JP2015101690A - インク組成物及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である、インク組成物。
【選択図】なし
Description
〔1〕
顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、
前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、
前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、
前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、
前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である、
インク組成物。
〔2〕
前記極性溶媒が、沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以上含む、前項〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕
前記極性溶媒が、沸点260℃以上の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以下含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕
前記極性溶媒が、含窒素溶剤を、インク組成物の総量に対して、5質量%以上含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕
20℃における粘度が、4.5mPa・s以上である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔6〕
20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率が、40〜80%である、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔7〕
前記コア部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、30℃以下である、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔8〕
前記シェル部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、40℃以上である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔9〕
前記重合体粒子は、当該重合体粒子の総量に対して、特定の重合体粒子を0.50〜20質量%含み、
前記特定の重合体粒子は、前記コア部の質量(c)と前記シェル部の質量(s)との質量比(c/s)が0.40〜4.0であり、かつ前記重合体粒子の平均粒径φ(単位:nm)と前記質量比(c/s)との比((c/s)/φ)が、0.010以上である、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔10〕
前記コア部を構成する前記樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であり、前記シェル部を構成する前記樹脂の酸価が20〜400mgKOH/gである、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔11〕
前記コア部を構成する前記樹脂が、疎水性モノマー単位を有する樹脂を含み、
前記シェル部を構成する前記樹脂が、メチル(メタ)アクリレートモノマー単位又はエチル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する樹脂を含む、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔12〕
被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する第1加熱工程と、
ノズルから、前項〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させる付着工程と、
前記インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する第2加熱工程と、
を有する、記録方法。
〔13〕
前記付着工程において、インク組成物の最大打ち込み量が16.8mg/inch2以下となるように前記インク組成物を吐出する、前項〔12〕に記載の記録方法。
本実施形態のインク組成物は、顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である。
顔料としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の色毎に以下の顔料が挙げられる。
耐擦性確保のために樹脂を多量に用いるとインク組成物の粘度が上昇し、吐出安定性や目詰まり回復性が劣るという問題がある。これに対し、本実施形態のインク組成物は所定の重合体粒子を用いることにより、多量に用いた場合でも粘度が上昇しにくく、高度な耐擦性を確保しつつ、吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるという効果を有する。以下、具体的に説明する。
コア部を構成する樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよい。コア部を構成する樹脂のガラス転移点は、好ましくは30℃以下であり、より好ましくは25℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下である。コア部を構成する樹脂のガラス転移点が30℃以下であることにより、シェル部が溶融した後、容易にコア部が溶出できるため、密着性により優れる傾向にある。また、コア部を構成する樹脂のガラス転移点は、好ましくは−30℃以上であり、より好ましくは−20℃以上であり、さらに好ましくは−10℃以上である。コア部を構成する樹脂のガラス転移点が−30℃以上であることにより、優れた被膜を形成できるため得られる記録物の耐擦性により優れる傾向にある。
ここで Wn ;各単量体の質量分率
Tgn;各単量体の単独重合体のTg(単位:K)
Tg ;共重合体のTg(単位:K)
シェル部を構成する樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含む。シェル部を構成する樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位とカルボン酸モノマー単位とを有する樹脂を含むことにより、シェル部の表面にカルボキシル基を存在させることができる。これにより、重合体粒子の分散安定性がより向上するとともに、インク組成物の粘度が比較的低くなるため、吐出安定性がより向上する。上記(メタ)アクリレートモノマー単位としては、特に限定されないが、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー単位、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位が挙げられる。(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位の具体例は、コア部を構成する樹脂を構成するモノマー単位について上述したものと同様のものが挙げられる。モノマーは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
THFゲル分率(%)=(再乾燥後の質量/元の質量)×100
重合体粒子の合成方法については特に限定されないが、例えば公知の乳化重合法又はこれを適宜に組み合わせることによって容易に合成することができる。具体的には、一括混合重合法、モノマー滴下法、プレエマルション法、シード乳化重合法、多段階乳化重合法(二段乳化重合法等)、転相乳化重合法等が挙げられる。
本実施形態に係るインク組成物は、沸点150℃以上の極性溶媒を含む。沸点150℃以上の極性溶媒を含むことにより、得られる記録物の耐擦性及びインクジェットノズルを用いた場合の目詰まり回復性がより向上する。極性溶媒は非プロトン性及びプロトン性のいずれでも良いが、プロトン性極性溶媒が好ましい。沸点150℃以上の極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、特に限定されないが、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノール、イソブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノ−2−エキルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニールエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
