JP6299339B2 - インクジェット用インク組成物、記録方法、及び記録装置 - Google Patents

インクジェット用インク組成物、記録方法、及び記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用インク組成物、記録方法、及び記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、吐出安定性等について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、吐出安定性に優れ、普通紙に対するフェザリング耐性が向上し、かつインク組成物を吸収しにくい記録媒体でも、高い耐擦過性を備えた画像、印刷物を得ることができるインクジェットインク組成物が記載されている。具体的には、少なくとも顔料、水、水溶性溶媒及び高分子微粒子を含有するインクジェットインクにおいて、該高分子微粒子がコアポリマーとシェルポリマーとからなるシェル構造を有し、該シェルポリマーが所定の単量体を含有するインクジェットインクが開示されている。
特開2008−260300号公報
特許文献1において用いる高分子微粒子は、印刷プロセス中におけるインク吐出時の記録用ヘッド温度、被記録媒体の温度、乾燥温度を考慮して設計されたものではない。しかしながら、加熱により被記録媒体上に被膜を形成するポリマーを含むインク組成物においては、記録用ヘッド内でポリマーが付着することがある。この付着を防止して吐出安定性を向上させるために、高分子微粒子を構成するポリマーのガラス転移点(以下、「Tg」ともいう。)を向上させることが考えられる。しかし、ポリマーのTgを向上させると、加熱により被記録媒体上に被膜を形成する際にポリマーの軟化が起こりにくい。そのため、ポリマーと被記録媒体の密着性に劣るという問題がある。一方で、比較的低温の加熱であっても密着性が向上するようにポリマーのTgを低下させると、加温されている記録用ヘッド内において、ポリマーの付着が起こりやすく、かえって吐出安定性に劣るという問題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、吐出安定性及び密着性に優れるインクジェット用インク組成物、該インクジェット用インク組成物を用いた記録方法、及び記録装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定のポリマー粒子を用いることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
インクジェット用インク組成物を、ヘッド温度C(単位:℃)の記録用ヘッドから被記録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:℃)で乾燥する第2工程と、を有する記録方法に用いるインクジェット用インク組成物であって、水と、ポリマー粒子と、を含み、前記ポリマー粒子は、ガラス転移温度A(単位:℃)のポリマーを含むコアポリマーと、該コアポリマーの少なくとも一部を被覆する、ガラス転移温度B(単位:℃)のポリマーを含むシェルポリマーと、を有し、前記ガラス転移温度A及び前記ガラス転移温度Bが、下記式(1)を満たし、かつ、前記ガラス転移温度A及び前記ガラス転移温度Bが、前記ヘッド温度C及び前記乾燥温度Dとの関係において下記式(2)を満たす、インクジェット用インク組成物。
10<B−A ・・・(1)
C<B<D ・・・(2)
〔2〕
前記シェルポリマーが、(メタ)アクリレート単位とカルボン酸モノマー単位とを有するポリマーを含む、前項〔1〕に記載のインクジェット用インク組成物。
〔3〕
前記ガラス転移温度Aが、−10℃以上60℃以下である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット用インク組成物。
〔4〕
前記第1工程において、前記被記録媒体を前記記録用ヘッド側から加熱する前記記録方法に用いる、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
〔5〕
フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれか1つと、グリコールエーテル及び炭素数3〜8のアルキルジオールの少なくともいずれか1つと、をさらに含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
〔6〕
前記乾燥温度Dが、45〜130℃である前記記録方法に用いる、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
〔7〕
前記第1工程において、前記被記録媒体の表面温度E(単位:℃)が、30〜70℃である前記記録方法に用いる、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
〔8〕
前記ガラス転移温度B及び前記表面温度Eが、下記式(3)を満たす、前項〔7〕に記載のインクジェット用インク組成物。
E<B ・・・(3)
〔9〕
インクジェット用インク組成物を、ヘッド温度C(単位:℃)の記録用ヘッドから被記録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:℃)で乾燥する第2工程と、を有し、前記インクジェット用インク組成物は、水と、ポリマー粒子と、を含み、前記ポリマー粒子は、ガラス転移温度A(単位:℃)のポリマーを含むコアポリマーと、該コアポリマーの表面に形成された、ガラス転移温度B(単位:℃)のポリマーを含むシェルポリマーと、を有し、前記ガラス転移温度A、前記ガラス転移温度B、前記ヘッド温度C、及び前記乾燥温度Dが、下記式(1)及び(2)を満たす、記録方法。
10<B−A ・・・(1)
C<B<D ・・・(2)
〔10〕
前記ガラス転移温度B及び前記表面温度Eが、下記式(3)を満たす、前項〔9〕に記載の記録方法。
E<B ・・・(3)
〔11〕
前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物を、被記録媒体に対し吐出する記録用ヘッドと、該記録用ヘッドをヘッド温度C(単位:℃)に加熱するヘッド加熱手段と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:℃)で乾燥する乾燥手段と、を有する記録装置。
本実施形態に係る記録装置の構成を示す概略断面図である。 本実施形態に係る記録方法のフロー図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。また、「コアポリマー」と「シェルポリマー」を有するは、厳密にその構造、状態となっている必要はない。コアポリマーを構成するポリマーとシェルポリマーを構成するポリマーとが分離して存在し、コアポリマーを構成するポリマーを、シェルポリマーを構成するポリマーが一定程度覆うように存在していれば良い。
〔インクジェット用インク組成物〕
本実施形態に係るインクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、インクジェット用インク組成物を、ヘッド温度C(単位:℃)の記録用ヘッドから被記録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:℃)で乾燥する第2工程と、を有する記録方法に用いるインクジェット用インク組成物であって、水と、ポリマー粒子と、を含み、前記ポリマー粒子は、ガラス転移温度A(単位:℃)のポリマーを含むコアポリマーと、該コアポリマーの少なくとも一部を被覆する、ガラス転移温度B(単位:℃)のポリマーを含むシェルポリマーと、を有し、前記ガラス転移温度A及び前記ガラス転移温度Bが、下記式(1)を満たし、かつ、前記ガラス転移温度(A)℃及び前記ガラス転移温度Bが、前記ヘッド温度C及び前記乾燥温度Dとの関係において下記式(2)を満たす、インクジェット用インク組成物。
10<B−A ・・・(1)
C<B<D ・・・(2)
本実施形態に係るインク組成物は、該インク組成物を、ヘッド温度Cの記録用ヘッドから被記録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、インク組成物が付着した被記録媒体を、乾燥温度Dで乾燥する第2工程と、を有する記録方法に用いるインク組成物である。このような記録方法において、ポリマー粒子のコアポリマーに含まれるポリマーのガラス転移温度Aとシェルポリマーに含まれるポリマーのガラス転移温度Bが、ヘッド温度C及び乾燥温度Dとの関係において上記式(1)及び(2)を満たすことにより、優れた吐出安定性と密着性を両方達成することができる。
