JP2004328436A - A/d変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のA/D変換器12の一つを基準とし、入力端子10aから各A/D変換器の出力端子までのそれぞれの周波数特性と基準のA/D変換器の周波数特性との差の特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているAD特性テーブル25と、複数のA/D変換器12によって変換出力されるサンプル値およびAD特性テーブル25に記憶されている係数に基づいて、A/D変換器がサンプル値を更新するタイミングに他のA/D変換器が変換処理をおこなったと仮定して得られるサンプル値を推定する推定手段22とを設けている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換装置に関し、特に、変換対象のアナログ信号を複数のA/D変換器に入力し、各A/D変換器に所定周期のサンプリングクロックを僅かずつ遅延したタイミングに与えて、低いサンプリング速度で、高分解能のデジタル変換が可能な時間インタリーブ方式のA/D変換装置において、個々のA/D変換器のミスマッチによるサンプル値の変動、スプリアスの発生を低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
アナログ信号をデジタル信号列に変換して各種処理を行なう装置において、高速なアナログ信号の信号処理を行なうものでは、時間インタリーブ方式のA/D変換装置が用いられている。
【0003】
図12は時間インタリーブ方式のA/D変換装置10の基本構成を示し、図13はその動作を示している。
【0004】
このA/D変換装置10は、入力端子10aに入力される図13の(a)のようなアナログの入力信号x(t)を、信号分配器11によって複数N本の信号経路に分岐して、N個のA/D変換器120〜12N−1にそれぞれ入力する。
【0005】
サンプリング制御部13は、図13の(b1)〜(bN)に示すように、それぞれが周期Tを持ち、位相がΔT(=T/N)ずつシフトされたサンプリング用のクロックC0〜CN−1を生成してそれぞれA/D変換器120〜12N−1に与えるとともに、図13の(d)のように、各A/D変換器120〜12N−1のうちサンプリングを行うA/D変換器を指定する指定信号ADNUMを信号切換器14に与える。
【0006】
各A/D変換器120〜12N−1は、クロックC0〜CN−1をそれぞれ受けたときの入力値x(P)、x(P+1)、x(P+2)、…をサンプリングしてディジタル値に変換し、図13の(c1)〜(cN)のように、各サンプル値X0,P、X1,P+1、X2,P+2、…をそれぞれ信号切換器14に出力する。
【0007】
信号切換器14は、各A/D変換器120〜12N−1のうち、指定信号ADNUMで指定されたA/D変換器から出力されるサンプル値X0,P、X1,P+1、X2,P+2、…を順次選択して、図13の(e)のように、サンプル値がそのサンプリング順に並んだディジタル信号列Y(n)を出力端子10bに出力する。
【0008】
このようにして得られるデジタル信号列Y(n)は、入力信号x(t)をクロック周期Tの1/Nのサンプリング周期ΔTでサンプリングして得られるものと等価となり、低速なA/D変換器で高速なサンプリングが行える。
【0009】
ところが、上記A/D変換装置10のように、入力信号x(t)を複数のA/D変換器120〜12N−1に分配入力する場合、信号分配器12自身の分配特性や分配経路の周波数特性の違いおよび各A/D変換器120〜12N−1の周波数特性の違いによって、得られたサンプル値を信号処理した結果に誤差を発生させる。
【0010】
また、各A/D変換器120〜12N−1のサンプリングタイミングを決定するクロックに関しても、その信号経路長の差、各A/D変換器のサンプリングクロックに対する遅延特性の差等によるタイミング誤差が生じて、得られたサンプル値を信号処理した結果に誤差を発生させる。
【0011】
図14は、2個のA/D変換器を用いた時間インタリーブ方式のA/D変換装置に対して、振幅一定で単一周波数fの正弦波の入力信号を与えた場合に得られるディジタル信号列Y(n)の時間波形と、入力信号x(t)に対する振幅誤差E(n)を拡大した波形を示し、図15は、得られたディジタル信号列Y(n)に対するFFT演算結果(周波数スペクトラム)を示している。
【0012】
図14および図15の結果は、一方のA/D変換器のサンプリングタイミングのみを理想のタイミングから位相換算で0.1度だけずらし、その他は全てが理想条件でシミュレーションして得られたものである。
【0013】
図14の各波形から、サンプル値には、入力信号に存在しないサンプリング周期で変動する信号成分が含まれていることが判る。
【0014】
また、図15の周波数スペクトラムから、サンプル値には、入力信号x(t)に存在しないスプリアス成分f′が含まれていることが判る。
【0015】
このように、サンプリングタイミングの僅かな誤差でも、時間領域および周波数領域の誤差が発生し、入力信号に対する時間波形解析処理や周波数スペクトラム解析処理をおこなう場合に、正しい解析が行えない。
【0016】
これら入力端子からA/D変換器に至る特性の不均一性(ミスマッチ)の影響を低減する方法として、次の特許文献1には、各A/D変換器のゲインとオフセットを補正する技術が提案されている。
【0017】
【特許文献1】特開2000−295105
【0018】
また、次の非特許文献1には、複数のA/D変換器をランダムな順番で繰り返し利用することで、誤差となる成分をランダムに拡散させて、スプリアス成分を広範囲に拡散させ、スプリアスレベルを低減する方法が提案されている。
【0019】
【非特許文献1】
Mamoru Tamba, etc.,“A Method to Improve SFDR with Random Interleav−ed Sampling Method”,IEEE ITC International Test Conference, 2001.
