JP2013111821A - インクジェット記録方法、および記録物 - Google Patents

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崇 小柳
Tsuguhiro Kaneda
次弘 金田
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Abstract

【課題】耐久性に優れたデータを記録することができるとともに、種々のデータを容易に記録(形成)することができる記録方法、このような記録方法に適用される記録装置、耐久性に優れたデータが記録された記録物を提供すること。
【解決手段】本発明のインクジェット記録方法は、ガラス基板上に記録するための所定の画像を作成するデータ作成工程と、前記所定の画像を基に作成したデータを、表面にアミノ基を有するガラス基板表面に、インクジェット法により、スルホン酸基を有する樹脂と水と顔料と含むインクを吐出して記録するデータ記録工程と、を有することを特徴する。前記データ作成工程の前に、前記ガラス基板の表面の画像を取り込む画像取り込み工程と、前記ガラス基板の表面の画像をもとに前記所定の画像を作成する工程と、を有するのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、および記録物に関する。
従来より、標本等を表面に付着させたスライドガラス等を用いて顕微鏡等で検査・観察を行うことが行われている。このようなスライドガラスとして、従来は、分類の為に複数の色や文字を印刷したものを、大量の保管する必要があった。このような問題を解決するため、スライドガラス等のガラス基板に文字等のデータを記録する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の記録方法では、熱転写印刷によって文字等のデータを記録するといった接触型印刷方式の熱転写方式である為に、ガラス基板等に接触して圧力が加わること、高い熱が直接伝わることにより、ガラス基板やガラス基板上の標本等に破損や変質等の不具合の発生する場合があった。このことより、インクジェット法の様に非接触型の印刷方法(Non−Impact Printing)の方が適していると考えられていたが、従来のインクジェット装置を用いてガラス表面へ印刷したデータは耐久性が低く、すぐに印刷したデータが消えてしまう、取れて落ちてしまうといった問題がある。
特開2006−078296号公報
本発明の目的は、耐薬品性、耐光性、定着性、耐摩耗性等の耐久性能に優れたデータを記録することができるとともに、種々のデータを容易に記録(形成)することができる記録方法、このような記録方法に適用される記録装置、耐久性に優れたデータが記録された記録物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の記録方法は、ガラス基板上に記録するための所定の画像を作成するデータ作成工程と、
前記所定の画像を基に作成したデータを、表面にアミノ基を有するガラス基板表面に、インクジェット法により、スルホン酸基を有する樹脂と水と顔料とを含むインクを吐出して記録するデータ記録工程と、を有することを特徴する。
これにより、耐薬品性、耐光性、定着性、耐摩耗性等の耐久性能に優れたデータを記録することができるとともに、種々のデータを容易に記録(形成)することができる記録方法を提供することができる。
本発明の記録方法では、前記データ作成工程の前に、
前記ガラス基板の表面の画像を取り込む画像取り込み工程と、
前記ガラス基板の表面の画像をもとに前記所定の画像を作成する工程と、を有することが好ましい。
これにより、種々のデータをより容易に記録することができる。
本発明の記録方法では、前記データ記録工程の後に、前記ガラス基板を加熱する加熱工程を有することが好ましい。
これにより、より耐久性能に優れたデータを記録することができる。
本発明の記録方法では、前記加熱工程における加熱温度は、80℃以上130℃以下であることが好ましい。
これにより、ガラス基板上のサンプル等への影響を抑制しつつ、より耐久性能に優れたデータを記録することができる。
本発明の記録方法では、前記樹脂は、エチレン性不飽和モノマーを、硫酸エステル基と、疎水基と、ラジカル反応性基とからなる反応性乳化剤の存在下で、乳化重合して得られるものであることが好ましい。
これにより、ガラス基板表面に対するデータの密着性をより高いものとすることができ、データの耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の記録方法では、前記インクの粘度は、10mPa・s以下であることが好ましい。
このようなインクは吐出安定性に特に優れているため、視認性により優れるとともに、耐久性により優れたデータを記録することができる。
本発明の記録方法では、前記ガラス基板は、スライドガラス、カバーガラスであることが好ましい。
このようなガラス基板に対して、本発明の記録方法はより顕著な効果を発揮する。
本発明の記録装置では、本発明の記録方法に適用される記録装置であって、
前記ガラス基板の表面の画像を取り込む画像取り込み手段と、
取り込んだ前記画像を基に前記ガラス基板表面に記録すべきデータを作成するデータ作成手段と、
作成した前記データを、前記ガラス基板上にインクジェット法により前記インクを吐出して記録する記録手段と、
前記データを記録した前記ガラス基板を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする。
これにより、耐久性に優れたデータを記録することができるとともに、種々のデータを容易に記録(形成)することができる記録装置を提供することができる。
本発明の記録物は、本発明の記録方法によって記録されたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れたデータが記録された記録物を提供することができる。
