JP2004315300A - シリカ微粒子、それが分散したシリカコロイド及びその製造方法 - Google Patents

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尚哉 鍬崎
Hidetaka Katayama
英孝 片山
Haruhiko Aoi
晴彦 青井
Nobuyuki Furukawa
信之 古川
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Abstract

【課題】高純度のシングルナノサイズのシリカ粒子又はこれが分散したコロイドを提供するとともに、これから得られる有機−無機ハイブリッド材、低誘電率絶縁層を提供する。
【解決手段】シリコン、酸素、水素及び炭素を除く全ての不純物元素の含有量が0.02ppm以下であり、且つ平均粒子径が1nm以上、10nm未満のシリカ微粒子又はそれが分散したシリカコロイドを、以下の▲1▼〜▲4▼の各条件を満足する条件で、シリコンアルコキシドを水、アルコール及びアンモニアの混合溶液に添加して加水分解・脱水縮合反応させて製造する。
▲1▼加水分解反応時の混合溶液温度が、50℃〜アルコールの沸点以下。▲2▼混合溶液のアンモニア濃度が、0.05〜0.40モル/L。▲3▼水とシリコンアルコキシドのモル比が、2〜8モル。▲4▼シリコンアルコキシドの添加速度が、10cm/min・L以下。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気、電子、光産業分野の部品材料として有用な、超高純度であり且つ粒子径の揃った10nm未満のサイズのシリカ微粒子及びこれが分散したシリカコロイドに関するものである。これらのシリカコロイドや粒子は、必要な溶媒置換等の操作を施したうえで高分子とのナノコンポジット材料として利用したり、ゲル化の操作等を施した上で低誘電率絶縁材料の原料として利用したりすることができる。また、近年ナノサイズの光透過性を応用し、化粧品、特に皮膚色、髪色を生かして紫外線を防いだり、痛んだ髪のつやを回復、保持する使用法も検討されており、そのような用途にも好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、ナノテクノロジーに対する期待が高まっており、その一つの分野としてナノコンポジット材料が提唱されている。従来のコンポジット材料における分散相のサイズはせいぜいミクロンオーダーで、そこから予測できる性能は複合則で予測できるレベルでしかなかった。しかし、分散相のサイズがナノメータオーダーの複合材料では、バルク材料とは異なる量子サイズ効果が現れ原子、分子相互作用が材料の特性に強く影響すること、及びマトリックスとの界面が飛躍的に増大することから、従来の材料を遥かに凌駕する機能の発現が期待できると言われている。
【0003】
ここで、数十nmあればナノサイズと呼ぶこともあるようであるが、1nm以上、10nm未満の所謂シングルナノサイズである方が量子サイズ効果が大きく、新材料としての機能発現効果への期待が大きい。この目的のためには、粒子径がナノサイズで2次凝集のないものを、安価で物理的化学的に安定で、更にはマトリックス中に容易に分散できる形態でシングルナノサイズ粒子を提供する必要がある。
【0004】
ナノテクノロジーの代表的な分野として半導体技術がある。LSIの集積度の向上とともに構造が微細化され、デザインルールが0.25μm以下になると導体間隔が狭くなり静電誘導によるインピーダンスが増大し、応答速度が遅れるという問題がある。この問題を回避するために導体間にある絶縁層の誘電率を下げる工夫が必要である。従来用いられてきたシリカの比誘電率4.1を下げる工夫の一つに絶縁層を形成する箇所に塗布法でシリカコロイド粒子を敷き詰め、シリカコロイド粒子間の空隙を利用してポーラスなシリカ構造となし比誘電率を低下させる工夫、あるいは予めシリカコロイド粒子を他の粒子と混合して、熱処理や化学処理等により他の粒子を除去することによりポーラスなシリカ構造となし比誘電率を低下させるという工夫が考案される。この目的のためには、粒子径が10nm未満で2次凝集のない、且つ超高純度のシリカコロイド粒子が必要である。
【0005】
ナノコンポジットを作成するためには、粒子を経由しないでマトリックスから第二相を析出させる相分離型(in−situ法)方法か、あるいは一旦ナノ粒子を経由してマトリックスに第二相(ナノ粒子)を導入する相接合型がある。相接合型では、先ずナノサイズの粒子を製造して、それをアグリゲートを形成させないでマトリックスに導入する特別のプロセスが必要である。
【0006】
数十nm以下のナノサイズのシリカ粒子は、粉砕という手段によりこのサイズ迄ブレークダウンすることは不可能であるので、気相法や湿式法により、製造される。
【0007】
超微粒子シリカの製造方法としては、▲1▼シラン化合物の火炎加水分解あるいは燃焼酸化による方法、▲2▼ケイ酸ソーダ水溶液をイオン交換することで粒子を合成し、その後オストワルド成長させる方法、▲3▼アルコキシシランをアンモニアの存在下、アルコール−水溶媒中で加水分解することにより、0.05〜1μmの比較的粒子径の揃った球状シリカ粒子を得る方法が知られている(W.Stober , A.Fink and E.Bohn , J.Colloid Interface Sci. , 26 , 62−69、1968)。そして、この反応系における総括反応式については、一般に以下の式で与えられる。なお、Rはアルキル基でCH、C等である。
総括反応式 : Si(OR)+ 2HO → SiO+ 4ROH (NH存在下)
【0008】
しかし、▲1▼の方法でつくられるシリカは火炎中で合成されるので、粒子同士が会合することを避けることはできないので、1次粒子が遊離した形態で製品を得ることはできず、超微粒子の小ささとしてはせいぜい数百nm止まりである。例えばエアロジルはこの気相法により製造されるもので、1次粒子は十〜数十nmであるが、このサイズでは強いファンデルワールス力が粒子間に働き、乾式であるので、電気二重層による静電反発が働かないためアグリゲートを形成してしまうので2次粒子のサイズはもはやナノ粒子ではない。▲2▼の方法では、水中に単分散した状態で粒径が10〜20nmの微細なシリカが得られるが、これを乾燥させると気相法と同様に凝集を避けることはできない。乾燥させずに、液体に分散したコロイド状のままであれば、ナノ粒子として用いることができるが、ケイ酸ソーダを原料とするために原料由来のNaや中和に使用する酸根が残存することは避けられず、電子材料の用途に満足できるものではない。
【0009】
一方、▲3▼の方法では、シリコンアルコキシド及び水は蒸留による精製が可能であるため、高純度化が容易であり、アンモニアも蒸発除去が可能なので、極めて高純度のナノ粒子製造技術を提供することができ、しかも、水性溶媒を有機溶媒で置換する方法は可能であり、コロイド粒子を凝集させることなく、希望の溶媒に置換することが可能であれば、前記の様なナノテクノロジーの分野で非常に有用な技術となり得るという期待が大きい。そこで、新技術のシーズとしてのポテンシャルが高く、種々の検討がなされてきた。しかし、種々生成条件を検討しても、30nm以下のサイズの所謂ナノ粒子の領域になると目的外の微粒子が生成したり、複数の粒子が凝集して大きな粒子となり、ついには、溶液が粘調になってゲル化を引き起こすという問題も生じ、安定して凝集のないシリカナノ粒子の合成は、極めて困難であった。当然、シングルナノ粒子については更に難しく、成功に至っていない。
