JP2005047376A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 操舵状態を操舵トルク値と操舵トルク微分値を用いて判別する。
【解決手段】 操舵トルク値に応じた基本アシスト力を操舵機構に付与する操舵制御装置において、操舵状態判別手段は、操舵トルク値の絶対値が所定の第1しきい値よりも大きく操舵トルク微分値の絶対値が所定の第2しきい値よりも小さい場合には操舵機構が旋回中の保舵状態と判定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
運転者がステアリングホイールを操作するために必要な操舵トルクの一部を電動モータ等を用いてアシストする操舵制御装置が従来より広く知られている。
特許文献1には、操舵機構が保舵状態であるのか、切り込み状態もしくは切り戻し状態であるのか、を操舵トルク信号と操舵力をアシストする電動モータのモータ回転速度とを用いて判別し、この判別結果に基づいて、上記電動モータの制御ゲインを決定する電動パワーステアリング制御装置が開示されている。
特開2001−253358号公報
上記の特許文献1に開示された構成では、実質的には、操舵機構が保舵状態か保舵状態でないかを判別しているに過ぎず、操舵機構が保舵状態でない場合に、切り込み状態なのか切り戻し状態であるのかというところまでの判別は行えないという問題がある。
また、パワーシリンダにモータを駆動源とする油圧ポンプで作動油を供給するいわゆる油圧式のパワーステアリング装置では、保舵状態であっても、油圧保持のために油圧ポンプを動かしておく場合がある。そのため、このような油圧式のパワーステアリング装置において、油圧ポンプを駆動するモータの挙動から操舵機構の操舵状態を判別しようとすると、モータの動きと実際の操舵輪の動きが必ずしも一致するとは限らず、モータの動きから操舵機構の操舵状態を判別するのが難しいという問題がある。
上述した課題を解決する手段として、この出願の発明は、操舵状態判別手段が、操舵トルク値の絶対値が所定の第1しきい値よりも大きく、操舵トルク微分値の絶対値が所定の第2しきい値よりも小さい場合には、操舵機構が旋回中の保舵状態であると判定し、操舵機構の操舵状態に応じて基本アシスト力を補正する。
これによって、操舵トルク検出手段によって検出された操舵トルクを用いるだけで、操舵機構の操舵状態が、保舵状態であるか判断することができ、操舵状態に応じて基本アシスト力を補正することができる。
あるいは、上述した課題を解決する手段として、操舵トルク検出手段で検出された操舵トルクに応じて、操舵機構の操舵力を補助する油圧パワーシリンダ内の第1,第2液圧室に電動機を駆動源とする油圧源から選択的に作動油を供給することによって、操舵トルク値に応じた基本アシスト力をパワーシリンダに発生させ、操舵機構にこの基本アシスト力を付与する操舵制御装置において、操舵状態判別手段が、操舵トルク値の絶対値が所定の第1しきい値よりも大きく、操舵トルク微分値の絶対値が所定の第2しきい値よりも小さい場合には、操舵機構が旋回中の保舵状態であると判定し、操舵機構の操舵状態に応じて基本アシスト力を補正する。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る操舵制御装置が適用された車両のパワーステアリング装置の全体システム構成を示している。
ステアリングホイール1には操舵軸2が連結されている。操舵軸2の下端には、操舵トルクを検出するトルクセンサ3が設けられている。操舵軸2には、このトルクセンサ3よりも下側の位置にピニオン(図示せず)が設けられており、このピニオンがラック(図示せず)と噛み合うことで操舵機構4を構成している。この操舵機構4は、ステアリングホイール1の回転に伴うピニオンの回転運動を、ラックの直線運動に変換し、図示せぬ左右の操舵輪を動かすものである。ラックは、パワーシリンダ5を貫通するピストンロッド6と連係している。
パワーシリンダ5は、車体幅方向に延設された筒状シリンダ部7と、この筒状シリンダ部7内を貫通するピストンロッド6と、ピストンロッド6に固定され筒状シリンダ部7内を摺動するピストン8と、から大略構成されており、このピストン8によって筒状シリンダ部7内が左右の第1液圧室9、第2液圧室10に分割されている。
