JP2005264115A - インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Akikage Kaieda
晃彰 海江田
Masaya Shibatani
正也 柴谷
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Abstract

【課題】 光沢紙のような表面平滑性の高い記録媒体上で、発色性及び耐擦性の両特性に優れた記録画像を形成し得るインクセット及びインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】 分散剤無しに水に分散及び/又は溶解可能に表面処理された自己分散型カーボンブラック及び水を含有するブラックインク組成物(A)と、カーボンブラック、樹脂エマルジョン及び水を含有し、該樹脂エマルジョンの含有量が固形分換算で該カーボンブラックの含有量の20倍以上であるブラックインク組成物(B)と、少なくともシアン、マゼンタ及びイエローの3種の有彩色インク組成物とを備えたインクセットを用い、該インクセットを構成する全てのインク組成物のインクドットを記録媒体上で重ねることにより無彩色記録部分を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクセット、及び該インクセットを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、記録ヘッドからインク(インク組成物)の液滴を吐出させ、紙などの記録媒体に該液滴を付着させてインクドットを形成することで、多数のインクドットからなる画像を記録する印刷方法である。一般に、カラー画像の形成は、有彩色としてイエロー、マゼンタ、シアンの3色のインク、あるいはこれに無彩色としてブラックを加えた4色のインクを用いて行われる。最近では、これらに加えて、ライトシアンやライトマゼンタといった色材濃度の低いインク組成物が用いられるようになっており、6色以上のインクから構成されるインクセットを使用するインクジェットプリンタが市販されている。
また、インクジェット記録用のインクとしては、染料系あるいは顔料系の色材を水性媒体中に溶解又は分散させた水性インクが一般的であり、染料インクと顔料インクに大別される。一般に、染料インクは発色性に優れる反面、記録画像の耐水性、耐光性に劣り、顔料インクはこれとは逆の特性を有している。これまで、ブラックについては色材としてカーボンブラックを用いた顔料インク、有彩色については染料インクが多用されてきたが、近年のインクジェット記録技術のデジタル写真サービスや商業印刷分野などへの用途拡大に伴い、記録画像の保存性が重要視されるようになったことなどを背景に、有彩色についても顔料インクが用いられるようになってきている。
インクジェット記録用の顔料インクとしては、1)顔料と、該顔料を水中で分散させるための樹脂分散剤を必須成分とするもの(例えば、特許文献1参照)と、2)自己分散型顔料などと称される、樹脂分散剤無しあるいは樹脂分散剤をごく少量添加するだけで水中で均一分散可能な顔料を必須成分とするもの(例えば、特許文献2参照)とがある。自己分散型顔料は、顔料粒子の表面にスルホン酸基などの分散性付与基を導入する表面改質処理を施すことによって、顔料粒子に水中での自己分散性を付与したものである。自己分散型顔料を用いたインクは、基本的に樹脂分散剤が不要であるので、その分、顔料の含有量を増やすことができ、これにより記録画像の発色性に優れるという特長がある。
特開平11−61022号公報 特開平10−292141号公報
インクジェット記録方法において記録媒体上に黒色の記録部分(黒色画像)を形成する場合、通常は、シアン、マゼンタ、イエローの各色インクドットをほぼ等量ずつ混在させ、減法混色によってコンポジットブラックを形成する方法か、又はカーボンブラック含有インクを単独で用いる方法が採られる。このうち、コンポジットブラックは、一般に発色性に乏しく、葉書の宛名印刷などのように高い画像濃度が望まれる印刷用途には不向きとされている。また、コンポジットブラックは数種類のインクドットを重ねることで形成されるため、インクデューティ制限値を越えてしまうことがあり、その結果、画質の劣化を招くおそれがある。
一方、カーボンブラック含有インク単独で黒色画像を形成する方法でも、使用するインクによっては黒色画像の発色性が不十分となる場合がある。即ち、カーボンブラックと共に樹脂分散剤を併用するタイプのインクは、記録画像の耐擦性には優れるものの、樹脂分散剤を必須成分とする構成上、吐出安定性の確保等の観点からカーボンブラック含有量が抑えられているため、該インク単独で黒色画像を形成しても高い画像濃度が得られないことがある。
これに対し、自己分散型カーボンブラックを用いるタイプのインクであれば、樹脂分散剤を併用するタイプのインクに比してカーボンブラック含有量が多いため、該インク単独で発色性の高い黒色画像を形成することが可能である。しかし、該インクは記録画像の耐擦性に問題があり、該インクにより形成された黒色画像の表面を指で軽く擦っただけで画像の輪郭が崩れてしまうことがある。特に、光沢紙のような表面平滑性の高い記録媒体を使用した場合は、該インクの耐擦性の悪さが一際目立ち、印刷物として実用に堪えないものが出来てしまうこともあり、該インクは光沢紙に対しては不向きであった。
光沢紙のような表面平滑性の高い記録媒体上で、発色性及び耐擦性の両特性に優れた記録画像を形成し得る手段は未だ提供されていない。
従って、本発明の目的は、光沢紙のような表面平滑性の高い記録媒体上で、発色性及び耐擦性の両特性に優れた記録画像を形成し得るインクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のインクセットは、ブラックインク組成物と、少なくともシアン、マゼンタ及びイエローの3種の有彩色インク組成物とを備えたインクセットにおいて、上記ブラックインク組成物として、分散剤無しに水に分散及び/又は溶解可能に表面処理された自己分散型カーボンブラック及び水を含有するブラックインク組成物(A)と、カーボンブラック、樹脂エマルジョン及び水を含有し、該樹脂エマルジョンの含有量が固形分換算で該カーボンブラックの含有量の20倍以上であるブラックインク組成物(B)とを備え、且つ上記有彩色インク組成物が、顔料、該顔料を分散させる樹脂分散剤及び水を含有することを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出させて記録媒体上にインクドットからなる画像を記録するインクジェット記録方法において、上記インクセットを用い、該インクセットを構成する全てのインク組成物のインクドットを上記記録媒体上で重ねることにより無彩色記録部分を形成することを特徴とする。
本発明によれば、光沢紙のような表面平滑性の高い記録媒体上に、高発色で耐擦性にも優れる無彩色(黒色)の画像を形成することができる。
以下、先ず、本発明のインクセットについて説明する。
本発明のインクセットは、無彩色としてブラックインク組成物と、少なくともシアン、マゼンタ及びイエローの3種の有彩色インク組成物とを備える。該ブラックインク組成物には、後述するブラックインク組成物(A)及びブラックインク組成物(B)の2種類がある。
〈ブラックインク組成物(A)〉
ブラックインク組成物(A)は、分散剤無しに水に分散及び/又は溶解可能に表面処理された自己分散型カーボンブラック及び水を必須成分として含有する。