記録装置の概略構成を示す斜視図である。 インクジェット装置の概略構成を示す斜視図である。 インクジェット装置の概略構成を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《記録方法》
本実施形態の記録方法は、表面にアミノ基を有するガラス基板Pの表面の画像を取り込む画像取り込み工程と、取り込んだ画像を基にガラス基板P表面に記録すべきデータを作成するデータ作成工程と、インクジェット法によりスルホン酸基を有する樹脂と水と顔料と含むインクをガラス基板P上に吐出して作成したデータを記録する記録工程と、データを記録したガラス基板Pを加熱してデータを乾燥させる加熱工程とを有している。
ところで、従来の記録方法では、熱転写によって文字等のデータを記録するといった接触型印刷方式の熱転写方式である為に、ガラス基板等に接触して圧力が加わること、高い熱が直接伝わることにより、ガラス基板やガラス基板上の標本等に破損や変質等の不具合の発生する場合があった。インクジェット法のような非接触で印刷する方法も考えられるが、ガラス表面へ印刷したデータは耐久性が低く、すぐに印刷したデータが落ちてしまうといった問題がある。
これに対して、本発明では、ガラス基板として、表面にアミノ基を有するものを用い、かつ、インクとしてスルホン酸基を有する樹脂と水と顔料と含むものを用いることにより、カチオン−アニオンの静電気的相互作用によって、記録されたデータをガラス基板表面に強固に密着させることができる。その結果、記録されたデータは、耐久性に優れたものとなる。また、インクジェット法により記録を行うので、容易にフルカラーのオンデマンド印刷が可能となり、1種類のガラス基板から様々な色、印刷パターンの印刷を行ったガラス基板を作製できるため、大量の種類のガラス基板を保管する必要が無くなる。また、インクジェット法により記録を行うので、ガラス基板に接触して圧力が加わることや高い熱が直接伝わることもなく、ガラス基板やガラス基板上の標本等に破損や変質等の不具合の発生するのを防止することができる。
また、本発明で使用するガラス基板としてスライドガラスやカバーガラスに適用した場合、上記効果に加えて、例えば、検体の近傍に観察を容易にする目的でクロスメッシュやスケールといった指標を印刷することも可能である。また、試料を封入しカバーガラスを乗せた後であっても、追記することが可能となる。
加えて、試料の観察後に検査結果を追記すること、記入ミスを修正することも容易に可能となり、大きく利便性が向上する。
以下、各工程について詳細に説明する。
<画像取り込み工程>
まず、ガラス基板P表面の画像を、スキャナ等を用いて、画像データとしてコンピュータのハードディスク等に取り込む(画像取り込み工程)。画像を取り込むことにより、ガラス基板Pのどの位置に検体等のサンプルが載っているのか、または、これから載せるのか等を判別することができ、検体名やクロスメッシュやスケールといった指標をどの位置に印刷すべきかを判定することができる。また、事前にガラス基板の大きさ等の基本情報を事前に入力しておけば、画像取り込み工程が無くとも、印刷パターンを手動で設定することにより、ガラス基板上へ任意の印刷を行うことが可能である。
本発明において、ガラス基板Pは、表面にアミノ基を有するものを用いる。これにより、後述するインクに含まれるスルホン酸基とアミノ基とが静電気的相互作用で結合し、印刷したデータを強固に表面に密着させることができる。
ガラス基板Pの表面にアミノ基を導入する方法としては、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いて表面処理をする方法等を挙げることができる。
また、アミノ基を表面に有するガラス基板Pとしては、市販されているものを用いてもよく、例えば、白縁磨フロストNo.1 MASコート、白縁磨フロストNo.2 MASコート、MAS−GP typeA、白縁磨フロストNo.1 APS、白縁磨フロストNo.2 APS等(以上、松浪硝子工業社製の商品名)を挙げることができる。
<データ作成工程>
次に、取り込んだ画像を基に、ガラス基板P表面に記録すべきデータを作成する(データ作成工程)。
データとしては、例えば、日付、検体名、検体毎に色分けする場合の色、クロスメッシュやスケールといった指標等を編集により取り込んだ画像に追加したもの、画像描画ソフト、レタッチソフト等で作製した画像、文書作成ソフト等で作成した文字情報等が挙げられる。
<データ記録工程>
次に、上記のようにして作成したデータを、後述するようなインクジェット装置を用いてガラス基板P上に記録する(データ記録工程)。
さらには、市販のインクジェットプリンターで使用されるCD/DVDトレーに類似した非可撓性記録材をインクジェットプリンター装置前方から略水平に給送し、同様に略水平に装置前方へ排紙する直線状の給排紙経路が形成される機構に載置される固定冶具を用いて、スライドガラスやカバーガラスといった生化学用のガラス板を当該固定冶具に固定し印刷を行うといった方法も可能である(図3参照)。
本発明において使用するインクは、スルホン酸基を有する樹脂と水と顔料と含むものである。これにより、ガラス基板Pの表面のアミノ基とスルホン酸基とが静電気的相互作用で結合し、記録したデータを強固に表面に密着させることができる。
以下、インクについて詳細に説明する。
[インク]
本発明において使用するインクは、スルホン酸基を有する樹脂と水と顔料と含んでいる。
以下、各成分について説明する。
(スルホン酸基を有する樹脂)
スルホン酸基を有する樹脂としては、いかなるものを用いてもよいが、エチレン性不飽和モノマーを、硫酸エステル基と、疎水基と、ラジカル反応性基とからなる反応性乳化剤の存在下で、乳化重合して得られるものである。このような樹脂を用いることにより、記録したデータのガラス基板P表面への密着性がさらに向上し、耐久性に特に優れたデータが記録することができる。