パワーシリンダ5内の第1液圧室9及び第2液圧室10には、油圧源としてのパワーユニット11から第1通路12及び第2通路13を介して、作動油が供給されている。パワーユニット11から第1液圧室9に作動油が供給されると第1液圧室9の圧力が上昇してピストン8が第2液圧室10側に相対的に移動し、パワーユニット11から第2液圧室10に作動油が供給されると第2液圧室10の圧力が上昇してピストン8が第1液圧室9側に相対的に移動する。このピストン8の移動に伴って、ピストンロッド6が筒状シリンダ部7の軸方向(車両幅方向)に沿った直線運動を行い、上述した操舵機構4によるラックの直線運動をアシストする。
尚、第1通路12と第2通路13とは、フェールセーフバルブ14を介して連通しており、パワーユニット11故障時等にこのフェールセーフバルブ14をエンジンコントロールユニット(ECU)15の指令により開弁することで第1液圧室9と第2液圧室10とを連通させ、ステアリングホイール1による操舵力を操舵輪に容易に伝達させるよう構成されている。
パワーユニット11は、トロコイド型の可逆ポンプ及びこの可逆ポンプを駆動するモータが一体化されたものであって、上記モータは、ECU15によって制御されている。
ECU15には、上述したトルクセンサ3からの信号が入力されており、このトルクセンサ3からの信号入力に応じて、パワーユニット11を制御している。
ECU15は、図2に示すように、トルクセンサ3からの操舵トルク信号から操舵機構4に付与すべき基本アシスト力を演算する基本アシスト力演算手段と、トルクセンサ3からの操舵トルク信号にハイパスフィルタ等のフィルタ処理を施して操舵トルクの変化量に相当する操舵トルク微分値相当信号を演算する操舵トルク微分値演算手段と、操舵トルク信号と操舵トルク微分値相当信号を用いて操舵機構の操舵状態を判別する操舵状態判別手段と、操舵機構の操舵状態に応じて補正された基本アシスト力がパワーシリンダ11に発生するよう上記可逆ポンプを駆動するモータの目標モータ電流を演算する目標モータ電流演算手段と、操舵機構が保舵状態のときに基本アシスト力に加算される保舵時補正力を演算する保舵時補正量演算手段と、操舵機構が切り戻し状態のときに基本アシスト力に加算される切り戻し保舵時補正力を演算する切り戻し時補正量演算手段と、有している。尚、操舵機構の操舵状態が中立もしくは切り込み状態である場合には、基本アシスト力の補正は行わないものとする。
操舵状態判別手段で実施される操舵機構4の操舵状態判別の制御の流れを、図3を用いて説明する。
ステップ(以下単にSと記す)1では、トルクセンサ3で検出された操舵トルク値の変化量である操舵トルク微分値の絶対値が予め設定された第2しきい値A2よりも小さいか否かを判定し、小さい場合にはS2へ進み、そうでない場合にはS5へ進む。
S2では、操舵トルク値の絶対値が予め設定された第1しきい値A1よりも大きいか否かを判定し、操舵トルク値の絶対値が予め設定された第1しきい値A1よりも大きい場合にはS3へ進んで操舵機構4の操舵状態が保舵状態であると判定し、
操舵トルク値の絶対値が予め設定された第1しきい値A1以下の場合にはS4へ進んで操舵状態が中立状態であると判定する。
S5では、操舵トルク値と操舵トルク微分値の正負が同一であるか否かを判定し、同一である場合にはS6へ進んで操舵機構4の操舵状態が切り込み状態であると判定し、同一でない場合にはS7へ進んで操舵状態が切り戻し状態であると判定する。
図4に、ステアリングホイール1の舵角と略同じ傾向で変化する操舵トルク値と、この操舵トルク値の変化量である操舵トルク微分値との相関関係を示す。尚、図4における操舵トルク値及び操舵トルク微分値は、車両の右旋回方向側を正の値としている。より具体的には、ステアリングホイール1が右に切られている場合に発生する操舵トルク値を正の値とし、左に切られている場合に発生する操舵トルク値を負の値としている。
ステアリングホイール1が左右のどちらに切られていない状態、すなわち中立状態では、操舵トルクは発生せず(操舵トルク値は略0)、操舵トルク微分値も略0となり、操舵トルク値の絶対値が第1しきい値A1よりも小さくなると共に、操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2よりも小さくなる。
中立状態からステアリングホイール1を左に切ると(左転舵)、操舵トルク値が負の方向に増大し、操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2以上となり、かつ操舵トルク値及び操舵トルク微分値はともに負の値となる。
ステアリングホイール1を左に切った状態で保舵すると、操舵トルク値が略一定の状態に保たれるため、操舵トルク微分値の絶対値は、第2しきい値A2よりも小さくなる。