【0010】
神谷秀博等による“「粉砕」,No.45,p41−45,2001”及び“Kamiya et.al., Journal of American Ceram. Soc., 83[2]283−93(2000)”の報告によると、シリコンアルコキシドのアルカリ領域での加水分解縮重合反応により球状単分散シリカが合成できるが、30nm以下の超微粒子になると凝集が顕著に起こることが透過型電子顕微鏡により観察される。粒子の表面状態の近赤外FT−IR解析では粒子径が小さくなる程、水素結合性水酸基による吸収が減少し自由水酸基の比率が増すことから、自由水酸基は表面に水和層が形成しないので、水和層による粒子間斥力が働かなくなり、ほぼ理論通りのVan der Waals 引力のみが粒子間に働くことで30nm以下の超微粒子の凝集が促進されると説明している。
【0011】
特開2002−30249号公報には、置換型アルコキシシランと有機テンプレート材及び/又はその加水分解物と平均粒径が5〜50nmのシリカ系微粒子との反応物を低誘電率シリカ系被覆形成用塗布液として用いる技術が開示されており、平均粒径が5〜50nmのシリカ系微粒子を製造する方法として、前記置換型アルコキシシランを有機溶媒に混合して、水及びアンモニアの存在下で加水分解・縮合させることによって得られるとしている。詳細には、加水分解反応温度を180℃以上、好ましくは200℃以上でオートクレーブなどの耐熱耐圧容器を用いる特殊な条件としており、しかも実施例には本発明で言うような10nm未満のナノシリカ粒子が得られたという記述はない。
【0012】
特開平6−316407号公報は、アルキルシリケートの加水分解により分散粒子径が3〜100nmの範囲で揃った大きさを有する球状シリカ粒子を効率よく製造する方法を開示している。しかしながら、実施例1〜9のどの実施例においても、コルターサブミクロン粒子アナライザーによる動的光散乱法粒子径、BET粒子径、電子顕微鏡による粒子径とも、10nm未満の粒子を製造した例はなく、10nm未満のシリカ粒子の製造方法を提供しているとは言えない。また、ナノシリカとうたっている商品は水ガラス法由来のものであり、不純物が多いのみならず、pHが酸性又はアルカリ性コロイドとして販売されており、中性領域において安定なものはない。そのために応用範囲が限られている。
【特許文献1】
特開平6−316407号公報
【特許文献2】
特開2002−30249号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高純度で、且つ平均粒子径が1nm以上、10nm未満のシリカ微粒子とこれが分散したシリカコロイド及びこれらの製造方法を提供するものである。また、水系においてはpHが5〜9で、非水系においては実質的に酸又はアルカリを含有しない中性領域で安定なナノシリカコロイドを提供するものである。他の目的は、単分散球状シリカ微粒子とこれが分散したナノシリカコロイドを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコン、酸素、水素及び炭素を除く全ての不純物元素の含有量が0.02ppm以下であり、且つ平均粒子径が1nm以上、10nm未満のシリカ微粒子又はそれが分散したシリカコロイドである。
【0015】
また、本発明は上記のシリカ微粒子又はシリカコロイドを製造するに当たり、以下の▲1▼〜▲4▼の各条件を満足する条件で、シリコンアルコキシドを水、アルコール及びアンモニアの混合溶液に添加して加水分解・脱水縮合反応させることを特徴とするシリカ微粒子又はシリカコロイドの製造方法である。
▲1▼加水分解反応時の混合溶液温度が、50℃以上から100℃又は前記アルコールの沸点の何れか低い温度までの所定の温度範囲にあること。
▲2▼混合溶液のアンモニア濃度が、0.05〜0.40モル/Lの所定の範囲にあること。
▲3▼混合溶液中の水の濃度が、添加するシリコンアルコキシド1モル当たり、2〜8モルの範囲にあること。
▲4▼シリコンアルコキシドの添加速度が、10cm/min・L以下であること。
【0016】
更に、本発明は、上記の製造方法で得られるアルコール−水―アンモニア溶液にシリカ微粒子が分散したコロイド溶液から、アンモニアを除去し、pHを5〜7に調整することを特徴とする中性水系溶液分散シリカコロイドの製造方法である。
【0017】
また、本発明は、アミド系溶剤、アルキルスルホキシド、多価アルコール、アミノアルコール、セロソルブ類又は多官能アクリレートから選ばれた一種又は二種以上の溶媒に分散していることを特徴とする上記のシリカコロイドである。
【0018】
更に、本発明は、シリコン、酸素、水素及び炭素を除く全ての不純物元素の含有量が0.02ppm以下であり、且つ平均粒子径が1nm以上、10nm未満のシリカ微粒子がアルコール含有水系溶液に分散したシリカコロイドから、水と相溶性を有さない有機溶媒に分散したシリカコロイドとする方法において、1)水系溶液に分散したシリカコロイドに水と相溶性を有さない有機溶媒及びカップリング剤を添加すること、2)カップリング剤は2又は3個のアルキル基又はアリール基を有し、これによりシリカコロイド粒子表面を疎水化処理すること、3)該有機溶媒相とアルコール−水系溶液相が相溶性を失うまでアルコールを除去するか、水を添加することにより、水系溶液分散シリカコロイドと有機溶媒相との懸濁状態を形成させること、4)疎水化処理されたシリカコロイド粒子を水系溶液相から有機溶媒相へ相間移動させること、5)静置後、有機溶媒相を分離することを特徴とする有機溶媒に分散したシリカコロイドの製造方法である。
【0019】
また、本発明は、上記のシリカコロイド又は上記シリカコロイドの製造方法で得られたシリカコロイドを、有機高分子又は有機高分子前駆体を溶解させた有機溶媒溶液中に添加して撹拌・混合・成形・乾燥・固化させることを特徴とするシリカと有機高分子のハイブリッド材料の製造方法である。
【0020】
更に、本発明は、上記のシリカコロイド又はこれを含む溶液を半導体基板に塗布し、溶媒を乾燥除去し、熱処理することを特徴とするシングルナノポア構造を有する低誘電率絶縁層の形成方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のシリカ微粒子は、平均粒径が1nm以上、10nm未満のナノシリカである。このシリカ微粒子は、シリコン、酸素、水素及び炭素を除く全ての不純物元素の含有量が0.02ppm以下である。そして、前記不純物元素の合計の含有量は0.1ppm以下であることが好ましく、炭素の含有量は0.1wt%以下であることがよい。なお、ppmはwtppmを意味する。シリカコロイドは、このシリカ微粒子がコロイド粒子として溶媒中に分散したナノシリカコロイドであり、溶液状である。本発明のシリカ微粒子は、粒径の揃った単分散球状シリカであることが望ましい。以下、本発明のシリカ微粒子をナノシリカと、本発明のシリカコロイドをナノシリカコロイドということがある。
【0022】
アルコール−水−アンモニア混合溶液を攪拌しながら、アルコキシシランを、そのまま、若しくはアルコールで希釈して少量づつ添加して、アルコキシシランを加水分解、脱水縮合することによりコロイダルシリカ粒子を生成する方法において、アルコール−水−アンモニア混合溶液の温度を50℃〜アルコール又は水の沸点の範囲に、アルコキシシラン添加速度を10cc/min・L以下の範囲に、溶液中のアンモニア濃度を0.05〜0.4mol/Lの範囲に、且つ水とアルコキシシランのモル比を2〜8とすることにより、平均粒子径が10nm未満の、所謂シングルナノサイズのコロイダルシリカ粒子が安定して生成することを見出した。この際、アルコキシシラン添加濃度を0.1〜4.0mol/Lの範囲にすることが望ましいことも見出した。これらの条件が不適正であると、生成するコロイダルシリカ粒子が10nm以上に成長したり、10nm未満の粒子であっても凝集したり、あるいは溶液全体がゲル化することにより、目的とするシングルナノサイズコロイダルシリカ粒子は得られない。