本実施形態に係るインク組成物は、水を含む。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水を含むことで、有機溶剤を少なくすることができ、その結果、環境に配慮したインク組成物とすることができる。
本実施形態に係るインク組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。インク組成物がこれらの界面活性剤を含むことにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
本実施形態に係るインク組成物は、樹脂エマルションをさらに含んでもよい。当該樹脂エマルションを用いることにより、インクの乾燥に伴い、樹脂エマルション中の樹脂同士と、樹脂及び顔料と、がそれぞれ互いに融着して顔料を被記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の耐擦性及び密着性を一層良好にすることができる。樹脂エマルションの中でもウレタン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルションが好ましい。
本実施形態に係るインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでもよい。pH調整剤を用いることにより、pHを塩基性にすることができ、インクジェットヘッドへのアタック性を軽減することができる。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、トリエタノールアミン、が挙げられる。
インク組成物は、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインク組成物の劣化を防止するため、溶剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
25℃におけるインク組成物の表面張力は、20〜50mN/mが好ましく、20〜40mN/mがより好ましい。表面張力が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、表面張力は、表面張力計を用いて測定することができる。
20℃におけるインク組成物の粘度は、好ましくは4.5mPa・s以上であり、より好ましくは5.0mPa・s以上である。20℃におけるインク組成物の粘度の上限は、特に限定されないが、20mPa・s以下が好ましい。粘度が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、粘度は、粘度計を用いて測定することができる。
(20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率)=((20℃における粘度)−(50℃における粘度))/(20℃における粘度)×100 …(A)
被記録媒体としては、吸収性被記録媒体、低吸収性被記録媒体、又は非吸収性被記録媒体が挙げられる。被記録媒体は、インク組成物を付着させる前に予め又は付着中に加熱されているものを用いることが好ましい。本実施形態のインク組成物を用いて、加熱された、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体上に付着させて記録を行うことにより、インク組成物が被記録媒体に付着した際にシェル部が溶融し、耐擦性に優れる皮膜を形成することができる。また、被記録媒体が加熱されていればよいため、インク組成物の粘度を低下させるために必要以上にノズルを加熱しなくてもよい。これにより、インク組成物中の樹脂などの成分がノズル内壁に溶着することを抑制でき、目詰まり回復性に優れる。加熱の際の被記録媒体の表面温度は30〜70℃が好ましく、より好ましくは40〜60℃である。
本実施形態の記録方法は、被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する第1加熱工程と、ノズルから、上記インク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させる付着工程と、前記インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する第2加熱工程と、を有する。
第1加熱工程は、インク組成物が付着する前の被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する工程である。加熱工程は、IRヒーター3、プラテンヒーター4、又はプレヒーター7により行なうことができる。被記録媒体を加熱することにより、被記録媒体に付着した重合体粒子のシェル部が溶融しやすく、耐擦性に優れる記録物を得ることができる。被記録媒体の表面温度は40〜60℃が好ましい。
付着工程は、ノズルから、上記インク組成物を吐出して、加熱された被記録媒体上に付着させる工程である。インク組成物の吐出手段(記録用ヘッド2)としては、従来公知の方式を使用でき、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出するもの、即ち電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するものが挙げられる。
第2加熱工程は、インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する工程である。第2加熱工程における加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、硬化ヒーター5、温風機構(不図示)、及び恒温槽(不図示)などの手段が挙げられる。加熱手段が、画像が記録された被記録媒体を加熱することにより、インク組成物中に含まれる水分などがより速やかに蒸発飛散(乾燥)して、インク組成物中に含まれる重合体粒子によって被膜が形成される。このようにして、被記録媒体上においてインク組成物に由来する被膜が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。記録媒体の表面温度は40℃〜120℃が好ましく、より好ましくは55℃〜100℃であり、60〜95℃がさらに好ましい。
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔顔料〕
シアン顔料(C.Iピグメントブルー15:3、平均粒径70μm)
〔溶媒〕
1,3−ブタンジオール(沸点:207℃)
1,2−ブタンジオール(沸点:193℃)
プロピレングリコール(沸点:189℃)
ジプロピレングリコール(沸点:230℃)
2−ピロリドン(沸点:245℃)
1,2−ヘキサンジオール(沸点:223℃)
〔界面活性剤〕
BYK348(BASF社製、シリコーン系界面活性剤)
サーフィノールDF110D(日進化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
〔樹脂エマルション〕
ジョンクリル7100(BASF社製、スチレン/アクリル系水性樹脂エマルション、固形分48%、Tg-10℃、酸価51)
ジョンクリル7610(BASF社製、樹脂エマルション、固形分52%、Tg96℃、酸価50)
〔pH調整剤〕
トリエタノールアミン
〔キレート剤〕
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
〔製造例1:重合体粒子1〕
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、メチルメタクリレート56部、ラウリルメタクリレート7部、アクリル酸7部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にしてシェル部を作製し、その後重合開始剤の過流酸カリを0.2部、イオン交換水7部にスチレン12部、ブチルアクリレート18部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させてコア部を作製した。その後、1.0μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製して重合体粒子1とした。
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、メチルメタクリレート30部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタリレート15部、アクリル酸10部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にしてシェル部を作製し、その後重合開始剤の過流酸カリを0.2部、イオン交換水7部にスチレン12部、ブチルアクリレート18部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させてコア部を作製した。その後、1.0μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製して重合体粒子2とした。
