JP2001220219A - ガラスセラミック焼結体およびそれを用いた多層配線基板 - Google Patents

ガラスセラミック焼結体およびそれを用いた多層配線基板

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JP2001220219A JP2000027280A JP2000027280A JP2001220219A JP 2001220219 A JP2001220219 A JP 2001220219A JP 2000027280 A JP2000027280 A JP 2000027280A JP 2000027280 A JP2000027280 A JP 2000027280A JP 2001220219 A JP2001220219 A JP 2001220219A
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    • H01L2924/095Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00 with a principal constituent of the material being a combination of two or more materials provided in the groups H01L2924/013 - H01L2924/0715
    • H01L2924/097Glass-ceramics, e.g. devitrified glass
    • H01L2924/09701Low temperature co-fired ceramic [LTCC]

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  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】焼結性に優れ、高熱膨張ガラスセラミックスと
同時焼成が可能であり、且つ高熱膨張率および高誘電率
を有するガラスセラミックスと、有機樹脂を絶縁材料と
するプリント基板への実装信頼性に優れ、且つコンデン
サを内蔵したセラミックス配線基板を提供する。 【解決手段】40〜400℃における熱膨張係数が6〜
18×10-6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フ
ィラー成分40〜65体積%とからなり、該フィラー成
分として、少なくともLn23・xTiO2(xはモル
分率、2≦x≦5)で表されるチタン酸ランタンを含
み、40〜400℃における熱膨張係数が9×10-6
℃以上であり、且つ1MHzにおける比誘電率が10以
上であるガラスセラミック焼結体であって、セラミック
絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面および/また
は内部にメタライズ配線層が配設されている多層配線基
板において、セラミック絶縁層のうちの少なくとも1層
を上記のガラスセラミック焼結体によって構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高熱膨張係数を有
するガラスセラミックスと同時焼成可能な、高誘電率の
ガラスセラミック焼結体と、かかる高誘電率ガラスセラ
ミックスを具備した多層配線基板に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、多層配線基板は、絶縁層が多層に積
層された絶縁基板の表面または内部にメタライズ配線層
が配設された構造からなり、代表的な例として、LSI
等の半導体素子収納用パッケージが挙げられる。このよ
うなパッケージとしては、絶縁層がアルミナ等のセラミ
ックスからなるものが多用され、さらに最近では、銅メ
タライズと同時焼成を可能にしたガラスセラミックスを
絶縁基板とするものも実用化されている。
【0003】このようなセラミック多層配線基板におい
ては、半導体素子の集積度が高まるに従い、プリント基
板などの外部回路基板と接続するための接続端子数も増
大する傾向にあり、より小型化を図る方法として、セラ
ミック多層配線基板の下面に、半田からなる球状の接続
端子を取り付けたボールグリッドアレイ(BGA)が、
接続端子を最も高密度化できる構造として知られてい
る。このボールグリッドアレイ(BGA)は、外部電気
回路上の配線導体上に前記接続端子を載置当設させ、2
50〜400℃の温度で加熱処理することにより、前記
接続端子を溶融させて接続する。
【0004】この実装方法では、従来のアルミナ、ムラ
イトなどのセラミックスを用いたセラミックス回路基板
の熱膨張係数が約4〜7×10-6/℃であるのに対し、