【0020】
また、別の方法として、次の非特許文献2には、個々のA/D変換器の周波数特性を補正して誤差を低減する方法が提案されている。
【0021】
【非特許文献2】
Koji Asama, etc.,“A Method to Improve the Performance of High−speed Waveform Digitizing”,IEEE ITC International Test Conference, 1999.
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1のようにA/D変換器のゲインとオフセットを補正する方法では、個々のA/D変換器に特有な周波数特性の違いによる時間波形測定での観測の乱れや周波数スペクトラム測定でのスプリアス発生による測定精度の低下は避けられなかった。
【0023】
また、前記非特許文献1のように、スプリアス成分を拡散させる方法では、誤差のエネルギー自体が低減しておらず依然として存在しており、しかも時間領域における誤差は低減されないという問題がある。
【0024】
また、前記非特許文献2の方法は、サンプリングタイミングのみの補正であり、個々のA/D変換器の特性が厳密にバランスしていることが必須条件となり、しかも、時間領域演算には逆フーリエ変換処理を必要とするため、回路が複雑化し、FFT演算のための余分な処理時間がかかるという問題があった。
【0025】
本発明は、これらの問題を解決して、より簡単な構造で、時間領域および周波数領域の誤差を低減することができるA/D変換装置を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1のA/D変換装置は、
信号を入力するための入力端子(10a)と、
複数のA/D変換器(12)と、
前記入力端子からの入力信号を前記A/D変換器にそれぞれ入力する信号分配器(11)と、
前記各A/D変換器に対し、サンプリングのための所定周期のクロックを、前記A/D変換器数で前記所定周期を割って得られる時間にほぼ等しい時間差で所定順に且つ循環的に与えるとともに、前記クロックを受けてA/D変換処理を行うA/D変換器を指定する指定信号を出力するサンプリング制御部(21)とを有するA/D変換装置において、
前記複数のA/D変換器の1つを基準とし、前記入力端子から前記各A/D変換器の出力端子までのそれぞれの周波数特性と前記基準のA/D変換器の周波数特性との差の特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているAD特性テーブル(25)と、
前記指定信号、前記複数のA/D変換器によって変換出力されるサンプル値および前記AD特性テーブルに記憶されている係数に基づいて、前記クロックを受けたA/D変換器がサンプル値を更新するタイミングに他のA/D変換器が変換処理をおこなったと仮定して得られるサンプル値を推定する推定手段(22)とを設けたことを特徴としている。
【0027】
また、本発明の請求項2のA/D変換装置は、請求項1のA/D変換装置において、
前記推定手段は前記各A/D変換器毎に設けられ、それぞれが対応するA/D変換器についてのサンプル値を推定するように構成され、
前記基準のA/D変換器と各A/D変換器の周波数特性の差をそれぞれ相殺する周波数特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているイコライザ係数テーブル(27)と、
前記各推定手段毎にそれぞれ設けられ、各推定手段から出力されるサンプル値に対して、前記イコライザ係数テーブルに記憶されている係数に基づくフィルタリングをそれぞれ行なって、誤差補正されたサンプル値をそれぞれ出力する複数のイコライザ(23)と、
前記指定信号と前記複数のイコライザからのサンプル値とを受け、前記A/D変換器が前記クロックによってサンプリングする順に前記複数のイコライザのサンプル値を選択して出力する信号切換器(24)とを設けたことを特徴としている。
【0028】
また、本発明の請求項3のA/D変換装置は、請求項1または請求項2記載のA/D変換装置において、
前記複数のA/D変換器に入力されるクロックの位相を調整する位相調整手段(31)を設けたことを特徴としている。
【0029】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の前提となる技術について説明する。
始めに、前記したN個のA/D変換器12のうちの任意のものを基準A/D変換器と定め、各A/D変換器毎に、入力端子からA/D変換器までの入力特性や変換特性およびサンプリング系の位相誤差特性をまとめて周波数特性を算出し、その各周波数特性と基準のA/D変換器についての周波数特性との差を求めて、これをミスマッチ特性と定義する。
【0030】
また、本発明で扱う入力信号x(t)は、N個のA/D変換器を用いて実現する高速サンプリング周波数をFs(=1/ΔT)としたとき、0〜Fs/2で帯域制限されているとする。
【0031】
次に、各ミスマッチ特性を有するミスマッチ回路をそれぞれのA/D変換器の前段に挿入し、その周波数特性をHi(ω)(i=0,1,…,N−1)と定義し、さらに、各ミスマッチ特性Hi(ω)をキャンセルする仮想等価器のイコライズ特性Gi(ω)を定義する。
