JP2004300724A - トンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置 - Google Patents

トンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置 Download PDF

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Abstract

【課題】シート張り台車やセントルなどの作業台車による作業に支障を来すことなく連続ベルトコンベアをトンネル内に架設でき、しかも、連続ベルトコンベアの局所的な撓みを抑制できるようにしたトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置を提供する。
【解決手段】シート張り台車4の前方の区間およびセントル5の後方の区間にて吊下げブラケット6およびニーブレス7が連続ベルトコンベア3をトンネル壁面1Aに支持する。また、シート張り台車4の前部付近からセントル5の後部付近に至る区間にて支持台車8が連続ベルトコンベア3をトンネル床盤1E上に支持するため、連続ベルトコンベア3の全体がトンネル壁面1Aに沿ってトンネル床盤1Eの上方に架設され、その局所的な撓みが確実に抑制される。シート張り台車4およびセントル5が対面するトンネル壁面には障害物が存在しないため、トンネル壁面等の覆工作業に支障を来すことがない。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、掘削されたトンネルの掘削ズリを搬出するためにトンネル内に架設されるトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネルの施工において、掘削されたトンネルの掘削ズリの搬出には、ダンプトラック等を使用するのが従来一般的であった。しかし、ダンプトラック等を使用すると、その排ガスによりトンネル内の空気が汚染されて作業環境が悪化し、また、ダンプトラック等の通行によりトンネル内の作業の安全性が低下する。このため、ダンプトラック等に代えて連続ベルトコンベアを使用することが近年多くなってきている。
【0003】
この種の連続ベルトコンベアは、トンネル壁面に着脱自在に固定される複数の支持部材(例えばチェーンやブラケットなど)や、トンネル床盤上に設置される複数の支持架台によりトンネル壁面に沿って架設されるのが一般的である。
【0004】
ところで、掘削されたトンネルの壁面および天井面には、シート張り台車により防水シートが張設され、その後、セントルにより防水シートを覆って覆工コンクリートが打設される。このようなトンネル壁面等の覆工作業に際し、前述のように連続ベルトコンベアの支持部材がトンネル壁面に固定され、あるいは、連続ベルトコンベアの支持架台がトンネル床盤上に設置されていると、これらが障害となってシート張り台車およびセントルによる覆工作業に支障を来す。
【0005】
このような事情から、シート張り台車およびセントルによりトンネル壁面等に覆工作業を施す際には、それに先立って連続ベルトコンベアを撤去する必要があるが、そうすると、連続ベルトコンベアによる掘削ズリの搬出作業を中断しなければならず、トンネル施工の作業効率が低下する。
【0006】
そこで、トンネル施工の作業効率を向上させるため、連続ベルトコンベアによる掘削ズリの搬出作業と、シート張り台車およびセントルによるトンネル内面の覆工作業とを同時に行うことができるようにしたトンネル施工装置が提案されている。
【0007】
このトンネル施工装置は、シート張り台車(シート台車部)とセントル(セントル部)の前後の区間を連続ベルトコンベアがトンネル側から支持される区間とし、それ以外のシート張り台車の前部付近からセントルの後部付近に至る区間を連続ベルトコンベアがトンネル側から支持されない区間としたものである(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特許第2899880号公報(図4および図5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載のトンネル施工装置においては、シート張り台車の前部付近からセントルの後部付近に至る区間を連続ベルトコンベアがトンネル側から支持されない区間としているため、この区間で連続ベルトコンベアが局所的に撓み、掘削ズリの搬送に支障を来す虞がある。
【0010】
そこで、本発明は、シート張り台車やセントルなどの作業台車による作業に支障を来すことなく連続ベルトコンベアをトンネル内に架設でき、しかも、連続ベルトコンベアの局所的な撓みを抑制できるようにしたトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置は、掘削されたトンネル内を移動する作業台車の移動経路を避けてトンネル内に架設されることによりトンネルの掘削ズリを搬出する連続ベルトコンベアの支持装置であって、作業台車の前方および後方のトンネル壁面に着脱自在に固定されて連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する複数の支持部材と、少なくとも作業台車の前部付近から後部付近に至る区間にて連