該基板を半田実装するガラスーエポキシ絶縁層を用いた
プリント基板の熱膨張係数は、約11〜18×10-6
あったため、半導体素子の作動時に発する熱により、セ
ラミック多層配線基板と外部回路基板の熱膨張差に起因
する大きな熱応力が発生するという問題があった。そし
て、この熱応力は接続端子数が増加するほど、影響が大
きくなり、半導体素子の作動と停止の繰り返しにより、
この熱応力が接続端子に印加され、接続端子が配線導体
より剥離するという問題があった。
【0005】このような問題に対して、本出願人は、高
熱膨張のガラスと高熱膨張のフィラーとを用いた高熱膨
張ガラスセラミック焼結体によって絶縁基板を形成した
配線基板を提案した。
【0006】一方、携帯電話、ノートパソコン等の携帯
用情報端末の急激な普及に伴い、内蔵される電子部品の
小型化が強く望まれている。一例として、携帯電話のス
イッチング回路、及びパワーアンプ回路は、複数の抵抗
体およびコンデンサにより構成され、従来、これらの素
子は個々に電気回路基板上に設置されており、小型化、
及び製造コスト削減の妨げとなっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】携帯用電子機器などに
内臓される電子部品を小型化するためには、半導体素子
を収納するセラミック配線基板のみならず、該配線基板
を実装するプリント基板などの外部回路基板を小型化す
る必要がある。しかし、従来は、セラミックス配線基
板、コンデンサ素子および抵抗素子を個々に外部回路基
板上に実装していたため、小型化が困難という問題、お
よび実装のための製造コストが高くなるという問題があ
った。
【0008】そこで、セラミック多層配線基板の内部
に、高誘電率のセラミック層を介装させたコンデンサ内
蔵基板が提案されている。しかしながら、高誘電率の誘
電体材料としては、従来よりBaO−TiO2系、Pb
O−TiO2系などを主とする複合ペロブスカイト系誘
電体材料が知られているが、かかる誘電体材料はガラス
セラミックスと同時焼成することができない。
【0009】そこで、本出願人は、先に高熱膨張のガラ
スとフィラー成分として、BaTiO3、CaTiO3
どを添加した高熱膨張、高誘電率系のガラスセラミック
焼結体を提案した。
【0010】しかしながら、かかるガラスセラミック焼
結体では、ガラスの種類によっては上記のBaTi
3、CaTiO3の成分によって焼結性が大きく阻害さ
れ、低温で緻密質な焼結体が得られないという問題があ
った。
【0011】従って本発明は、焼結性に優れ、高熱膨張
ガラスセラミック焼結体と同時焼成が可能であり、且つ
高熱膨張率および高誘電率を有するガラスセラミック焼
結体と、有機樹脂を絶縁材料とするプリント基板への実
装信頼性に優れ、且つコンデンサを内蔵したセラミック
配線基板を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に対して種々検討を重ねた結果、高熱膨張のガラス成
分に、フィラー成分として、少なくともチタン酸ランタ
ンを含めることによって、焼結性を損なうことなく、高
熱膨張化ととともに高誘電率化を同時に達成でき、且つ
従来の高熱膨張ガラスセラミック焼結体と同時焼成可能
なガラスセラミック焼結体が得られることを見いだし、
本発明に至った。
【0013】即ち、本発明のガラスセラミック焼結体
は、40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×1
-6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成
分40〜65体積%とからなり、該フィラー成分とし
て、少なくともチタン酸ランタンを含み、40〜400
℃における熱膨張係数が9×10-6/℃以上であり、且
つ1MHzにおける比誘電率が10以上であることを特
徴とするものであって、前記チタン酸ランタンとして
は、Ln23・xTiO2(xはモル分率、2≦x≦
5)からなることが望ましい。
【0014】また、本発明の多層配線基板は、セラミッ
ク絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面および/ま
たは内部にメタライズ配線層が配設されているものであ
って、前記セラミック絶縁層のうちの少なくとも1層を
上記の高誘電率ガラスセラミック焼結体によって形成し
たことを特徴とするものである。
【0015】なお、かかる多層配線基板においては、前
記高誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層が、
40〜400℃における熱膨張係数が6〜18×10-6
/℃のガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分4
