JP2015101690A - インク組成物及び記録方法 - Google Patents

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尚義 加賀田
Hisayoshi Kagata
尚義 加賀田
矢竹 正弘
Masahiro Yatake
正弘 矢竹
啓 向井
Hiroshi Mukai
啓 向井
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Abstract

【課題】高度な耐擦性を維持しつつ、ノズルの目詰まりが回復しやすく、かつ凝集ムラが生じにくいインク組成物、及び該インク組成物を用いた記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である、インク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物及び記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、インクジェットノズルの目詰まり等について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、インクジェット記録液として要求される物性、特に耐水性、耐光性、解像度、安定性に優れ、ノズルでの目詰まりをせずに安定な吐出を与える顔料タイプの水性インクジェット記録液を提供することを目的として、水性媒体中に顔料および樹脂を分散させてなるインクジェット記録液において、樹脂が、ガラス転移点50〜150℃の重合体からなるシェルとガラス転移点−100〜40℃の重合体からなるコアとからなる水性エマルション型樹脂であるインクジェット記録液を開示している。
特開平9−249838号公報
しかしながら、特許文献1には、コア部とシェル部のガラス転移温度の差について記載がない。また、特特許文献1に記載のインク組成物は、顔料の含有量(固形分換算)が0.8質量%であり、これに対する重合体粒子の含有量が2〜4質量%と比較的少ない。ところで、顔料の含有量が比較的多い場合、通常使用する樹脂も多くなり、インク組成物の粘度が高くなる。これにより、ノズルの目詰まりが生じやすく、目詰まりが回復しにくいことが問題となる。
さらに、低吸収性被記録媒体又は非吸収性被記録媒体に対して記録をするためには、耐擦性確保の観点から、極性溶媒や樹脂を比較的多く使用することが好ましい。しかしながら、極性溶媒は沸点が一般的に高いため、多量に用いるとインク組成物が乾燥しにくくなるため、乾燥に長時間を要し、その結果、凝集ムラが発生するという問題がある。また、この問題を解消するために被記録媒体を比較的高い温度で加熱すると、被記録媒体の変形やノズルの目詰まりが生じやすいという問題が生じる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、高度な耐擦性を維持しつつ、ノズルの目詰まりを回復しやすく、かつ凝集ムラが生じにくいインク組成物、及び該インク組成物を用いた記録方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の重合体粒子と所定の極性溶媒とを用いることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、
前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、
前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、
前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、
前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である、
インク組成物。
〔2〕
前記極性溶媒が、沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以上含む、前項〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕
前記極性溶媒が、沸点260℃以上の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以下含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕
前記極性溶媒が、含窒素溶剤を、インク組成物の総量に対して、5質量%以上含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕
20℃における粘度が、4.5mPa・s以上である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔6〕
20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率が、40〜80%である、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔7〕
前記コア部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、30℃以下である、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔8〕
前記シェル部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、40℃以上である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔9〕
前記重合体粒子は、当該重合体粒子の総量に対して、特定の重合体粒子を0.50〜20質量%含み、
前記特定の重合体粒子は、前記コア部の質量(c)と前記シェル部の質量(s)との質量比(c/s)が0.40〜4.0であり、かつ前記重合体粒子の平均粒径φ(単位:nm)と前記質量比(c/s)との比((c/s)/φ)が、0.010以上である、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔10〕
前記コア部を構成する前記樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であり、前記シェル部を構成する前記樹脂の酸価が20〜400mgKOH/gである、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔11〕
前記コア部を構成する前記樹脂が、疎水性モノマー単位を有する樹脂を含み、
前記シェル部を構成する前記樹脂が、メチル(メタ)アクリレートモノマー単位又はエチル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する樹脂を含む、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のインク組成物。
〔12〕
被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する第1加熱工程と、
ノズルから、前項〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させる付着工程と、
前記インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する第2加熱工程と、
を有する、記録方法。
〔13〕
前記付着工程において、インク組成物の最大打ち込み量が16.8mg/inch以下となるように前記インク組成物を吐出する、前項〔12〕に記載の記録方法。
本実施形態で用い得る記録装置の構成を示す概略断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
〔インク組成物〕
本実施形態のインク組成物は、顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である。
〔顔料〕
顔料としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の色毎に以下の顔料が挙げられる。
ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
白色顔料としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、及び酸化ジルコニウム等の白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色の中空樹脂粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
顔料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
顔料の平均粒径は、好ましくは50〜500nmであり、より好ましくは60〜400nmであり、さらに好ましくは70〜350nmである。粒子径が50以上であることにより、耐光性が劣る傾向にある。また、粒子径が500nm以下であることにより、沈降が速くなる傾向にある。顔料の平均粒径が上記範囲内であることにより、沈降性能と耐光性により優れる傾向にある。顔料の平均粒径は、動的光散乱法により求めることができる体積基準の平均粒径を意味する。