すなわち、ガラス転移温度Bがガラス転移温度Aよりも10℃を超えて高いことにより、インク組成物が記録用ヘッド内で溶着しにくいため、吐出安定性が向上する。また、ガラス転移温度Bがガラス転移温度Aよりも10℃を超えて高いことにより、被記録媒体に記録された画像の耐擦性が向上する。さらに、ガラス転移温度Aがガラス転移温度Bよりも10℃を超えて低いことにより、吐出後の加熱によってシェルポリマーが軟化した後、よりTgの低いコアポリマーが流出するため、被記録媒体に対するインク組成物の密着性がより向上する。
また、ガラス転移温度Bをヘッド温度Cよりも高くすることにより、シェルポリマーがインク吐出時における温度により軟化しにくくなり、コアシェル型の構造を崩壊させずにポリマー粒子を記録ヘッドから吐出することが可能となる。かかる観点から、ガラス転移温度Bとヘッド温度Cとの差(B−C)は、5℃以上であると好ましく、10℃以上であるとより好ましい。一方、B−Cは、60℃以下であると好ましく、50℃以下であるとより好ましい。すなわち、B−Cは、5〜60℃であると好ましく、10〜50℃であるとより好ましい。
さらに、乾燥温度Dをガラス転移温度Bよりも高くすることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の乾燥時において、シェルポリマーが容易に軟化する。これに伴い、上記式(1)を満たすことと相俟って、コアポリマーが流出して、シェルポリマー及びコアポリマーに含まれるポリマーが被記録媒体に対して密着する。これにより、被記録媒体上により強固に密着した被膜が形成される。なお、乾燥温度Dとは、第2工程における被記録媒体の表面温度をいう。乾燥温度Dは、放射温度計により測定することができる。かかる観点から、乾燥温度Dとガラス転移温度Bとの差(D−B)は、5℃以上であると好ましく、10℃以上であるとより好ましい。一方、D−Bは、50℃以下であると好ましく、40℃以下であるとより好ましい。すなわち、D−Bは、5〜50℃であると好ましく、10〜40℃であるとより好ましい。
また、本実施形態に係るインク組成物は、第1工程において、被記録媒体を記録用ヘッド側から加熱する記録方法に用いるものであることが好ましい。被記録媒体を記録用ヘッド側から加熱すると、被記録媒体を加熱する際に、記録用ヘッドが加温され、ヘッド内でポリマーの軟化が起こりやすくなるという問題があるが、本実施形態に係るインク組成物であれば、シェルポリマーTgが記録用ヘッド温度よりも高いため、ポリマーの溶着を抑制できる傾向にある。また、被記録媒体を記録用ヘッド側から加熱することにより、被記録媒体が厚い場合であっても、インク組成物付着直後の被記録媒体を効率よく加熱できる。
さらに、本実施形態に係るインク組成物は、第2工程における乾燥温度Dが、45〜130℃である記録方法に用いるものであることが好ましい。乾燥温度Dは、55〜120℃がより好ましく、70〜110℃がさらに好ましい。また、表面温度Eよりも高い温度にするとさらに好ましい。乾燥温度Dが上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物において、ポリマー粒子のシェルポリマーが十分軟化し被記録媒体に対するインク組成物の密着性がより向上すると共に乾燥性が良好で高速印刷が可能となる傾向にある。また、また、乾燥温度Dが上記範囲内であり、かつ上記式(1)及び(2)が満たされることにより、インク組成物の吐出時にはシェルポリマーが軟化することを抑制できるため、吐出安定性を維持することができる。乾燥温度Dが、45〜130℃であると、記録媒体の熱変形を防止しつつ密着性の高い画像の高速印刷が可能となる。
また、本実施形態に係るインク組成物は、第1工程における、被記録媒体の表面温度E(単位:℃)が、30〜70℃である記録方法に用いるものであることが好ましい。被記録媒体の表面温度Eは、30〜70℃が好ましく、30〜60℃がより好ましく、40〜60℃がさらに好ましい。被記録媒体の表面温度Eが上記範囲内であり、かつ上記式(1)及び(2)が満たされることにより、インクの被記録媒体への着弾直後にシェルポリマーが軟化することを抑制しつつ、インク組成物に含まれる水分などの揮発成分を除去できるため、吐出安定性を維持しつつ耐ブリード性及び高速印刷性がより向上する傾向にある。被記録媒体の表面温度Eが30〜60℃であると、インクジェットヘッド内のインクの乾燥が進んでしまうという問題があるが、本実施形態に係るインク組成物であれば、親水性が高いコアシェルポリマーを用いることで上記不具合を抑制できる傾向にある。なお、表面温度Eは、インクジェットヘッドのノズル群が形成された吐出面(ノズルプレート)の温度を測定すればよい。
ガラス転移温度Bは、被記録媒体の表面温度Eとの関係において下記式(3)を満たすことが好ましい。ガラス転移温度Bが下記式(3)を満たし、かつ上記式(1)及び(2)が満たされることにより、着弾直後にシェルポリマーが軟化によるコアポリマーの流出を抑制しつつ、インク組成物に含まれる水分などの揮発成分を除去できるため、吐出安定性を維持しつつ耐ブリード性及び高速印刷性がより向上する傾向にある。また、シェルポリマーを被膜化させるタイミングを遅らせ、水分などの揮発成分の除去を先に進めることで、被膜化後に液成分が画像内に多く在留してしまうことを防止できる。これによって、密着性、耐擦性が落ちることを防止出来る。上記と同様の観点から、ガラス転移温度Bと被記録媒体の表面温度Eとの差(B−E)は、10℃以上であると好ましく、15℃以上であるとより好ましい。一方、B−Eは、50℃以下であると好ましく、40℃以下であるとより好ましい。すなわち、B−Eは、10〜50℃であると好ましく、15〜40℃であるとより好ましい。
E<B ・・・(3)
〔水〕
本実施形態に係るインク組成物は、水を含む。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水を含むことで、有機溶剤を少なくすることができ、その結果、環境に配慮したインク組成物とすることができる。
水の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、45〜75質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましく、55〜65質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、吐出安定性及び密着性がより向上する傾向にある。
〔ポリマー粒子〕
本実施形態に係るインク組成物は、ポリマー粒子を含む。ポリマー粒子は、ガラス転移温度Aのポリマーを含むコアポリマーと、該コアポリマーの表面に形成された、ガラス転移温度Bのポリマーを含むシェルポリマーと、を有するコアシェル型ポリマー粒子である。また、ガラス転移温度Aとガラス転移温度Bとの差は、上記式(1)で示されるように、10℃以上である。このようなポリマー粒子を用いることにより、吐出前においては、印刷用ノズル内でシェルポリマーが軟化することを抑制できるため吐出安定性に優れる。また、吐出後においては、加熱によってシェルポリマーが軟化した後、コアポリマーが流出して、被記録媒体に対するインク組成物の密着性、被膜の耐擦性がより向上する傾向にある。
(コアポリマー)
コアポリマーに含まれるポリマーのTg(A)は、−10℃以上60℃以下であることが好ましい。コアポリマーのガラス転移温度が60℃以下であることにより、シェルポリマーが軟化した後、容易にコアポリマーが流出できるため、密着性に優れる。また、コアポリマーのガラス転移温度が−10℃以上であることにより、インク組成物の保存安定性に優れる。コアポリマーのガラス転移温度は好ましくは25℃以上60℃未満であり、30℃以上55℃以下がさらに好ましい。
コアポリマー及び後述するシェルポリマーに含まれるポリマーは単独重合体であっても共重合体であってもよい。コアポリマー及び後述するシェルポリマーに含まれるポリマーが単独重合体である場合、単独重合体のTgは各種文献(例えばポリマーハンドブック等)に記載されているものを使用することができる。また、コアポリマー及び後述するシェルポリマーに含まれるポリマーが共重合体である場合、共重合体のTgは、各種単独重合体のTgn(単位:K)と、単量体の質量分率(Wn)とから下記FOX式によって算出することができる。
