JP3793557B2 - ガラスセラミック焼結体およびそれを用いた多層配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高熱膨張係数を有するガラスセラミックスと同時焼成可能な、高誘電率のガラスセラミック焼結体と、かかる高誘電率ガラスセラミックスを具備した多層配線基板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、多層配線基板は、絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面または内部にメタライズ配線層が配設された構造からなり、代表的な例として、LSI等の半導体素子収納用パッケージが挙げられる。このようなパッケージとしては、絶縁層がアルミナ等のセラミックスからなるものが多用され、さらに最近では、銅メタライズと同時焼成を可能にしたガラスセラミックスを絶縁基板とするものも実用化されている。
【0003】
このようなセラミック多層配線基板においては、半導体素子の集積度が高まるに従い、プリント基板などの外部回路基板と接続するための接続端子数も増大する傾向にあり、より小型化を図る方法として、セラミック多層配線基板の下面に、半田からなる球状の接続端子を取り付けたボールグリッドアレイ(BGA)が、接続端子を最も高密度化できる構造として知られている。このボールグリッドアレイ(BGA)は、外部電気回路上の配線導体上に前記接続端子を載置当設させ、250〜400℃の温度で加熱処理することにより、前記接続端子を溶融させて接続する。
【0004】
この実装方法では、従来のアルミナ、ムライトなどのセラミックスを用いたセラミックス回路基板の熱膨張係数が約4〜7×10-6/℃であるのに対し、該基板を半田実装するガラスーエポキシ絶縁層を用いたプリント基板の熱膨張係数は、約11〜18×10-6であったため、半導体素子の作動時に発する熱により、セラミック多層配線基板と外部回路基板の熱膨張差に起因する大きな熱応力が発生するという問題があった。そして、この熱応力は接続端子数が増加するほど、影響が大きくなり、半導体素子の作動と停止の繰り返しにより、この熱応力が接続端子に印加され、接続端子が配線導体より剥離するという問題があった。
【0005】
このような問題に対して、本出願人は、高熱膨張のガラスと高熱膨張のフィラーとを用いた高熱膨張ガラスセラミック焼結体によって絶縁基板を形成した配線基板を提案した。
【0006】
一方、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用情報端末の急激な普及に伴い、内蔵される電子部品の小型化が強く望まれている。一例として、携帯電話のスイッチング回路、及びパワーアンプ回路は、複数の抵抗体およびコンデンサにより構成され、従来、これらの素子は個々に電気回路基板上に設置されており、小型化、及び製造コスト削減の妨げとなっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
携帯用電子機器などに内臓される電子部品を小型化するためには、半導体素子を収納するセラミック配線基板のみならず、該配線基板を実装するプリント基板などの外部回路基板を小型化する必要がある。しかし、従来は、セラミックス配線基板、コンデンサ素子および抵抗素子を個々に外部回路基板上に実装していたため、小型化が困難という問題、および実装のための製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】
そこで、セラミック多層配線基板の内部に、高誘電率のセラミック層を介装させたコンデンサ内蔵基板が提案されている。しかしながら、高誘電率の誘電体材料としては、従来よりBaO−TiO2系、PbO−TiO2系などを主とする複合ペロブスカイト系誘電体材料が知られているが、かかる誘電体材料はガラスセラミックスと同時焼成することができない。
【0009】
そこで、本出願人は、先に高熱膨張のガラスとフィラー成分として、BaTiO3、CaTiO3などを添加した高熱膨張、高誘電率系のガラスセラミック焼結体を提案した。
【0010】
しかしながら、かかるガラスセラミック焼結体では、ガラスの種類によっては上記のBaTiO3、CaTiO3の成分によって焼結性が大きく阻害され、低温で緻密質な焼結体が得られないという問題があった。
【0011】
従って本発明は、焼結性に優れ、高熱膨張ガラスセラミック焼結体と同時焼成が可能であり、且つ高熱膨張率および高誘電率を有するガラスセラミック焼結体と、有機樹脂を絶縁材料とするプリント基板への実装信頼性に優れ、且つコンデンサを内蔵したセラミック配線基板を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に対して種々検討を重ねた結果、高熱膨張のガラス成分に、フィラー成分として、少なくともチタン酸ランタンを含めることによって、焼結性を損なうことなく、高熱膨張化ととともに高誘電率化を同時に達成でき、且つ従来の高熱膨張ガラスセラミック焼結体と同時焼成可能なガラスセラミック焼結体が得られることを見いだし、本発明に至った。
