を有する樹脂粒子を凝集させる媒体を転写体上に付与し、吐出したインクを凝集させた後、被記録媒体に転写し、定着温度が70℃以下で加圧定着させる、及び/又はインクを転写体上に吐出し、溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した後、被記録媒体に転写し、70℃以下で加圧定着させることが好ましい。
このバロプラスチック性を有する樹脂粒子を凝集させる媒体としては、凝集剤が挙げられ、該媒体を転写体又は被記録媒体に付与する方法としては、凝集剤を含む溶液(以下先塗り液とも称す)を転写体又は被記録媒体に塗布する方法が挙げられる。
凝集剤としては、乳酸等の有機酸、乳酸アンモニウム等の有機酸塩、ベンザルコニウム等のカチオン活性剤、ポリアリルアミン等のカチオン高分子、硝酸カルシウム等の多価金属塩が用いられる。液の保湿性や粘度調整は前述のインクに添加する有機溶剤が用いることができ、濡れ性は前述の界面活性剤を用いることができる。
先塗り剤中の凝集剤の濃度としては1wt%〜30wt%が好ましく、1wt%未満では付着量をA4あたり200mgと付着量を多くしても凝集性が乏しいため画質向上効果が少ない。30wt%を超えるとローラ塗布での塗り斑が発生し画像に影響を与える。
先塗り液の付与方法としては画像全面に塗ることになるが、粘度が高い液も塗布できるため、ローラ方式が画質向上の目的では好ましい。液の特性や画像部だけに先塗り液を塗布するにはインクジェットヘッドが好ましく、また非接触方式としてはメディアによってはスプレー方式を用いることもでする。ヘッドで吐出する場合は粘度が2〜20mPa・sの範囲で使用される。
塗布の場合は5〜80mPa・sといったより高粘度の範囲でも使用可能である。
以下、図面を用いて本発明の記録方法を説明する。
図1は、転写型の記録方法に用いる装置であって、インクを転写体上に吐出した後に、溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した例であり、溶媒分の蒸発を促進する手段としては、空気を供給している。空気としては、環境温度を考慮し、温度としては40℃〜150℃、より好ましくは50〜100℃の範囲で風量により溶媒の蒸発を促させて、バロプラスチック性が発現しやすくなるようにする。40℃以下では効果が得られず、150℃以上ではプリンター内の温度上昇による安全性などの確保が難しくなる。温風を供給することにより、転写体上のインクの溶媒分を蒸発させて凝集させることができる。そして、その後、被記録媒体に転写する際に加圧ローラにより印字面に圧力を印加することにより、定着温度30℃から70℃の範囲で加圧定着させることができる。定着温度は、環境温度の関係で30℃以下でコントロールは難しく、70℃を超えると装置の温度制御の設計が難しくなる。
前記溶媒分の蒸発を促進する工程の温風を供給する手段としては、温度可変のヒートドライヤー等が挙げられ、定着部手前に設けている。
加圧ローラとしてはコピー機でも用いられる一般的な加圧ローラを用いることができ、例えばSUS316の芯金にシリコーン樹脂をコーティングしたもの、またはこれにPFAの樹脂チューブをかぶせたものなどが使用可能である。加圧は、当接圧5kg〜10kgで行うことが好ましい。
IHヒーター内蔵のバックアップローラと保持ローラに担持された転写体としては、一般的に転写体として用いられているものを用いることができ、例えばETFEのベルトを用いることができる。
クリーナブレードとしては、一般的に用いられているものが使用でき、例えばEPDMゴムブレードとPVA発泡樹脂の2層成型体を用いることができる。
図2及び図3は、前記先塗り液を用いたインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置の一例である。
図2は、転写型の記録装置であり、図1の記録装置に更にインクを印字する前に先塗り液を転写体に塗布し、この後でインクを印字する装置であり、先塗り液によりインクをゲル化させて粘着性を持たせ、温風を与え造膜を進めることで、より印字速度を高めてもビーディング、インク液滴の融合による画像濃度斑の発生が抑えられ、画像の均一性が得られる。
図3は記録紙等の被記録媒体に直接先塗り液を塗り、インクを凝集させて画像を形成する場合である。被記録媒体の種類によってはこの方式でも有効に機能する。例えばFLグラビア(日本製紙製)のグラビア用紙については他のオフセット印刷用紙に比べインク濡れ性がやや高いため、高解像で高画像濃度の画像が得られる。
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
<樹脂粒子分散液Aの作製(スチレン−ブチルアクリレート系、酸性極性基系)>
3つ口のセパラブルの重合用丸型ガラスフラスコ中に、300重量部のイオン交換水と1.5重量部のTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマ社製)を入れ、20分間、窒素バブリングを実施し、撹拌しながら65℃まで昇温した。n−ブチルアクリレートモノマー(BASF製)40重量部を加え、さらに20分間撹拌を行った。
開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)0.5重量部を予め、10重量部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。