【0032】
ここで、入出力信号が0〜Fsの周波数範囲に帯域制限されている条件下で、連続システムをサンプリング周期ΔT(=1/Fs)で表される離散システムに置き換えた場合に、ミスマッチ特性Hi(ω)およびイコライズ特性Gi(ω)と等価な入出力特性を示すミスマッチ特性Hi *(ω)およびイコライズ特性Gi *(ω)を考え、これらの特性に対応するインパルス応答hi,uおよびgi,kを次式によって算出する。なお、インパルス列の長さuおよびkは、必要精度で加減する。
【0033】
Gi *(ω)=1/Hi *(ω) ……(1)
hi,u=F−1{Hi *(ω)} ……(2)
gi,k=F−1{Gi *(ω)} ……(3)
ただし、i=0,1,…,N
記号F−1は、離散フーリエ逆変換演算を示す
【0034】
ここで、A/D変換器120を基準として、図1の等価回路について考察する。
【0035】
各A/D変換器121〜12N−1は、基準のA/D変換器120に対するミスマッチ成分がミスマッチ回路特性に換算されているので、図1の等価回路に示すように、入力信号x(t)を基準のA/D変換器120の変換特性110で離散システムに変換した信号x(n)を、各A/D変換器についてのミスマッチ回路1120〜112N−1に通過させた後に、誤差が無い理想A/D変換器1300〜130N−1でA/D変換した場合と等価である。
【0036】
さらに、各理想A/D変換器1300〜130N−1から順次出力されるデジタル値は、それぞれ仮想等価器1310〜131N−1に入力され、個々のA/D変換器毎に定義されたイコライザ(インパルス応答gi,kで定義される)で等価処理を実施した後、各仮想等価器1310〜131N−1からサンプル値Y(n)として出力されることになる。
【0037】
なお、以下では説明を簡単化するために、基準のA/D変換特性110は、入力信号をそのまま出力に伝送しているものとするが、必要に応じて、この特性を補正してもよい。
【0038】
上記等価回路において、各ミスマッチ回路1120〜112N−1の周波数特性を表すインパルス列の長さuを等しくUで表せば、理想A/D変換器1300〜130N−1の入力xi,nは、次式で表される。
【0039】
xi,n=uΣx(n−u)・hi,u ……(4)
ただし、i=0,1,…,N−1
記号uΣは、u=−(U−1)〜(U−1)までの総和を示す
【0040】
ここで、各A/D変換器120〜12N−1のサンプリングタイミングと理想A/D変換器1300〜130N−1のサンプリングタイミングを等しくすれば、理想A/D変換器1300〜130N−1は、入力された値xi,nを周期TでA/D変換処理した後、各A/D変換器のサンプリングタイミングに合わせてサンプル値を仮想等価器1310〜131N−1に出力するから、理想A/D変換器1300がP番目のサンプル値を出力するとすれば、n番目に出力されるサンプル値は次式で表されるJ(n)番目の理想A/D変換器から出力されることになる。
【0041】
xJ(n),n=uΣx(n−u)・hJ(n),u…… (5)
記号uΣは、u=−(U−1)〜(U−1)までの総和を示す
【0042】
ここで、J(n)は、Nを法とする正の値であり、
J(n)=n−P mod(N)
と表す。
【0043】
即ち、個々の理想A/D変換器は、入力された値xi,nに対して、N個おき(周期T秒毎)にデータを仮想等価器に出力することになる。
【0044】
今、仮に理想A/D変換器がΔT毎にサンプル値を出力することにすれば、ミスマッチ回路から出力される値xi,nが、仮想等価器にそのまま入力されることになり、仮想等価器内部の対応するイコライザは、定義によりミスマッチ回路の特性を補正するように働くから、ミスマッチ回路およびイコライザの計算上の遅延が0となるように係数を定めれば、入力した値x(n)と同じ値のサンプル値Y(n)がN個の仮想等価器1310〜131N−1から出力されることになる。
【0045】
理想A/D変換器がΔT毎にサンプル値を出力したと仮定したときに、仮想等価器1310〜131N−1内部のイコライザによる処理は、対応するA/D変換器毎に定められるイコライザのインパルス応答gi,kを用いて次式で定められる。
【0046】
Y(n)=kΣxJ(n),n−k・gJ(n),k ……(6)
ただし、Kはイコライザのインパルス列の長さを示し、記号kΣは、k=−(K−1)〜K−1までの総和を示す
【0047】
ここで上式(6)が成立するためには、xJ(n),n−kについて、k=−(K−1)〜K−1に対して全ての値が必要であるが、実際の各A/D変換器は、前記したように、N個おきの値しか出力できない。
【0048】
そこで、この発明では、他のA/D変換器のサンプル値を用いて、イコライズに必要なサンプル値を推定し、その後に式(6)の等価演算処理を行う。
【0049】
さらに、各仮想等価器1310〜131N−1が算出したn番目の出力候補のうち、最も誤差が少なくなるJ(n)番目(演算による遅延を0とした場合)の仮想等価器からの出力をサンプル値Y(n)として出力する。
【0050】
ここで、J(n)番目のA/D変換結果を推定するために、J(n)番目以外のA/D変換出力
xJ(n−r),n−r−k
ただし、r≠q×N(q:0,±1,±2,…)の場合
