JP2004306721A - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動モータを駆動し、ポンプを回転させることで操舵アシストを行う際、ステアリングの切り戻し時にステアリングの戻りが悪化することなく、安定したアシスト力を得ることが可能なパワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】パワーステアリング装置において、2室のパワーシリンダ室を連通するバイパス油路と、該バイパス油路上であって、アシスト操舵制御手段からの制御信号に基づいて開閉状態を制御可能なバイパス弁と、ステアリングの切り戻しを判断する切り戻し判断手段とを設け、アシスト操舵制御手段は、切り戻し判断手段により切り戻しと判断されたときは、バイパス弁に対し、予め設定された所定時間の間、開弁指令を出力することとした。
【選択図】 図6
【解決手段】パワーステアリング装置において、2室のパワーシリンダ室を連通するバイパス油路と、該バイパス油路上であって、アシスト操舵制御手段からの制御信号に基づいて開閉状態を制御可能なバイパス弁と、ステアリングの切り戻しを判断する切り戻し判断手段とを設け、アシスト操舵制御手段は、切り戻し判断手段により切り戻しと判断されたときは、バイパス弁に対し、予め設定された所定時間の間、開弁指令を出力することとした。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータでポンプを駆動することで操舵アシストするパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パワーステアリング装置にあっては、操舵トルクを検出するトルクセンサの出力に基づき電動モータを駆動してオイルポンプを駆動し、ピストンで区切られたパワーシリンダの2室の一方の室の油圧を高めることで操舵アシストする技術が知られている。ここで、2室のパワーシリンダ室を連通するバイパス回路と、このバイパス回路の連通・非連通状態を切換可能なバイパス弁を設けた技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
この技術では、ステアリングに入力されるトルクが小さいときは、バイパス弁を連通状態とし、左右のパワーシリンダ室の差圧を解消することで、運転者の操舵によるマニュアル操舵を可能としている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−290779号公報(図3参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方向へトルクの大きい操舵を行っている途中に、急激に反対方向の切り返しを行うと急激にトルクが変化する。しかしながら、上述の従来技術では、急激に反対方向に大きなトルクを与えたときに、一旦トルク値が0になる瞬間にバイパス弁が瞬時に連通する程度である。また、トルク検出値に対するバイパス弁指令出力にタイムラグがある場合はバイパス弁は遮断したままとなり、左右シリンダ間の圧力の移動は妨げられ、操舵フィーリングが悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、電動モータを駆動し、ポンプを回転させることで操舵アシストを行う際、ステアリングの切り戻し時にステアリングの戻りが悪化することなく、安定したアシスト力を得ることが可能なパワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため請求項1記載の発明では、パワーステアリング装置において切り戻し判断手段を設け、切り戻し判断時から所定時間バイパス弁を左右連通状態とすることとした。すなわち、従来技術にあっては、トルク値が反転し、大きなトルクが入力されると、バイパス弁を閉じてしまい、十分に差圧を解消する時間を確保できなかった。これに対し、本願発明では、所定時間は確実に開弁する時間を確保することができる。よって、操舵フィーリングの悪化を招くことなく安定した操舵アシスト制御を達成することができる。
【0008】
また、ポンプを電動モータの回転方向により吐出方向を切り換える可逆式ポンプとした場合、実際にパワーシリンダ室の油圧の関係を反転させるには応答遅れが発生する虞がある。これに対し、本願発明では、ポンプの吐出方向の切換を待つことなく、高油圧側のパワーシリンダ室の油圧を減圧することが可能となり、油圧の応答遅れを補償することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。まず、構成について説明すると、1はステアリングホイール、2はステアリングシャフト、3はラックアンドピニオン式ギア機構、5は運転者の操舵力をアシストするパワーステアリング機構、6は電動モータ6aにより駆動する外接ギア型のオイルポンプ、7は操舵輪、8は運転者にステアリング系に故障が発生したことを報知するウォーニングランプ、10はステアリングコントロールユニットである。
【0010】
パワーステアリング機構5の油圧源であるオイルポンプ6は、パワーシリンダ5aの第1シリンダ室51及び第2シリンダ室52を連通する油圧管61に設けられている。運転者がステアリングホイール1を操作すると、操作方向に応じて電動モータ6aの回転方向が切り換えられ、第1シリンダ室51と第2シリンダ室52との間の油を給排することで運転者の操舵力をアシストする。具体的には、図中ステアリング1を右に操舵すると、第2シリンダ室52から第1シリンダ室51に油圧が供給される方向に電動モータ6aが駆動することでラック軸54と一体に移動するピストン53を第2シリンダ室側にアシストする。
【0011】
油圧管61には、第1シリンダ室51と第2シリンダ室52とを、オイルポンプ6を介すことなく連通するバイパス回路62が設けられている。このバイパス回路62上には、コントロールユニット10からの指令信号に基づいて作動する電子制御式のフェールセーフバルブ4が設けられている。
【0012】
このフェールセーフバルブ4は、コントロールユニット10からの指令信号により電圧が供給されると閉じた状態となり、電圧の供給がない状態では開いた状態となるノーマルオープン弁を用いている。これにより、ステアリング系に何らかの以上が発生し、電源の供給をシャットダウンした場合であっても、第1シリンダ室51と第2シリンダ室52を連通状態とすることが可能となり、アシストトルク無しの通常の操舵を確保することができる。
【0013】
また、ステアリングシャフト2には、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ12が設けられている。
【0014】
コントロールユニット10には、トルクセンサ12からの操舵トルク信号、イグニッションスイッチ13からのIGN信号、エンジン回転数センサ14からのエンジン回転数信号、車速センサ15からの車速信号が入力される。これら入力された信号に基づいて、オイルポンプ6の電動モータ6a、フェールセーフバルブ4及びウォーニングランプ8へ指令信号を出力する。
【0015】
図2はコントロールユニット10内の構成を表すブロック図である。101は電源回路であり、バッテリ11からの電圧信号、及びイグニッションスイッチ13からのIGN信号が入力され、メインマイコン107と信号を送受信する。
【0016】
102はエンジン回転数処理回路であり、エンジン回転数センサ14からのエンジン回転数信号をメインマイコン107へ出力する。103はトルクセンサ処理回路であり、トルクセンサ12からのトルク信号をメインマイコン107に出力すると共に、サブマイコン108へ出力する。104は車速信号処理回路であり、車速センサ15からの車速信号をメインマイコン107へ出力する。105は診断回路であり、コネクタ16を介して入力される診断信号をメインマイコンに出力する。106はCAN通信回路であり、車両系CANによって送信される信号をメインマイコン107に出力する。
【0017】
108はサブマイコンであり、メインマイコン107を監視する。メインマイコン107にフェールが発生したときは、フェールセーフリレー109,フェールセーフバルブ駆動回路116及びウォーニングランプ駆動回路117へ制御信号を出力可能に構成されている。
【0018】
109はフェールセーフリレーであり、何らかのフェールが発生したときは、モータ駆動用の電源供給を遮断する。110はEEPROMであり、制御に必要な各種データを格納すると共に、データを更新可能な構成となっている。111はフェールセーフリレー診断入力回路であり、フェールセーフリレー109の作動診断信号をメインマイコン107へ出力する。112はモータ駆動回路であり、メインマイコン107からの指令信号に基づいて電動モータ6aへ電圧を供給する。113は電流モニタ回路であり、電動モータ6aの電流値を検出し、メインマイコン107へ出力する。114はモータ端子電圧回路であり、電動モータ6aの端子電圧をメインマイコン107へ出力する。
【0019】
115はモータ回転信号処理回路であり、電動モータ6aの回転数をメインマイコン107へ出力する。116はフェールセーフバルブ駆動回路であり、メインマイコン107もしくはサブマイコン108からの指令信号に基づいて、フェールセーフバルブ4に対し駆動信号を出力する。117はウォーニングランプ駆動回路であり、メインマイコン107もしくはサブマイコン108からの指令信号に基づいて、ウォーニングランプ8に対し指令信号を出力する。
【0020】
図3は実施の形態1におけるポンプユニットの構成を表す概略図である。まず構成について説明すると、61a,61b,61c,61dは各シリンダ室51とオイルポンプ6を接続する油圧管である。62a,62a’,62b,62b’は油圧管61b,61cを連通するバイパス油路である。202a,202b,205はオイルポンプ6へ油を供給すると共に、ドレンされた油を貯留するリザーバタンクである。201a,201bはオイルポンプ6により油圧が発生したときは閉じ、負圧が生じたときは開放するチェック弁である。
【0021】
203はリターンチェック弁であり、詳細については後述する。204はドレンされた油をリザーバタンク205に供給するチェック弁、63はリターンチェック弁203とリザーバタンク205とチェック弁204を介して接続するドレン油路である。
【0022】
ここで、リターンチェック弁203について説明する。リターンチェック弁203は、第1リターンチェック弁203aと、第2リターンチェック弁204aと、スプールバルブ210と、スプールバルブ210を中央に付勢するリターンスプリング206a,206bから構成されている。
