JP2009119899A - パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ステアリングホイールに連結された操舵機構と、操舵機構と転舵輪とを接続する伝達機構と、操舵機構へ入力されるトルクに基づき伝達機構を駆動することにより、転舵輪に対しアシスト力を付与する電動機と、転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、電動機に駆動信号を出力する電動機制御手段と、電動機制御手段からの駆動信号によって電動機を回転させようとする方向と、電動機の実際の回転方向とが不一致のとき、電動機逆回転状態と判定する電動機逆回転判定手段と、電動機逆回転判定手段が電動機逆回転状態と判定するとき、電動機に発生するトルクを減衰させるダンピングトルク付与手段とを有することとした。
【選択図】 図12
Description
実施例1につき説明する。図1は本願発明を油圧パワーステアリング装置に適用した場合のシステム構成図である。なお、ラック軸5の軸方向をx軸とし、パワーシリンダ8における第2シリンダ8b側を正方向とする。
図2はコントロールユニット100の制御ブロック図である。コントロールユニット100は目標アシストトルク演算部110、ポンプ逆回転判定部120、ダンピングトルク演算部130、およびダンピングトルク付与部140を有する。
図3はスイッチング回路30の回路図である。また、図4、図5はそれぞれモータMの力行時および回生時における電流の流れを示す図である。スイッチング回路30は6個のトランジスタから構成され、u,v,wの各相にそれぞれハイ(電源B)側とロー(接地G)側のトランジスタTrが設けられている。電源Bとスイッチング回路30との間には電流検出部31が設けられ、電流の流れがモータMを駆動する方向か、またはモータMによる回生電流が生じている方向かを検出してコントロールユニット100へ出力する。
図4はモータMの力行状態(正転時)、図5は回生状態(逆転時)におけるモータMとスイッチング回路30の電流の流れを示す図である。正転時には電源Bから電流がモータMに流れて力行状態となり、逆転時にはモータMの発電により電流がモータMから電源B側に流れる回生状態となる。電流の方向は電流検出部31によって検出され、コントロールユニット100へ出力される。
図6〜図8は、ポンプ逆回転のメカニズムを示す模式図である。図6は第2油路22加圧時、図7は図6の後の第1油路21加圧時、図8は第1油路21の加圧後にポンプPが逆回転している状態を示す。また、図9〜図11は、ポンプ逆回転時における操舵反力、操舵角、左右圧力(第1、第2シリンダ圧)の変動を示す図である。
(1)(17)転舵輪6a,6bに連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダ8と、パワーシリンダ8の第1、第2シリンダ8a,8b(両圧力室)に対し選択的に油圧を供給し、一対の吐出口を有する可逆式ポンプPと、パワーシリンダ8の第1、第2シリンダ8a,8bと可逆式ポンプPの一対の吐出口とをそれぞれ接続するとともに、少なくとも一部分の配管71,72がエラストマー材(樹脂)で形成された第1油路21および第2油路22と、可逆式ポンプPを駆動するモータMと、転舵輪6a,6bに与える操舵アシスト力に応じて、モータMに駆動信号を出力するコントロールユニット100と、コントロールユニット100からの駆動信号によってモータMを回転させようとする方向と、可逆式ポンプPの実際の回転方向とが不一致のとき、ポンプ逆回転状態と判定するポンプ逆回転判定部120(電動機逆回転判定手段)と、ポンプ逆回転判定部120がポンプ逆回転状態と判定するとき、可逆式ポンプPに発生するトルクを減衰させるダンピングトルク付与部140とを有することとした。
(実施例1−1)
図15はコントロールユニット100においてダンピングトルクTd出力時に積分制御を行う場合の制御ブロック図、図16はダンピングトルクTd付与時のタイムチャートである。
(11)ダンピングトルクTd(ダンピング信号)は、モータMの回転数の積分値に基づき算出されることとした。積分値を用いることで、モータ逆回転を安定的に収束させることができる。
図17は、コントロールユニット100においてダンピングトルクTd付与から非付与に遷移する際に、Tdの値を漸減させる場合の制御ブロック図である。実施例1ではポンプPが逆転から正転に遷移した際にダンピングトルクTdを直ちにゼロとしたが、実施例1−2では正転に遷移した際に徐々にダンピングトルクTdを徐々に低減する。
(10)(12)ダンピングトルク付与部140は、モータMの回転を減衰させるようにこのモータMに対しダンピングトルクTdを付与することとした。モータ回転に基づきダンピングを行うことで、的確にモータMの逆回転を収束させることができる。