なお、この粒径の領域では溶液中に固体のシリカ粒子が生成しても、溶液は完全に透明なままであるから、単なる目視観察ではナノシリカ粒子が生成していることは察し得ない。粒子の生成を確認する方法としては、動的光散乱粒径分布測定装置、透過型電子顕微鏡、若しくは、例えば電界放出型のような高分解能の走査型電子顕微鏡を用いることで可能である。
【0023】
本発明のナノシリカ又はナノシリカコロイドの製造方法としては、アルコール−水−アンモニアの混合溶液に、シリコンアルコキシドを添加する方法がある。この混合溶液の組成はアルコール100重量部に対し、水5〜20重量部、アンモニア0.1〜2重量部の範囲であることが好ましい。混合溶液に使用するアルコールとしては、メタノール、エタノール等の低級アルコールが好ましく挙げられる。
【0024】
このアルコール−水−アンモニアの混合溶液には、有機溶媒等を添加することもできる。添加する有機溶媒としては、沸点が100℃以上で、シリコンアルコキシドと水の両者に対して相溶系をなすものが挙げられる。このような有機溶媒としては、アミド系溶剤、アルキルスルホキシド、多価アルコール類、アミノアルコール類、セロソルブ類がある。アミド系溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。アルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。多価アルコール類としては、例えば、グリセンリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられる。アミノアルコール類としては、例えば、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノールが挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。しかし、上記に限らずシリコンアルコキシドと水の両者に対して相溶系をなす極性溶媒が広く使用可能である。かかる極性溶媒は、沸点が混合溶液に配合されるアルコールより高いものであり、好ましくは水より沸点が高く110〜250℃程度の沸点を有するものである。
【0025】
混合溶液にシリコンアルコキシドを添加して反応を行うが、シリコンアルコキシドとしては、テトラアルキルシリケートが好ましく挙げられ、アルキルとしてはメチル、エチル等の低級アルキルが好ましい。
【0026】
反応温度に関しては、一定温度に保持した混合溶液中に、シリコンアルコキシドを攪拌しながら加えるが、溶液の温度が50℃未満ではシリカ粒子が10nm以上に成長し、シングルナノサイズのシリカコロイド粒子は得られない。一方、温度が高すぎる場合、アンモニアやアルコールが蒸発して溶液の組成の経時変化が大きくなるが、特にアルコール又は水の沸点を超えると組成の変化が激しくなり、粒子径の制御も困難であり好ましくない。そのため、混合溶液としてアルコールを含む溶液を使用する場合の温度の上限は、アルコールの沸点が100℃以下である場合は、そのアルコールの沸点以下、好ましくは沸点より5℃低い温度、より好ましくは10℃低い温度であることがよく、アルコールの沸点が100℃以上である場合は、100℃、好ましくは95℃、より好ましくは90℃である。したがって、温度範囲は、50℃以上でアルコール又は水の沸点以下の範囲で決められる。また、混合溶液としてアルコール以外の有機溶媒を含む溶液を使用する場合の反応温度の範囲はこれらの沸点以下で、55〜95℃の範囲とするのがよい。高圧下での反応ではアンモニアやアルコールがより高い温度でも蒸発せず組成を安定化させることができるが、装置上の制約が増すという問題が生じる。
【0027】
シリコンアルコキシドの添加量は、添加したシリコンアルコキシドの量(mol)をシリコンアルコキシド添加後の最終的な溶液全体の容量(L)で除した値で表記すると、これを0.1〜4.0mol/Lの範囲、好ましくは0.1〜3.0mol/Lとするのがよい。この値が3.0mol/Lを超えると、最終的に得られるシリカコロイド液中のシリカ濃度が高くなりすぎ、コロイド粒子の凝集が起こりやすくなる。一方、この値が低すぎる場合、コロイド粒子の粒子径や凝集に関しては何ら問題無いが、生産性が低くなる。
【0028】
シリコンアルコキシドは、混合溶液中に又は液面上に滴下しながら添加するが、反応スケールが大きくなる場合は、シリコンアルコキシドの濃度が高くなりすぎることを防止する目的で、数箇所に分散して添加するのがよい。添加するシリコンアルコキシドは、通常そのまま添加するが、予めアルコールで希釈して添加してもよいし、予め部分加水分解したものを添加してもよい。希釈する場合、シリコンアルコキシドとアルコールの比率には特に制限はないが、生産効率の点からはアルコール量をシリコンアルコキシド量の3倍容量比以下とするのがよい。部分加水分解する場合、加水分解率を30%以下とするのがよい。また、シリコンアルコキシドを加熱により気化しガス状にして混合溶液中に吹き込むこともできる。なお、希釈アルコールとしては、混合溶液中に存在させるアルコールと同種であることが好ましい。
【0029】
シリコンアルコキシド添加速度は、滴下の方法と溶液の攪拌方法及び攪拌強度にもよるが、10cc/min・L以下、好ましくは0.1〜4cc/min・L、更に好ましくは0.5〜2cc/min・Lとするのがよい。ここで、上記添加速度は、シリコンアルコキシドの1分間あたりの添加量(cc/min)を最終的な溶液全体の容量(L)で除すことにより計算される。なお、最終的な溶液全体の容量(L)は、シリコンアルコキシド添加終了後の混合溶液の容量を意味する。シリコンアルコキシドを単独で添加する場合は、この値が4cc/min・Lを超えると、シリコンアルコキシドの溶液中での拡散移動よりシリコンアルコキシド添加速度の供給が勝り、供給箇所において部分的にシリコンアルコキシドが高濃度化し、その結果生成するシリカ粒子の凝集が起こりやすい。一方、この値が低すぎる場合、コロイド粒子の粒子径や凝集に関しては何ら問題ないが、生産性が低くなる。複数の箇所からシリコンアルコキシドを添加する場合は、一箇所あたりの添加速度を0.1〜4cc/min・L、好ましくは0.5〜2cc/min・Lとすることがよい。また、シリコンアルコキシドをアルコールで予め希釈したものを添加する場合は、シリコンアルコキシドの混合拡散と水‐アルコール溶液への溶解が有利となり添加速度を速めることができる。例えば、シリコンアルコキシド量の3倍容量のアルコールで希釈したものを添加する場合、添加速度を10cc/min・Lまで増すことができる。
【0030】
混合溶液中には、触媒としてのアンモニアを存在させる。アンモニアはアンモニアガスとして溶液中に吹き込んでもよいが、アンモニア水溶液として混合液に加えることが有利である。溶液中のアンモニア濃度は、0.05〜0.4mol/Lとするのがよい。更に好ましくは、0.1〜0.3mol/Lとするのがよい。0.05mol/L未満では、生成したシリカコロイド粒子が凝集して単分散シングルナノサイズのシリカを得るのが困難である。0.05mol/L以上とすることにより単分散ナノシリカを得ることができる。一方、濃度が高くなると粒子が大きく成長する傾向にあり、0.4mol/Lを超えるとシングルナノサイズのシリカが得られない。ここで、上記アンモニア濃度は、使用したアンモニア水溶液中のアンモニア量(mol)をシリコンアルコキシド添加終了後の最終的な溶液全体の容量(L)で除して計算される。
