JP2003063861A - 複合積層セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents
複合積層セラミック電子部品及びその製造方法Info
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Abstract
く、低温で焼成でき、しかも高周波用途に用いるのに適
した低い誘電損失を実現し得る複合積層セラミック電子
部品を提供する。 【解決手段】 一般式xBaO−yTiO2−zReO
3/2(但し、x,y,zはモル%、8≦x≦18、52
≦y≦65及び20≦z≦40であり、x+y+z=1
00、Reは希土類元素)で表されるBaO−TiO2
−ReO3/2系誘電体及び第1のガラス組成物を主成分
として含む高誘電率材料からなり、比誘電率εrが20
以上である高誘電率層と、セラミックスと第2のガラス
組成物との複合体からなる低誘電率材料からなり、比誘
電率εrが10以下である少なくとも1層の低誘電率層
とが積層されている、複合積層セラミック電子部品。
Description
用共振器、フィルタまたは積層コンデンサなどを内部に
含む多層回路基板に適した複合積層セラミック電子部品
及びその製造方法に関し、より詳細には、高誘電率材料
からなる高誘電率層と、低誘電率材料からなる低誘電率
層とが積層された構造を有する複合積層セラミック電子
部品に関する。
型化に伴って、電子機器に用いられる電子部品の小型化
が求められている。しかしながら、従来、共振器などの
電子部品は、それぞれ個別に構成されており、これらの
部品を小型化しただけでは、電子機器の小型化に限界が
あった。そこで、コンデンサや共振器などの電子部品素
子が基板内部に内蔵されているセラミック多層基板が種
々提案されている。
型化及び近年の高周波化の流れに対応するために、種々
の複合多層基板材料が検討されている。すなわち、配線
が形成されたり、半導体などが実装されたりする低誘電
率層の内部に、高誘電率でかつ低誘電損失の材料を形成
し、高誘電率部分において、コンデンサや共振器などを
構成してなる複合積層セラミック電子部品が種々検討さ
れている。
ような複合積層セラミック電子部品では、低誘電率材料
と高誘電率材料とを複合化しているため、低誘電率材料
と高誘電率材料の収縮曲線や熱膨張係数の違いにより、
両者の界面での剥離や基板自体の変形が生じたりすると
いう問題があった。
いCuやAgなどの低融点の導体を用いる必要がある。
従って、これらの低融点の導体をセラミックスと一体焼
成しなければならないため、セラミック材料の焼成温度
は1000℃以下でなければならない。
に用いるには、基板材料に低い誘電損失が要求される。
ところが、焼成温度を1000℃以下とするには、セラ
ミックスに対し、ガラスなどの焼結助剤を添加すること
が必要である。一般に、ガラスなどの焼結助剤は、基板
材料の誘電損失を高めるように作用する。従って、10
00℃以下の低温で焼成することができ、かつ低い誘電
損失を実現することが非常に困難であった。
に鑑み、異種材料の界面における剥離や変形が生じ難
く、低温で焼成でき、しかも高周波用途に用いるのに適
した低い誘電損失を実現し得る、複合積層セラミック電
子部品及びその製造方法を提供することにある。
複合積層セラミック電子部品は、一般式xBaO−yT
iO2−zReO3/2(但し、x,y,zはモル%、8≦
x≦18、52≦y≦65及び20≦z≦40であり、
x+y+z=100、Reは希土類元素)で表されるB
aO−TiO2−ReO3/2系誘電体及び第1のガラス組
成物を主成分として含む高誘電率材料からなり、比誘電
率εrが20以上である高誘電率層と、セラミックスと
第2のガラス組成物との複合体からなる低誘電率材料か
らなり、比誘電率εrが10以下である少なくとも1層
の低誘電率層とが積層されていることを特徴とする。
率材料に含有されている第1のガラス組成物が、10〜
25重量%のSiO2 と、10〜40重量%のB2O3
と、25〜55重量%のMgOと、0〜20重量%のZ
nOと、0〜15重量%のAl2O3 と、0.5〜10
重量%のLi2Oと、0〜10重量%のRO(但し、R
は、Ba、Sr、Caの内少なくとも1種)とを含む。
誘電率材料が、副成分として全体の3重量%以下のCu
O及び全体の0.1〜10重量%のTiO2 をさらに含
有している。
iO2−ReO3/265〜85重量%に対して、第1のガ
ラス組成物は、15〜35重量%の割合で配合される。
第1の発明の別の特定の局面では、前記低誘電率材料に
含有されているセラミックスがスピネル(MgAl2O4
)であり、前記第2のガラス組成物が、酸化ケイ素を
SiO2 換算で30〜50モル%、酸化ホウ素をB2O3
換算で0〜20モル%、酸化マグネシウムをMgO換
算で20〜55モル%含む。
前記第2のガラス組成物が、CaO、SrO及びBaO
からなる群から選択された少なくとも1種の酸化物を、
該ガラス組成物全体の30モル%以下の割合でさらに含
む。
前記第2のガラス組成物が、酸化アルミニウムをAl2
O3 換算で0〜15モル%含有する。第1の発明のさら
に他の特定の局面では、前記第2のガラス組成物100
重量%に対し、Li2O、K2O及びNa2Oからなる群
から選択された少なくとも1種のアルカリ金属酸化物が
10重量%以下の割合で第2のガラス組成物に添加され
ている。
前記低誘電率材料が、酸化銅をCuO換算で低誘電率材
料100重量%中、3重量%以下の割合で含む。第1の
発明の他の特定の局面では、前記低誘電率材料中のセラ
ミックスがMgAl2O4 であり、前記第2のガラス組
成物が、硼珪酸系ガラスであり、前記低誘電率層では、
主たる結晶相として、MgAl2O4結晶相と、Mg3B2
O6結晶相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種の結
晶相とが析出している。
前記低誘電率材料中のセラミックスがMgAl2O4 で
あり、前記第2のガラス組成物が硼珪酸系ガラスであ