について考察する。
【0051】
この場合、n−r番目の値をもっているのは、(n−r−P) mod(N)番目のA/D変換器であり、定義によりn−r番目の入力値x(n−r)は、イコライズされた出力値Y(n−r)と等しい値であるから、次式が成り立つ。
【0052】
x(n−r)=Y(n−r)
=kΣxJ(n−r),n−r−k・gJ(n−r),k ……(7)
ただし、記号kΣは、k=−(K−1)〜K−1までの総和を示す
【0053】
また、式(4)において、理想A/D変換器がサンプリングタイミングをずらし、J(n)番目のA/D変換器がn−r番目のサンプリングを行なったと仮定して得られる推定サンプル値xJ(n),n−rは、以下のように得られる。
【0054】
xJ(n),n−r=uΣx(n−r−u)・hJ(n),u ……(8)
ただし、記号uΣは、u=−(U−1)〜U−1までの総和を示す
【0055】
上記式(8)に式(7)を代入すれば、推定サンプル値xJ(n),n−rが得られ、その得られた推定サンプル値に対して前記式(6)の処理を行うことで、N個のA/D変換器による出力値y(n)を得ることができる。
【0056】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図2は、上記前提技術に基づく実施形態の時間インタリーブ方式のA/D変換装置20の構成を示している。
【0057】
図2において、入力端子10a、信号分配器11、N個のA/D変換器120〜12N−1および出力端子10bは、前記したA/D変換装置10と同一であるので同一符号を付して説明する。
【0058】
このA/D変換装置20では、前記したA/D変換器10と同様に、入力端子10aに入力されるアナログの入力信号x(t)が、信号分配器11によって複数N本の信号経路に分岐されて、周波数特性がほぼ等しいN個の信号x0(t)〜xN−1(t)がA/D変換器120〜12N−1にそれぞれ入力する。
【0059】
また、サンプリング制御部21から、周期TでΔT(=T/N)時間ずつ位相がシフトしたサンプリング用のクロックC0〜CN−1を発生してそれぞれA/D変換器120〜12N−1に与えて、入力信号に対するサンプリングを各A/D変換器120〜12N−1で行なわせる。
【0060】
このサンプリング制御部21は、周期ΔTのサンプリングタイミング信号(以下、単にタイミング信号と記す)Ctを基に前記したクロックC0〜CN−1を生成するとともに、タイミング信号Ctのタイミングに合わせて、A/D変換結果(サンプル値)を更新するA/D変換器を指定する指定信号ADNUMを、後述する推定手段220〜22N−1および信号切換器24に出力する。
【0061】
各A/D変換器120〜12N−1の出力は、それぞれN個の推定手段220〜22N−1に入力される。
【0062】
各推定手段220〜22N−1は、それぞれがN個のA/D変換器120〜12N−1の出力と、サンプリング制御部21からの指定信号ADNUMを受けている。
【0063】
各推定手段220〜22N−1は、タイミング信号Ctで示されるタイミング毎に、入力されたN個のサンプル値、指定信号ADNUMおよび後述するAD特性テーブル25の係数とに基づいて、予め決定した推定値算出処理により定まる数E(3点のサンプリング点を用いて推定値を得る場合にE=1以上となり、1点のサンプリング点を用いて推定値を得る場合にはE=0以上となる)個前のサンプリングタイミングで、A/D変換器がサンプリング動作したと仮定したときのサンプル値を推定する。
【0064】
例えば、3点のサンプリング点を用いて推定を行なう場合には、更新されたサンプル値をもつA/D変換器の番号をa(ADNUM=a)とし、Nを法とする正の数b、cを次式によって求める。
【0065】
b=a−1 mod(N) ……(11a)
c=a−2 mod(N) ……(11b)
【0066】
そして、i=bのとき、推定サンプル値Wi,nを、
Wi,n=xb,n ……(12a)
とする。
【0067】
また、i≠bのとき、推定サンプル値Wi,nを、次の演算で求める。
【0068】
【0069】
上記式で、hi,−1、hi,0、hi,1は、後述するAD特性テーブル25に予め記憶されている係数である。また、上記式(12b)の第1項は主に振幅誤差に関わる項、第2項および第3項は主に位相誤差に関わる項である。
【0070】
各推定手段22から出力された推定サンプル値Wは、それぞれイコライザ230〜23N−1に入力される。
【0071】
各イコライザ230〜23N−1は、入力された推定サンプル値Wに対して、後述するイコライザ係数テーブル27に記憶されている係数(フィルタ係数)を用いて等価演算処理を行って、その結果、即ち、基準のA/D変換器に対して誤差補正されたサンプル値yをタイミング信号Ctで示されるタイミングでそれぞれ信号切換器24に出力する。
【0072】
信号切換器24は、各イコライザ230〜23N−1から出力されるサンプル値を受け、指定信号ADNUMで指定された値(ここではADNUM=a)、推定値算出処理によって定まる数Eおよびイコライザ係数テーブル27を定義する際に定められるオフセット値a0を用いてイコライザを指定する値eを、
e=a−E−a0 mod(N)
