JP4033033B2 - 水圧転写方法および水圧転写装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水圧転写方法および水圧転写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水圧転写装置は、水圧転写装置に設けられ水圧転写フィルムを水面上に浮かべた水槽内に曲面等の3次元形状面を表面に有する被転写体を浸水あるいは水没させ、水圧転写フィルムを被転写体の転写部位に水圧によって付着させる装置である。
ここで、水圧転写フィルムは、水溶性あるいは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、その支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性物質からなる転写層とを有している。支持体フィルムとしては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)等があり、また、転写層としては、例えば印刷インキ皮膜または塗装皮膜等がある。
【0003】
また、水圧転写フィルムにおいて、その転写層が、活性エネルギー線照射あるいは加熱の少なくとも一種で硬化可能な硬化性樹脂層を有する水圧転写フィルムがあり、その水圧転写フィルムについては、特にトップコート付水圧転写フィルムと呼んでいる。ここで、硬化性樹脂層としては、例えば下記の(1)〜(6)が挙げられる。
(1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(2)活性エネルギー線硬化性樹脂と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(3)熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(4)熱硬化性樹脂と非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(5)活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(6)活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂および非重合性の熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
【0004】
この水圧転写装置を用いて水圧転写フィルムを水面上に浮かべる場合、水圧転写フィルムと水との間に気泡を含まないように着水させるために、さまざまな方法および装置が採用されている。
従来の水圧転写体の製造方法に含まれる水圧転写フィルムの着水方法として、例えば、必要な大きさにカットした水圧転写フィルムの両サイドを保持してその水圧転写フィルムが概略U字状に垂下する状態とし、転写層の水面にその水圧転写フィルムを線接触にて接触させ、その後水面との接触域を逐次拡大させることにより該水面間に空気の介在をなくした状態で水圧転写フィルムを浮かせる方法がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、水槽の上手側の一端部から下手側に向かって水の流れが形成され、その水流方向と同方向に水圧転写フィルムが水槽の一端部に設けられたロールからその水槽に繰り出されるようになっており、水圧転写フィルムがロールからその水槽に繰り出される速度より水流の流速を僅かに速く設定して、水圧転写フィルムを水面に着水させる際に、水圧転写フィルムにしわが発生しないようにする水圧転写装置がある(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−43100号公報(第2−3頁、第3図)
【特許文献2】
国際公開第98/40215号パンフレット(第24頁、第8図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の水圧転写体の製造方法および水圧転写装置においては、水圧転写フィルムを線接触によって着水させる際、その水圧転写フィルムを水面上からある程度撓ませることによって水面に着水させるため、水圧転写フィルムが水面に接触する線上でその線方向の微小な凹凸、すなわちたるみが生じることで水圧転写フィルムと水面との間に気泡を含むことが避けられなかった。特に、冬季のように低湿度の際には柔軟性が低下する水圧転写フィルムの場合には、そのフィルムの柔軟性が足りないために気泡が入りやすくなっていた。
【0008】
水圧転写フィルムと水面との間に気泡を含んだ場合、PVAの膨潤が妨げられ、活性剤噴霧後、インキ面が破断し、穴状の転写欠陥を生じさせてしまうという問題があった。
このように水圧転写フィルムと水面との間に気泡を含んだ場合には、手動によって気泡を取り除かざるを得ず、したがって時間と手間を要していた。
【0009】
また、水圧転写フィルムの支持体であるPVAは、着水後、3〜10秒ほどで、水の浸透によりPVAが膨潤する際にフィルムの伸縮現象が見られる。これによって、フィルムは着水位置から内側に向かって一度フィルムが急激に収縮した後に外側に向かって延展する。インキが活性化されていない状態では初期の寸法より大きくなることはない。しかしながら、収縮した際に、端部が水面より上方で固定されていると、固定部から収縮に伴ってしわが生じ、しわがひどい場合には、PVA面同士が付着してはがれなくなる問題があった。
【0010】