ここで、「反応性乳化剤」とは、乳化重合可能な程度の乳化能を有し、かつ、ラジカル重合可能である乳化剤を意味する。
反応性乳化剤を構成する疎水基としては、例えば、炭素数が5〜20の脂肪族アルキル基もしくは芳香族基等が好ましく、これらの中でも、8〜15の脂肪族アルキル基等がより好ましい。
また、反応性乳化剤を構成するラジカル反応性基としては、例えば、アクリル基、メタアクリル基、アリルオキシ基、メタアリルオキシ基、プロペニル基等のエチレン性不飽和基が挙げられ、これらの中で特に、アリルオキシ基、プロペニル基が好ましい。
本実施形態において使用される反応性乳化剤の1例として、下記のような化合物を好適に使用できる。
Figure 2013111821
インク中に含まれる反応性乳化剤の含有量は、後述する樹脂エマルジョンの粒子径にもよるが、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対し、0.5重量部以上5重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上3重量部以下であることがより好ましい。この範囲で反応性乳化剤が含まれることにより、乳化重合反応を安定的に行うことができ、樹脂の乳化も充分なものとなる。また、インクに添加した場合に泡立ちの問題を生じることもない。
また、インク中には、上記反応性乳化剤に加えて、陰イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、陽イオン性乳化剤、両性イオン乳化剤、または水溶性樹脂等の非反応性の乳化剤を添加してもよい。非反応性乳化剤を併用することにより、エマルジョンの保存安定性が改善される場合がある。
陰イオン性乳化剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩などが挙げられる。
また、非イオン性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、糖鎖を親水基とするアルキルエーテルなどを挙げられる。
陽イオン性乳化剤としては、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライドなどを挙げられる。
両性イオン乳化剤としては、ラウリルベタインなどを挙げられる。
水溶性樹脂としては、芳香族系単量体とカルボキシル基を含む単量体とを共重合させて得られるポリカルボン酸系重合体のアルカリ中和物や、ポリビニルアルコール、酵素分解澱粉などを挙げられる。
これら非反応性の乳化剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
インク中に含まれる非反応性乳化剤の含有量は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対し5重量部以下であることが好ましい。ただし、非反応性乳化剤として水溶性樹脂を使用する場合においては、非反応性乳化剤の含有量はエチレン性不飽和モノマー100重量部に対し50重量部以下であることが好ましい。
インクを構成する樹脂は、上記反応性乳化剤の存在下で、エチレン性不飽和モノマーを乳化重合して得られるものである。使用するエチレン性不飽和モノマーとしては特に制限はなく、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサンジエン、1,5−ヘキサジン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、13、−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルスチレンなどの芳香族モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヘチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イタコン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルアミド、酢酸ビニル、プロピロン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物、モノアルキレステル、モノアミド類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル、アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミノなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド、(メタ)アクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系化合物、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和脂肪族グリシジルエステル等を使用でき、これらのモノマーは、単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
上記のモノマーのなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレン、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル系モノマーである(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に使用でき、特に(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
また、上記エチレン性不飽和モノマーは、アルコキシシラン基、エポキシ基、水酸基、またはポリエチレンオキサイド基等の官能基を有しているものであってもよい。このような官能基を有することにより、樹脂のインク中の各成分との相溶性を向上させることができる。これらの中でも、特にアルコキシシラン基を有するモノマーが好ましく用いられる。