【0013】
即ち、本発明のガラスセラミック焼結体は、40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10−6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%とからなり、該フィラー成分として、La 2 O 3 粉末とTiO 2 粉末との混合粉末を1200〜1500℃で仮焼して作製したLa 2 O 3 ・xTiO 2 粉末とからなる成形体を850〜1050℃で焼成してなるチタン酸ランタンを主成分として含み、40〜400℃における熱膨張係数が9×10−6/℃以上であり、且つ1MHzにおける比誘電率が10以上であることを特徴とするものであって、前記チタン酸ランタンとしては、La 2O3・xTiO2(xはモル分率、2≦x≦5)からなることが望ましい。
【0014】
また、本発明の多層配線基板は、セラミック絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面および/または内部にメタライズ配線層が配設されているものであって、前記セラミック絶縁層のうちの少なくとも1層を上記の高誘電率ガラスセラミック焼結体によって形成したことを特徴とするものである。
【0015】
なお、かかる多層配線基板においては、前記高誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層が、40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10-6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%とからなり、誘電率が10未満の低誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層と積層されてなることが望ましく、さらには、前記高誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層が、一対の電極層間に配設されており、該一対の電極によって所定の静電容量が引き出されることが望ましい。
【0016】
かかる本発明によれば、絶縁基板として用いるガラスセラミック焼結体が、いずれも高熱膨張特性を具備することから、プリント基板などの有機樹脂を含む絶縁基体からなる外部回路基板に実装した状態で、熱サイクルが印加されても、熱膨張差に起因する熱応力の発生を抑制することができる結果、長期にわたり安定した実装が可能となる。しかも、多層配線基板の内部に高誘電率層を具備することから、コンデンサとしての静電容量を引き出すことができるために、コンデンサ素子などの部品の実装が不要となり、配線基板を含めた電子機器全体の小型化に寄与することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のガラスセラミック焼結体は、ガラス成分とフィラー成分によって構成される。まず、ガラス成分としては、40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10-6/℃である。且つ、メッキ工程等における耐薬品性を有することが重要である。
【0018】
このような高熱膨張のガラス成分としては、公知の高熱膨張性のガラスが使用でき、例えばリチウム珪酸系ガラス、PbO系ガラス、BaO系ガラス、ZnO系ガラス等が使用することができる。なお、上記ガラス成分の熱膨張係数は、結晶化ガラスの場合には、焼成温度で熱処理した後の熱膨張係数を指すものであり、線膨張係数を意味する。
【0019】
リチウム珪酸系ガラスとしては、Li2Oを5〜30重量%、特に5〜20重量%の割合で含有するものであり、焼成後に高熱膨張係数を有するリチウム珪酸を析出するものが好適に使用される。また、上記リチウム珪酸ガラスとしては、Li2O以外にSiO2を必須の成分として含むが、SiO2はガラス全量中、60〜85重量%の割合で存在し、SiO2とLi2Oとの合量がガラス全量中、65〜95重量%であることがリチウム珪酸結晶を析出させる上で望ましい。
【0020】
また、これらの成分以外に、Al2O3、MgO、TiO2、B2O3、Na2O、K2O、P2O5、ZnO、F等が配合されていてもよい。なお、このリチウム珪酸ガラス中には、B2O3は1重量%以下であることが望ましい。
【0021】
PbO系ガラスとしては、PbOを主成分とし、さらにB2O3、SiO2のうちの少なくとも1種を含有するものであり、焼成後にPbSiO3、PbZnSiO4等の高熱膨張の結晶相が析出するものが好適に使用される。とりわけPbO(65〜85重量%)−B2O3(5〜15重量%)−ZnO(6〜20重量%)−SiO2(0.5〜5重量%)−BaO(0〜5重量%)から成る結晶性ガラスや、PbO(50〜60重量%)−SiO2(35〜50重量%)−Al2O3(1〜9重量%)から成る結晶性ガラスが望ましい。
