JP2004307181A - エレベータ巻上機のブレーキ開放装置およびその操作方法 - Google Patents

エレベータ巻上機のブレーキ開放装置およびその操作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全かつ迅速にエレベータ巻上機のブレーキを開放でき、かつ操作レバーの操作を容易に行うことができるエレベータ巻上機のブレーキ開放装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ開放装置は、巻上機102のブレーキ102aと、乗り場108近傍に設置された収納箱20との間に延びるアウタチューブ11およびインナワイヤ12とを有している。収納箱20内のフレーム30に、インナワイヤ12に連結された操作レバー40が回動自在に設けられている。アウタチューブ11は、アウタチューブ固定軸35を介してフレーム30に連結されている。インナワイヤ12は、その先端部12aがインナワイヤ連結軸46を介して操作レバー40に連結されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ巻上機が駆動できなくなった場合に巻上機のブレーキを開放するために使用されるエレベータ巻上機のブレーキ開放装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータの運転中に地震や停電などが起きたり、エレベータが故障したりして、エレベータ巻上機(以下、巻上機とも言う)の運転ができなくなると、乗りかごが階間に停止してしまう場合がある。このような場合には、巻上機のブレーキを手動で開放して、乗りかごを乗り場まで昇降させる救出運転がなされている。
【0003】
巻上機のブレーキを手動で開放する装置としては、様々なものが提案されている。例えば、救出運転時にブレーキワイヤの端部を乗り場床上に引き出し、乗り場床に仮設した足踏みレバーを押し下げることにより、ブレーキワイヤを牽引してブレーキを開放する救出運転操作機構が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、エレベータの巻上機と手動操作部の間に設けられたブレーキ開放用ワイヤと、巻上機の回転軸に固定されたピニオンと、上記ピニオンに噛合うラックと、上記ラックを噛合い位置に変位させる噛合い用ワイヤと、上記ラックを長手方向に往復動作させる手動駆動用ワイヤとを備えた装置も知られている(例えば特許文献2参照)。またこれらのワイヤを操作するブレーキ開放用レバーと、手動駆動用レバーと、噛合い用レバーとが、乗り場のインジケータ箱に固定されている。
【0005】
また、救出運転時に昇降路の下部近くの乗り場床に設置され、巻上機に設けられた2組のブレーキワイヤをそれぞれ独立に牽引するレバー機構を備えた巻上機の制動力設定装置も知られている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
特許文献1−3のいずれにおいても、巻上機のブレーキワイヤのアウタチューブがフレームなどの構造物に固定され、インナワイヤの先端がレバーに連結され、レバーの回転動作によってインナワイヤがアウタチューブに対して牽引されるようになっている。また、アウタチューブの端部の外側におねじが形成され、ナットによりアウタチューブが構造物に固定されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−233563号公報
【特許文献2】
特開2001−122547号公報
【特許文献3】
特開2001−294386号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術において、ブレーキ開放装置を乗り場床付近に設置する場合、乗りかごが当該乗り場付近にあると、昇降路内に設置されたブレーキワイヤの端末を乗り場側に引き出すことができなくなることがある。また、昇降路内からブレーキワイヤの端末を引き出すのに時間や手間がかかって、救出が遅れてしまう心配がある。
【0009】
また、ブレーキワイヤの端末を乗り場の床面に引き出すためには、ブレーキワイヤを昇降路内でたるませておく必要があるが、この場合はたるんだワイヤが乗りかごに引っ掛かってしまう心配がある。さらに、乗り場側にブレーキワイヤを引き出すことによって、ブレーキワイヤの一部が乗りかご側に膨らんでしまったり、張力を加えることによってワイヤが動いたりして、誘導される乗りかごに引っ掛かってしまう危険性がある。
【0010】