65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー(電気化学工業製)55重量部と、n−ブチルアクリレートモノマー(BASF製)15重量部、アクリル酸(東亜合成製)2.5重量部及び0.8重量部の1−ドデカンチオール(東京化成製)を0.5重量部のTTABを溶解したイオン交換水100重量部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。
温度を70℃に昇温、さらに2時間保持して、重合を完了した。
重量平均分子量Mwは25,000、平均粒子径(D50)は150nm、固形分量が25重量%のコアシェル型樹脂粒子分散液A(樹脂エマルジョン)を得た。
樹脂粒子を40℃で風乾後、−150℃から(株)理学電機製示差走査熱量計(DSC)でTg挙動を分析すると、−50℃付近にポリブチルアクリレートによるガラス転移が観測され、また、56℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度の差:106℃)。
<樹脂粒子分散液(B)の作製(従来型のスチレン−ブチルアクリレート(BA)系、酸性極性基系)>
スチレン 460重量部
n−ブチルアクリレート 140重量部
アクリル酸 12重量部
ドデカンチオール 9重量部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、テトラプロピルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム(ダウファクス 2A1(登録商標))12重量部をイオン交換水250重量部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液A)。
さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス2A1)1.1重量部を600重量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコ(3つ口のセパラブルフラスコ)に仕込んだ。
重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9.2重量部をイオン交換水44重量部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、22分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子の中心径が180nm、ガラス転移温度が53.5℃、重量平均分子量が31,000、固形分量が42%の非結晶性樹脂粒子分散液(B)を得た。
<樹脂粒子分散液(C)の作製(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート系)>
丸型ガラスフラスコ中に、300重量部のイオン交換水と1.5重量部のTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマ社製)を入れ、20分間、窒素バブリングを実施し、撹拌しながら65℃まで昇温した。
n−ブチルアクリレートモノマー40重量部を加え、さらに20分間撹拌を行った。
開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)0.5重量部を予め、10重量部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。
65℃で、3時間保持し、メチルメタクリレートモノマー(和光純薬製)60重量部と、n−ブチルアクリレートモノマー(BASF製)15重量部、アクリル酸(東亜合成製)2重量部及び0.8重量部のドデカンチオールを0.5重量部のTTABを溶解したイオン交換水100重量部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。
温度を70℃に昇温、さらに2時間保持して、重合を完了した。
重量平均分子量Mwは25,000、平均粒子径は110nm、固形分量が25重量%のコアシェル型樹脂粒子分散液(C)(樹脂エマルジョン)を得た。
樹脂粒子を、40℃で風乾後、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でTg挙動を分析すると、−50℃付近にポリブチルアクリレートによるガラス転移が観測され、また、50℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度の差:100℃)。
樹脂粒子分散液(A)、(B),(C)について、樹脂粒子分散液をPETフィルムに固形分として10g/m2(10μm相当)でバーコーターで10cm幅でキャスティングして、当接圧を5kgで膜厚変化を確認し、膜厚が1μm以下となることでバロプラスチック性を確認した。
樹脂粒子分散液(A)、(C)はいずれも膜厚が1μm以下であり、樹脂粒子はバロブラスチック性を有することを確認した。樹脂微粒子分散液(B)はバロブラスチック性を示さなかった。
以下において、インク製造例を示す。%は重量%を示す。
製造例1(次亜塩素酸処理したカーボンブラック分散液1)
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック(キャボット社製商品名モナーク1300)300gを水1000ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100乃至105℃で8時間撹拌した。
この液に更に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)100gを加え、横型分散機で3時間分散した。
