JP2004306602A - 物品の水圧転写方法および水圧転写体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 物品の水圧転写方法であって、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム2aと支持体フィルム2a上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層2bとを有する水圧転写フィルム2を、転写層2bを上にして水槽11に貯溜された水1に浮かべ、有機溶剤により転写層2bを活性化し、転写層2bが転写される物品である被転写体3を上から水圧転写フィルム2に押し付けて、被転写体3のうち、水圧転写フィルム2の転写層2bを転写させる転写部位3aを含む部分を水槽11内の水中に水没させた後、被転写体3を水上に引き上げる前に、水槽11内に残存している残存フィルムを除去することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
ここで、水圧転写フィルムは、水溶性あるいは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、その支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性物質からなる転写層とを有している。支持体フィルムとしては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)等があり、また、転写層としては、例えば印刷インキ皮膜または塗装皮膜等がある。
(1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(2)活性エネルギー線硬化性樹脂と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(3)熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(4)熱硬化性樹脂と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(5)活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(6)活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂および非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
さらに、水槽内に沈降した残存フィルムは、時間が経過するとともに溶解して比重が軽くなるため、水槽内で再び浮上する。水槽内に浮かんでいる残存フィルムについてはある程度除去できるが、水槽内に沈降している残存フィルムを除去することができないという問題があった。
さらに、沈降している残存フィルムを除去せずに放置しておくことで、水槽内のPVAの濃度が高くなるため、水質が悪化してしまうという問題があった。
本発明は、物品の水圧転写方法であって、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とを有する水圧転写フィルムを、前記転写層を上にして水槽に貯溜された水に浮かべ、有機溶剤により前記転写層を活性化し、前記転写層が転写される物品である被転写体を上から前記水圧転写フィルムに押し付けて、前記被転写体のうち、前記水圧転写フィルムの転写層を転写させる転写部位を含む部分を前記水槽内の水中に水没させた後、前記被転写体を水上に引き上げる前に、前記水槽内に残存している残存フィルムを除去することを特徴とする。
さらに、転写層が有機溶剤に溶解可能な活性エネルギー線硬化性樹脂層を含んだ水圧転写用フィルムの場合、残存フィルムの除去をする前に、残存フィルムに対し活性エネルギー線を照射すると、残存フィルムを除去しやすくなり、生産性を向上することができる。
図1および図2は、本発明における第1の実施の形態を示す図であって、本発明を適用した物品の水圧転写方法を示す図である。
水圧転写装置10は、水槽11と、昇降装置12と、吸引手段としてのバキューム装置20,20Aとを備えている。
昇降ユニット13は、昇降装置12の昇降駆動部(図示略)によって昇降される。
保持部14は、昇降ユニット13の下部に複数配置され、転写部位3aを含む被転写体3を保持するようになっている。
吸引部16は、昇降ユニット13の側面から突出されたアーム部16bの先端に取り付けられている。ここではアーム部16b自体を、バキューム装置20Aと吸引部16との間の吸引用配管の一部として機能させているが、これに限定されず、別途ホース等を設けてもよい。
吸引部21は、水槽11の周縁部に設けられ、その吸引口21aが水面の位置となるように、水面に対して上下あるいは左右方向に移動可能となるように複数配置されている。
駆動部25は、バキューム装置本体22の下部に設けられ、図示しない電源を入れて稼働させると吸引力を発生させ、吸引部21から吸引した物体をホース23および不織布袋25を通過させてバキューム装置本体22内に吸引させるようになっている。
また、水圧転写装置10には、制御部50が設けられている。この制御部50は、昇降装置12およびバキューム装置本体22に接続されており、これら昇降装置12およびバキューム装置本体22の駆動を制御するものである。
水圧転写フィルム2が水面上に設置されると、水圧転写フィルム2の下面側に具備されたPVA2aは、水膨潤性を有していることから水1を吸着して軟化する。一方、水圧転写フィルム2の上面側に具備されたインキ皮膜2bは、疎水性を有していることから、固体状態を保持している。PVA2aは、水温が摂氏30度の場合、2分程度で軟化する。
1)水面に向かってフィルム上に直接、活性エネルギー線を照射する方法、
2)転写水槽の底面または側面の全面または一部に活性エネルギー線を透過する材質を用い、転写水槽の内部に活性エネルギー線を照射する方法、
3)水中に向かって活性エネルギー線を照射し、転写水槽床面に敷いた鏡で反射させる方法
等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量は、活性剤を含んでいる残存フィルム2’の水面上への溶出を抑制することが出来る照射量、すなわち、活性エネルギー線硬化性樹脂層の最終硬化に必要なエネルギーの0.01%以上であればよい。
上記第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