0〜65体積%とからなり、誘電率が10未満の低誘電
率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁層と積層されて
なることが望ましく、さらには、前記高誘電率ガラスセ
ラミック焼結体からなる絶縁層が、一対の電極層間に配
設されており、該一対の電極によって所定の静電容量が
引き出されることが望ましい。
【0016】かかる本発明によれば、絶縁基板として用
いるガラスセラミック焼結体が、いずれも高熱膨張特性
を具備することから、プリント基板などの有機樹脂を含
む絶縁基体からなる外部回路基板に実装した状態で、熱
サイクルが印加されても、熱膨張差に起因する熱応力の
発生を抑制することができる結果、長期にわたり安定し
た実装が可能となる。しかも、多層配線基板の内部に高
誘電率層を具備することから、コンデンサとしての静電
容量を引き出すことができるために、コンデンサ素子な
どの部品の実装が不要となり、配線基板を含めた電子機
器全体の小型化に寄与することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のガラスセラミック焼結体
は、ガラス成分とフィラー成分によって構成される。ま
ず、ガラス成分としては、40〜400℃における熱膨
張係数が6〜18×10-6/℃である。且つ、メッキ工
程等における耐薬品性を有することが重要である。
【0018】このような高熱膨張のガラス成分として
は、公知の高熱膨張性のガラスが使用でき、例えばリチ
ウム珪酸系ガラス、PbO系ガラス、BaO系ガラス、
ZnO系ガラス等が使用することができる。なお、上記
ガラス成分の熱膨張係数は、結晶化ガラスの場合には、
焼成温度で熱処理した後の熱膨張係数を指すものであ
り、線膨張係数を意味する。
【0019】リチウム珪酸系ガラスとしては、Li2
を5〜30重量%、特に5〜20重量%の割合で含有す
るものであり、焼成後に高熱膨張係数を有するリチウム
珪酸を析出するものが好適に使用される。また、上記リ
チウム珪酸ガラスとしては、Li2O以外にSiO2を必
須の成分として含むが、SiO2はガラス全量中、60
〜85重量%の割合で存在し、SiO2とLi2Oとの合
量がガラス全量中、65〜95重量%であることがリチ
ウム珪酸結晶を析出させる上で望ましい。
【0020】また、これらの成分以外に、Al23、M
gO、TiO2、B23、Na2O、K2O、P25、Z
nO、F等が配合されていてもよい。なお、このリチウ
ム珪酸ガラス中には、B23は1重量%以下であること
が望ましい。
【0021】PbO系ガラスとしては、PbOを主成分
とし、さらにB23、SiO2のうちの少なくとも1種
を含有するものであり、焼成後にPbSiO3、PbZ
nSiO4等の高熱膨張の結晶相が析出するものが好適
に使用される。とりわけPbO(65〜85重量%)−
23(5〜15重量%)−ZnO(6〜20重量%)
−SiO2(0.5〜5重量%)−BaO(0〜5重量
%)から成る結晶性ガラスや、PbO(50〜60重量
%)−SiO2(35〜50重量%)−Al2 3(1〜
9重量%)から成る結晶性ガラスが望ましい。
【0022】さらに、ZnO系ガラスとしては、ZnO
を10重量%以上含有するものであり、焼成後にZnO
・Al23、ZnO・nB23等の高熱膨張の結晶相が
析出するものが好適に使用される。ZnO成分以外に、
SiO2(60重量%以下)、Al23(60重量%以
下)、B23(30重量%以下)、P25(50重量%
以下)、アルカリ土類酸化物(20重量%以下)、Bi
23(30重量%以下)等が配合されていてもよい。と
りわけZnO10〜50重量%−Al2310〜30重
量%−SiO230〜60重量%から成る結晶性ガラス
やZnO10〜50重量%−SiO25〜40重量%−
Al230〜15重量%−BaO0〜60重量%−Ma
O0〜35重量%から成る結晶性ガラスが望ましい。
【0023】BaO系ガラスとしては、BaOを5重量
%以上含有し、非晶質ガラス、または焼成後にBaO・
2SiO2、BaAl2Si28、BaB2Si28等の
結晶相を析出する結晶化ガラスが採用される。BaO以
外の成分としてSiO2、Al23、B23、P25
アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、ZrO
2等を含む場合もある。とりわけ、SiO2を25〜60
重量%、BaOを5〜60重量%、およびZr化合物を
ZrO2換算で0.1〜30%の割合で含有するものが
好適に使用される。
【0024】上記のガラス成分のうち、特に耐薬品性に
優れることから、上記BaO系ガラスがもっとも好適に
用いられる。
【0025】さらに、上記ガラスの屈伏点は、400〜