インク組成物における顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、8.0質量%以下であると好ましく、より好ましくは6.0質量%以下であり、さらに好ましくは4.0質量%以下である。このようなインク組成物であっても、後述する重合体粒子を用いることにより、得られる記録物の耐擦性と、目詰まりを回復性により優れる傾向にある。なお、顔料の含有量の下限は特に限定されず、例えば、顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.1質量%以上であってもよい。
以下適宜、コア部又はシェル部を構成する樹脂は、・・・という樹脂を含む(又は有する)、という表現を用いる。しかし、この表現はコア部又はシェル部が1種類の樹脂で構成されている場合を排除する表現ではない。
〔重合体粒子〕
耐擦性確保のために樹脂を多量に用いるとインク組成物の粘度が上昇し、吐出安定性や目詰まり回復性が劣るという問題がある。これに対し、本実施形態のインク組成物は所定の重合体粒子を用いることにより、多量に用いた場合でも粘度が上昇しにくく、高度な耐擦性を確保しつつ、吐出安定性や目詰まり回復性にも優れるという効果を有する。以下、具体的に説明する。
重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低い。コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いことにより、被記録媒体に記録された画像の耐擦性がより向上する。また、コア部を構成する樹脂のガラス転移点(Tgc)が、シェル部を構成する樹脂のガラス転移点(Tgs)よりも30℃を超えて低い(すなわち、Tgc<Tgs−30℃の関係にある)ことにより、吐出後の加熱によってシェル部が溶融した後、よりTgの低いコア部が溶出するため、被記録媒体に対するインク組成物の密着性がより向上する。さらに、シェル部を構成する樹脂のガラス転移点が、コア部を構成する樹脂のガラス転移点よりも40℃、より好ましくは45℃を超えて高いことにより、重合体粒子を含むインク組成物が記録用ヘッド内に溶着しにくいため、吐出安定性が向上する。かかる観点から、コア部を構成する樹脂のガラス転移点とシェル部を構成する樹脂のガラス転移点との差は、50℃を超えると好ましく、70℃を超えるとより好ましい。一方、コア部を構成する樹脂のガラス転移点とシェル部を構成する樹脂のガラス転移点との差は、130℃未満であってもよく、110℃未満であってもよく、100℃未満であってもよい。すなわち、コア部を構成する樹脂のガラス転移点とシェル部を構成する樹脂のガラス転移点との差は、30℃を超え130℃未満であることが好ましく、50℃を超え110℃未満であることがより好ましく、70℃を超え100℃未満であることがさらに好ましい。
重合体粒子の含有量(固形分換算)は、インク組成物の総量に対して、2.0質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以上であり、より好ましくは3.0質量%以上である。重合体粒子の含有量が3.0質量%以上であることにより、得られる記録物の耐擦性がより向上し、一方でインク組成物の粘度上昇を比較的低く抑えることができる。また、重合体粒子の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。重合体粒子の含有量が20質量%以下であることにより、プリンター放置時の目詰まり性がより向上する傾向にある。
重合体粒子の平均粒子径φ(単位:nm)は、好ましくは30nm〜500nmであり、より好ましくは30nm〜200nmであり、さらに好ましくは30nm〜150nmである。重合体粒子の粒子径が上記範囲にあることにより、インク組成物中における重合体粒子の分散安定性がより向上する傾向にある。なお、重合体粒子の平均粒子径(φ)は、動的光散乱法あるいは透過型電子顕微鏡等で観察することにより求めることができる体積基準の平均粒子径を意味する。
(コア部)
コア部を構成する樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよい。コア部を構成する樹脂のガラス転移点は、好ましくは30℃以下であり、より好ましくは25℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下である。コア部を構成する樹脂のガラス転移点が30℃以下であることにより、シェル部が溶融した後、容易にコア部が溶出できるため、密着性により優れる傾向にある。また、コア部を構成する樹脂のガラス転移点は、好ましくは−30℃以上であり、より好ましくは−20℃以上であり、さらに好ましくは−10℃以上である。コア部を構成する樹脂のガラス転移点が−30℃以上であることにより、優れた被膜を形成できるため得られる記録物の耐擦性により優れる傾向にある。
コア部を構成する樹脂が単独重合体である場合、単独重合体のTgは各種文献(例えばポリマーハンドブック等)に記載されているものを使用することができる。また、コア部を構成する樹脂が共重合体である場合、共重合体のTgは、各種単独重合体のTg(単位:K)と、単量体の質量分率(W)とから下記FOX式によって算出することができる。
Figure 2015101690

ここで W ;各単量体の質量分率
Tg;各単量体の単独重合体のTg(単位:K)
Tg ;共重合体のTg(単位:K)
単独重合体としては、特に限定されないが、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート単独重合体(Tg:−70℃)、2−エチルヘキシルメタクリレート単独重合体(Tg:−10℃)、2−ヒドロキシエチルアクリレート単独重合体(Tg:−15℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート単独重合体(Tg:55℃)、2−ヒドロキシブチルアクリレート単独重合体(Tg:−7℃)、2−ヒドロキシブチルメタクリレート単独重合体(Tg:26℃)、2−メトキシエチルアクリレート単独重合体(Tg:−50℃)、4−ヒドロキシブチルアクリレート単独重合体(Tg:−80℃)、iso−オクチルメタクリレート単独重合体(Tg:−45℃)、iso−ブチルアクリレート単独重合体(Tg:43℃)、iso−ブチルメタクリレート単独重合体(Tg:53℃)、iso−プロピルアクリレート単独重合体(Tg:−3℃)、iso−プロピルメタクリレート単独重合体(Tg:81℃)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート単独重合体(Tg:20℃)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート単独重合体(Tg:18℃)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート単独重合体(Tg:18℃)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド単独重合体(Tg:134℃)、n−ブチルアクリレート単独重合体(Tg:−54℃)、tert−ブチルアクリレート単独重合体(Tg:43℃)、tert−ブチルメタクリレート単独重合体(Tg:20℃)、アクリルアミド単独重合体(Tg:179℃)、アクリル酸単独重合体(Tg:106℃)、アクリロニトリル単独重合体(Tg:125℃)、イソアミルアクリレート単独重合体(Tg:−45℃)、イソブチルアクリレート単独重合体(Tg:−26℃)、イソブチルメタアクリレート単独重合体(Tg:48℃)、イソボルニルアクリレート単独重合体(Tg:94℃)、イソボルニルメタクリレート単独重合体(Tg:155℃〜180℃)、イタコン酸単独重合体(Tg:100℃)、エチルアクリレート単独重合体(Tg:−22℃〜−24℃)、エチルカルビトールアクリレート単独重合体(Tg:−67℃)、エチルメタクリレート単独重合体(Tg:65℃)、エトキシエチルアクリレート単独重合体(Tg:−50℃)、エトキシエチルメタクリレート単独重合体(Tg:15℃)、エトキシジエチレングリコールアクリレート単独重合体(Tg:−70℃)、オクチルアクリレート単独重合体(Tg:−65℃)iso−オクチルアクリレート単独重合体(Tg:−70℃)、シクロヘキシルアクリレート単独重合体(Tg:15℃〜19℃)、シクロヘキシルメタクリレート単独重合体(Tg:66℃〜83℃)、ジシクロペンタニルアクリレート単独重合体(Tg:120℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート単独重合体(Tg:175℃)、スチレン単独重合体(Tg:100℃)、ステアリルアクリレート単独重合体(Tg:35℃)、ターシャリーブチルアクリレート単独重合体(Tg:41℃)、ターシャリーブチルメタクリレート単独重合体(Tg:107℃)、テトラデシルアクリレート単独重合体(Tg:24℃)、テトラデシルメタクリレート単独重合体(Tg:−72℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレート単独重合体(Tg:−12℃)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート単独重合体(Tg:60℃)、ノニルアクリレート単独重合体(Tg:58℃)、フェノキシエチルアクリレート単独重合体(Tg:−22℃)、フェノキシエチルメタクリレート単独重合体(Tg:54℃)、ブチルアクリレート単独重合体(Tg:−56℃)、ブチルメタクリレート単独重合体(Tg:20℃)、プロピルアクリレート単独重合体(Tg:3℃)、プロピルメタクリレート単独重合体(Tg:35℃)、ヘキサデシルアクリレート単独重合体(Tg:35℃)、ヘキサデシルメタクリレート単独重合体(Tg:15℃)、ヘキシルアクリレート単独重合体(Tg:−57℃)、ヘキシルメタクリレート単独重合体(Tg:−5℃、ベンジルアクリレート単独重合体(Tg:6℃)、ベンジルメタクリレート単独重合体(Tg:54℃)、ペンチルアクリレート単独重合体(Tg:22℃)、ペンチルメタクリレート単独重合体(Tg:−5℃)、マレイン酸単独重合体(Tg:130℃)、メタクリル酸単独重合体(Tg:185℃)カルボキシエチルアクリレート単独重合体(Tg:37℃)、メチルアクリレート単独重合体(Tg:8℃)、メチルメタクリレート単独重合体(Tg:105℃)、メトキシエチルアクリレート単独重合体(Tg:−50℃)、メトキシメタクリレート単独重合体(Tg:−16℃)、ラウリルアクリレート単独重合体(Tg:−3℃〜15℃)、ラウリルメタクリレート単独重合体(Tg:−65℃)、酢酸ビニル単独重合体(Tg:32℃)が挙げられる。なお、Tgは単独重合体の製造方法や立体規則性によって異なる場合があるため、上記に限定されない。
コア部を構成する樹脂のTgは、樹脂が単独重合体である場合にはその単独重合体を選択することにより制御できる。また、樹脂が共重合体である場合には上記単独重合体のTgと上記FOX式とを考慮することにより制御することができる。
また、コア部を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー単位、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、(メタ)アクリルアミドモノマー単位又はそのN−置換誘導体、芳香族ビニル化合物モノマー単位、及びカルボン酸モノマー単位の少なくともいずれかを有する重合体が好ましい。このなかでも、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレート、及び芳香族ビニル化合物を有する重合体が好ましい。
親水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「親水性」とは、水100mL(20℃)に対する溶解度が0.3g以上であることをいう。
炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数が3以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「疎水性」とは、水100mL(20℃)に対する溶解度が0.3g未満であることをいう。
環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドモノマー又はそのN−置換誘導体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド又はそのN−置換誘導体が挙げられる。
芳香族ビニル化合物モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。このなかでも、(メタ)アクリル酸が好ましい。ここで、「カルボン酸モノマー」とは、カルボキシル基と重合性不飽和基を有する重合性モノマーをいう。
上記モノマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
コア部を構成する樹脂を構成する全単位のうち、疎水性モノマー単位の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。疎水性モノマー単位の含有量が上記範囲であることにより、加熱処理等を行うことによって被記録媒体上に記録された画像の表面に疎水性被膜が形成されるため、記録物の耐擦性がより向上する傾向にある。
また、コア部を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、疎水性モノマー単位のみを有する樹脂が好ましい。コア部を構成する樹脂が、疎水性モノマー単位のみを有する樹脂を含むことにより、被記録媒体上に記録された画像の表面に疎水性被膜が形成されるので耐擦性がより向上する傾向にある。疎水性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
コア部を構成する樹脂の酸価は、好ましくは0〜30KOH/gであり、より好ましくは0〜10KOH/gであり、さらに好ましくは0mgKOH/gである。コア部を構成する樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であることにより、被記録媒体上に記録された画像の表面に疎水性被膜が形成されるので耐擦性がより向上する傾向にある。
(シェル部)
シェル部を構成する樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含む。シェル部を構成する樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位とカルボン酸モノマー単位とを有する樹脂を含むことにより、シェル部の表面にカルボキシル基を存在させることができる。これにより、重合体粒子の分散安定性がより向上するとともに、インク組成物の粘度が比較的低くなるため、吐出安定性がより向上する。上記(メタ)アクリレートモノマー単位としては、特に限定されないが、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー単位、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位が挙げられる。(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位の具体例は、コア部を構成する樹脂を構成するモノマー単位について上述したものと同様のものが挙げられる。モノマーは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シェル部を構成する樹脂は、メチル(メタ)アクリレートモノマー単位又はエチル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する樹脂を含むことが好ましい。メチル(メタ)アクリレートモノマー単位又はエチル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する樹脂を含むことにより、水中での分散が安定し、プリンターの目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
また、シェル部を構成するその他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミドモノマー又はそのN−置換誘導体、芳香族ビニル、及びアクリルポリオール、シアノアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む樹脂が挙げられる。
シェル部を構成する樹脂中の(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位の含有量は、シェル部を構成する樹脂の総量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。シェル部を構成する樹脂中の(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位の含有量が70質量%以上であることにより、シェル部の周りに水和層が形成されやすくなるので、インク組成物中における重合体粒子の分散安定性が向上する傾向にある。また、重合体粒子がノズルに付着することをより効果的に抑制することができるので、記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性がより良好となる傾向にある。また、シェル部を構成する樹脂中の(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位の含有量の上限は特に限定されないが、シェル部を構成する樹脂の総量に対し、好ましくは100質量%以下である。