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、メチルメタクリレート29.8部、ラウリルアクリレート17.5部、ブチルメタクリレート15.7部、アクリル酸7部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にしてシェル部を作製し、その後重合開始剤の過流酸カリを0.2部、イオン交換水7部にスチレン12部、ブチルアクリレート18部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させてコア部を作製した。その後、1.0μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製して重合体粒子3とした。
重合体粒子の平均粒子径は、「マイクロトラックUPA」(日機装株式会社製)を用い、測定条件は、屈折率を1.5、溶媒(水)の屈折率を1.333、測定粒子形状を球形、とすることにより測定した。
重合体粒子のコア部の酸価は、コア部の樹脂成分についてJIS−K2501に基づき、電位差測定法を用いることにより測定した。また、重合体粒子のシェル部の酸価は、シェル部の樹脂成分についてJIS−K2501に基づき、電位差測定法を用いることにより測定した。
各材料を下記の表2に示す組成(質量%)になるよう混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。
顔料の平均粒径は、平均粒径は「マイクロトラックUPA」(日機装株式会社製)を用い、測定条件は、屈折率を2.0、溶媒(水)の屈折率を1.333、測定粒子形状を球形、とした。
インク組成物の表面張力は、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。
インク組成物の20℃及び50℃における粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、JIS Z8809に準拠して測定により求めた。また、得られた粘度から上記式(A)より、粘度低下率を求めた。
〔耐擦性〕
インクジェットプリンター(商品名PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)に上記インク組成物を充填して、被記録媒体PETメディアのコールドラミネートフィルムPG−50L(商品名、ラミーコーポレーション社製)にベタパターンを記録した。具体的には、被記録媒体の表面温度を50℃に加熱し、ノズルから、上記インク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させ、インク組成物が付着した被記録媒体を、50℃で10分間加熱して、ベタパターンを得た。記録条件としては、打ち込み量を14.8mg/inch2とし、解像度を横720dpi、縦720dpiとし、dutyを100%とした。
A:20回擦ってもインク剥がれ及び綿布へのインク移りが認められなかった。
B:11〜15回擦った後インク剥がれ又は綿布へのインク移りが認められた。
C: 6〜10回擦った後インク剥がれ又は綿布へのインク移りが認められた。
D: 1〜 5回擦った後インク剥がれ又は綿布へのインク移りが認められた。
凝集ムラの評価には、上記耐擦性試験で用いたものと同様の記録物を用いた。記録物のベタパターン内のインクの凝集ムラを目視で観察し、下記評価基準で評価した。なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。白はいずれも全面に記録した。
A: ベタパターン内に凝集ムラが認められなかった。
B: ベタパターン内に凝集ムラが若干認められた。
C: ベタパターン内に凝集ムラが全体的にかなり認められた。
上記で得られた各インク組成物をインクカートリッジに充填し、該インクカートリッジをインクジェットプリンター(商品名PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)に装着した。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンターのヘッドにインク組成物を充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。その後、インクカートリッジを外し、ホームポジション外の位置(ヘッドがプリンターに備えたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態)で40℃の環境下に1週間放置した。放置後、再び全ノズルよりインク組成物が吐出し、初期と同等の印字が可能となるまでに必要とされたクリーニングの回数を計測し、結果を以下の基準に基づいて判定した。
A:3回以下のクリーニングで初期と同等の印字が得られた。
B:4回以上9回以下のクリーニングで初期と同等の印字が得られた。
C:10回以上のクリーニングによっても初期と同等の印字が不可能だった。
Claims (13)
- 顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、
前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、
前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、
前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、
前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である、
インク組成物。 - 前記極性溶媒が、沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以上含む、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記極性溶媒が、沸点260℃以上の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以下含む、請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記極性溶媒が、含窒素溶剤を、インク組成物の総量に対して、5質量%以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 20℃における粘度が、4.5mPa・s以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率が、40〜80%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記コア部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、30℃以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記シェル部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、40℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記重合体粒子は、当該重合体粒子の総量に対して、特定の重合体粒子を0.50〜20質量%含み、
前記特定の重合体粒子は、前記コア部の質量(c)と前記シェル部の質量(s)との質量比(c/s)が0.40〜4.0であり、かつ前記重合体粒子の平均粒径φ(単位:nm)と前記質量比(c/s)との比((c/s)/φ)が、0.010以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物。 - 前記コア部を構成する前記樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であり、前記シェル部を構成する前記樹脂の酸価が20〜400mgKOH/gである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記コア部を構成する前記樹脂が、疎水性モノマー単位を有する樹脂を含み、
前記シェル部を構成する前記樹脂が、メチル(メタ)アクリレートモノマー単位又はエチル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する樹脂を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク組成物。 - 被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する第1加熱工程と、
ノズルから、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させる付着工程と、
前記インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する第2加熱工程と、
を有する、記録方法。 - 前記付着工程において、インク組成物の最大打ち込み量が16.8mg/inch2以下となるように前記インク組成物を吐出する、請求項12に記載の記録方法。
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