【0031】
理論的には、添加するシリコンアルコキシドが完全に加水分解縮合反応を起こすためには、シリコンアルコキシドの2倍モル量の水を必要とするが、水とシリコンアルコキシドのモル比を2〜8とするのがよい。更に好ましくは2.2〜4とするのがよい。この値が2未満では、局部的に水が不足し加水分解反応が十分に起こらないまま縮合反応が起こり、未加水分解のアルコキシル基が残留するという問題が生じやすいだけでなく、加水分解が充分ではないために保存安定性が悪く、後日水分に接した時に凝集を起こしやすい。一方、8を超えるとシリカコロイド粒子の凝集が発生しやすくなり、ナノサイズのシリカが得られない。
【0032】
このようにして得られるシリカコロイド溶液は、反応終了後20℃以上の温度で30分間以上攪拌を続け熟成するのがよい。この熟成操作により未反応のアルコキシル基の反応と表面水酸基同士の脱水縮合反応が完全になり、生成したコロイダルシリカ粒子がより安定になる。熟成後、シリカコロイド溶液を濃縮する場合、溶液を攪拌しながら、先ずアルコールの沸点以上の温度に加熱してアルコールを除去し、次に水の沸点以上の温度に加熱して水を除去することがよい。この際アンモニアも蒸発してpHが変動するため、コロイダルシリカ粒子の凝集が発生しやすい。凝集を防ぎ安定なコロイダルシリカとして濃縮するためには、濃縮操作中に凝集が発生しやすい系では溶液に適宜アンモニアを添加しアンモニア濃度を0.05〜0.5mol/Lの範囲に保つのがよい。このようにすることにより、濃縮された水系溶液分散シリカコロイドを得ることができ、このシリカコロイドは各種用途への使用性が優れる。
【0033】
なお、アンモニアを含まないか殆ど含まない中性水系溶液分散シリカコロイドが、用途によってはより望ましい。一方、ある程度のアンモニア濃度を保つ方が分散性保存には良いという事実が見出されたが、同時に反応終了後の攪拌熟成を十分に行えば、ほぼ中性にしても分散性が保てるという事実が見出された。したがって、攪拌熟成が不十分な場合とか、特に高濃度に濃縮する場合とか、特に長期間(1年間以上)保存する場合等においては、アンモニアの存在が望ましいが、それ以外の場合はアンモニアを含まないか殆ど含まなくてもよく、多くの用途に優れる。
例えば、水−アルコール−アンモニア系のシリカコロイド溶液を濃縮する場合、反応条件によってはアンモニアを添加せずとも、安定に濃縮又は脱アンモニアすることもでき、この場合はpHが5〜7の中性水系溶液分散シリカコロイドを得ることができる。ここで、シリコンアルコキシドの加水分解反応を完璧に完了させておけば、アンモニアがなくとも安定する。また、このようにして得た中性水系溶液分散シリカコロイドは、水−メタノール溶液分散の場合は2月間以上の長期に渡って安定であり、水−エタノール溶液分散の場合でも1月間以上の長期に渡って安定である。なお、シリコンアルコキシドの加水分解反応を完璧に完了させるには熟成を十分に行うなどの方法を採用することにより可能である。
【0034】
濃縮液にアンモニアが残留することにより長期安定化が図れるが、その存在が好ましくない場合もある。この場合は、上記のような方法で中性水系溶液分散シリカコロイドとするか、アンモニアの替わりに、ポリアクリルカルボン酸アンモニウム塩(例えば、東亜合成製:アロンA−6114)等のシリカ粒子の分散に有効に作用する分散剤を添加して安定化させてもよい。
【0035】
こうして得られたアルコール−水−アンモニア溶液や前記の中性水系溶液等の水系溶媒に分散したシリカコロイドを高分子材料とのナノコンポジット等に応用する場合は、水系溶媒を有機溶媒に置換することが有利である場合が多い。ここで、水系溶媒又は水系溶液は、水を主成分とするものに限らず、水と相溶性のアルコール等を主成分とし、水を副成分とするものを含み、他の成分を含みうる。置換する有機溶媒と、アルコール−水−アンモニア系、アルコール−水系等の水系溶媒との相溶性が良好な場合は、両者をほぼ同量ずつ混合して、減圧加熱により水系溶液のアルコール、アンモニア、水等の有機溶媒より低沸点の成分を蒸発除去することで有機溶媒分散ができる。このような有機溶媒としては、前記した極性有機溶媒がある。有機溶媒としては、水より沸点の高いものがよく、また、コロイド溶液が安定でゲル化しにくいものがよく、かかる溶媒としてはアミド系溶剤、アルキルスルホキシド、多価アルコール、アミノアルコール、セロソルブ類又は多官能アクリレートから選ばれた一種又は二種以上の溶媒がある。アミド系溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。アルキルスルホキシドとしては、例えばジメチルスルホキシドが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、グリセンリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられる。アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノールが挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。多官能アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが挙げられる。これらの極性の有機溶媒中においては、コロイダルシリカ粒子は粒子表面に適当なゼータ電位の電荷を帯び、電荷による静電反発により粒子間凝集を起こさず中性pH領域においても安定に分散状態を維持することができる。
【0036】
水と相溶性を有さない有機溶媒に分散したシリカコロイドもシリカコロイドの用途を広げる。かかる有機溶媒に分散したシリカコロイドは、アルコール−水系溶液やアルコール−水−アンモニア系溶液等の水系溶媒に分散したシリカコロイドに、1)水と相溶性を有さない有機溶媒及びカップリング剤を添加すること、2)カップリング剤は2又は3個のアルキル基又はアリール基を有し、これによりシリカコロイド粒子表面を疎水化処理すること、3)該有機溶媒相とアルコール−水系溶液相が相溶性を失うまでアルコールを除去するか、水を添加することにより、水系溶液分散シリカコロイドと有機溶媒相との懸濁状態を形成させること、4)疎水化処理されたシリカコロイド粒子を水系溶液相から有機溶媒相へ相間移動させること、5)静置後、有機溶媒相を分離することにより得られる。
ここで、有機溶媒とカップリング剤は同時に加えても、いずれかを先に加えてもよいが、有機溶媒の添加から長時間経過させたのち、カップリング剤の添加を行うとゲル化が生じることがあるので、殆ど同時か、カップリング剤を先に加えることが望ましい。なお、上記の1)〜5)の順番で操作を行う必要はないが、この順番で行うことが一般に好ましい。
例えば、アルコール−水相系溶媒に分散しているナノシリカコロイドにおいて、有機溶媒相とアルコール−水相系が相溶性を失うまでアルコールを例えば蒸留により水で置換し、有機溶媒を加えて攪拌や振とうにより水分散コロイド溶液と該有機溶媒相との懸濁状態をつくるとともに、ナノシリカコロイド粒子をカップリング剤で表面を疎水化処理したものとすることにより水溶液相から該有機溶媒相へ相間移動させ、静置後、水溶液相を分離する。