【0023】
第1リターンチェック弁203aには、油圧管61a,61bとの接続ポートを有する第1油圧室207aと、ドレン油路63とバイパス油路62a’との接続ポートを有する第1ピストン室208aが設けられている。同様に、第2リターンチェック弁203bには、油圧管61c,61dとの接続ポートを有する第2油圧室207bと、ドレン油路63とバイパス油路62b’との接続ポートを有する第2ピストン室208bが設けられている。
【0024】
スプールバルブ210には、リターンスプリング206aによる付勢力と、第1油圧室207aの油圧と、第1ピストン室208aの油圧により図中右側の付勢力が作用する。一方、反対側(図中左側)の付勢力として、リターンスプリング207aによる付勢力と、第2油圧室207bの油圧と、第2ピストン室208bの油圧が作用する。これによりスプールバルブ210の位置が決定される。
【0025】
スプールバルブ210には、リターンスプリング206aによる付勢力と、第1油圧室207aの油圧と、第1ピストン室208aの油圧により図中右側の付勢力が作用する。一方、反対側(図中左側)の付勢力として、リターンスプリング207aによる付勢力と、第2油圧室207bの油圧と、第2ピストン室208bの油圧が作用する。これによりスプールバルブ210の位置が決定される。
【0026】
図4は通常のトルクアシスト制御時における油の流れを表す図、図5はリターンチェック弁の動きを表す動作説明図である。尚、図4中、太実線は高油圧を示し、太点線は低油圧を示す。
【0027】
(中立位置からの操舵時)
第1シリンダ室51の油圧と第2シリンダ室52の油圧が共に釣り合った位置からの操舵時について説明する。操舵開始時において、第1シリンダ室51の油圧と第2シリンダ室52の油圧は釣り合った状態である。運転者の操舵により、ラック軸52を図中右側にアシストするときは、オイルポンプ6を駆動し、第2シリンダ室52へ油圧を供給する。すると、油圧管61c及び油圧管61dが高油圧となる。
【0028】
この高油圧は、バイパス油路62b及び62d’にも供給され、第2ピストン室208bが高油圧となる。このとき、フェールセーフバルブ4は閉じられているため、図5(b)に示すように、第1ピストン室208aと第2ピストン室208b、及び第1油圧室207aと第2油圧室207bに差圧が生じ、スプールバルブ210を図5中左側に移動する。これにより、バイパス油路62a’とドレン油路63が連通され、第1シリンダ室51は大気解放された低油圧となる。この差圧を用いてトルクアシスト操舵を実行する。
【0029】
(トルク符号反転時における切り戻し時フェールセーフバルブ制御処理)
【0030】
次に、切り戻しを判断する手段をトルクセンサからの信号の符号が反転した時点とし、切り戻しと判断された時点から所定時間フェールセーフバルブを左右連通状態させる場合について説明する。図6はトルク符号反転による切り戻し判断を表すフローチャートである。尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0031】
ステップ301では、戻し判断フラグFmが戻し判断中であることを表す1になっているかどうかを判断し、0のときはステップ302へ、1のときはステップ303へ進む。
【0032】
ステップ302では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号に一致するかどうかを判断する。一致する場合は、ステップ307に進む。一致しない場合は、ステップ303に進む。
【0033】
ステップ303では、戻り時間タイマTが設定時間よりも長いかどうかを判断する。設定時間より長い場合は戻し判断中と判断し、ステップ304で戻し判断フラグFmを0にセットし、ステップ309に進む。設定時間より短い場合にはステップ305に進む。
【0034】
ステップ305では、戻し判断フラグFmを0にセットし、ステップ306に進む。
【0035】
ステップ306では、戻り時間タイマTをカウントアップし、ステップ309に進む。
【0036】
ステップ307では、非戻し時判断を行い、ステップ308に進む。
【0037】
ステップ308では、通常制御状態にセットされ、ステップ309に進む。
【0038】
ステップ309では、戻し判断フラグFmが1であるか確認を行い、1のときはステップ311に、1でないときはステップ310に進む。
【0039】
ステップ310では、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットして、本制御フローを終了する。
【0040】
ステップ311では、フェールセーフバルブ4の駆動をOFF(開く)にセットして、本制御フローを終了する。
【0041】
上述のフローチャートについて、図7のタイムチャートに基づいて説明する。まず、左から右にステアリングを切った場合について説明する。時間Taにおいて、トルクセンサの出力の増大に伴い左側シリンダ圧も上昇する。時間Taから時間Tbの間は戻し判断中でないので、ステップ302に進む。ステップ302では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号と異なるかどうかを判断する。トルク今回値の符号がトルク前回値の符号と異なるときとは、運転者が意図して反転方向に切り返しを行うことを表している。時間Tbで符合が反転するので、ステップ303へ進む。
【0042】
時間Tbにおいて、トルクの符号反転に伴い、ステップ305において、戻し判断フラグFmが1にセットされる。次に、ステップ306に進み、戻し時間タイマTのカウントアップを開始する。時間Tbから時間Tcにかけて、戻り時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、ステップ311にあるようにフェールセーフバルブ駆動をOFFとし、フェールセーフバルブを開く。これにより、左右シリンダ室51,52の差圧を一気に減少方向に向かわせることができる。
【0043】
時間Tcにおいて、戻し時間タイマTのカウント値がTRを上回るため、ステップ303→ステップ304へと進み、戻し判断フラグFmを0にセットすると共に、本制御を終了する。
【0044】
時間Tdのときは、戻し判断制御を行っていないため、ステップ309で戻し判断フラグFmが1でないと判断し、ステップ310に進む。ステップ310でフェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にして、本制御を終了する。
【0045】
時刻Teにおいて、運転者の操舵によりステアリングが左から右に切ると、トルク符号が再度反転し、再度、切り戻し時フェールセーフバルブ制御が実行される。尚、このようにステアリングを右から左に切った場合でも、基本的な構成は上述の左から右に切った場合と同じであるため、説明を省略する。
【0046】
以上説明したように、本第1実施例においては、トルク信号の符号の反転のみという少ない条件で切り戻し判断が可能である。この切り戻し判断によって、フェールセーフバルブ4を所定時間開くことで、素早く左右シリンダ室の差圧を解消することが可能となり、運転者の操舵意図に対する応答性の向上を図ることができる。
【0047】
(第2実施例)
【0048】
次に、第2実施例について説明する。基本的な構成は第1実施例と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
図8はトルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による戻し判断を表すフローチャートである。ステップ301、ステップ303〜ステップ311は第1実施例と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0050】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
【0051】
〔トルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による戻し判断〕
【0052】
ステップ401では、トルクセンサ信号の絶対値が所定値Aを上回るかどうかを判断する。上回る場合はステップ402へ、所定値以下の場合はステップ403へ進む。
【0053】
ステップ402では、戻り時間タイマTcのカウントアップを行う。
【0054】
ステップ403では、戻り時間タイマTcをリセットする。
【0055】
ステップ404では、トルクの変化量がしきい値より大きく、トルクセンサ信号の絶対値が0付近の値を所定時間以上継続するかどうかを判断する。
【0056】
上記内容を図9のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taで、トルク信号の値が増大し、それに伴いトルク変化量も上昇する。時間Ta経過後、トルク信号の絶対値が所定値Aを越えると、ステップ402において、トルク値カウンタTcのカウントアップが開始される。
【0057】
時間Tbでは、戻し判断制御を行っていないので、ステップ301の戻し判断フラグFmは1ではないと判断し、ステップ401に進む。尚、時刻Tbにおいて、トルク値カウンタTcのカウンタ値が所定時間T0を越えるため、カウントアップを終了し、ステップ404へと進む。
【0058】
時間Tcにおいて、運転者が手を離してステアリングが戻る。すると、トルク信号出力が急激に減少して0付近の値になるのに伴い、トルク変化量も急増して、しきい値Bを超えた段階で戻し判断をスタートする。時間Tcから時間Tdにかけて、戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ304に進む。ステップ304で戻し判断フラグFm=0にセットし、ステップ309に進む。ステップ309で、戻し判断フラグは1でないので、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットし、本制御を終了する。
【0059】
以上説明したように、第2実施例では、切り戻し判断手段に、所定トルク値Aを所定時間継続、トルク信号値が0付近、かつ、所定のトルク変化量B以上の変化を伴うときを、切り戻しと判断する。これにより、運転者が切り返し動作に入る前、もしくは、手を離した瞬間から切り戻し時と判断することが可能となり、より応答性良く切り戻しに対応することができる。
【0060】