【0022】
さらに、ZnO系ガラスとしては、ZnOを10重量%以上含有するものであり、焼成後にZnO・Al2O3、ZnO・nB2O3等の高熱膨張の結晶相が析出するものが好適に使用される。ZnO成分以外に、SiO2(60重量%以下)、Al2O3(60重量%以下)、B2O3(30重量%以下)、P2O5(50重量%以下)、アルカリ土類酸化物(20重量%以下)、Bi2O3(30重量%以下)等が配合されていてもよい。とりわけZnO10〜50重量%−Al2O310〜30重量%−SiO230〜60重量%から成る結晶性ガラスやZnO10〜50重量%−SiO25〜40重量%−Al2O30〜15重量%−BaO0〜60重量%−MaO0〜35重量%から成る結晶性ガラスが望ましい。
【0023】
BaO系ガラスとしては、BaOを5重量%以上含有し、非晶質ガラス、または焼成後にBaO・2SiO2、BaAl2Si2O8、BaB2Si2O8等の結晶相を析出する結晶化ガラスが採用される。BaO以外の成分としてSiO2、Al2O3、B2O3、P2O5、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、ZrO2等を含む場合もある。とりわけ、SiO2を25〜60重量%、BaOを5〜60重量%、およびZr化合物をZrO2換算で0.1〜30%の割合で含有するものが好適に使用される。
【0024】
上記のガラス成分のうち、特に耐薬品性に優れることから、上記BaO系ガラスがもっとも好適に用いられる。
【0025】
さらに、上記ガラスの屈伏点は、400〜800℃、特に400〜700℃であることが望ましい。これは、ガラスおよびフィラーからなる混合物を成形する場合、有機樹脂等の成形用バインダーを添加するが、このバインダーを効率的に除去するとともに、絶縁基体と同時に焼成されるメタライズと焼成条件のマッチングを図るために必要であり、屈伏点が400℃より低いと、ガラスが低い温度で焼結を開始するため、例えば、Ag、Cu等の焼結温度が600〜800℃のメタライズとの同時焼成ができず、また成形体の緻密化が低温で開始するためにバインダーは分解揮発できなくなり、バインダー成分が残留し、特性に影響を及ぼす結果になるためである。一方、屈伏点が800℃より高いと、ガラス量を多くしないと焼結しにくくなり、相対的に高価なガラスの使用量が増加するため、コスト削減の妨げとなる。
【0026】
一方、フィラー成分としては、上記ガラス成分との焼結性が良好であり、40〜400℃における熱膨張係数が9×10-6/℃以上、且つ、1MHzにおける比誘電率が13以上であることが望ましく、さらには20以上であることが望ましい。このフィラーの熱膨張係数が9×10-6/℃より低い場合、焼結体の熱膨張係数を9×10-6/℃以上に制御することが難しくなる。また、フィラー成分の熱膨張係数が低い場合、ガラス成分の熱膨張係数を高くする必要があるため、フィラー成分の熱膨張係数は、12×10-6/℃以上であることがより望ましい。
【0027】
本発明によれば、かかるフィラー成分として、チタン酸ランタンを含有することが重要である。このフィラーの1つとしてチタン酸ランタンを用いることによって、焼結性を阻害することなく、緻密質なガラスセラミック焼結体を作製することができる。このチタン酸ランタンは、一般式がLa 2O3・xTiO2(xはモル分率、2≦x≦5)で表され、以下の特性を有する。
【0028】
La2O3−2TiO2(α=15×10-6/℃、ε=45)
La2O3−3TiO2(α=14×10-6/℃、ε=47)
La2O3−4TiO2(α=14×10-6/℃、ε=51)
La2O3−5TiO2(α=13×10-6/℃、ε=55)
これらのチタン酸ランタンは、いずれも緻密質な焼結体が得られ、調合比率を制御することにより熱膨張係数、誘電率を容易に制御できる。例えばガラス成分として、40〜400℃における熱膨張係数が6.5×10-6/℃のガラスを用いた場合、焼結体の40〜400℃における熱膨張係数α、及び比誘電率εは、10≦α≦12、14≦ε≦25の範囲で制御可能となる。
【0029】
さらに、焼結体の熱膨張係数を12以上とするためには、より高熱膨張なガラス成分を使用すればよく、熱膨張係数の設定は、外部回路基板の熱膨張係数に合わせて行う。
【0030】