また、一般に巻上機のブレーキを開放するには、数100Nから1kN以上に及ぶ力を数10mmのストロークにわたって操作用のワイヤにかけなければならないことがあり、操作レバーもそれなりの大きさが必要である。
【0011】
そのため、操作レバーを乗り場インジケータの箱などに収納する場合には、上記箱を大型にする必要があり、意匠性が悪化してしまう心配がある。
【0012】
また、ブレーキワイヤのインナワイヤを牽引するレバーはその支持軸回りに回転運動するので、牽引に伴ってインナワイヤの牽引方向とアウタチューブの固定方向とがずれて、それらの間の摩擦力が増大して、滑らかな操作ができなくなったり、インナワイヤが損傷したりして救出運転の安全性が低下する心配がある。
【0013】
インナワイヤとアウタチューブとの摩擦力を減らすには、角度のずれを小さくする必要があり、そのためにはレバーの動作角度を小さくしなければならない。
【0014】
ところが小さい動作角度で牽引に必要な力とストロークを得るためには、インナワイヤを牽引する位置とレバーの回転中心との距離を大きくすることが有効であるが、レバー全体を長くしなければならない。その結果、ブレーキ開放装置を大型にしなければならなくなり、収納スペースが増大したり、意匠性が悪化したりする問題がある。
【0015】
また、短いストロークでブレーキが開放できるようにブレーキ側の機構を構成することも有効であるが、牽引力が増大するため、太いワイヤが必要となったり、機構が大型化してしまう心配がある。また、ストロークを短くして牽引力を大きくすると、牽引力の微妙な調整が難しくなり、安定した救出運転が困難になる心配がある。
【0016】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ブレーキワイヤを昇降路内でたるませておく必要がなく、救出運転中にブレーキワイヤが昇降路内に膨らむこともなく、また、大きな操作レバーを設ける必要がないエレベータ巻上機のブレーキ開放装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、昇降路内に配置されたエレベータ巻上機のブレーキを乗り場ドアを有する乗り場から開放して乗りかごを誘導するブレーキ開放装置において、乗り場近傍に設けられるとともにフレームを内蔵する収容部と、エレベータ巻上機のブレーキと収容部との間に延びるアウタチューブと、アウタチューブ内を延びるインナワイヤと、収容部内のフレームに回動自在に設けられ、インナワイヤに連結された操作レバーとを備え、アウタチューブは、アウタチューブ回動支持手段を介してフレームに連結され、インナワイヤは、その先端部がインナワイヤ回動支持手段を介して操作レバーに連結されていることを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置である。
【0018】
本発明は、アウタチューブ回動支持手段は軸心に直交する方向にアウタチューブを通す第1軸状部材からなり、インナワイヤ回動支持手段は軸心に直交する方向にインナワイヤを通す第2軸状部材からなることを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置である。
【0019】
本発明によれば、操作レバーを回転してインナワイヤを牽引したときに、アウタチューブ固定軸が自在に回転して、常にインナワイヤが牽引される方向を向く。そのため、アウタチューブの端部の内面とインナワイヤとが強く擦れることが防止でき、動作が滑らかになり、信頼性が向上する。また、操作レバーの動作角度を大きくすることができるので、長大なレバーを用いなくても大きなストロークの牽引が可能になり、装置を小型化することができる。
【0020】
本発明は、操作レバーに、延長用の追加レバーを連結したことを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置である。
【0021】
本発明は、操作レバーから取り外された追加レバーは、収容部内に収納されていることを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置である。
【0022】
本発明によれば、操作レバーと追加レバーを組み合わせてレバー全体を容易に長くすることができ、長い操作レバーを設ける必要はなく、操作レバーを収納するための大きな収納スペースが不要になる。
【0023】
