JP2004319524A - ガラスセラミック配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基体の内部に形成したコンデンサ電極層間の絶縁層の絶縁性が安定し、かつ設計通りに高周波信号を通すことができる、低融点導体材料が使用可能なガラスセラミック配線基板を提供すること。
【解決手段】ガラスセラミックスから成る絶縁層2a〜2dを複数積層して成る絶縁基体2の内部に配線層3と絶縁層2bを挟んで対向するコンデンサ電極層4とを有するガラスセラミック配線基板1であって、コンデンサ電極層4間の絶縁層2bはガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を含むガラスセラミックグリーンシートを焼成して成るものであり、無機粉末は平均粒径が0.5〜1.0μmであり、かつ粒度分布が個数積算粒径分布における10%粒径をD10、50%粒径をD50、90%粒径をD90としたときに(D90−D10)/D50≦1であるガラスセラミック配線基板1である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスセラミックスから成る絶縁層を複数積層して成る絶縁基体の内部に、配線層および絶縁層を挟んで対向するコンデンサ電極層を備えるガラスセラミック配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やノートパソコン等の電子機器は小型化が要求されている。そのため、これらの電子機器にコンデンサ等の電子部品を高密度で実装することが必要となっている。これに対し、より一層の小型化を図るため、電子部品、例えばチップコンデンサ等を配線基板に搭載してこの配線基板を電子機器に使用するのではなく、配線基板の内部にコンデンサ等の電子部品の機能を内蔵させるという手法が採用されてきている。
【0003】
このような、電子部品、例えばコンデンサの機能を内蔵して成る配線基板は、一般に、ガラスセラミックスや酸化アルミニウム質焼結体等から成る絶縁層を複数積層して成る絶縁基体の内部に、メタライズ導体から成る配線層を形成するとともに絶縁層の一部を挟んで対向するコンデンサ電極層を形成し、このコンデンサ電極層に挟まれた絶縁層を誘電体層として機能させる構造を有している。
【0004】
また、このような配線基板では、配線層を伝送する信号の損失・劣化を極力小さくするため、配線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求されており、これに応えるには、配線層を銅・銀・金等の低抵抗金属で形成することが必要となってきている。これらの低抵抗金属は、融点が約1000℃と比較的低温であることから、このような低抵抗金属から成る配線層を絶縁層との同時焼成により形成することを可能とするために、800〜1000℃の低温で焼結が可能なガラスセラミックスを絶縁基体として用いるガラスセラミック配線基板が一般化されている。
【0005】
ガラスセラミック配線基板にコンデンサを内蔵するには、上述した様に、絶縁層の一部を誘電体層とし、その誘電体層を挟むように上下に対向させてコンデンサ電極層が形成される。
【0006】
このようなガラスセラミック配線基板は、通常、ガラスおよびセラミックフィラーから成る無機粉末とバインダとから成るセラミックグリーンシートを複数枚準備し、これらのガラスセラミックグリーンシートを積層して焼成することにより形成される。
【0007】
このときに誘電体層となる絶縁層の厚みを他の絶縁層よりも薄くすることにより、高容量のコンデンサを形成することが可能となるが、近時、電子機器のより一層の高機能化・小型化の要求に伴い、このコンデンサのより一層の高容量化や、配線基板のより一層の小型化が強く求められるようになってきている。
【0008】
内蔵したコンデンサの高容量化のためには、単位面積当りの静電容量を向上させる必要があり、誘電体層として機能する絶縁層の厚みをさらに薄くすることが必要となっている。しかし、誘電体層を薄くすると、ガラスセラミックスから成る絶縁層は内部に空孔が発生しやすいため、その空孔を起点とした絶縁破壊が発生して絶縁性が劣化するという問題点があった。
【0009】
この問題点に対して、例えば誘電体層と電極層(コンデンサ電極層)とを交互に積層してなる積層セラミックコンデンサにおいては、誘電体層を(CaSr1−X(Ti1−YZr)O2+m(但し、0<X≦0.2、0<Y≦0.6、0.90≦m≦1.10)で表される組成物と、MnをMnに換算してこの組成物に対して0.1〜2.0mol%と、Ba,CaおよびSiを(BaCa1−ZSiO2+V(但し、0≦Z≦1、0.5≦V≦2.0)に換算してこの組成物に対して0.5〜5.0質量%と、Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Nb,Mo,Ta,WおよびVからなる群より選ばれる少なくとも1種をこの組成物に対して0.02〜1.0mol%とで形成することが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
これによれば、誘電体層を上記のような組成にしたことにより、誘電体層の絶縁耐圧(コンデンサ電極層間の絶縁層の絶縁性)が高い積層セラミックコンデンサとすることができるというものである。また、この誘電体層を形成するための組成物を粉体の状態で使用することにより、その粉体の平均粒径を小さくしたり比表面積を大きくしたりすることによって、粉体の混合時の分散性を向上させることができ焼成後の誘電体層の緻密化が図れることから、得られるコンデンサ電極層間の誘電体層の絶縁耐圧を高くすることができるというものである。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−134350号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特許文献1に開示された技術は、積層セラミックコンデンサに特化したものであり、積層体の焼成温度は1250〜1350℃、好ましくは1250〜1300℃である。従って、その誘電体層は800〜1000℃の低温で焼結ができないため、銅を主成分としたメタライズ導体を同時焼成することができないという問題点があった。そして、コンデンサを内蔵したガラスセラミック配線基板においては、銅を主成分としたメタライズ導体を絶縁基体と同時焼成できないと、絶縁基体の表面や内部に銅を主成分とする低抵抗の配線層を形成することが困難となるため、配線層により電気信号を伝送する配線基板の誘電体層としての絶縁層を形成するものとしては不適当である。
【0013】
本発明は上記の問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、絶縁基体の内部に形成したコンデンサ電極層間の誘電体層としての絶縁層中に粗大な内部空孔の発生を抑えることにより、緻密化した焼結体から成る誘電体層を得ることができ、高静電容量のコンデンサを内蔵することが可能であるとともにその絶縁性も安定しており、しかも配線層が低抵抗で、高周波信号や低消費電力化された微弱な信号を設計通りに低損失で正確に通すことができる、コンデンサを内蔵したガラスセラミック配線基板を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、コンデンサ電極層間の誘電体層として機能する絶縁層中の内部の空孔の発生による絶縁性の劣化に対し、焼成して絶縁層となる前のガラスセラミックグリーンシートに含まれるガラス粉末およびセラミック粉末の平均粒径および粒度分布に着目し、これらを適切な範囲に設定することによって、この絶縁層中に粗大な空孔の発生を有効に抑えることが可能となって緻密化した焼結体から成る絶縁層を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明のガラスセラミック配線基板は、ガラスセラミックスから成る絶縁層を複数積層して成る絶縁基体の内部に配線層と前記絶縁層を挟んで対向するコンデンサ電極層とを有するガラスセラミック配線基板であって、前記コンデンサ電極層間の前記絶縁層はガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を含むガラスセラミックグリーンシートを焼成して成るものであり、前記無機粉末は平均粒径が0.5〜1.0μmであり、かつ粒度分布が個数積算粒径分布における10%粒径をD10、50%粒径をD50、90%粒径をD90としたときに(D90−D10)/D50≦1であることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のガラスセラミック配線基板は、上記構成において、前記ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの酸価が0.05〜2mgKOH/gであることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のガラスセラミック配線基板は、上記構成において、前記ガラスセラミックグリーンシートは、このガラスセラミックグリーンシートに含有される前記無機粉末100質量部に対して前記バインダを8〜15質量部の割合で含有していることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明のガラスセラミック配線基板は、上記各構成において、前記ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの重量平均分子量が10万〜40万であることを特徴とするものである。
【0019】
本発明のガラスセラミック配線基板によれば、コンデンサ電極層間の誘電体層として機能する絶縁層を、平均粒径が0.5〜1.0μmであり、かつ粒度分布が個数積算粒径分布における10%粒径をD10、50%粒径をD50、90%粒径をD90としたときに(D90−D10)/D50≦1である、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を含むガラスセラミックグリーンシートを焼成して成るものとしたことにより、ガラスセラミックグリーンシートを構成するガラス粉末およびセラミック粉末の平均粒径を小さくし、かつ粒度分布を狭くしたことから、ガラス粉末とセラミック粉末との接触面積を増大させて分散性を向上させたものとすることができ、さらにこれらのガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の充填率が高い均一な組成のガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0020】
それにより、このガラスセラミックグリーンシートを用いた誘電体層となる絶縁層についてシート中の場所による差の無い均一な焼成を行なうことができ、焼成後の絶縁層中における内部の空孔の発生を効果的に抑制することができるので、この絶縁層(誘電体層)を挟んで形成されたコンデンサ電極層間の絶縁破壊が発生することを効果的に防止することができ、良好な絶縁性を維持することが可能となる。
【0021】
また、本発明のガラスセラミック配線基板において、ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの酸価が0.05〜2mgKOH/gである場合には、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の表面を覆う水酸基と、バインダの一部が置換されて酸として機能するカルボン酸とが効果的に結合するので、無機粉末とバインダとの分散性を向上させることができるため、より均一な組成のガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0022】
そのため、より均一に焼結が行なわれ、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができ、さらに良好に絶縁性を維持することが可能となる。
【0023】
