JP3589810B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パワーステアリング装置に関し、特に、モータによってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、この発生された油圧によって操舵を補助する、いわゆる油圧式のパワーステアリング装置に関する。
なお、この明細書で使用する表現「操舵の完了」は、ステアリングホイールに加えられるトルクがトルクしきい値未満になったことを意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】
従来から、モータによりオイルポンプを回転させ、オイルポンプからパワーシリンダに作動油を供給することで、ステアリングホイールの操作力を軽減させる油圧式のパワーステアリング装置が公知である。
この種のパワーステアリング装置では、通常、ステアリングホイールに加わるトルクが所定のトルクしきい値以上になった場合に、操舵が行われていると判断され、モータの駆動が開始される。また、ステアリングホイールに加わるトルクが上記トルクしきい値未満になった場合に、操舵が完了したと判断され、モータの駆動が停止されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記装置では、ステアリングホイールに加えられるトルクを操舵完了の判断基準にしているので、操舵が完了したと判断されてからモータが停止させられる。したがって、必ずしもモータを速やかに停止させることができず、モータを必要以上に駆動するという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、モータを必要以上に駆動させないようにすることができるパワーステアリング装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明は、モータによってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、この発生された油圧により車両の操舵を補助するためのパワーステアリング装置であって、操舵の程度に応じた操舵データを検出するための操舵データ検出手段と、車両に備えられた方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったことを検知するための方向指示検知手段と、上記操舵データ検出手段により検出された操舵データが予め定めるしきい値未満である場合、および上記操舵データ検出手段により検出された操舵データが上記しきい値以上であり、かつ上記方向指示検知手段により方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったことが検知された場合には、上記モータを停止させるためのモータ停止手段とを含むことを特徴とするパワーステアリング装置である。
【0006】
上記操舵データには、たとえばステアリングホイールに加わるトルクまたはステアリングホイールの舵角が含まれる。
この発明では、操舵データが予め定めるしきい値未満である場合には、操舵が完了したと判断され、モータが停止される。また、操舵データが予め定めるしきい値以上であっても、方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったことが検知されたときには、操舵が完了しそうであると判断され、モータが停止される。
【0007】
車線変更時や右左折時など操舵を行う場合には、通常、方向指示器が操作される。この操作された方向指示器は、操舵のためにステアリングホイールが一方方向に回転された後他方方向に所定角度以上戻されたときに、自動的に操作解除状態に切り換わる。また、操舵が完了する前にドライバによって手動で操作解除状態に切り換えられる場合もある。つまり、操作された方向指示器は、通常、操舵完了直前に操作状態から操作解除状態に切り換わる。
【0008】
したがって、この発明のように、方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったときにモータを停止させるようにすれば、操舵完了直前にモータを停止させることができる。そのため、モータを必要以上に駆動することがない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態のパワーステアリング装置の構成を示す概要図である。このパワーステアリング装置は、たとえば車両に装着されて使用されるもので、ステアリング機構1による操舵を補助するためのものである。
【0010】
ステアリング機構1には、ステアリングホイール2が備えられている。ステアリングホイール2にはステアリング軸3が連結されており、このステアリング軸3の先端部にはピニオンギア4が取り付けられている。ピニオンギア4は、車幅方向に延びたラックギア5に噛合している。ラックギア5には、タイロッド6を介してタイヤ7が取り付けられている。
【0011】
ステアリングホイール2が操作され、その回転力がステアリング軸3に伝達されると、その先端部のピニオンギア4が回転し、これに伴ってラックギア5が車幅方向に移動する。その結果、ラックギア5の移動がタイロッド6に伝達され、タイヤ7の向きが変わる。
ラックギア5に関連して、操舵補助力を発生するためのパワーシリンダ20が備えられている。パワーシリンダ20は、ラックギア5に連結されたピストン21と、このピストン21によって区画される一対のシリンダ室20a,20bとを含む。シリンダ室20a,20bには、それぞれ破線で示すオイル供給路22a,22bを介して油圧制御弁23からの作動油が供給されるようになっている。
【0012】