シェル部を構成する樹脂のガラス転移点は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上である。シェル部を構成する樹脂のガラス転移点が40℃以上であることにより、コアシェル型の構造をより崩壊させずに重合体粒子を記録ヘッドから吐出することが可能となり、記録用ノズル内における重合体粒子の溶着をより抑制できるため、吐出安定性により優れる傾向にある。シェル部を構成する樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、シェル部を構成する樹脂のガラス転移点は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下であり、さらに好ましくは80℃以下である。コア部を構成する樹脂のガラス転移点が90℃以下であることにより、被記録媒体上でシェル部が溶融しやすいため、密着性により優れる傾向にある。シェル部を構成する樹脂が単独重合体である場合、単独重合体のTgは各種文献(例えばポリマーハンドブック等)に記載されているものを使用することができる。また、シェル部を構成する樹脂が共重合体である場合、共重合体のTgは、各種単独重合体のTg(単位:K)と、単量体の質量分率(W)とから上記FOX式によって算出することができる。
シェル部を構成する樹脂の酸価は、好ましくは20〜400mgKOH/gであり、より好ましくは30〜200mgKOH/gであり、さらに好ましくは50〜150mgKOH/gである。シェル部を構成する樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であることにより、シェル部の周りに水和層が形成されやすくなるので、インク組成物中における重合体粒子の分散安定性が向上する傾向にある。また、重合体粒子がノズルに付着することをより効果的に抑制することができるので、記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性がより良好となる傾向にある。また、シェル部を構成する樹脂の酸価が400mgKOH/g以下であることにより、耐擦性がより向上する傾向にある。なお、コア部又はシェル部を構成する樹脂が2種以上の樹脂を含む場合には、酸価はその実測値から求める。
コア部及びシェル部を構成する樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。コア部を構成する樹脂が2種以上である場合は、最も低いガラス転移温度を有する樹脂のガラス転移温度を「コア部を構成する樹脂のガラス転移温度」とする。また、シェル部を構成する樹脂が2種以上である場合は、最も低いガラス転移温度を有する樹脂のガラス転移温度を「シェル部を構成する樹脂のガラス転移温度」とする。
ここで、本明細書におけるコアシェル型重合体粒子は、コア部を形成する樹脂がコア部に局在化し、シェル部を形成する樹脂がシェル部に局在化していればよく、コア部とシェル部との境界が厳密に明確でない重合体粒子であってもよい。
また、重合体粒子のコア部やシェル部を構成する重合体は、それぞれ非架橋であることが特に好ましい。非架橋であることにより吐出安定性がより向上する傾向にある。樹脂の架橋度は、テトラヒドロフラン(THF)を用いて重合体のゲル分率(以下、「THFゲル分率」ともいう。)を測定することにより定量化できる。コア部を構成する樹脂及びシェル部を構成する樹脂のTHFゲル分率は、各々独立に、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下である。コア部を構成する樹脂及びシェル部を構成する樹脂のTHFゲル分率が上記範囲内であることにより、被記録媒体に記録された画像の耐擦性がより向上する傾向にある。
THFゲル分率は、例えば以下のようにして測定することができる。コアシェル型重合体粒子約10gをテフロン(登録商標)シャーレへ秤り取り、120℃で1時間乾燥して成膜する。得られた膜をTHFに20℃で24時間浸漬したものを100メッシュのフィルターでろ過し、さらに20℃で24時間再乾燥させて、次式からTHFゲル分率(%)を求めることができる。
THFゲル分率(%)=(再乾燥後の質量/元の質量)×100
重合体粒子は、当該重合体粒子の総量に対して、コア部の質量(c)とシェル部の質量(s)との質量比(c/s)が0.40〜4.0であり、かつ上記重合体粒子の平均粒径φ(単位:nm)と質量比(c/s)との比((c/s)/φ)が、0.010以上である特定の重合体粒子を0.50〜20質量%含むことが好ましい。このような重合体粒子を用いることにより、インク組成物の吐出安定性と被記録媒体に記録された画像の耐擦性とが共に向上する傾向にある。
重合体粒子の総量に対して0.5〜20質量%の重合体粒子において、コア部の質量(c)とシェル部の質量(s)との質量比(c/s)は、好ましくは0.40〜4.0であり、より好ましくは0.5〜2.5であり、さらに好ましくは1.0〜2.5である。質量比(c/s)が上記範囲内であることにより、コア部の質量とシェル部の質量とのバランスが良好となるため、インク組成物の吐出安定性と被記録媒体に記録された画像の耐擦性とが共に向上する傾向にある。
重合体粒子の平均粒径φ(単位:nm)と前記質量比(c/s)との比((c/s)/φ)は、好ましくは0.010以上であり、より好ましくは0.020〜1.00であり、さらに好ましくは0.03〜0.070である。比((c/s)/φ)が上記範囲内であることにより、重合体粒子の大きさにかかわらずコア部の質量とシェル部の質量とのバランスが良好となるため、インク組成物の吐出安定性と被記録媒体に記録された画像の耐擦性とが共に向上する傾向にある。
(重合体粒子の合成方法)
重合体粒子の合成方法については特に限定されないが、例えば公知の乳化重合法又はこれを適宜に組み合わせることによって容易に合成することができる。具体的には、一括混合重合法、モノマー滴下法、プレエマルション法、シード乳化重合法、多段階乳化重合法(二段乳化重合法等)、転相乳化重合法等が挙げられる。
コア部を先に合成する重合方法について説明する。まず、水系媒体を用いた通常の乳化重合法によりコア粒子を合成する。乳化重合の条件は、公知の方法に準ずればよいが、例えば使用するモノマー全量を100部とした場合に、通常100〜500部の水(水系媒体)を使用して重合を行うことができる。重合温度は、−10〜100℃が好ましく、−5〜100℃がより好ましく、0〜90℃がさらに好ましい。また、重合時間は、0.1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。乳化重合の方式としては、モノマーを一括して仕込むバッチ方式、モノマーを分割もしくは連続して供給する方式、モノマーのプレエマルションを分割もしくは連続して添加する方式、又はこれらの方式を段階的に組み合わせた方式等を採用することができる。また、通常の乳化重合に用いられる重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤等を、必要に応じて1種又は2種以上使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過酸化基を有するラジカル乳化性化合物を含有するラジカル乳化剤、亜硫酸水素ナトリウム、及び硫酸第一鉄等の還元剤を組み合わせたレドックス系を用いることができる。重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
分子量調節剤としては、特に限定されないが、例えばn−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルネピン、γ−テルネピン、ジペンテン、1,1−ジフェニルエチレンが挙げられる。分子量調節剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル、ポリエチレングリコールのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;親水基と疎水基とラジカル反応性基とを含有する反応性乳化剤;ビニル系重合体、ポリエステル系重合体等の重合体に親水基を導入した高分子乳化剤等を挙げることができる。乳化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、親水基とは、水に対する親和性が高い原子団のことであり、例えば、ニトロ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。また、疎水基とは、親水基よりも水に対する親和性が低い原子団のことであり、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、脂環基、芳香環基、アルキルシリル基、パーフルオロアルキル基等が挙げられる。
次いで、得られたコア粒子(コア部)の存在下において、シェル部用のモノマーを重合させる。具体的には、得られたコア粒子をシード粒子として使用した状態でシェル部用のモノマーをシード重合させることによって、コアシェル型重合体粒子を形成することができる。例えば、コア粒子が分散した水系媒体中に、シェル部用のモノマーもしくはそのプレエマルションを一括、分割、又は連続して滴下すればよい。このとき使用するコア粒子の量は、シェル部用のモノマー100質量部に対して、25〜250質量部とすることが好ましい。重合に際して重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤等を用いる場合には、コア粒子の製造時と同様のものを使用することができる。また、重合時間等の条件についても、コア粒子の製造時と同様にすればよい。