上記従来の水圧転写体の製造方法および水圧転写装置においては、水圧転写フィルムを水に着水させる際、着水位置から支持体であるPVAを伝播しながらPVA内を拡散する水の拡散速度が速いため、着水開始時に着水した部分における水圧転写フィルムに含まれるPVAの膨潤が進行し、前述の時間をおいてから伸縮挙動が開始される。その水圧転写フィルムを水に着水させながら水圧転写フィルムと水との接触面積を増大させる着水速度がPVAの膨潤に伴う伸縮開始速度より遅い場合、PVAが収縮した部分が、着水箇所と近くなり、その後の延展時に端部が固定されているためしわが回復しない。このような水圧転写フィルムでは被転写体に転写させる際にしわが筋目となって転写されるという問題や、着水開始時に着水した部分と着水終了時に着水した部分との水圧転写フィルムの膨潤に伴う伸縮の差が生じ、水圧転写フィルムが不均等に転写される等の不具合が生じてしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、内部に気泡を含むことあるいは不均等に転写されることによる水圧転写フィルムの欠陥を生じさせない水圧転写方法および水圧転写装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とを有する水圧転写フィルムを前記転写層を上にして水に浮かべ、前記水圧転写フィルムに被転写体を押し付け、有機溶剤によって活性化させておいた前記転写層を前記被転写体に転写した後、前記水圧転写フィルムが付着したままの前記被転写体に、前記水圧転写フィルムから前記支持体フィルムを除去する水圧転写体の製造方法であって、前記水圧転写フィルムを前記水に浮かべる際、前記水圧転写フィルムの底面を前記水圧転写フィルムの周縁部のうちいずれか一点である端点で前記水に着水させ、前記端点を部材で固定しながら前記端点から連続的に前記水圧転写フィルムの底面を前記水に着水させることを特徴とする。
【0013】
また、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とを有する水圧転写フィルムを前記転写層を上にして水に浮かべる水圧転写用水槽と、前記水圧転写フィルムを前記水圧転写用水槽に貯溜された水に着水させるフィルム着水装置とを備え、前記水圧転写用水槽内で前記水圧転写フィルムに被転写体を押し付けて前記被転写体に前記水圧転写フィルムを転写する水圧転写装置であって、前記フィルム着水装置は、前記水圧転写フィルムを前記水に浮かべる際、前記水圧転写フィルムを前記水圧転写フィルムの周縁部のうちいずれか一点である端点で前記水に着水させ、前記端点を部材で固定しながら前記端点から連続的に前記水圧転写フィルムの底面を前記水に着水させることを特徴とする。
【0014】
フィルム着水装置が水圧転写フィルムを水に浮かべる際、水圧転写フィルムをその水圧転写フィルムの周縁部のうちいずれか一点である端点で水に着水させ、端点を押え部材で固定しながら端点から連続的に水圧転写フィルムの底面を水に着水させることにより、着水開始時に水圧転写フィルムと水面との接触の際に気泡を含まずに水圧転写フィルムを水に着水させ、その後も気泡を含まないように水圧転写フィルムを着水させることとなる。
【0015】
また、水圧転写フィルムを端点で水に着水させ、端点を部材で固定しながら端点から連続的に水圧転写フィルムを水に着水させることにより、着水開始時から着水終了時までの時間を要しないため、着水開始時に着水された部分における水圧転写フィルムと着水終了時に着水された部分における水圧転写フィルムとの膨潤に伴う伸縮の差が生じないため、着水開始時にしわが発生することなく、かつ着水された部分と着水終了時に着水された部分とで水圧転写フィルムが不均等に転写されることが回避されることとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明における第1の実施の形態を示す図であって、本発明を適用した水圧転写装置を示す図である。
水圧転写装置10は、図1〜図4に示すように、水圧転写用水槽11と、昇降装置12と、バキューム装置20,20Aと、フィルム着水装置30とを備えている。
【0017】
水圧転写用水槽11には、例えば摂氏30度の水1が貯溜されており、その水面には膜状に形成された水圧転写フィルム2がフィルム引き込み用チャックによって引き込まれ、水上に浮かべて設置される。この水圧転写フィルム2は、水溶性あるいは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム、例えばPVA(ポリビニルアルコール)2aと、有機溶剤に溶解可能な疎水性物質からなる転写層、例えばインキ皮膜2bとを有している。水圧転写フィルム2は、下部にPVA2aが配置され、上部にインキ皮膜2bが配置されている。それらPVA2aとインキ皮膜2bとの間には、活性化エネルギー線照射あるいは加熱の少なくとも一種で硬化可能なトップコート層、例えば熱硬化性樹脂2cが介在されている。なお、この水圧転写フィルム2には、熱硬化性樹脂2cが含まれていない場合もある。
【0018】
昇降装置12は、昇降ユニット13と、保持部14と、吸引部15,16とを備え、水圧転写用水槽11の上方に設けられている。
昇降ユニット13は、昇降装置12の昇降駆動部(図示略)によって昇降される。
保持部14は、昇降ユニット13の下部に複数配置され、被転写部位3aを含む被転写体3を保持するようになっている。
【0019】
吸引部15は、図2(a)に示すように、ホース23Aを介してバキューム装置本体22Aと接続されており、バキューム装置20Aの駆動部24Aが駆動して発生する吸引力によって吸引口15aから水1に浮遊する物体を吸引できるようになっている。