り、前記低誘電率層が、主たる結晶相として、MgAl
2O4結晶相と、Mg2SiO4結晶相と、Mg3B2O6結
晶相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種の結晶相
とが析出されている。
珪酸系ガラスが、酸化ホウ素をB2O3換算で8〜60重
量%、酸化ケイ素をSiO2換算で10〜50重量%、
酸化マグネシウムをMgO換算で10〜55重量%含
む。
前記硼珪酸系ガラスが、アルカリ金属酸化物を酸化物換
算で0〜20重量%含む。第1の発明の他の特定の局面
では、前記低誘電率層が、5〜80重量%のMgAl2
O4結晶相と、5〜70重量%のMg3B2O6結晶相及び
Mg2B2O5結晶相の少なくとも1種とが析出されてい
る。
誘電率層において、5〜80重量%のMgAl2O4結晶
相と、析出量の和が5〜70重量%である、Mg2Si
O4結晶相と、Mg3B2O6結晶相及びMg2B2O5結晶
相の少なくとも1種とが析出されている。
前記低誘電率材料において、前記セラミックスと前記第
2のガラス組成物とが重量比で20:80〜80:20
の割合で含有されている。
前記低誘電率材料と前記高誘電率材料との熱膨張係数の
差が0.5ppm/℃以下とされている。本願の第2の
発明は、第1の発明に係る複合積層セラミック電子部品
の製造方法であって、少なくとも1層の比誘電率が20
以上の高誘電率層と、少なくとも1層の比誘電率が10
以下の低誘電率層とが積層されている複合積層セラミッ
ク電子部品の製造方法であって、前記高誘電率層を構成
するための高誘電率材料用組成物を含む少なくとも1層
の第1のセラミックグリーンシートと、前記低誘電率層
を構成する低誘電率材料用組成物を含む少なくとも1層
の第2のセラミックグリーンシートとが積層されている
積層体を用意する工程と、前記積層体の上下面を、前記
低誘電率材料及び高誘電率材料のいずれの焼結温度より
も焼結温度が高いセラミックスを含む第3のセラミック
グリーンシートで圧着・挟持した状態で前記積層体を焼
成する工程とを備える。
明に係る複合積層セラミック電子部品では、上記のよう
に特定の高誘電率材料からなる少なくとも1層の高誘電
率層と、上記特定の低誘電率材料からなる少なくとも1
層の低誘電率層とが積層された構造を有する。ここで、
高誘電率材料は、上述した一般式で表されるBaO−T
iO2−ReO3/2系誘電体を含む磁器組成物により構成
されており、高周波誘電特性に優れている。
上であり、従って、高誘電率層部分を用いてコンデンサ
や共振器等を構成することができる。高誘電率材料は、
上記一般式であらわされるBaO−TiO2−ReO3/2
系誘電体と上記特定の組成の第1のガラス組成物とを主
成分材料として含み、それによって、後述の実施例から
明らかなように、1000℃以下の低温で焼成でき、A
g、AuあるいはCuなどの導電性に優れた金属と共焼
結することができる。
リ波領域において比誘電率が20以上と高く、温度安定
性に優れている。また、上記第1のガラス組成物からな
るガラス成分が結晶化し、または上記BaO−TiO2
−ReO3/2系誘電体と上記第1のガラス組成物とが反
応して結晶化し、Mg2B2O5、Mg3B2O6、BaTi
4O9、Ba2Ti9O20、Mg2TiO4、Mg2SiO4、
ZnAl2O4、ZnTiO3、Zn2TiO4、Zn2Ti
3O8、LiAlSiO4などのQ値の高い結晶が析出す
るので、Q値が高くなる。
において用いられる希土類元素Reとしては特に限定さ
れず、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb
及びLuなどを挙げることができ、これらの一種または
二種以上を適宜用いることができる。
れる組成を用いるのは、以下の理由による。図1は、B
aO−TiO2−ReO3/2系磁器組成物の三元組成図で
ある。この三元組成図において、実線Pで囲まれている
領域が、上記xBaO−yTiO2−zReO3/2で表さ
れる組成に相当する。
として、図1にAで示す領域、すなわちxが18以上の
場合には、焼結が困難となり、1400℃の温度でも多
孔質の磁器しか得られない。B領域、すなわちyが65
を超え、zが20未満では、温度特性が劣化する。すな
わちコンデンサを内蔵した基板を構成した場合、該コン
デンサの静電容量温度変化率がマイナス側に大きくなり
すぎる。C領域、すなわちxが8未満の場合には、得ら
れる誘電例えばセラミックの比誘電率が小さくなりす
ぎ、焼結性も不安定になる。さらに、D領域、すなわち
zが40を超え、yが52未満では、静電容量の温度変
化率がプラス側に大きくなり、比誘電率も低下する。
0〜25重量%、B2O3を10〜40重量%、MgOを
25〜55重量%、ZnOを0〜20重量%、Al2O3
を0〜15重量%、Li2Oを0.5〜10重量%、及
びRO(但し、Rは、Ba、Sr、Caの内少なくとも
1種)を0〜10重量%の割合でこれらを含む。なお、
この場合、ZnO、Al2O3及びROは含有されていな
くともよい。
を有し、高誘電率材料用の誘電体磁器組成物の焼結を促
す。また、B2O3は、Mg2B2O5またはMg3B2O6な
どの高いQ値を持つ結晶を析出する。しかしながら、B
2O3の含有割合が40重量%を超えると耐湿性が低下
し、10重量%未満では1000℃以下で焼結すること
ができなくなる。上記SiO2は、Mg2SiO4、Li
AlSiO4などの高いQ値を有する結晶を析出する。
SiO2の含有割合が25重量%を超えると、ガラスの
軟化温度が高くなりすぎ、誘電体磁器組成物の焼結性が
損なわれ、10重量%未満では耐湿性に問題が生じる。
器組成物とガラス組成物との反応を促進させ、ガラス組
成物の軟化点を低下する作用を有する。また、MgO
は、Mg2B2O5、Mg3B2O6、Mg2TiO4またはM
g2SiO4などの高いQ値を持つ結晶を析出する。
焼結性が低下し1000℃以下での焼結が困難となり、
55重量%を超えると耐湿性に問題が生ずると共にガラ
ス化が困難になる。