ブラックインク組成物(A)において用いられる自己分散型カーボンブラックとは、カーボンブラック粒子の表面に、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又はスルホン基のうちの少なくとも一種の官能基又はその塩が結合するような表面改質処理により、分散剤無しに水に分散及び/又は溶解が可能とされたものである。具体的には、真空プラズマなどの物理的処理、あるいは次亜塩素酸やスルホン酸などの酸化剤を用いた化学的処理などにより、官能基又は官能基を含んだ分子をカーボンブラック粒子の表面にグラフトさせることによって得ることができる。本発明において、一つのカーボンブラック粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類及びその程度は、インク中での分散安定性、色濃度及び記録ヘッドの吐出口形成面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定すればよい。
尚、本発明において、顔料が分散剤無しに水中に安定に存在している状態を「分散及び/又は溶解」と表現する。物質が溶解しているか、分散しているのかを明確に区別することが困難な場合も少なくない。本発明にあっては、分散剤無しに水中に安定に存在し得る顔料である限り、その状態が分散か、溶解かを問わず、そのような顔料を利用可能である。よって、本明細書において、分散剤無しに水中に安定に存在し得る顔料を水溶性顔料ということがあるが、顔料が分散状態にあるものまでも排除することを意味するものではない。
本発明において用いられる自己分散型カーボンブラックは、例えば特開平8−3498号公報記載の方法によって得ることができる。また、この自己分散型カーボンブラックとしては市販品を利用することも可能であり、好ましい例としてはオリヱント化学工業株式会社製のマイクロジェットCW1が挙げられる。
自己分散型カーボンブラックの平均粒径は、分散安定性及び吐出安定性の優れたインク組成物とする観点から、150nm以下が好ましく、20nm〜80nmが特に好ましい。
ブラックインク組成物(A)において、自己分散型カーボンブラックの含有量は、インク組成物全体の重量に対して、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。自己分散型カーボンブラックの含有量が0.5重量%未満では十分な色濃度が確保できず、逆に20重量%を越えると顔料が凝集しやすくなり安定吐出しにくくなる。1〜15重量%の範囲内になると、高画像濃度、及びインクジェット用インク組成物としての信頼性の向上の両立を図ることが可能となるので好ましい。
ブラックインク組成物(A)に必須成分として含有される水は、該インク組成物の主溶媒となるものである。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。また、紫外線照射や過酸化水素添加などにより滅菌した水は、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので、本発明に好適である。
ブラックインク組成物(A)には、自己分散型カーボンブラック及び水の他に、インクの浸透性を高める目的で、さらに界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを用いることができる。両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。これらの界面活性剤は、単独種でもよく、また2種以上を併用してもよい。
上記の界面活性剤の中でもアセチレングリコール系界面活性剤は記録品質、記録安定性などの面から特に好ましく、その例としては2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられる。市販のアセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール82、104、440、465、485、またはTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(商品名)(以上、日信化学社製)などが好ましく用いられる。また、シリコーン系界面活性剤も本発明で好ましく用いることができる。市販のシリコーン系界面活性剤としては、BYK347、348(以上、ビックケミージャパン製)などが挙げられる。
上記界面活性剤の含有量は特に限定されないが、インク組成物の全量に対して好ましくは0.3〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量である。界面活性剤の含有量が0.3重量%未満ではインクのにじみを低減させる効果が少なく、記録部分の乾燥にも時間がかかる。また、界面活性剤の含有量が2重量%を超えても、記録品質の向上効果の点では頭打ちの傾向があり、インク組成物が泡立ちやすくなるという弊害が発生するおそれもある。
また、ブラックインク組成物(A)には、記録ヘッドの吐出口の目詰り性の改善や上記界面活性剤の溶解性を高める目的などのために、さらに水溶性有機溶剤を添加することができる。水溶性有機溶剤の例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、グリセリン、チオジグリコール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
上記水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されないが、インク組成物の全量に対して好ましくは0.1〜60重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。水溶性有機溶剤の含有量が0.1重量%未満では水溶性有機溶剤を使用する意味に乏しく、逆に60重量%を越えるとインク組成物の粘度が上昇し、また、顔料などの他の重要な成分の含有量が制限されることになるため好ましくない。
ブラックインク組成物(A)には、その他の成分として、防腐剤・防かび剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、記録ヘッドの吐出口の目詰まり防止剤等の添加剤を適宜含有させることができる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などの中から選択することができる。
pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類及びそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸及びその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
粘度調整剤としては、例えば、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどを用いることができる。
〈ブラックインク組成物(B)〉
ブラックインク組成物(B)は、カーボンブラック、樹脂エマルジョン及び水を必須成分として含有する。水としては、上記ブラックインク組成物(A)におけるものと同様のものを用いることができる。
ブラックインク組成物(B)において用いられるカーボンブラックとしては、通常のインクジェット用インク組成物に従来から使用されているカーボンブラックを選択することができ、具体的には、コンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、三菱化学(株)製のNo.2300,No.900,HCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B等;コロンビア社製のRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700等;キャボット社製のRegal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Monarch700,Monarch800,Monarch880,Monarch900,Monarch1000,Monarch1100,Monarch1300,Monarch1400等;デグッサ社製のColor Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