吸引部16は、昇降ユニット13の側面から突出されたアーム部16bの先端に取り付けられている。ここではアーム部16b自体を、バキューム装置20Aと吸引部16との間の吸引用配管の一部として機能させているが、これに限定されず、別途ホース等を設けてもよい。
【0020】
バキューム装置20は、図2(b)に示すように、吸引部21と、バキューム装置本体22と、ホース23と、駆動部24とを備えている。
吸引部21は、水圧転写用水槽11の周縁部に設けられ、その吸引口21aが水面の位置となるように、水面に対して上下あるいは左右方向に移動可能となるように複数配置されている。
【0021】
バキューム装置本体22は、その内部に不織布袋25を備え、吸引部21とバキューム装置本体22とを接続するホース23が取り付けられている。
駆動部24は、バキューム装置本体22の下部に設けられ、図示しない電源を入れて稼働させると吸引力を発生させ、吸引部21から吸引した物体をホース23および不織布袋25を通過させてバキューム装置本体22内に吸引させるようになっている。
また、水圧転写装置10には、制御部50が設けられている。この制御部50は、昇降装置12およびバキューム装置本体22に接続されており、これら昇降装置12およびバキューム装置本体22の駆動を制御するものである。
【0022】
フィルム着水装置30は、図4に示すように、水圧転写用水槽11の幅方向に延在して平行に配置された複数の延在棒状部61と、複数の延在棒状部61に隣接して配置され、扇形に開閉可能に支持された複数の扇状部62とを有し、上部に水圧転写フィルム2を搭載され、水1の水面方向に移動して水圧転写フィルム2を水面に着水させるステージ63と、ステージ63を巻回されるロール部64と、ロール部64を回転させる駆動部65と、複数の扇状部62を回転させる駆動部66と、水圧転写フィルム2を固定する押え部材67とを備えている。また、このフィルム着水装置30は、水圧転写フィルム2を引き出す前に巻かれているロール部68と、引き出された水圧転写フィルム2をカットする切断部69と、水圧転写フィルム2の先端を保持して引き出すチャック70とを備えている。
【0023】
この水圧転写装置10を用いる場合、フィルム着水装置30によって水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に水圧転写フィルム2を着水させた後、その水圧転写装置10に設けられた昇降ユニット13に保持された被転写体3を、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、被転写体3に水圧転写フィルム2を付着させて転写を行った後、被転写体3に付着せずに水圧転写フィルム2からトリミングされて残存した残存フィルム2’が浮遊して拡散する前に、吸引部15,16,21それぞれを備えたバキューム装置20,20Aを作動させ、その残存フィルム2’を水面から除去する。
【0024】
すなわち、ロール部68に巻回された水圧転写フィルム2の先端をチャック70で保持しながら水圧転写フィルム2を引き出して、扇状部62が扇形に開かれた状態で水圧転写用水槽11上に敷設されたステージ63上にその水圧転写フィルム2を搭載した後、切断部69によって水圧転写フィルム2の後端を切断し、押え部材67によって水圧転写フィルム2の端点を押えて固定しながら、水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、水圧転写フィルム2の先端からチャック70を取り外す。
【0025】
そして、駆動部66を作動させ、扇状部62を閉じながら押え部材67の位置から水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させる。扇状部62が閉じたときに駆動部66を停止させるとともに、駆動部65を作動させロール部64を回転させながらステージ63をロール部64に巻回させて、水圧転写フィルム2を連続的に水1に着水させる。
【0026】
図8に示すように、水圧転写フィルム2が水面上に設置されると、水圧転写フィルム2の下面側に具備されたPVA2aは、水膨潤性を有していることから水1を吸着して一度凝集してから膨潤して軟化する。一方、水圧転写フィルム2の上面側に具備されたインキ皮膜2bは、疎水性を有していることから、硬化した状態を保持している。PVA2aは、水温が摂氏30度の場合、2分程度で軟化する。
ここで、PVA2aが水1に接触したときのPVA2aの凝集速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、ステージ63をロール部64に巻回させる。
【0027】
PVA2aが軟化した後、図示しないノズルを水圧転写フィルム2の表面の上方で左右に移動させながら、活性剤である有機溶剤を水圧転写フィルム2の表面の隅々まで均一に噴霧して、水圧転写フィルム2の表面を活性化させる。このとき、水圧転写フィルム2の上面側に具備されたインキ皮膜2bが噴霧された有機溶剤によって活性化されて軟化する。
【0028】
その後、水圧転写用水槽11の上方に設けられた昇降ユニット13に保持された被転写体3を昇降ユニット13によって下方に移動させてその被転写体3を水圧転写フィルム2に接触させ、そのまま昇降ユニット13を下方に移動させることによって被転写体3を水圧転写フィルム2に押し付けて被転写体3を水没させて、被転写体3の表面に水圧転写フィルム2を付着させる。このとき、水圧転写フィルム2と被転写体3との間に気泡が入らないように被転写体3を沈下させる。また、昇降ユニット13に設けられた吸引部15の吸引口15aが水面の位置となるまで、昇降ユニット13を下方に移動させる。