【0037】
この場合は、ナノシリカコロイド粒子表面をシランカップリング処理して安定化させることが有利である。カップリング処理方法は前述のとおりであるが、用いるシランカップリング剤としては、2又は3個のアルキル基又はアリール基等の疎水基を有し、1又は2個のアルコキシル基等の官能基を持つものがよい。コロイダルシリカを含むアルコール−水系等の水系溶媒にこの様なカップリング剤を添加すると、アルコキシル基が加水分解されシリカ表面の水酸基と脱水縮合により結合し、シリカ表面を疎水化する。官能基が3個あると、カップリング剤を介してシングルナノシリカの凝集が発生してしまい好ましくない。表面が疎水化されたコロイダルシリカ粒子は、水相と有機溶媒相の2相が存在する系を激しく攪拌、振盪等により懸濁状態にすると、水相から有機溶媒相に相間移動する。これを静置し、再び水相と有機相がクリアーに分離したところで、両相を分離すると、有機溶媒分散シリカコロイドを得ることができる。この方法では水と混合しない有機溶媒に、沸点を選ばす置換することができ、水を完全に排除することができるので、水の残留を好まない用途には適している。
【0038】
高分子又はその前駆体(モノマーを含む)の溶液に、好ましくは有機溶媒置換したコロイダルシリカを均一に混合し、その後、真空脱泡処理して、有機−無機ハイブリッド材の前駆体を作成し、加工成形してコロイダルシリカが均一に分散した有機−無機ハイブリッド高分子を得ることができる。このようにして得られるハイブリッド材料は、無機粒子を含有するにもかかわらず透明であり、高耐熱、高強度、低誘電率等の特徴を付与することができる。
【0039】
次に、本発明の有機高分子ハイブリッド材料について説明する。溶媒に分散したシリカコロイドを、有機高分子又はその前駆体の溶液中に添加して、攪拌、混合、成形、乾燥、固化(高分子前駆体の場合は重合又は硬化を含む)させて得る。ここで、シリカコロイドとしては、有機高分子、その前駆体等の溶液と相溶性又は混和性が優れるものがよいため、シリカコロイドは有機溶媒に分散したものであることが、一般に望ましい。また、有機高分子としては、溶媒に溶解しうるものであれば限定されず、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が使用できる。有機高分子の前駆体としては、乾燥、固化等の際、単独又は2種類以上が反応して重合又は硬化するオリゴマー、モノマー等がある他、ポリアミック酸等の樹脂中間体を含む。
【0040】
有機高分子ハイブリッド材料を、ポリアミック酸を使用して製造する一例について説明する。ジメチルアセトアミド(DMAC)にポリアミック酸を15wt%溶解させたポリアミック酸溶液を調製し、この溶液100重量部を撹拌条件下で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)又はDMACを分散媒とする平均粒子径8nmのシリカコロイド粒子を6.7wt%含有するコロイド溶液26重量部を室温又は加熱下で、20分間かけて滴下し、その後さらに1時間撹拌を行う。その後、真空脱泡処理して、有機無機ハイブリッド材の透明な前駆体溶液を作成する。ついで、前記ハイブリッド前駆体を平坦な鏡面ガラス板上でフィルムコーターを使用して、有機無機ハイブリッドをフィルム成形する。次の加工成形工程では、80℃、1時間予備乾燥後、フィルムをガラス板から剥がし取り、フィルムの外周に枠を取り付けて、150℃×30分間、200℃×1時間、及び330℃×10分間の熱処理よって、熱処理し硬化させる。このようにして得られたポリイミドフィルムは、光透過性が良好である。本発明においては、ポリイミド前駆体以外に他の前駆体樹脂ないしは高分子を使用することが可能である。ここで、前駆体樹脂は加熱又は硬化させることにより樹脂となるオリゴマーや未硬化樹脂を含む。例えば、高分子として、メチルメタクリレート(MMA)とブチルメタクリレーと(BMA)の共重合体で分子量約70万のメタクリル樹脂をNMPに15wt%溶液する他は上記と同様に処理することにより透明な樹脂成形体を得ることができる。
【0041】
半導体において導電配線幅が0.25μm以下になり、その間の溝にシリカ粒子を敷き詰め絶縁層を形成する場合、シリカの粒子径は10nm未満で、2次凝集のない、且つ超高純度であることが要求される。従来この様な要求を全て満足するシリカ材料は無かったが、本発明のシリカコロイドは、超高純度であることは勿論、2次凝集のないシングルナノサイズであることからこの用途に適している。コロイド溶液を半導体基板に塗布し、溶媒を乾燥除去し、熱処理することにより、シングルナノポア構造を有する絶縁体とすることができ、低誘電率SOG膜を形成することができる。基板との密着性やポーラス構造の強度を補強するためには、塗布液としてコロイダルシリカに酸性条件下でシリコンアルコキシドを部分加水分解したものを加える手段が有効である。酸性条件下で部分加水分解されたシリコンアルコキシドは鎖状のオリゴマーとなり、シングルナノサイズの粒子のバインダーとしての機能を有する。この塗布液にアンモニア等のアルカリを添加して中性として速やかに塗布すれば、短時間のうちにシングルナノシリカを鎖状のオリゴマーで結合させた強固な中空シリカゲル構造を形成することができ、その後乾燥、熱処理にする過程で、酸、アルカリ成分を除去することができる。例えば、部分加水分解に塩酸を、中和にアンモニアを用いた場合、中和反応で生成する塩化アンモニウムは340℃で昇華する。塩酸を好まない場合は、酢酸等の有機酸を用いることもでき、酢酸アンモニウムも同様に熱処理過程で除去される。
【0042】
次に、本発明の低誘電率絶縁層の形成方法について説明する。本発明のシリカコロイド又はこれを含むシリカコロイド溶液を半導体基板に塗布し、溶媒を乾燥除去し、熱処理することにより形成される。シリカコロイドとしては、水−アルコール系等の水系溶媒の他、アミド系溶剤、多価アルコール、アミノアルコール、セロソルブ類又は多官能アクリレート等の極性溶媒、トルエン等の非極性溶媒に分散されたシリカコロイドが使用できる。これらのシリカコロイドは、必要により他の添加剤を加えることもできる。シリカ濃度は高い方が好ましいが、高すぎると凝集が生じるので実質的には5〜30wt%が好ましい。このシングルナノシリカコロイドを半導体基板上に、スピンコート法、デップコート法、ロールコート法、転写印刷法等により塗布厚みが0.1〜1μmになる様に塗布した後、50〜600℃の温度範囲で段階的に温度を上げて熱処理する。加熱処理の雰囲気は特に限定されないが、水分や水酸基を完全に除去したい場合には、乾燥ガス流通下や減圧下で熱処理するのがよい。熱処理時間は1時間程度で充分である。シリカ粒子は、表面のOHの脱水縮合によりSi−O−Si結合ができる温度帯域が400〜500℃であり、焼結が進行するのが粒子径によって異なるが700℃以上の温度帯域である。シングルナノ粒子では、さらに低温度で焼結が進行する傾向にあり、粒子間の空隙減少割合が増してくる。低誘電率とするためには、できるだけ空隙率を大きくすることが好ましいので、ここでの熱処理は400〜600℃、好ましくは400〜500℃の温度帯域で行うことがよい。このようにして電子材料に要求される水準に高純度を保ちながら、空隙率が50%以上のシリカ膜を形成することができる。
【0043】