本発明は、操作レバーが収容部内にあるとき、インナワイヤの先端部はレバーに連結されておらず、操作レバーが収容部から外方へ出たときインナワイヤの先端部が操作レバーに連結されることを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置である。
【0024】
本発明によれば、インナワイヤを誤って牽引してしまうことが防止でき、安全性と操作性が向上する。
【0025】
本発明は、収容部は、乗り場のうち作業員が乗り場ドアを開いて昇降路内の乗りかごをみながら操作レバーを操作することができる位置に設けられていることを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置である。
【0026】
本発明は、上記記載のエレベータ巻上げ機のブレーキ開放装置の操作方法において、乗り場の乗り場ドアを開く工程と、乗り場から乗り場ドアを介して昇降路内の乗りかごをみながら操作レバーを操作してブレーキを開放しながら乗りかごを誘導する工程と、を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置の操作方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明によるエレベータ巻上機のブレーキ開放装置の一実施の形態について説明する。
【0028】
まず図6を参照して、通常のエレベータについて説明する。図6はエレベータの一例を示す概略図である。
【0029】
エレベータ100は、建物の昇降路101内に上下方向移動自在に配置された乗りかご104と、昇降路101の上部に配置されたエレベータ巻上機(巻上機ともいう)102とを備えている。巻上機102から垂下するロープ103の一側が、乗りかご104の下側に設置された従動シーブ105に巻きかけられ、ロープ103の端部は昇降路101の上端付近で支持されている。
【0030】
一方、巻上機102から垂下されるロープ103の他側は、カウンタウェイト106の上部に組みつけられたシーブ107に巻きかけられ、ロープ103の端部は、昇降路101上端付近で支持されている。
【0031】
また各階床の乗り場108は、床109と、壁110と、乗り場ドア111とを有している。
【0032】
次に図1により、エレベータ巻上機のブレーキ開放装置について説明する。図1において、図中左側が昇降路101であり、右側が乗り場108となっている。
【0033】
図1に示すように、巻上機102は緊急用のブレーキ102aを有している。本発明によるエレベータ巻上機のブレーキ開放装置は、巻上機102のブレーキ102aを乗り場108側から開放するものである。
【0034】
すなわちブレーキ開放装置は、乗り場108近傍の壁110に設置されるとともにフレーム30を内蔵する収納箱(収容部)20と、巻上機102のブレーキ102aと収納箱20との間に延びる可撓性のアウタチューブ11と、アウタチューブ11内を延びる可撓性のインナワイヤ12と、収納箱20内のフレーム30に回動自在に設けられるとともにインナワイヤ12に連結された操作レバー40とを備えている。
【0035】
このうち、アウタチューブ11と、インナチューブ12とによってブレーキワイヤ10が構成され、ブレーキワイヤ10の一端10aはブレーキ102aに連結され、ブレーキワイヤ10の他端10bは収納箱30のフレーム20側に導かれている。
【0036】
そしてブレーキワイヤ10のインナワイヤ12を操作レバー40によって引っ張ることにより、巻上機102のブレーキ102aが開放されるようになっている。なお、収納箱20は、乗り場108のうち、作業員が乗り場ドア111を開いて昇降路101内の乗りかご104をみながら操作レバー40を操作できる位置に設けられている。
【0037】
次に収納箱(収容部)20の内部構造について説明する。収納箱20の内部には、フレーム30が固定されており、このフレーム30に対して操作レバー40が回動自在に設けられている。アウタチューブ11は端部金具11aを有し、この端部金具11aはフレーム30にアウタチューブ固定軸(第1軸状部材)35を介して回動自在に支持され、インナワイヤ12は端部金具12aを有し、この端部金具12aはレバー40の中間部にインナワイヤ連結軸(第2軸状部材)46を介して回動自在に支持されている。なお、収納箱20には蓋21が取り付けられていて乗り場108からは内部が見えないようになっている。
【0038】
図2は、前記収納箱20を乗り場側から見た状態を示す外観図である。乗り場108の壁110に図示しない呼びボタンなどを有するインジケータパネル112が設置されている。このインジケータパネル112の近傍に、蓋21が取り付けられた収納箱20が設置され、蓋21には鍵22が設けられている。