ステアリングホイール1を左に切って保舵した状態からステアリングホイール1を切り戻すと、操舵トルク値の絶対値が減少する。一方、操舵トルク微分値は、その符号が反転して正の値となる。つまり、操舵トルク値は負の値となり、操舵トルク微分値は正の値となる。
ステアリングホイール1を右に切ると(右転舵)、操舵トルク値が正の方向に増大し、操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2以上となり、かつ操舵トルク値及び操舵トルク微分値はともに正の値となる。
ステアリングホイール1を右に切った状態で保舵すると、操舵トルク値が略一定の状態に保たれるため、操舵トルク微分値の絶対値は、第2しきい値A2よりも小さくなる。
図5は、操舵トルク値を横軸、操舵トルク微分値を縦軸として、図4における操舵トルク値及び操舵トルク微分値と、操舵機構4の操舵状態の関係を模式的に示した説明図である。
操舵トルク値の絶対値が第1しきい値A1よりも小さく、かつ操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2よりも小さい場合には、操舵機構4は中立状態である。
操舵トルクの絶対値が第1しきい値A1以上で、かつ操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2よりも小さい場合に、操舵トルク値が正の値であれば、操舵機構4はステアリングホイール1を右に切った状態で保舵した状態である。
操舵トルクの絶対値が第1しきい値A1以上で、かつ操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2よりも小さい場合に、操舵トルク値が負の値であれば、操舵機構4はステアリングホイール1を左に切った状態で保舵した状態である。
操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2以上の場合に、操舵トルク値が正の値で、かつ操舵トルク微分値が正の値であれば、操舵機構4は右転舵している状態である。
操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2以上の場合に、操舵トルク値が正の値で、かつ操舵トルク微分値が負の値であれば、操舵機構4は右転舵から切り戻している状態である。
操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2以上の場合に、操舵トルク値が負の値で、かつ操舵トルク微分値が負の値であれば、操舵機構4は左転舵している状態である。
操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値A2以上の場合に、操舵トルク値が負の値で、操舵トルク微分値が正の値であれば、操舵機構4は左転舵から切り戻している状態である。
以上説明してきたように、操舵トルク値と操舵トルク微分値とを用いて操舵機構4の操舵状態を判別することによって、操舵機構4の操舵状態が、切り込み状態、切り戻し状態、保舵状態、中立状態のいずれの状態であるのかを、操舵の方向性を含めて簡便かつ確実に判別することができ、操舵トルクに応じてパワーシリンダに発生させる基本アシスト力を、操舵機構4の操舵状態に応じて補正することが可能となり、運転者の操作性を一層向上させることが可能となる。
次に、請求項に記載された発明以外に、上述した実施形態から把握し得る発明について、以下にその効果と共に記載する。
(イ) 本願の特許請求の範囲に記載された請求項1または2の操舵制御装置において、操舵状態判別手段は、操舵トルク値の絶対値が第1しきい値以下で、操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値よりも小さい場合には、操舵機構が中立状態であると判定し、操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値以上で、操舵トルク値と操舵トルク微分値の正負が同一の場合には、操舵機構が切り込み状態であると判定し、操舵トルク微分値の絶対値が第2しきい値以上で、操舵トルク値と操舵トルク微分値の正負が異なる場合には、操舵機構が切り戻し状態であると判定することを特徴とする。この場合、操舵トルク検出手段によって検出された操舵トルクを用いるだけで、操舵機構の操舵状態が、切り込み、切り戻し、旋回中の保舵、中立、のうちのいずれの状態であるか判断することができ、操舵状態に応じて基本アシスト力を補正することができる。