また、所定トルク値Aを所定時間継続を判定条件としているため、十分にパワーシリンダ室51,52の差圧が発生している状態かどうかを検出することができる。よって、差圧が小さいときには無用に所定時間フェールセーフバルブ4が開くことを防止することが可能となり、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
【0061】
(第3実施例)
【0062】
次に、第3実施例について説明する。基本的な構成は第1実施例と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
【0063】
図10はシリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる切り戻し判断を表すフローチャートである。ステップ301、ステップ303〜ステップ312は第1実施例と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0064】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
〔シリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる戻し判断〕
【0065】
ステップ405では、シリンダ差圧の変化量が0より小さく、かつ、シリンダ差圧変化量がしきい値より大きいかどうかを判断する。この条件を満たすときはステップ303へ、条件を満たさないときは、ステップ307へ進む。
【0066】
上記内容を図11のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taでトルク信号の増大に伴うシリンダ差圧の増加により、差圧変化量はピークになる。
【0067】
時間Tbでトルク信号の安定に伴いシリンダ差圧も安定すると、差圧変化量は0に近づくが、この段階ではまだ戻し判断制御を行っていないので、ステップ301の戻し判断フラグFmは1ではないと判断し、ステップ402に進む。
【0068】
時間Tcで差圧変化量は0を下回り、しきい値を超えるため、戻し判断をスタートする。時間Tcから時間Tdにかけて戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ304に進む。ステップ304で戻し判断フラグFm=0にセットし、ステップ309に進む。ステップ309で、戻し判断フラグは1でないので、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットし、本制御フローを終了する。
【0069】
第3実施例では、シリンダ差圧の変化量がしきい値を下回るときに戻し判断をスタートさせてフェールセーフバルブ4を開くことで、運転者のステアリング操舵意図を素早く検知することが可能となり、これに伴い、素早くシリンダ差圧を解消させることができる。
【0070】
(第4実施例)
次に、第4実施例について説明する。
図12は、トルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下であることを切り戻し判断手段とする場合のフローチャートである。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0071】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
〔トルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下であることによる戻し判断〕
【0072】
ステップ501では、反転フラグが1であるかどうかを判断し、0のときはステップ502に、1のときはステップ505に進む。
【0073】
ステップ502では、戻し判断フラグFmが1になっているかどうかを判断し、0のときはステップ503へ、1のときはステップ507へ進む。
【0074】
ステップ503では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号に一致するかどうかを判断する。一致する場合は、ステップ511に進む。一致しない場合は、ステップ504に進む。
【0075】
ステップ504では、反転フラグを1にセットし、ステップ505へ進む。
【0076】
ステップ505では、モータ回転数が所定値以下かどうかを判断する。所定値以下のときはステップ506へ、所定値を上回るときはステップ511へ進む。
【0077】
ステップ506では、反転フラグを0にセットし、ステップ507へ進む。
【0078】
ステップ507では、戻り時間タイマTが所定時間TRを上回るかどうかの判断を行う。上回る場合はステップ508へ、下回るときはステップ509へ進む。
【0079】
ステップ508では、戻し判断フラグFmを0にセットし、ステップ513に進む。
【0080】
ステップ509では、戻し判断フラグFmを1にセットし、ステップ510へ進む。
【0081】
ステップ510では、戻り時間タイマTのカウントアップを行い、ステップ513へ進む。
【0082】
ステップ511では、非戻し時判断を行い、ステップ512へ進む。
【0083】
ステップ512では、通常制御状態とし、ステップ513へ進む。
【0084】
ステップ513では、戻し判断フラグFmが1かどうかを判断し、0のときはステップ514へ、1のときはステップ515へ進む。
【0085】
ステップ514では、フェールセーフバルブ駆動をON(閉じる)にし、本制御フローを終了する。
【0086】
ステップ515では、フェールセーフバルブ駆動をOFF(開く)にし、ステップ516へ進む。
【0087】
ステップ516では、戻り時間タイマTのカウントアップを行い、本制御フローを終了する。
【0088】
上記内容を図13のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taにおいて、トルク信号の増大に伴うモータ回転数の増加により、シリンダ圧力も上昇する。このとき、反転フラグは1でないので、ステップ502へ進む。
【0089】
時間Tbでは、トルク信号の安定によりモータ回転数も安定しており、この段階ではまだ戻し判断制御を行っていないので、ステップ502の戻し判断フラグFmは1ではないと判断し、ステップ503に進む。
【0090】
時間Tcでは、トルク信号が反転し、モータ回転数も下降するため、ステップ504で反転フラグを1にセットし、ステップ505へ進む。
【0091】
時間Tdでは、モータ回転数が所定値を下回るので、ステップ506で反転フラグを0にセットし、戻し判断をスタートしてステップ507へ進む。
【0092】
時間Tdから時間Teにかけて差圧変化量はしきい値を超え、戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ508に進む。ステップ508で戻し判断フラグFm=0にセットし、ステップ513に進む。ステップ513で、戻し判断フラグは1でないので、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットし、本制御フローを終了する。
【0093】
以上説明したように、第4実施例では、モータ回転数が0付近のしきい値を下回るまで低下してから戻し判断を行うこととした。すなわち、運転者の操舵トルクが反転すると、この操舵トルクに応じて電動モータ6への指令電圧も切り換えられる。このとき、電動モータ6の回転数は徐々に低下し、0に低下した後、反転を開始する。よって、電動モータ6の回転数を素早く低下させる必要がある。そこで、操舵トルクが反転したとしても、電動モータ6の回転数が低下するまでの間、フェールセーフバルブ4を閉じたままにし、ポンプ負荷を確保することでモータ回転数を素早く低下させ、その後にフェールセーフバルブ4を開くことで、高圧側の油圧を素早く減圧しつつ、電動モータ6の回転数を反転させるタイミングを早めることが可能となり、素早く差圧を解消することができる。
【0094】
(第5実施例)
【0095】
次に、第5実施例について説明する。基本的な構成は第3実施例と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
図14は、舵角速度信号負のとき舵角速度の大きさに応じ戻り制御信号を作成して、その信号に応じて駆動デューティ比を可変させることを戻し判断とする場合のフローチャートである。ステップ301〜ステップ309、ステップ310、ステップ312は第3実施例と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0096】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
【0097】
〔舵角速度信号負のとき舵角速度の大きさに応じ戻り信号作成し、その信号に応じ駆動デューティ比を可変することによる戻し判断〕
【0098】
ステップ406では、舵角速度信号<0であるかどうかを確認し、YESの場合はステップ407へ進み、NOの場合はステップ307へ進む。
【0099】
ステップ407では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号と違うかどうかを確認する。違う場合は、ステップ303へ進み、同じ場合はステップ307へ進む。
【0100】
ステップ408では、戻り信号M=k・│dδ/dt│にセットし、ステップ409へ進む。
【0101】
ステップ409では、舵角速度の大きさに応じ戻り制御信号を作成して、その信号に応じて駆動デューティ比を可変させる。
【0102】
上記内容を図15のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taにおいて、舵角を右に切ると舵角速度信号は増大し、シリンダ差圧も上昇する。時間Tbにおいて、舵角が安定し舵角速度信号は0に近づく。
【0103】
時間Tcにおいて、舵角が0に近づき始め、舵角速度信号が負の値になると、ステップ407に進み、トルクの符号も反転を確認する。
【0104】
時間Tdにおいて、トルク信号が反転しているので、ステップ303に進み、戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。
【0105】
時間Teにおいて、この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ304に進み、戻し制御フラグFmを0にセットしてステップ309に進む。ステップ309で、戻し判断フラグは1であるので、ステップ408で戻り信号Mをセットし、ステップ409で舵角速度の大きさに応じ戻り制御信号を作成して、その信号に応じて駆動デューティ比を可変させ、本制御フローを終了する。
【0106】