吸着装置40は、吸着体41と、アーム42と、駆動部43とを備えており、駆動部43を作動させることによって吸着体41が昇降ユニット13に取り付けられたアーム42を介して水面上で移動自在となるようになっている。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記第2の実施の形態において、吸着体31は、上記の位置に配置されているものに限らず、残存フィルム2’に含まれるPVA2a’が沈降する前に、その残存フィルム2’を除去する際に有効な位置に配置されていればよい。
(参考例1)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製
トリメチロールプロパン2モル当量とヘキサメチレンジイソシアネート5モル当量とヒドロキシエチルメタクリレート4モル当量を60℃で反応して得られる平均4官能ウレタンアクリレート65部とロームアンドハース社製のアクリル樹脂、商品名パラロイドA−11(Tg100℃、質量平均分子量125,000)35部とチバガイギー社製光重合開始剤イルガキュア184(アセトフェノン系光重合開始剤)を全樹脂量に対して3%を有機溶剤(酢酸エチル:メチルエチルケトン1:1)に溶解し、固形分量が40質量%になるように調製して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物A1を得た。
東洋紡株式会社製の無延伸ポリプロピレンフィルム(30μm)に、大日本インキ製ウレタンインキ(商品名:ユニビアA)を用い、グラビア4色印刷機で木目柄(厚さ3μm)を印刷して印刷フィルムCを得た。
トーセロ株式会社製のポリビニルアルコールフィルム(厚さ30μm)に参考例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物A1をグラビアコーターで固形分膜厚20μmになるように塗布した。60℃で2分乾燥した後、このフィルムのトップコート層と印刷フィルムCの印刷インキ層を合わせて、60℃で加熱ラミネートし、ラミネートしたフィルムを巻き取って保管した。水圧転写に際して、得られたフィルムからポリプロピレンフィルムを剥離し、トップコート層と装飾層を有する水圧転写用フィルムB1を得た。
残存フィルム吸引ノズルを付したステンレス製の水槽に28℃の温水を入れ、水圧転写用フィルムB1の硬化樹脂層側を上面にして水に浮かべた。2分秒後、活性剤(キシレン:MIBK:酢酸ブチル:イソプロパノール=5:2:2:1)を40g/m2噴霧し、ABS製自動車内装パネルを残存フィルム吸引ノズルつき挿入機に設置し、水圧転写用フィルムの硬化樹脂層面に押しつけながら水中へ沈めて、硬化樹脂層からなる転写層をABS製自動車内装パネルに水圧転写した。(フィルム面積の70%を転写)
被転写物は、吸引終了後に、水上に引き上げられ、わずかに残った残存フィルムは、水面を平行移動する吸引ノズルによって除去した。回収した残存フィルムから算出した除去率は約99%であった。転写終了から、次のフィルムを養生させる間での時間は、45秒であった。
実施例1と同様の方法で水圧転写を行なった後、得られた被転写体を水から引き上げることなく、被転写物が全面水没すると同時に、高圧水銀ランプを水中に向けて5秒間点灯し、水槽床面に敷いた鏡で反射させることにより、3〜6mJ/cm2の照射量の紫外線を被転写体及び転写されずに周囲に残ったフィルムに照射した。続いて、挿入機に設置された吸引機と、水槽左右に設置した吸引機が同時に作動を開始し、15秒の吸引で残存フィルム回収した。回収した残存フィルムから算出した除去率は約99%であった。転写終了から、次のフィルムを養生させる間での時間は、30秒であった。
残存フィルム濾過槽を付したステンレス製の水槽に28℃の温水を入れ、実施例1と同様に水圧転写した。
得られた被転写体をそのまま水から引き上げ、被転写物を引き上げてから、水槽内のガイドを移動させ、残存フィルムを下流の濾過槽まで移動させた。
被転写物は、実施例1と同様に後処理され、表面平滑性と光沢に優れた成形品を得たが、残存フィルムが数多く付着し、カス付着による欠陥は約50〜100個/m2であった。転写終了から、次のフィルムを養生させる間での時間は、沈降したものを無視すれば3分であった。
実施例1と同様の残存フィルム吸引ノズルを付したステンレス製の水槽に28℃の温水を入れ、実施例1と同様な手法で水圧転写した。
得られた被転写体を水から引き上げた後に、挿入機に設置された吸引機と、水槽左右に設置した吸引機が同時に作動を開始し、15秒の吸引で残存フィルム回収した。回収できなかったフィルムは、転写フィルムの約7%であった。
被転写物は、吸引終了後に、水上に引き上げられ、わずかに残った残存フィルムは、水面を平行移動する吸引ノズルによって除去したが、数%のフィルムが沈降し、回収不可能となった。回収した残存フィルムから算出した除去率は約95%であった。転写終了から、次のフィルムを養生させるまでの時間は、1分40秒であった。
2 水圧転写フィルム
3 水圧転写体
10 水圧転写装置
11 水槽
12 昇降装置
15 吸引部
16 吸引部
20 バキューム装置
20A バキューム装置
21 吸引部
30 吸着装置
31 吸着体
40 吸着装置
41 吸着体
Claims (7)
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とを有する水圧転写フィルムを、前記転写層を上にして水槽に貯溜された水に浮かべ、有機溶剤により前記転写層を活性化し、前記転写層が転写される物品である被転写体を上から前記水圧転写フィルムに押し付けて、前記被転写体のうち、前記水圧転写フィルムの転写層を転写させる転写部位を含む部分を前記水槽内の水中に水没させた後、前記被転写体を水上に引き上げる前に、前記水槽内に残存している残存フィルムを除去することを特徴とする物品の水圧転写方法。
- 前記転写層が、前記支持体上に、有機溶剤に溶解可能な硬化性樹脂層を積層させるか、または該硬化性樹脂層とその上に更に有機溶剤に溶解可能な印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層とをこの順に積層させた請求項1記載の水圧転写用フィルム。
- 前記除去が、吸引手段による吸引である請求項1または2に記載の物品の水圧転写方法。
- 前記吸引手段が、バキューム装置である請求項3に記載の物品の水圧転写方法。
- 前記吸引手段が、吸着体である請求項3に記載の物品の水圧転写方法。
- 前記除去をする前に、残存フィルムに対し活性エネルギー線を照射する請求項2から5のいずれか一項に記載の水圧転写方法。
- 請求項1〜6の物品の水圧転写方法によって水中から引き上げた被転写体に付着している支持体フィルムを除去して、前記転写層が前記転写部位に付着されて一体化された水圧転写体を得ることを特徴とする水圧転写体の製造方法。
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