また、カーボンブラックの平均粒径は、特に限定されるものではないが、10μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
ブラックインク組成物(B)におけるカーボンブラックの含有量は、ブラックインク組成物(A)における自己分散型カーボンブラックの含有量よりも少量でよく、インク組成物全体の重量に対して0.01〜0.4重量%、特に0.05〜0.3重量%、とりわけ0.1〜0.25重量%の範囲にあることが好ましい。
尚、ブラックインク組成物(B)には、上記カーボンブラックが本来的に有している帯色性(濃色部における帯赤性、又は、特には淡色部における帯黄性)を無彩色化するための補色用の色材を含有することができる。補色用の色材とは、ブラックインクによる記録画像に生じる帯色を低減ないし解消して無彩色の画像を得るためにブラックインク組成物中に含有させる着色剤を意味し、例えば、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4などを挙げることができる。
また、ブラックインク組成物(B)に含有可能な樹脂エマルジョンには、ポリアルキレン型樹脂エマルジョンとpH調整樹脂エマルジョンの2種類がある。いずれの樹脂エマルジョンも、分散媒が水であり、分散質がポリマー微粒子である水系分散液である。該ポリマー微粒子は、インク組成物中における分散安定性の観点から、その平均粒子径が5〜200nmの範囲にあることが好ましく、5〜100nmの範囲にあることがさらに好ましい。
本発明では、上記の2種類の樹脂エマルジョンのうちのいずれを用いてもよいが、両方の樹脂エマルジョンをブラックインク組成物(B)に含有させることが好ましい。
ブラックインク組成物(B)中における樹脂エマルジョンの含有量は、上記2種類のうちのいずれか一方を用いるか、あるいは両方を用いるかに拘わらず、固形分換算で上記カーボンブラックの含有量の20倍以上とする必要がある。樹脂エマルジョンの固形分含有量がカーボンブラックの含有量の20倍量未満では、記録部分の耐擦性の向上効果に乏しい。但し、上記樹脂エマルジョンの含有量があまりに多すぎると吐出不良を起こすおそれがあるので、含有量の上限は上記カーボンブラックの含有量の50倍量程度とすることが好ましい。
また、ブラックインク組成物(B)中における樹脂エマルジョン由来の樹脂成分の含有量としては、ブラックインク組成物(B)の全重量に対して0.5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
以下、上記各樹脂エマルジョンについて説明する。
〈ポリアルキレン型樹脂エマルジョン〉
ポリアルキレン型樹脂エマルジョンの最低造膜温度(MFT)は25℃以下が好ましく、吐出安定性の確保を考慮すると、0〜25℃、特に10〜20℃の範囲にあることが好ましい。MFTは、JIS−K6800に従って測定される測定値を意味する。MFTが該範囲にあることにより、該樹脂エマルジョンがインク組成物の一成分として記録媒体上に付与された時に、顔料凝集部分(記録部分)を被覆する保護膜が速やかに形成されるようになる。また、ポリアルキレン型樹脂エマルジョンのMFTを該範囲内に調整するために、該樹脂エマルジョン中に含有されるポリマー微粒子のガラス転移温度(Tg)は、−15〜10℃の範囲にあることが好ましく、−5〜5℃の範囲にあることがさらに好ましい。Tgは、JIS−K6900に従って測定される測定値を意味する。
ポリアルキレン型樹脂エマルジョンにおいては、ポリマー微粒子は親水性部分と疎水性部分とを有するものが好ましい。また、ポリマー微粒子の構造は、単相構造、複相構造(コアシェル構造)等のいずれでもよい。コアシェル構造は、異なる2種以上のポリマーが相分離して存在する構造であればよく、例えば、シェル部がコア部を完全に被覆している構造、シェル部がコア部の一部を被覆している構造、シェル部ポリマーの一部がコア部ポリマー内にドメイン等を形成している構造、コア部とシェル部の中間に更にもう一層以上、組成の異なる層を含む3層以上の多層構造であってもよい。
ポリマー微粒子としてコアシェル構造のものを用いる場合、コア部がエポキシ基を有するポリマーからなり、シェル部がカルボキシル基を有するポリマーからなるものが好ましい。インク組成物に、このようなポリマー微粒子を含有させることにより、記録媒体上にブラックインク組成物(B)を付与することにより形成される保護膜の形成時に、コア部のエポキシ基とシェル部のカルボキシル基とが結合して網目構造を形成することが可能となり、保護膜の強度を向上させることができる。
また、ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーに由来する構造を1〜10重量%有し、且つ重合可能な二重結合を好ましくは2つ以上、更に好ましくは3つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造(架橋性モノマーに由来する構造)を0.2〜4重量%有するものが好ましい。インク組成物に、このようなポリマー微粒子を含有させることにより、記録ヘッドの吐出口形成面(ノズルプレート表面)がインク組成物により濡れにくくなるので、インク液滴の飛行曲がりを防止することができ、吐出安定性をより向上させることができる。
上記カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等を挙げることができ、特にメタクリル酸が好ましい。
上記架橋性モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパンメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
ポリアルキレン型樹脂エマルジョンは、公知の乳化重合により製造することができる。例えば、不飽和ビニルモノマーを、界面活性剤(乳化剤)、重合触媒、重合開始剤、分子量調整剤及び中和剤等の存在下、水中で乳化重合させることにより、該ポリアルキレン型樹脂エマルジョンを得ることができる。
上記不飽和ビニルモノマー(ポリマー微粒子を構成するモノマー)としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、オレフィンモノマー類及びジエンモノマー類等を挙げることができる。具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化モノマー類;スチレン、2−メチルスチレンビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類を挙げることができる。
上記界面活性剤(乳化剤)としては、例えば、アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等)及び非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等)を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、ブラックインク組成物(A)に含有可能な上記アセチレングリコール系界面活性剤を用いることもできる。