シェル部を先に合成する重合方法について説明する。まず、シェル部を合成する。具体的には、反応性乳化剤を用いて上述の親水性モノマーを含むプレエマルション溶液を調製し、該プレエマルション溶液を重合開始剤とともに水系媒体中に滴下、重合反応することでシェル部を合成する。
次に、得られたシェル部を重合場として、コア部を重合し、本実施形態に係る重合体粒子を合成する。具体的には、シェル部を含有する水系分散媒体中に上述の疎水性モノマーを含むモノマー混合物を滴下し、コア部を重合し、重合体粒子とする。なお、シェル部を重合場とする場合、モノマー混合物には乳化剤を含有させる必要がないため、モノマー油滴として滴下することができる。
かかる多段階乳化重合法によれば、反応性乳化剤を用いてシェル部を合成し、乳化剤フリーでコア部を合成することができるため、インク組成物中の乳化剤の含有量を容易に0.01質量%以下とすることができる。インク組成物において、含有される乳化剤の含有量が0.01質量%以下であると、インク界面(大気−インクにおける気液界面、インク収容容器等のインク接触部材−インクにおける固液界面)におけるインク成分の凝集が抑制され、保存安定性に優れるため好ましい。また、インク組成物において、含有される乳化剤の含有量が0.01質量%以下であると、起泡性、消泡性に優れるため、インク充填可能な注入口を有するインク収容容器を好ましく用いることができる。ここで、「インク充填可能な注入口を有するインク収容容器」とは、着脱又は開閉可能な注入口を有するインク収容容器のことであり、ユーザーが容易にインク組成物を注入できるようになっている一方で、注入時に泡立ちやすい。なお、注入口の開口面積が20mm2以上であるとインク組成物の充填が容易になるため好ましい。このようなインク収容容器は、例えば、特開2005−219483号公報や特開2012−51309号公報に開示されている。
また、大量の乳化剤を用いて重合体粒子を合成する場合であっても、重合体粒子の合成後に過剰な乳化剤を除去することによって、インク組成物に含まれる乳化剤の含有量を0.01質量%以下としてもよい。
最後に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基で中和してpHを調整して、必要に応じてろ過することにより、コアシェル型重合体粒子分散液が得られる。
〔沸点150℃以上の極性溶媒〕
本実施形態に係るインク組成物は、沸点150℃以上の極性溶媒を含む。沸点150℃以上の極性溶媒を含むことにより、得られる記録物の耐擦性及びインクジェットノズルを用いた場合の目詰まり回復性がより向上する。極性溶媒は非プロトン性及びプロトン性のいずれでも良いが、プロトン性極性溶媒が好ましい。沸点150℃以上の極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、特に限定されないが、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノール、イソブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノ−2−エキルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニールエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
沸点150℃以上の極性溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
沸点150℃以上の極性溶媒の含有量は、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%であり、好ましくは15〜35質量%であり、より好ましくは20〜25質量%である。また、沸点150℃以上の極性溶媒の含有量が、10〜40質量%であることにより、得られる記録物の耐擦性及び凝集ムラが改善し、並びに目詰まり回復性がより向上する。
沸点150℃以上の極性溶媒は、沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒を含むことが好ましい。沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチレングリコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルが挙げられる。
沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは7.5質量%以上である。また、沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒の含有量の上限は特に制限されないが、好ましくは40質量%以下である。沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒の含有量が、5.0質量%以上であることにより、得られる記録物の耐擦性及び凝集ムラが改善し、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
沸点150℃以上の極性溶媒は、沸点260℃以上の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下含む。また、沸点260℃以上の極性溶媒の含有量の下限は特に制限されないが、好ましくは0質量%以上、すなわち含まなくてもよい。沸点260℃以上の極性溶媒の含有量が、5.0質量%以下であることにより、得られる記録物の耐擦性及び凝集ムラがより改善する傾向にある。
沸点260℃以上の極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコールが挙げられる。
沸点150℃以上の極性溶媒は、含窒素溶剤を含むことが好ましい。含窒素溶剤を含むことにより、重合体粒子の安定性がより向上し、インク組成物中の異物の析出を効果的に防止できるため、保存安定性、特に高温下での保存安定性により優れる傾向にある。また、含窒素溶剤の中でもは、保湿性能も有するため、重合体粒子、及びその他の成分が、インク組成物の保管時に水分が蒸発することにより、凝集し固化するのを防止することができる。これにより、インクジェット記録時にヘッドのノズル近傍における目詰まりを防止し、インク組成物の吐出安定性がより優れる傾向にある。
含窒素溶剤としては、特に限定されないが、ピロリドン系、イミダゾリジノン系、アミドエーテル系、ピリジン系、ピラジン系、ピリドン系が挙げられる。好ましくはピロリドン系であり、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンが挙げられる。含窒素溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
含窒素溶剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは7.5質量%以上である。た、含窒素溶剤の含有量の上限は特に制限されないが、好ましくは20質量%以下である。含窒素溶剤の含有量が、5.0質量%以上であることにより、凝集ムラがより改善する傾向にある。
〔水〕
本実施形態に係るインク組成物は、水を含む。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水を含むことで、有機溶剤を少なくすることができ、その結果、環境に配慮したインク組成物とすることができる。
水の含有量は、インク組成物の総量に対し、50〜80質量%が好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、吐出安定性及び密着性がより向上する傾向にある。
〔界面活性剤〕
本実施形態に係るインク組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。インク組成物がこれらの界面活性剤を含むことにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール465、サーフィノール61、サーフィノールDF110D(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S-144、S-145(旭硝子株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製)が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤のインク組成物中の含有量は、インク組成物の総量に対し、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
〔樹脂エマルション〕