得られたスラリーを水で10倍に希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整し、電導度0.2mS/cmまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。
遠心処理により粗大粒子を除き、さらに1ミクロンのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック分散液1とした。
このカーボンブラックは、その表面にカルボン酸基を有するものである。
Fe、Ca、Siの含有量の総計がICPの測定により100ppm以下であった。
塩素イオン濃度は10ppm以下であった。
マイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50)は95nmであった。
製造例2(スルホン化剤処理したカーボンブラック分散液2)
市販のカーボンブラック顔料(デグサ社製「プリンテックス#85」)150gをスルホラン400ml中に良く混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140乃至150℃で10時間攪拌した。
得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウエットケーキを得る。
このカーボンブラックウエットケーキを2000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮し顔料濃度20重量%のカーボンブラック分散液とした。
このものを1ミクロンのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック液2とした。
このカーボンブラックは、その表面にスルホン酸基を有するものであった。
Fe、Ca、Siの含有量の総計はICPの測定により100ppm以下であった。
硫酸イオン濃度は100ppm以下であった。
平均粒子径(D50)は80nmであった。
製造例3(ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液3)
表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で撹拌した。
5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。
得られたスラリーを10倍に希釈し遠心処理し粗大粒子を除き、pHをジエタノールアミンにて調整しpH8−9とし、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。
このものをポリプロピレンの0.5μmフィルターにてカーボンブラック分散液3とした。
このカーボンブラックは、その表面にフェニルカルボン酸基を有するものであった。
Fe、Ca、Siの含有量の総計はICPの測定により100ppm以下であった。
硝酸イオン濃度は10ppm以下であった。
平均粒子径(D50)は99nmであった。
製造例4(ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液4)
2リットルの水と43gのスルファニル酸を含む約75℃の溶液を、撹拌しながら、230m2/gの表面積と70ml/100gのDBPAを有する202gのカーボンブラックに添加した。
この混合物を撹拌しながら室温まで冷やし、26.2gの濃硝酸を添加した。
水中の亜硝酸ナトリウムの20.5gの溶液を添加した。
4−スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩を作製し、これをカーボンブラックと反応させた。
発生した泡立ちが停止するまで分散系を撹拌した。
得られたスラリーを希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整しpH8乃至9として粗大粒子を遠心処理にて除き、引き続いて限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。
このものをポリプロピレンの1μmフィルターにて濾過しカーボンブラック分散液4とした。
このカーボンブラックは、その表面にフェニルスルホン酸基を有するものであった。
Fe、Ca、Siの含有量の総計はICPの測定により100ppm以下であった。
硝酸イオン濃度は50ppm以下であった。
平均粒子径(D50)は95nmであった。
製造例5[表面にカルボン酸基を有するカラー顔料分散液(イエロー分散液1、マゼンタ分散液1、シアン分散液1)]
イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。
これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のイエロー顔料分散液1とした。
平均粒子径(D50)70nm、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
同様にマゼンタ顔料としてC.I.ピグメントマゼンタ122を用いて顔料濃度15%のマゼンタ顔料分散液1を作製した。
平均粒子径60(D50)nm、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
同様にシアン顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用いて顔料濃度15%のシアン顔料分散液1を作製した。
平均粒子径(D50)80nm、Fe、Ca、Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