800℃、特に400〜700℃であることが望まし
い。これは、ガラスおよびフィラーからなる混合物を成
形する場合、有機樹脂等の成形用バインダーを添加する
が、このバインダーを効率的に除去するとともに、絶縁
基体と同時に焼成されるメタライズと焼成条件のマッチ
ングを図るために必要であり、屈伏点が400℃より低
いと、ガラスが低い温度で焼結を開始するため、例え
ば、Ag、Cu等の焼結温度が600〜800℃のメタ
ライズとの同時焼成ができず、また成形体の緻密化が低
温で開始するためにバインダーは分解揮発できなくな
り、バインダー成分が残留し、特性に影響を及ぼす結果
になるためである。一方、屈伏点が800℃より高い
と、ガラス量を多くしないと焼結しにくくなり、相対的
に高価なガラスの使用量が増加するため、コスト削減の
妨げとなる。
【0026】一方、フィラー成分としては、上記ガラス
成分との焼結性が良好であり、40〜400℃における
熱膨張係数が9×10-6/℃以上、且つ、1MHzにお
ける比誘電率が13以上であることが望ましく、さらに
は20以上であることが望ましい。このフィラーの熱膨
張係数が9×10-6/℃より低い場合、焼結体の熱膨張
係数を9×10-6/℃以上に制御することが難しくな
る。また、フィラー成分の熱膨張係数が低い場合、ガラ
ス成分の熱膨張係数を高くする必要があるため、フィラ
ー成分の熱膨張係数は、12×10-6/℃以上であるこ
とがより望ましい。
【0027】本発明によれば、かかるフィラー成分とし
て、チタン酸ランタンを含有することが重要である。こ
のフィラーの1つとしてチタン酸ランタンを用いること
によって、焼結性を阻害することなく、緻密質なガラス
セラミック焼結体を作製することができる。このチタン
酸ランタンは、一般式がLn23・xTiO2(xはモ
ル分率、2≦x≦5)で表され、以下の特性を有する。
【0028】 La23−2TiO2(α=15×10-6/℃、ε=45) La23−3TiO2(α=14×10-6/℃、ε=47) La23−4TiO2(α=14×10-6/℃、ε=51) La23−5TiO2(α=13×10-6/℃、ε=55) これらのチタン酸ランタンは、いずれも緻密質な焼結体
が得られ、調合比率を制御することにより熱膨張係数、
誘電率を容易に制御できる。例えばガラス成分として、
40〜400℃における熱膨張係数が6.5×10-6
℃のガラスを用いた場合、焼結体の40〜400℃にお
ける熱膨張係数α、及び比誘電率εは、10≦α≦1
2、14≦ε≦25の範囲で制御可能となる。
【0029】さらに、焼結体の熱膨張係数を12以上と
するためには、より高熱膨張なガラス成分を使用すれば
よく、熱膨張係数の設定は、外部回路基板の熱膨張係数
に合わせて行う。
【0030】また、フィラー成分としては、焼結性を阻
害しない範囲で、上記のチタン酸ランタン以外に他の高
熱膨張系フィラーと組み合わせることも可能である。例
えば、クオーツ(石英)、クリストバライト、トリジマ
イト、ZrO2、MgO、ペタライト、フォルステライ
ト(2MgO・SiO2)、スピネル(MgO、Al2
3)、ウォラストナイト(CaO・SiO2)、モンティ
セラナイト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェリン
(Na2O・Al23・SiO2)、リチウムシリケート
(Li2O・SiO2)、ジオプサイド(CaO・MgO
・2SiO2)、メルビナイト(2CaO・MgO・2
SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO・2Si
2)、カーネギアイト(Na2O・Al23・2SiO
2)、エンスタタイト(MgO・SiO2)、ホウ酸マグ
ネシウム(2MgO・B23)、セルシアン(BaO・
Al23・2SiO2)、B23・2MgO・2Si
2、ガーナイト(ZnO・Al23)、CaTiO3
BaTiO3、SrTiO3、TiO2等が挙げられる。
【0031】特に、焼結体の誘電率を25以上とするた
めには、フィラー量が上記の範囲から逸脱しない範囲
で、チタン酸ランタンに加えて、 BaTiO3 (α=14×10-6/℃、ε=13000) CaTiO3 (α=13×10-6/℃、ε=180) SrTiO3 (α= 9×10-6/℃、ε=300) TiO2 (α= 9×10-6/℃、ε=80) のうちの少なくとも1種との複合化が有効である。これ
らの中でも、TiO2(ルチル)は、他の高誘電率フィ
ラーと比較し誘電率は低いものの、チタン酸ランタンと
の複合化によってさらに焼結性を高める効果がある。ま
た、このTiO2は、例えばLa23−2TiO2に対し
て、TiO2を組み合わせることによって、Ln23
xTiO2のx値を制御するための調整剤として用い、