の計算により求め、指定信号ADNUMで指定された値aに対してe番目のイコライザ23eの出力結果ye,nを選択して、最終のAD変換結果Y(n)として出力する。
【0073】
なお、得られるA/D変換結果は、推定値算出処理により理論計算よりE+a0分のサンプリングタイミングだけ遅延して得られる。
【0074】
一方、AD特性テーブル25には、サンプリング周期ΔT(=T/N)で表される離散システムで考慮した場合の入力端子10aから各A/D変換器の出力端までの周波数特性に対する基準のA/D変換器との周波数特性の差Hi *(ω)を3ポイントのインパルス応答で単純化された係数が予め記憶されている。
【0075】
このインパルス応答を求めるために、周波数特性の差の特性Hi *(ω)を、基準A/D変換器についての周波数特性HO*(ω)および各A/D変換器120〜12N−1についての周波数特性HOi *(ω)から次式によって算出する。なお、差の特性は計算上では以下のように比となる。
【0076】
Hi *(ω)=HOi *(ω)/HO*(ω)……(13)
【0077】
次に、サンプリング定理を満たす範囲において、周波数特性Hi *(ω)と等価なインパルス応答をもつFIRフィルタを設計する。ただし、前記等価なインパルス応答をもつフィルタの設計に際しては、設計されるN個のフィルタ全てに共通する絶対遅延量τ0(秒)を任意に設定した後に、個々のフィルタ設計を行う。
【0078】
得られるフィルタの係数を時系列順に、…、hi,−1、hi,0、hi,1、…(ただし、i=0,1,2,…,N−1)と表した場合、絶対遅延量τ0は、係数hi,0の絶対値が最大となり、かつ設計するN個のFIRフィルタの係数を考慮した場合に、係数の2乗の総和Σ(hi,−1)2とΣ(hi,1)2がほぼ等しい値となるように絶対遅延量τ0を設定する。
【0079】
次に、得られた係数の中から、係数列hi,−1、hi,0、hi,1で示される値を用いて図3に示すAD特性テーブル25を作成する。
【0080】
このAD特性テーブル25は、例えばテーブル位置(i,−1)にはhi,−1を、テーブル位置(i,0)にはhi,0を、テーブル位置(i,1)にはhi,1を対応させる。
【0081】
一方、イコライザ係数テーブル27は、前記した式(13)で算出した周波数特性の差Hi *(ω)を基に、次式により周波数特性Gi *(ω)を算出する。
【0082】
Gi *(ω)=1/Hi *(ω) ……(14)
ただし、Hi *(ω)≠0
【0083】
そして、サンプリング定理を満たす範囲では、周波数特性Gi *(ω)と等価なインパルス応答をもつイコライザ(フィルタ)をi番目のA/D変換器に対応するイコライザと定義し、そのイコライザに要求されるフィルタ係数を求めてイコライザ係数テーブル27に予め用意しておく。ただし、この等価なインパルス応答をもつフィルタの設計に際しては、設計されるN個のフィルタ全てに共通する絶対遅τ1(秒)を設定した後に、個々のフィルタ設計を行う。
【0084】
得られるフィルタの係数を時系列順に、…、gi,−1、gi,0、gi,1、…と表した場合、全フィルタに共通する絶対遅延量τ1の設定値は任意であるが、イコライザ係数テーブル27の設計においては、係数gi,0の絶対値が最大となり、かつ設計するN個のフィルタ係数の2乗の総和Σ(gi,−1)2とΣ(gi,1)2がほぼ等しくなるように絶対遅延量τ1を設定する。
【0085】
次に、得られた係数の中から、|gi,M1|<ε(ここでεは、予め定められた許容誤差)を満足する最小値M1を決定し、同様にして|gi,M2|<εを満足する最大値M2を決定し、係数列gi,M1、…、gi,−1、gi,0、gi,1、…、gi,M2を用いて、図4のように、イコライザ係数テーブル27を作成する。この場合、例えばテーブル位置(i,M1)にはgi,M1を、テーブル位置(i,M1+1)にはhi,M1+1を対応させ、以後同様に、テーブル位置(i,M2)まで順に対応させる。
【0086】
このとき、設計される推定手段22、イコライザ23の時間応答に合わせて、前記したオフセット値a0=1(構成する回路の絶対遅延量により異なる)を決定する。
【0087】
次に、このA/D変換装置20の動作を図5、図6に基づいて説明する。
図5の(a)のように入力端子10aに入力された入力信号x(t)は、信号分配器11によってN本の信号経路に分岐され,各A/D変換器120〜12N−1に入力される。
【0088】
各A/D変換器120〜12N−1は、図5の(b1)〜(bN)のように、サンプリング制御部21から出力されるクロックC0〜C12をそれぞれ受けて、それぞれの入力信号x0(t)〜xN−1(t)に対するA/D変換処理をほぼΔT時間ずつ遅れたタイミングに順次行い、その変換処理によって得られたサンプル値X0,P、X1,P+1、…、XN−1,P+N−1を、図5の(c1)〜(cN)のようにそれぞれ出力する。
【0089】
ここで、サンプリングタイミング順に番号を付け、P番目のサンプリングでは、A/D変換器120がA/D変換処理を行ってそのサンプル値を更新したと定義し、その更新されたサンプル値をX0,P、と表すとする。
【0090】