【0029】
図3に示すように、被転写体3を水没させると、被転写体3のうち少なくとも水圧転写フィルム2に含まれるインキ皮膜2bおよびトップコート層2cが転写される被転写部位3aに水圧転写フィルム2が付着し、水圧転写フィルム2の一部は被転写部位3aに付着されずに残存フィルム2’となって水圧転写フィルム2からトリミングされる。この残存フィルム2’は、被転写体3の被転写部位3aに水圧転写フィルム2が付着した後には被転写体3に対して不用の物体となって水面上に浮かんで、残存フィルム2’に含まれているPVA2a’が溶解するとともに膨潤して、時間の経過とともに沈降する。
【0030】
水圧転写フィルム2の一部が被転写体3の被転写部位3aに付着されずに残存フィルム2’となって水圧転写フィルム2からトリミングされた後、残存フィルム2’に含まれるPVA2a’が浮遊して拡散する前に、吸引部15,16,21それぞれを備えたバキューム装置20,20Aを作動させ、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1の表面に浮遊する残存フィルム2’をそれぞれの吸引部15,16,21から吸引して、その残存フィルム2’を水面から除去する。ここで、例えばバキューム装置20の駆動部24を作動させて残存フィルム2’が吸引部21から吸引されると、ホース23を通過して不織布袋25に蓄積されて塊状になるとともに、その残存フィルム2’と同時に吸引された水がホース23を通過した後不織布袋25を通過して、バキューム装置本体22に蓄積されることとなる。
【0031】
昇降ユニット13が下方に移動することによって被転写体3を水没させた後、被転写体3の被転写部位3aから水圧転写フィルム2がトリミングされ、トリミングが終了した時点を基準として、その被転写体3が水没したことを検出する信号が図示しない検出装置によって制御部50に入力されると、残存フィルム2’が溶解するとともに膨潤して沈降する前に、この制御部50からバキューム装置本体22に対して吸引開始の指令が出力され、バキューム装置本体22による吸引が開始されることとなる。
【0032】
吸引部15,16,21によって残存フィルム2’が除去された後、被転写体3が昇降ユニット13によって保持されたまま水圧転写用水槽11から引き上げられる。このとき、被転写体3の被転写部位3aに付着した水圧転写フィルム2の表面には、PVA2aが膨潤して付着した状態を維持している。
【0033】
この場合、フィルム着水装置30が水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11に貯溜された水1に浮かべる際、水圧転写フィルム2をその水圧転写フィルム2の端点で水1に着水させ、端点を押え部材67で固定しながら端点から連続的に水圧転写フィルム2の底面を水1に着水させることにより、着水開始時に水圧転写フィルム2と水面との接触の際に気泡を含まずに水圧転写フィルム2を水1に着水させ、その後も気泡を含まないように水圧転写フィルム2を着水させることとなる。
【0034】
また、PVA2a内を水が伝播しながら拡散しPVAが膨潤に伴って伸縮を開始する速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、ステージ63をロール部64に巻回させることにより、水圧転写フィルム2に含まれているPVA2aが膨潤に伴って伸縮を開始する前に水圧転写フィルム2が着水されるため、水圧転写フィルム2の着水開始からその着水終了まで大きな時間差を生じることなく着水され、かつPVA2aが水1に着水する前に膨潤に伴う伸縮が開始、進行することがない。したがって、PVA2aの膨潤の差を生じる欠陥、すなわち不均等に転写される欠陥を有する水圧転写フィルム2を回避することとなる。
【0035】
上記の構成によれば、着水開始時に水圧転写フィルム2と水面との接触の際に気泡を含まずに水圧転写フィルム2を水1に着水させ、その後も気泡を含まないように水圧転写フィルム2を着水させることとなるので、内部に気泡を含むことによる水圧転写フィルムの欠陥を生じさせない水圧転写方法および水圧転写装置を提供することができる。
【0036】
また、水圧転写フィルム2に含まれているPVA2aが膨潤に伴って伸縮を開始する前に水圧転写フィルム2が着水されるため、水圧転写フィルム2の着水開始からその着水終了まで大きな時間差を生じることなく着水され、かつPVA2aが水1に着水する前に膨潤に伴って伸縮を開始、進行することがないので、不均等に転写されることによる水圧転写フィルムの欠陥を生じさせない水圧転写方法および水圧転写装置を提供することができる。
【0037】
図5は、本発明における第2の実施の形態を示す図であって、本発明を適用した水圧転写装置に備えられたフィルム着水装置を示す図である。
水圧転写装置10において、フィルム着水装置30を除き、上記第1の実施の形態と同一構成要素であり、同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
フィルム着水装置30は、水圧転写用水槽11の周縁部に支持されて回転可能とされた複数の回転棒状部71を有し、上部に水圧転写フィルム2を搭載され、水1の水面方向に回転移動させて水圧転写フィルム2を水面に着水させるステージ72と、その複数の回転棒状部71を回転させる駆動部73と、水圧転写フィルム2を固定する押え部材74とを備えている。また、このフィルム着水装置30は、水圧転写フィルム2を引き出す前に巻かれているロール部75と、引き出された水圧転写フィルム2をカットする切断部76と、水圧転写フィルム2の先端を保持して引き出すチャック77とを備えている。