本実施形態に係るインク組成物は、樹脂エマルションをさらに含んでもよい。当該樹脂エマルションを用いることにより、インクの乾燥に伴い、樹脂エマルション中の樹脂同士と、樹脂及び顔料と、がそれぞれ互いに融着して顔料を被記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の耐擦性及び密着性を一層良好にすることができる。樹脂エマルションの中でもウレタン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルションが好ましい。
ウレタン樹脂エマルションとしては、分子中にウレタン結合を有する樹脂エマルションであれば特に限定されず、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、及び主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂が挙げられる。上記ウレタン樹脂エマルションの市販品としては、特に限定されないが、例えば、サンキュアー2710(日本ルーブリゾール社(The Lubrizol Corporation)製商品名)、パーマリンUA−150(三洋化成工業社(Sanyo Chemical Industries, Ltd.)製商品名)、スーパーフレックス 460,470,610,700(以上、第一工業製薬社(Dai-ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.)製商品名)、NeoRez R−9660,R−9637,R−940(以上、楠本化成社(Kusumoto Chemicals,Ltd.)製商品名)、アデカボンタイター HUX−380,290K(以上、アデカ(Adeka)社製商品名)、タケラック(登録商標) W−605,W−635,WS−6021(以上、三井化学社(Mitsui Chemicals, Inc.)商品名)、ポリエーテル(大成ファインケミカル社(TAISEI FINECHEMICAL CO,.LTD)商品名、Tg=20℃)が挙げられる。
アクリル樹脂エマルションとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体を重合させたものや、(メタ)アクリル系単量体と他の単量体とを共重合させたものが挙げられる。アクリル樹脂エマルションの市販品としては、特に限定されないが、例えば、モビニール966A(日本合成化学社(Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名)、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント社(Nippon Paint Co., Ltd)製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン社(Zeon Corporation)製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学社(SAIDEN CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.)製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル62J、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASF社製)、NKバインダー R−5HN(新中村化学社製商品名、固形分44%)が挙げられる。
このなかでも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
樹脂エマルションは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂エマルションの樹脂の含有量は、インク組成物の総量に対して、3〜10質量%が好ましく、3〜5質量%がより好ましい。上記範囲内であることにより、記録物の密着性及び耐擦性がより優れたものとなる傾向にあり、また、インクの長期保存安定性に優れ、特にインクを低粘度化することができる傾向にある。
〔pH調整剤〕
本実施形態に係るインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでもよい。pH調整剤を用いることにより、pHを塩基性にすることができ、インクジェットヘッドへのアタック性を軽減することができる。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、トリエタノールアミン、が挙げられる。
〔その他の成分〕
インク組成物は、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインク組成物の劣化を防止するため、溶剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
〔表面張力〕
25℃におけるインク組成物の表面張力は、20〜50mN/mが好ましく、20〜40mN/mがより好ましい。表面張力が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、表面張力は、表面張力計を用いて測定することができる。
〔粘度〕
20℃におけるインク組成物の粘度は、好ましくは4.5mPa・s以上であり、より好ましくは5.0mPa・s以上である。20℃におけるインク組成物の粘度の上限は、特に限定されないが、20mPa・s以下が好ましい。粘度が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、粘度は、粘度計を用いて測定することができる。
また、50℃におけるインク組成物の粘度は、好ましくは2〜4mPa・sであり、より好ましくは2.1〜3.5mPa・sである。粘度が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、粘度は、粘度計を用いて測定することができる。
20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率は、好ましくは40〜80%であり、より好ましくは60〜80%である。記録時にはヘッド内も直接的又は間接的に加温されるためインク組成物の粘度は低くなる傾向にあるところ、粘度低下率が上記範囲内にあることにより、吐出安定性がさらに良好となる傾向にある。また、本実施形態のインク組成物は重合体粒子を用いることにより粘度上昇を抑制できるため、沸点の高い極性溶媒を多量に用いることによる乾燥性の低下を改善することができる。なお、20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率は、下記式(A)によって表されるものであり、インクの添加材を組み合わせることによって制御することができる。
(20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率)=((20℃における粘度)−(50℃における粘度))/(20℃における粘度)×100 …(A)
〔被記録媒体〕
被記録媒体としては、吸収性被記録媒体、低吸収性被記録媒体、又は非吸収性被記録媒体が挙げられる。被記録媒体は、インク組成物を付着させる前に予め又は付着中に加熱されているものを用いることが好ましい。本実施形態のインク組成物を用いて、加熱された、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体上に付着させて記録を行うことにより、インク組成物が被記録媒体に付着した際にシェル部が溶融し、耐擦性に優れる皮膜を形成することができる。また、被記録媒体が加熱されていればよいため、インク組成物の粘度を低下させるために必要以上にノズルを加熱しなくてもよい。これにより、インク組成物中の樹脂などの成分がノズル内壁に溶着することを抑制でき、目詰まり回復性に優れる。加熱の際の被記録媒体の表面温度は30〜70℃が好ましく、より好ましくは40〜60℃である。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インク組成物を受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙のような記録本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウムのような金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳のような合金のプレート等が挙げられる。
ここで、「低吸収性被記録媒体」及び「非吸収性被記録媒体」は、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
また、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によっても分類することができる。例えば、被記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって被記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、被記録媒体の性質として、「非吸収性被記録媒体」の非吸収性は上記の低下率が1%未満のことを指し、「低吸収性被記録媒体」の低吸収性は上記の低下率が1%以上5%未満のことを指す。また、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA−1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