【0039】
次に、収納箱20の内部構造について、図3によりさらに説明する。図3は、収納箱20の内部構造を示す図であって、図3(a)はその側面図、図3(b)はその正面図であり、図3(c)は図3(a)の矢印C方向矢視図、図3(d)は図3(c)の矢印D方向矢視図である。
【0040】
フレーム30は、同一形状の一対のフレームプレート31と、一対のフレームプレート31間に挟まれたフレームブロック32と、一対のフレームプレート31を固定するボルト33とから構成されている。またフレームブロック32は壁110内に設けられた固定板113に4本のボルト34で固定されている。
【0041】
一対のフレームプレート31の内側には、操作レバー40が、各フレームプレート31に取り付けられたレバー回転軸41周りに揺動自在に支持されている。操作レバー40は、同一形状の一対のレバープレート42と、一対のレバープレート42間に挟まれたスペーサ43と、一対のレバープレート42を固定するボルト44とから構成されている。さらに、レバープレート42の先端部に穴42aが設けられている。操作レバー40には、穴42aを利用して継ぎ足しパイプ(追加レバー)45が連結できるようになっており、この継ぎ足しパイプ45は収納箱20に収納されている。
【0042】
アウタチューブ11の端部金具11aの外側にはねじ13が形成されている。アウタチューブ固定軸35の軸心に直交して設けられた穴に端部金具11aを挿入した状態でねじ13に係合する2個のナット14をねじ込むことにより端部金具11aがアウタチューブ固定軸35に固定される。このアウタチューブ固定軸35は、フレームプレート31に対して回動自在に支持されている。アウタチューブ固定軸35には、上記ナット14が当接する部分に平面状の二つの加工面35aが設けられており、アウタチューブ固定軸35の両端には止め輪35bが取り付けられている。
【0043】
一方、インナワイヤ12の端部金具12aの先端部には、ねじ15が形成され、インナワイヤ連結軸46の軸心に直交して設けられた穴を貫通して端部金具12aが挿入され、かつねじ15の先端部にナット16が取り付けられている。インナワイヤ連結軸46は、前記2枚のレバープレート42に対して回動自在に支持されている。ナット16が当接する部分には平面状の加工面46aが設けられており、インナワイヤ連結軸46の両端には止め輪46bが取り付けられている。なお、インナワイヤ連結軸46の加工面46aとナット16は、図3に示す状態では接触しておらず、ゆとりが設けられている。
【0044】
次に、このように構成された本実施形態の作用について図4および図5を参照して以下に説明する。
【0045】
何らかの異常や故障によりエレベータの巻上機が駆動できなくなり、巻上機102のブレーキ102aが作動した状態で乗りかご104が階間に停止した場合には、以下のようにして乗りかご104内の乗客の救出運転が行われる。
【0046】
まず、作業員によって、巻上機102の設置位置に近い階の乗り場108のドア111がわずかに開けられ、昇降路101内が見えるようになる。
【0047】
その後の手順について図4を参照しながら以下に説明する。図4(a)−(c)は前記収納箱20の内部を透視的に示した側面図である。このうち図4(a)は、収納箱20の蓋21が閉められた状態を示しており、図中の寸法Gは、インナワイヤ連結軸46の加工面46aと前記ナット16とのゆとりの長さである。
【0048】
まず、図4(a)において、収納箱20の鍵22を開けて蓋21を開け、操作レバー40を手前に傾ける。次に、操作レバー40の先端を収納箱20から突出させ、加工面46aとナット16を当接させる(図4(b))。この時、上記のゆとり(G)はなくなるが、インナワイヤ12に張力はかからない。
【0049】
次に突出した操作レバー40の先端の穴42aを利用して前記継ぎ足しパイプ45をボルト47で連結する(図4(c))。
【0050】
以下にインナワイヤ12を牽引する動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、前記継ぎ足しパイプ45が連結された操作レバー40の動作を示す模式図である。
【0051】
作業者は乗り場ドア111の隙間から昇降路101内を確認しながら、継ぎ足しパイプ45の端部を握って引き下げる。この場合、アウタチューブ固定軸35とインナワイヤ連結軸46との相対距離が増大して、アウタチューブ11に対してインナワイヤ12が牽引され、図5(a)から図5(b)に示す状態になる。さらに操作レバー40を下げていくと、図5(c)の状態になる。