【0039】
この水圧転写装置10を用いる場合、フィルム着水装置30によって水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に水圧転写フィルム2を着水させた後、その水圧転写装置10に設けられた昇降ユニット13に保持された被転写体3を、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、被転写体3に水圧転写フィルム2を付着させて転写を行った後、被転写体3に付着せずに水圧転写フィルム2からトリミングされて残存した残存フィルム2’が浮遊して拡散する前に、吸引部15,16,21それぞれを備えたバキューム装置20,20Aを作動させ、その残存フィルム2’を水面から除去する。
【0040】
すなわち、ロール部75に巻回された水圧転写フィルム2の先端をチャック77で保持しながら水圧転写フィルム2を引き出して、回転棒状部71が水圧転写用水槽11の表面を覆うように配置された状態で敷設されたステージ72上に水圧転写フィルム2を搭載した後、切断部76によって水圧転写フィルム2の後端を切断し、押え部材74によって水圧転写フィルム2の周縁部の一点を押えて固定しながら水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、水圧転写フィルム2の先端からチャック77を取り外す。
【0041】
そして、駆動部73を作動させ、回転棒状部71を矢印の方向に回転させながら、押え部材74の位置から水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に連続的に着水させる。回転棒状部71が水圧転写用水槽11の表面から水圧転写用水槽11の周縁部に移動終了後、駆動部73を停止させる。
【0042】
図8に示すように、水圧転写フィルム2が水面上に設置されると、水圧転写フィルム2の下面側に具備されたPVA2aは、水膨潤性を有していることから水1を吸着して一度凝集してから膨潤して軟化する。一方、水圧転写フィルム2の上面側に具備されたインキ皮膜2bは、疎水性を有していることから、硬化した状態を保持している。PVA2aは、水温が摂氏30度の場合、2分程度で軟化する。
ここで、PVA2aが水1に接触したときのPVA2aの膨潤に伴う伸縮開始速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、ステージ72を移動させる。
その後の工程については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0043】
この場合、フィルム着水装置30が水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11に貯溜された水1に浮かべる際、水圧転写フィルム2をその水圧転写フィルム2の端点で水1に着水させ、端点を押え部材74で固定しながら水圧転写フィルム2の周縁部の一点から連続的に水圧転写フィルム2の底面を水1に着水させることにより、着水開始時に水圧転写フィルム2と水面との接触の際に気泡を含まずに水圧転写フィルム2を水1に着水させ、その後も気泡を含まないように水圧転写フィルム2を着水させることとなる。
【0044】
また、PVA2a内を水1が伝播しながら拡散し、PVA2aが膨潤に伴って伸縮を開始する速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、ステージ72を移動させることにより、水圧転写フィルム2に含まれているPVA2aが膨潤に伴って伸縮を開始する前に水圧転写フィルム2が着水されるため、水圧転写フィルム2の着水開始からその着水終了まで大きな時間差を生じることなく着水され、かつPVA2aが水1に着水する前に膨潤に伴って伸縮を開始、進行することがない。したがって、PVA2aの膨潤に伴う伸縮の差を生じる欠陥、すなわち不均等に転写される欠陥を有する水圧転写フィルム2を回避することとなる。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0045】
図6は、本発明における第3の実施の形態を示す図であって、本発明を適用した水圧転写装置に備えられたフィルム着水装置を示す図である。
水圧転写装置10において、フィルム着水装置30を除き、上記第1の実施の形態と同一構成要素であり、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
フィルム着水装置30は、水1の水面を覆うように設けられ、かつ周縁部の一部に曲線を有しその外側に凹部81aが設けられた平面部81を有し、上部に水圧転写フィルム2を搭載され、水1の水面方向に移動して水圧転写フィルム2を水1の水面に着水させるステージ82と、ステージ82を巻回されるロール部83と、ロール部83を回転させる駆動部84と、水圧転写フィルム2を固定する押え部材85とを備えている。また、このフィルム着水装置30は、水圧転写フィルム2を引き出す前に巻かれているロール部86と、引き出された水圧転写フィルム2をカットする切断部87と、水圧転写フィルム2の先端を保持して引き出すチャック88とを備えている。
【0047】