また、フィラー成分としては、焼結性を阻害しない範囲で、上記のチタン酸ランタン以外に他の高熱膨張系フィラーと組み合わせることも可能である。例えば、クオーツ(石英)、クリストバライト、トリジマイト、ZrO2、MgO、ペタライト、フォルステライト(2MgO・SiO2)、スピネル(MgO、Al2O3)、ウォラストナイト(CaO・SiO2)、モンティセラナイト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェリン(Na2O・Al2O3・SiO2)、リチウムシリケート(Li2O・SiO2)、ジオプサイド(CaO・MgO・2SiO2)、メルビナイト(2CaO・MgO・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO・2SiO2)、カーネギアイト(Na2O・Al2O3・2SiO2)、エンスタタイト(MgO・SiO2)、ホウ酸マグネシウム(2MgO・B2O3)、セルシアン(BaO・Al2O3・2SiO2)、B2O3・2MgO・2SiO2、ガーナイト(ZnO・Al2O3)、CaTiO3、BaTiO3、SrTiO3、TiO2等が挙げられる。
【0031】
特に、焼結体の誘電率を25以上とするためには、フィラー量が上記の範囲から逸脱しない範囲で、チタン酸ランタンに加えて、BaTiO3(α=14×10−6/℃、ε=13000)CaTiO3(α=13×10−6/℃、ε=180)SrTiO3(α=9×10−6/℃、ε=300)TiO2(α=9×10−6/℃、ε=80)のうちの少なくとも1種との複合化が有効である。これらの中でも、TiO2(ルチル)は、他の高誘電率フィラーと比較し誘電率は低いものの、チタン酸ランタンとの複合化によってさらに焼結性を高める効果がある。また、このTiO2は、例えばLa2O3−2TiO2に対して、TiO2を組み合わせることによって、La 2O3・xTiO2のx値を制御するための調整剤として用い、焼結性や誘電率、熱膨張特性を制御することも可能である。
【0032】
また、これらチタン酸ランタンよりも誘電率の高い上記フィラーの添加は、誘電率25以上の焼結体を得るためのみならず、誘電率25以下の焼結体を得る場合においては、フィラー成分量を少なく、ガラス成分量を多くでき、ガラス成分量の制御範囲が広がるため有効である。
【0033】
上記のガラス成分およびフィラー成分は、ガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%の割合で調合する。これは、ガラス成分が35体積%よりも少なく、フィラー成分が65体積%よりも多いと、銅と同時焼成可能な温度域において良好な緻密体が得られず、ガラス成分が60体積%よりも多く、フィラー成分が40体積%よりも少ない場合、焼結体としての誘電率を高めることが難しくなるためである。
【0034】
なお、チタン酸ランタンのLa 2O3・xTiO2(xはモル分率、2≦x≦5)のx値によって、所望の熱膨張係数および誘電率を達成するためには、そのフィラーとしての配合量も適宜調整することが必要である。具体的には、後述する実施例から明らかなように、x値が大きくなるに従い、高熱膨張性を達成できる範囲が徐々に狭くなり、x>5では、熱膨張の大きいガラスを用いないと高熱膨張化が難しくなる。
【0035】
また、チタン酸ランタンは、全フィラーのうち、50体積%以上、特に60体積%以上を構成することによって、チタン酸ランタンによる効果を十分に発揮することができる。なお、このチタン酸ランタンは、ガラスに添加する場合には、低温での焼結性を改善する上では、La2O3粉末とTiO2粉末の混合粉末を1200〜1500℃で仮焼してLa 2O3・xTiO2を作製した後、平均粒径1〜5μmに粉砕したものを用いることが重要である。なお、この複合酸化物は、x>2の場合、La 2O3・2TiO2+TiO2からなる場合がある。
【0036】
以上のガラス成分とフィラー成分の混合物は、適当な有機樹脂バインダーを添加した後、所望の成形手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、射出成形、押し出し成形、ドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法等により任意の形状に成形する。
【0037】
次に、上記の成形体の焼成にあたっては、まず、成形のために配合したバインダー成分を除去する。バインダーの除去は、700℃前後の大気雰囲気中で行われるが、配線導体として、例えばCuを用いる場合には、100〜700℃の水蒸気を含有する窒素雰囲気中で行われる。この時、成形体の収縮開始温度は700〜850℃程度であることが望ましく、かかる収縮開始温度がこれより低いとバインダーの除去が困難となるため、成形体中の結晶化ガラスの特性、特に屈伏点を前述したように制御することが必要となる。
【0038】
焼成は、850〜1050℃の酸性雰囲気または非酸化性雰囲気中で行われ、これにより相対密度90%以上まで緻密化される。この時の焼成温度が850℃より低いと緻密化することができず、1050℃を超えるとメタライズ配線層との同時焼成でメタライズ層が溶融してしまう。但し、Cu等の配線導体と同時焼成する場合には非酸化性雰囲気中で焼成される。
【0039】