【0052】
この時、操作レバー40の傾斜に伴ってインナワイヤ12の先端は円弧状に移動するが、前記アウタチューブ固定軸35がフレーム30に対して回動自在になっているため、アウタチューブ11の端部金具11aは、常にインナワイヤ12が牽引される方向を向く。また、インナワイヤ連結軸46もフレーム30に対して回動自在に支持されているので、操作レバー40が回転してもインナワイヤ12に曲げ荷重がかかることはない。
【0053】
インナワイヤ12が牽引されると巻上機102のブレーキ102aが開放され、乗りかご104とカウンタウェイト106のうち重い方が下降する。なお、乗りかご104とカウンタウェイト106の重量が釣り合っている場合には、詳述しない方法により、両者の重量が釣り合わないようにおもりを増減したり、どちらかに荷重がかかるようにしておく。
【0054】
このように作業者が昇降路101内の乗りかご104をみながら、操作レバー40を断続的に引き下げる。操作により、ブレーキ102aを開放しながら乗りかご104の速度を適切に調整して乗りかご104を乗り場108の正面に誘導する。その後は、乗り場ドア111と乗りかご104のドアを開けて、乗客を救出する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0056】
乗り場108の壁111に設けられた収納箱20内の操作レバー40に継ぎ足しパイプ45を連結し、この継ぎ足しパイプ45を引き下げるだけで巻上機102のブレーキ102aを開放できる。このためブレーキワイヤを乗り場の床面などに引き出す必要がなく、乗りかごが乗り場床付近にあっても、問題なく、安全に作業することができる。また、ブレーキワイヤを昇降路内でたるませておく必要がなく、救出運転中にブレーキワイヤが昇降路内に膨らむこともないので安全性が向上する。
【0057】
また操作レバー40の回転に伴ってアウタチューブ固定軸35がフレーム30に対して回転して、常にインナワイヤ12が牽引される方向に向くので、アウタチューブ11の端部の内面とインナワイヤ12とが強く擦れてしまうことがなく、動作が滑らかになり、インナワイヤ12の損傷を防止でき、信頼性が確保できる。
【0058】
また、操作レバー40の動作角度を大きくすることができ、長大なレバーを用いなくても大きなストロークの牽引が可能になり、結果的に装置を小型化することができる。また、微妙な牽引力の調整が可能になるので、操作性に優れている。
【0059】
インナワイヤ連結軸46もフレーム30に対して回転するので、操作レバー40の動作角度が大きくなっても、インナワイヤ12の先端に無理な曲げ荷重がかかることがなく、滑らかな動作が可能になる。
【0060】
また、インナワイヤ12にゆとりを持たせて、収納箱20内に収納しているときの操作レバー40の角度と、継ぎ足しパイプ45を操作レバー40に連結する時の操作レバー40の角度に遊びを設けているので、継ぎ足しパイプ45の連結作業時にインナワイヤ12を誤って牽引してしまうことが防止でき、安全性と操作性が確保される。さらに、収納箱20内のスペースを十分に使って操作レバー40と継ぎ足しパイプ45を収納できるので、収納箱20内の小さな収納スペースを有効に使用でき、収納箱20を小型化できる。
【0061】
なお、上記実施の形態において、操作レバー40に1本の継ぎ足しパイプ45を連結する例を示したが、これに限らず2本やそれ以上の継ぎ足しパイプ45を連結して操作レバー40の操作に必要な力を適宜軽減しても良い。また、折りたたみ式のリンク機構や、伸縮式のレバーによってレバーを延長するようにしても良い。あるいは、作業員が延長用のレバーを持参するようにしても良い。
【0062】
また、上記実施形態において、アウタチューブ固定軸35およびインナワイヤ連結軸46は、フレームプレート31やレバープレート42に直接接触して支持されていたが、潤滑剤やベアリングを使用して摩擦力をさらに軽減させれば、さらに滑らかな動作が可能になる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、図6を参照して、巻上機102が昇降路101内の上部に設置された例を示したが、巻上機102が昇降路101のピットや、昇降路101の他の部分や、機械室の中に設置されていても、同様の効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、救出運転時にブレーキワイヤを乗り場に引き出す必要がないので、速く安全に救出運転が行えるとともに、乗りかごが乗り場付近にあっても、問題なく救出運転が行える。また、ブレーキワイヤを昇降路内でたるませておく必要がなく、救出運転中にブレーキワイヤが昇降路内に膨らむこともないので、安全性が高いエレベータ巻上機のブレーキ開放装置を提供できる。さらに、操作レバーの回転角度を大きくすることができるので、操作レバーを長くしなくても十分なストロークの牽引ができ、操作性が向上する。また操作レバーを収納する収容部を小型化でき、意匠性が悪化する心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータ巻上機のブレーキ開放装置の一実施の形態を示す概略図。