この水圧転写装置10を用いる場合、フィルム着水装置30によって水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に水圧転写フィルム2を着水させた後、その水圧転写装置10に設けられた昇降ユニット13に保持された被転写体3を、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、被転写体3に水圧転写フィルム2を付着させて転写を行った後、被転写体3に付着せずに水圧転写フィルム2からトリミングされて残存した残存フィルム2’が浮遊して拡散する前に、吸引部15,16,21それぞれを備えたバキューム装置20,20Aを作動させ、その残存フィルム2’を水面から除去する。
【0048】
すなわち、ロール部86に巻回された水圧転写フィルム2の先端をチャック88で保持しながら水圧転写フィルム2を引き出して、平面部81が水圧転写用水槽11の表面を覆うように配置された状態で敷設されたステージ82上に水圧転写フィルム2を搭載した後、切断部87によって水圧転写フィルム2の後端を切断し、押え部材85によって水圧転写フィルム2の周縁部の一点を押えて固定して、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、水圧転写フィルム2の先端からチャック88を取り外す。
【0049】
そして、ステージ82を巻回されたロール部83に接続された駆動部84を作動させ、ロール部83を回転させながらステージ82を巻回させて、押え部材85の位置から水圧転写フィルム2を、凹部81から落とし込むようにして、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に連続的に着水させる。水圧転写フィルム2の着水が完了し、ステージ82がロール部83に巻回されて水圧転写用水槽11の表面から水圧転写用水槽11の周縁部に移動終了後、駆動部84を停止させる。
【0050】
図8に示すように、水圧転写フィルム2が水面上に設置されると、水圧転写フィルム2の下面側に具備されたPVA2aは、水膨潤性を有していることから水1を吸着して一度凝集してから膨潤して軟化する。一方、水圧転写フィルム2の上面側に具備されたインキ皮膜2bは、疎水性を有していることから、硬化した状態を保持している。PVA2aは、水温が摂氏30度の場合、2分程度で軟化する。
ここで、PVA2aが水1に接触したときのPVA2aの膨潤に伴う伸縮開始速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、駆動部84を駆動させてロール部83を回転させ、ステージ82を移動させる。
その後の工程については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0051】
この場合、フィルム着水装置30が水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11に貯溜された水1に浮かべる際、水圧転写フィルム2をその水圧転写フィルム2の端点で水1に着水させ、端点を押え部材85で固定しながら水圧転写フィルム2の周縁部の一点から連続的に水圧転写フィルム2の底面を水1に着水させることにより、着水開始時に水圧転写フィルム2と水面との接触の際に気泡を含まずに水圧転写フィルム2を水1に着水させ、その後も気泡を含まないように水圧転写フィルム2を着水させることとなる。
【0052】
また、PVA2a内を水1が伝播しながら拡散し、PVA2aが膨潤し、伸縮を開始する速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、ステージ82を移動させることにより、水圧転写フィルム2に含まれているPVA2aが膨潤に伴って伸縮を開始する前に水圧転写フィルム2が着水されるため、水圧転写フィルム2の着水開始からその着水終了まで大きな時間差を生じることなく着水され、かつPVA2aが水1に着水する前に膨潤に伴って伸縮を開始、進行することがない。したがって、PVA2aの膨潤に伴う伸縮の差を生じる欠陥、すなわち不均等に転写される欠陥を有する水圧転写フィルム2を回避することとなる。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0053】
図7は、本発明における第4の実施の形態を示す図であって、本発明を適用した水圧転写装置に備えられたフィルム着水装置を示す図である。
水圧転写装置10において、フィルム着水装置30を除き、上記第1の実施の形態と同一構成要素であり、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
フィルム着水装置30は、水圧転写用水槽11の幅方向に延在して平行に配置された複数の延在棒状部91を有し、上部に水圧転写フィルム2を搭載され、水1の水面方向に移動して水圧転写フィルム2を水1の水面に着水させるステージ92と、ステージ92を巻回されるロール部93と、ロール部93を回転させる駆動部94と、水圧転写フィルム2を固定する押え部材95とを備えている。複数の延在棒状部91において、ロール部93側と反対側の一端に設けられた延在棒状部91aの中央には、V字状の切欠き部91bが設けられている。
また、このフィルム着水装置30は、水圧転写フィルム2を引き出す前に巻かれているロール部96と、引き出された水圧転写フィルム2をカットする切断部97と、水圧転写フィルム2の先端を保持して引き出すチャック98とを備えている。
【0055】