さらに、本発明のガラスセラミック配線基板において、ガラスセラミックグリーンシートが、このガラスセラミックグリーンシートに含有される無機粉末100質量部に対してバインダを8〜15質量部の割合で含有している場合は、無機粉末とバインダとが充分に結合し、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の充填率が適量となるため、ガラスセラミックグリーンシートの成膜性を一層確実に維持しつつ、無機粉末の充填率が一層高いガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0024】
そのため、より均一に焼結が行なわれ、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができ、さらに良好に絶縁性を維持することが可能となる。
【0025】
さらに、本発明のガラスセラミック配線基板において、ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの重量平均分子量が10万〜40万である場合には、バインダの分子鎖が適切な長さとなり、無機粉末とバインダとの分散性が良好であるため適切な粘度を維持できることから、ガラスセラミックグリーンシートの成膜性をより一層確実に維持することができるので、無機粉末の充填率がより高いガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0026】
そのため、より均一に焼結が行なわれ、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができ、さらに良好に絶縁性を維持することが可能となる。
【0027】
その結果、本発明のガラスセラミック配線基板によれば、絶縁基体の内部に形成したコンデンサ電極層間の絶縁層として内部の粗大な空孔の発生を抑えて緻密化した焼結体から成る絶縁層を得ることができ、高静電容量のコンデンサを内蔵することが可能であるとともに、絶縁性が安定した、配線層が低抵抗な、高周波信号や低消費電力化された微弱な信号を設計通りに低損失で正確に通すことができるガラスセラミック配線基板を提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明のガラスセラミック配線基板を添付図面に基づき以下に詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明のガラスセラミック配線基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、このガラスセラミック配線基板1は、複数の絶縁層2a〜2eを積層して成る絶縁基体2、メタライズ導体から成る配線層3、メタライズ導体から成り絶縁層2bを挟んで対向するコンデンサ電極層4、および配線層3とコンデンサ電極層4とを接続し、これらとともに内部の配線を構成する貫通導体5を具備する。
【0030】
絶縁基体2は、配線層3,貫通導体5やコンデンサ電極層4と絶縁層2bとから成るコンデンサを形成するための基体として機能し、この例ではガラスセラミックスから成る複数の絶縁層2a〜2eを積層して成る積層体で構成されている。
【0031】
この絶縁基体2は、絶縁層2a〜2eとなるガラスセラミックグリーンシートを積層し、焼成することにより形成される。
【0032】
この絶縁基体2の内部には、メタライズ導体から成る配線層3および絶縁層2bを挟んで対向するコンデンサ電極層4が形成されている。
【0033】
このようなメタライズ導体は、絶縁層2a〜2eとなるガラスセラミックグリーンシートの表面または裏面に導体ペーストをそのパターンに印刷したものを焼成して形成される。
【0034】
また、絶縁層2a〜2eに形成された貫通導体5は、上下の配線層3同士または配線層3とコンデンサ電極層4とを接続する機能を有し、導体ペーストをガラスセラミックグリーンシートに開けた孔に充填し焼結させることにより形成される。
【0035】
これらの貫通導体5とコンデンサ電極層4と配線層3とが接続されて、ガラスセラミック配線基板1の内部で回路網を形成している。
【0036】
配線層3は、コンデンサ電極層4と接続して、あるいはガラスセラミック配線基板1に半導体素子等の能動部品を搭載したときにその電極と接続して、これらを外部に導出する機能を有している。
【0037】
コンデンサ電極層4は、絶縁基体2を構成する絶縁層、この例では絶縁層2bを挟んで対向するように形成され、この絶縁層2bを誘電体層として機能させて、ガラスセラミック配線基板1の内部にコンデンサを形成するためのものである。
【0038】
また、貫通導体5は、上下に位置する配線層3同士あるいは配線層3とコンデンサ電極層4とを互いに接続する機能を有している。
【0039】
そして、絶縁層2bとこの絶縁層2bを挟んで対向するコンデンサ電極層4とにより、所定の静電容量を有するコンデンサが形成される。このガラスセラミック配線基板1は、コンデンサを内蔵する配線基板として、例えば電子回路モジュール等の、表面に半導体素子や圧電振動子等の電子部品を搭載する電子部品搭載用の配線基板等の用途に用いられる。
【0040】
なお、メタライズ導体から成る配線層3およびコンデンサ電極層4は、Cu・Ag・Auから選ばれる少なくとも1種の金属粉末の焼結体により形成されている。
【0041】
絶縁基体2(絶縁層2a〜2e)は、焼成温度が800〜1000℃のガラス粉末とセラミック粉末との混合物から成る無機粉末をバインダや溶剤とともにシート状に成形してなるガラスセラミックグリーンシートを焼成したガラスセラミックスから成る。このガラスセラミックスの焼成温度が800〜1000℃であることにより、配線層3,コンデンサ電極層4および貫通導体5用のメタライズ導体の金属材料として、いわゆる低融点金属であるCu・Ag・Au等の低抵抗の金属を用いることができる。
【0042】
絶縁基体2(絶縁層2a〜2e)は、ガラス粉末およびセラミック粉末の混合物を焼成して成るガラスセラミックスから成り、低抵抗の金属を用いることができる焼成温度域で焼結し、かつ焼結特性を良好なものとするためには、ガラス成分が20〜70質量%であり、セラミック成分が30〜80質量%であることが望ましい。