油圧制御弁23は、破線で示すオイル循環路24の途中に介装されている。オイル循環路24は、リザーバタンク25に貯留されている作動油がオイルポンプ26で汲み出され、この汲み出された作動油がオイルポンプ26から吐出された後再びリザーバタンク25に戻る経路である。
オイルポンプ26は、モータMによって駆動される。オイルポンプ26がモータMによって駆動されている場合には作動油はオイル循環路24を循環し、オイルポンプ26が駆動されていない場合には作動油の循環は停止している。
【0013】
油圧制御弁23は、ステアリング軸3に取り付けられたトーションバー8のねじれ方向およびねじれ量、すなわちステアリング軸3に加えられるトルクの方向および大きさに応じて開度が変化する。これにより、作動油のパワーシリンダ20への供給状態が変化する。
より具体的には、トーションバー8に一方方向のねじれが加わった場合には、作動油は、一方のオイル供給路を介してパワーシリンダ20の一方のシリンダ室に供給される。トーションバー8に他方方向のねじれが加わった場合には、作動油は、他方のオイル供給路を介して他方のシリンダ室に供給される。トーションバー8にねじれが加わっていない場合には、油圧制御弁23はいわば中立状態となり、作動油がパワーシリンダ20へ供給されることはない。
【0014】
パワーシリンダ20のいずれかのシリンダ室に作動油が供給されると、ピストン21が車幅方向に沿ういずれかの方向に移動する。これにより、操舵補助力が発生し、ラックギア5の移動が補助される。
モータMの駆動は、電子制御ユニットECUによって制御される。電子制御ユニットECUは、CPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータを含む。電子制御ユニットECUには、操舵データ検出手段であるトルクセンサ27、および方向指示検知部29から、トルクデータTおよび操作データWがそれぞれ与えられるようになっている。電子制御ユニットECUは、この与えられるトルクデータTおよび操作データWに基づいて、モータMを制御する。
【0015】
トルクセンサ27は、ステアリング軸3に取り付けられたトーションバー8に関連して設けられており、ステアリング軸3に加えられたトルクに比例し、かつトルクの方向に応じた符号のトルクデータTを出力する。トルクセンサ27には、ポテンショメータからなる機械的接点を有する形式のものや、非接触式トルクセンサなどのいずれの形式のものであっても適用することができる。
【0016】
方向指示検知部29は、バッテリ31に接続されたターンシグナルコントローラ(以下「TSC」という。)32、およびTSC32によって点滅駆動される左右のターンシグナルランプ33a,33bを含む。さらに、方向指示検知部29は、TSC32に接続された共通端子Cと、ターンシグナルランプ33a,33bにそれぞれ接続された接続端子A,Bとを有するターンシグナルスイッチSWを備えている。接続端子A,Bは、操作データWを生成するための低域通過フィルタ(LPF)34に接続されている。
【0017】
ターンシグナルスイッチSWは、方向指示器30の動作に連動している。具体的には、ターンシグナルスイッチSWは、方向指示器30が操作されていない場合には、実線で示すように、端子A,Bのいずれにも接続しないオフ状態となる。一方、方向指示器30が操作されている場合には、二点鎖線で示すように、端子AまたはBに接続されるオン状態となる。
【0018】
方向指示器30が操作されている場合、方向指示器30は、ターンシグナルランプ33a,33bのいずれかを点滅させる操作位置にある。この場合、ターンシグナルスイッチSWはオン状態となる。これに伴って、TSC32は、パルス状の電流をターンシグナルスイッチSWを介してターンシグナルランプ33aまたは33bに与える。その結果、ターンシグナルランプ33aまたは33bは点滅する。また、上記電流は、低域通過フィルタ34に与えられる。その結果、上記電流は平滑化される。これにより、ハイレベルの操作データWが生成される。生成されたハイレベルの操作データWは、給電ライン35を介して電子制御ユニットECUに与えられる。
【0019】
操作位置にある方向指示器30は、ステアリングホイール2が方向指示器30の指示方向に対して反対の方向に所定角度以上回転されたときには、自動的にホームポジションに戻り、操作解除状態となる。また、ドライバによって手動でホームポジションに戻される場合もある。
このような場合、ターンシグナルスイッチSWはオフ状態に切り換わる。その結果、ターンシグナルランプ33a,33bの点滅が停止する。また、低域通過フィルタ34の出力はローレベルになるから、操作データWの電子制御ユニットECUへの供給も停止される。
【0020】
このように、方向指示器30が操作状態から操作解除状態に切り換わるときには、操作データWが電子制御ユニットECUに与えられている状態から与えられない状態に切り換わる。
図2は、電子制御ユニットECUによるモータMの駆動制御を説明するためのフローチャートである。イグニッションキースイッチ(IG)がオンされてエンジンが始動されると、これに応答して電子制御ユニットECUは、モータMを停止させ(ステップS1)、このパワーステアリング装置を初期状態にする。
【0021】
その後、電子制御ユニットECUは、トルクデータTの絶対値が予め定めるトルクしきい値TTH(たとえばTTH=7(kgf・cm) )以上であるか否かを判別する(ステップS2)。その結果、トルクデータTの絶対値が上記トルクしきい値TTH以上であると判別されると、操舵が行われていると判断し、アシスト制御を開始する(ステップS3)。すなわち、モータMの駆動を開始する。このとき、トーションバー8にはいずれかの方向にねじれが加わっている。そのため、作動油が油圧制御弁23を介してパワーシリンダ20に供給される。これにより、操舵補助が開始される。一方、上記ステップS2において、トルクデータTの絶対値が上記トルクしきい値TTH未満であると判別されると、操舵は行われていないと判断し、モータMを停止させる(ステップS1)。