を有する。Li2Oの含有割合が10重量%を超えると
耐湿性に問題が生じ、0.5重量%未満では軟化点が高
くなりすぎ、焼結しなくなる。
Oの含有割合が20重量%を超えると焼結性が低下す
る。また、ZnOは、ZnAl2O4、ZnTiO3、Z
n2TiO4、Zn2Ti3O8などの高いQ値を持つ結晶
を析出する。Al2O3は耐湿性を高める効果を有する
が、含有割合が10重量%を超えると焼結性が低下す
る。
効果を有するが、含有割合が10重量%を超えるとQ値
が低下する。BaOは、BaTi4O9、Ba2Ti9O20
などの高いQ値を持つ結晶を析出する。
分としてCuOが全体の3重量%以下配合される。この
副成分としてのCuOは焼結助材として機能する。もっ
とも、CuO添加割合が3重量%を超えると、Q値が低
下し、静電容量の温度係数がプラス側に大きくなること
がある。また、上記主成分に対し副成分としてTiO 2
が全体の0.1〜10重量%含有されてもよく、TiO
2はガラスの結晶化を促進する作用を有する。もっと
も、TiO2の添加割合が誘電体磁器組成物全体の10
重量%を超えると焼結性が低下することがある。
ス組成物の量が全体の15重量%未満の場合には、焼結
が困難となることがあり、35重量%を超えると、耐湿
性が低下したり、比誘電率が低下したりするおそれがあ
る。従って、好ましくは、上記BaO−TiO2−Re
O3/2系誘電体65〜85重量%に対し、第1のガラス
組成物が15〜35重量%の割合で含有されている。
のガラス組成物とを含むが、このセラミックスとして
は、MgAl2O4 が用いられ得る。上記第2のガラス
組成物としては、比誘電率εrが10以下である低誘電
率層を実現し得る限り、種々のものを用いるが、好まし
くは以下の第1,第2のタイプのガラス組成物が第2の
ガラス組成物として用いられる。第1のタイプの第2の
ガラス組成物は、酸化ケイ素をSiO2換算で30〜5
0モル%、好ましくは35〜45モル%、酸化ホウ素を
B2O3換算で0〜20モル%、好ましくは5〜15モル
%、酸化マグネシウムをMgO換算で20〜55モル
%、好ましくは25〜35モル%とを含む。
は、得られる低誘電率材料の結晶化度が低くなり、Q値
が低下する。逆に、酸化ケイ素の含有量が50モル%を
超えると、ガラスの溶融温度が高くなる。
酸化ホウ素の含有量が20モル%を超えると、得られる
低誘電率材料の耐湿性が低下する。また、MgOはガラ
ス作製時の熔融温度を下げるとともに、結晶化ガラス中
の結晶の構成成分である。特に、MgO−B2O3化合物
はQf値が数万GHz以上を示し、高い高周波特性発現
の主要因となっている。MgOはその含有量が20モル
%未満ではQ値が低くなり、55モル%を超えると結晶
の析出量が多くなり過ぎ、低誘電率材料の強度が低下し
てしまうことがある。
物には、酸化アルミニウムが、Al 2O3換算で0〜15
モル%を占めるように添加されていてもよい。なお、酸
化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で0モル%であ
ってもよい。すなわち、酸化アルミニウムは、必ずしも
含まれずともよい。
場合、含有量がAl2O3 換算で15モル%を超える
と、緻密な焼結体が得られず、Q値が小さくなる。ま
た、酸化アルミニウムを含有させる場合のその下限値に
ついては、Al2O3換算で0モル%を超える範囲とな
る。
は、BaO、SrO及びCaOからなる群から選択した
少なくとも1種のアルカリ土類金属酸化物を、上記ガラ
ス組成物全体の30モル%以下を占めるようにさらに含
むものが望ましい。
製時の溶融温度を低下させる作用を有し、かつガラスの
熱膨張係数を高くするようにも作用する。上記アルカリ
土類金属酸化物の含有割合が30モル%を超えると、Q
値が低下することがある。
は、Li2O、K2O及びNa2Oからなる群から選択し
た少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を全体の10重
量%以下の割合で、さらに好ましくは、2〜5重量%の
割合で含むことが望ましい。アルカリ金属酸化物は、ガ
ラス作製時の溶融温度を低下させる作用を有する。アル
カリ金属酸化物の含有割合が10重量%を超えると、Q
値が低下するおそれがある。
ましくは、酸化亜鉛をZnO換算で15重量%以下、よ
り好ましくは10重量%以下の割合で含むことが望まし
い。酸化亜鉛は、焼成温度を低下させる作用を有する。
もっとも、酸化亜鉛の含有割合がZnO換算で15重量
%を超えると、最終的に緻密な焼結体が得られないこと
がある。
含有されていてもよい。第1のタイプの第2のガラス組
成物には、酸化銅がCuO換算で全体の3重量%以下の
割合で、より好ましくは、2重量%以下の割合で添加さ
れていることが望ましい。酸化銅は、焼成温度を下げる
作用を有する。もっとも、酸化銅の含有割合が3重量%
を超えると、Q値を低下させることがある。
のガラス組成物は、ホウ珪酸系ガラスを用いて構成され
ている。この場合、低誘電率層では、主たる結晶相析出
状態として以下の第1,第2の結晶相析出状態が存在す
る。第1の結晶相析出状態では、MgAl2O4結晶相
と、Mg3B2O6結晶相及びMg2B2O5結晶相の少なく
とも1種とが析出している。第2の結晶相析出状態で
は、主たる結晶相として、MgAl2O4結晶相と、Mg
2SiO4結晶相と、Mg3B2O6結晶相及びMg2B 2O5
結晶相の少なくとも1種とが析出されている。
析出状態を示す各低誘電率層は、比誘電率が10以下小
さく、高周波特性に優れた絶縁体層を構成し得る。第
1,第2の結晶相析出状態を示す低誘電率材料におい
て、好ましくは、上記硼珪酸系ガラスは、酸化ホウ素を
B2O3換算で8〜60重量%、酸化ケイ素をSiO2換
算で10〜50重量%、酸化マグネシウムをMgO換算
で10〜55重量%含むことが望ましい。
素はB2O3換算で8〜60重量%を占めることが望まし
い。酸化ホウ素は主に融剤として作用する。酸化ホウ素
の含有量がB2O3換算で8重量%未満では、溶融温度が