上記ポリアルキレン型樹脂エマルジョンの製造時においては、記録安定性の向上の観点から、乳化重合の際に、上記不飽和ビニルモノマーに加えて、アクリルアミド類及び水酸基含有モノマーからなる群から選ばれる1種又は2種以上を配合することが好ましい。該アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド及びN,N’−ジメチルアクリルアミド等を挙げることができ、使用に際しては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、該水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、コアシェル構造のポリマー微粒子を含有するポリアルキレン型樹脂エマルジョンは、例えば、特開平4−76004号公報に開示されている方法(上記不飽和ビニルモノマーの多段階の乳化重合)等により製造することができる。尚、上述したように、コアシェル構造のポリマー微粒子は、そのコア部がエポキシ基を有するポリマーからなることが好ましく、コア部へのエポキシ基の導入方法としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和ビニルモノマーであるグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等を他の不飽和ビニルモノマーと共重合させる方法、あるいは一種以上の不飽和ビニルモノマーを重合させてコア部(コア粒子)を調製する際に、エポキシ化合物を同時に添加し、これらを複合化させる方法等を挙げることができる。特に、前者の方法が、重合の容易さや重合安定性等の点で好ましい。
〈pH調整樹脂エマルジョン〉
pH調整樹脂エマルジョンは、上記ポリアルキレン型樹脂エマルジョンと共に、あるいはこれに代えて、ブラックインク組成物(B)に含有可能な樹脂エマルジョンであり、具体的には、「エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれと共重合可能なその他の単量体を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物又は共重合性界面活性剤の存在下で重合することで酸価40以下の共重合体を得(以下、この共重合体を『アルカリ可溶性共重合体』という)、無機塩基により該共重合体のpHを調整してなるpH調整樹脂を樹脂成分とする樹脂エマルジョン」である。
上記アルカリ可溶性共重合体を製造する際に用いるアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物とは、水溶性高分子化合物のうち、分子量1000当りにアルコール性水酸基を5〜25個含有している化合物をいい、例えば、ポリビニルアルコール及びその各種変性物などのビニルアルコール系重合体;酢酸ビニルとアクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸との共重合体のけん化物;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、トラガントゴム;ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。中でも、工業的に品質が安定したものを入手しやすい点から、ビニルアルコール系重合体が好ましい。
上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常1,000〜500,000、好ましくは2,000〜300,000である。分子量が1,000より小さいと、分散安定効果が低くなることがあり、逆に500,000より大きいと、この高分子化合物の存在下で重合するときの粘度が高くなり、重合が困難になることがある。また、上記アルカリ可溶性共重合体の製造に使用する上記アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05重量部〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。0.05重量部より少ないと分散安定効果が低くなるので、重合時に凝集物が発生し、逆に20重量部より多くなると、重合するときの粘度が高くなり、重合が困難になることがある。
尚、アルカリ可溶性共重合体の製造においては、乳化重合において通常使用される界面活性剤を併用しないことが好ましいが、界面活性剤を併用する場合は、界面活性剤の量はアルカリ可溶性共重合体の合成に使用する全単量体の100重量部に対して、通常、0.05重量部未満である。界面活性剤の量が多くなると得られた画像の耐水性に劣る傾向がある。
アルカリ可溶性共重合体の製造に使用するエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテントリカルボン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル単量体;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の多価カルボン酸無水物;などを挙げることができる。これらの単量体は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらのエチレン性不飽和酸単量体のうち、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、アルカリ可溶性共重合体の酸価が40以下、好ましくは10〜40、より好ましくは30〜40になるように算出される量である。この量を換算してアルカリ可溶性共重合体の酸価が40を超えたり、あるいは10未満になると、得られた画像の品質が劣ることがある。
アルカリ可溶性共重合体の製造に使用することのできる、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体は、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;アリルグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和グリシジルエーテル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミド単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の共役ジエン単量体;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル等を挙げることができる。これらの単量体は単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。中でも、得られた画像の耐光性及び光沢性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、メタアクリル酸メチル及びアクリル酸エチルがより好ましい。