このとき、サンプリング制御部21は図5の(d)、(e)に示すように、A/D変換結果の更新タイミングに合わせて、サンプル値を更新したA/D変換器120を指定する指定信号ADNUM(例えばADNUM=0とする)と、入力信号に対するサンプリングタイミングを示すタイミング信号Ctを出力する。
【0091】
他のA/D変換器121〜12N−1は変換結果を更新しないので、P番目のサンプリングが行われる前から保持している値を出力している。
【0092】
即ち、
X1,P=X1,P−1、X2,P=X2,P−1、…、
XN−1,P=XN−1,P−1
となる。
【0093】
次のP+1番目のサンプリングタイミングには、ADNUM=1となり、A/D変換器121のサンプル値が更新され、他のA/D変換器120、122〜12N−1は、P番目のサンプリングタイミングのときと同じ値を出力する。
【0094】
以後同様に各A/D変換器120〜12N−1による変換処理が順番に行われ、N−1番目のA/D変換器12N−1のサンプル値が更新された後に、再び0番目のA/D変換器120によるサンプル値の更新がなされ、上記動作が循環的に繰り返される。
【0095】
各推定手段220〜22N−1は、前記したように、サンプル値が更新されていないA/D変換器がそのタイミングでサンプリング動作したと仮定したときのサンプル値を、更新されたサンプル値を用いて推定する。
【0096】
例えば、Nが3以上の場合で、一つの推定手段220についてみると、図6に示すように、A/D変換器121によりP+1番目のサンプル値が更新されたタイミングでは、各A/D変換器について一つ前のサンプリングタイミングでP番目のサンプル値の推定が可能となる。推定手段220のP番目の推定サンプル値W0,Pとしては、A/D変換器120がサンプル値X0,Pを既にもっているから、この値をそのまま出力する。即ち、前記式(12a)のi=b=0の場合に相当する。
【0097】
また、その次のP+2番目のサンプリングタイミングにおける推定サンプル値W0,P+1は、そのサンプリングタイミングに更新されたA/D変換器122のサンプル値X2,P+2と、一つ前のサンプリングタイミングのサンプル値X1,P+1と、さらにその一つ前のサンプリングタイミングのサンプル値X0,Pと、AD特性テーブル25の係数とを用いて、前記式(12b)のi≠bの場合で示す演算式にしたがって算出する。
【0098】
さらに、その次のP+3番目のサンプリングタイミングにおける推定サンプル値W0,P+2は、そのサンプリングタイミングに更新されたA/D変換器123のサンプル値X3,P+3と、一つ前のサンプリングタイミングのサンプル値X2,P+2と、さらにその一つ前のサンプリングタイミングのサンプル値X1,P+1と、AD特性テーブル25の係数とを用いて、前記式(12b)のi≠bの場合で示す演算式にしたがって算出する。
【0099】
以下同様の推定処理がなされて、その推定サンプル値が時系列に並んだサンプル列W0,P、W0,P+1、…がイコライザ230に出力される。
【0100】
他の推定手段221〜22N−1についても同様の推定処理がなされ、その推定サンプル値Wm,P、Wm,P+1、…(m=1,2,…,N−1)がそれぞれイコライザ231〜23N−1に出力される。
【0101】
イコライザ231〜23N−1は、それぞれ入力される推定サンプル値Wに対して、イコライザ係数テーブル27の係数による等価処理(フィルタリング)を行い、基準のA/D変換器について周波数特性に対して誤差補正されたサンプル値yi,P、yi,P+1、…(i=0,1,…,N−1)を信号切換器24にそれぞれ出力する。
【0102】
信号切換器24は、A/D変換器を指定する指定信号ADNUMに対して前記したオフセット値e分だけずれたタイミングにその指定信号ADNUMで指定されるA/D変換器に対応するイコライザ23の出力値を順次選択して、その選択値が時系列に並んだディジタル信号列Y(n)を出力する。
【0103】
このようにして得られた最終のA/D変換結果Y(n)は、各A/D変換器12の変換処理で実際に得られたサンプル値と各推定手段22で推定算出されたサンプル値からなるサンプル列を、それぞれイコライザ23によって誤差補正しているため、信号分配器11や配線等を含むA/D変換器間の周波数特性差による誤差の影響を格段に低減することができる。
【0104】
また、各イコライザ23が出力するサンプル列のうち、同一サンプリングタイミングで得られる最も誤差の少ないサンプル値が信号切換器24によって選択されるようにしているので、時間波形解析や周波数スペクトラムによる解析誤差を大幅に改善することができる。
【0105】
次に、上記構成のA/D変換装置20の特性例を示す。
図7の(a)、(b)は、N=4で、周波数10MHzの正弦波を入力信号として、前記実施形態の装置と前記した従来装置10とに与えたときに得られたディジタル信号列Y(n)と入力信号に対する誤差E(n)の時間波形を示したものである。
【0106】
図7の(a)に示す実施形態のA/D変換装置20の時間波形は、図7の(b)に示している従来装置の時間波形に対して、誤差がほとんど発生していないことが判る。
【0107】
また、図8は、周波数10MHzの正弦波を入力信号したときに、前記実施形態の装置と従来装置が出力するディジタル信号列Y(n)に対するFFT解析を行って得られた周波数スペクトラム波形を示したものである。