なお、層間絶縁膜用には、大口径Siウエハ上に、厚さ数百nm程度の膜を均質に形成する必要があり、塗布法によって、この要求を満たす無機多孔質膜を作製する方法として、現在、次の二つを基本としたものが用いられている。第1は、キセロゲル法である。溶媒中で、低濃度のシリカゾルをゲル化させると、径の大きな細孔ができる。しかし、薄膜状のゲルを作製しても、乾燥時に表面張力によって細孔が収縮する。これを防ぐために、超臨界乾燥法を用いたり、雰囲気制御して低速で乾燥させた後、表面を疎水化する。高い気孔率を有する膜を得られることが報告されている。第2は、水素化シリケートや有機シリケートなど、従来の低誘電率塗布ガラス(SOG:Spin−on−Glass)を、有機テンプレートとハイブリッド化し、焼成の際にテンプレートを分解ないし気化させて細孔を導入する方法である。現在のSOG塗布・焼成プロセスとの互換性が高いのが特徴で、k<2も可能である。本発明の形成方法ではかかる方法を採用することもできる。
【0044】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。なお、特に断りのない限り、実施例中の部は重量部を、%は重量%を意味する。また、滴下速度等の計算は本文中に記載した式による。
シリカコロイド粒子の粒度分布は、動的光散乱粒径分布測定装置(堀場製作所製、LB500)を使用して測定する方法(光散乱法)と透過電顕写真の画像解析(画像解析法)により求める方法を採用した。コロイド粒子の観察は、透過型電子顕微鏡を用いて行った。
【0045】
実施例1
反応容器にメタノール310部、純水16部及び29%アンモニア水3部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部とメタノール18部との混合希釈溶液を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約3.9%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を、光散乱法で測定したところ、平均粒子径は6nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、Agilent製誘導結合プラズマ−質量分析器(ICP−MS 7500S)でコロイド溶液中の不純物分析を実施した結果を表1に示す。なお、分析の前処理としては、ELグレードのフッ酸とELグレードの硝酸との混酸で溶液中に分散したシリカコロイドを溶解処理し、シリカ分はSiFとして飛ばし、そのまま蒸発乾固させた後、ELグレードの硝酸に再溶解させ、分析試料とした。なお、表1において、他はその他元素を意味するが水素及び炭素元素は含まない。また、次の測定法による炭素元素の含有量は0.1%以下である。LECO社製IR−212SP型の高感度型燃焼型炭素分析装置を使用し、シリカコロイドを150℃で2時間乾燥して得たシリカ粉を試料とし、これを酸素ガス中で高周波炉により加熱、燃焼させ、発生したCOとCOの内、COは加熱白金系触媒で酸化してCOとし、全COを赤外線検出器で検出して、炭素元素の含有量を計算する。
【0046】
【表1】
Figure 2004315300
【0047】
実施例2
反応容器にメタノール320部、純水16部及び29%アンモニア水4部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約4.0%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は6.3nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察を行った。丸みを帯びた球状であり、その画像解析法により求めた平均粒子径は7nmであった。
【0048】
実施例3
反応容器にメタノール320部、純水16部、及び29%アンモニア水8部の溶液を調製し、温度55℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約3.9%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は9nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。
【0049】
実施例4
反応容器にメタノール280部、純水20部及び29%アンモニア水5部の溶液を調製し、温度64℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン76部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約7.9%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は8nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察を行い、その画像解析法により求めた平均粒子径は8.5nmであった。
【0050】
実施例5
反応容器にメタノール160部、純水30部及び29%アンモニア水5部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン120部とメタノール60部との混合希釈溶液を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約12.6%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は8nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察を行い、その画像解析法により求めた平均粒子径は8.5nmであった。
【0051】
実施例6
反応容器にメタノール100部、純水38部及び29%アンモニア水6部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン155部とメタノール76部との混合希釈溶液を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約16.3%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は、9nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察を行い、その画像解析法により求めた平均粒子径は8.5nmであった。
【0052】
実施例7
反応容器にメタノール302部、純水16部及び29%アンモニア水4部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部とメタノール18部との混合希釈溶液を3cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約4.0%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は6.2nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察を行い、その画像解析法により求めた平均粒子径は8nmであった。
【0053】
実施例8
反応容器にメタノール250部、純水10部及び29%アンモニア水2部の溶液を調製し、温度63℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン27部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行った。反応終了後、1時間の熟成を実施したのちに、単蒸留操作により80部を留出させ、200部の超純水を添加したところ、わずかにコロイド溶液が白色を帯びたので、29%アンモニア水を5部添加し、透明状態に戻した。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は6.2nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察を行った。丸みを帯びた球状であり、その画像解析法により求めた平均粒子径は9.6nmであった。