アルカリ可溶性共重合体は、上記単量体混合物を、好ましくは水媒体中で、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下に重合することによって得ることができる。この際、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物及び単量体混合物は、重合開始前に反応器に一括して全量を添加するか、又は重合開始前には一部分を装入し、重合開始後に残りの部分を分割的に少しずつ添加するか、あるいは残りの部分を連続的に添加することができる。分割添加あるいは連続添加する場合、添加量は均等にあるいは一定にすることもでき、重合の進行段階に応じて変えることもできる。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物と単量体混合物とは、それぞれ別々に添加しても、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物、単量体混合物及び水を混合して得られる単量体分散化物の形態で添加しても構わない。アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物と単量体とを別々に添加する場合は、両者の添加をほぼ同時に開始するのが望ましい。単量体混合物のみが先に多量に添加されると凝集物が発生しやすく、逆に、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物のみが先に多量に添加されると重合系が増粘したり、又は凝集物が発生しやすくなるなどの問題が起きやすい。両者の添加終了は、必ずしも同時である必要はないがほぼ同時であることが望ましい。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物と単量体混合物の添加方法のうち、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を単量体混合物及び水と混合して分散化して、重合開始後に反応器に添加する方法が、アルカリ可溶性共重合体の高分子鎖におけるエチレン性不飽和酸単量体の連鎖分布が均一になるので好ましい。上記pH調整樹脂の製造に用いるアルカリ可溶性共重合体は、共重合性界面活性剤の存在下に、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれと共重合可能なその他の単量体を重合(好ましくは乳化重合)して製造することができる。
アルカリ可溶性共重合体の製造に用いる共重合性界面活性剤は、その分子中に1個以上の重合可能なビニル基を有する界面活性剤である。その具体例としては、プロペニル−2−エチルヘキシルスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステル燐酸エステルなどのアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エステルなどのノニオン性重合性界面活性剤などを挙げることができる。これらの共重合性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩は、単量体の乳化分散性能及び単量体との共重合性のバランスが優れているので好適である。
上記共重合性界面活性剤の量は、アルカリ可溶性共重合体の合成に使用する全単量体100重量部に対して、通常、0.01〜5.0重量部、好ましくは、0.05〜5.0重量部、更に好ましくは0.1〜3.0重量部である。0.01重量部未満では乳化安定性が低くなるので、重合時に多量の凝集物が発生することがある。逆に5.0重量部を超えると、pH調整樹脂組成物が泡立ちやすくなる間題が発生することがある。なお、アルカリ可溶性共重合体の重合においては、非重合性界面活性剤を併用しないことが好ましいが、非重合性界面活性剤を併用する場合は、非重合性界面活性剤の量はアルカリ可溶性共重合体の合成に使用する全単量体の100重量部に対して、通常、0.05重量部未満である。非重合性界面活性剤の量が多くなると得られた画像の耐水性に劣る傾向がある。
アルカリ可溶性共重合体の製造に用いることのできる重合開始剤は、特に限定されない。具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ペンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩が好ましい。
重合開始剤の使用量は、その種類によって異なるが、アルカリ可溶性共重合体の水分散液の製造で使用する全単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.8〜4重量部である。また、これらの重合開始剤は還元剤との組み合わせで、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。レドックス系重合開始剤の還元剤は特に限定されず、その具体例としては、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸化合物;ジメチルアニリン等のアミン化合物;などを挙げることができる。これらの還元剤は単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。還元剤の使用量は、還元剤によって異なるが、重合開始剤1重量部に対して0.03〜10重量部であることが好ましい。
アルカリ可溶性共重合体の重量平均分子量を調節するためには、必要に応じて連鎖移動剤を重合時に使用することができる。連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカブタンなどのメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのスルフィド類;2−メチル−3−ブチンニトリル、3−ペンテンニトリルなどのニトリル化合物;チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸オクチルなどのチオグリコール酸エステル;β−メルカプトプロピオン酸メチル、β−メルカプトプロピオン酸オクチルなどのβ−メルカプトプロピオン酸エステル;等があり、これらは単独又は二種以上で使用できる。これら連鎖移動剤のうちチオグリコール酸エステルが好ましく、チオグリコール酸オクチルがより好ましい。
連鎖移動剤を使用する場合、その添加量は、アルカリ可溶性共重合体の製造に使用する単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部である。連鎖移動剤の使用量が、少なすぎると、中和後の粘度が高くなり取扱いが困難になることがあり、また、多すぎると、分子量が著しく低下することがある。連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、全量を一括して添加しても、少量ずつ断続的に又は連続杓に重合系に添加してもよい。アルカリ可溶性共重合体を製造する時の重合温度は、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃である。重合転化率は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上である。
本発明で用いるアルカリ可溶性共重合体の中和物における中和度(エチレン性不飽和カルボン酸単量体のモル当量に対する無機塩基のモル当量)は、特に限定されないが、その中和度は通常70%以上、好ましくは95%以上である。アルカリ可溶性共重合体を中和するために用いる無機塩基は、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの無機塩基のうち、水酸化ナトリウムが好適である。前記無機塩基として、アンモニアを用いることもできるが、インクの経時安定性(例えば、pHの低下)及び吐出安定性が低下する原因となることがある。
本発明で用いるアルカリ可溶性共重合体としては、上述したもののなかでも、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の存在下で重合して得られるものが、pH調整樹脂組成物を長期貯蔵した際に、粘度変化しにくく、その網点再現性により優れる点で、好ましい。