アルコキシシラン基含有モノマーとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。また、エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。ポリエチレンオキサイド基含有モノマーとしては、例えば、ブレンマーPE200(日本油脂社製)として入手可能はポリエチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
上記官能基含有モノマーは、モノマー中に10重量%以下、好ましくは5重量%以下含まれていることが好ましい。
上記で説明したエチレン性不飽和モノマーを、硫酸エステルと疎水基とラジカル反応性基とからなる反応性乳化剤の存在下で乳化重合することにより、樹脂が得られる。
乳化重合は、エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して、反応性乳化剤を0.5重量部以上5重量部以下、水を100重量部以上5,000重量部以下の割合で混合し、その混合物にエチレン性不飽和モノマーとラジカル重合開始剤とを添加して、重合温度5℃以上100℃以下で0.1時間以上10時間以下反応させることにより行う。重合温度は30℃以上90℃以下が好ましく、また重合時間は2時間以上5時間以下とするのが好ましい。
ラジカル重合剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と、含糖ピロリン酸処方/スルホキシレート処方の混合処方の還元剤とを組み合わせたものであるレドックス系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤、および、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物を好適に使用できる。これらの中でも有機過酸化物が好ましい。
また、乳化重合に際しては、必要に応じて、他の乳化剤や有機溶剤などを使用してよい。また、エチレン性不飽和モノマーの添加方法は、特に制限されるものではなく、1括添加法、連続添加法、または分割添加法等の任意の方法により行うことができる。
本実施形態では、反応性乳化剤に加え連鎖移動剤の存在下でエチレン性不飽和モノマーを乳化重合することが好ましい。連鎖移動剤の併用により、より一層、定着性、耐光性、および耐ガス性に優れる記録物(データ)が得られる。この理由は定かではないが、乳化重合時に樹脂の高分子末端に連鎖移動剤が結合することによるためと考えられる。ただし、あくまでも仮定であって、これに本発明が制限されるものではない。
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類、四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ペンタフェニルエタン、1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどの炭化水素類、および、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテンなどが挙げられる。これらの中でも、メルカプタン類、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、四塩化炭素、1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、2−エチルヘキシルチオグリコレートを使用することが好ましい。上記連鎖移動剤は、単独で使用しても、2種以上を併用して用いてもよい。
連鎖移動剤の添加量は、エチレン性不飽和モノマーと反応性乳化剤との合計100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは0.2重量部以上7重量部以下、より好ましくは0.2重量部以上5重量部以下、特に0.3重量部以上3重量部以下であることが好ましい。連鎖移動剤の添加量を上記範囲とすることにより、十分な耐久性を有する。
このようにして得られた樹脂は、重合溶液中でエマルジョンの形態で存在する。本発明のインク組成物においては、上記樹脂は、インク組成物中でエマルジョンの形態で存在することが好ましい(以下、樹脂エマルジョンともいう)。樹脂エマルジョンの平均粒子径は10nm以上100nm以下であることが好ましく、30nm以上60nm以下であるのがより好ましい。平均粒子径が100nmを超えると、貯蔵安定性が不十分となり、電着により薄く均一な被膜を形成することが困難となる。またインク組成物の各成分との相溶性が低下する。一方、平均粒子径が10nm未満では、重合安定性が著しく低下する。上記平均粒子径は、モノマーの種類や配合比さらには連鎖移動剤や乳化剤の添加量により調整することができる。なお、本発明において、平均粒子径とは、Photal PAR−III(大塚電子社製)により測定された値を意味する。
このようにして得られた樹脂の重量平均分子量は1万〜10万であることが好ましく、3万〜7万であることがより好ましい。このように比較的低分子量の樹脂とすることにより、インク乾燥時にエマルジョンが容易に融着できる。樹脂の重量平均分子量は、重合開始剤の種類および添加量、連鎖移動剤の使用等により、調整することができる。
インクは、上記で得られた樹脂(樹脂エマルジョン)と、水と、顔料とを含んでなるものである。使用できる顔料としては、その種類に特に制限はなく、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。なお、本実施形態のインクにおいては、必要に応じて顔料に加えて公知の染料を混合してもよい。