以上説明したように、第5実施例にあっては、戻し判断が行われたときは、運転者の操舵速度に応じた戻し信号を作成することで、操舵状況に応じたフェールセーフバルブ制御を達成することが可能となり、更に安定した操舵制御を達成することができる。
【0107】
(第6実施例)
【0108】
次に、第6実施例について説明する。
図16は、シリンダ間連通路に設けた、切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とするフローチャートである。尚、戻り信号は、操舵角、操舵速度、操舵トルク、シリンダ圧力、シリンダストローク、モータ回転の推定値により演算したものを用いる。
【0109】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
〔シリンダ間連通路に設けた切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とする戻し判断〕
【0110】
ステップ601では、複数のパラメータ(操舵角、操舵速度、操舵トルク、シリンダ圧力、シリンダストローク、モータ回転)の読み込みを行い、ステップ602に進む。
【0111】
ステップ602では、戻り制御信号の演算を行い、ステップ603に進む。
【0112】
ステップ603では、フェールセーフバルブ4の駆動デューティ演算を行い、本制御を終了する。
【0113】
上記内容を、図17のタイムチャートを用いて説明する。
時間TaからTbにかけて、上昇した舵角は一定の値を取っている。
時間Tbで、舵角は小さくなり操舵トルクが下降し始める。このとき、複数のパラメータ(操舵角、操舵速度、操舵トルク、シリンダ圧力、シリンダストローク、モータ回転)を読込み、戻り制御信号の演算を開始する。戻り信号の出力の上昇に従い、フェールセーフバルブ4の駆動デューティ演算をPWM駆動により行い、本制御を終了する。
【0114】
以上説明したように、第6実施例では、他の実施例と異なり、フェールセーフバルブ駆動信号を複数のパラメータの推定値から演算して決定することで、更に操舵状況に応じたフェールセーフバルブ制御を達成することができる。
【0115】
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0116】
(イ)請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
パワーシリンダ室間の差圧を検出する差圧検出手段を設け、
前記切り戻し判断手段を、検出された差圧の変化量が差圧減少方向で、かつ、所定値以上の変化量のときは、切り戻しと判断する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0117】
すなわち、シリンダ差圧の変化量が所定値以上のときとは、一旦発生した差圧を運転者の意図により一気に減少させようとしているときである。このとき、戻し判断をスタートさせてフェールセーフバルブ4を開くことで、運転者のステアリング操舵意図をいち早く検知することが可能であり、素早くシリンダ差圧を解消させることができる。
【0118】
(ロ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵トルク検出手段を、運転者の操舵トルクが入力されていない状態を0とし、運転者の左右への操舵トルクを+信号及び−信号として出力する手段とし、
前記電動モータの回転数を検出するモータ回転数検出手段を設け、
前記切り戻し判断手段を、トルクセンサ信号の符号反転後、検出されたモータ回転数が0付近の所定値以下のときを切り戻しと判断する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0119】
すなわち、操舵トルクが反転したとしても、電動モータ6の回転数が低下するまでの間、フェールセーフバルブ4を閉じたままにし、ポンプ負荷を確保することでモータ回転数を素早く低下させ、その後にフェールセーフバルブ4を開くことで、高圧側の油圧を素早く減圧しつつ、電動モータ6の回転方向を反転させるタイミングを早めることが可能となり、素早く差圧を解消することができる。
【0120】
(ハ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵トルク検出手段を、運転者の操舵トルクが入力されていない状態を0とし、運転者の左右への操舵トルクを+信号及び−信号として出力する手段とし、
舵角が中立から離れる方向を正、中立に戻る方向を負として舵角速度を検出する舵角速度検出手段と、
検出された舵角速度に応じて前記バイパス弁への指令信号である戻り信号を作成する戻り信号作成手段と、
を設け、
前記バイパス弁を、デューティ比により制御可能なデューティソレノイド弁とし、
前記切り戻し判断手段を、検出された舵角速度が負であって、かつ、トルクセンサ信号の符号が反転したときは、切り戻しと判断する手段とし、
前記ステアリング操舵制御手段は、作成された戻り制御信号に応じて可変とした駆動デューティ比を前記バイパス弁に出力する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0121】
すなわち、運転者の操舵速度に応じた戻し信号を作成することで、操舵状況に応じたステアリング操舵制御を達成することが可能となり、更に安定した操舵制御を達成することができる。
【0122】
(ニ) 請求項1及び2及び3及び前記(イ)、(ロ)に記載のパワーステアリング装置において、
検出された操舵トルク、舵角、舵角速度、パワーシリンダ差圧、シリンダストローク、モータ回転数、又はこれらの推定値の少なくとも一つに基づいて前記バイパス弁への指令信号である戻り信号を作成する戻り信号作成手段を設け、
前記バイパス弁を、デューティ比により制御可能なデューティソレノイド弁とし、
前記ステアリング操舵制御手段は、作成された戻り制御信号に応じて可変とした駆動デューティ比を前記バイパス弁に出力する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0123】
すなわち、バイパス弁の駆動信号を複数の検出値もしくは推定値に応じて演算することで、更に操舵状況に応じたステアリング操舵制御を達成することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるパワーステアリング装置の全体構成を表す概略図である。
【図2】実施の形態1における液圧戻し制御の制御内容を表すフローチャートである。
【図3】実施の形態1におけるポンプユニットの構成を表す概略図である。
【図4】実施の形態1における切り戻し判断時から所定時間連通させる場合のポンプユニットにおける油の流れを示す概略図である。
【図5】実施の形態1におけるリターンチェック弁の作動を表す概略図である。
【図6】実施の形態1におけるトルク符号反転による切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1におけるトルク符号反転による切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図8】実施の形態2におけるトルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2におけるトルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図10】実施の形態3におけるシリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態3におけるシリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図12】実施の形態4におけるトルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下にあることによる切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態4におけるトルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下にあることによる切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図14】実施の形態5における舵角速度信号負の時舵角速度の大きさに応じ戻り信号を作成し、信号に応じ駆動デューティ比を可変することによる切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態5における舵角速度信号負の時舵角速度の大きさに応じ戻り信号を作成し、信号に応じ駆動デューティ比を可変することによる切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図16】実施の形態6におけるシリンダ間連通路に設けた、切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とするフローチャートである。
【図17】実施の形態6におけるシリンダ間連通路に設けた、切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とするタイムチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ギア機構
4 フェールセーフバルブ
5 パワーステアリング機構
5a パワーシリンダ
6 オイルポンプ
6a 電動モータ
7 操舵輪
8 ウォーニングランプ
10 コントロールユニット(SBWCU)
11 バッテリ
12 操舵角センサ
13 イグニッションスイッチ
14 エンジン回転数センサ
15 車速センサ
51,52 パワーシリンダ室
61a,b,c,d 油圧管
62a,a’,b,b’ バイパス油路
201a,b チェック弁
202a,b リザーブタンク
203a,b リターンチェック弁
204 チェック弁
205 リザーブタンク
206 リターンスプリング
207 油圧室
208 ピストン室
210 スプールバルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータでポンプを駆動することで操舵アシストするパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パワーステアリング装置にあっては、操舵トルクを検出するトルクセンサの出力に基づき電動モータを駆動してオイルポンプを駆動し、ピストンで区切られたパワーシリンダの2室の一方の室の油圧を高めることで操舵アシストする技術が知られている。ここで、2室のパワーシリンダ室を連通するバイパス回路と、このバイパス回路の連通・非連通状態を切換可能なバイパス弁を設けた技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