こうして作製された本発明のガラスセラミック焼結体中には、ガラス成分から生成した結晶相、ガラス成分とフィラー成分との反応により生成した結晶相、あるいはフィラー成分、あるいはフィラー成分が分解して生成した結晶相等が存在し、これらの結晶相の粒界にはガラス相が存在する。
【0040】
また、本発明のガラスセラミック焼結体は、フィラー成分としてチタン酸ランタンを用いることによって焼結体中のボイド量を低減することができ、具体的には気孔率を0.5%以下に低減でき、さらには40〜400℃における熱膨張係数が9×10-6/℃以上、特に10×10-6/℃以上、1MHzにおける誘電率が10以上、特に14以上、さらには17以上の高熱膨張、高誘電率のガラスセラミック焼結体を得ることができる。しかも、850〜1050℃の焼成温度で焼成可能であるため、銅等の低抵抗金属との同時焼成が可能である。
【0041】
また、本発明によれば、上記の高誘電率、高熱膨張セラミックスを配線基板の絶縁基板材料として用いることで配線基板の小型化を図ることができる。
【0042】
また、図1に示すように、セラミック絶縁層1a,1b,1cが多層に積層された絶縁基板1の表面および/または内部にメタライズ配線層2が配設されている多層配線基板において、セラミック絶縁層のうちの少なくとも1層1bを上記高熱膨張、高誘電率のガラスセラミック焼結体によって形成し、その上下に銅などの導体からなる電極層3,3を形成し、スルーホール導体4、4など経由して基板表面のメタライズ配線層2、2と接続することにより、配線層2、2間で所定の静電容量を取り出すことができる。
【0043】
この時、前記高誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層は、40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10-6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%とからなり、誘電率が10未満の低誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層間に積層されていることが望ましい。
【0044】
この低誘電率のガラスセラミック焼結体は前記のガラスセラミック焼結体から高誘電率のフィラー成分を除く以外は全く同様にして容易に形成できる。
【0045】
このような高誘電体層を具備する多層配線基板は、前述したガラス粉末、およびフィラー粉末からなる低誘電率のガラスセラミック組成物に、適当な有機バインダー、溶剤、可塑材を添加混合することによりスラリーを作製し、かかるスラリーを周知のドクターブレード等の塗工方式によるグリーンシート成形法により、グリーンシート状に成形する。そして、メタライズ配線層として、適当な金属粉末に有機バインダー、溶剤、可塑材を添加混合して得た金属ペーストを前記グリーンシートに周知のスクリーン印刷法により、所定のパターンに印刷塗布する。また、場合によっては、前記グリーンシートに適当な打ち抜き加工を行いスルーホールを形成し、このホール内にもメタライズペーストを充填する。
【0046】
一方、上記と同様の方法により、高誘電率のガラスセラミック組成物を用いて成形、打ち抜き、電極層の印刷を行なった高熱膨張、高誘電率のガラスセラミックグリーンシートを作製する。
【0047】
そして、上記の低誘電率のガラスセラミックグリーンシートと高誘電率のガラスセラミックグリーンシートとを積層し、グリーンシート積層体とメタライズを同時焼成することにより、コンデンサを内蔵する多層配線基板を得ることができる。
【0048】
本発明によって、高熱膨張、高誘電率ガラスセラミック層により構成されるコンデンサを内蔵した高熱膨張の多層配線基板は、有機樹脂を含有するプリント基板などにボール状半田端子や半田を介して実装した場合においても温度サイクルに対する長期信頼性の実装が可能である。しかも、コンデンサを内蔵することにより、該基板を実装するプリント基板などの外部回路基板の小型化を図ることができる。
【0049】
【実施例】
実施例1
ガラス粉末として、SiO241重量%−BaO37重量%−B2O310重量%−Al2O37重量%−CaO5重量%からなるガラス(屈伏点700℃、熱膨張係数6.5×10-6/℃、Pb量50×10-6以下)に対して、フィラーとして、表1に示す誘電体フィラー粉末を準備した。尚、表中の熱膨張係数は、40〜400℃における値を示す。そして、上記ガラス粉末50体積%に対し、表2のフィラーをそれぞれ50体積%を秤量調合し、溶剤を加えてボールミルを用いて粉砕混合した後、有機バインダー、可塑材を加えて重分混合させてスラリーを作製し、ドクターブレード法により厚み500μmのグリーンシートを作製した。得られたグリーンシートより、50mm×50mmのサンプルをプレスし、700℃において水蒸気を含有する窒素雰囲気中で脱バインダー後、910℃において窒素雰囲気中で焼成を行った。
【0050】