上記pH調整樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、大きすぎる場合(例えば、50,000を超える場合)は、pH調整樹脂エマルジョンの粘度が高くなり、その取扱いが困難となることがある。一方、低すぎる(例えば、8,000未満になる)と耐擦性が劣化することがある。pH調整樹脂の重量平均分子量は、例えば、好ましくは8,000以上、より好ましくは9,000〜100,000、更に好ましくは10,000〜50,000である。
また、上記pH調整樹脂のTgは、好ましくは5〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。pH調整樹脂のガラス転移温度がこの範囲にあると、耐折り曲げ性及び耐ブロッキング性にも優れた画像が得られる。尚、pH調整樹脂のガラス転移温度が多少高くなっても、ブラックインク組成物(B)の成膜温度は、一般に低いまま維持される。
pH調整樹脂エマルジョンは、pHが8〜11を示すものであることが好ましく、pHが9〜11を示すものであることがより好ましい。pH8未満では吐出安定性に問題が生じるおそれがあり、逆にpH11を超えると分散安定性に問題が生じるおそれがある。
ブラックインク組成物(B)には、上述したカーボンブラック、樹脂エマルジョン(ポリアルキレン型樹脂エマルジョン及び/又はpH調整樹脂エマルジョン)及び水の他に、カーボンブラックの分散安定性の向上のため、樹脂分散剤を含有させることができる。
上記樹脂分散剤の好ましい例としては、天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類;アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類;サボニンなどのグルコシド類;アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
また、上記樹脂分散剤の別の好ましい例としては、合成高分子が挙げられ、その具体例としては、ポリビニルアルコール類;ポリビニルピロリドン類;ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体;酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体、あるいは、これらの塩等が挙げられる。また、樹脂系界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどを用いることもできる。
ブラックインク組成物(B)には、その他の成分として、界面活性剤、水溶性有機溶剤、防腐剤・防かび剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、記録ヘッドの吐出口の目詰まり防止剤等の添加剤を適宜含有させることができる。これら各種添加剤としては、上記ブラックインク組成物(A)に含有可能なものと同様のものを用いることができる。
〈有彩色インク組成物〉
有彩色インク組成物は、顔料、該顔料を分散させる樹脂分散剤及び水を必須成分として含有する。水としては、上記ブラックインク組成物(A)におけるものと同様のものを用いることができる。
有彩色インク組成物に含有される顔料としては、従来からインクジェット用のインク組成物に使用されている有機顔料を用いることができる。有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、またはアニリンブラック等を用いることができる。
シアンインク組成物用の顔料(シアン顔料)としては、例えば、C.l.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、16(無金属フタロシアニン)、18(アルカリブルートナー)、25、60(スレンブルー)、65(ビオラントロン)、66(インジゴ)等を挙げることができる。
マゼンタインク組成物用の顔料(マゼンタ顔料)としては、例えば、C.l.ピグメントレッド1(パラレッド)、2、3(トルイジンレッド)、5(lTR Red)、7、9、10、11、12、17、30、31、38(ピラゾロンレッド)、42、88(チオインジゴ)、112(ナフトールAS系)、114(ナフトールAS系)、122(ジメチルキナクリドン)、123、144、149、150、166、168(アントアントロンオレンジ)、170(ナフトールAS系)、171、175、176、177、178、179(ベリレンマルーン)、185、187、202、209(ジクロロキナクリドン)、219、224(ベリレン系)、245(ナフトールAS糸)、又は、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン)、23(ジオキサジンバイオレット)、32、33、36、38、43、50等を挙げることができる。
イエローインク組成物用の顔料(イエロー顔料)としては、例えば、C.l.ピグメントイエロー1(ハンザイエロー)、3(ハンザイエロー10G)、12、13、14、17、24(フラバントロンイエロー)、34、35、37、53、55、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、99、108(アントラピリミジンイエロー)、109、110、113、117(銅錯塩顔料)、120、128、133(キノフタロン)、138、139(イソインドリノン)、147、151、153(ニッケル錯体顔料)、154、167、172、180等を挙げることができる。
上記のシアン顔料、マゼンタ顔料及びイエロー顔料は、各有彩色インク組成物中においてそれぞれ一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
有彩色インク組成物において、顔料の含有量は、インク組成物全体の重量に対して、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。顔料の含有量が0.5重量%未満では十分な色濃度が確保できず、逆に20重量%を越えると顔料が凝集しやすくなり安定吐出しにくくなる。1〜10重量%の範囲内になると、高画像濃度、及びインクジェット用インク組成物としての信頼性の向上の両立を図ることが可能となるので好ましい。
また、有彩色インク組成物中に含有可能な樹脂分散剤としては、上述したブラックインク組成物(B)に含有可能な樹脂分散剤(天然高分子、合成高分子)と同様のものを用いることができる。上述した樹脂分散剤の中でも、特に、疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、及び疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。具体的には、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、及びスチレン−無水マレイン酸共重合体が好ましい樹脂分散剤として挙げられる。
また、樹脂分散剤としては市販のものを使用することができ、例えば、ジョンソンポリマー株式会社製、ジョンクリル68(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル61J(分子量10000、酸価195)、ジョンクリル680(分子量3900、酸価215)、ジョンクリル682(分子量1600、酸価235)、ジョンクリル550(分子量7500、酸価200)、ジョンクリル555(分子量5000、酸価200)、ジョンクリル586(分子量3100、酸価105)、ジョンクリル683(分子量7300、酸価150)、ジョンクリルB−36(分子量6800、酸価250)等を挙げることができる。
