JP3764605B2 - 回路基板の製法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回路基板の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、強度の弱い絶縁層を強度の強い絶縁層で補強するためや回路基板の中に容量値の高いキャパシタを内蔵するために、絶縁層と、この絶縁層とは異なる材料からなる異種材料絶縁層を積層した回路基板が知られている(例えば、特開昭59−194493号公報参照)。このような回路基板では、磁器のクラックやデラミネーションを防止するために、絶縁層と異種材料絶縁層とは、焼成収縮率および熱膨張係数を一致させるように材料を決定していた。
【0003】
しかしながら、このような回路基板においては、クラックやデラミネーションを防止できるものの、焼成収縮率が大きいため、回路基板内に形成された電極のx−y方向における寸法精度が低くなるという問題があった。特に、近年においては、回路基板の小型薄型化のため、ますます電極のx−y方向における寸法精度が要求されている。
【0004】
そこで、近年においては、回路基板の積層成形体をAl2 3 基板等で挟持して焼成する加圧焼成法(特開昭62−260777号公報)、回路基板の積層成形体の表面に、この積層成形体の焼成温度では焼結しないグリーンシートを積層し、焼成後にそれを削り取る方法(特開平4−243978号公報)が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した加圧焼成法では、Al2 3 基板等により加圧する必要があり、そのための設備やAl2 3 基板等が必要であった。また、未焼結グリーンシートを除去する方法では、製造工程が増加し、しかも、除去したグリーンシートは廃棄しなければならず、原料が無駄であった。
【0006】
本発明は、異種材料の同時焼成に際して、クラックやデラミネーションを防止できるとともに、x−y方向における収縮率を容易にかつ安価に小さくできる回路基板の製法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路基板の製法は、複数の絶縁層成形体を積層してなるとともに、該複数の絶縁層成形体のうち少なくとも1層が、他の絶縁層成形体との焼成収縮開始温度の差が20〜90℃である異種材料絶縁層成形体である積層成形体を作製し、該積層成形体を1回の焼成工程にて焼成し、アルミナ、シリカ、MgTiO 、MgTiO −CaTiO から選ばれる1種と、結晶性ガラスとを含有する異種材料絶縁層と、MgTiO またはMgTiO −CaTiO を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する他の絶縁層とが積層された回路基板を作製する方法である。
【0008】
また、本発明の回路基板の製法は、他の絶縁層が、金属元素として少なくともMgおよびTiを含有し、これらのモル比による組成式を、
(1−x)MgTiO ・xCaTiO
と表した時、前記xが0≦x≦0.2を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、BをB 換算で3〜20重量部、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸塩換算で1〜10重量部、SiをSiO 換算で0.01〜5重量部、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化物換算で0.1〜5重量部含有することが望ましい。
【0009】
さらに、本発明の回路基板の製法は、他の絶縁層と異種材料絶縁層の熱膨張係数の差は2×10 −6 /℃以下であることが望ましい。
【0014】
【作用】
本発明の回路基板の製法では、複数の絶縁層を積層してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1層が、他の絶縁層と焼成収縮開始温度が異なる異種材料絶縁層であるため、焼成収縮開始温度が、特に20〜90℃異なる2種の材料を一体焼成した場合には、異種材料絶縁層が収縮を開始する際には、他の絶縁層によりx−y方向における収縮が妨げられ、異種材料絶縁層が収縮を完了すると、この異種材料絶縁層により他の絶縁層のx−y方向における収縮が妨げられ、結果的に、焼成中におけるx−y方向の焼成収縮を抑制できる。
【0015】