【0108】
図8の(b)に示している従来装置のスペクトラム波形では、10MHzの基本波以外に、およそ41MHz、61MHz、93MHzの周波数近傍に大きな(基本波に対して約−40dB)スプリアスが発生しているのに対し、図8の(a)に示す実施形態のA/D変換装置20のスペクトラム波形は、基本波の10MHz以外のスプリアス成分は観測されていない。
【0109】
また、図9は、周波数98MHzの正弦波を入力信号したときに、実施形態の装置と従来装置とが出力するディジタル信号列Y(n)に対するFFT解析を行って得られた周波数スペクトラム波形を示したものである。
【0110】
図9の(b)に示している従来装置のスペクトラム波形では、98MHzの基本波以外に、およそ4MHz、47MHz、56MHzの周波数近傍に大きな(基本波に対して約−40dB)スプリアスが発生しているのに対し、図9の(a)に示す実施形態のA/D変換装置20のスペクトラム波形は、基本波の98MHz以外に、およそ4MHz、47MHz、56MHzの周波数近傍にノイズレベルより僅かに大きい(基本波に対して約−85dB)スプリアス成分のみが観測されるだけである。
【0111】
このように、実施形態のA/D変換装置20によって得られるディジタル信号列は、時間波形の誤差や周波数スペクトラムのスプリアスの要因となる誤差分が大きく低減されていることが判る。
【0112】
上記したA/D変換装置20では、各A/D変換器毎に推定手段22とイコライザ23とを設け、各イコライザ23の出力を信号切換器24によって選択していたが、前記したように推定手段22は、対応するA/D変換器自身がサンプリング動作しないときに、他のA/D変換器のサンプル値とAD特性テーブル25の係数に基づいてサンプル値を推定出力しているので、図10に示すように、イコライザ23および信号切換器24を省略し、各A/D変換器12のサンプル値を唯一の推定手段22に入力して、その推定手段22が出力する推定サンプル値Wをそのまま最終のA/D変換結果Y(n)として出力端子10bから出力することも可能である。
【0113】
このように構成した場合、装置構成を格段に簡単化できる。また、従来装置に比べてスプリアスの発生を約30dB改善できることが確認されている。
【0114】
また、前記したA/D変換装置20では、3つのA/D変換結果からサンプル値を推定していたが、推定が必要なサンプル値のサンプリングタイミングに更新された1つのA/D変換結果からサンプル値を推定してもよい。
【0115】
この場合、前記式(12b)の第1項目において、b=aとした計算式だけを用いて推定することが可能になり、算出処理を高速化できる。また、この場合でも、従来装置に比べてスプリアスの発生を約40dB改善できることが確認されている。
【0116】
また、N=2の場合、2つのA/D変換器120、121が交互にA/D変換処理を行うため、3つのサンプル値で推定を行う場合には、A/D変換器121の更新前のサンプル値X1,P−1を対応する推定手段221のメモリ(図示せず)に記憶しておき、A/D変換器121の更新後のサンプル値X1,P+1が得られたときに、それらの2つのサンプル値X1,P−1、X1,P+1と、他方のA/D変換器120のサンプル値X0,Pとから、サンプル値X1,P−1、X1,P+1の中間のタイミングのサンプル値W1,Pを推定算出すればよく、これは他方のA/D変換器120についても同様である。
【0117】
また、図11に示すように、各A/D変換器120〜12N−1にそれぞれ入力されるクロックC0〜N−1の位相を調整する位相調整手段310〜31N−1(例えばラインストラッチャ等)を設けて、サンプリング周波数の上限(Fs/2)で各クロック信号の位相を理想値に設定することで、非線型誤差を減少させることができ、このように位相調整を行うことで、前記したように、A/D変換処理で得られた1つのサンプル値からサンプル値を推定する場合でも、変換誤差を小さくすることができる。
【0118】
また、このようにサンプリングのタイミング誤差を低減することで、イコライザ23のタップ長(前記したM1、M2の大きさ)を短くでき、イコライザ23自身を簡単に構成することができる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のA/D変換装置は、複数のA/D変換器の1つを基準とし、入力端子から各A/D変換器の出力端子までのそれぞれの周波数特性と基準のA/D変換器の周波数特性との差の特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているAD特性テーブルと、複数のA/D変換器によって変換出力されるサンプル値およびAD特性テーブルに記憶されている係数に基づいて、クロックを受けたA/D変換器がサンプル値を更新するタイミングに他のA/D変換器が変換処理をおこなったと仮定して得られるサンプル値を推定する推定手段とを設けている。
【0120】
このため、基準に対する各A/D変換器の周波数特性の差を相殺して、時間波形の誤差やスプリアスの発生を低減することができる。
【0121】
また、この一つの推定手段から出力されるサンプル列を装置全体のA/D変換結果として出力する構成が可能となり、装置構成を簡単化することができる。