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持する支持台車とを備え、支持台車は、作業台車の移動方向に沿ってトンネル床盤上を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置では、作業台車の前方および後方の区間にて支持部材が連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持し、少なくとも作業台車の前部付近から後部付近に至る区間にて支持台車が連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持するため、連続ベルトコンベアの全体がトンネル壁面に沿ってトンネル床盤の上方に架設され、その局所的な撓みが確実に抑制される。そして、このような連続ベルトコンベアの架設状態では、作業台車が対面するトンネル壁面に障害物が存在しないため、作業台車によるトンネル壁面等の作業に支障を来すことがない。
【0013】
トンネル壁面等の作業の進行に伴ない作業台車を所定位置まで前進移動させる場合には、作業台車の前進に邪魔となる分だけトンネル壁面から支持部材を取り外し、作業台車および支持台車を所定位置まで前進させる。そして、前進した作業台車の直後方のトンネル壁面に新たな支持部材を必要な分でけ取り付けて連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する。こうすることにより、作業台車の前進移動時においても、連続ベルトコンベアの全体がトンネル壁面に沿ってトンネル床盤の上方に架設され、その局所的な撓みが確実に抑制されると共に、作業台車は、前進した所定位置でトンネル壁面等の作業を支障なく行うことが可能となる。
【0014】
その際、トンネル壁面から支持部材が取り外される作業台車の前方位置に支持台車を移動し、また、トンネル壁面に新たな支持部材が取り付けられる作業台車の後方位置に支持台車を移動することにより、支持部材の盛り替え作業の際の連続ベルトコンベアの撓みを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置は、掘削されたトンネルの壁面および天井面に覆工作業を施すためのシート張り台車およびセントルの移動経路を避けてトンネル内に架設されることによりトンネルの掘削ズリを搬出する連続ベルトコンベアの支持装置であって、シート張り台車の移動方向前方およびセントルの移動方向後方のトンネル壁面に着脱自在に固定されて連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する複数の支持部材と、少なくともシート張り台車の前部付近からセントルの後部付近に至る区間にて連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持する支持台車とを備え、支持台車は、シート張り台車およびセントルの移動方向に沿ってトンネル床盤上を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置では、シート張り台車の前方の区間およびセントルの後方の区間にて支持部材が連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持し、少なくともシート張り台車の前部付近からセントルの後部付近に至る区間にて支持台車が連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持するため、連続ベルトコンベアの全体がトンネル壁面に沿ってトンネル床盤の上方に架設され、その局所的な撓みが確実に抑制される。そして、このような連続ベルトコンベアの架設状態では、シート張り台車およびセントルが対面するトンネル壁面に障害物が存在しないため、シート張り台車およびセントルによるトンネル壁面等の覆工作業に支障を来すことがない。
【0017】
トンネル壁面等の覆工作業の進行に伴ないシート張り台車およびセントルを所定位置まで前進移動させる場合には、シート張り台車の前進に邪魔となる分だけトンネル壁面から支持部材を取り外し、シート張り台車、支持台車およびセントルを所定位置まで前進させる。そして、前進したセントルの直後方のトンネル壁面に新たな支持部材を必要な分でけ取り付けて連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する。こうすることにより、シート張り台車およびセントルの前進移動時においても、連続ベルトコンベアの全体がトンネル壁面に沿ってトンネル床盤の上方に架設され、その局所的な撓みが確実に抑制されると共に、シート張り台車およびセントルは、前進した所定位置でトンネル壁面等の覆工作業を支障なく行うことが可能となる。
【0018】
その際、トンネル壁面から支持部材が取り外されるシート張り台車の前方位置に支持台車を移動し、また、トンネル壁面に新たな支持部材が取り付けられるセントルの後方位置に支持台車を移動することにより、支持部材の盛り替え作業の際の連続ベルトコンベアの撓みを防止することができる。
【0019】
本発明のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置において、連続ベルトコンベアのサイドフレームを支持して転動可能な支持輪体が支持台車に設けられている場合、支持台車を前進または後退させる際には、支持輪体が連続ベルトコンベアのサイドフレームを支持しつつ転動するため、支持台車は円滑に前進または後退する。