【0043】
このガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を構成する材質としては、ガラス粉末として、少なくともSiOを含み、Al・B・ZnO・PbO・アルカリ土類金属酸化物・アルカリ金属酸化物のうち少なくとも1種を含有したものであって、例えばSiO−B系・SiO−B−Al系・SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa・Sr・Mg・BaまたはZnを示す)・SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa・Sr・Mg・BaまたはZnを示す)・SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである)・SiO−B−M O系(但し、MはLi・NaまたはKを示す)・SiO−B−Al−M O系(但し、Mは前記と同じである)等のホウケイ酸系ガラス・Pb系ガラス・Bi系ガラス等が挙げられる。
【0044】
また、セラミック粉末としては、AlとSiOとZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物・TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物・AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばムライト・コージェライト・フォルステライト)等が挙げられる。
【0045】
これらの無機粉末の製造方法は特に特定の方法に制限されるものでなく、既存の種々の方法により製造されたものを用いることが可能である。
【0046】
本発明のガラスセラミック配線基板1においては、ガラスセラミックグリーンシート中に含まれるこれらのガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の平均粒径が0.5〜1.0μmであり、かつ粒度分布が個数積算粒径分布における10%粒径をD10、50%粒径をD50、90%粒径をD90としたときに(D90−D10)/D50≦1とすることが重要である。
【0047】
コンデンサ電極層4間の絶縁層2bに発生する内部の空孔には、複数の絶縁層2a〜2eを積層して成る積層体の焼結過程が大きく関係している。すなわち、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末は、焼結過程において、ガラス粉末が軟化し液相を形成することにより周囲のセラミック粉末も軟化し、さらに液相を形成後に、ガラスおよびセラミック粉末が緻密化して焼結が完了する。焼結とは無機粉末同士の空間を埋める過程であり、焼結を開始したガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末は、この焼結過程を経て焼結を完了する。そのため、ガラスセラミックグリーンシート中において、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の充填率が高いほど、その焼結体の内部の空孔は発生しにくいものとなる。
【0048】
一般に、この焼結過程において、無機粉末が微紛であるほどガラスセラミックグリーンシート中における無機粉末同士の間に形成される空孔が小さくかつ少なくなり、焼結後に緻密な焼結体を得ることができる。
【0049】
また、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の分散性が良いほど、焼結過程において均一な焼成が可能となり、緻密化した焼結体を得ることができる。分散性を良好なものとするためには、ガラスセラミックグリーンシート中のガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の粒度分布を狭いものとする必要がある。ここで、実験的に知見を得たものであり推定の域を超えないが、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を平均粒径が0.5〜1.0μmの微粉とし、さらに、粒径分布を(D90−D10)/D50≦1としたことにより、ガラス粉末とセラミック粉末との接触面積を増大することができ、無機粉末の充填率が高い混合性・分散性に優れた均一な組成とすることができるものと考えられる。その結果、ガラスセラミックグリーンシート中の場所による差の無い均一な焼成を行なうことが可能となるため、焼結体の内部の空孔の発生を効果的に抑えることができ、緻密化された絶縁層2a〜2eを形成することができる。
【0050】
さらに、焼結過程における昇温時には、ガラスセラミックグリーンシート中に存在しているバインダが除去されるが、ガラス粉末の軟化を経て、焼結温度でセラミック粉末とガラス粉末とが軟化・液相形成・緻密化することによって焼結体としての絶縁層2a〜2eが形成される際に、バインダの除去が不十分であると、ガラス粉末が軟化・液相形成・緻密化する過程においてバインダが残渣としてカーボンの形態で焼結体中に取り込まれることとなり、これがガス化した際に空孔が絶縁層2a〜2eの内部に発生することとなる。従って、絶縁層2a〜2eの内部に空孔が発生するのを抑制するためには、ガラス粉末およびセラミック粉末の軟化・液相形成・緻密化の過程でバインダの除去を効率良く行なう必要がある。
【0051】
これには、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の平均粒径を小さなものとし、かつ粒径分布を狭いものとすることにより、ガラス粉末およびセラミック粉末の比表面積も大きなものとなることから、ガラス粉末およびセラミック粉末とバインダとの接触面積を増大させることができる。これにより、ガラス粉末およびセラミック粉末の表面を覆った極性基として作用するOH基とバインダのもつ極性基とが効果的に電気的に結合するため、無機粉末の分散性も向上させることができ、焼成過程においてバインダの除去が効率良く均一に行なわれるため、絶縁層2a〜2eの内部の空孔が減少するものと推測される。