Figure 0006299339
ここで、数1中に示される各記号は以下を意味する。
n ;各単量体の質量分率
Tgn;各単量体のホモポリマーのTg(単位:K)
Tg ;共重合体のTg(単位:K)
単独重合体としては、特に限定されないが、例えば、2−エチルヘキシルアクリレートホモポリマー(Tg:−70℃)、2−エチルヘキシルメタクリレートホモポリマー(Tg:−10℃)、2−ヒドロキシエチルアクリレートホモポリマー(Tg:−15℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレートホモポリマー(Tg:55℃)、2−ヒドロキシブチルアクリレートホモポリマー(Tg:−7℃)、2−ヒドロキシブチルメタクリレートホモポリマー(Tg:26℃)、2−メトキシエチルアクリレートホモポリマー(Tg:−50℃)、4−ヒドロキシブチルアクリレートホモポリマー(Tg:−80℃)、iso−オクチルメタクリレートホモポリマー(Tg:−45℃)、iso−ブチルアクリレートホモポリマー(Tg:43℃)、iso−ブチルメタクリレートホモポリマー(Tg:53℃)、iso−プロピルアクリレートホモポリマー(Tg:−3℃)、iso−プロピルメタクリレートホモポリマー(Tg:81℃)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートホモポリマー(Tg:20℃)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートホモポリマー(Tg:18℃)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートホモポリマー(Tg:18℃)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドホモポリマー(Tg:134℃)、n−ブチルアクリレートホモポリマー(Tg:−54℃)、tert−ブチルアクリレートホモポリマー(Tg:43℃)、tert−ブチルメタクリレートホモポリマー(Tg:20℃)、アクリルアミドホモポリマー(Tg:179℃)、アクリル酸ホモポリマー(Tg:106℃)、アクリロニトリルホモポリマー(Tg:125℃)、イソアミルアクリレートホモポリマー(Tg:−45℃)、イソブチルアクリレートホモポリマー(Tg:−26℃)、イソブチルメタアクリレートホモポリマー(Tg:48℃)、イソボルニルアクリレートホモポリマー(Tg:94℃)、イソボルニルメタクリレートホモポリマー(Tg:155℃〜180℃)、イタコン酸ホモポリマー(Tg:100℃)、エチルアクリレートホモポリマー(Tg:−22℃〜−24℃)、エチルカルビトールアクリレートホモポリマー(Tg:−67℃)、エチルメタクリレートホモポリマー(Tg:65℃)、エトキシエチルアクリレートホモポリマー(Tg:−50℃)、エトキシエチルメタクリレートホモポリマー(Tg:15℃)、エトキシジエチレングリコールアクリレートホモポリマー(Tg:−70℃)、オクチルアクリレートホモポリマー(Tg:−65℃)iso−オクチルアクリレートホモポリマー(Tg:−70℃)、シクロヘキシルアクリレートホモポリマー(Tg:15℃〜19℃)、シクロヘキシルメタクリレートホモポリマー(Tg:66℃〜83℃)、ジシクロペンタニルアクリレートホモポリマー(Tg:120℃)、ジシクロペンタニルメタクリレートホモポリマー(Tg:175℃)、スチレンホモポリマー(Tg:100℃)、ステアリルアクリレートホモポリマー(Tg:35℃)、ターシャリーブチルアクリレートホモポリマー(Tg:41℃)、ターシャリーブチルメタクリレートホモポリマー(Tg:107℃)、テトラデシルアクリレートホモポリマー(Tg:24℃)、テトラデシルメタクリレートホモポリマー(Tg:−72℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレートホモポリマー(Tg:−12℃)、テトラヒドロフルフリルメタクリレートホモポリマー(Tg:60℃)、ノニルアクリレートホモポリマー(Tg:58℃)、フェノキシエチルアクリレートホモポリマー(Tg:−22℃)、フェノキシエチルメタクリレートホモポリマー(Tg:54℃)、ブチルアクリレートホモポリマー(Tg:−56℃)、ブチルメタクリレートホモポリマー(Tg:20℃)、プロピルアクリレートホモポリマー(Tg:3℃)、プロピルメタクリレートホモポリマー(Tg:35℃)、ヘキサデシルアクリレートホモポリマー(Tg:35℃)、ヘキサデシルメタクリレートホモポリマー(Tg:15℃)、ヘキシルアクリレートホモポリマー(Tg:−57℃)、ヘキシルメタクリレートホモポリマー(Tg:−5℃、ベンジルアクリレートホモポリマー(Tg:6℃)、ベンジルメタクリレートホモポリマー(Tg:54℃)、ペンチルアクリレートホモポリマー(Tg:22℃)、ペンチルメタクリレートホモポリマー(Tg:−5℃)、マレイン酸ホモポリマー(Tg:130℃)、メタクリル酸ホモポリマー(Tg:185℃)カルボキシエチルアクリレートホモポリマー(Tg:37℃)、メチルアクリレートホモポリマー(Tg:8℃)、メチルメタクリレートホモポリマー(Tg:105℃)、メトキシエチルアクリレートホモポリマー(Tg:−50℃)、メトキシメタクリレートホモポリマー(Tg:−16℃)、ラウリルアクリレートホモポリマー(Tg:−3℃〜15℃)、ラウリルメタクリレートホモポリマー(Tg:−65℃)、酢酸ビニルホモポリマー(Tg:32℃)が挙げられる。なお、Tgはホモポリマーの製造方法や立体規則性によって異なる場合があるため、上記に限定されない。
コアポリマーに含まれるポリマーのTg(A)は、ポリマーが単独重合体である場合にはその単独重合体を選択することにより制御できる。また、ポリマーが共重合体である場合には上記単独重合体のTgと上記FOX式とを考慮することにより制御することができる。
また、コアポリマーに含まれるポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー単位、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、(メタ)アクリルアミドモノマー単位又はそのN−置換誘導体、芳香族ビニル化合物モノマー単位、及びカルボン酸モノマー単位の少なくともいずれかを有する重合体が好ましい。このなかでも、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレート、及び芳香族ビニル化合物を有する重合体が好ましい。
親水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「親水性」とは、水100mL(20℃)に対する溶解度が0.3g以上であることをいう。
炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数が3以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「疎水性」とは、水100mL(20℃)に対する溶解度が0.3g未満であることをいう。
環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドモノマー又はそのN−置換誘導体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル(メタ)アミド等の(メタ)アクリルアミド又はそのN−置換誘導体が挙げられる。
芳香族ビニル化合物モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。このなかでも、(メタ)アクリル酸が好ましい。ここで、「カルボン酸モノマー単位」とは、カルボキシル基と重合性不飽和基を有する重合性モノマー単位をいう。
上記モノマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
コアポリマーは、疎水性の高いポリマーとなるように設計されていると好ましい。このため、コアポリマーは酸価を有しないことが好ましい。また、コアポリマーは、構成単位として少なくとも芳香族ビニル化合物モノマーを含むことが好ましい。これにより、コアポリマーは疎水性となり、疎水性の被膜を形成できる。この結果、記録画像の耐擦性の1つである、耐水摩擦性を向上することができる。