上記樹脂分散剤の含有量は、有彩色インク組成物全体の重量に対して、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%である。
有彩色インク組成物には、その他の成分として、界面活性剤、水溶性有機溶剤、防腐剤・防かび剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、記録ヘッドの吐出口の目詰まり防止剤等の添加剤を適宜含有させることができる。これら各種添加剤としては、上記ブラックインク組成物(A)に含有可能なものと同様のものを用いることができる。
尚、本発明のインクセットにおいて、有彩色インク組成物としては少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3種を備えていればよく、4種以上の有彩色インク組成物を具備させることも可能である。例えば、シアン及びマゼンタについて、それぞれ顔料濃度の異なる2種類のインク組成物、即ち、相対的に顔料濃度の高い濃インク(シアンインク、マゼンタインク)と、相対的に顔料濃度の低い淡インク(ライトシアンインク、ライトマゼンタインク)とをそれぞれ具備させることができる。また、シアン、マゼンタ、イエローの3種の有彩色インク組成物に加えて、オレンジインク組成物やグリーンインク組成物などを用いることもできる。これらに用いられる顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ36,43等のオレンジ顔料、C.I.ピグメントグリーン7,36等のグリーン顔料が挙げられる。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、上述したインクセットを用い、各インク組成物の液滴を吐出させて記録媒体上にインクドットからなる画像を記録するものであり、公知のインクジェットプリンタを用いて実施することができる。
そして、本発明においては、記録媒体上で無彩色記録部分(黒色記録部分)を形成するに当たり、上述のインクセットを構成する全てのインク組成物のインクドットを記録媒体上で重ねる。即ち、ブラックインク組成物(A)、ブラックインク組成物(B)、及び有彩色インク組成物(少なくともシアン、マゼンタ及びイエローの3種以上)の全てを使って、無彩色(黒色)を形成するのである。こうすることにより、発色性及び耐擦性の両方に優れた黒色画像を形成することが可能となる。
発色性及び耐擦性をより高レベルで両立させる観点から、記録媒体上の無彩色記録部分において、ブラックインク組成物(A)由来の上記自己分散型カーボンブラックの単位面積当たりの重量とブラックインク組成物(B)由来の上記カーボンブラックの単位面積当たりの重量との合計量をx、上記有彩色インク組成物由来の樹脂成分の単位面積当たりの重量をy、上記ブラックインク組成物(B)由来の樹脂成分の単位面積当たりの重量をzとした場合、x、y、zの重量比がx:y:z=100:5〜50:5〜50となるように、上記各インク組成物の吐出量を制御することが望ましい。このようなインク組成物の吐出制御は、本発明のインクジェット記録方法の実施に使用するインクジェットプリンタのプリンタドライバを適宜プログラミングすることにより実現できる。
本発明のインクジェット記録方法においては、通常インクジェット記録において用いられる記録媒体は特に制限無く用いることができ、インクジェット専用紙、普通紙(インクジェット記録適性の考慮されていない紙)、フィルム、布などを記録媒体として用いることができる。中でも、インクジェット専用紙が好ましい。インクジェット専用紙は、基材上にインク受容層を設けた構成の塗工紙であり、該基材としては紙、フィルム、樹脂被覆紙などが用いられる。また、インクジェット専用紙には、インク受容層がシリカ等の多孔質顔料及びバインダーを主体とするいわゆる多孔型(空隙型、吸収型)のものと、インク受容層がポリビニルアルコール等の樹脂を主体とする膨潤型のものとがあるが、本発明ではいずれのタイプのインクジェット専用紙でも好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、特に記録媒体として光沢紙を用いる場合に有効であり、光沢紙上に発色性及び耐擦性の両方に優れた黒色記録部分を形成することができる。光沢紙は表面平滑性の高いインクジェット専用紙であり、通常、表面(被記録面)のJIS−P8142で規定する75度光沢度は40%以上ある。
また、本発明のインクジェット記録方法の実施に用いるインクジェットプリンタは、周知のように、記録ヘッド(インクジェットヘッド)の吐出口からインクの液滴を吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させることで画像を形成する印刷装置である。インクジェットプリンタには、記録ヘッドのノズルから一定時間間隔でインクを吐出し続け、吐出されたインク液滴を偏向させることにより画像を形成するコンティニュアス方式のものと、画像データに対応してインクを吐出させるオンデマンド方式のものとがあり、いずれの方式でも構わないが、細かい打ち込み制御が可能で廃液量が少ないオンデマンド方式のインクジェットプリンタがより好ましい。また、記録ヘッドのインク吐出方式には、ピエゾ素子などの圧電素子を利用した電気−機械変換方式、ヒータなどの電気−熱変換素子を利用した電気−熱変換方式、さらには電極などの静電気力発生手段を利用した方式などがあるが、本発明では、いずれの方式の記録ヘッドを搭載したインクジェットプリンタでも使用できる。尚、一般に、本発明のインクセットのように水性顔料インクを使用する場合には、吐出安定性等の観点から、電気−機械変換方式の記録ヘッドを使用することが好ましいとされている。
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
(ブラックインク組成物(A)の調製)
下記に示す各配合成分を混合して、顔料濃度6重量%のブラックインク組成物を調製した。
・自己分散型カーボンブラック分散液 6重量%
(商品名「マイクロジェットCW1」、オリヱント化学工業製)
・グリセリン 8重量%
・トリエチレングリコール 2重量%
・1,2−ヘキサンジオール 3重量%
・アセチレングリコ−ル系界面活性剤 1重量%
(商品名「オルフィンE1010」、日信化学工業製)
・トリエタノールアミン 1重量%
・純水 バランス
(ブラックインク組成物(B)の調製)
下記に示す各配合成分を混合して、顔料濃度0.2重量%のブラックインク組成物を調製した。
・カーボンブラック分散液 0.2重量%
・pH調整樹脂エマルジョンA(固形分濃度15重量%) 13重量%
・ポリプロピレン型樹脂エマルジョン 9.9重量%
(商品名「AQ593」、ビックケミージャパン製、固形分濃度30重量%)
・スチレン・アクリル酸共重合体 0.1重量%
(樹脂分散剤、分子量15000、酸価100)
・商品名「HS500」(林原商事製、糖を主成分とする溶媒) 5重量%
・グリセリン 17重量%
・1,2−ヘキサンジオール 5重量%
・シリコーン系界面活性剤 0.5重量%
(商品名「BYK347」、ビックケミージャパン製)
・トリエタノールアミン 0.9重量%
・純水 バランス
尚、上記pH調整樹脂エマルジョンは、次のようにして調製したものである。