高くなり過ぎることがあり、60重量%を超えると耐湿
性が低下することがある。
10〜50重量%を占めることが望ましい。さらに好ま
しくは13〜38重量%を占めることが望ましい。10
重量%未満では、ホウ珪酸系ガラスの化学的安定性が低
下しがちとなり、50重量%を超えると、ガラスの溶融
温度が高くなることがある。
ネシウムMgOは、10〜55重量%を占めることが望
ましい。さらに好ましくは35〜53重量%を占めるこ
とが望ましい。MgOは、ガラス作製時の溶融温度を低
下するとともに、結晶化ガラス中の結晶の構成成分とも
なる。特に、MgO−B2O3化合物は、Qf値(Q値と
周波数fの積)が数万GHz以上を示し、優れた高周波
特性を発現する主な要因となる。MgOの含有量が10
重量%未満では、Q値が低くなることがあり、55重量
%を超えると、結晶析出量が多くなり過ぎ、強度が低下
することがある。
用いた場合、系に含まれる酸化マグネシウムと酸化ホウ
素の比を調整することにより、Mg3B2O6結晶相また
はMg2B2O5結晶相を選択的に析出させることができ
る。すなわち、モル比に換算して、MgO:B2O3=
3:1よりも酸化マグネシウムが過剰である場合には、
Mg3B2O6結晶相を析出させることができる。他方、
MgO:B2O3=3:1よりもB2O3が過剰である場合
には、Mg2B2O5結晶相が選択的に析出され得る。ま
た、MgO:B2O3=3:1付近では、Mg3B2O6結
晶相及びMg2B2O5結晶相が混在する。
金属酸化物を20重量%以下の割合でさらに含有するこ
とが望ましい。アルカリ金属酸化物は、ガラス作製時の
溶融温度を下げる作用を有するが、含有量が20重量%
を超えると、Q値が低下する傾向がある。上記アルカリ
金属酸化物としては、Na2O、K2O、Li2Oなどを
挙げることができる。また、焼結温度を下げることがで
きる。
ルカリ金属酸化物量を調整することにより、熱膨張係数
の調整も可能である。上記ホウ珪酸系ガラスは、酸化亜
鉛をZnO換算で30重量%以下の割合でさらに含むこ
とが望ましい。酸化亜鉛は、焼成温度を低下させるよう
に作用する。しかしながら、酸化亜鉛の含有割合が30
重量%を超えると、ガラスの化学的安定性が低下するこ
とがある。
をCuO換算で10重量%以下の割合で含有しているこ
とが望ましい。酸化銅は焼成温度を下げる働きを有する
が、含有量が10重量%を超えると、Q値が低下するこ
とがある。
ルミニウムが、Al2O3換算で20重量%以下の割合で
含有されていることが望ましい。酸化アルミニウムの添
加により化学的安定性を高めることができる。しかしな
がら、酸化アルミニウムの含有量が20重量%を超える
と、緻密な焼結体の得られないことがある。
前記焼結体で、全結晶相の割合を100重量%としたと
きに、5〜80重量%のMgAl2O4結晶相、5〜70
重量%のMg3B2O6結晶相及び/またはMg2B2O5結
晶相がそれぞれ析出していることが望ましい。このよう
な範囲であれば、高い信頼性、良好な焼結性、十分な機
械的強度、高いQ値を得ることができる。MgAl2O4
結晶相の割合が5重量%未満の場合には、低誘電率材料
の強度が低くなることがあり、80重量%を超えると、
1000℃以下の焼成では緻密化しないことがある。
には、フィラー成分を減らすことになり、高価なガラス
の添加量を増やすこととなり、コストが高くつくことが
あり、80重量%を超えると、1000℃以下での緻密
化が困難となることがある。また、Mg3B2O6及び/
またはMg2B2O5結晶相が5重量%未満の場合には、
酸化マグネシウム(MgO)と酸化ホウ素(B2O3)と
の反応が十分に進まず、焼結性や信頼性が低下し、Q値
が低くなることがあり、70重量%よりも多く析出させ
るには、高価なガラスの添加量を増やす必要があり、コ
ストが高くつくことになる。
相の割合を100重量%としたときに、5〜80重量%
のMgAl2O4結晶相と、析出量の和が5〜70重量%
であるように、Mg2SiO4結晶相と、Mg3B2O6結
晶相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種類とが析
出していることが望ましい。このような範囲であれば、
良好な焼結性、十分な機械的強度、良好な高周波特性及
び高熱膨張係数を有する低誘電率材料を得ることができ
る。MgAl2O4結晶相が5重量%未満の場合には、機
械的強度が低くなることがあり、80重量%を超える
と、1000℃以下で緻密化しないことがある。Mg2
SiO4結晶相と、Mg3B2O6結晶相及びMg2B2O5
結晶相の少なくとも1種類との析出量の和が5重量%未
満の場合には、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ホウ
素(B2O3)との反応が十分に進まず、焼結性や信頼性
が低下し、Q値が低くなることがあり、70重量%より
も多い場合には、高価なガラスの添加量を増やすことに
なり、コストが高くつく。
と、上記特定のホウ珪酸系ガラスとを用いることによ
り、銅や銀などの低融点金属材料と共焼結することによ
り得ることができ、十分な機械的強度を有し、高周波特
性に優れかつ高熱膨張係数を有する低誘電率材料を得る
ことができる。
率材料の測定周波数15GHzにおけるQ値は700以
上であることが望ましい。15GHzにおけるQ値が7
00以上の場合には、高周波帯、例えば1GHz以上の
周波数域で用いられる回路基板に好適に用いることがで
きる。
ス組成物としては、ガラス組成物を700〜1000℃
の温度で仮焼することにより得られた混合物を用いても
よい。
しくは、上記セラミックスと第2ガラス組成物とは、重
量比で、セラミックス:ガラス組成物=20:80〜8
0:20の割合で配合されていることが望ましく、より
好ましくは、30:70〜50:50である。上記範囲
よりもセラミックスの配合割合が高くなると、焼結体の
密度が小さくなることがあり、上記範囲よりガラス組成
物の配合割合が高くなると、Q値が小さくなることがあ