コアポリマーに含まれるポリマーを構成する全繰り返し単位のうち、疎水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。疎水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲であることにより、加熱処理等を行うことによって被記録媒体上に記録された画像の表面に疎水性被膜が形成されるので耐擦性がより向上する傾向にある。
コアポリマーに含まれるポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。コアポリマーに含まれるポリマーが2種以上である場合は、最も高いガラス転移温度を有するポリマーのガラス転移温度をガラス転移温度Aとする。
(シェルポリマー)
シェルポリマーに含まれるポリマーのTg(B)は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。また、シェルポリマーに含まれるポリマーのTg(B)は、120℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以下である。シェルポリマーに含まれるポリマーのTg(B)が120℃以下であることにより、被記録媒体上でシェルポリマーが軟化しやすいため、密着性により優れる傾向にある。また、インク組成物を吐出する際にインク組成物を予め加熱する場合に、シェルポリマーに含まれるポリマーのTg(B)が50℃以上であることにより、コアシェル型の構造を崩壊させずにポリマー粒子を記録ヘッドから吐出することが可能となり、印刷用ノズル内におけるポリマー粒子の溶着をより抑制できるため、吐出安定性により優れる傾向にある。
シェルポリマーに含まれるポリマーとしては、(メタ)アクリレートモノマー単位とカルボン酸モノマー単位とを有するポリマーが好ましい。このようなポリマーを用いることにより、シェルポリマーの表面にカルボキシル基を存在させることができる。これにより、ポリマー粒子の分散安定性がより向上するとともに、インク組成物の粘度が比較的低くなるため、吐出安定性がより向上する傾向にある。上記(メタ)アクリレートモノマー単位としては、特に限定されないが、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー単位(例えば炭素数が1又は2のアルキル基を有するモノマー単位)、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位が挙げられる。(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位の具体例は、コアポリマーに含まれるポリマーを構成するモノマー単位について上述したものと同様のものが挙げられ、モノマーは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シェルポリマーに含まれるポリマーを構成する全繰り返し単位のうち、(メタ)アクリル酸エステル及び不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上がさらに好ましい。
シェルポリマーに含まれるポリマーを構成する全繰り返し単位のうち、親水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上がさらに好ましい。親水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲であることにより、シェルポリマーの水に対する親和性が向上するので、インク組成物中におけるポリマー粒子の分散安定性が向上する傾向にある。また、ポリマー粒子がノズルに付着することをより効果的に抑制することができるので、記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性がより良好となる傾向にある。
また、シェルポリマーに含まれるポリマーを構成する全繰り返し単位のうち、疎水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。疎水性モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲であることにより、記録ヘッド内及び記録メディア上で水の乾燥が進み有機溶剤の占有率が高くなった場合でも、ポリマー粒子の分散が安定し、ポリマー粒子同士の凝集を抑制が出来る傾向にある。疎水性モノマーとしては芳香族ビニルモノマーが好ましい。
シェルポリマーに含まれるポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。シェルポリマーに含まれるポリマーが2種以上である場合は、最も低いガラス転移温度を有するポリマーのガラス転移温度をガラス転移温度Bとする。
ポリマー粒子の平均粒子径は、好ましくは、10nm以上100nm以下であり、より好ましくは10nm以上80nm以下である。このようにポリマー粒子の平均粒子径が比較的小さいことにより、記録画像の光沢を出しやすいこと、成膜性に優れるという特徴がある。また、ポリマー粒子の平均粒子径が比較的小さいことにより、凝集しても大きな塊ができにくいことから、ノズルの目詰まりを抑制することができる。さらに、ポリマー粒子の平均粒子径が小さいことにより、インク組成物の粘度を比較的高めることができ、記録ヘッド内においてインク組成物の温度が上昇しても、インク吐出性が不安定になる程に粘度が低下してしまうことを防止することができる。平均粒子径は、特に明示がない限り体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
上記ポリマー粒子のコアポリマーの質量(c)とシェルポリマーの質量(s)との比率(c/s)は、0.4〜4.0であることが好ましく、0.5〜2.5であることがより好ましく、0.6〜2.0であることが特に好ましい。また、上記ポリマー粒子が(c/s)/φ≧0.01の関係を満たす場合、ポリマー粒子の大きさにかかわらずコアポリマーの質量とシェルポリマーの質量とのバランスが良好となるため、インク組成物の吐出安定性と被記録媒体に記録された画像の耐擦性とが共に向上する傾向にある。
また、上記ポリマー粒子のコアポリマーやシェルポリマーを構成する重合体は、それぞれ非架橋であることが特に好ましい。非架橋であることにより吐出安定性がより向上する傾向にある。重合体の架橋度は、テトラヒドロフラン(THF)を用いて重合体のゲル分率(以下、「THFゲル分率」ともいう。)を測定することにより定量化できる。ポリマー粒子のTHFゲル分率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。ポリマー粒子のTHFゲル分率が上記範囲内であることにより、被記録媒体に記録された画像の耐擦性がより向上する傾向にある。
THFゲル分率は、例えば以下のようにして測定することができる。コアシェル型ポリマー粒子約10gをテフロン(登録商標)シャーレへ量り取り、120℃で1時間乾燥して成膜する。得られた膜をTHFに20℃で24時間浸漬したものを100メッシュのフィルターでろ過し、さらに20℃で24時間再乾燥させて、次式からTHFゲル分率(%)を求めることができる。
THFゲル分率(%)=(再乾燥後の質量/元の質量)×100
ポリマー粒子のインク組成物中の含有量(固形分換算)は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、0.6質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.7質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。ポリマー粒子の含有量が0.5質量%以上であることにより、耐擦性、密着性により優れる傾向にある。また、ポリマー粒子の含有量が20質量%以下であることにより、吐出安定性により優れる傾向にある。
ここで、本明細書におけるコアシェル型ポリマー粒子は、コアポリマーを形成するポリマーがコアポリマーに局在化し、シェルポリマーを形成するポリマーがシェルポリマーに局在化していればよく、コアポリマーとシェルポリマーとの境界が厳密に明確でないポリマー粒子であってもよい。
(ポリマー粒子の合成方法)