この技術では、ステアリングに入力されるトルクが小さいときは、バイパス弁を連通状態とし、左右のパワーシリンダ室の差圧を解消することで、運転者の操舵によるマニュアル操舵を可能としている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−290779号公報(図3参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方向へトルクの大きい操舵を行っている途中に、急激に反対方向の切り返しを行うと急激にトルクが変化する。しかしながら、上述の従来技術では、急激に反対方向に大きなトルクを与えたときに、一旦トルク値が0になる瞬間にバイパス弁が瞬時に連通する程度である。また、トルク検出値に対するバイパス弁指令出力にタイムラグがある場合はバイパス弁は遮断したままとなり、左右シリンダ間の圧力の移動は妨げられ、操舵フィーリングが悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、電動モータを駆動し、ポンプを回転させることで操舵アシストを行う際、ステアリングの切り戻し時にステアリングの戻りが悪化することなく、安定したアシスト力を得ることが可能なパワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため請求項1記載の発明では、パワーステアリング装置において切り戻し判断手段を設け、切り戻し判断時から所定時間バイパス弁を左右連通状態とすることとした。すなわち、従来技術にあっては、トルク値が反転し、大きなトルクが入力されると、バイパス弁を閉じてしまい、十分に差圧を解消する時間を確保できなかった。これに対し、本願発明では、所定時間は確実に開弁する時間を確保することができる。よって、操舵フィーリングの悪化を招くことなく安定した操舵アシスト制御を達成することができる。
【0008】
また、ポンプを電動モータの回転方向により吐出方向を切り換える可逆式ポンプとした場合、実際にパワーシリンダ室の油圧の関係を反転させるには応答遅れが発生する虞がある。これに対し、本願発明では、ポンプの吐出方向の切換を待つことなく、高油圧側のパワーシリンダ室の油圧を減圧することが可能となり、油圧の応答遅れを補償することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。まず、構成について説明すると、1はステアリングホイール、2はステアリングシャフト、3はラックアンドピニオン式ギア機構、5は運転者の操舵力をアシストするパワーステアリング機構、6は電動モータ6aにより駆動する外接ギア型のオイルポンプ、7は操舵輪、8は運転者にステアリング系に故障が発生したことを報知するウォーニングランプ、10はステアリングコントロールユニットである。
【0010】
パワーステアリング機構5の油圧源であるオイルポンプ6は、パワーシリンダ5aの第1シリンダ室51及び第2シリンダ室52を連通する油圧管61に設けられている。運転者がステアリングホイール1を操作すると、操作方向に応じて電動モータ6aの回転方向が切り換えられ、第1シリンダ室51と第2シリンダ室52との間の油を給排することで運転者の操舵力をアシストする。具体的には、図中ステアリング1を右に操舵すると、第2シリンダ室52から第1シリンダ室51に油圧が供給される方向に電動モータ6aが駆動することでラック軸54と一体に移動するピストン53を第2シリンダ室側にアシストする。
【0011】
油圧管61には、第1シリンダ室51と第2シリンダ室52とを、オイルポンプ6を介すことなく連通するバイパス回路62が設けられている。このバイパス回路62上には、コントロールユニット10からの指令信号に基づいて作動する電子制御式のフェールセーフバルブ4が設けられている。
【0012】
このフェールセーフバルブ4は、コントロールユニット10からの指令信号により電圧が供給されると閉じた状態となり、電圧の供給がない状態では開いた状態となるノーマルオープン弁を用いている。これにより、ステアリング系に何らかの以上が発生し、電源の供給をシャットダウンした場合であっても、第1シリンダ室51と第2シリンダ室52を連通状態とすることが可能となり、アシストトルク無しの通常の操舵を確保することができる。
【0013】
また、ステアリングシャフト2には、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ12が設けられている。
【0014】
コントロールユニット10には、トルクセンサ12からの操舵トルク信号、イグニッションスイッチ13からのIGN信号、エンジン回転数センサ14からのエンジン回転数信号、車速センサ15からの車速信号が入力される。これら入力された信号に基づいて、オイルポンプ6の電動モータ6a、フェールセーフバルブ4及びウォーニングランプ8へ指令信号を出力する。
【0015】
図2はコントロールユニット10内の構成を表すブロック図である。101は電源回路であり、バッテリ11からの電圧信号、及びイグニッションスイッチ13からのIGN信号が入力され、メインマイコン107と信号を送受信する。
【0016】
102はエンジン回転数処理回路であり、エンジン回転数センサ14からのエンジン回転数信号をメインマイコン107へ出力する。103はトルクセンサ処理回路であり、トルクセンサ12からのトルク信号をメインマイコン107に出力すると共に、サブマイコン108へ出力する。104は車速信号処理回路であり、車速センサ15からの車速信号をメインマイコン107へ出力する。105は診断回路であり、コネクタ16を介して入力される診断信号をメインマイコンに出力する。106はCAN通信回路であり、車両系CANによって送信される信号をメインマイコン107に出力する。
【0017】
108はサブマイコンであり、メインマイコン107を監視する。メインマイコン107にフェールが発生したときは、フェールセーフリレー109,フェールセーフバルブ駆動回路116及びウォーニングランプ駆動回路117へ制御信号を出力可能に構成されている。
【0018】
109はフェールセーフリレーであり、何らかのフェールが発生したときは、モータ駆動用の電源供給を遮断する。110はEEPROMであり、制御に必要な各種データを格納すると共に、データを更新可能な構成となっている。111はフェールセーフリレー診断入力回路であり、フェールセーフリレー109の作動診断信号をメインマイコン107へ出力する。112はモータ駆動回路であり、メインマイコン107からの指令信号に基づいて電動モータ6aへ電圧を供給する。113は電流モニタ回路であり、電動モータ6aの電流値を検出し、メインマイコン107へ出力する。114はモータ端子電圧回路であり、電動モータ6aの端子電圧をメインマイコン107へ出力する。
【0019】
115はモータ回転信号処理回路であり、電動モータ6aの回転数をメインマイコン107へ出力する。116はフェールセーフバルブ駆動回路であり、メインマイコン107もしくはサブマイコン108からの指令信号に基づいて、フェールセーフバルブ4に対し駆動信号を出力する。117はウォーニングランプ駆動回路であり、メインマイコン107もしくはサブマイコン108からの指令信号に基づいて、ウォーニングランプ8に対し指令信号を出力する。
【0020】
図3は実施の形態1におけるポンプユニットの構成を表す概略図である。まず構成について説明すると、61a,61b,61c,61dは各シリンダ室51とオイルポンプ6を接続する油圧管である。62a,62a’,62b,62b’は油圧管61b,61cを連通するバイパス油路である。202a,202b,205はオイルポンプ6へ油を供給すると共に、ドレンされた油を貯留するリザーバタンクである。201a,201bはオイルポンプ6により油圧が発生したときは閉じ、負圧が生じたときは開放するチェック弁である。
【0021】
203はリターンチェック弁であり、詳細については後述する。204はドレンされた油をリザーバタンク205に供給するチェック弁、63はリターンチェック弁203とリザーバタンク205とチェック弁204を介して接続するドレン油路である。
【0022】
ここで、リターンチェック弁203について説明する。リターンチェック弁203は、第1リターンチェック弁203aと、第2リターンチェック弁204aと、スプールバルブ210と、スプールバルブ210を中央に付勢するリターンスプリング206a,206bから構成されている。
【0023】
第1リターンチェック弁203aには、油圧管61a,61bとの接続ポートを有する第1油圧室207aと、ドレン油路63とバイパス油路62a’との接続ポートを有する第1ピストン室208aが設けられている。同様に、第2リターンチェック弁203bには、油圧管61c,61dとの接続ポートを有する第2油圧室207bと、ドレン油路63とバイパス油路62b’との接続ポートを有する第2ピストン室208bが設けられている。
【0024】
スプールバルブ210には、リターンスプリング206aによる付勢力と、第1油圧室207aの油圧と、第1ピストン室208aの油圧により図中右側の付勢力が作用する。一方、反対側(図中左側)の付勢力として、リターンスプリング207aによる付勢力と、第2油圧室207bの油圧と、第2ピストン室208bの油圧が作用する。これによりスプールバルブ210の位置が決定される。
【0025】
スプールバルブ210には、リターンスプリング206aによる付勢力と、第1油圧室207aの油圧と、第1ピストン室208aの油圧により図中右側の付勢力が作用する。一方、反対側(図中左側)の付勢力として、リターンスプリング207aによる付勢力と、第2油圧室207bの油圧と、第2ピストン室208bの油圧が作用する。これによりスプールバルブ210の位置が決定される。
【0026】
図4は通常のトルクアシスト制御時における油の流れを表す図、図5はリターンチェック弁の動きを表す動作説明図である。尚、図4中、太実線は高油圧を示し、太点線は低油圧を示す。
【0027】
(中立位置からの操舵時)
第1シリンダ室51の油圧と第2シリンダ室52の油圧が共に釣り合った位置からの操舵時について説明する。操舵開始時において、第1シリンダ室51の油圧と第2シリンダ室52の油圧は釣り合った状態である。運転者の操舵により、ラック軸52を図中右側にアシストするときは、オイルポンプ6を駆動し、第2シリンダ室52へ油圧を供給する。すると、油圧管61c及び油圧管61dが高油圧となる。