なお、チタン酸ランタンは、TiO2粉末とLa2O3粉末とをLa 2O3・xTiO2(x=2,3,4,5)の組成比率で混合したものを1400℃で仮焼した後、平均粒径2μmにまで粉砕したものを用いた。
【0051】
得られた焼結体に対して、気孔率をアルキメデス法によって測定するとともに、40〜400℃における熱膨張係数、誘電率をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の結果から明らかなように、チタン酸ランタンを用いた場合、他のフィラーを用いた場合と比較して、より緻密な焼結体が得られるとともに、高熱膨張化と高誘電率化が図られることがわかる。
実施例2
チタン酸ランタンとガラスとの組成比を表2〜表5のように変化させる以外は実施例1と同様にして焼結体を作製し、特性の評価を行なった。結果は、表2〜表5に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
表2乃至表5の結果から明らかなように、ガラス成分が35体積%未満では良好な緻密体が得られず、また、60体積%を超えると、誘電率または熱膨張係数が所望の特性が得られなかった。また、この実施例におけるガラス種の場合、La 2O3・xTiO2(x=2,3,4,5)のxが大きくなるに従い、焼結性が低下するとともに、熱膨張係数が低下する傾向がみられた。
【0059】
なお、このガラス量を増加させつつ高熱膨張化を図る時は、さらに高熱膨張のガラスを用いればよい。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のガラスセラミック焼結体は、La 2 O 3 ・xTiO 2 仮焼粉末を用いて作成し、40〜400℃における熱膨張係数が9×10−6/℃以上、且つ、1MHzにおける比誘電率が10以上であることを特徴とし、高熱膨張ガラスセラミック絶縁層よりなる多層配線基板の内層として用いることにより、コンデンサを内蔵した高熱膨張配線基板を提供できる。このコンデンサ内蔵高熱膨張セラミック多層配線基板は、小型化に有効なボールグリッドアレイ実装型の配線基板としてプリント基板への実装の長期信頼性が高く、また従来、外部回路基板に実装されていたコンデンサが不要となるため、外部回路基板の小型化、および実装コストの削減に有効であり、急速に普及しつつある携帯用電子機器の小型化に、大いに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板における一実施例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
1a,1b,1c 絶縁層
2 メタライズ配線層
3 電極
4 スルーホール導体
Claims (5)
- 40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10−6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%とからなり、該フィラー成分として、La 2 O 3 粉末とTiO 2 粉末との混合粉末を1200〜1500℃で仮焼して作製したLa 2 O 3 ・xTiO 2 粉末とからなる成形体を850〜1050℃で焼成してなるチタン酸ランタンを主成分として含み、40〜400℃における熱膨張係数が9×10−6/℃以上であり、且つ1MHzにおける比誘電率が10以上であることを特徴とするガラスセラミック焼結体。
- 前記チタン酸ランタンが、La 2O3・xTiO2(xはモル分率、2≦x≦5)からなることを特徴とする請求項1記載のガラスセラミック焼結体。
- セラミック絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面および/または内部にメタライズ配線層が配設されている多層配線基板において、前記セラミック絶縁層のうちの少なくとも1層が、請求項1または2記載のガラスセラミック焼結体からなることを特徴とする多層配線基板。
- 前記ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層が、40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10−6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%とからなり、誘電率が10未満の低誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層と積層されてなることを特徴とする請求項3記載の多層配線基板。
- 前記ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層が、一対の電極層間に配設されており、該一対の電極間に所定の静電容量が得られることを特徴とする請求項3記載の多層配線基板。
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