【0052】
なお、D10とは、個数を基準とした積算粒径分布が10%となる粒径である。同様に、D50とは個数を基準とした積算粒径分布が50%となる粒径であり、D90は個数を基準とした積算粒径分布が90%となる粒径である。
【0053】
本発明では、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の平均粒径が1.0μmを超えると、緻密な焼結が得られにくく、このガラスセラミックグリーンシートを焼成して得られる絶縁層2bや2a,2c〜2eの電気絶縁性も劣化してしまう。これは、緻密でない絶縁層2a〜2eの内部、例えば、絶縁基板2の内部のコンデンサ電極層4間の絶縁層2bの内部に空孔が存在するようになり、その空孔を起点とした絶縁破壊による絶縁不良が発生しやすくなるためである。また、無機粉末の平均粒径が0.5μm未満となると、ガラスセラミックスラリーをベースフィルム上に膜状に塗布した後に溶剤を乾燥させてガラスセラミックグリーンシートを得る工程で溶剤の抜け性が悪化し、局部的な乾燥によるクラックが発生しやすくなる。
【0054】
この無機粉末に添加混合されるバインダとしては、ポリアクリル系バインダ・ポリオキサゾリン系バインダ・ポリアルキルイミン系バインダ等が用いられる。その具体例としては、例えばポリメチルメタクリレート・ポリエチルアクリレート・ポリブチルメタクリレート・ポリラウリルメタクリレート・2−ビニル−2−オキサゾリン・2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン・2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン・2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン・2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン・ポリエチレンイミン・ポリプロピレンイミン・ポリブチレンイミン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの群の中で例えば、ポリメチルメタクリレート系のメタクリレート系バインダは、解重合性に優れているため焼成過程においてバインダが残渣としてカーボンの形態で焼結体中に取り込まれにくいので、好ましいものである。
【0055】
本発明のガラスセラミック配線基板1においては、ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの酸価が0.05〜2mgKOH/gであることが好ましい。
【0056】
これは、ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの酸価を0.05〜2mgKOH/gとすることにより、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の表層を覆う水酸基と、バインダの一部が置換されて酸として機能するカルボン酸とが効果的に水素結合することにより、無機粉末の分散性が向上するためである。その結果、無機粉末の充填率が高く、バインダも均一に分散したさらに均一な組成のガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0057】
そのため、焼結過程において、このガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の緻密化が場所による差が無く均一に行なわれ、また、バインダ除去が均一に行なわれるため、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができるので、焼結後に緻密な焼結体を得ることができる。
【0058】
なお、バインダへの酸価の付与は、バインダの一部をカルボン酸に置換することで得られ、酸価の値の調整は、置換するカルボン酸の量によって調整する。置換するカルボン酸としては、アクリル酸・メタクリル酸・イタコン酸・クロトン酸・マレイン酸・フマル酸・ビニル酢酸およびこれらの酸無水物が挙げられる。
【0059】
バインダの酸価が0.05mgKOH/g未満の場合には、無機粉末の表層を覆う水酸基に対して、バインダのカルボン酸が少なくなるため、無機粉末とバインダの分散性が悪くなり、無機粉末の充填率が低く、分散性が低下した不均一な組成のガラスセラミックグリーンシートとなる傾向にあるため、均一な焼結が行なわれず、緻密な焼結体が得ることができなくなる傾向がある。
【0060】
他方、バインダの酸価が2mgKOH/gを超えると、カルボン酸はプラスとマイナスの極性を有する極性基であることから、カルボン酸同士が互いに電気的に引き合い絡まりやすくなる傾向がある。そのため、無機粉末の表層を覆う水酸基に対しての結合性が低下し、無機粉末の充填率が低く、分散性が低下した不均一な組成のガラスセラミックグリーンシートとなる傾向にあるため、均一な焼結が行なわれず、緻密な焼結体が得ることができなくなる傾向がある。
【0061】
本発明のガラスセラミック配線基板1において、焼結前のガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末とバインダとの混合割合は、無機粉末が100質量部に対してバインダを8質量部以上20質量部以下とすることが好ましい。
【0062】
さらに無機粉末100質量部に対してバインダを8〜15質量部の割合で含有していることが、無機粉末の充填率が向上することにより焼結過程において粗大な空孔の発生を効果的に抑制することができることから、より一層好ましい。
【0063】
これは、この混合割合とすると、無機粉末とバインダとが充分に結合し、ガラスセラミックグリーンシートの強度を向上させることができるからであり、また、この混合割合とすると、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の充填率が適量となり、焼成後に緻密な焼結体を得ることができるからである。