【0028】
この高油圧は、バイパス油路62b及び62d’にも供給され、第2ピストン室208bが高油圧となる。このとき、フェールセーフバルブ4は閉じられているため、図5(b)に示すように、第1ピストン室208aと第2ピストン室208b、及び第1油圧室207aと第2油圧室207bに差圧が生じ、スプールバルブ210を図5中左側に移動する。これにより、バイパス油路62a’とドレン油路63が連通され、第1シリンダ室51は大気解放された低油圧となる。この差圧を用いてトルクアシスト操舵を実行する。
【0029】
(トルク符号反転時における切り戻し時フェールセーフバルブ制御処理)
【0030】
次に、切り戻しを判断する手段をトルクセンサからの信号の符号が反転した時点とし、切り戻しと判断された時点から所定時間フェールセーフバルブを左右連通状態させる場合について説明する。図6はトルク符号反転による切り戻し判断を表すフローチャートである。尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0031】
ステップ301では、戻し判断フラグFmが戻し判断中であることを表す1になっているかどうかを判断し、0のときはステップ302へ、1のときはステップ303へ進む。
【0032】
ステップ302では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号に一致するかどうかを判断する。一致する場合は、ステップ307に進む。一致しない場合は、ステップ303に進む。
【0033】
ステップ303では、戻り時間タイマTが設定時間よりも長いかどうかを判断する。設定時間より長い場合は戻し判断中と判断し、ステップ304で戻し判断フラグFmを0にセットし、ステップ309に進む。設定時間より短い場合にはステップ305に進む。
【0034】
ステップ305では、戻し判断フラグFmを0にセットし、ステップ306に進む。
【0035】
ステップ306では、戻り時間タイマTをカウントアップし、ステップ309に進む。
【0036】
ステップ307では、非戻し時判断を行い、ステップ308に進む。
【0037】
ステップ308では、通常制御状態にセットされ、ステップ309に進む。
【0038】
ステップ309では、戻し判断フラグFmが1であるか確認を行い、1のときはステップ311に、1でないときはステップ310に進む。
【0039】
ステップ310では、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットして、本制御フローを終了する。
【0040】
ステップ311では、フェールセーフバルブ4の駆動をOFF(開く)にセットして、本制御フローを終了する。
【0041】
上述のフローチャートについて、図7のタイムチャートに基づいて説明する。まず、左から右にステアリングを切った場合について説明する。時間Taにおいて、トルクセンサの出力の増大に伴い左側シリンダ圧も上昇する。時間Taから時間Tbの間は戻し判断中でないので、ステップ302に進む。ステップ302では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号と異なるかどうかを判断する。トルク今回値の符号がトルク前回値の符号と異なるときとは、運転者が意図して反転方向に切り返しを行うことを表している。時間Tbで符合が反転するので、ステップ303へ進む。
【0042】
時間Tbにおいて、トルクの符号反転に伴い、ステップ305において、戻し判断フラグFmが1にセットされる。次に、ステップ306に進み、戻し時間タイマTのカウントアップを開始する。時間Tbから時間Tcにかけて、戻り時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、ステップ311にあるようにフェールセーフバルブ駆動をOFFとし、フェールセーフバルブを開く。これにより、左右シリンダ室51,52の差圧を一気に減少方向に向かわせることができる。
【0043】
時間Tcにおいて、戻し時間タイマTのカウント値がTRを上回るため、ステップ303→ステップ304へと進み、戻し判断フラグFmを0にセットすると共に、本制御を終了する。
【0044】
時間Tdのときは、戻し判断制御を行っていないため、ステップ309で戻し判断フラグFmが1でないと判断し、ステップ310に進む。ステップ310でフェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にして、本制御を終了する。
【0045】
時刻Teにおいて、運転者の操舵によりステアリングが左から右に切ると、トルク符号が再度反転し、再度、切り戻し時フェールセーフバルブ制御が実行される。尚、このようにステアリングを右から左に切った場合でも、基本的な構成は上述の左から右に切った場合と同じであるため、説明を省略する。
【0046】
以上説明したように、本第1実施例においては、トルク信号の符号の反転のみという少ない条件で切り戻し判断が可能である。この切り戻し判断によって、フェールセーフバルブ4を所定時間開くことで、素早く左右シリンダ室の差圧を解消することが可能となり、運転者の操舵意図に対する応答性の向上を図ることができる。
【0047】
(第2実施例)
【0048】
次に、第2実施例について説明する。基本的な構成は第1実施例と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
図8はトルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による戻し判断を表すフローチャートである。ステップ301、ステップ303〜ステップ311は第1実施例と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0050】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
【0051】
〔トルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による戻し判断〕
【0052】
ステップ401では、トルクセンサ信号の絶対値が所定値Aを上回るかどうかを判断する。上回る場合はステップ402へ、所定値以下の場合はステップ403へ進む。
【0053】
ステップ402では、戻り時間タイマTcのカウントアップを行う。
【0054】
ステップ403では、戻り時間タイマTcをリセットする。
【0055】
ステップ404では、トルクの変化量がしきい値より大きく、トルクセンサ信号の絶対値が0付近の値を所定時間以上継続するかどうかを判断する。
【0056】
上記内容を図9のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taで、トルク信号の値が増大し、それに伴いトルク変化量も上昇する。時間Ta経過後、トルク信号の絶対値が所定値Aを越えると、ステップ402において、トルク値カウンタTcのカウントアップが開始される。
【0057】
時間Tbでは、戻し判断制御を行っていないので、ステップ301の戻し判断フラグFmは1ではないと判断し、ステップ401に進む。尚、時刻Tbにおいて、トルク値カウンタTcのカウンタ値が所定時間T0を越えるため、カウントアップを終了し、ステップ404へと進む。
【0058】
時間Tcにおいて、運転者が手を離してステアリングが戻る。すると、トルク信号出力が急激に減少して0付近の値になるのに伴い、トルク変化量も急増して、しきい値Bを超えた段階で戻し判断をスタートする。時間Tcから時間Tdにかけて、戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ304に進む。ステップ304で戻し判断フラグFm=0にセットし、ステップ309に進む。ステップ309で、戻し判断フラグは1でないので、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットし、本制御を終了する。
【0059】
以上説明したように、第2実施例では、切り戻し判断手段に、所定トルク値Aを所定時間継続、トルク信号値が0付近、かつ、所定のトルク変化量B以上の変化を伴うときを、切り戻しと判断する。これにより、運転者が切り返し動作に入る前、もしくは、手を離した瞬間から切り戻し時と判断することが可能となり、より応答性良く切り戻しに対応することができる。
【0060】
また、所定トルク値Aを所定時間継続を判定条件としているため、十分にパワーシリンダ室51,52の差圧が発生している状態かどうかを検出することができる。よって、差圧が小さいときには無用に所定時間フェールセーフバルブ4が開くことを防止することが可能となり、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
【0061】
(第3実施例)
【0062】
次に、第3実施例について説明する。基本的な構成は第1実施例と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
【0063】
図10はシリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる切り戻し判断を表すフローチャートである。ステップ301、ステップ303〜ステップ312は第1実施例と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0064】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
〔シリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる戻し判断〕
【0065】
ステップ405では、シリンダ差圧の変化量が0より小さく、かつ、シリンダ差圧変化量がしきい値より大きいかどうかを判断する。この条件を満たすときはステップ303へ、条件を満たさないときは、ステップ307へ進む。
【0066】
上記内容を図11のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taでトルク信号の増大に伴うシリンダ差圧の増加により、差圧変化量はピークになる。
【0067】
時間Tbでトルク信号の安定に伴いシリンダ差圧も安定すると、差圧変化量は0に近づくが、この段階ではまだ戻し判断制御を行っていないので、ステップ301の戻し判断フラグFmは1ではないと判断し、ステップ402に進む。
【0068】