【0122】
また、推定手段を各A/D変換器毎に設け、それぞれが対応するA/D変換器についてのサンプル値を推定するように構成するとともに、基準のA/D変換器と各A/D変換器の周波数特性の差をそれぞれ相殺する周波数特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているイコライザ係数テーブルと、各推定手段毎にそれぞれ設けられ、各推定手段から出力されるサンプル値に対して、イコライザ係数テーブルに記憶されている係数に基づくフィルタリングをそれぞれ行なって、誤差補正されたサンプル値をそれぞれ出力する複数のイコライザと、指定信号と複数のイコライザからのサンプル値とを受け、A/D変換器がクロックによってサンプリングする順に複数のイコライザのサンプル値を選択して出力する信号切換器とを設けている。
【0123】
このため、基準に対する各A/D変換器の周波数特性の差の特性が相殺されて誤差が補正されたサンプル列を得ることができ、しかも、そのサンプル列から誤差がより少ないサンプル値を出力することができ、時間波形の誤差やスプリアスの発生をより低減することができる。
【0124】
また、複数のA/D変換器に入力されるクロックの位相を調整する位相調整手段を設けたものでは、サンプリング周波数の上限(Fs/2)で各クロックの位相を理想値に設定することで、非線型誤差を減少させることができ、このように位相調整を行うことで、例えばA/D変換処理で得られた1つのサンプル値からサンプル値を推定する場合でも、変換誤差を小さくすることができる。
【0125】
また、イコライザのタップ長を短くでき、イコライザ自身を簡単に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前提技術を説明するための図
【図2】本発明の実施形態の構成を示す図
【図3】実施形態の要部のテーブル図
【図4】実施形態の要部のテーブル図
【図5】実施形態の動作説明図
【図6】実施形態の動作説明図
【図7】実施形態の特性を示す図
【図8】実施形態の特性を示す図
【図9】実施形態の特性を示す図
【図10】他の実施形態を示す図
【図11】クロックに対する位相調整手段を付加した例を示す図
【図12】従来装置の構成を示す図
【図13】従来装置の動作説明図
【図14】従来装置の特性を示す図
【図15】従来装置の特性を示す図
【符号の説明】
10a……入力端子、10b……出力端子、11……信号分配器、12……A/D変換器、20……A/D変換装置、21……サンプリング制御部、22……推定手段、23……イコライザ、24……信号切換器、25……AD特性テーブル、27……イコライザ係数テーブル、31……位相調整手段
Claims (3)
- 信号を入力するための入力端子(10a)と、
複数のA/D変換器(12)と、
前記入力端子からの入力信号を前記A/D変換器にそれぞれ入力する信号分配器(11)と、
前記各A/D変換器に対し、サンプリングのための所定周期のクロックを、前記A/D変換器数で前記所定周期を割って得られる時間にほぼ等しい時間差で所定順に且つ循環的に与えるとともに、前記クロックを受けてA/D変換処理を行うA/D変換器を指定する指定信号を出力するサンプリング制御部(21)とを有するA/D変換装置において、
前記複数のA/D変換器の1つを基準とし、前記入力端子から前記各A/D変換器の出力端子までのそれぞれの周波数特性と前記基準のA/D変換器の周波数特性との差の特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているAD特性テーブル(25)と、
前記指定信号、前記複数のA/D変換器によって変換出力されるサンプル値および前記AD特性テーブルに記憶されている係数に基づいて、前記クロックを受けたA/D変換器がサンプル値を更新するタイミングに他のA/D変換器が変換処理をおこなったと仮定して得られるサンプル値を推定する推定手段(22)とを設けたことを特徴とするA/D変換装置。 - 前記推定手段は前記各A/D変換器毎に設けられ、それぞれが対応するA/D変換器についてのサンプル値を推定するように構成され、
前記基準のA/D変換器と各A/D変換器の周波数特性の差をそれぞれ相殺する周波数特性を満たすインパルス応答を有するフィルタの係数を予め記憶しているイコライザ係数テーブル(27)と、
前記各推定手段毎にそれぞれ設けられ、各推定手段から出力されるサンプル値に対して、前記イコライザ係数テーブルに記憶されている係数に基づくフィルタリングをそれぞれ行なって、誤差補正されたサンプル値をそれぞれ出力する複数のイコライザ(23)と、
前記指定信号と前記複数のイコライザからのサンプル値とを受け、前記A/D変換器が前記クロックによってサンプリングする順に前記複数のイコライザのサンプル値を選択して出力する信号切換器(24)とを設けたことを特徴とする請求項1記載のA/D変換装置。 - 前記複数のA/D変換器に入力されるクロックの位相を調整する位相調整手段(31)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のA/D変換装置。
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