また、長期間の保存を考慮した、色材の耐久性という観点では、色材中に1種類以上の顔料を用いることが好ましい。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料等の有機顔料等を挙げることができる。上記顔料は単独でも、2種以上を併用して用いることもできる。
黒色顔料の具体例としては、カーボンブラックとして、三菱化学製のNo.2300、No.900、HCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRegal 400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch 800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2V、同FW18、同FW200、Color Black S150,同S160、同S170、Printex 35、 同U、同V、同140U、Specisal Black 6、同5、同4A、同4等を挙げることができ、これらは単独で使用しても、2種以上を併用して用いてもよい。
また白色顔料としては、たとえば、中空樹脂粒子および金属酸化物粒子から選択される少なくとも1種を挙げることができる。中空樹脂粒子は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、米国特許第4,880,465号や特許第3,562,754号などの明細書に記載されている中空樹脂粒子を好ましく用いることができる。金属酸化物粒子としては、二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、酸化亜鉛(亜鉛華)、炭酸カルシウム等が挙げられる。
イエローインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185等を挙げることができる。好ましくは、C.I.ピグメントイエロー74、109、110、128および138からなる群から選択される1種または2種以上の混合物である。
マゼンタインク組成物およびライトマゼンタインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド、5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、15:1、112、122、123、168、184、202、209およびC.I.ピグメントバイオレット19等を挙げることができる。好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202、209およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される1種または2種以上の混合物である。
シアンインク組成物およびライトシアンインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60およびC.I.バットブルー4、60等を挙げることができる。好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3、15:4および60からなる群から選択される1種または2種以上の混合物である。
インクに含まれる顔料は、その平均粒径が10nm以上200nm以下の範囲にあるものが好ましく、50nm以上150nm以下程度のものであるのがより好ましい。
また、本発明に利用される顔料の配合量は、0.1重量%以上20重量%以下であるのが好ましく、0.2重量%以上10重量%以下であるのがより好ましい。
また、顔料は、分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。
このような分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、高分子分散剤あるいは界面活性剤を使用することができる。
高分子分散剤の例としては、天然高分子を挙げることができ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類、サポニンなどのグルコシド類、アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体等を挙げることができる。
また、別の好ましい高分子分散剤の例としては合成高分子を挙げることができ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸樹脂;スチレン−マレイン酸;スチレン−無水マレイン酸;ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体;酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
上記の中でも、特に、カルボキシル基(塩の形態であることが好ましい)を有する高分子化合物(例えば、上記のスチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体)、疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。
上記の塩としては、ジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどの塩を挙げることができる。これらの(共)重合体は、重量平均分子量が3,000以上30,000以下であるのが好ましく、5,000以上15,000以下であるのがより好ましい。
また、分散剤として好ましい界面活性剤の例としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホコハク酸エステル塩、ナフテン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。上記した界面活性剤はインクに添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは、当業者であれば理解できる。