(2)操舵機構に生じるトルクを検出するトルク検出手段をさらに備え、ポンプ逆回転判定部120は、トルク検出手段によって検出されたトルクの値の符号と、このトルクの変化量の符号が不一致であるとき、ポンプ逆回転状態と判定することとした。これにより、簡単にポンプ逆回転状態を判定することができる。
[実施例2−1]
図21は実施例2−1におけるコントロールユニット100の制御ブロック図である。実施例2−1では、操舵トルクTsの符号とモータM回転方向の不一致に基づきポンプ逆回転を判定する。モータ回転方向判断部124においてモータMの回転方向を判断し、符号判断部123において一致・不一致を判断する。
(18)ポンプ逆回転判定部120は、パワーシリンダ8に発生する油圧と、モータMの回転方向とを比較することにより、ポンプ逆回転状態を判定することとした。
(19)ポンプ逆回転判定部120は、転舵輪6a,6bの転舵方向とパワーシリンダ8に発生する油圧とを比較することにより、ポンプ逆回転状態を判定することとした。転舵方向はステアリングホイールSWを介して運転者に対し操舵感として伝達されるため、実施例3と同様の作用効果を得ることができる。
(20)第1油路21と第2油路22とを連通する第3油路23と、第3油路23に設けられ、第1、第2油路21,22のうち高圧側の圧力を低圧部に開放する圧力開放手段とを有することとした。これにより、ポンプPを介することなく高圧を低圧部へ還流し、ポンプ逆回転を回避することができる。
[実施例5−1]
実施例5−1につき説明する。実施例5の切換弁200では高圧側の油路から低圧側の油路を連通することで圧力開放を行ったが、実施例5−1の切換弁200'では高圧側の油路をリザーバタンク9へ連通することで圧力開放を行う点で異なる。
(22)作動油を貯留するリザーバタンク9をさらに備え、圧力開放手段は、第1、第2油路21,22のうち高圧側の油路とリザーバタンク9とを連通する切換弁200'であって、低圧部はリザーバタンク9であることとした。これにより、実施例5−1においてもポンプ逆回転を回避することができる。
図26は実施例5−2のシステム構成図である。実施例5−2では第1、第2油路21,22にそれぞれ油路25,26を介して第1、第2アキュムレータAC1,AC2(体積吸収部材)を接続する。各アキュムレータAC1,AC2と各油路21,22との間には常閉電磁弁である切換弁61,62が設けられ、コントロールユニット100からの指令に基づき開弁する。
(24)第1油路21と第2油路22にそれぞれ設けられた第1、第2アキュムレータAC1,AC2と、第1、第2アキュムレータAC1,AC2と第1、第2油路21,22の間にそれぞれ設けられた切換弁61,62とを有することとした。これにより、ポンプ逆回転を回避することができる。
(4)モータMの実トルクTmと目標アシストトルクTaとを比較し、トルクの方向が逆向きであればモータ逆回転と判定することとした。これにより、操舵トルクTsを用いて逆回転判定を行う場合と比べ、ノイズや位相補償の影響を排除してより適切な逆回転判定を行うことができる。
[実施例6−1]
図29は実施例6−1におけるシステム構成図である。実施例6−1ではステアリングシャフト2に摩擦抵抗部材7を設け、この摩擦抵抗部材7が付与する摩擦抵抗力によってモータ逆回転を抑制する。
(16)ダンピングトルク付与手段は、操舵機構に摩擦抵抗力を付与する摩擦抵抗部材7であることとした。これによりモータ慣性や制御応答遅れに基づく意図しないアシスト力が発生した場合であってもトルクが摩擦抵抗部材7により吸収されるため、意図しないアシスト力がステアリングホイールSWに伝達することを抑制し、運転者の違和感を低減することができる。
(9)実施例6−2では、図29のシステム図において操舵角θから操舵角加速度ω'を求め、このω'と操舵トルクTsの方向を比較してモータ逆回転を判定する。操舵速度の微分値である操舵角速度ω'を用いることにより、機構全体の応答遅れを考慮して逆回転判定を行うことができる。特にトルクセンサTSにトーションバーを用いる場合、このトーションバートルクの応答遅れ分の補償を行うことができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を各実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
4 ピニオン
5 ラック軸
6a,6b 転舵輪
8 パワーシリンダ
8a 第1シリンダ
8b 第2シリンダ
8c ピストン
21,22 油路
30 スイッチング回路
31 電流検出部
71,72 樹脂配管
100 コントロールユニット
110 目標アシストトルク演算部
120 ポンプ逆回転判定部
121 トルク方向判断部
122 トルク変化方向判断部
123 符号判断部
123a 方向判断部