また、他の絶縁層が、MgTiO3 またはMgTiO3 −CaTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する場合、特に、モル比による組成式を、(1−x)MgTiO3 ・xCaTiO3 と表した時、xが0≦x≦0.2を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を所定量含有する場合には、他の絶縁層のQf値をそれほど低下させることなく、920℃以下の焼成温度で焼成できるとともに、収縮開始温度を830℃以下にでき、Ag、Cu等の内部導体と同時焼成しても変形することがなく、さらに、Q値とその測定周波数との積で表される磁器のQf値を20000〔GHz〕以上、比誘電率を18以上とでき、このような他の絶縁層に共振回路等の高周波回路を形成することにより、優れた特性の回路を得ることができる。
【0016】
さらに、他の絶縁層と異種材料絶縁層の熱膨張係数差を小さくすることにより、特に2×10-6/℃以下とすることにより、ピーク焼成温度からの冷却時における材料の熱収縮挙動を一致させ、収縮のミスマッチをなくすことができるため、クラックあるいはデラミネーションの発生を防止できる。
【0017】
さらに、複数の絶縁層からなる積層体の上下面に、該積層体を構成する他の絶縁層よりも比誘電率が低い材料から構成される異種材料絶縁層を形成することにより、異種材料絶縁層を挟む電極間に形成される容量が、他の絶縁層を挟む電極間に形成される容量よりも小さいため、異種材料絶縁層成形体に形成されたビアホール導体および配線導体と接地導体の間における浮遊容量を抑制できる。
【0018】
また、複数の絶縁層を積層してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1層が、他の絶縁層と焼成収縮開始温度が異なり、かつ比誘電率が略同一の異種材料絶縁層であり、該異種材料絶縁層と他の絶縁層が、アルミナ、シリカ、MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種と、結晶性ガラスとを含有することによっても、上記したように、焼成中におけるx−y方向の焼成収縮を抑制できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の製法により得られた回路基板(以下、本発明の回路基板という)の一例を示すもので、図1において、回路基板は、基板1と、この基板1の表面に形成された表面導体2と、基板1の内部に形成された接地導体3と,λ/4ストリップライン共振器4とから構成されている。
【0020】
基板1は、7層の絶縁層1a〜1gからなり、他の絶縁層1b〜1fからなる積層体の上下面に、接地導体3を挟むようにして、他の絶縁層1b〜1fとは異種の材料からなる異種材料絶縁層1a、1gが積層されている。
【0021】
本発明の回路基板は、他の絶縁層1b〜1fを形成する材料の焼成収縮開始温度は、異種材料絶縁層1a、1gを形成する材料の焼成収縮開始温度と異なっている。尚、他の絶縁層1b〜1fと、異種材料絶縁層1a、1gの間に接地導体3を挟まなくても良い。
【0022】
図2は本発明における回路基板の他の例を示すもので、この回路基板は、基板11と、この基板11の表面に形成された表面導体12と、基板11の内部に形成された接地導体13と、内部導体15と、表面導体12と内部導体15を接続するビアホール導体14とから構成されている。
【0023】
基板11は、5層の絶縁層11a〜11eからなり、他の絶縁層11cを形成する材料の焼成収縮開始温度が、異種材料絶縁層11a、11b、11d、11e を形成する材料の焼成収縮開始温度と異なっている。
【0024】
図1および図2の回路基板において、他の絶縁層1b〜1f、11cは、MgTiO3 またはMgTiO3 −CaTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有するものであり、異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eは、他の絶縁層1b〜1f、11cとは比誘電率が異なる材料からなるもので、アルミナ、シリカ、MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種と、結晶性ガラスとから形成されている。
このように、他の絶縁層1b〜1f、11cを、MgTiO3 またはMgTiO3 −CaTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する磁器とすることにより、Qf値が20000〔GHz〕以上で、920℃以下の焼成温度で焼成できるとともに、収縮開始温度を830℃以下にでき、Ag、Cu等の内部導体と同時焼成しても変形することがなく、比誘電率を18以上とできる。