【0064】
バインダの混合割合が8質量部未満の場合には、無機粉末とバインダとが充分に結合しないために、ガラスセラミックグリーンシートの強度が弱くなり、ガラスセラミックグリーンシートにクラックや無機粉末の脱粒によるピンホール等の欠陥が発生しやすくなる傾向がある。
【0065】
他方、バインダの混合割合が20質量部を超えると、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の充填率が低下するために、焼成後に緻密な焼結体が得られなくなり、焼結体中に内部の空孔や欠け等の欠陥が生じやすくなる傾向がある。
【0066】
さらにバインダの混合割合を8〜15質量部とすることで、ガラスセラミックグリーンシートの成膜性を維持しつつ、無機粉末の充填率がより高いガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0067】
そのため、均一な焼結が行なわれるため、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができるので、焼結後に、より緻密な焼結体を得ることができる。
【0068】
本発明のガラスセラミック配線基板1において、焼結前のガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの重量平均分子量を10万〜40万とすることが好ましい。
【0069】
これは、重量平均分子量をこの範囲とすると、バインダの分子鎖が適切な長さとなり、無機粉末とバインダとの分散性が良好であるため適切な粘度を維持できることから、ガラスセラミックグリーンシートの成膜性をより一層確実に維持し、無機粉末の充填率がより高いガラスセラミックグリーンシートとすることができるため、均一な焼結が行われるものとなり、焼成後の絶縁層2bや2a,2c〜2eの内部に発生する空孔が少なくなって、より緻密な焼結体を得ることができるからである。
【0070】
バインダの重量平均分子量が40万を超える場合は、バインダの分子鎖が長くなり、バインダ中で分子同士が絡み合い易くなることから、ガラスセラミックグリーンシート中にバインダが偏在し易くなるため、無機粉末とバインダとの分散性が悪くなり、均一な焼結が行なわれなくなって、緻密な焼結体を得ることが難しくなる傾向がある。
【0071】
他方、バインダの重量平均分子量が10万よりも小さい場合は、バインダの分子鎖が短いため、ガラスセラミックスラリーにしたときに無機粉末とバインダとが過度に緻密になり、ガラスセラミックスラリーを成膜して乾燥する際に溶剤の抜け性が悪化して、局部的な乾燥によるクラックやピンホール等の欠陥が発生し易くなる傾向がある。
【0072】
これらの無機粉末およびバインダに溶剤を適量加えてボールミル等の既存の装置を用いて混合し、スラリーを作製する。
【0073】
次に、このスラリーから、ドクターブレード法等を用いて、必要な厚みのガラスセラミックグリーンシートを成形する。
【0074】
次に、これらのガラスセラミックグリーンシート上に導体ペーストを印刷して所定の形状の導体パターンを形成し、これらの導体パターンを形成したガラスセラミックグリーンシートを複数層重ねて、3〜20MPaの圧力および30〜80℃の温度で加熱圧着して一体化することによって、配線層3,貫通導体5およびコンデンサ電極層4となる導体パターンが表面および内部に配置された積層体を形成する。
【0075】
そして、この積層体の焼成は、800〜1000℃の温度で、酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気中で行なわれる。特に、導体材料に銅を用いる場合は、酸化雰囲気では銅の酸化反応が起こるため、非酸化性雰囲気で焼成を行なうことがよい。この昇温過程でガラスセラミックグリーンシート中に含まれるバインダが除去され、ガラス粉末およびセラミック粉末が軟化を経て液相化・緻密化し、ガラスセラミック配線基板1が作製される。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を具体例によって詳細に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0077】
無機粉末として、SiO−Al−MgO−B−ZnO系ガラス粉末60質量部・CaZrO粉末20質量部・SrTiO粉末17質量部およびAl粉末3質量部を使用し、バインダとしてメタクリル系バインダおよび溶媒としてトルエン55質量部を加え、ボールミル法により混合しガラスセラミックスラリーとした。
【0078】
ここで、準備した無機粉末には、平均粒径D50および粒度分布(D90−D10)/D50として表1に示したものを使用し、バインダとして酸価および無機粉末100質量部に対するバインダの混合割合を表1に示したものを使用した。
【0079】
このガラスセラミックスラリーを用いて、ダイコート法により、厚さ30μmおよび120μmの2種類のガラスセラミックグリーンシートを成形した。
【0080】
成形されたガラスセラミックグリーンシートにつき、ガラスセラミック配線基板を作製し絶縁抵抗について測定を行なって評価した。ガラスセラミック配線基板の作製方法は以下の通りである。
【0081】
まず、平均粒径が5μmのCu粉末に、有機バインダとしてアクリル系樹脂および溶媒としてDBPを添加混練し、コンデンサ電極層用銅ペーストを作製した。
【0082】
そして、厚さ30μmおよび120μmの2種類のガラスセラミックグリーンシートの表面にそれぞれコンデンサ電極層の導体パターンを上記銅ペーストを用いてスクリーン印刷し、この導体パターンが所定の位置となるように配置して、厚さが120μmのガラスセラミックグリーンシートの上に厚さが30μmのガラスセラミックグリーンシートを仮積層した後、60℃の温度および5MPaの圧力にて熱圧着して積層体を形成した。
【0083】