製造例6[分散剤を用いる顔料分散液(界面活性剤分散:イエロー分散液2、マゼンタ分散液2、シアン分散液2、高分子分散:イエロー分散液3、マゼンタ分散液3、シアン分散液3)]
イエロー顔料:C.I.ピグメントイエロー128、
マゼンタ顔料:C.I.ピグメントレッド122
シアン顔料:C.I.ピグメントブルー15:3
分散剤A1:花王社製ノニオン性界面活性剤「エマルゲン913」)、HLB15.5
分散剤B1:ジョンソンポリマー社製アクリル系樹脂水溶液「ジョンクリル611」(アンモニア中和、固形分20%)、酸価57
(1)ソルトミリング微細化工程:
ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に上記の顔料250部、塩化ナトリウム2500部及びジエチレングリコール200部を仕込み、3時間混練した。
つぎに、この混合物を2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗を5回くりかえして塩化ナトリウム及び溶剤を除き、顔料の乾燥品を得た。
(2)分散剤分散処理工程:
ペイントコンディショナーに、微細化された顔料20部と前記A1又はB1の分散剤5部(固形分換算)と水を加え全量で100部として3時間分散した。
得られた水性顔料分散体に15000rpmで6時間の遠心分離を施した。
次に、前記で得られた分散剤分散処理工程を経た顔料20部に30%アンモニア水0.1部、精製水79.9部を加え、ペイントコンディショナーで再分散し、顔料濃縮液を作製した。
逆浸透膜にて精製しインクジェット用濃縮記録液を作製した。
濃縮液は1μmナイロンフィルターにて濾過、続いて0.5μmのポリピロピレンフィルターにて濾過し使用分散液とした。
それぞれの分散液中のFe、Ca、Siの含有量はいずれも100ppm以下であった。
ここの分散液の平均粒子径(D50)は、イエロー分散液2:93nm、イエロー分散液3:80nm、マゼンタ分散液2:60nm、マゼンタ分散液2:56nm、シアン分散液2:90nm、シアン分散液3:87nmであった。
尚、分散液2は上記分散剤分散処理工程において分散剤としてA1を用いて得られた分散液であり、分散液3は分散剤B1を用いて得られた分散液である。
製造例7(染料、顔料で着色された微粒子を用いた着色剤分散液)
撹拌翼、冷却管、窒素ガス導入管を取り付けた密閉可能な反応容器に、重合溶媒としてメチルエチルケトン20部、重合性不飽和モノマーとして下記の組成の初期仕込みモノマー及び重合連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置換を充分行った。
なお、部は重量基準である。
メタクリル酸メチル、モノマー 12.8部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、モノマー 1.2部
メタクリル酸、モノマー 2.9部
シリコーンマクロマー(チッソ(株)製FM−0711) 2部
スチレンアクリルニトリルマクロマー(東亜合成(株)製AN−6) 1部
メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤) 0.3部
窒素雰囲気下、反応容器内の混合液を撹拌しながら65℃まで昇温させた。
これとは別に、下記の滴下モノマモノマー及び重合連鎖移動剤とメチルエチルケトン60部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2部とを混合し、充分窒素置換して得られた混合液を3時間かけて反応容器内に徐々に滴下した。
メタクリル酸メチル、モノマー 51部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、モノマー 4.2部
メタクリル酸、モノマー 11部
シリコーンマクロマー(チッソ(株)製FM−0711) 8部
スチレンアクリルニトリルマクロマー(東亜合成(株)製AN−6) 4部
メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤) 1.2部
滴下が終了して2時間後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させることによりビニル系ポリマー溶液を得た。
得られたビニル系ポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、完全に溶媒を除去することによって単離した。
重量平均分子量は約10,000、Tg180℃であった。
上記で得られたビニル系ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたビニル系ポリマー5gに、トルエン25g及び下記構造式(V)のアントラキノン系染料(V)5gを加えて完全に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を2g加えてビニル系ポリマーの酸性基を一部中和した。
Figure 0005811338
次いで、イオン交換水300gを加え、撹拌した後、乳化装置であるナノメーカーTM(ナノマイザー社製)を用いて、30分間乳化した。
得られた乳化物を減圧下60℃でトルエンを完全に除去し、更に一部の水を除去することにより濃縮し、限外濾過膜にてモノマー等不純物を除去し、精製された分散性染料を含浸させたビニル系ポリマー微粒子のマゼンタ分散液4(平均粒径(D50);98nm、固形分濃度;10%)を得た。