メタクリル酸エチル60部、メタクリル酸メチル36部、メタクリル酸4部、分子量調整剤としてチオグリコール酸オクチル3部、ポリビニルアルコール1部及びイオン交換水280部を攪拌混合して、単量体混合物の分散物を調製した。また、別の攪拌機付き反応器に、イオン交換水130部及び過硫酸カリウム2部を仕込み、80℃に昇温し、そして上記単量体混合物の分散物を4時間かけて連続添加して重合させた。連続添加終了後、80℃にて、30分間の後反応を行った。重合転化率は、99%以上であった。次いで、仕込みのメタクリル酸と当モル量の水酸化ナトリウムに相当する量の10%水酸化ナトリウム水溶液を反応器に添加し、更に80℃にて、1時間熱処理した後に、適量のイオン交換水を加えて、固形分濃度15重量%のpH調整樹脂エマルジョンAを得た。このpH調整樹脂エマルジョンAの酸価は30であった。
(シアンインク組成物の調製)
下記組成のシアンインク組成物を次の操作によって製造した。ピグメントブルー15:3と分散剤と水とを混合し、サンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ[直径1.7mm;混合物の1.5倍量(重量)]とともに2時間分散させた後に、ガラスビーズを取り除き、顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液と、その他の配合成分とを混合し、25℃で60分間攪拌した。この混合液を5μmのメンブランフィルターでろ過し、シアンインク組成物を得た。
・ピグメントブルー15:3 1.5重量%
・スチレン・アクリル酸共重合体(樹脂分散剤) 3重量%
・グリセリン 14重量%
・1,2−ヘキサンジオール 10重量%
・シリコーン系界面活性剤 0.3重量%
(商品名「BYK347」、ビッグケミー・ジャパン製)
・トリエタノールアミン 1重量%
・イオン交換水 バランス
(マゼンタインク組成物の調製)
上記(シアンインク組成物の調製)において、顔料としてピグメントブルー15:3に代えてピグメントバイオレット19を2重量%の量で使用したこと以外は上記(シアンインク組成物の調製)と同様にしてマゼンタインク組成物を調製した。
(イエローインク組成物の調製)
上記(シアンインク組成物の調製)において、顔料としてピグメントブルー15:3に代えてピグメントイエロー74を3重量%の量で使用したこと以外は上記(シアンインク組成物の調製)と同様にしてイエローインク組成物を調製した。
上記各インク組成物(ブラック2種、イエロー、マゼンタ及びシアンの計5種)を適宜組み合わせて下記〔表1〕に示すインクセット1〜7を作製した。〔表1〕中、○は当該インクセットが当該インクを具備することを示し、×は当該インクセットが当該インクを具備しないことを示す。
Figure 2005264115
上記各インクセットについて、インクジェットプリンタ(PM−4000PX、セイコーエプソン社製)を用いて、インク組成物の単位面積当たりの使用量(吐出量)を適宜変更して、解像度1440×720dpiで、記録画像としてブラックベタパッチを記録した。記録媒体としては、光沢紙(商品名「MC光沢紙」、セイコーエプソン社製)を用いた。
上記のようにして得られたブラックベタパッチについて、発色性及び耐擦性をそれぞれ下記の方法により評価した。これらの結果を下記〔表2〕に示す。
(発色性の評価方法)
上記ブラックベタパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、OD値が1.5を超えるものをA(発色性良好)、OD値が1.3〜1.5の範囲にあるものをB(実用上問題なし)、OD値が1.3未満のものをC(実用不可)とした。
(耐擦性の評価方法)
上記ブラックパッチが記録された記録媒体に、上記光沢紙(MC光沢紙)を、該ブラックパッチ記録面と該光沢紙の裏面とが対向するように重ね合わせ、この状態で両者を数回擦り合わせた後、該ブラックパッチ記録面を目視で観察し、表面に傷がないものをA(耐擦性良好)、表面に細かい傷が見られるものをB(実用上問題なし)、記録部分の一部が剥がれて欠損しているものをC(実用不可)とした。
Figure 2005264115

Claims (9)

  1. ブラックインク組成物と、少なくともシアン、マゼンタ及びイエローの3種の有彩色インク組成物とを備えたインクセットにおいて、
    上記ブラックインク組成物として、分散剤無しに水に分散及び/又は溶解可能に表面処理された自己分散型カーボンブラック及び水を含有するブラックインク組成物(A)と、カーボンブラック、樹脂エマルジョン及び水を含有し、該樹脂エマルジョンの含有量が固形分換算で該カーボンブラックの含有量の20倍以上であるブラックインク組成物(B)とを備え、且つ上記有彩色インク組成物が、顔料、該顔料を分散させる樹脂分散剤及び水を含有することを特徴とするインクセット。
  2. 上記ブラックインク組成物(A)における上記自己分散型カーボンブラックの含有量が0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクセット。
  3. 上記ブラックインク組成物(B)における上記カーボンブラックの含有量が0.01〜0.4重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクセット。
  4. 上記樹脂エマルジョンとして、ポリアルキレン型樹脂エマルジョン及び/又は下記pH調整樹脂エマルジョンを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクセット。
    pH調整樹脂エマルジョン:エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれと共重合可能なその他の単量体を、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物又は共重合性界面活性剤の存在下で重合することで酸価40以下の共重合体を得、無機塩基により該共重合体のpHを調整してなるpH調整樹脂を樹脂成分とする樹脂エマルジョン。
  5. 上記有彩色インク組成物における上記顔料の含有量が0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクセット。
  6. 上記有彩色インク組成物における上記樹脂分散剤の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクセット。
  7. インク組成物の液滴を吐出させて記録媒体上にインクドットからなる画像を記録するインクジェット記録方法において、
    請求項1〜6のいずれかに記載のインクセットを用い、該インクセットを構成する全てのインク組成物のインクドットを上記記録媒体上で重ねることにより無彩色記録部分を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 上記無彩色記録部分において、上記自己分散型カーボンブラックの単位面積当たりの重量と上記カーボンブラックの単位面積当たりの重量との合計量をx、上記有彩色インク組成物由来の樹脂成分の単位面積当たりの重量をy、上記ブラックインク組成物(B)由来の樹脂成分の単位面積当たりの重量をzとした場合、x、y、zの重量比がx:y:z=100:5〜50:5〜50となるように、上記各インク組成物の吐出量を制御することを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録方法。
  9. 上記記録媒体として光沢紙を用いることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録方法。

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