焼結性や誘電率、熱膨張特性を制御することも可能であ
る。
【0032】また、これらチタン酸ランタンよりも誘電
率の高い上記フィラーの添加は、誘電率25以上の焼結
体を得るためのみならず、誘電率25以下の焼結体を得
る場合においては、フィラー成分量を少なく、ガラス成
分量を多くでき、ガラス成分量の制御範囲が広がるため
有効である。
【0033】上記のガラス成分およびフィラー成分は、
ガラス成分35〜60体積%と、フィラー成分40〜6
5体積%の割合で調合する。これは、ガラス成分が35
体積%よりも少なく、フィラー成分が65体積%よりも
多いと、銅と同時焼成可能な温度域において良好な緻密
体が得られず、ガラス成分が60体積%よりも多く、フ
ィラー成分が40体積%よりも少ない場合、焼結体とし
ての誘電率を高めることが難しくなるためである。
【0034】なお、チタン酸ランタンのLn23・xT
iO2(xはモル分率、2≦x≦5)のx値によって、
所望の熱膨張係数および誘電率を達成するためには、そ
のフィラーとしての配合量も適宜調整することが必要で
ある。具体的には、後述する実施例から明らかなよう
に、x値が大きくなるに従い、高熱膨張性を達成できる
範囲が徐々に狭くなり、x>5では、熱膨張の大きいガ
ラスを用いないと高熱膨張化が難しくなる。
【0035】また、チタン酸ランタンは、全フィラーの
うち、50体積%以上、特に60体積%以上を構成する
ことによって、チタン酸ランタンによる効果を十分に発
揮することができる。なお、このチタン酸ランタンは、
ガラスに添加する場合には、La23粉末とTiO2
末の形態で添加することも可能であるが、低温での焼結
性を改善する上では、La23粉末とTiO2粉末の混
合粉末を1200〜1500℃で仮焼してLn23・x
TiO2を作製した後、平均粒径1〜5μmに粉砕した
ものが好適に使用できる。なお、この複合酸化物は、x
>2の場合、Ln23・2TiO2+TiO2からなる場
合がある。
【0036】以上のガラス成分とフィラー成分の混合物
は、適当な有機樹脂バインダーを添加した後、所望の成
形手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、射出
成形、押し出し成形、ドクターブレード法、カレンダー
ロール法、圧延法等により任意の形状に成形する。
【0037】次に、上記の成形体の焼成にあたっては、
まず、成形のために配合したバインダー成分を除去す
る。バインダーの除去は、700℃前後の大気雰囲気中
で行われるが、配線導体として、例えばCuを用いる場
合には、100〜700℃の水蒸気を含有する窒素雰囲
気中で行われる。この時、成形体の収縮開始温度は70
0〜850℃程度であることが望ましく、かかる収縮開
始温度がこれより低いとバインダーの除去が困難となる
ため、成形体中の結晶化ガラスの特性、特に屈伏点を前
述したように制御することが必要となる。
【0038】焼成は、850〜1050℃の酸性雰囲気
または非酸化性雰囲気中で行われ、これにより相対密度
90%以上まで緻密化される。この時の焼成温度が85
0℃より低いと緻密化することができず、1050℃を
超えるとメタライズ配線層との同時焼成でメタライズ層
が溶融してしまう。但し、Cu等の配線導体と同時焼成
する場合には非酸化性雰囲気中で焼成される。
【0039】こうして作製された本発明のガラスセラミ
ック焼結体中には、ガラス成分から生成した結晶相、ガ
ラス成分とフィラー成分との反応により生成した結晶
相、あるいはフィラー成分、あるいはフィラー成分が分
解して生成した結晶相等が存在し、これらの結晶相の粒
界にはガラス相が存在する。
【0040】また、本発明のガラスセラミック焼結体
は、フィラー成分としてチタン酸ランタンを用いること
によって焼結体中のボイド量を低減することができ、具
体的には気孔率を0.5%以下に低減でき、さらには4
0〜400℃における熱膨張係数が9×10-6/℃以
上、特に10×10-6/℃以上、1MHzにおける誘電
率が10以上、特に14以上、さらには17以上の高熱
膨張、高誘電率のガラスセラミック焼結体を得ることが
できる。しかも、850〜1050℃の焼成温度で焼成
可能であるため、銅等の低抵抗金属との同時焼成が可能
である。
【0041】また、本発明によれば、上記の高誘電率、
高熱膨張セラミックスを配線基板の絶縁基板材料として
用いることで配線基板の小型化を図ることができる。
【0042】また、図1に示すように、セラミック絶縁
層1a,1b,1cが多層に積層された絶縁基板1の表
面および/または内部にメタライズ配線層2が配設され
ている多層配線基板において、セラミック絶縁層のうち
の少なくとも1層1bを上記高熱膨張、高誘電率のガラ
スセラミック焼結体によって形成し、その上下に銅など
の導体からなる電極層3,3を形成し、スルーホール導