【0025】
異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eの焼成収縮開始温度と、他の絶縁層1b〜1f、11cの焼成収縮開始温度との差は20〜90℃であることが望ましい。これは、収縮開始温度差が20℃より小さくなると焼成における収縮挙動が一致するため、基板のx−y方向における収縮率が大きくなり、配線導体の寸法精度が悪くなるからであり、逆に90℃を超えると焼成収縮時において、他の絶縁層1b〜1f、11cと異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eの界面に応力歪みを生じ、基板が反る、歪む、あるいは界面で剥離する等の問題が生じるからである。とりわけ、収縮率低減と基板の反り、歪みの観点から、収縮開始温度差は30〜60℃であることが望ましい。尚、図1および図2においては配線導体は省略した。
【0026】
また、他の絶縁層1b〜1f、11cと異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eの熱膨張係数の差は2×10-6/℃以下であることが望ましい。これは、2×10-6/℃よりも大きくなると、焼成ピーク温度からの冷却時において熱収縮率の差が生じ、他の絶縁層1b〜1f、11cと異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eの界面に、クラックやデラミネーションを生じ易いからである。とりわけ、クラックやデラミネーションの観点から、熱膨張係数の差は1×10-6/℃以下が望ましい。
【0027】
また、他の絶縁層1b〜1f、11cは、モル比による組成式を、(1−x)MgTiO3 ・xCaTiO3 と表した時、xが0≦x≦0.2を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、BをB2 3 換算で3〜20重量部、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸塩換算で1〜10重量部、SiをSiO2 換算で0.01〜5重量部、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化物換算で0.1〜5重量部含有するものが望ましい。
【0028】
ここで、xを0≦x≦0.2としたのは、xが0.2モルを越える場合には共振周波数の温度係数τfがプラス側に大きくなりすぎてしまうからである。とりわけ誘電体磁器の共振周波数の温度係数τfの観点からはxは0.03≦x≦0.13が好ましい。
【0029】
また、主成分100重量部に対して、BをB2 3 換算で3〜20重量部含有したのは、Bが3重量部未満の場合には1100℃でも焼結せず、AgまたはCuを主成分とする導体と同時焼成ができなくなり、逆に20重量部を越える場合には焼結体中のガラス相の割合が増加してQ値が低下するからである。よって、焼結性を維持し、高いQ値を得るという観点からB2 3 換算で5〜15重量部含有することが望ましい。B含有化合物としては、金属硼素、B2 3 、コレマイト、CaB2 4 、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸アルカリガラス、ホウケイ酸アルカリ土類ガラス等がある。
【0030】
また、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸塩換算で1〜10重量部含有したのは、1重量部未満の場合には1100℃でも焼結せず、AgまたはCuを主成分とする導体と同時焼成ができなくなり、逆に10重量部を越える場合には結晶相が変化してQ値が低下するからである。誘電体磁器のQ値の観点から4〜9重量部が望ましい。アルカリ金属としてはLi、Na、Kを例示することができ、この中でもLiが特に望ましい。アルカリ金属含有化合物としては、上記アルカリ金属の炭酸塩、酸化物等を例示することができる。
【0031】
さらに、SiをSiO2 換算で0.01〜5重量部含有したのは、含有量が0.01重量部未満の場合には、誘電体磁器の焼結過程における収縮開始温度が約840℃と高く、添加効果が得られないからである。一方、5重量部を越えると比誘電率εrあるいはQ値が低下するからである。誘電体磁器の比誘電率εrあるいはQ値の観点から0.5〜3重量部が望ましい。Si含有化合物としてはSiO2 、MgSiO3 等がある。