時間Tcで差圧変化量は0を下回り、しきい値を超えるため、戻し判断をスタートする。時間Tcから時間Tdにかけて戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ304に進む。ステップ304で戻し判断フラグFm=0にセットし、ステップ309に進む。ステップ309で、戻し判断フラグは1でないので、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットし、本制御フローを終了する。
【0069】
第3実施例では、シリンダ差圧の変化量がしきい値を下回るときに戻し判断をスタートさせてフェールセーフバルブ4を開くことで、運転者のステアリング操舵意図を素早く検知することが可能となり、これに伴い、素早くシリンダ差圧を解消させることができる。
【0070】
(第4実施例)
次に、第4実施例について説明する。
図12は、トルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下であることを切り戻し判断手段とする場合のフローチャートである。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0071】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
〔トルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下であることによる戻し判断〕
【0072】
ステップ501では、反転フラグが1であるかどうかを判断し、0のときはステップ502に、1のときはステップ505に進む。
【0073】
ステップ502では、戻し判断フラグFmが1になっているかどうかを判断し、0のときはステップ503へ、1のときはステップ507へ進む。
【0074】
ステップ503では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号に一致するかどうかを判断する。一致する場合は、ステップ511に進む。一致しない場合は、ステップ504に進む。
【0075】
ステップ504では、反転フラグを1にセットし、ステップ505へ進む。
【0076】
ステップ505では、モータ回転数が所定値以下かどうかを判断する。所定値以下のときはステップ506へ、所定値を上回るときはステップ511へ進む。
【0077】
ステップ506では、反転フラグを0にセットし、ステップ507へ進む。
【0078】
ステップ507では、戻り時間タイマTが所定時間TRを上回るかどうかの判断を行う。上回る場合はステップ508へ、下回るときはステップ509へ進む。
【0079】
ステップ508では、戻し判断フラグFmを0にセットし、ステップ513に進む。
【0080】
ステップ509では、戻し判断フラグFmを1にセットし、ステップ510へ進む。
【0081】
ステップ510では、戻り時間タイマTのカウントアップを行い、ステップ513へ進む。
【0082】
ステップ511では、非戻し時判断を行い、ステップ512へ進む。
【0083】
ステップ512では、通常制御状態とし、ステップ513へ進む。
【0084】
ステップ513では、戻し判断フラグFmが1かどうかを判断し、0のときはステップ514へ、1のときはステップ515へ進む。
【0085】
ステップ514では、フェールセーフバルブ駆動をON(閉じる)にし、本制御フローを終了する。
【0086】
ステップ515では、フェールセーフバルブ駆動をOFF(開く)にし、ステップ516へ進む。
【0087】
ステップ516では、戻り時間タイマTのカウントアップを行い、本制御フローを終了する。
【0088】
上記内容を図13のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taにおいて、トルク信号の増大に伴うモータ回転数の増加により、シリンダ圧力も上昇する。このとき、反転フラグは1でないので、ステップ502へ進む。
【0089】
時間Tbでは、トルク信号の安定によりモータ回転数も安定しており、この段階ではまだ戻し判断制御を行っていないので、ステップ502の戻し判断フラグFmは1ではないと判断し、ステップ503に進む。
【0090】
時間Tcでは、トルク信号が反転し、モータ回転数も下降するため、ステップ504で反転フラグを1にセットし、ステップ505へ進む。
【0091】
時間Tdでは、モータ回転数が所定値を下回るので、ステップ506で反転フラグを0にセットし、戻し判断をスタートしてステップ507へ進む。
【0092】
時間Tdから時間Teにかけて差圧変化量はしきい値を超え、戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ508に進む。ステップ508で戻し判断フラグFm=0にセットし、ステップ513に進む。ステップ513で、戻し判断フラグは1でないので、フェールセーフバルブ4の駆動をON(閉じる)にセットし、本制御フローを終了する。
【0093】
以上説明したように、第4実施例では、モータ回転数が0付近のしきい値を下回るまで低下してから戻し判断を行うこととした。すなわち、運転者の操舵トルクが反転すると、この操舵トルクに応じて電動モータ6への指令電圧も切り換えられる。このとき、電動モータ6の回転数は徐々に低下し、0に低下した後、反転を開始する。よって、電動モータ6の回転数を素早く低下させる必要がある。そこで、操舵トルクが反転したとしても、電動モータ6の回転数が低下するまでの間、フェールセーフバルブ4を閉じたままにし、ポンプ負荷を確保することでモータ回転数を素早く低下させ、その後にフェールセーフバルブ4を開くことで、高圧側の油圧を素早く減圧しつつ、電動モータ6の回転数を反転させるタイミングを早めることが可能となり、素早く差圧を解消することができる。
【0094】
(第5実施例)
【0095】
次に、第5実施例について説明する。基本的な構成は第3実施例と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。
図14は、舵角速度信号負のとき舵角速度の大きさに応じ戻り制御信号を作成して、その信号に応じて駆動デューティ比を可変させることを戻し判断とする場合のフローチャートである。ステップ301〜ステップ309、ステップ310、ステップ312は第3実施例と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
尚、本制御フローは所定間隔(例えば10msec)毎に繰り返し実行されるものとする。
【0096】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
【0097】
〔舵角速度信号負のとき舵角速度の大きさに応じ戻り信号作成し、その信号に応じ駆動デューティ比を可変することによる戻し判断〕
【0098】
ステップ406では、舵角速度信号<0であるかどうかを確認し、YESの場合はステップ407へ進み、NOの場合はステップ307へ進む。
【0099】
ステップ407では、トルク今回値の符号がトルク前回値の符号と違うかどうかを確認する。違う場合は、ステップ303へ進み、同じ場合はステップ307へ進む。
【0100】
ステップ408では、戻り信号M=k・│dδ/dt│にセットし、ステップ409へ進む。
【0101】
ステップ409では、舵角速度の大きさに応じ戻り制御信号を作成して、その信号に応じて駆動デューティ比を可変させる。
【0102】
上記内容を図15のタイムチャートに基づいて説明する。
時間Taにおいて、舵角を右に切ると舵角速度信号は増大し、シリンダ差圧も上昇する。時間Tbにおいて、舵角が安定し舵角速度信号は0に近づく。
【0103】
時間Tcにおいて、舵角が0に近づき始め、舵角速度信号が負の値になると、ステップ407に進み、トルクの符号も反転を確認する。
【0104】
時間Tdにおいて、トルク信号が反転しているので、ステップ303に進み、戻し時間タイマTのカウント値が所定時間TRを上回るまでの間、戻し制御が実行される。
【0105】
時間Teにおいて、この戻し制御の時間が所定時間を上回るとステップ304に進み、戻し制御フラグFmを0にセットしてステップ309に進む。ステップ309で、戻し判断フラグは1であるので、ステップ408で戻り信号Mをセットし、ステップ409で舵角速度の大きさに応じ戻り制御信号を作成して、その信号に応じて駆動デューティ比を可変させ、本制御フローを終了する。
【0106】
以上説明したように、第5実施例にあっては、戻し判断が行われたときは、運転者の操舵速度に応じた戻し信号を作成することで、操舵状況に応じたフェールセーフバルブ制御を達成することが可能となり、更に安定した操舵制御を達成することができる。
【0107】
(第6実施例)
【0108】
次に、第6実施例について説明する。
図16は、シリンダ間連通路に設けた、切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とするフローチャートである。尚、戻り信号は、操舵角、操舵速度、操舵トルク、シリンダ圧力、シリンダストローク、モータ回転の推定値により演算したものを用いる。
【0109】
(戻し判断時フェールセーフバルブ制御処理)
〔シリンダ間連通路に設けた切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とする戻し判断〕
【0110】
ステップ601では、複数のパラメータ(操舵角、操舵速度、操舵トルク、シリンダ圧力、シリンダストローク、モータ回転)の読み込みを行い、ステップ602に進む。
【0111】
ステップ602では、戻り制御信号の演算を行い、ステップ603に進む。
【0112】
ステップ603では、フェールセーフバルブ4の駆動デューティ演算を行い、本制御を終了する。
【0113】
上記内容を、図17のタイムチャートを用いて説明する。
時間TaからTbにかけて、上昇した舵角は一定の値を取っている。
時間Tbで、舵角は小さくなり操舵トルクが下降し始める。このとき、複数のパラメータ(操舵角、操舵速度、操舵トルク、シリンダ圧力、シリンダストローク、モータ回転)を読込み、戻り制御信号の演算を開始する。戻り信号の出力の上昇に従い、フェールセーフバルブ4の駆動デューティ演算をPWM駆動により行い、本制御を終了する。
【0114】
以上説明したように、第6実施例では、他の実施例と異なり、フェールセーフバルブ駆動信号を複数のパラメータの推定値から演算して決定することで、更に操舵状況に応じたフェールセーフバルブ制御を達成することができる。
【0115】
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0116】