【図2】乗り場側から見たブレーキ開放装置の外観図。
【図3】ブレーキ開放装置の構成を詳細に示す説明図。
【図4】ブレーキ開放装置のレバーを連結する状態を示す説明図。
【図5】ブレーキ開放装置のレバーの動作を示す説明図。
【図6】エレベータの構成の一例を示す概略図。
【符号の説明】
10 ブレーキワイヤ
11 アウタチューブ
11a 端部金具
12 インナワイヤ
12a 端部金具
13 ねじ
14 ナット
15 ねじ
16 ナット
20 収納箱
21 蓋
22 鍵
30 フレーム
31 フレームプレート
32 フレームブロック
33 ボルト
34 ボルト
35 アウタチューブ固定軸
35a 加工面
35b 止め輪
40 操作レバー
41 レバー回転軸
41a 止め輪
42 レバープレート
43 スペーサ
44 ボルト
45 継ぎ足しパイプ
46 インナワイヤ連結軸
46a 加工面
46b 止め輪
47 ボルト
100 エレベータ
101 昇降路
102 巻上機
102a ブレーキ
103 ロープ
104 乗りかご
108 乗り場
109 床
110 壁
111 乗り場ドア
112 インジケータパネル

Claims (7)

  1. 昇降路内に配置されたエレベータ巻上機のブレーキを乗り場ドアを有する乗り場から開放して乗りかごを誘導するブレーキ開放装置において、
    乗り場近傍に設けられるとともにフレームを内蔵する収容部と、
    エレベータ巻上機のブレーキと収容部との間に延びるアウタチューブと、
    アウタチューブ内を延びるインナワイヤと、
    収容部内のフレームに回動自在に設けられ、インナワイヤに連結された操作レバーとを備え、
    アウタチューブは、アウタチューブ回動支持手段を介してフレームに連結され、
    インナワイヤは、その先端部がインナワイヤ回動支持手段を介して操作レバーに連結されていることを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置。
  2. アウタチューブ回動支持手段は軸心に直交する方向にアウタチューブを通す第1軸状部材からなり、
    インナワイヤ回動支持手段は軸心に直交する方向にインナワイヤを通す第2軸状部材からなることを特徴とする請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ開放装置。
  3. 操作レバーに、延長用の追加レバーを連結したことを特徴とする請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ開放装置。
  4. 操作レバーから取り外された追加レバーは、収容部内に収納されていることを特徴とする請求項3記載のエレベータ巻上機のブレーキ開放装置。
  5. 操作レバーが収容部内にあるとき、インナワイヤの先端部はレバーに連結されておらず、操作レバーが収容部から外方へ出たときインナワイヤの先端部が操作レバーに連結されることを特徴とする請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ開放装置。
  6. 収容部は、乗り場のうち作業員が乗り場ドアを開いて昇降路内の乗りかごをみながら操作レバーを操作することができる位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ開放装置。
  7. 請求項1記載のエレベータ巻上げ機のブレーキ開放装置の操作方法において、
    乗り場の乗り場ドアを開く工程と、
    乗り場から乗り場ドアを介して昇降路内の乗りかごをみながら操作レバーを操作してブレーキを開放しながら乗りかごを誘導する工程と、
    を備えたことを特徴とするエレベータ巻上機のブレーキ開放装置の操作方法。
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