【0054】
シリカコロイド溶液中のICP−MSによる不純物分析結果を表2に示す。数字の単位、ND及び他の意味は表1と同様である。炭素元素の含有量は0.1%以下である。なお、各実施例の水/テトラメトキシランのモル比は、表3の通りである。
【0055】
【表2】
Figure 2004315300
【0056】
【表3】
Figure 2004315300
【0057】
比較例1
反応容器にメタノール32部、純水16部及び29%アンモニア水4部の溶液を調製し、温度45℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約4.0%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は17nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。コロイド粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ粒子の形状は、真球状を呈していた。温度が低いために粒子径が大きく成長したものと考えられる。
【0058】
比較例2
反応容器にメタノール100部、純水250部及び29%アンモニア水4部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン200部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約21.0wt%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は28nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。テトラメトキシランの濃度が高いために粒子成長が起ったものと考えられる。
【0059】
比較例3
反応容器にメタノール320部、純水5部及び29%アンモニア水15部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約4.0wt%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は25nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。アンモニア濃度が高すぎるために粒子成長が起こったものと考えられる。
【0060】
比較例4
反応容器にメタノール300部、純水40部及び29%アンモニア水4部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部を1cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約3.9%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は32nmで粒度分布は比較的ブロードであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察では、一部に凝集粒子が観察された。水濃度が高いために、粒子の成長と凝集が起こったものと考えられる。
【0061】
比較例5
反応容器にメタノール320部、純水16部及び29%アンモニア水4重量部の溶液を調製し、温度60℃に保持した後、撹拌条件下にテトラメトキシシラン38部を13cm/min・Lの滴下速度で滴下し、加水分解、重縮合反応を行い、固形分濃度が約4.0%のシリカコロイド粒子を得た。このようにして得られたシリカコロイド粒子の粒度分布を光散乱法で測定したところ、平均粒子径は35nmで粒度分布は比較的ブロードであった。また、透過型電子顕微鏡を用いて得られたコロイド粒子の観察では、一部に凝集粒子が観察された。添加速度が速すぎたために、局部的にテトラメトキシシランの高濃度部分が発生し、粒子の成長と凝集が起こったものと考えられる。
【0062】
実施例9
実施例2と同様にして得られたナノシリカコロイド溶液に、反応終了後、1時間の熟成を実施したのちに、単蒸留操作により330部を留出させた(シリカ濃度31%に相当)。このようにして得られたシリカコロイド粒子の平均粒子径は7.0nmで粒度分布がシャープな単分散シリカであった。また、濃縮されたコロイド溶液のpHは約7であった。このコロイド溶液を常温で保存したが、約5日間は安定であり、その後ゲル化が進行した。
【0063】
実施例10
実施例2と同様にして得られたナノシリカコロイド溶液に、アンモニア水を添加してpH値が11になる様に調整し、保存中のコロイド粒子間の凝集を防止した。前記コロイド溶液250部とNMP250部とを混合して、ナスフラスコに仕込み、90℃の温浴中で加温しながら、アスピレーターを使用して減圧下で約2時間単蒸留することにより、アンモニア、アルコール、水を追い出した。得られたNMPを分散媒とするシリカコロイド溶液は、pHが7.5の中性な無色透明液であり、アルコール、アンモニアはトレースであり、残留水分は0.9%であった。この様にして得られたNMP溶媒分散コロイダルシリカを静置して経時変化を調べたが、半年間経過時点でも溶液の濁りや粒子径に変化は見られなかった。
【0064】
実施例11
実施例2と同様にして得られたナノシリカコロイド溶液に、アンモニア水を添加してpHが10になる様に調整し、保存中のコロイド粒子間の凝集を防止した。このコロイド溶液250部とグリセリン250部とを混合して、ナスフラスコに仕込み、95℃の温浴中で加温しながら、アスピレーターを使用して減圧下で約2時間単蒸留することにより、アンモニア、アルコール、水を追い出した。この様にしてグリセリンを分散媒とするシリカコロイド溶液は、アンニモアを殆ど含まない中性の無色透明のコロイド溶液であった。アルコール、アンモニアは、トレースであり、残留水分は、0.1wt%であった。このグリセリン溶媒分散コロイダルシリカを静置して経時変化を調べたが、半年間経過時点でも溶液の濁りや粒子径に変化は見られなかった。
【0065】
実施例12
実施例2と同様にして得られたナノシリカコロイド溶液に、アンモニア水を添加してpHが10になる様に調整し、保存中のコロイド粒子間の凝集を防止した。このコロイド溶液250部とメチルセロソルブ250部とを混合して、ナスフラスコに仕込み、60から80℃の温浴中で加温しながら、アスピレーターを使用して減圧下で約2時間単蒸留することにより、アンモニア、アルコール、水を追い出した。この様にして得たメチルセロソルブを分散媒とするシリカコロイド溶液は、中性な無色透明のコロイド溶液であり、アルコール、アンモニアは、トレースであり、残留水分は、0.3wt%であった。この様にして得られたメチルセロソルブ溶媒分散コロイダルシリカを静置して経時変化を調べたが、半年間経過時点でも溶液の濁りや粒子径に変化は見られなかった。
【0066】
なお、上記と同様な実験において、メチルセロソルブ250部の代わりにMIBK250部又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部を使用した場合は、溶液同士は混ざり合うが、得られたコロイド溶液は次第に液全体が粘稠となり、やがて全体がゲル化した。