(イ)請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
パワーシリンダ室間の差圧を検出する差圧検出手段を設け、
前記切り戻し判断手段を、検出された差圧の変化量が差圧減少方向で、かつ、所定値以上の変化量のときは、切り戻しと判断する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0117】
すなわち、シリンダ差圧の変化量が所定値以上のときとは、一旦発生した差圧を運転者の意図により一気に減少させようとしているときである。このとき、戻し判断をスタートさせてフェールセーフバルブ4を開くことで、運転者のステアリング操舵意図をいち早く検知することが可能であり、素早くシリンダ差圧を解消させることができる。
【0118】
(ロ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵トルク検出手段を、運転者の操舵トルクが入力されていない状態を0とし、運転者の左右への操舵トルクを+信号及び−信号として出力する手段とし、
前記電動モータの回転数を検出するモータ回転数検出手段を設け、
前記切り戻し判断手段を、トルクセンサ信号の符号反転後、検出されたモータ回転数が0付近の所定値以下のときを切り戻しと判断する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0119】
すなわち、操舵トルクが反転したとしても、電動モータ6の回転数が低下するまでの間、フェールセーフバルブ4を閉じたままにし、ポンプ負荷を確保することでモータ回転数を素早く低下させ、その後にフェールセーフバルブ4を開くことで、高圧側の油圧を素早く減圧しつつ、電動モータ6の回転方向を反転させるタイミングを早めることが可能となり、素早く差圧を解消することができる。
【0120】
(ハ) 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵トルク検出手段を、運転者の操舵トルクが入力されていない状態を0とし、運転者の左右への操舵トルクを+信号及び−信号として出力する手段とし、
舵角が中立から離れる方向を正、中立に戻る方向を負として舵角速度を検出する舵角速度検出手段と、
検出された舵角速度に応じて前記バイパス弁への指令信号である戻り信号を作成する戻り信号作成手段と、
を設け、
前記バイパス弁を、デューティ比により制御可能なデューティソレノイド弁とし、
前記切り戻し判断手段を、検出された舵角速度が負であって、かつ、トルクセンサ信号の符号が反転したときは、切り戻しと判断する手段とし、
前記ステアリング操舵制御手段は、作成された戻り制御信号に応じて可変とした駆動デューティ比を前記バイパス弁に出力する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0121】
すなわち、運転者の操舵速度に応じた戻し信号を作成することで、操舵状況に応じたステアリング操舵制御を達成することが可能となり、更に安定した操舵制御を達成することができる。
【0122】
(ニ) 請求項1及び2及び3及び前記(イ)、(ロ)に記載のパワーステアリング装置において、
検出された操舵トルク、舵角、舵角速度、パワーシリンダ差圧、シリンダストローク、モータ回転数、又はこれらの推定値の少なくとも一つに基づいて前記バイパス弁への指令信号である戻り信号を作成する戻り信号作成手段を設け、
前記バイパス弁を、デューティ比により制御可能なデューティソレノイド弁とし、
前記ステアリング操舵制御手段は、作成された戻り制御信号に応じて可変とした駆動デューティ比を前記バイパス弁に出力する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
【0123】
すなわち、バイパス弁の駆動信号を複数の検出値もしくは推定値に応じて演算することで、更に操舵状況に応じたステアリング操舵制御を達成することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるパワーステアリング装置の全体構成を表す概略図である。
【図2】実施の形態1における液圧戻し制御の制御内容を表すフローチャートである。
【図3】実施の形態1におけるポンプユニットの構成を表す概略図である。
【図4】実施の形態1における切り戻し判断時から所定時間連通させる場合のポンプユニットにおける油の流れを示す概略図である。
【図5】実施の形態1におけるリターンチェック弁の作動を表す概略図である。
【図6】実施の形態1におけるトルク符号反転による切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1におけるトルク符号反転による切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図8】実施の形態2におけるトルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2におけるトルクセンサ信号絶対値及びトルク変化量による切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図10】実施の形態3におけるシリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態3におけるシリンダ差圧が所定値以上の変化量で小さくなることによる切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図12】実施の形態4におけるトルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下にあることによる切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態4におけるトルクセンサ信号反転後、モータ回転センサ信号が0付近の所定値以下にあることによる切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図14】実施の形態5における舵角速度信号負の時舵角速度の大きさに応じ戻り信号を作成し、信号に応じ駆動デューティ比を可変することによる切り戻し判断を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態5における舵角速度信号負の時舵角速度の大きさに応じ戻り信号を作成し、信号に応じ駆動デューティ比を可変することによる切り戻し判断を示すタイムチャートである。
【図16】実施の形態6におけるシリンダ間連通路に設けた、切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とするフローチャートである。
【図17】実施の形態6におけるシリンダ間連通路に設けた、切り戻し判断手段を持つ制御弁を切り戻し判断時から所定時間連通させ、かつ、制御弁の開閉信号をPWM駆動とするタイムチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ギア機構
4 フェールセーフバルブ
5 パワーステアリング機構
5a パワーシリンダ
6 オイルポンプ
6a 電動モータ
7 操舵輪
8 ウォーニングランプ
10 コントロールユニット(SBWCU)
11 バッテリ
12 操舵角センサ
13 イグニッションスイッチ
14 エンジン回転数センサ
15 車速センサ
51,52 パワーシリンダ室
61a,b,c,d 油圧管
62a,a’,b,b’ バイパス油路
201a,b チェック弁
202a,b リザーブタンク
203a,b リターンチェック弁
204 チェック弁
205 リザーブタンク
206 リターンスプリング
207 油圧室
208 ピストン室
210 スプールバルブ
Claims (3)
- 運転者のステアリング操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
電動モータにより駆動されるポンプと、
前記ポンプの吐出圧をピストンで区切られたパワーシリンダの2室に導くことで操舵アシストを行う油圧系統を有する操舵アシスト手段と、
検出された操舵トルクに基づいて、前記電動モータの駆動を制御するアシスト操舵制御手段と、
を備えたパワーステアリング装置において、
前記2室のパワーシリンダ室を連通するバイパス油路と、
該バイパス油路上であって、前記アシスト操舵制御手段からの制御信号に基づいて開閉状態を制御可能なバイパス弁と、
ステアリングの切り戻しを判断する切り戻し判断手段と、
を設け、
前記アシスト操舵制御手段は、前記切り戻し判断手段により切り戻しと判断されたときは、前記バイパス弁に対し、予め設定された所定時間の間、開弁指令を出力することを特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵トルク検出手段を、運転者の操舵トルクが入力されていない状態を0とし、運転者の左右への操舵トルクを+信号及び−信号として出力する手段とし、
前記切り戻し判断手段を、検出されたトルク信号の符号の反転を検出し、符号が反転したときは切り戻しと判断する手段としたことを特徴するパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵トルク検出手段を、運転者の操舵トルクが入力されていない状態を0とし、運転者の左右への操舵トルクを+信号及び−信号として出力する手段とし、
前記切り戻し検出手段は、
検出されたトルク信号の絶対値が所定値以上を所定時間継続したかどうかを検出し、条件を満たしたときはトルク入力有りと判断し、条件を満たしていないときはトルク入力無しと判断するトルク入力判断部と、
検出されたトルク信号の変化量を検出し、検出されたトルク変化量が所定のトルク変化量以上かどうかを検出し、条件を満たしたときはトルク変化有りと判断し、条件を満たしていないときはトルク変化無しと判断するトルク変化判断部と、
検出されたトルク信号が0付近の所定範囲内にあるかどうかを検出し、条件を満たしたときはトルク値減少有りと判断し、条件を満たしていないときはトルク値減少無しと判断するトルク値判断部と、
を有し、
前記切り戻し判断手段を、前記トルク変化判断部によりトルク入力有りと判断され、前記トルク変化判断部によりトルク変化有りと判断され、かつ、前記トルク値判断部によりトルク値減少有りと判断されたときは、切り戻しと判断する手段としたことを特徴とするパワーステアリング装置。
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