124 モータ回転方向判断部
125 モータ回転方向判断部
126 アシスト方向判断部
127 転舵方向判断部
130 ダンピングトルク演算部
140 ダンピングトルク付与部
150 加算部
160 積分制御部
170 漸減処理部
171 符号算出部
172 乗算部
173 加算部
B 電源
G 接地
M モータ
P ポンプ
SW ステアリングホイール
Tr トランジスタ
TS トルクセンサ
Claims (24)
- ステアリングホイールに連結された操舵機構と、
前記操舵機構と転舵輪とを接続する伝達機構と、
前記操舵機構へ入力されるトルクに基づき前記伝達機構を駆動することにより、前記転舵輪に対しアシスト力を付与する電動機と、
前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記電動機に駆動信号を出力する電動機制御手段と、
前記電動機制御手段からの駆動信号によって前記電動機を回転させようとする方向と、前記電動機の実際の回転方向とが不一致のとき、電動機逆回転状態と判定する電動機逆回転判定手段と、
前記電動機逆回転判定手段が電動機逆回転状態と判定するとき、前記電動機に発生するトルクを減衰させるダンピングトルク付与手段と
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記操舵機構に入力されるトルクを検出するトルク検出手段をさらに備え、
前記電動機逆回転判定手段は、前記トルク検出手段によって検出されたトルクの値の符号と、このトルクの変化量の符号が不一致であるとき、前記電動機逆回転状態と判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
前記トルク検出手段は、前記操舵機構に生じるトルクを検出するトルクセンサであること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
前記トルク検出手段は、前記電動機の実トルクを検出すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動モータは、この電動モータの回転を制御するスイッチング回路によって制御され、
前記電動機逆回転判定手段は、電源と前記スイッチング回路との間に流れる電流の方向により、前記電動機の回転方向を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機逆回転判定手段は、操舵トルクに基づき前記電動機逆回転状態を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機逆回転判定手段は、前記操舵トルクと前記電動モータの回転方向とを比較することにより、電動機逆回転状態を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機逆回転判定手段は、前記操舵トルクと前記転舵輪の転舵方向とを比較することにより、電動機逆回転状態を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動機逆回転判定手段は、前記操舵トルクと操舵角加速度とを比較することにより、電動機逆回転状態を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記ダンピングトルク付与手段は、前記電動モータの回転を減衰させるようにこの電動モータに対しダンピング信号を付与すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記ダンピング信号は、前記電動モータの回転数の積分により算出されること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記ダンピングトルク付与手段は、前記電動機逆回転状態が解消した場合、前記ダンピング信号を漸減させること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項11に記載のパワーステアリング装置において、
前記ダンピングトルク付与手段は、前記操舵機構の伝達応答遅れに基づき、前記電動モータの回転数の積分を行う際の時定数を設定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項10に記載のパワーステアリング装置において、
前記ダンピングトルク付与手段は、前記モータ回転数の符号の反転値を用いて前記ダンピング信号を演算すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項10に記載のパワーステアリング装置において、
前記電動モータは、この電動モータの回転を制御するスイッチング回路によって制御され、