る。
子部品では、好ましくは、低誘電率層と高誘電率層との
熱膨張係数の差が0.5ppm/℃以下とされ、それに
よって焼成時や実施用時の加熱等による基板の剥がれが
抑制される。
の製造方法では、まず、高誘電率材料用組成物とバイン
ダー及び溶剤とを含むセラミックスラリーをシート成形
することにより第1のセラミックグリーンシートが用意
され、同様に低誘電率材料用組成物とバインダーと溶剤
とを混練することにより得られたスラリーから第2のセ
ラミックグリーンシートが用意される。そして、少なく
とも1枚の第1のセラミックグリーンシートと少なくと
も1枚の第2のセラミックグリーンシートが積層され、
積層体が得られる。このセラミックグリーンシートの製
造及び積層体を得る工程は、周知の積層コンデンサや積
層セラミック多層基板の製造方法に従って行い得る。
セラミックグリーンシートをそれぞれ積層し、第3のセ
ラミックグリーンシートで積層体を圧着・挟持した状態
で焼成が行われる。この場合、第3のセラミックグリー
ンシートとしては、低誘電率材料及び高誘電率材料のい
ずれの焼結温度よりも高い焼結温度を有するセラミック
スを主体とするものが用いられる。従って、積層体が焼
成されて本発明に係る複合積層セラミック電子部品が得
られた場合においても、その温度では第3のセラミック
グリーンシートが焼成されていないので、積層体の上面
及び下面内における焼結収縮が抑制され、厚み方向にの
み焼結収縮されることになる。これによって、高誘電率
材料及び低誘電率材料の焼成収縮カーブが異なっている
場合でも、平坦性に優れた複合積層セラミック電子部品
を得ることができる。
トを構成するセラミック材料については、低誘電率材料
及び高誘電率材料の焼結温度より高ければ特に限定され
ないが、例えば1000℃以下では焼結しないアルミナ
などのグリーンシートが用いられる。
子部品の具体的な実施例を説明することにより、本発明
を明らかにする。
O3/2(希土類酸化物)のモル比が下記の表1に示す組
成比となるようにBaCO3、TiO2、Nd2O3、Sm
2O3を秤量し、十分に混合した。次に、混合物を115
0℃で1時間仮焼し、得られた仮焼物を粉砕し、下記の
表1に示す磁器組成物S1〜S10を調製した。
に示す組成比を有するように、B2O3、SiO2、Zn
O、MgO、Li2O、Al2O3、BaO、CaO及び
SrOをそれぞれ秤量し、十分混合した。混合物を11
00℃〜1400℃の温度で溶融し、水中に投入して急
冷した後、湿式粉砕し、下記の表2に示すガラス組成物
G1〜G24をそれぞれ調製した。
製)上記のようにして得られた磁器組成物S1に、下記
の表3に示す組成比となるように、それぞれ、G1〜G
15の第1のガラス組成物を加え、(磁器組成物)+
(ガラス組成物)+(CuO)+(TiO2)=100
重量%となるように混合した。また、上記のようにして
得られた磁器組成物S1〜S10に、下記の表4に示す
組成となるように、それぞれ、G1、及びG16〜G2
4の第1のガラス組成物を加え、混合した。これらの混
合物に、副成分として、下記の表3及び表4に示す割合
で、CuO粉末及びTiO2粉末を加え、十分に混合
し、高誘電率材料用組成物を得た。しかる後、高誘電率
材料用組成物に対し、適当量のバインダ、可塑材及び溶
剤を加え、混練し、スラリーを得た。
クターブレード法により厚さ50μmのシート状に成形
した。得られたセラミックグリーンシートを、縦30m
m×横10mmの矩形形状のセラミックグリーンシート
に切断した。この矩形のセラミックグリーンシートを複
数枚積層し、圧着することにより、0.5mmの厚みの
積層体を得た。しかる後、得られた積層体を800〜1
100℃の温度で1時間焼成し、下記の表3に示す試料
番号K1〜K25の板状の各誘電体磁器及び表4に示す
試料番号K26〜K43の各誘電体磁器を得た。
磁器について、比誘電率(εr)、Q値、及び熱膨張係
数αまたは静電容量温度変化率β(ppm/℃)を測定
した。なお、比誘電率は1MHzで測定した。また、Q
値は誘電体共振器法により測定した。結果を下記の表3
及び表4に示す。
40及び43では、Q値が2000以下と低かった。
用意し、化学量論比組成でMgAl2O4となるように秤
量し、16時間湿式混合した。得られた混合物を乾燥
し、1350℃の温度で2時間仮焼した後、粉砕した。
このようにして粉砕された組成物をセラミック粉末とし
て、20〜80重量%となるように秤量し、該セラミッ
ク粉末に対し、焼結助剤である下記の表5に示す組成の
第2ガラス粉末組成物A〜Qと、必要に応じてCuO粉
末とを下記の表6に示す割合で混合し、低誘電率材料用
組成物を得た。これにさらに適量のバインダを加え造粒
し、得られた粒状体を、2000kg/cm2の圧力の
下で成形し、直径12mm及び厚さ7mmの円板状成形
体を得た。この成形体を大気中にて900〜1000℃
で2時間焼成し、円板状の絶縁体磁器試料を得た。この
試料を用いて、両端短絡型誘電体共振器法により15G
Hzにおける比誘電率及びQ値を測定した。
セラミックスラリーを形成し、ドクターブレード法によ
り厚み50μmのシート状に成形し、セラミックグリー
ンシートを得た。このセラミックグリーンシート上に、
Agにより電極パターンを印刷し、積層コンデンサ用積
層体を得た。この積層体を900℃で30分間焼成し、
直方体状のセラミック焼結体を得た。この焼結体に外部
電極を形成して、積層コンデンサを構成し、該積層コン
デンサに50Vの電圧を引加し、120℃、相対湿度9
5%及び2気圧の条件下で200時間放置した後取り出
し、絶縁抵抗の変化を測定し、耐湿性を判断した。
た。結果を下記の表6に示す。
料用組成物及び低誘電率材料用組成物を用いて、それぞ
れ、第1,第2のセラミックグリーンシートを作製し
た。なお、高誘電率材料用第1のセラミックグリーンシ
ートについては、焼き上げ後の厚みが250μmとなる
ようにし、低誘電率材料用の第2のセラミックグリーン
シートの厚みは、焼き上げ後に125μmとなるように