【0020】
また、本発明のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置において、連続ベルトコンベアのサイドフレームに対する横ずれ規制用のツバ部が支持台車の支持輪体に設けられていると、支持台車は、その前進または後退の際にサイドフレームに対する支持輪体の横ずれが規制されるため、サイドフレームに沿って円滑に前進または後退し、連続ベルトコンベアのサイドフレームを確実に支持する。
【0021】
さらに、本発明のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置において、支持台車の左右の車輪が作業台車の走行軌道、またはシート張り台車およびセントルの走行軌道に沿ってその側方のトンネル床盤に敷設された専用軌道上を転動する軌道車輪で構成されている場合、支持台車は、その前進または後退の際に作業台車の走行軌道またはシート張り台車およびセントルの走行軌道に沿ってその側方の専用軌道上を確実に前進または後退し、連続ベルトコンベアのサイドフレームを確実に支持してその蛇行を防止する。
【0022】
また、本発明のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置において、支持台車の左右の車輪の一方が作業台車の走行軌道またはシート張り台車およびセントルの走行軌道上を転動する軌道車輪で構成され、その他方が走行軌道の側方のトンネル床盤上を転動するタイヤ車輪で構成されている場合、支持台車は、その前進または後退の際に作業台車の走行軌道またはシート張り台車およびセントルの走行軌道に沿って確実に前進または後退し、連続ベルトコンベアのサイドフレームを確実に支持してその蛇行を防止する。
【0023】
この支持台車は、左右の車輪の一方が作業台車の走行軌道またはシート張り台車およびセントルの走行軌道の側方のトンネル床盤上ではなく、その走行軌道上に位置するため、その分、左右の車輪の間隔を広げて安定性を向上することが可能となる。
【0024】
本発明のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置において、連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する支持部材は、チェーン、吊下げブラケット、ニーブレス等で構成することができる。また、支持台車の支持輪体は、ピローブロック等により回転自在に支持された鋼製車輪やゴム車輪などで構成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置が設置されたトンネルの縦断面図、図2は図1のII−II線に沿ったトンネルの横断面図、図3は図1のIII−III線に沿ったトンネルの横断面図、図4は図1のIV−IV線に沿ったトンネルの横断面図、図5は図1のV−V線に沿ったトンネルの横断面図、図6は図2および図3に示した支持台車の拡大正面図、図7は図6に示した支持台車の側面図である。
【0026】
図1に示す一実施形態のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置は、図示しない切羽からトンネル1の掘削に伴ない発生する掘削ズリ2を片側のトンネル壁面1Aに沿って図示しないトンネル坑口側へ黒矢印で示す方向に搬出するための連続ベルトコンベア3の支持装置である。この支持装置は、図2および図3に示すように、両側のトンネル壁面1A,1Bおよびトンネル天井面1Cに覆工作業を施すためのシート張り台車4およびセントル5の移動経路を避けて連続ベルトコンベア3を支持するため、支持部材としての複数の吊下げブラケット6(図4参照)およびニーブレス7(図5参照)と、複数の支持台車8(図6、図7参照)とを備えている。
【0027】
図1に示すトンネル1は、図面の左側が図示しない切羽側であり、右側が図示しない坑口側であって、例えば500〜600m程度の掘削が完了している。トンネル1の切羽側には図示しない支保工が建込まれており、その部分から坑口側に至るトンネル壁面1A等のトンネル内面には、吹付コンクリート1Dの施工がなされている。そして、シート張り台車4の前部付近から図示しない坑口側に至るトンネル壁面1A等のトンネル内面には、吹付コンクリート1Dを覆う防水シート1Eが張設されている。また、シート張り台車4の後方に位置するセントル5の前部から図示しない坑口側に至るトンネル壁面1A等のトンネル内面には、防水シート1E上から覆工コンクリート1Fが打設されている。
【0028】
連続ベルトコンベア3は、図示しないメインドライブ、ベルトストレージカセット、テールピースデッキなどを組み立てて構成され、その延長部は約50m程である。この連続ベルトコンベア3は、図6に拡大して示すように、掘削ズリ2を搬送する無端ベルト3Aの上側を案内するキャリアローラ3Bと、無端ベルト3Aの下側を案内するリターンローラ3Cと、これらの支持部材として連続ベルトコンベア3の長手方向に延びる左右一対のサイドフレーム3Dなどを備えている。
【0029】