また、インクは、上記成分に加えて、浸透剤および/または界面活性剤を含んでなることが好ましい。
浸透剤としては、グリコールエーテル類や炭素数が5〜10の1,2−アルカンジオールを挙げることができる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物として用いることができる。
上記グリコールエーテル類の中でも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましく、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルがより好ましい。
上記浸透剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1重量%以上30重量%以下程度が好ましく、1重量%以上20重量%以下程度であるのがより好ましい。
炭素数が5以上10以下の1,2−アルカンジオールとしては、1,2―ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオールなどが挙げられる。1,2−アルカンジオールは、単独で使用しても、2種以上を併用して用いてもよい。エチレン性不飽和モノマーを、親水性基と疎水基とラジカル反応性基とからなる反応性乳化剤の存在下で、乳化重合して得られる樹脂を含んでなるインク組成物に、炭素数が5以上10以下の1,2−アルカンジオールを添加することにより、印刷物の光沢感を著しく向上させることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)を挙げることができる。これらは単独使用または2種以上を併用することができる。
これらの中でも、アセチレングリコール系化合物やポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物は、印刷物の光沢感向上という観点から好ましい。さらに、ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物は、上記の1,2−アルカンジオールと組み合わせて使用した場合に、印刷物の光沢感をさらに向上させることができる。
アセチレングリコール系化合物やポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物として、市販品を使用してもよい。アセチレングリコール系化合物としては、例えば、エアープロダクツ株式会社より市販されているサーフィノール61、104、420、440、465、SE、SEF、504等を好適に使用できる。また、ポリエーテル変性オルガノシロキサン系化合物としては、例えば、ビッグケミー・ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性剤BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK UV−3510、またはBYK−348等を好適に使用できる。
インクは、さらに湿潤剤を含んでなることが好ましい。湿潤剤としては、多価アルコール類が好適に使用できる。多価アルコール類の具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
湿潤剤の添加量は適宜決定されても良いが、0.1重量%以上30重量%以下であるのが好ましく、1重量%以上20重量%以下程度であるのがより好ましい。なお、上記した浸透溶剤の一部は、湿潤剤としても作用することは、当業者にとって明らかである。
インクは、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等を挙げることができる。
さらに、pH調整剤、溶解助剤または酸化防止剤の例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
また、インクは、酸化防止剤および紫外線吸収剤を含んでいてもよく、その例としては、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のTinuvin 328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor 252 153、Irganox 1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物等を挙げることができる。
インクは、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。好ましくは、まず顔料と高分子分散剤と水とを適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均1な顔料分散液を調製し、次いで、別途調製した樹脂(樹脂エマルジョン)、水、水溶性有機溶媒、糖、pH調製剤、防腐剤、防かび剤等を加えて十分溶解させてインク溶液を調製する。十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒径および異物を除去するためにろ過を行って目的のインクを得ることができる。
インクの粘度は、10mPa・s以下であるのが好ましい。このようなインクは吐出安定性に特に優れているため、視認性により優れるとともに、耐久性により優れたデータを記録することができる。
<加熱工程>
次に、データを記録したガラス基板Pを加熱して、データを乾燥させる(加熱工程)。このような工程を有することにより、データをガラス基板Pの表面により強固に密着させることができ、より耐久性に優れたデータを記録することができる。
加熱工程における加熱温度は、80℃以上130℃以下であるのが好ましい。これにより、ガラス基板P上のサンプル等への影響を抑制しつつ、より耐久性に優れたデータを記録することができる。