設定した。第1のセラミックグリーンシート及び第2の
セラミックグリーンシートを、5cm×5cmの矩形形
状を有するように切断した。しかる後、第1のセラミッ
クグリーンシートの上下に第2のセラミックグリーンシ
ートを積層し、圧着し、積層体を得た。この積層体を焼
成し、表7の接合体番号T11の複合積層セラミック焼
結体を得た。
クグリーンシートの上下に第2のセラミックグリーンシ
ートを積層した後、焼成後の厚みが200μmとなる厚
みのアルミナグリーンシートを積層し、厚み方向に加圧
することにより圧着した。このようにして、アルミナ含
有第3のセラミックグリーンシートで上下から圧着直挟
持された積層体を第3のセラミックグリーンシートが焼
成しない焼成温度で焼成し、しかる後、第3のセラミッ
クグリーンシートを除去することにより、表7の接合体
番号T1〜10,12〜15,17〜23の複合積層セ
ラミック焼結体を得た。
焼結体について、高誘電率層と低誘電率層との接合界面
を顕微鏡観察し、クラックやハガレ等が生じていないも
のについて、接合性が良好であるとし、下記の表7にお
いて○印を付した。また、上記クラックやハガレが生じ
ているものについては、接合性不良とし、下記の表7に
おいて×印を付した。
セラミック焼結体において、セラミックグリーンシート
の面内方向における収縮率が1%以下であり、複合積層
セラミック焼結体にわれ、かけ、ハガレが生じないもの
について、無収縮焼成が良好であるとし、下記の表7に
○印を付した。
製したことを除いては、第1の実験例と同様とした。
g(OH)2とAl2O3の各粉末を用意し、化学量論比
組成でMgAl2O4となるように秤量し、16時間湿式
混合した。得られた混合物を乾燥し、1350℃の温度
で2時間仮焼した後、粉砕した。このようにして粉砕さ
れた組成物をセラミック粉末として、MgAl2O4が全
体の20〜80重量%となるように秤量し、このセラミ
ック粉末に、焼結助剤として下記の表8に示す組成の第
2のガラス組成物を混合し、適量のバインダを加え低誘
電率材料用組成物を得た。この組成物を造粒し、得られ
た粒状体を200MPaの圧力のもとで成形し、直径1
2mm×厚さ7mmの円板状の成形体を得た。
1000℃で2時間焼成し、絶縁体磁器試料を得た。こ
の絶縁体磁器試料を用い、誘電体共振器法により、15
GHzにおける比誘電率ε及びQ値を測定した。結果を
下記の表9に示す。
料を粉砕し、XRDスペクトルにより分析し、MgAl
2O4、Mg3B2O6、Mg2B2O5及びMg2SiO4の各
結晶相の存在を調べた。結果を下記の表9に示す。な
お、表9において、SPはMgAl2O4、KOはMg3
B2O6、SUはMg2B2O5、FOはMg2SiO4を示
す。
材料からなる絶縁体磁器を適当な寸法に切り出し、熱膨
張係数を測定した。室温から600℃までにおける結果
を下記の表9において熱膨張係数として示す。
を得るのに用意された低誘電率材料用組成物を除いて
は、第1の実験例の場合と同様にして、複合積層セラミ
ック焼結体を作製し、第1の実験例の場合と同様にして
評価した。なお、第2の実験例においても、アルミナ含
有第3のセラミックグリーンシートを用いずに焼成を行
って得られた複合セラミック焼結体(表10のT33,
T40,T43,T48)と、アルミナ含有第3のセラ
ミックグリーンシートで積層体を挟持して焼成すること
により得られた複合積層セラミック焼結体(表10の接
合体番号T31,T32,T34〜T39,T41,T
42,T44〜T46,T47,T49〜T59)につ
いて評価を行った。結果を下記の表10に示す。
大きなポアがみられることを示す。
子部品の構造的な実施例を説明する。図2は、本発明の
一実施例としてのセラミック多層基板を含む複合積層セ
ラミック電子部品としてのセラミック多層モジュールを
示す断面図であり、図3はその分解斜視図である。
ク多層基板2を用いて構成されている。セラミック多層
基板2では、低誘電率層としての絶縁性セラミック層3
a,3b間に高誘電率層としてのセラミック層4が挟ま
れている。
がセラミック層4の一部を介して隣り合うように配置さ
れており、それによって積層コンデンサユニットC1,
C2が構成されている。
ック層4には、複数のビアホール電極6,6aや内部配
線が形成されている。他方、セラミック多層基板2の上
面には、電子部品素子9〜11が実装されている。電子
部品素子9〜11としては、半導体デバイス、チップ型
積層コンデンサなどの適宜の電子部品素子を用いること
ができる。上記ビアホール電極6及び内部配線により、
これらの電子部品素子9〜11と、コンデンサユニット
C1,C2とが電気的に接続されて本実施例に係るセラ
ミック多層モジュール1の回路を構成している。
は、導電性キャップ8が固定されている。導電性キャッ
プ8は、セラミック多層基板2を上面から下面に向かっ
て貫いているビアホール電極6に電気的に接続されてい
る。また、セラミック多層基板2の下面に外部電極7,
7が形成されており、外部電極7,7が上記ビアホール
電極6,6aに電気的に接続されている。また、他の外
部電極については図示を省略しているが、上記外部電極
7と同様に、セラミック多層基板2の下面にのみ形成さ
れている。また、他の外部電極は、上述した内部配線を
介して、電子部品素子9〜11やコンデンサユニットC
1,C2と電気的に接続されている。
にのみ外部と接続するための外部電極7を形成すること
により、セラミック積層モジュールを、下面側を利用し
てプリント回路基板などに容易に表面実装することがで
きる。
材料からなり、外部電極7にビアホール電極6aを介し
て電気的に接続されているので、電子部品素子9〜11
を導電性キャップ8により電磁シールドすることができ
る。もっとも、キャップ8は、必ずしも導電性材料で構
成されている必要はない。
は、上記のようにセラミック多層基板2において、高誘
電率層としてのセラミック54を用いて積層コンデンサ
ユニットC1,C2が構成されているので、内部電極5
や外部配線構成用電極及びビアホール電極6,6aを、