次いで、この積層体を、有機バインダ等の有機成分を分解除去するため窒素雰囲気中にて750℃で1時間保持した後、900℃で1時間保持することにより、評価用としての焼結体を作製した。そして、この焼結体のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗について、東亜電波株式会社製の絶縁計(製品名:DIGITAL SUPER MEGOHMMETER、型式:DSM−8103)にて測定を行なった。その測定結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 2004319524
【0085】
表1において、ガラスセラミックグリーンシートの外観については、クラックおよびピンホールの有無を目視で観察して、クラックおよびピンホールが全く無い外観性に優れた試料を「○」とし、クラックおよびピンホールが実用上は支障ない程度に一部発生している試料を「△」とし、クラックおよびピンホールが発生している試料を「×」として評価した。
【0086】
また、絶縁抵抗については、測定サンプルの厚みが薄くなるほど絶縁抵抗が低下していくと予想されたため、絶縁層の厚みが薄くなっても絶縁抵抗が保てるかを調べるために厚さ120μmのガラスセラミックグリーンシートの表面に上記銅ペーストを印刷し、そのサンプルにおける絶縁抵抗を測定したところ1012Ωであったため、この値を基準として判定を行ない、1013Ω以上のものを「○」とし、1012Ω以上1013Ω未満のものを「△」、1012Ω未満のものを「×」とした。
【0087】
表1に示す結果から明らかなように、平均粒径D50を0.4μmとした試料No.1および、無機粉末の特性を本発明の範囲内としたが、バインダの混合割合を7質量部とした試料No.13は、ガラスセラミックスラリーをベースフィルム上に膜状に塗布した後に溶剤を乾燥させてガラスセラミックグリーンシートを得る工程で溶剤の抜け性が悪化し、局部的な乾燥によるクラック等の欠陥が生じることがあった(表中のガラスセラミックグリーンシートの外観の欄に×および△で示す)。
【0088】
平均粒径D50が1.0μmを超え、かつ粒度分布(D90−D10)/D50が1を超えるものとした試料No.6は、ガラスセラミックグリーンシートの外観は問題なかったが、絶縁抵抗が大きく低下していた(表中の絶縁抵抗の欄に×で示す)。
【0089】
平均粒径D50が1.0μmを超え、かつ粒度分布(D90−D10)/D50を1とした試料No.7は、ガラスセラミックグリーンシートの外観は問題なかったが、絶縁抵抗に劣化が見られた(表中の絶縁抵抗の欄に×で示す)。
【0090】
平均粒径D50を本発明の範囲内の0.8μmとし、かつ粒度分布(D90−D10)/D50が1を超えるものとした試料No.8は、ガラスセラミックグリーンシートの外観は問題なかったが、絶縁抵抗に劣化が見られた。(表中の絶縁抵抗の欄に×で示す)。
【0091】
平均粒径D50および粒度分布(D90−D10)/D50、バインダの混合割合、バインダの重量平均分子量を本発明の範囲内としたが、バインダの酸価を0.04および2.10とした試料No.9および12は、ガラスセラミックグリーンシートの外観が若干劣るものが見られたが、絶縁抵抗は向上していた(表中のガラスセラミックグリーンシートの外観の欄に△、絶縁抵抗の欄に○で示す)。ただし、この判定においては「△」で示したが、実用上は特に問題があるものではない。
【0092】
平均粒径D50および粒度分布(D90−D10)/D50ならびにバインダの酸価、バインダの重量平均分子量を本発明の範囲内としたが、バインダの混合割合を18質量部および20質量部とした試料No.16および17は、ガラスセラミックグリーンシートの外観が若干劣るものが見られたが、絶縁抵抗は向上していた(表中のガラスセラミックグリーンシートの外観の欄に△、絶縁抵抗の欄に○で示す)。ただし、この判定においては「△」で示したが、実用上は特に問題があるものではない。
【0093】
平均粒径D50および粒度分布(D90−D10)/D50ならびにバインダの酸価、バインダの混合割合を本発明の範囲内としたが、バインダの重量平均分子量を8万とした試料No.18は、ガラスセラミックグリーンシートの外観が若干劣るものが見られたが、絶縁抵抗は向上していた(表中のガラスセラミックグリーンシートの外観の欄に△、絶縁抵抗の欄に○で示す)。ただし、この判定においては「△」で示したが、実用上は特に問題があるものではない。
【0094】
平均粒径D50および粒度分布(D90−D10)/D50ならびにバインダの酸価、バインダの混合割合を本発明の範囲内としたが、バインダの重量平均分子量を42万および45万とした試料No.22および23は、ガラスセラミックグリーンシート外観は問題なかったが、絶縁抵抗に若干の劣化が見られた。(表中のガラスセラミックグリーンシートの外観の欄に○、絶縁抵抗の欄に△で示す)。ただし、この判定においては「△」で示したが、実用上は特に問題があるものではない。
【0095】
これに対して、平均粒径D50および粒度分布(D90−D10)/D50、バインダの酸価、バインダの混合割合、バインダの重量平均分子量を本発明の範囲内とした試料No.10・11および14・15および19・20・21は、ガラスセラミックグリーンシートの外観に問題は無く、絶縁層の絶縁抵抗も優れていた(表中のガラスセラミックグリーンシートの外観の欄に○、絶縁抵抗の欄に○で示す)。
【0096】
以上のように、本発明のガラスセラミック配線基板によれば、いずれも良好な特性を有する絶縁層として内部の粗大な空孔の発生のないものであることが確認できた。
【0097】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0098】
例えば、上述の実施の形態の例では、積算粒径分布を個数を基準として説明を行なったが、質量もしくは体積を基準としても差し支えない。
【0099】
【発明の効果】