以上により、耐久性に優れたデータが記録された記録物を得ることができる。
《記録装置》
次に、本発明の記録方法に適用される記録装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る記録装置の概略構成を示す斜視図、図2は、本実施形態に係るインクジェット装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、記録装置100は、スキャナ400と、パーソナルコンピュータ700と、インクジェット装置1とを有している。
スキャナ400は、ガラス基板Pの表面の画像を取り込む手段(画像取り込み手段)として機能する装置である。
スキャナ400で取り込まれた画像は、パーソナルコンピュータ700に送られる。
パーソナルコンピュータ700は、送られてきた画像を基にガラス基板P表面に記録すべきデータを作成するデータ作成手段である。
パーソナルコンピュータ700は、図1に示すように、本体720と、モニタ704と、操作部708(キーボード708A、マウス708B)とで構成されている。
図2に示すように、インクジェット装置1(以下、プリンタ1という)は、フレーム2を有している。フレーム2には、プラテン3が設けられ、プラテン3上には、記録媒体送りモーター4の駆動により記録媒体(ガラス基板P)が給送されるようになっている。また、フレーム2には、プラテン3の長手方向と平行に、棒状のガイド部材5が設けられている。
プラテン3は、ガラス基板Pを加熱する加熱手段としての機能を備えている。
ガイド部材5には、キャリッジ6がガイド部材5の軸線方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ6は、フレーム2内に設けられたタイミングベルト7を介して、キャリッジモーター8に連結されている。そして、キャリッジ6は、キャリッジモーター8の駆動により、ガイド部材5に沿って往復移動されるようになっている。
キャリッジ6には、ヘッド9が設けられるとともに、ヘッド9に液体としてのインクを供給するためのインクカートリッジ10が着脱可能に配置されている。インクカートリッジ10内のインクは、ヘッド9に備えられた図示しない圧電素子の駆動により、インクカートリッジ10からヘッド9へと供給され、ヘッド9のノズル形成面に形成された複数のノズルから、プラテン3上に給送されたガラス基板Pに対して吐出されるようになっている。これにより記録物を製造することが可能となる。
吐出方法としては、サーマルジェット(バブルジェット(登録商標))方式でもよい。また、従来公知の方法はいずれも使用できる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、加熱工程を有するものとして説明したが、加熱工程は無くてもよい。
また、本発明の記録方法に適用される記録装置は、上述したような構成のものに限定されない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インク
<インク1>
下記の各成分を2リットルビ−カ−に仕込み、100rpmで10分間攪拌し、モノマー乳化液を得た。
エチレン性不飽和モノマー:メチルメタクリレート 348g(58重量部)
ブチルアクリレート 240g(40重量部)
アクリル酸 12g(2重量部)
反応性乳化剤:アクアロンKH−10の15%水溶液 30g
(第一工業製薬社製、硫酸エステル基およびポリオキシエチレン基を含有)
連鎖移動剤:2−エチルヘキシルチオグリコレート) 6g
水: 450g
次に、水:520gおよび上記と同様の反応性乳化剤15%水溶液:90gを、2Lセパラブルフラスコに投入し、180rpmで攪拌しながら60℃に昇温し、過硫酸アンモニウム:2gを仕込んで70℃へ昇温した。
この反応性乳化剤水溶液中に、重合温度75℃を維持したまま3時間かけて、上記で得られたモノマー乳化液を逐次添加して乳化重合を行った。その後、重合溶液を80℃に昇温して1時間熟成させた後、冷却した。次いで、重合溶液に10%アンモニア水溶液を添加して中和し、pHが7.3となるよう調整した。
これにより、樹脂エマルジョンを得た。樹脂エマルジョンの平均粒子径は50nm、重量平均分子量は45,000であった。
次に、顔料(カーボンブラック、三菱化学社製、商品名「No.33」)とスチレン−アクリル酸共重合体(分散樹脂)とを重量比2:1の割合で混合し、サンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後ガラスビーズを取り除き、得られた混合物:4.5重量部に対して、樹脂エマルジョン:0.6重量部、グリセリン:15重量部、1,2−ヘキサンジオール:15重量部、BYK UV−3510:0.1重量部、純水:64.8重量部を加え、常温で20分間攪拌した。10μmのメンブランフィルターでろ過し、インク1を得た。
<インク2>
顔料(カーボンブラック、三菱化学社製、商品名「No.33」)とスチレン−アクリル酸共重合体(分散樹脂)とを重量比4:3の割合で混合し、サンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後ガラスビーズを取り除き、得られた混合物:7重量部に対して、アンモニウム塩(分散剤、分子量10,000):3.0重量部、グリセリン:20重量部、サーフィノール465(ノニオン系界面活性剤、Air Product and Chemicals, Inc製):1.0重量部、2−ピロリドン:2重量部、トリエタノールアミン:1重量部、1,2−ヘキサンジオール:5重量部、HS−500(糖アルコール、林原生物化学研究所製):2重量部、純水:59重量部を加え、常温で20分間攪拌した。10μmのメンブランフィルターでろ過し、インク2を得た。
<インク3>
インク3として、ICBK50(ブラック染料インク、セイコーエプソン社製)を用意した。
[2]ガラス基板