同様にして染料をC.I.ディスパースイエロー118としてイエロー分散液4(平均粒径(D50);98nm、固形分濃度;10%)、C.I.ディスパースブルー36としてシアン分散液4(平均粒径(D50);98nm、固形分濃度;10%)を得た。
実施例1<インクセット1>
(1)下記組成物をpHが9.5になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整し、これを0.45μmのテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過し黒インク1を作製した。
カーボン分散液1 25%(インク中固形分として5%)
ポリエチレンワックスエマルジョン
(Aquacer552、ビッグケミー製 固形分含有量35%水分散体) 3%
コアシェル型樹脂粒子分散液(A) 固形分として10%
ジエチレングリコール 7%
グリセロール 7%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 20%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1%
前記式(a−1)の界面活性剤 0.2%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
(2)下記組成物を混合溶解し、pHを水酸化ナトリウムで7.2にしてイエローインク1を作製した。
イエロー分散液2(インク中固形分として) 3%
前記(II)の化合物(X:硝酸イオン) 2%
1,2,6−ヘキサントリオール 4%
ヘキシレングリコール 8%
N−メチル−2−ピロリドン 10%
ポリエチレンワックスエマルジョン
(Aquacer552、ビッグケミー製 固形分含有量35%水分散体) 8%
コアシェル型樹脂粒子分散液(A) 固形分として10%
前記式(a−1)の活性剤 1.2%
前記式(d)の活性剤(p、q=10) 1.0%
前記式(b−1)の活性剤の25%水溶液 0.8%
尿素 5%
イオン交換水 残量
(3)下記組成物を用いる以外は前記(1)と同様にして、pHを水酸化リチウムで8.5にしてマゼンタインク1を作製した。
マゼンタ分散液2(インク中固形分として) 3%
構造式(III)の化合物(X:硝酸イオン) 2%
プロピレングリコール 5%
グリセロール 5%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 20%
ポリエチレンワックスエマルジョン 8%
(Aquacer552、ビッグケミー製 固形分含有量35%水分散体) 8%
コアシェル型樹脂粒子分散液(A) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
前記一般式(c)の活性剤(R:C919、k:12) 2%
前記式(b−3)の活性剤の25%水溶液 0.2%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
(4)下記組成物を用いる以外は前記(1)と同様にして、pHを水酸化リチウムで9.5にしてシアンインク1を作製した。
シアン分散液2 インク中固形分として2.0%
前記式(III)の化合物(X:硝酸イオン) 2.2%
エチレングリコール 5%
グリセロール 2%
1.2−ヘキサンジオール 5%
2−ピロリドン 20%
ポリオキシエチレンブロック共重合体 1%
コアシェル型樹脂粒子分散液(C) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
前記式(a−1)の活性剤 0.8%
前記式(b−4)の活性剤の25%水溶液 2%
尿素 5%
安息香酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
実施例2<インクセット2>
下記組成物を用いて、pHを水酸化ナトリウムで7.8にして黒インク2を作製した。
カーボンブラック分散液3 インク中固形分4.2%
ファストブラック2 1.5%
トリエチレングリコール 2%
ペトリオール 10%
N−メチル−2−ピロリドン 15%
コアシェル型樹脂粒子分散液(A) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
前記式(a−5)の活性剤 2%
前記式(b−2)の活性剤の25%水溶液 1.5%
ヒドロキシエチル尿素 5%
2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
(2)下記組成物を混合溶解して、pHを水酸化リチウムで8にしてイエローインク2を作製した。
ダイレクトイエロー132 1.5%
イエロー分散液4 (インク中固形分として)1.5%
2−ピロリドン 18%
グリセロール 7%
前記式(II)の化合物(X:硝酸イオン) 2%
前記式(d)の活性剤(p、q=20) 1%
前記(d)の活性剤(p、q=10) 1%
前記式(a−6)の活性剤の25%水溶液 2%
コアシェル型樹脂粒子分散液(A) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
ヒドロキシエチル尿素 5%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
(3)下記組成物を混合溶解して、pHを水酸化リチウムで6.8にしてマゼンタインク2を作製した。
マゼンタ分散液4 インク中固形分として2.8%
アシッドレッド52(AR52) 0.5%
前記式(II)の化合物(X:乳酸イオン) 1%
コアシェル型樹脂粒子分散液(C) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