体4、4など経由して基板表面のメタライズ配線層2、
2と接続することにより、配線層2、2間で所定の静電
容量を取り出すことができる。
【0043】この時、前記高誘電率ガラスセラミック焼
結体からなる絶縁層は、40〜400℃における熱膨張
係数が6〜18×10-6/℃のガラス成分35〜60体
積%と、フィラー成分40〜65体積%とからなり、誘
電率が10未満の低誘電率ガラスセラミック焼結体から
なる絶縁層間に積層されていることが望ましい。
【0044】この低誘電率のガラスセラミック焼結体は
前記のガラスセラミック焼結体から高誘電率のフィラー
成分を除く以外は全く同様にして容易に形成できる。
【0045】このような高誘電体層を具備する多層配線
基板は、前述したガラス粉末、およびフィラー粉末から
なる低誘電率のガラスセラミック組成物に、適当な有機
バインダー、溶剤、可塑材を添加混合することによりス
ラリーを作製し、かかるスラリーを周知のドクターブレ
ード等の塗工方式によるグリーンシート成形法により、
グリーンシート状に成形する。そして、メタライズ配線
層として、適当な金属粉末に有機バインダー、溶剤、可
塑材を添加混合して得た金属ペーストを前記グリーンシ
ートに周知のスクリーン印刷法により、所定のパターン
に印刷塗布する。また、場合によっては、前記グリーン
シートに適当な打ち抜き加工を行いスルーホールを形成
し、このホール内にもメタライズペーストを充填する。
【0046】一方、上記と同様の方法により、高誘電率
のガラスセラミック組成物を用いて成形、打ち抜き、電
極層の印刷を行なった高熱膨張、高誘電率のガラスセラ
ミックグリーンシートを作製する。
【0047】そして、上記の低誘電率のガラスセラミッ
クグリーンシートと高誘電率のガラスセラミックグリー
ンシートとを積層し、グリーンシート積層体とメタライ
ズを同時焼成することにより、コンデンサを内蔵する多
層配線基板を得ることができる。
【0048】本発明によって、高熱膨張、高誘電率ガラ
スセラミック層により構成されるコンデンサを内蔵した
高熱膨張の多層配線基板は、有機樹脂を含有するプリン
ト基板などにボール状半田端子や半田を介して実装した
場合においても温度サイクルに対する長期信頼性の実装
が可能である。しかも、コンデンサを内蔵することによ
り、該基板を実装するプリント基板などの外部回路基板
の小型化を図ることができる。
【0049】
【実施例】実施例1 ガラス粉末として、SiO241重量%−BaO37重
量%−B2310重量%−Al237重量%−CaO5
重量%からなるガラス(屈伏点700℃、熱膨張係数
6.5×10-6/℃、Pb量50×10-6以下)に対し
て、フィラーとして、表1に示す誘電体フィラー粉末を
準備した。尚、表中の熱膨張係数は、40〜400℃に
おける値を示す。そして、上記ガラス粉末50体積%に
対し、表2のフィラーをそれぞれ50体積%を秤量調合
し、溶剤を加えてボールミルを用いて粉砕混合した後、
有機バインダー、可塑材を加えて重分混合させてスラリ
ーを作製し、ドクターブレード法により厚み500μm
のグリーンシートを作製した。得られたグリーンシート
より、50mm×50mmのサンプルをプレスし、70
0℃において水蒸気を含有する窒素雰囲気中で脱バイン
ダー後、910℃において窒素雰囲気中で焼成を行っ
た。
【0050】なお、チタン酸ランタンは、TiO2粉末
とLa23粉末とをLn23・xTiO2(x=2,
3,4,5)の組成比率で混合したものを1400℃で
仮焼した後、平均粒径2μmにまで粉砕したものを用い
た。
【0051】得られた焼結体に対して、気孔率をアルキ
メデス法によって測定するとともに、40〜400℃に
おける熱膨張係数、誘電率をそれぞれ測定し、その結果
を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】表1の結果から明らかなように、チタン酸
ランタンを用いた場合、他のフィラーを用いた場合と比
較して、より緻密な焼結体が得られるとともに、高熱膨
張化と高誘電率化が図られることがわかる。 実施例2 チタン酸ランタンとガラスとの組成比を表2〜表5のよ
うに変化させる以外は実施例1と同様にして焼結体を作
製し、特性の評価を行なった。結果は、表2〜表5に示
した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】表2乃至表5の結果から明らかなように、
ガラス成分が35体積%未満では良好な緻密体が得られ
ず、また、60体積%を超えると、誘電率または熱膨張
係数が所望の特性が得られなかった。また、この実施例
におけるガラス種の場合、Ln23・xTiO2(x=
2,3,4,5)のxが大きくなるに従い、焼結性が低
下するとともに、熱膨張係数が低下する傾向がみられ