ポリマー粒子の合成方法については特に限定されないが、例えば公知の乳化重合法又はこれを適宜に組み合わせることによって容易に合成することができる。具体的には、一括混合重合法、モノマー滴下法、プレエマルション法、シード乳化重合法、多段階乳化重合法(二段乳化重合法等)、転相乳化重合法等が挙げられる。また、ポリマー粒子の平均粒子径を微小に出来るという観点から、乳化剤フリー重合法が好ましい。
コアポリマーを先に合成する重合方法について説明する。まず、水系媒体を用いた通常の乳化重合法によりコア粒子を合成する。乳化重合の条件は、公知の方法に準ずればよいが、例えば使用するモノマー全量を100部とした場合に、通常100〜500部の水(水系媒体)を使用して重合を行うことができる。重合温度は、−10〜100℃が好ましく、−5〜100℃がより好ましく、0〜90℃がさらに好ましい。また、重合時間は、0.1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。乳化重合の方式としては、モノマーを一括して仕込むバッチ方式、モノマーを分割もしくは連続して供給する方式、モノマーのプレエマルジョンを分割もしくは連続して添加する方式、又はこれらの方式を段階的に組み合わせた方式等を採用することができる。また、通常の乳化重合に用いられる重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤等を、必要に応じて1種又は2種以上使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過酸化基を有するラジカル乳化性化合物を含有するラジカル乳化剤、亜硫酸水素ナトリウム、及び硫酸第一鉄等の還元剤を組み合わせたレドックス系を用いることができる。重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
分子量調節剤としては、特に限定されないが、例えばn−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルネピン、γ−テルネピン、ジペンテン、1,1−ジフェニルエチレンが挙げられる。分子量調節剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル、ポリエチレングリコールのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;親水基と疎水基とラジカル反応性基とを含有する反応性乳化剤;ビニル系重合体、ポリエステル系重合体等の重合体に親水基を導入した高分子乳化剤等を挙げることができる。乳化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、親水基とは、水に対する親和性が高い原子団のことであり、例えば、ニトロ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。また、疎水基とは、親水基よりも水に対する親和性が低い原子団のことであり、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、脂環基、芳香環基、アルキルシリル基、パーフルオロアルキル基等が挙げられる。
次いで、得られたコア粒子(コアポリマー)の存在下において、シェルポリマー用のモノマーを重合させる。具体的には、得られたコア粒子をシード粒子として使用した状態でシェルポリマー用のモノマーをシード重合させることによって、コアシェル型ポリマー粒子を形成することができる。例えば、コア粒子が分散した水系媒体中に、シェルポリマー用のモノマーもしくはそのプレエマルジョンを一括、分割、又は連続して滴下すればよい。このとき使用するコア粒子の量は、シェルポリマー用のモノマー100質量部に対して、25〜250質量部とすることが好ましい。重合に際して重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤等を用いる場合には、コア粒子の製造時と同様のものを使用することができる。また、重合時間等の条件についても、コア粒子の製造時と同様にすればよい。
シェルポリマーを先に合成する重合方法について説明する。まず、シェルポリマーを合成する。具体的には、反応性乳化剤を用いて上述の親水性モノマーを含むプレエマルション溶液を調製し、該プレエマルション溶液を重合開始剤とともに水系媒体中に滴下、重合反応することでシェルポリマーを合成する。
次に、得られたシェルポリマーを重合場として、コアポリマーを重合し、本実施形態に係るポリマー粒子を合成する。具体的には、シェルポリマーを含有する水系分散媒体中に上述の疎水性モノマーを含むモノマー混合物を滴下し、コアポリマーを重合し、ポリマー粒子とする。なお、シェルポリマーを重合場とする場合、モノマー混合物には乳化剤を含有させる必要がないため、モノマー油滴として滴下することができる。
かかる多段階乳化重合法によれば、反応性乳化剤を用いてシェルポリマーを合成し、乳化剤フリーでコアポリマーを合成することができるため、インク組成物中の乳化剤の含有量を容易に0.01質量%以下とすることができる。インク組成物において、含有される乳化剤の含有量が0.01質量%以下であると、インク界面(大気−インクにおける気液界面、インク収容容器等のインク接触部材−インクにおける固液界面)におけるインク成分の凝集が抑制され、保存安定性に優れるため好ましい。また、インク組成物において、含有される乳化剤の含有量が0.01質量%以下であると、起泡性、消泡性に優れるため、インク充填可能な注入口を有するインク収容容器を好ましく用いることができる。ここで、「インク充填可能な注入口を有するインク収容容器」とは、着脱又は開閉可能な注入口を有するインク収容容器のことであり、ユーザーが容易にインク組成物を注入できるようになっている一方で、注入時に泡立ちやすい。なお、注入口の開口面積が20mm以上であるとインク組成物の充填が容易になるため好ましい。このようなインク収容容器は、例えば、特開2005−219483号公報や特開2012−51309号公報に開示されている。
また、大量の乳化剤を用いてポリマー粒子を合成する場合であっても、ポリマー粒子の合成後に過剰な乳化剤を除去することによって、インク組成物に含まれる乳化剤の含有量を0.01質量%以下としてもよい。
最後に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基で中和してpHを調整して、必要に応じてろ過することにより、コアシェル型ポリマー粒子分散液が得られる。
〔色材〕
インク組成物は、色材を含むことが好ましい。色材としては、特に限定されないが、例えば、顔料又は染料が挙げられる。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンが挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料等が挙げられる。
顔料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
顔料の含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
〔界面活性剤〕
インク組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。インク組成物がこれらの界面活性剤を含むことにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン(登録商標)104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール(登録商標)465やサーフィノール61(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S-144、S-145(旭硝子株式会社製);FC-170C、FC-430、フロラード-FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製)が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤のインク組成物中の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
〔浸透剤〕
インク組成物は、浸透剤をさらに含むことが好ましい。インク組成物が被記録媒体に素早く浸透(又は、濡れ広がらせる)することによって、画像の滲み、ムラが少ない記録物を得ることができる。