この水圧転写装置10を用いる場合、フィルム着水装置30によって水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に水圧転写フィルム2を着水させた後、その水圧転写装置10に設けられた昇降ユニット13に保持された被転写体3を、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、被転写体3に水圧転写フィルム2を付着させて転写を行った後、被転写体3に付着せずに水圧転写フィルム2からトリミングされて残存した残存フィルム2’が浮遊して拡散する前に、吸引部15,16,21それぞれを備えたバキューム装置20,20Aを作動させ、その残存フィルム2’を水面から除去する。
【0056】
すなわち、ロール部96に巻回された水圧転写フィルム2の先端をチャック98で保持しながら水圧転写フィルム2を引き出して、延在棒状部91が水圧転写用水槽11の表面を覆うように配置された状態で敷設されたステージ92上に水圧転写フィルム2を搭載した後、切断部97によって水圧転写フィルム2の後端を切断し、押え部材95によって水圧転写フィルム2の周縁部の一点を押えて固定しながら、水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に着水させ、水圧転写フィルム2の先端からチャック98を取り外す。
【0057】
そして、ステージ92を巻回されたロール部93に接続された駆動部94を作動させ、ロール部93を回転させながらステージ92を巻回させて、押え部材85の位置から水圧転写フィルム2を、複数の延在棒状部91のうちロール部93側と反対側の一端に設けられた延在棒状部91aの中央にV字状の切欠き部91bから落とし込むようにして、水圧転写用水槽11内に貯溜された水1に連続的に着水させる。水圧転写フィルム2の着水が完了し、ステージ92がロール部93に巻回されて水圧転写用水槽11の表面から水圧転写用水槽11の周縁部に移動終了後、駆動部94を停止させる。
【0058】
図8に示すように、水圧転写フィルム2が水面上に設置されると、水圧転写フィルム2の下面側に具備されたPVA2aは、水膨潤性を有していることから水1を吸着して一度凝集してから膨潤して軟化する。一方、水圧転写フィルム2の上面側に具備されたインキ皮膜2bは、疎水性を有していることから、硬化した状態を保持している。PVA2aは、水温が摂氏30度の場合、2分程度で軟化する。
ここで、PVA2aが水1に接触したときのPVA2aの膨潤に伴う伸縮開始速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、駆動部84を駆動させてロール部83を回転させ、ステージ82を移動させる。
その後の工程については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0059】
この場合、フィルム着水装置30が水圧転写フィルム2を水圧転写用水槽11に貯溜された水1に浮かべる際、水圧転写フィルム2をその水圧転写フィルム2の端点で水1に着水させ、端点を押え部材95で固定しながら水圧転写フィルム2の周縁部の一点から連続的に水圧転写フィルム2の底面を水1に着水させることにより、着水開始時に水圧転写フィルム2と水面との接触の際に気泡を含まずに水圧転写フィルム2を水1に着水させ、その後も気泡を含まないように水圧転写フィルム2を着水させることとなる。
【0060】
また、PVA2a内を水1が伝播しながら拡散し、PVA2aが膨潤、伸縮を開始する速度より、水圧転写フィルム2と水1との接触面積を増大させる水圧転写フィルム2の着水速度が速くなるように、ステージ92を移動させることにより、水圧転写フィルム2に含まれているPVA2aが膨潤に伴って伸縮を開始する前に水圧転写フィルム2が着水されるため、水圧転写フィルム2の着水開始からその着水終了まで大きな時間差を生じることなく着水され、かつPVA2aが水1に着水する前に膨潤に伴って伸縮を開始、進行することがない。したがって、PVA2aの膨潤に伴う伸縮の差を生じる欠陥、すなわち不均等に転写される欠陥を有する水圧転写フィルム2を回避することとなる。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0061】
なお、上記の各実施の形態において、フィルム着水装置30に設けられた駆動部が、フィルム着水装置30に制御部および検出装置を設けてそれら制御部および検出装置から検出信号を入力されて作動してもよい。
【0062】
また、上記第1あるいは第4の実施の形態において、水圧転写用水槽11の長手方向の端部にロール部64,93が設けられ、ステージ63,92が水圧転写用水槽11の長手方向に巻回されるようになっており、一方、上記第2の実施の形態において、水圧転写用水槽11の幅方向の端部にロール部83が設けられ、ステージ82が水圧転写用水槽11の幅方向に巻回されるようになっている。これらの実施の形態について、それぞれの方向を限定するものではなく、例えば、第1の実施の形態において、水圧転写用水槽11の幅方向の端部にロール部64が設けられ、ステージ63が水圧転写用水槽11の幅方向に巻回されるようになっていてもよい。
【0063】
また、上記第3の実施の形態において、ステージ82に設けられた平面部81は、上記第4の実施の形態においてステージ92に設けられた複数の延在棒状部91を用いてもよい。一方、上記第4の実施の形態において、ステージ92に設けられた複数の延在棒状部91は、上記第3の実施の形態においてステージ82に設けられた平面部81を用いてもよい。
【0064】