AgやCuなどの低抵抗で安価な金属を用いて構成する
ことができ、かつこれらと共焼結できる。従って、一体
焼結型のセラミック多層基板2を用いてコンデンサユニ
ットC1,C2を構成することができるので、小型化を
図ることができる。加えて、上記セラミック層4が、誘
電率が高く、かつQ値も高いので、高周波用途に適した
セラミック多層モジュール1を提供することができる。
のセラミック積層一体焼成技術を用いて容易に得ること
ができる。すなわち、先ず、本発明に係る誘電体磁器組
成物材料を主体とするセラミックグリーンシートを用意
し、内部電極5、外部配線及びビアホール電極6,6a
などを構成するための電極パターンを印刷し、積層す
る。さらに、上下に絶縁性セラミック層3a,3bを形
成するためのセラミックグリーンシート上に外部配線及
びビアホール電極6,6aを構成するための電極パター
ンを形成したものを適宜の枚数積層し、厚み方向に加圧
する。このようにして得られた積層体を焼成することに
より、容易にセラミック多層基板2を得ることができ
る。
静電容量を取り出すための厚み方向に隣り合う内部電極
5,5間に高誘電率層としてのセラミック層が配置され
ていることになるので、比較的小さな面積の内部電極で
大きな静電容量を得ることができ、それによっても小型
化を進めることができる。
る複合積層セラミック電子部品では、上記特定の一般式
で表される誘電体及び第1のガラス組成物を主成分とし
て含む高誘電率材料からなり、比誘電率εrが20以上
である高誘電率層と、セラミックスと第2のガラス組成
物との複合体からなる低誘電率材料からなり、比誘電率
εrが10以下である少なくとも1層の低誘電率層とが
積層されている。従って、上記高誘電率層において該高
誘電率を利用して、コンデンサや共振器を構成すること
ができる。さらに、該高誘電率材料は、ガラス成分の結
晶化により、高周波域、特にマイクロ波領域やミリ波領
域において小さな誘電損失を発現するので、高周波特性
に優れたコンデンサや共振器などを構成することができ
る。また、上記高誘電率材料は、1000℃以下の低温
で焼成することができる。従って、導体として、比抵抗
の小さな金、銀または銅などを主成分とするものを用い
ることができる。
10以下と小さいため、該低誘電率層において絶縁体を
構成することができる。従って、本発明によれば、上記
高誘電率層と低誘電率層とを組み合わせることにより、
高周波特性に優れた共振器やコンデンサを内蔵した複合
積層セラミック電子部品を構成することが可能となる。
と酸化硅素、酸化ホウ素及び酸化マグネシウムを上記特
定の割合で含む第2のガラス組成物からなる場合、並び
に上記低誘電率材料が、MgAl2O4とホウ硅酸系ガラ
スからなり、主たる結晶相として、MgAl2O4結晶相
と、Mg3B2O6結晶相及びMg2B2O5の結晶相の少な
くとも1種の結晶相とが析出している状態、あるいはM
gAl2O4結晶相と、Mg2SiO4結晶相と、Mg3B2
O6結晶相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種の結
晶相とが析出している場合には、低誘電率材料を100
0℃以下の低温で焼成することができる。従って、高誘
電率層と低誘電率層とを1000℃以下の低温で一体焼
成することができ、比抵抗の小さな金、銀又は銅などを
主成分とする導体をさらに共焼結することができる。ま
た、この低誘電率材料もまた、上記高誘電率材料と同様
に、ガラス成分の結晶化により、マイクロ波領域やミリ
波領域などの高周波領域における誘電損失が小さいた
め、より一層高周波特性に優れた複合積層セラミック電
子部品を提供することができる。
ック電子部品の製造方法では、高誘電率材料用組成物を
含む少なくとも1層の第1のセラミックグリーンシート
と、低誘電率用組成物を含む少なくとも1層の第2のセ
ラミックグリーンシートが積層された積層体が、その上
下面を低誘電率材料及び高誘電率材料のいずれの焼成温
度よりも焼成温度が高いセラミックスを含む第3のセラ
ミックグリーンシートで圧着・挟持された状態で焼成が
行われる。従って、上記積層体の上面及び下面の平面方
向における収縮を抑制することができ、寸法精度に優れ
た複合積層セラミック電子部品を提供することができ
る。
aO−TiO2−ReO3/2系の磁器組成物の三元組成
図。
を用いたセラミック電子部品としてのセラミック積層モ
ジュールを示す縦断面図。
斜視図。
ック層 4…誘電体セラミック層 5,5…内部電極 6,6a…ビアホール電極 7…外部電極 8…導電性キャップ 9〜11…電子部品素子
Claims (18)
- 【請求項1】 一般式xBaO−yTiO2−zReO
3/2(但し、x,y,zはモル%、8≦x≦18、52
≦y≦65及び20≦z≦40であり、x+y+z=1
00、Reは希土類元素)で表されるBaO−TiO2
−ReO3/2系誘電体及び第1のガラス組成物を主成分
として含む高誘電率材料からなり、比誘電率εrが20
以上である高誘電率層と、セラミックスと第2のガラス
組成物との複合体からなる低誘電率材料からなり、比誘
電率εrが10以下である少なくとも1層の低誘電率層
とが積層されていることを特徴とする、複合積層セラミ
ック電子部品。 - 【請求項2】 前記高誘電率材料に含有されている第1
のガラス組成物が、10〜25重量%のSiO2 と、1
0〜40重量%のB2O3 と、25〜55重量%のMg
Oと、0〜20重量%のZnOと、0〜15重量%のA
l2O3と、0.5〜10重量%のLi2Oと、0〜10
重量%のRO(但し、Rは、Ba、Sr、Caの内少な
くとも1種)とを含むことを特徴とする、請求項1に記
載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項3】 前記高誘電率材料が、副成分として全体
の3重量%以下のCuO及び全体の0.1〜10重量%
のTiO2 をさらに含有していることを特徴とする、請