このような浸透剤としては、特に限定されないが、例えば、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル)及び炭素数3〜8のアルキルジオールが好ましく挙げられる。グリコールエーテルとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
また、上記炭素数3〜8のアルキルジオールとしては、特に限定されないが、例えば、1,2−ペンタンジオール及び1,2−ヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。
浸透剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
浸透剤のインク組成物中の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。含有量が0.1質量%以上であることにより、インク組成物の被記録媒体への浸透度を増大させることができる。一方、含有量が20質量%以下であることにより、画像に滲み、ムラが発生することを防止でき、またインク組成物の粘度の向上をより抑制できる傾向にある。
〔環状アミド化合物〕
インク組成物は、環状アミド化合物をさらに含むことが好ましい。インク組成物が環状アミド化合物を含むことにより、ポリマー粒子の安定性がより向上し、インク組成物中の異物の析出を効果的に防止できるため、保存安定性、特に高温下での保存安定性により優れる傾向にある。
また、環状アミド化合物は、保湿性能も有するため、ポリマー粒子、及びその他の成分が、インク組成物の保管時に水分が蒸発することにより、凝集し固化するのを防止することができる。これにより、インクジェット記録時にヘッドのノズル近傍における目詰まりを防止し、インク組成物の吐出安定性がより優れる傾向にある。
環状アミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−エチル−2−ピロリドンが挙げられる。この中でも、2−ピロリドンが好ましい。環状アミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状アミド化合物のインク組成物中の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。当該含有量が上記範囲内であることにより、インク組成物の長期保存安定性及び吐出安定性、並びにインク組成物の優れた密着性に起因する記録物の耐擦性が、いずれもより優れる傾向にある。
〔その他の成分〕
インク組成物は、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインク組成物の劣化を防止するため、溶剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
〔表面張力〕
25℃におけるインク組成物の表面張力は、20〜50mPa・sが好ましく、20〜40mPa・sがより好ましい。表面張力が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、表面張力は、ウィルヘルミー法の表面張力計を用いて測定することができる。
〔粘度〕
25℃におけるインク組成物の粘度は、20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましい。粘度が上記範囲内にあることにより、吐出安定性が良好となる傾向にある。なお、粘度は、粘度計を用いて測定することができる。
〔被記録媒体〕
被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、吸収性被記録媒体、低吸収性被記録媒体、又は非吸収性被記録媒体が挙げられる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙、インク組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。インクジェット用紙としては、特に限定されないが、具体的には、シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えた用紙が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インク組成物を受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
ここで、「低吸収性被記録媒体」及び「非吸収性被記録媒体」は、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
また、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によっても分類することができる。例えば、被記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって被記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、被記録媒体の性質として、「非吸収性被記録媒体」の非吸収性は上記の低下率が1%未満のことを指し、「低吸収性被記録媒体」の低吸収性は上記の低下率が1%以上5%未満のことを指す。また、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA−1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
〔記録装置〕
本実施形態に係る記録装置は、上記インク組成物を、被記録媒体に対し吐出する記録用ヘッドと、該記録用ヘッドをヘッド温度Cに加熱するヘッド加熱手段と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度Dで乾燥する乾燥手段と、を有する。この記録装置は、上述のインクジェット用インク組成物を更に有していてもよい。
図1に、本実施形態に係る記録装置の概略断面図を示す。図1に示すように、記録装置1は、記録用ヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、硬化ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、通気ファン8と、を備えている。
記録用ヘッド2は被記録媒体に対しインク組成物を吐出するものである。記録用ヘッド2としては、従来公知の方式を使用でき、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出するもの、即ち電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドが挙げられる。
ヘッド加熱手段は、記録用ヘッド2をヘッド温度Cに加熱するものである。ヘッド加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、温風やIRヒーター3により記録用ヘッド2を直接加熱する手段や、プラテンヒーター4により加熱した被記録媒体を介して記録用ヘッド2を加熱する手段が挙げられる。記録用ヘッド2を加熱することにより記録用ヘッド2内のインク組成物は粘度が低下し、良好に吐出されることができる。また、ガラス転移温度B及びヘッド温度Cが上記式(2)を満たすため、記録用ヘッド2内においてポリマー粒子のシェルポリマーは軟化し難くなり、記録用ヘッド2内においてポリマー粒子が溶着することを抑制することができる。
なお、IRヒーター3を用いると、記録用ヘッド2側から被記録媒体を加熱することができる。これにより、記録用ヘッド2も同時に加熱されやすいが、プラテンヒーター4など被記録媒体の裏面から加熱される場合と比べて、被記録媒体の厚みの影響を受けずに昇温することができる。また、プラテンヒーター4を用いると、記録用ヘッド2側と反対側から被記録媒体を加熱することができる。これにより、記録用ヘッド2が比較的加熱されにくくなる。
記録装置1は、被記録媒体に対しインク組成物が吐出される際に、被記録媒体の表面温度Eが30〜60℃となるように加熱する被記録媒体加熱手段をさらに備えることが好ましい。被記録媒体加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、IRヒーター3、プラテンヒーター4が挙げられる。被記録媒体加熱手段を有することにより、被記録媒体に付着したインク組成物をより速やかに乾燥し、ブリードを一層抑制することができる。