ガラス基板Pとして、表面にアミノ基を有するスライドガラス(MAS−GP typeA、松浪硝子社製)(ガラス基板1)を用意した。
また、表面にアミノ基を有していないガラス基板として、ガラス基板2(Model:10127105P、アズワン社製)、ガラス基板3(S−1126 白切No.1、松浪硝子社製)、ガラス基板4(スライドグラス1202(水縁磨)、武藤化学社製)を用意した。
[3]記録物の作製
(実施例1)
ガラス基板1の表面の画像をスキャナ(GT−X970、セイコーエプソン社製)で読み取り、パーソナルコンピュータのハードディスクに記憶させた。
記憶させた画像に所定パターンを追加したデータを作製した。
プリンタ(PX−G5300、セイコーエプソン社製)にインク1をセットし、付属品のCD/DVDトレー上にガラス基板1を固定して、上記データをガラス基板1に記録し、その後、加熱温度80℃にて15分間乾燥し、記録物を得た。
(実施例2〜8)
ガラス基板の種類、加熱温度および乾燥時間を表1に示すように変更した以外は前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
(比較例1〜7)
インクの種類、ガラス基板の種類、加熱温度および乾燥時間を表1に示すように変更した以外は前記実施例1と同様にして記録物を製造した。
各実施例および各比較例の製造条件を表1に示した。
Figure 2013111821
[4]評価
[4−1]耐擦試験
上記のようにして得られた記録物に記録されたデータを、指にて擦り、下記の基準に従い評価した。
A :データが剥離しない。
B :データの一部が剥離した。
C :データのほぼ全てが剥離した。
D :データが乾燥していなかった。
[4−2]耐溶剤・耐試薬試験
上記のようにして得られた記録物を、キシレン、エチルアルコール(無水)、エチルアルコール(95%)、エチルアルコール(70%)、エチルアルコール(50%)、3wt%過酸化水素水、20wt%ホルマリン溶液、10wt%ホルマリン−メタノール溶液(7:3)、0.1mmolEDTA水溶液の中に30分間放置した後、データの状態を下記の基準に従い評価した。
A :いずれの溶剤・試薬でも剥離が発生しなかった。
B :少なくとも1つの溶剤・試薬でデータの一部が剥離した。
C :少なくとも1つの溶剤・試薬でデータのほぼ全部が剥離した。
D :少なくとも1つの溶剤・試薬でデータが溶解した。
[4−3]耐水性試験
上記のようにして得られた記録物を、洗瓶を用いてイオン交換水にて洗浄を行い、続いて、イオン交換水中に30分間放置した後、データの状態を下記の基準に従い評価した。
A :剥離が発生しなかった。
B :データの一部が剥離した。
C :データのほぼ全部が剥離した。
D :データが溶解した。
これらの結果を表2に示した。
Figure 2013111821
表2から明らかなように、本発明のインクジェット記録方法によれば、耐久性に優れたデータをガラス基板に記録(形成)することが可能であった。これに対して、比較例では満足な結果が得られなかった。
1…インクジェット装置 2…フレーム 3…プラテン 4…記録媒体送りモーター 5…ガイド部材 6…キャリッジ 7…タイミングベルト 8…キャリッジモーター 9…ヘッド 10…インクカートリッジ P…ガラス基板 400…スキャナ 700…パーソナルコンピュータ 704…モニタ 720…本体 708…操作部 708A…キーボード 708B…マウス P…ガラス基板

Claims (9)

  1. ガラス基板上に記録するための所定の画像を作成するデータ作成工程と、
    前記所定の画像を基に作成したデータを、表面にアミノ基を有するガラス基板表面に、インクジェット法により、スルホン酸基を有する樹脂と水と顔料とを含むインクを吐出して記録するデータ記録工程と、を有することを特徴する記録方法。
  2. 前記データ作成工程の前に、
    前記ガラス基板の表面の画像を取り込む画像取り込み工程と、
    前記ガラス基板の表面の画像をもとに前記所定の画像を作成する工程と、を有する請求項1に記載の記録方法。
  3. 前記データ記録工程の後に、前記ガラス基板を加熱する加熱工程を有する請求項1または2に記載の記録方法。
  4. 前記加熱工程における加熱温度は、80℃以上130℃以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の記録方法。
  5. 前記樹脂は、エチレン性不飽和モノマーを、硫酸エステル基と、疎水基と、ラジカル反応性基とからなる反応性乳化剤の存在下で、乳化重合して得られるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の記録方法。
  6. 前記インクの粘度は、10mPa・s以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の記録方法。
  7. 前記ガラス基板は、スライドガラス、カバーガラスである請求項1ないし6のいずれかに記載の記録方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の記録方法に適用される記録装置であって、
    前記ガラス基板の表面の画像を取り込む画像取り込み手段と、
    取り込んだ前記画像を基に前記ガラス基板表面に記録すべきデータを作成するデータ作成手段と、
    作成した前記データを、前記ガラス基板上にインクジェット法により前記インクを吐出して記録する記録手段と、
    前記データを記録した前記ガラス基板を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする記録装置。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載の記録方法によって記録されたことを特徴とする記録物。
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