本発明のガラスセラミック配線基板によれば、コンデンサ電極層間の誘電体層として機能する絶縁層を、平均粒径が0.5〜1.0μmであり、かつ粒度分布が個数積算粒径分布における10%粒径をD10、50%粒径をD50、90%粒径をD90としたときに(D90−D10)/D50≦1である、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を含むセラミックグリーンシートを焼成して成るものとしたことにより、ガラスセラミックグリーンシートを構成するガラス粉末およびセラミック粉末の平均粒径を小さくし、かつ粒度分布を狭くしたことから、ガラス粉末とセラミック粉末との接触面積を増大させて分散性を向上させたものとすることができ、不均一な組成の個所の形成を効果的に抑えることができ、ガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末の充填率が高い均一な組成のガラスセラミックグリーンシートを得ることができる。
【0100】
それにより、このガラスセラミックグリーンシートを焼成後の誘電体層となる絶縁層中における内部の空孔の発生を効果的に抑制することができるので、この絶縁層(誘電体層)を挟んで形成されたコンデンサ電極層間の絶縁破壊が発生することを効果的に防止することができ、良好な絶縁性を維持することが可能となる。
【0101】
また、本発明のガラスセラミック配線基板において、ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの酸価が0.05〜2mgKOH/gである場合には、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の表面を覆う水酸基と、バインダの一部が置換されて酸として機能するカルボン酸とが効果的に結合するので、無機粉末とバインダとの分散性を向上させることができるため、より均一な組成のガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0102】
そのため、より均一に焼結が行なわれ、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができ、さらに良好に絶縁性を維持することが可能となる。
【0103】
さらに、本発明のガラスセラミック配線基板において、ガラスセラミックグリーンシートがこのガラスセラミックグリーンシートに含有される無機粉末100質量部に対してバインダを8〜15質量部の割合で含有している場合は、無機粉末とバインダとが充分に結合し、ガラスセラミックグリーンシート中の無機粉末の充填率が適量となるため、ガラスセラミックグリーンシートの成膜性を一層確実に維持しつつ、無機粉末の充填率が一層高いガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0104】
そのため、より均一に焼結が行なわれ、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができ、さらに良好に絶縁性を維持することが可能となる。
【0105】
さらに、本発明のガラスセラミック配線基板において、ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの重量平均分子量が10万〜40万である場合には、バインダの分子鎖が適切な長さとなり、無機粉末とバインダとの分散性が良好であるため適切な粘度を維持できることから、ガラスセラミックグリーンシートの成膜性をより一層確実に維持することができるので、無機粉末の充填率がより高いガラスセラミックグリーンシートとすることができる。
【0106】
そのため、より均一に焼結が行なわれ、焼成後の絶縁層における内部の空孔の発生をより効果的に抑制することができ、さらに良好に絶縁性を維持することが可能となる。
【0107】
その結果、本発明のガラスセラミック配線基板によれば、絶縁基体の内部に形成したコンデンサ電極層間の絶縁層として内部の粗大な空孔の発生を抑えて緻密化した焼結体から成る絶縁層を得ることができ、高静電容量のコンデンサを内蔵することが可能であるとともに、絶縁性が安定した、配線層が低抵抗な、高周波信号や低消費電力化された微弱な信号を設計通りに低損失で正確に通すことができるガラスセラミック配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスセラミック配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・ガラスセラミック配線基板
2・・・・・・・・・絶縁基体
2a〜2e・・・・・絶縁層
3・・・・・・・・・配線層
4・・・・・・・・・コンデンサ電極層
5・・・・・・・・・貫通導体

Claims (4)

  1. ガラスセラミックスから成る絶縁層を複数積層して成る絶縁基体の内部に配線層と前記絶縁層を挟んで対向するコンデンサ電極層とを有するガラスセラミック配線基板であって、前記コンデンサ電極層間の前記絶縁層はガラス粉末およびセラミック粉末から成る無機粉末を含むガラスセラミックグリーンシートを焼成して成るものであり、前記無機粉末は平均粒径が0.5〜1.0μmであり、かつ粒度分布が個数積算粒径分布における10%粒径をD10、50%粒径をD50、90%粒径をD90としたときに(D90−D10)/D50≦1であることを特徴とするガラスセラミック配線基板。
  2. 前記ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの酸価が0.05〜2mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載のガラスセラミック配線基板。
  3. 前記ガラスセラミックグリーンシートは、該ガラスセラミックグリーンシートに含有される前記無機粉末100質量部に対して前記バインダを8〜15質量部の割合で含有していることを特徴とする請求項2記載のガラスセラミック配線基板。
  4. 前記ガラスセラミックグリーンシートに含有されるバインダの重量平均分子量が10万〜40万であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガラスセラミック配線基板。
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