【0032】
また、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化物換算で0.1〜5重量部含有するものである。これらが0.1重量部未満の場合には誘電体磁器の焼結過程における収縮開始温度が830℃よりも高く、添加効果が得られない。一方、5重量部を越えると誘電体磁器の共振周波数の温度係数τfがプラス側に大きくなりすぎてしまう。とりわけ誘電体磁器の焼結性と共振周波数の温度係数τfの観点からは合計0.5〜3.5重量部が好ましい。アルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Baがあり、このなかでもBaが望ましい。アルカリ土類金属含有化合物としては、上記アルカリ金属の炭酸塩、酸化物等を例示することができる。
【0033】
さらに、焼結性を改善する点から、主成分100重量部に対して、MnをMnO2 換算で0.1〜3重量部含有することが望ましい。MnをMnO2 換算で0.1〜3重量部含有せしめたのは、0.1重量部よりも少ない場合にはその添加効果がなく、さらに3重量部よりも多い場合には誘電特性が悪化するからである。MnはMnO2 換算で1.2〜1.8重量部含有することが望ましい。
【0034】
異種材料絶縁層は、結晶性ガラス70〜100重量%と、セラミック粒子0〜30重量%からなり、結晶性ガラスがSiO2 40〜70重量%、CaO 20〜35重量%、MgO 11〜30重量%、Al2 3 0.5〜10重量%、SrO 0〜10重量%、ZnO 0〜10重量%、TiO2 0〜10重量%、Na2 O 0〜3重量%を含有し、セラミック粒子がアルミナ、シリカ、MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種以上からなることが望ましい。この異種材料絶縁層の比誘電率は6〜8である。
【0035】
異種材料絶縁層を上記のような組成とすることにより、MgTiO3 またはMgTiO3 −CaTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する他の絶縁層との間の焼成収縮開始温度差を20〜90℃の範囲内とすることができる。
【0036】
以上のように構成された回路基板は、例えば、先ず、複数の絶縁層成形体を積層した積層成形体を作製する。この積層成形体を構成する複数の絶縁層成形体のうち少なくとも1層については、他の絶縁層成形体との焼成収縮開始温度の差が20〜90℃異なる異種材料絶縁層成形体とする。
【0037】
積層成形体は、ドクターブレード法等により作製されたグリーンシートを積層することにより作製したり、また、セラミックペーストを順次塗布することにより作製したり、さらに、セラミックペーストを塗布、光硬化、現像等を繰り返すいわゆるフォトリソグラフィー技術を用いて作製したりすることができる。
【0038】
具体的には、先ず、例えば、他の絶縁層と異種材料絶縁層となるグリーンシートを作製する。例えばグリーンシートは、所定のセラミック粉末と有機バインダーと有機溶剤及び必要に応じて可塑剤とを混合し、スラリー化する。このスラリーを用いてドクターブレード法などによりテープ成形を行い、所定寸法に切断しグリーンシートを作製する。
【0039】
次に、内部導体と表面導体をあるいは内部導体間を接続するビアホール導体となる貫通孔をグリーンシートの所定の位置にパンチング等により作製する。
【0040】
導電性ペーストを内部側の絶縁層となるグリーンシートの貫通孔に充填するとともに、そのグリーンシート上に所定形状の内部導体となる導体膜を印刷形成する。
【0041】
次に導電性ペーストを用いて、表層の異種材料絶縁層となるグリーンシート上に所定形状の表面導体となる導体膜を印刷形成する。
【0042】
このようにして得られたグリーンシートを積層順序に応じて積層し、積層成形体を形成して、一体的に焼成する。以上の製造工程によって回路基板は製造される。
【0043】
以上のように構成された回路基板では、焼成収縮開始温度が異なる他の絶縁層1b〜1f、11cと異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eを同時焼成するため、異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eが収縮を開始する際には、他の絶縁層1b〜1f、11cによりx−y方向における収縮が妨げられ、異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eが収縮を完了すると、この異種材料絶縁層1a、1g、11a、11b、11d、11eにより他の絶縁層1b〜1f、11cのx−y方向における収縮が妨げられ、結果的に、焼成中におけるx−y方向の焼成収縮を抑制でき、電極の寸法精度を向上できる。