た。
【0059】なお、このガラス量を増加させつつ高熱膨
張化を図る時は、さらに高熱膨張のガラスを用いればよ
い。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のガラスセ
ラミック焼結体は、40〜400℃における熱膨張係数
が9×10-6/℃以上、且つ、1MHzにおける比誘電
率が10以上であることを特徴とし、高熱膨張ガラスセ
ラミック絶縁層よりなる多層配線基板の内層として用い
ることにより、コンデンサを内蔵した高熱膨張配線基板
を提供できる。このコンデンサ内蔵高熱膨張セラミック
多層配線基板は、小型化に有効なボールグリッドアレイ
実装型の配線基板としてプリント基板への実装の長期信
頼性が高く、また従来、外部回路基板に実装されていた
コンデンサが不要となるため、外部回路基板の小型化、
および実装コストの削減に有効であり、急速に普及しつ
つある携帯用電子機器の小型化に、大いに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板における一実施例を説明する
ための概略断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板 1a,1b,1c 絶縁層 2 メタライズ配線層 3 電極 4 スルーホール導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA04 AA10 AA13 AA16 AA36 AA37 BA12 BA21 CA08 GA20 GA24 5E346 AA12 AA15 AA23 AA25 AA38 BB01 BB16 BB20 CC18 CC31 CC32 EE27 EE29 FF45 GG09 HH22 HH32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】40〜400℃における熱膨張係数が6〜
    18×10-6/℃のガラス成分35〜60体積%と、フ
    ィラー成分40〜65体積%とからなり、該フィラー成
    分として、少なくともチタン酸ランタンを含み、40〜
    400℃における熱膨張係数が9×10-6/℃以上であ
    り、且つ1MHzにおける比誘電率が10以上であるこ
    とを特徴とするガラスセラミック焼結体。
  2. 【請求項2】前記チタン酸ランタンが、Ln23・xT
    iO2(xはモル分率、2≦x≦5)からなることを特
    徴とする請求項1のガラスセラミック焼結体。
  3. 【請求項3】セラミック絶縁層が多層に積層された絶縁
    基板の表面および/または内部にメタライズ配線層が配
    設されている多層配線基板において、前記セラミック絶
    縁層のうちの少なくとも1層が、40〜400℃におけ
    る熱膨張係数が6〜18×10-6/℃のガラス成分35
    〜60体積%と、フィラー成分40〜65体積%とから
    なり、該フィラー成分として、少なくともチタン酸ラン
    タンを含み、40〜400℃における熱膨張係数が9×
    10-6/℃以上であり、且つ1MHzにおける比誘電率
    が10以上の高誘電率ガラスセラミック焼結体からなる
    ことを特徴とする多層配線基板。
  4. 【請求項4】前記高誘電率ガラスセラミック焼結体から
    なる絶縁層が、40〜400℃における熱膨張係数が6
    〜18×10-6/℃のガラス成分35〜60体積%と、
    フィラー成分40〜65体積%とからなり、誘電率が1
    0未満の低誘電率ガラスセラミック焼結体からなる絶縁
    層と積層されてなることを特徴とする請求項3記載の多
    層配線基板。
  5. 【請求項5】前記高誘電率ガラスセラミック焼結体から
    なる絶縁層が、一対の電極層間に配設されており、該一
    対の電極によって所定の静電容量が引き出されることを
    特徴とする請求項3記載の多層配線基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002326863A (ja) * 2001-04-27 2002-11-12 Kyocera Corp セラミック組成物およびそれを用いた多層配線基板
JP2003055034A (ja) * 2001-08-21 2003-02-26 Nippon Electric Glass Co Ltd 積層ガラスセラミック材料及び積層ガラスセラミック焼結体
CN113354406A (zh) * 2021-06-29 2021-09-07 重庆大学 一种基于放电等离子体辅助冷烧结制备ZnO陶瓷的方法

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