乾燥手段は、インクジェット用インク組成物が付着した被記録媒体を、乾燥温度Dに加熱して乾燥するものである。乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、硬化ヒーター5、温風機構(不図示)、及び恒温槽(不図示)などの手段が挙げられる。乾燥手段が、画像が記録された被記録媒体を加熱することにより、インク組成物中に含まれる水分などがより速やかに蒸発飛散して、インク組成物中に含まれるポリマー粒子によって被膜が形成される。このようにして、被記録媒体上においてインク乾燥物が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。
なお、上記の「被記録媒体を加熱」するとは、被記録媒体の温度を所望の温度まで上昇させることを言い、被記録媒体を直接加熱することに限られない。
記録装置1は、冷却ファン6を有していてもよい。乾燥後、冷却ファン6により被記録媒体上のインク組成物を冷却することにより、被記録媒体上に密着性よく被膜を形成することができる傾向にある。
また、記録装置1は、被記録媒体に対しインク組成物が吐出される前に、被記録媒体を予め加熱する(プレ加熱する)プレヒーター7を備えていてもよい。インク組成物の吐出前に被記録媒体がプレ加熱されることにより、被記録媒体、特に非吸収性及び低吸収性の被記録媒体上に滲みが少ない高画質な画像を形成することができる傾向にある。プレ加熱温度は、80〜120℃が好ましい。
さらに、記録装置1は、被記録媒体に付着したインク組成物がより効率的に乾燥するように通気ファン8を備えていてもよい。
〔記録方法〕
本実施形態に係る記録方法は、インク組成物を、ヘッド温度Cの記録用ヘッドから被記録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、インク組成物が付着した被記録媒体を、乾燥温度Dで乾燥する第2工程と、を有し、インク組成物は、水と、ポリマー粒子と、を含み、ポリマー粒子は、ガラス転移温度Aのポリマーを含むコアポリマーと、該コアポリマーの表面に形成された、ガラス転移温度Bのポリマーを含むシェルポリマーと、を有し、ガラス転移温度A、ガラス転移温度B、ヘッド温度C、及び乾燥温度Dが、上記式(1)及び(2)を満たすものである。
以下、上述の本実施形態の記録装置1を用いた場合の記録方法について説明する。
〔第1工程〕
図2に、本実施形態に係る記録方法のフロー図を示す。図2に示すように、本実施形態に係る記録方法は、第1工程及び第2工程を有する。このうち第1工程は、上述したインク組成物を、ヘッド温度Cの記録用ヘッド2から被記録媒体に対し吐出して、付着させる工程である。これにより記録用ヘッド2内のインク組成物は粘度が低下し、良好に吐出することができる。また、ガラス転移温度B及びヘッド温度Cが上記式(2)を満たすため、記録用ヘッド2内においてインク組成物中のポリマー粒子のシェルポリマーは軟化せず、記録用ヘッド2内にポリマー粒子が溶着することを抑制することができ、これによって、吐出安定性が向上する。ヘッド温度Cは、ガラス転移温度Bよりも低く設定し、ガラス転移温度Bとヘッド温度Cとの差(B−C)は、5℃以上であると好ましく、10℃以上であるとより好ましい。一方、B−Cは、60℃以下であると好ましく、50℃以下であるとより好ましい。すなわち、B−Cは、5〜60℃であると好ましく、10〜50℃であるとより好ましい。
なお、インク組成物は上記と同様のものを用いることができる。
第1工程において、被記録媒体を記録用ヘッド2側から加熱することが好ましい。被記録媒体が厚い場合には、IRヒーター3などを用いて被記録媒体を記録用ヘッド2側から加熱することにより、プラテンヒーター4などを用いて被記録媒体のインク付着面の反対側から加熱する場合と比較して、インク組成物をより速やかに乾燥しやすい。
第1工程における、被記録媒体の表面温度Eは、30〜60℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。被記録媒体の表面温度Eが上記範囲内であることにより、インクの増粘を抑え、吐出安定性により優れる傾向にある。被記録媒体の表面温度Eは、IRヒーター3及びプラテンヒーター4の少なくともいずれかを用いて制御することができる。
被記録媒体の表面温度Eは、ガラス転移温度Bよりも低く、ガラス転移温度Bと被記録媒体の表面温度Eとの差(B−E)は、10℃以上であると好ましく、15℃以上であるとより好ましい。一方、B−Eは、50℃以下であると好ましく、40℃以下であるとより好ましい。すなわち、B−Eは、10〜50℃であると好ましく、15〜40℃であるとより好ましい。これにより、被記録媒体に付着したインク組成物中のポリマー粒子のシェルポリマーを軟化させずに、被記録媒体上のインク組成物の揮発分のみをより選択的に揮発することができる。
〔第2工程〕
第2工程は、インク組成物が付着した被記録媒体を、乾燥温度Dで乾燥する工程である。乾燥温度Dは、ガラス転移温度Bよりも高く、乾燥温度Dとガラス転移温度Bとの差(D−B)は、5℃以上であると好ましく、10℃以上であるとより好ましい。一方、D−Bは、50℃以下であると好ましく、40℃以下であるとより好ましい。すなわち、D−Bは、5〜50℃であると好ましく、10〜40℃であるとより好ましい。乾燥温度Dがガラス転移温度Bよりも高いことにより、上記式(1)を満たすことと相俟って、被記録媒体に付着したインク組成物中のポリマー粒子のシェルポリマーが軟化すると共に、コアポリマーが流出して、これらが被記録媒体上に密着する。
第2工程の後、冷却ファン6により被記録媒体上のインク組成物を冷却することにより、被記録媒体上に密着性よく被膜を形成することができる傾向にある。
第2工程における、乾燥温度Dは、45〜130℃である記録方法に用いるものであることが好ましい。乾燥温度Dは、55〜120℃がより好ましく、70〜110℃がさらに好ましい。乾燥温度Dが上記範囲内であることにより、基材の変形を抑えつつ、乾燥速度が速い傾向にある。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インク組成物用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
C.I.ピグメントブルー15:3
〔浸透剤〕
1,2−ヘキサンジオール
〔保湿剤〕
1,2−プロパンジオール
〔環状アミド化合物〕
2−ピロリドン
〔界面活性剤〕
BYK348(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン社製)
〔ポリマー粒子〕
ポリマー粒子1(製造例1により製造した。)
ポリマー粒子2(製造例1により製造した。)
ポリマー粒子3(製造例1により製造した。)
ポリマー粒子4(製造例1により製造した。)
ポリマー粒子5(製造例2により製造した。)
ポリマー粒子6(製造例1により製造した。)
ポリマー粒子7(製造例1により製造した。)
(製造例1:ポリマー粒子1〜4、6、7)
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過硫酸アンモニウムを0.2部添加しておき、メチルメタクリレート42.5、ブチルメタクリレート22.5部、ラウリルメタクリレート19.2部、およびアクリル酸7.7部を入れたモノマー溶液を、反応容器に滴下して反応させてシェルポリマーを重合し作製した。その後、過硫酸カリウム0.2部、スチレン9.2部およびn−ブチルアクリレート13.8部混合液を滴下して70℃で攪拌しながら重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5に調整して0.3μmのフィルターでろ過することによりコアシェル型ポリマー粒子分散液(ポリマー粒子1)を作製した。
表2、表3に示すようにシェル及びコアを構成する成分の割合を変えた以外は、ポリマー粒子1と同様の方法にて、ポリマー粒子1〜4、6、7を作製した。
〔製造例2:ポリマー粒子5〕
滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、イオン交換水100部と、重合開始剤の過硫酸カリウムを0.2部とを添加しておき、イオン交換水40部、ラウリル硫酸カリウム0.2部、メチルメタクリレート104部、ラウリルメタクリレート13部、アクリル酸13部、t−ドデシルメルカプタン0.5部を含む反応液を攪拌しながら窒素雰囲気70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5に調整して0.3μmのフィルターでろ過することによりポリマー粒子水分散液を作製した。