【0044】
さらに、図1の回路基板では、他の絶縁層1b〜1fの比誘電率を、上下の異種材料絶縁層1a、1gの比誘電率よりも高くできるため、高誘電率層の絶縁層1b〜1fにλ/4ストリップライン共振器4を形成することにより、該共振器4の構成部分であるラインを短縮して共振器を小型化することができ、接地導体3と表面導体2の間に低誘電率層の1aと1gを配置することにより、接地導体3と表面導体2の間に生じる浮遊容量を軽減することができる。
【0045】
また、図2の回路基板では、内部導体15の間に高誘電率の他の絶縁層11cを挟むことにより、容量値の大きなキャパシタを形成することができ、低誘電率の異種材料絶縁層11a、11b、11d、11eを形成することにより、表面導体12やビアホール導体14と接地導体13の間に生じる浮遊容量を軽減することができる。
【0046】
また、本発明の回路基板では、複数の絶縁層を積層してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1層が、他の絶縁層と焼成収縮開始温度が異なり、かつ比誘電率が略同一の異種材料絶縁層であり、該異種材料絶縁層と他の絶縁層が、アルミナ、シリカ、MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種と、結晶性ガラスとを含有して構成されていても良い。
【0047】
【実施例】
実施例1
先ず、MgTiO3 またはMgTiO3 −CaTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する磁器について検討した。
【0048】
原料として純度99%以上の、MgTiO3 粉末、CaTiO3 粉末とを、モル比による(1−x)MgTiO3 ・xCaTiO3 においてxが表1の値を満足するように秤量し、また、B2 3 粉末、アルカリ金属炭酸塩粉末(Li2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 )、SiO2 粉末、MnO2 粉末、さらにアルカリ土類酸化物粉末(MgO、CaO、SrO、BaO)を、表1に示す割合となるように秤量し、純水を媒体とし、ZrO2 ボールを用いたボールミルにて20時間湿式混合した。次にこの混合物を乾燥(脱水)し、800℃で1時間仮焼した。
【0049】
この仮焼物を、粉砕粒径が1.0μm以下になるように粉砕し、誘電特性評価用の試料として直径10mm高さ8mmの円柱状に1ton/cm2 の圧力でプレス成形し、これを表2に示す温度で3時間焼成し、直径8mm、高さ6mmの円柱状の試料を得た。
【0050】
誘電特性の評価は、前記試料を用いて誘電体円柱共振器法にて周波数8GHzにおける比誘電率とQ値を測定した。Q値と測定周波数fとの積で表されるQf値を表2に記載した。さらに、−40〜+85℃の温度範囲における共振周波数の温度係数τf〔ppm/℃〕を測定した。その結果を表2に記載した。
【0051】
【表1】
Figure 0003764605
【0052】
【表2】
Figure 0003764605
【0053】
これらの表1、2から、比誘電率が18〜20、Qf値が20000〔GHz〕以上、かつ、共振周波数の温度係数τfが±40ppm/℃以内の優れた誘電特性を有するとともに、760〜830℃で焼結収縮が開始し、920℃以下で焼成が可能な優れた焼結性を有していることが判る。
【0054】
尚、表1のアルカリの欄において、Li、Na、Kと記載したが、これはLi2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 の意味であり、また、アルカリ土類の欄において、Mg、Ba、Ca、Srと記載したが、これは、MgO、CaO、SrO、BaOの意味である。さらに、表1の試料No.4、5については、Mg/Ti、Ca/Ti比がそれぞれ1.1、0.9の原料粉末を用いた。
【0055】
次に、本発明者等は、絶縁層として、上記表1の試料を用い、また、異種材料絶縁層として、SiO2 52重量%、CaO25重量%、MgO18重量%、Al2 3 5重量%からなる結晶性ガラスと、SiO2 からなるセラミック粒子の重量比を変えることにより、収縮開始温度の異なる材料を得た。
【0056】