【0022】
なお、操舵が行われるときには、操舵開始前に方向指示器30が操作される場合が多く、この場合には電子制御ユニットECUに操作データWが与えられている。
電子制御ユニットECUは、アシスト制御を開始した後、方向指示器30が操作状態から操作解除状態に切り換えられたか否かを判別する(ステップS4)。具体的には、方向指示検知部29から操作データWが与えられている状態から与えられない状態に移行したか否かを判別する。その結果、方向指示器30が操作状態から操作解除状態に切り換えられたと判別されると、操舵が完了しそうであると判断し、モータMの駆動を停止させる(ステップS1)。
【0023】
一方、方向指示器30が操作状態から操作解除状態に切り換えられていないと判別されると、次にトルクデータの絶対値が上記しきい値TTH未満であるか否かを判別する(ステップS5)。その結果、トルクデータTの絶対値がしきい値TTH以上であれば、操舵はまだ完了していないと判断し、ステップS4に戻る。一方、トルクデータTの絶対値がしきい値TTH未満であれば、操舵は完了したと判断し、モータMの駆動を停止させる(ステップS1)。
【0024】
たとえば、交差点を右左折する場合、ドライバは、通常、操舵を行う前に方向指示器30を操作する。その結果、操作データWが電子制御ユニットECUに与えられる。その後、交差点を曲がるために操舵が行われるとトルクしきい値TTH以上のトルクがステアリングホイール2に加わえられる。その結果、電子制御ユニットECUは、モータMを駆動させアシスト制御を開始する。
【0025】
操作されている方向指示器30は、操舵のためにステアリングホイール2が回転操作された方向と反対の方向に所定角度だけ戻されると自動的にホームポジションに戻される。また、操舵が完了する前にドライバが手動で方向指示器30をホームポジションに戻す場合もある。つまり、操作されている方向指示器30は、通常、ステアリングホイール2に加わっているトルクがトルクしきい値TTH未満になる前に、操作状態から操作解除状態に切り換わる。
【0026】
したがって、操舵を行う前に方向指示器30が操作される場合には、上記ステップS4において操舵の完了がいち早く検知され、モータMの駆動が停止される。すなわち、操舵完了直前にモータMの駆動が停止される。
一方、操舵を行う前に方向指示器30が操作されていない場合には、上記ステップS5において操舵が完了したと判断されたときに、モータMの駆動が停止される。
【0027】
以上のようにこの実施形態のパワーステアリング装置によれば、操舵完了直前にモータMの駆動を停止することができるから、モータMの停止タイミングが遅れることがない。したがって、モータMを必要以上に駆動することがない。そのため、省エネルギー化を図ることができる。
この発明の実施の一形態は以上のとおりであるが、この発明は上述の実施形態に限定されるものではない。たとえば上記実施形態では、操舵をトルクセンサ27によって検知するようにしているが、たとえば舵角センサによって検知するようにしてもよく、その他種々のセンサを適用することできる。舵角センサを用いる場合において、ステアリングホイール2の舵角が舵角しきい値未満のときには、ステアリングホイール2に加わっているトルクはトルクしきい値未満である可能性が高い。したがって、舵角センサを用いる場合には、「操舵の完了」という表現は、舵角が舵角しきい値未満になったことを意味するものとすればよい。
【0028】
その他、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったときにモータの停止制御を行うようにしているから、モータを操舵完了直前に停止させることができる。したがって、モータの停止タイミングが遅れることがない。そのため、モータを必要以上に駆動させることがない。よって、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態のパワーステアリング装置の構成を示す概要図である。
【図2】電子制御ユニットにおけるモータの駆動制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリング機構
2 ステアリングホイール
20 パワーシリンダ
26 オイルポンプ
27 トルクセンサ
29 方向指示検知部
30 方向指示器
ECU 電子制御ユニット
M モータ
T トルクデータ
W 操作データ
Claims (1)
- モータによってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、この発生された油圧により車両の操舵を補助するためのパワーステアリング装置であって、
操舵の程度に応じた操舵データを検出するための操舵データ検出手段と、
車両に備えられた方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったことを検知するための方向指示検知手段と、
上記操舵データ検出手段により検出された操舵データが予め定めるしきい値未満である場合、および上記操舵データ検出手段により検出された操舵データが上記しきい値以上であり、かつ上記方向指示検知手段により方向指示器が操作状態から操作解除状態に切り換わったことが検知された場合には、上記モータを停止させるためのモータ停止手段とを含むことを特徴とするパワーステアリング装置。
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- 1996-09-26 JP JP25502896A patent/JP3589810B2/ja not_active Expired - Fee Related
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