次に、FOX式を用いてコアポリマーを構成するポリマーおよびシェルポリマーを構成するポリマーのガラス転移温度Tg(℃)をそれぞれ求めた。ポリマー粒子5についても同様にガラス転移温度を算出した。
Figure 0006299339
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸ブチル
LMA:メタクリル酸ラウリル
AA :アクリル酸
BA :ブチルアクリレート
St :スチレン
[インク組成物の調製]
各材料を下記の表3、表4に示す組成(質量%)で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。なお、顔料及びポリマー粒子は固形分量を示す。また、以下に記載の評価試験の結果についても表3、表4に示す。
[評価]
〔吐出安定性〕
プリンターStylus Pro 9900(セイコーエプソン社製)の一部を改造し、インクジェット記録時に記録媒体を加熱調節できるプリンターとした。このプリンターを用いて、記録用ヘッドのノズルから各インク組成物を吐出し、被記録媒体である塩ビコート紙JT5829R(Mactac社製)上にベタパターンを形成し、硬化手段により乾燥し、冷却ファンにより乾燥後のインク組成物を冷却した。10時間の連続印刷後、吐出安定性を以下のように評価した。なお、2時間記録するごとにメンテナンスを実施した。表2に記録条件(モード)を示す。
なお、プリンターStylus Pro 9900(セイコーエプソン社製)は、被記録媒体加熱手段として、プラテンヒーター及びIRヒーターを有し、ヘッド加熱手段として、ノズルプレート、インク室、流路の加温調節可能なヒーターを有し、硬化手段として、プラテンヒーター及びIRヒーターを有し、プレヒーターとして、プラテンヒーターを有する。
(評価)
A:吐出中に少々不吐出や吐出乱れ等が生じるが、吐出中に復帰し、概ね問題がない状態
B:吐出中に少々不吐出や吐出乱れ等が生じ、吐出中に復帰しないが、メンテナンスによって正常な状態に復帰する状態
C:吐出中に少々不吐出や吐出乱れ等が生じ、吐出中に復帰せず、メンテナンスによっても吐出が復帰しない状態
〔密着性〕
プリンターStylus Pro 9900(セイコーエプソン社製)を用いて、記録用ヘッドのノズルから各インク組成物を吐出し、被記録媒体である塩ビコート紙JT5829R(Mactac社製)上にベタパターンを形成し、硬化ヒーターにより乾燥し、冷却ファンにより乾燥後のインク組成物を冷却した。得られた記録物に対してJIS規格クロスカット試験を行い、インク組成物の密着性を、以下のように評価した。
(評価)
A:25個の格子の全てで剥離が認められない状態
B:25個の格子のうち、3個未満で剥離が認められる状態
C:25個の格子のうち、3個以上で剥離が認められる状態
〔高速印刷性〕
プリンターStylus Pro 9900(セイコーエプソン社製)を用いて、記録用ヘッドのノズルから各インク組成物を吐出し、被記録媒体である塩ビコート紙JT5829R(Mactac社製)上にベタパターンを形成し、硬化ヒーターにより乾燥し、冷却ファンにより乾燥後のインク組成物を冷却した。記録解像度は720×720dpiとし、インク滴あたりの質量(インク質量)は21ngとした。また、塗布量は1平方インチあたり7.5〜11mgで変化させ、Duty70〜100%部分を有するベタパターンとした。得られた記録物のDuty70〜100%部分の凝集ムラを目視確認し、以下のように評価した。
(評価)
A:凝集ムラを目視で確認することができない状態
B:一部のインク質量で凝集ムラが目視で確認された状態
C:インク質量によらず、凝集ムラが確認された状態
Figure 0006299339
Figure 0006299339
Figure 0006299339
1…記録装置、2…記録用ヘッド、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…硬化ヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…通気ファン。

Claims (11)

  1. インクジェット用インク組成物を、ヘッド温度C(単位:℃)の記録用ヘッドから被記
    録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:℃)で乾燥する第2工程と、を有する記録
    方法に用いるインクジェット用インク組成物であって、
    水と、ポリマー粒子と、を含み、
    前記ポリマー粒子は、ガラス転移温度A(単位:℃)のポリマーを含むコアポリマーと
    、該コアポリマーの少なくとも一部を被覆する、ガラス転移温度B(単位:℃)のポリマ
    ーを含むシェルポリマーと、を有し、
    前記ガラス転移温度A及び前記ガラス転移温度Bが、下記式(1)を満たし、かつ、前記ガラス転移温度A及び前記ガラス転移温度Bが、前記ヘッド温度C及び前記乾燥温度Dとの関係において下記式(2)を満たす、インクジェット用インク組成物。
    10<B−A≦30 ・・・(1)
    C<B<D ・・・(2)
  2. 前記シェルポリマーが、(メタ)アクリレート単位とカルボン酸モノマー単位とを有するポリマーを含む、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  3. 前記ガラス転移温度Aが、−10℃以上60℃以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク組成物。
  4. 前記第1工程において、前記被記録媒体を前記記録用ヘッド側から加熱する前記記録方法に用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  5. フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれか1つと、
    グリコールエーテル及び炭素数3〜8のアルキルジオールの少なくともいずれか1つと、
    をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  6. 前記乾燥温度Dが、45〜130℃である前記記録方法に用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  7. 前記第1工程において、前記被記録媒体の表面温度E(単位:℃)が、30〜70℃で
    ある前記記録方法に用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  8. 前記ガラス転移温度B及び前記表面温度Eが、下記式(3)を満たす、請求項7に記載のインクジェット用インク組成物。
    E<B ・・・(3)
  9. インクジェット用インク組成物を、ヘッド温度C(単位:℃)の記録用ヘッドから被記
    録媒体に対し吐出して、付着させる第1工程と、前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:℃)で乾燥する第2工程と、を有し、
    前記インクジェット用インク組成物は、水と、ポリマー粒子と、を含み、
    前記ポリマー粒子は、ガラス転移温度A(単位:℃)のポリマーを含むコアポリマーと、該コアポリマーの表面に形成された、ガラス転移温度B(単位:℃)のポリマーを含むシェルポリマーと、を有し、
    前記ガラス転移温度A、前記ガラス転移温度B、前記ヘッド温度C、及び前記乾燥温度Dが、下記式(1)及び(2)を満たす、記録方法。
    10<B−A≦30 ・・・(1)
    C<B<D ・・・(2)
  10. 前記ガラス転移温度B及び前記表面温度Eが、下記式(3)を満たす、請求項9に記載の記録方法。
    E<B ・・・(3)
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物を、被記録媒体に対し吐出する記録用ヘッドと、
    該記録用ヘッドをヘッド温度C(単位:℃)に加熱するヘッド加熱手段と、
    前記インクジェット用インク組成物が付着した前記被記録媒体を、乾燥温度D(単位:
    ℃)で乾燥する乾燥手段と、
    を有する記録装置。
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