絶縁層原料粉末、異種材料絶縁層原料粉末に、それぞれに有機バインダー、有機溶剤を添加したスラリーをドクターブレード法により薄層化し、グリーンシートを作製し、絶縁層成形体、異種材料絶縁層成形体を作製した。
【0057】
この後、ビアホール導体を作製するための貫通孔を絶縁層成形体の所定の位置にパンチング等により作製し、Agからなる導電性ペーストを貫通孔に充填し、所定形状の内部導体となる導体膜を印刷形成した。
【0058】
一方、最上層、最下層となる異種材料絶縁層成形体に、表面導体となるAgからなる導電性ペーストを用いて所定形状の導体膜を印刷形成し、乾燥させた。
【0059】
導電性ペーストが充填され、所定形状の導体膜が形成された絶縁層成形体を複数積層するとともに、最上層および最下層に表面導体となる導体膜を形成した異種材料絶縁層成形体を積層し、積層成形体を作製した。
【0060】
この後、大気中400℃で脱バインダー処理し、さらに910℃で焼成し、図1に示すような回路基板を作製した。尚、絶縁層1a〜1gの厚みは0.15mmであり、回路基板の大きさは、縦10mm、横10mm、厚み1.2mmであった。
【0061】
尚、積層成形体と焼成後の回路基板に対して、所定のポイント間の長さを測定することにより、基板の収縮率を測定した。また、基板におけるクラック、デラミネーションの有無を基板を研磨して、金属顕微鏡で観察することにより評価した。
【0062】
また、絶縁層と異種材料絶縁層を形成する材料にワックスを添加し、10ton/cm2 プレスすることにより圧粉体を形成し、熱機械分析(TMA)により材料の収縮開始温度、熱膨張係数を評価した。その結果を表3に記載した。
【0063】
【表3】
Figure 0003764605
【0064】
この表3から、本発明の回路基板は収縮率が0.3〜7.0と小さく、焼成におけるクラックやデラミネーションの発生しないことがわかる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の回路基板では、複数の絶縁層と焼成収縮開始温度の異なる異種材料絶縁層を一体焼成することにより、基板の収縮率を低減できる。また、前記絶縁層と異種材料絶縁層の間の熱膨張係数差を小さくすることにより、クラックやデラミネーションの生じない基板を得ることができる。さらに、前記絶縁層の比誘電率を異種材料絶縁層の比誘電率よりも高くすることにより、基板に内蔵する回路の小型化ができ、かつ、電極間に生じる浮遊容量が小さい回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回路基板の断面図を示す。
【図2】本発明の他の回路基板の断面図を示す。
【符号の説明】
1b〜1f、11c・・・他の絶縁層
1a、1g、11a、11b、11d、11e・・・異種材料絶縁層

Claims (3)

  1. 複数の絶縁層成形体を積層してなるとともに、該複数の絶縁層成形体のうち少なくとも1層が、他の絶縁層成形体との焼成収縮開始温度の差が20〜90℃である異種材料絶縁層成形体である積層成形体を作製し、該積層成形体を1回の焼成工程にて焼成し、アルミナ、シリカ、MgTiO 、MgTiO −CaTiO から選ばれる1種と、結晶性ガラスとを含有する異種材料絶縁層と、MgTiO またはMgTiO −CaTiO を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する他の絶縁層とが積層された回路基板を作製することを特徴とする回路基板の製法。
  2. 他の絶縁層が、金属元素として少なくともMgおよびTiを含有し、これらのモル比による組成式を、
    (1−x)MgTiO・xCaTiO
    と表した時、前記xが0≦x≦0.2を満足する主成分と、該主成分100重量部に対して、BをB換算で3〜20重量部、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸塩換算で1〜10重量部、SiをSiO換算で0.01〜5重量部、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化物換算で0.1〜5重量部含有することを特徴とする請求項1記載の回路基板の製法。
  3. 他の絶縁層と異種材料絶縁層の熱膨張係数の差は2×10−6/℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の回路基板の製法。
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