求項1または2に記載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項4】 前記高誘電率材料において、BaO−T
iO2−ReO3/265〜85重量%に対して、第1のガ
ラス組成物が15〜35重量%配合されている、請求項
1〜3のいずれかに記載の複合積層セラミック電子部
品。 - 【請求項5】 前記低誘電率材料に含有されているセラ
ミックスがMgAl 2O4 であり、前記第2のガラス組
成物が、酸化ケイ素をSiO2 換算で30〜50モル
%、酸化ホウ素をB2O3 換算で0〜20モル%、酸化
マグネシウムをMgO換算で20〜55モル%含む、請
求項1〜4のいずれかに記載の複合積層セラミック電子
部品。 - 【請求項6】 前記第2のガラス組成物が、CaO、S
rO及びBaOからなる群から選択された少なくとも1
種の酸化物を、該ガラス組成物全体の30モル%以下の
割合でさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のい
ずれかに記載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項7】 前記第2のガラス組成物が、酸化アルミ
ニウムをAl2O3換算で0〜15モル%含有することを
特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の複合積層
セラミック電子部品。 - 【請求項8】 前記第2のガラス組成物100重量%に
対し、Li2O、K2O及びNa2Oからなる群から選択
された少なくとも1種のアルカリ金属酸化物が10重量
%以下の割合で第2のガラス組成物に添加されている、
請求項1〜7のいずれかに記載の複合積層セラミック電
子部品。 - 【請求項9】 前記低誘電率材料が、酸化銅をCuO換
算で低誘電率材料100重量%中、3重量%以下の割合
で含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記
載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項10】 前記低誘電率材料中のセラミックスが
MgAl2O4 であり、前記第2のガラス組成物が、硼
珪酸系ガラスであり、前記低誘電率層では、主たる結晶
相として、MgAl2O4結晶相と、Mg3B2O6結晶相
及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種の結晶相とが
析出していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれ
かに記載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項11】 前記低誘電率材料中のセラミックスが
MgAl2O4 であり、前記第2のガラス組成物が硼珪
酸系ガラスであり、前記低誘電率層が、主たる結晶相と
して、MgAl2O4結晶相と、Mg2SiO4結晶相と、
Mg3B2O6結晶相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも
1種の結晶相とが析出されていることを特徴とする、請
求項1〜4のいずれかに記載の複合積層セラミック電子
部品。 - 【請求項12】 前記硼珪酸系ガラスが、酸化ホウ素を
B2O3換算で8〜60重量%、酸化ケイ素をSiO2換
算で10〜50重量%、酸化マグネシウムをMgO換算
で10〜55重量%含むことを特徴とする、請求項10
または11に記載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項13】 前記硼珪酸系ガラスが、アルカリ金属
酸化物を酸化物換算で0〜20重量%含む、請求項10
〜12のいずれかに記載の複合積層セラミック電子部
品。 - 【請求項14】 前記低誘電率層が、5〜80重量%の
MgAl2O4結晶相と、5〜70重量%のMg3B2O6
結晶相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種とが析
出されている、請求項10,12または13のいずれか
に記載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項15】 前記低誘電率層において、5〜80重
量%のMgAl2O4結晶相と、析出量の和が5〜70重
量%である、Mg2SiO4結晶相と、Mg3B2O6結晶
相及びMg2B2O5結晶相の少なくとも1種とが析出さ
れている、請求項11〜13のいずれかに記載の複合積
層セラミック電子部品。 - 【請求項16】 前記低誘電率材料において、前記セラ
ミックスと前記第2のガラス組成物とが重量比で20:
80〜80:20の割合で含有されている、請求項1〜
15のいずれかに記載の複合積層セラミック電子部品。 - 【請求項17】 前記低誘電率材料と前記高誘電率材料
との熱膨張係数の差が0.5ppm/℃以下である、請
求項1〜16のいずれかに記載の複合積層セラミック電
子部品。 - 【請求項18】 少なくとも1層の比誘電率が20以上
の高誘電率層と、少なくとも1層の比誘電率が10以下
の低誘電率層とが積層されている複合積層セラミック電
子部品の製造方法であって、 前記高誘電率層を構成するための高誘電率材料用組成物
を含む少なくとも1層の第1のセラミックグリーンシー
トと、前記低誘電率層を構成する低誘電率材料用組成物
を含む少なくとも1層の第2のセラミックグリーンシー
トとが積層されている積層体を用意する工程と、 前記積層体の上下面を、前記低誘電率材料及び高誘電率
材料のいずれの焼結温度よりも焼結温度が高いセラミッ
クスを含む第3のセラミックグリーンシートで圧着・挟
持した状態で前記積層体を焼成する工程とを備えること
を特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の複合
積層セラミック電子部品の製造方法。
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