N−メチル−2−ピロリドン 18%
1、5−ペンタンジオール 8%
前記式(a−5)の活性剤 2%
安息香酸ナトリウム 0.5%
イオ交換水 残量
(4)下記組成物を混合溶解して、pHを水酸化リチウムで9.5にしてシアンインク2を作製した。
シアン分散液4 (固形分として)4.0%
前記有機染料(C3) 1.2%
前記式(III)の化合物(X:乳酸イオン) 1%
エチレングリコール 5%
グリセロール 2%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2%
2−ピロリドン 20%
コアシェル型樹脂粒子分散液(C) 固形分として10%
ポリオキシエチレンポリオキシエチレンブロック共重合体 1%
前記式(a−1)の活性剤 0.8%
前記式(b−4)の活性剤の25%水溶液 2%
尿素 5%
安息香酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
インクを印字する前に記録媒体
先塗り液1
乳酸アンモニウム 10%
ヘキシレングリコール 15%
2−ピロリドン 10%
ゾニルFS300 1%
イオン交換水 残量
次に上記実施例1、2のインクセット及を用いて下記の試験を行った。
実施例1のインクセットは図1に示すようなサーマルインクジェット方式のインクジェットプリンターを用い、また、実施例2のインクセットは図2に示すような先塗り液を塗布する工程を有するインクジェットプリンターを用いて評価した。
加圧ローラはコピー機では、SUS316の芯金にシリコーン樹脂をコーテングしたものまたはこれにPFAの樹脂チューブをかぶせたものが用いられる。本実施例では、SUS316の芯金にシリコーン樹脂をコーティングしたものを使用した。ローラー径φ10mmで当接圧5Kg、定着温度65℃とした。
IHヒーター内蔵のバックアップローラと保持ローラに担持された定着ベルトは0.15mmのETFEのベルトを用いた。ベルトに当接するクリーナブレードはEPDMゴムブレードとPVA発泡樹脂の2層成型体を用いた。
溶媒分の蒸発を促進するため、温度可変のヒートドライヤーにより50℃の空気を定着部手前で供給した。
(1)画像の鮮明性
サーマルインクジェット方式の各色ノズル径18μm、600dpiピッチの300ノズルを有する上記インクジェットプリンター、積層PZTを液室流路の加圧に使用した各色ノズル径28μm、200dpiピッチの300ノズルを有する上記インクジェットプリンター、及び静電アクチュエーターを液室流路の加圧に使用した各色300ノズルを有する上記インクジェットプチンターにて印字を行い、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、濃度を目視により総合的に判断した。
またOHP投影時の発色も評価した。
印字用紙はOKトップコート、リコービジネスコートグロス
<評価ランク>
紙種によらず2色重ね部境界のにじみ、画像濃度が高く、鮮明性、色再現性が高いもの:5、上記で画像濃度がやや低いもの:4、色境界滲みは少ないが紙種により2次色のむら等が認められるもの:3、紙種により色境界滲みが発生するもの:2、上記で画像濃度も低く鮮明性に劣るもの:1
(2)画像の耐水性
画像サンプルを30℃の水に1分間浸漬し処理前後の画像濃度の変化をX−Rite938にて測定し、下記式にて耐水性(耐色率%)を求めた。
耐色率(%)=〔1−(処理後の画像濃度/(処理前の画像濃度))×100
<評価ランク>
いずれの紙でも10%以下を5、20%以下となったものを4、30%未満を3、30%以上を2、50%以上を1とした。
(3)画像の乾燥性
印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけインクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。
<評価ランク>
いずれの紙でも30秒以内で乾燥した場合に○と判定した。
それ以上を×とした。
(4)保存安定性
各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、70℃でそれぞれの条件下で3カ月保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈澱物析出、粒子径の変化の有無を調べた。
<評価ランク>
どの条件で保存しても、4色すべてのインクに物性等の変化がないものを○とした。
(5)印字休止時信頼性
ノズル径30μm128ノズルを有するPZTで駆動するヘッドを有するプリンターを使用し動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその信頼性を評価した。
結果を表に示す。
<評価ランク>
特に問題なし:5、滴重量の変化が小で噴射方向曲がり限度内:4、噴曲がり小:3、
滴重量変化大であるが目詰まり発生はないもの:2、顕著な目詰まり発生:1
Figure 0005811338
比較例1<インクセット3>
(1)下記組成物をpHが9.5になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整し、これを0.45μmのテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過し黒インク3を作製した。
カーボン分散液1 25%(インク中固形分として5%)
ポリエチレンワックスエマルジョンAquacer513 5%
非結晶性樹脂粒子分散液(B) 固形分として10%
ジエチレングリコール 7%