前記ダンピングトルク付与手段は、前記スイッチング回路の相間同士をショートさせることにより、前記電動モータの逆回転を減衰させること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記ダンピングトルク付与手段は、前記操舵機構に摩擦抵抗力を付与する摩擦抵抗部材であること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、
前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給し、一対の吐出口を有する可逆式ポンプと、
前記パワーシリンダの両圧力室と前記可逆式ポンプの一対の吐出口とをそれぞれ接続する第1油路および第2油路と、
前記可逆式ポンプを駆動する電動機と、
前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記電動機に駆動信号を出力する電動機制御手段と、
前記電動機制御手段からの駆動信号によって前記電動機を回転させようとする方向と、前記可逆式ポンプの実際の回転方向とが不一致のとき、ポンプ逆回転状態と判定するポンプ逆回転判定手段と、
前記ポンプ逆回転判定手段がポンプ逆回転状態と判定するとき、前記可逆式ポンプに発生するトルクを減衰させるダンピングトルク付与手段と
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項17に記載のパワーステアリング装置において、
前記ポンプ逆回転判定手段は、前記パワーシリンダに発生する油圧と、前記電動モータの回転方向とを比較することにより、ポンプ逆回転状態を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項17に記載のパワーステアリング装置において、
前記ポンプ逆回転判定手段は、前記転舵輪の転舵方向と前記パワーシリンダに発生する油圧とを比較することにより、ポンプ逆回転状態を判定すること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、
前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給し、一対の吐出口を有する可逆式ポンプと、
前記パワーシリンダの両圧力室と前記可逆式ポンプの一対の吐出口とをそれぞれ接続する第1油路および第2油路と、
前記可逆式ポンプを駆動する電動機と、
前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記電動機に駆動信号を出力する電動機制御手段と、
前記第1油路と前記第2油路とを連通する第3油路と、
前記第3油路に設けられ、前記第1、第2油路のうち高圧側の圧力を低圧部に開放する圧力開放手段と
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項20に記載のパワーステアリング装置において、
前記圧力開放手段は、前記第1、第2油路を連通/遮断する切換弁であって、
前記低圧部は、前記第1、第2油路のうち低圧側の油路であること
を特徴とするパワーステアリング装置、 - 請求項20に記載のパワーステアリング装置において、
作動油を貯留するリザーバタンクをさらに備え、
前記圧力開放手段は、前記第1、第2油路のうち高圧側の油路と前記リザーバタンクとを連通する切換弁であって、
前記低圧部は、前記リザーバタンクであること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 請求項20ないし請求項22のいずれか1項に記載のパワーステアリング装置において、
前記第1、第2油路は、少なくとも一部がエラストマー材で形成されていること
を特徴とするパワーステアリング装置。 - 転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、
前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給し、一対の吐出口を有する可逆式ポンプと、
前記パワーシリンダの両圧力室と前記可逆式ポンプの一対の吐出口とをそれぞれ接続する第1油路および第2油路と、
前記可逆式ポンプを駆動する電動機と、
前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記電動機に駆動信号を出力する電動機制御手段と、
前記第1油路と前記第2油路にそれぞれ設けられた体積吸収手段と、
前記体積吸収手段と前記第1油路および前記第2油路の間にそれぞれ設けられた切換弁と
を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
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