【0067】
実施例13
実施例2と同様にして得られたナノシリカコロイド溶液に、アンモニア水を添加してpHが11になる様に調整し、保存中のコロイド粒子間の凝集を防止した。前記コロイド溶液250部にトリフェニルメトキシシラン0.1部とトルエン250部とを加え、振盪器を用いて30分間懸濁状態となし、分液ロートを用いてアルコール−水相を分離除去した。この様にして得られたトルエン相は無色透明であり、その一部を蒸発皿で乾固させたところ、約4%に相当する白色の粉が残留しており、シリカコロイド粒子がアルコール−水相からトルエン相に相間移動していることを確認できた。残留するアルコール、アンモニア、水分は確認できなかった。この様にして得られたトルエン溶媒分散コロイダルシリカを静置して経時変化を調べたが、4月間経過時点でも溶液の濁りや粒子径に変化は見られなかった。なお、コロイド溶液とトルエンとをカップリング剤を加えることなく直接混合すると次第にゲル化した。
【0068】
実施例14
実施例2と同様にして得られたナノシリカコロイド溶液に、アンモニア水を添加して、pHが11になるように調整し、保存中のコロイド粒子間の凝集を防止した。トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)へのシリカナノ粒子の安定分散を可能とするには、上記のメタノールアンモニア水溶液の直接添加、混合は、ナノシリカ粒子の凝集、ゲル化を引き起こすので、次のような手法で分散させた。
メタノールアンモニア水溶液500部とエタノール500部とを混合して、ナスフラスコに仕込み、40℃の温浴中で加温しつつ、アスピレーターを使用して、減圧下で約2時間単蒸留することにより、アンモニア、メタノールを追い出した。このようにして、エタノール水溶液を分散とする無色透明のシリカコロイド溶液を得た。このエタノール水溶液中のシリカ濃度は約10%、水分量は約5%であった。次に、このエタノール水溶液を分散媒とするシリカコロイド溶液155部とTMPTA500部とを混合し、減圧、脱泡後、ナスフラスコに仕込み、80℃以下の温浴中で加温しつつ、減圧下で、約2時間単蒸留することによって、エタノール水溶液を追い出した。このようにして、TMPTAを分散媒とする透明のシリカコロイド溶液を得た。
【0069】
実施例15
ジメチルアセトアミドにポリアミック酸を15%溶解させたポリイミド前駆体反応を調製し、攪拌下の同反応溶液100部に対し、実施例10で得られたNMP分散シリカコロイド26部を室温で20分間かけて滴下し、その後さらに1時間撹拌を行った。その後、真空脱泡処理して、有機無機ハイブリッド材の前駆体を作成した。ついで、前記ハイブリッド前駆体を平坦な鏡面ガラス板上でフィルムコーターを使用して、有機無機ハイブリッドをフィルム成形した。次の加工成形工程では、80℃、1時間予備乾燥後、フィルムをガラス板から剥がし取り、フィルムの外周に枠を取り付けて、150℃×30分間、200℃×1時間、及び330℃×10分間の熱処理よって、熱処理し硬化させた。得られたポリイミドフィルムは光透過性が良好で、シングルナノシリカが凝集せず均一に分散したポリイミド−シリカハイブリッドフィルムを得ることができた。
【0070】
実施例16
実施例12で得られたメチルセロソルブ分散コロイド溶液をシリカ濃度が20%になるように加熱濃縮し、シリコン基板上にスピンコート法により塗布し、窒素ガス流通下で、50℃から10℃/minの速度で125℃(メチルセロソルブのb.p.)迄昇温し、その温度で10分間保持した。その後更に10℃/minの温度で500℃(シラノールの脱水縮合温度+50℃)迄昇温し、その温度で30分間保持することによりシリコン基板上に0.5μm厚のシリカ膜を形成した。横河・ヒューレット・パッカード製LF・インピーダンスアナライザ(型式4192A)を使用して比誘電率を測定したところ、2.4であった。
【0071】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、高純度のシングルナノシリカを得ることが可能であり、このシングルナノシリカ粒子又はコロイドは、有機−無機ハイブリッド材、低誘電率絶縁層の形成等に有用である。

Claims (8)

  1. シリコン、酸素、水素及び炭素を除く全ての不純物元素の含有量が0.02ppm以下であり、且つ平均粒子径が1nm以上、10nm未満のシリカ微粒子又はそれが分散したシリカコロイド。
  2. 請求項1記載のシリカ微粒子又はシリカコロイドを製造するに当たり、以下の▲1▼〜▲4▼の各条件を満足する条件で、シリコンアルコキシドを水、アルコール及びアンモニアの混合溶液に添加して加水分解・脱水縮合反応させることを特徴とするシリカ微粒子又はシリカコロイドの製造方法。
    ▲1▼加水分解反応時の混合溶液温度が、50℃以上から100℃又は前記アルコールの沸点の何れか低い温度までの所定の温度範囲にあること。
    ▲2▼混合溶液のアンモニア濃度が、0.05〜0.40モル/Lの所定の範囲にあること。
    ▲3▼混合溶液中の水の量が、添加するシリコンアルコキシド1モル当たり、2〜8モルの範囲にあること。
    ▲4▼シリコンアルコキシドの添加速度が、10cm/min・L以下であること。
  3. 請求項2記載の製造方法で得られるアルコール−水―アンモニア溶液にシリカ微粒子が分散したコロイド溶液から、アンモニアを除去し、pHを5〜7に調整することを特徴とする中性水系溶液分散シリカコロイドの製造方法。
  4. アミド系溶剤、アルキルスルホキシド、多価アルコール、アミノアルコール、セロソルブ類又は多官能アクリレートから選ばれた一種又は二種以上の溶媒に分散していることを特徴とする請求項1記載のシリカコロイド。
  5. シリコン、酸素、水素及び炭素を除く全ての不純物元素の含有量が0.02ppm以下であり、且つ平均粒子径が1nm以上、10nm未満のシリカ微粒子がアルコール含有水系溶液に分散したシリカコロイドから、水と相溶性を有さない有機溶媒に分散したシリカコロイドとする方法において、1)水系溶液に分散したシリカコロイドに水と相溶性を有さない有機溶媒及びカップリング剤を添加すること、2)カップリング剤は2又は3個のアルキル基又はアリール基を有し、これによりシリカコロイド粒子表面を疎水化処理すること、3)該有機溶媒相とアルコール−水系溶液相が相溶性を失うまでアルコールを除去するか、水を添加することにより、水系溶液分散シリカコロイドと有機溶媒相との懸濁状態を形成させること、4)疎水化処理されたシリカコロイド粒子を水系溶液相から有機溶媒相へ相間移動させること、5)静置後、有機溶媒相を分離することを特徴とする有機溶媒に分散したシリカコロイドの製造方法。
  6. 請求項1又は4記載のシリカコロイドを、有機高分子又は有機高分子前駆体を溶解させた有機溶媒溶液中に添加して撹拌・混合・成形・乾燥・固化させることを特徴とするシリカと有機高分子のハイブリッド材料の製造方法。
  7. 請求項5記載のシリカコロイドの製造方法で得られたシリカコロイドを、有機高分子又は有機高分子前駆体を溶解させた有機溶媒溶液中に添加して撹拌・混合・成形・乾燥・固化させることを特徴とするシリカと有機高分子のハイブリッド材料の製造方法。
  8. 請求項1又は4記載のシリカコロイド又はこれを含む溶液を半導体基板に塗布し、溶媒を乾燥除去し、熱処理することを特徴とするシングルナノポア構造を有する低誘電率絶縁層の形成方法。
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