グリセロール 7%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 20%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1%
前記式(a−1)の界面活性剤 0.2%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
(2)下記組成物を混合溶解し、pHを水酸化ナトリウムで7.2にしてイエローインク3を作製した。
イエロー分散液2 (インク中固形分として)3%
前記(II)の化合物(X:硝酸イオン) 2%
1,2,6−ヘキサントリオール 4%
ヘキシレングリコール 8%
N−メチル−2−ピロリドン 10%
ポリエチレンワックスエマルジョン 8%
非結晶性樹脂粒子分散液(B) 固形分として10%
前記式(a−1)の活性剤 1.2%
前記式(d)の活性剤(p、q=10) 1.0%
前記式(b−1)の活性剤の25%水溶液 0.8%
尿素 5%
イオン交換水 残量
(3)下記組成物を用いる以外は前記(1)と同様にして、pHを水酸化リチウムで8.5にしてマゼンタインク3を作製した。
マゼンタ分散液2 (インク中固形分として) 3%
構造式(III)の化合物(X:硝酸イオン) 2%
プロピレングリコール 5%
グリセロール 5%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 20%
ポリエチレンワックスエマルジョン 8%
非結晶性樹脂粒子分散液(B) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
前記一般式(c)の活性剤(R:C919、k:12) 2%
前記式(b−3)の活性剤の25%水溶液 0.2%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
(4)下記組成物を用いる以外は前記(1)と同様にして、pHを水酸化リチウムで9.5にしてシアンインク3を作製した。
シアン分散液2 インク中固形分として2.0%
前記式(III)の化合物(X:硝酸イオン) 2.2%
エチレングリコール 5%
グリセロール 2%
1.2−ヘキサンジオール 5%
2−ピロリドン 20%
ポリオキシエチレンブロック共重合体 1%
非結晶性樹脂粒子分散液(B) 固形分として10%
スチレンアクリル酸重合体 0.5%
前記式(a−1)の活性剤 0.8%
前記式(b−4)の活性剤の25%水溶液 2%
尿素 5%
安息香酸ナトリウム 0.2%
イオン交換水 残量
印刷画像の定着性について、実施例1〜2、比較例1のインクセットを用いて、図1に示す印写装置により画像を形成し、10分後の印写べた画像部をクロックメーターで10回こすり綿布についたインクの光学濃度をXrite938により測定し定着性を確認した。
温度条件 定着温度T1:65℃
バックアップロール温度:100℃
ドライヤー温度T3:50℃
Figure 0005811338
米国特許第6632883号明細書 特開2007−310064号公報 特開2007−114635号公報 特開2010−115854号公報 特開2010−105187号公報

Claims (5)

  1. 着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを被記録媒体に吐出する前に、前記バロプラスチック性を示す樹脂粒子を凝集させる媒体を該被記録媒体上に付与し、吐出したインクを凝集させた後、定着温度が70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを被記録媒体に吐出し、温風を供給して溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した後、70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  3. 着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いた転写型のインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを転写体に吐出する前に、前記バロプラスチック性を示す樹脂粒子を凝集させる媒体を転写体上に付与し、吐出したインクを凝集させた後被記録媒体に転写し、70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. 着色剤と、これを分散または溶解する有機溶剤及び水と、被記録媒体上または転写体上でバロプラスチック性を示す樹脂粒子を含有する樹脂エマルジョンとを含んでなるインクジェット用インクを用いた転写型のインクジェット記録方法であって、該インクジェット用インクを転写体に吐出し、温風を供給して溶媒分の蒸発を促進する工程を実施した後、被記録媒体に転写し、70℃以下で加圧定着させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 前記インクジェット用インクが、前記着色剤として少なくとも顔料分散体を用い、前記バロプラスチック性を示す樹脂粒子が、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20℃以上であり、かつ前記シェルを構成する樹脂は、酸性の極性基を有するコアシェル樹脂粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録方法
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