〔記録方法〕
本実施形態の記録方法は、被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する第1加熱工程と、ノズルから、上記インク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させる付着工程と、前記インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する第2加熱工程と、を有する。
図1に、本実施形態の記録方法に用いる記録装置の一例の概略断面図を示す。図1に示すように、記録装置1は、記録用ヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、硬化ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、通気ファン8と、を備えている。
〔第1加熱工程〕
第1加熱工程は、インク組成物が付着する前の被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する工程である。加熱工程は、IRヒーター3、プラテンヒーター4、又はプレヒーター7により行なうことができる。被記録媒体を加熱することにより、被記録媒体に付着した重合体粒子のシェル部が溶融しやすく、耐擦性に優れる記録物を得ることができる。被記録媒体の表面温度は40〜60℃が好ましい。
〔付着工程〕
付着工程は、ノズルから、上記インク組成物を吐出して、加熱された被記録媒体上に付着させる工程である。インク組成物の吐出手段(記録用ヘッド2)としては、従来公知の方式を使用でき、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出するもの、即ち電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するものが挙げられる。
第1加熱工程及び付着工程を有することにより、記録用ヘッド2内においてインク組成物中の重合体粒子のシェル部は溶融せず、記録用ヘッド2内に重合体粒子が溶着することを抑制することができ、これによって、吐出安定性が向上する。
付着工程におけるインク組成物の最大打ち込み量は、好ましくは16.8mg/inch以下であり、より好ましくは14.5mg/inch以下である。最大打ち込み量の下限は特に限定されないが、12.1mg/inch以上が好ましい。最大打ち込み量が上記範囲内であることにより、耐擦性と発色がより向上する傾向にある。
〔第2加熱工程〕
第2加熱工程は、インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する工程である。第2加熱工程における加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、硬化ヒーター5、温風機構(不図示)、及び恒温槽(不図示)などの手段が挙げられる。加熱手段が、画像が記録された被記録媒体を加熱することにより、インク組成物中に含まれる水分などがより速やかに蒸発飛散(乾燥)して、インク組成物中に含まれる重合体粒子によって被膜が形成される。このようにして、被記録媒体上においてインク組成物に由来する被膜が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。記録媒体の表面温度は40℃〜120℃が好ましく、より好ましくは55℃〜100℃であり、60〜95℃がさらに好ましい。
なお、上記の「被記録媒体を加熱」するとは、被記録媒体の温度を所望の温度まで上昇させることを言い、被記録媒体を直接加熱することに限られない。
記録装置1は、冷却ファン6を有していてもよい。乾燥後、冷却ファン6により被記録媒体上のインク組成物を冷却することにより、被記録媒体上に密着性よく被膜を形成することができる傾向にある。
さらに、記録装置1は、被記録媒体に付着したインク組成物がより効率的に乾燥するように通気ファン8を備えていてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インク組成物用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔顔料〕
シアン顔料(C.Iピグメントブルー15:3、平均粒径70μm)
〔溶媒〕
1,3−ブタンジオール(沸点:207℃)
1,2−ブタンジオール(沸点:193℃)
プロピレングリコール(沸点:189℃)
ジプロピレングリコール(沸点:230℃)
2−ピロリドン(沸点:245℃)
1,2−ヘキサンジオール(沸点:223℃)
〔界面活性剤〕
BYK348(BASF社製、シリコーン系界面活性剤)
サーフィノールDF110D(日進化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
〔樹脂エマルション〕
ジョンクリル7100(BASF社製、スチレン/アクリル系水性樹脂エマルション、固形分48%、Tg-10℃、酸価51)
ジョンクリル7610(BASF社製、樹脂エマルション、固形分52%、Tg96℃、酸価50)
〔pH調整剤〕
トリエタノールアミン
〔キレート剤〕
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
また、重合体粒子として、下記のようにして製造した重合体粒子1〜3を用いた。重合体粒子1〜3におけるモノマー単位の種類及び含有量、並びに重合体粒子1〜3の各種物性は表1に示すとおりである。
〔製造例1:重合体粒子1〕
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、メチルメタクリレート56部、ラウリルメタクリレート7部、アクリル酸7部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にしてシェル部を作製し、その後重合開始剤の過流酸カリを0.2部、イオン交換水7部にスチレン12部、ブチルアクリレート18部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させてコア部を作製した。その後、1.0μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製して重合体粒子1とした。
〔製造例2:重合体粒子2〕
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、メチルメタクリレート30部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタリレート15部、アクリル酸10部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にしてシェル部を作製し、その後重合開始剤の過流酸カリを0.2部、イオン交換水7部にスチレン12部、ブチルアクリレート18部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させてコア部を作製した。その後、1.0μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製して重合体粒子2とした。
〔製造例3:重合体粒子3〕
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、メチルメタクリレート29.8部、ラウリルアクリレート17.5部、ブチルメタクリレート15.7部、アクリル酸7部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にしてシェル部を作製し、その後重合開始剤の過流酸カリを0.2部、イオン交換水7部にスチレン12部、ブチルアクリレート18部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させてコア部を作製した。その後、1.0μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水分散液を作製して重合体粒子3とした。
〔重合体粒子の平均粒子径の測定方法〕
重合体粒子の平均粒子径は、「マイクロトラックUPA」(日機装株式会社製)を用い、測定条件は、屈折率を1.5、溶媒(水)の屈折率を1.333、測定粒子形状を球形、とすることにより測定した。
〔重合体粒子のコア部及びシェル部の酸価の測定方法〕
重合体粒子のコア部の酸価は、コア部の樹脂成分についてJIS−K2501に基づき、電位差測定法を用いることにより測定した。また、重合体粒子のシェル部の酸価は、シェル部の樹脂成分についてJIS−K2501に基づき、電位差測定法を用いることにより測定した。
Figure 2015101690
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸ブチル
LMA:メタクリル酸ラウリル
AA :アクリル酸
BA :ブチルアクリレート
St :スチレン
[インク組成物の調製]
各材料を下記の表2に示す組成(質量%)になるよう混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。
〔顔料の平均粒径の測定方法〕
顔料の平均粒径は、平均粒径は「マイクロトラックUPA」(日機装株式会社製)を用い、測定条件は、屈折率を2.0、溶媒(水)の屈折率を1.333、測定粒子形状を球形、とした。
〔インク組成物の表面張力の測定〕
インク組成物の表面張力は、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。
〔インク組成物の粘度の測定〕
インク組成物の20℃及び50℃における粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、JIS Z8809に準拠して測定により求めた。また、得られた粘度から上記式(A)より、粘度低下率を求めた。
[実施例1〜7、比較例1〜3]
〔耐擦性〕
インクジェットプリンター(商品名PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)に上記インク組成物を充填して、被記録媒体PETメディアのコールドラミネートフィルムPG−50L(商品名、ラミーコーポレーション社製)にベタパターンを記録した。具体的には、被記録媒体の表面温度を50℃に加熱し、ノズルから、上記インク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させ、インク組成物が付着した被記録媒体を、50℃で10分間加熱して、ベタパターンを得た。記録条件としては、打ち込み量を14.8mg/inchとし、解像度を横720dpi、縦720dpiとし、dutyを100%とした。
得られた記録物のベタパターン面を学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g下、綿布にて20回擦ったときのベタパターン面の剥がれ状態及び綿布へのインク移り状態を確認することにより、耐擦性を評価した。耐擦性の評価基準は、以下のとおりである。なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。
A:20回擦ってもインク剥がれ及び綿布へのインク移りが認められなかった。
B:11〜15回擦った後インク剥がれ又は綿布へのインク移りが認められた。
C: 6〜10回擦った後インク剥がれ又は綿布へのインク移りが認められた。
D: 1〜 5回擦った後インク剥がれ又は綿布へのインク移りが認められた。
〔凝集ムラ〕
凝集ムラの評価には、上記耐擦性試験で用いたものと同様の記録物を用いた。記録物のベタパターン内のインクの凝集ムラを目視で観察し、下記評価基準で評価した。なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。白はいずれも全面に記録した。
A: ベタパターン内に凝集ムラが認められなかった。
B: ベタパターン内に凝集ムラが若干認められた。
C: ベタパターン内に凝集ムラが全体的にかなり認められた。
〔目詰まり回復性〕
上記で得られた各インク組成物をインクカートリッジに充填し、該インクカートリッジをインクジェットプリンター(商品名PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)に装着した。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンターのヘッドにインク組成物を充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。その後、インクカートリッジを外し、ホームポジション外の位置(ヘッドがプリンターに備えたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態)で40℃の環境下に1週間放置した。放置後、再び全ノズルよりインク組成物が吐出し、初期と同等の印字が可能となるまでに必要とされたクリーニングの回数を計測し、結果を以下の基準に基づいて判定した。
A:3回以下のクリーニングで初期と同等の印字が得られた。
B:4回以上9回以下のクリーニングで初期と同等の印字が得られた。
C:10回以上のクリーニングによっても初期と同等の印字が不可能だった。
Figure 2015101690
1…記録装置、2…記録用ヘッド、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…硬化ヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…通気ファン。

Claims (13)

  1. 顔料と、重合体粒子と、沸点150℃以上の極性溶媒と、を含み、
    前記重合体粒子は、コア部と、該コア部の少なくとも一部を被覆するシェル部と、を有し、前記コア部を構成する樹脂のガラス転移点が、前記シェル部を構成する樹脂のガラス転移点よりも30℃を超えて低いものであり、
    前記シェル部を構成する前記樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を有する樹脂を含み、
    前記重合体粒子の含有量(固形分換算)が、インク組成物の総量に対して、1.0〜10質量%であり、
    前記極性溶媒の含有量が、インク組成物の総量に対して、10〜40質量%である、
    インク組成物。
  2. 前記極性溶媒が、沸点190℃以上220℃以下の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以上含む、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記極性溶媒が、沸点260℃以上の極性溶媒を、インク組成物の総量に対して、5.0質量%以下含む、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記極性溶媒が、含窒素溶剤を、インク組成物の総量に対して、5質量%以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 20℃における粘度が、4.5mPa・s以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 20℃における粘度から50℃における粘度への粘度低下率が、40〜80%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 前記コア部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、30℃以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 前記シェル部を構成する前記樹脂のガラス転移点が、40℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 前記重合体粒子は、当該重合体粒子の総量に対して、特定の重合体粒子を0.50〜20質量%含み、
    前記特定の重合体粒子は、前記コア部の質量(c)と前記シェル部の質量(s)との質量比(c/s)が0.40〜4.0であり、かつ前記重合体粒子の平均粒径φ(単位:nm)と前記質量比(c/s)との比((c/s)/φ)が、0.010以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物。
  10. 前記コア部を構成する前記樹脂の酸価が30mgKOH/g以下であり、前記シェル部を構成する前記樹脂の酸価が20〜400mgKOH/gである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク組成物。
  11. 前記コア部を構成する前記樹脂が、疎水性モノマー単位を有する樹脂を含み、
    前記シェル部を構成する前記樹脂が、メチル(メタ)アクリレートモノマー単位又はエチル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する樹脂を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク組成物。
  12. 被記録媒体の表面温度を30〜70℃に加熱する第1加熱工程と、
    ノズルから、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出して、加熱された前記被記録媒体上に付着させる付着工程と、
    前記インク組成物が付着した前記被記録媒体を、40〜120℃に加熱する第2加熱工程と、
    を有する、記録方法。
  13. 前記付着工程において、インク組成物の最大打ち込み量が16.8mg/inch以下となるように前記インク組成物を吐出する、請求項12に記載の記録方法。
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