(ロ) 上記(イ)に記載の操舵制御装置において、操舵状態が保舵状態である場合には、保舵時補正力を基本アシスト力に加算することで基本アシスト力を補正し、操舵状態が切り戻し状態である場合には、切り戻し時補正力を基本アシスト力に加算することによって基本アシスト力を補正し、操舵状態が中立状態もしくは切り込み状態である場合には、基本アシスト力の補正を実施しないことを特徴とする操舵制御装置。
この場合、操舵機構が保舵状態のときに、操舵機構の操舵状態に関わらず操舵トルク値から一義的に演算される基本アシスト力に対して、保舵時補正力を加算することで基本アシスト力が補正されるので、運転者の好みに応じて保舵状態の時に操舵機構に付与されるアシスト力を設定することが可能となる。
また、操舵機構が切り戻し状態のときに、操舵機構の操舵状態に関わらず操舵トルク値から一義的に演算される基本アシスト力に対して、保舵時補正力とは独立した切り戻し時補正力を加算することで基本アシスト力が補正されるので、運転者の好みに応じて切り戻し状態の時に操舵機構に付与されるアシスト力を設定することが可能となる。
本発明に係る操舵制御装置が適用された車両のパワーステアリング装置の全体システム構成を示す説明図。 本発明に係る操舵制御装置のブロック図。 本発明に係る操舵制御装置の操舵状態判別の制御の流れを示すフローチャート。 操舵トルク値と操舵トルク微分値との相関関係を示す説明図。 操舵トルク値及び操舵トルク微分値と、操舵機構の操舵状態と、の関係を模式的に示した説明図。
符号の説明
1…ステアリングホイール
2…操舵軸
3…トルクセンサ
4…操舵機構
15…エンジンコントロールユニット(ECU)

Claims (2)

  1. 車両の操舵機構に連係された操舵軸に発生する操舵トルクを操舵トルク検出手段で検出し、操舵トルク検出手段によって検出された操舵トルク値に応じた基本アシスト力を操舵機構に付与する操舵制御装置において、
    操舵トルク検出手段で検出された操舵トルク値の変化量である操舵トルク微分値を算出する操舵トルク微分値算出手段と、
    操舵トルク値と操舵トルク微分値とを用いて操舵機構の操舵状態を判定する操舵状態判別手段と、を備え、
    操舵トルク検出手段は、左右の操舵方向のうちの一方を正値、他方を負値として操舵トルク値を検出するものであって、
    操舵状態判別手段は、操舵トルク値の絶対値が所定の第1しきい値よりも大きく、操舵トルク微分値の絶対値が所定の第2しきい値よりも小さい場合には、操舵機構が旋回中の保舵状態であると判定し、
    操舵機構の操舵状態に応じて基本アシスト力を補正することを特徴とする操舵制御装置。
  2. 車両の操舵機構に連係された操舵軸に発生する操舵トルクを操舵トルク検出手段で検出し、操舵トルク検出手段で検出された操舵トルクに応じて、操舵機構の操舵力を補助する油圧パワーシリンダ内の第1,第2液圧室に電動機を駆動源とする油圧源から選択的に作動油を供給することによって、操舵トルク値に応じた基本アシスト力をパワーシリンダに発生させ、操舵機構にこの基本アシスト力を付与する操舵制御装置において、
    操舵トルク検出手段で検出された操舵トルク値の変化量である操舵トルク微分値を算出する操舵トルク微分値算出手段と、
    操舵トルク値と操舵トルク微分値とを用いて操舵機構の操舵状態を判定する操舵状態判別手段と、を備え、
    操舵トルク検出手段は、左右の操舵方向のうちの一方を正値、他方を負値として操舵トルク値を検出するものであって、
    操舵状態判別手段は、操舵トルク値の絶対値が所定の第1しきい値よりも大きく、操舵トルク微分値の絶対値が所定の第2しきい値よりも小さい場合には、操舵機構が旋回中の保舵状態であると判定し、
    操舵機構の操舵状態に応じて基本アシスト力を補正することを特徴とする操舵制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009279994A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Honda Motor Co Ltd 車体流れ抑制装置
JP2012183881A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置
WO2016143305A1 (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置

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