また、上記各実施の形態において示されたフィルム着水装置30に限らず、水圧転写フィルム2を水1に浮かべる際、水圧転写フィルム2を水圧転写フィルム2の周縁部のうちいずれか一点である端点で水1に着水させ、端点を部材で固定しながら端点から連続的に水圧転写フィルム2の底面を水1に着水させることができるフィルム着水装置30であればよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したこの発明の水圧転写方法および水圧転写装置においては、以下の効果を奏する。
本発明によれば、水圧転写フィルムに含まれている支持体フィルムが膨潤に伴って伸縮を開始する前に水圧転写フィルムが水に着水されるため、水圧転写フィルムの着水開始からその着水終了まで大きな時間差を生じることなく着水され、かつ支持体フィルムが水に着水する前に膨潤に伴って伸縮を開始、進行することがないので、不均等に転写されることによる水圧転写フィルムの欠陥を生じさせない水圧転写方法および水圧転写装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における第1の実施の形態に係る水圧転写装置の断面図である。
【図2】 本発明における第1の実施の形態に係る吸引部の接続を説明する図である。
【図3】 本発明における第1の実施の形態に係る水圧転写装置の断面図である。
【図4】 本発明における第1の実施の形態に係るフィルム着水装置を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図5】 本発明における第2の実施の形態に係るフィルム着水装置を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図6】 本発明における第3の実施の形態に係るフィルム着水装置を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図7】 本発明における第4の実施の形態に係るフィルム着水装置を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図8】 本発明における第1の実施の形態に係る水圧転写フィルムの断面図である。
【符号の説明】
1 水
2 水圧転写フィルム
3 被転写体
10 水圧転写装置
11 水圧転写用水槽
12 昇降装置
30 フィルム着水装置
63 ステージ
72 ステージ
82 ステージ
92 ステージ
Claims (7)
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とを有する水圧転写フィルムを前記転写層を上にして水に浮かべ、前記水圧転写フィルムに被転写体を押し付け、有機溶剤によって活性化させておいた前記転写層を前記被転写体に転写した後、前記水圧転写フィルムが付着したままの前記被転写体に、前記水圧転写フィルムから前記支持体フィルムを除去する水圧転写方法であって、前記水圧転写フィルムを前記水に浮かべる際、前記水圧転写フィルムの底面を前記水圧転写フィルムの周縁部のうちいずれか一点である端点で前記水に着水させ、前記端点を部材で固定しながら前記端点から連続的に前記水圧転写フィルムの底面を前記水に着水させることを特徴とする水圧転写方法。
- 前記水圧転写フィルムを前記水に着水させた後、その着水位置から前記支持体フィルムが水に接触したときの前記支持体フィルムの膨潤に伴う伸縮開始速度より、前記水圧転写フィルムと前記水との接触面積を増大させる前記水圧転写フィルムの着水速度を速くして、前記水圧転写フィルムを前記水に着水させる請求項1に記載の水圧転写方法。
- 前記端点は、前記水圧転写フィルムの隅角部のうちいずれか一点である請求項1または2に記載の水圧転写方法。
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とを有する水圧転写フィルムを前記転写層を上にして水に浮かべる水圧転写用水槽と、前記水圧転写フィルムを前記水圧転写用水槽に貯溜された水に着水させるフィルム着水装置とを備え、前記水圧転写用水槽内で前記水圧転写フィルムに被転写体を押し付けて前記被転写体に前記水圧転写フィルムを転写する水圧転写装置であって、
前記フィルム着水装置は、前記水圧転写フィルムを前記水に浮かべる際、前記水圧転写フィルムを前記水圧転写フィルムの周縁部のうちいずれか一点である端点で前記水に着水させ、前記端点を部材で固定しながら前記端点から連続的に前記水圧転写フィルムの底面を前記水に着水させることを特徴とする水圧転写装置。 - 前記フィルム着水装置が、前記水圧転写フィルムの端点を前記部材で固定したまま、前記水圧転写フィルムを、該水圧転写フィルムの前記支持体フィルムが水に接触したときの前記支持体フィルムの膨潤に伴う伸縮開始速度よりも速い速度で、前記端点から連続的に前記水に着水させる請求項4の水圧転写装置。
- 前記フィルム着水装置が、扇形に開閉可能に支持された複数の扇状部を有し、上部に前記水圧転写フィルムを搭載し、前記水の水面方向に移動して前記水圧転写フィルムを前記水面に着水させるステージと、前記水圧転写フィルムを固定する部材とを備えている請求項4に記載の水圧転写装置。
- 前記フィルム着水装置が、V字状あるいは略円弧状の切欠き部を有し、上部に前記水圧転写フィルムを搭載し、前記水の水面方向に移動して前記水圧転写フィルムを前記水面に着水させるステージと、前記水圧転写フィルムを固定する部材とを備えている請求項4に記載の水圧転写装置。
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