図1に示すシート張り台車4は、トンネル壁面1A等のトンネル内面に施工された吹付コンクリート1D上に防水シート1Eを張設するための作業の足場である。このシート張り台車4は、図2に拡大して示すように、トンネル1の長手方向に沿ってトンネル床盤1G上に敷設された左右一対の走行軌道9,9上を自走するための複数の軌道車輪4Aを備えている。各軌道車輪4Aは、正面視において門形に構成された台車フレーム4Bの下部に設けられている。
【0030】
図1に示すセントル5は、トンネル壁面1A等のトンネル内面に張設された防水シート1E上に覆工コンクリート1Fを打設するための装置である。このセントル5には、図3に拡大して示すように、トンネル床盤1G上に敷設された左右一対の走行軌道9,9上を自走するための複数の軌道車輪5Aが設けられている。各軌道車輪5Aは、正面視において門形に構成された台車フレーム5Bの下部に設けられている。また、セントル5には、覆工コンクリート1Fを打設するための覆工型枠5Cと、この覆工型枠5Cを所定位置に保持するための複数のセントルジャッキ5Dが設けられている。
【0031】
図1に示す吊下げブラケット6は、図中白抜き矢印で示すシート張り台車4の移動方向前方のトンネル壁面1Aに着脱自在に固定されて連続ベルトコンベア3をトンネル壁面1Aに支持する。この吊下げブラケット6は、図4に拡大して示すように、トンネル壁面1Aから略水平に張り出す支持部6Aと、この支持部6Aの張り出した外端部から支持部6Aの上方のトンネル壁面1Aに向けて斜め上方に延びる腕部6Bとを有する。そして、この吊下げブラケット6は、支持部6Aの内端部および腕部6Bの上端部がトンネル壁面1Aの吹付コンクリート1Dに適宜の保持金具等を介して着脱自在に固定されることにより、連続ベルトコンベア3の左右のサイドフレーム3Dを支持部6A上に支持する。
【0032】
図1に示すニーブレス7は、図中白抜き矢印で示すセントル5の移動方向と反対の後方のトンネル壁面1Aに着脱自在に固定されて連続ベルトコンベア3をトンネル壁面1Aに支持する。このニーブレス7は、図5に拡大して示すように、トンネル壁面1Aから略水平に張り出す支持部7Aと、この支持部7Aの張り出した外端部から支持部7Aの下方のトンネル壁面1Aに向けて斜め下方に延びる脚部7Bとを有する。そして、このニーブレス7は、支持部7Aの内端部および脚部7Bの下端部がトンネル壁面1Aの覆工コンクリート1Fに適宜の保持金具等を介して着脱自在に固定されることにより、支持部7A上に連続ベルトコンベア3の左右のサイドフレーム3Dを支持する。
【0033】
各吊下げブラケット6および各ニーブレス7によって支持された連続ベルトコンベア3は、シート張り台車4およびセントル5の移動経路を避けて架設される。すなわち、図2に示すシート張り台車4の台車フレーム4Bとトンネル壁面1Aとの間および図3に示すセントル5の台車フレーム5Bと覆工型枠5Cの間を通過して架設される。
【0034】
ここで、支持台車8は、図1に示すように、少なくともシート張り台車4の前部付近からセントル5の後部付近に至る区間にて連続ベルトコンベア3をトンネル床盤1C上に支持するものであり、図1に示す例では、シート張り台車4の前後2箇所と、セントル5の前後2箇所と、シート張り台車4の側方の前後3箇所と、セントル5の覆工型枠5C(図3参照)の内側の前後3箇所の合計10箇所に配置されている。
【0035】
各支持台車8は、図6および図7に示すように、アングル材等の溶接構造物である台車フレーム8Aの下部に4個の軌道車輪8Bを前後左右に配置して備えている。台車フレーム8Aは、連続ベルトコンベア3を全幅にわたって支持でき、また、短いスパンで支持できるように、正面から見た幅が連続ベルトコンベア3の幅より若干広く設定され(図6参照)、側面から見た前後長が極めて短く設定されている(図7参照)。
【0036】
この支持台車8は、前後左右の軌道車輪8Bが転動する左右一対の専用軌道10,10が図2および図3に示したシート張り台車4およびセントル5の走行軌道9,9に沿ってその側方のトンネル壁面1Aとの間のトンネル床盤1C上に敷設されることにより、シート張り台車4およびセントル5の移動方向に沿ってトンネル床盤1C上を移動可能に構成されている。
【0037】
ここで、図6および図7に示すように、各支持台車8の台車フレーム8Aの上部には、連続ベルトコンベア3の左右のサイドフレーム3D,3Dをそれぞれ支持して転動可能な左右一対の支持輪体8C,8Cが設けられている。各支持輪体8Cは、例えば台車フレーム8Aの上部に固定された左右一対のピローブロック8D,8Dにより回転自在に支持される鋼製のツバ付き車輪で構成されている。
このツバ付き車輪からなる左右一対の支持輪体8B,8Bは、左右のサイドフレーム3D,3Dの間隔に対応した間隔で左右に配置されており、左右のサイドフレーム3D,3Dを横ずれなく支持して転動可能となっている。
【0038】
以上のように構成された一実施形態に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置では、図1に示すシート張り台車4の前方区間にて複数の吊下げブラケット6が連続ベルトコンベア3をトンネル壁面1Aに支持し(図4参照)、セントル5の後方区間にて複数のニーブレス7が連続ベルトコンベア3をトンネル壁面1Aに支持する(図5参照)。そして、シート張り台車4の前部付近からセントル5の後部付近に至る区間では、シート張り台車4の台車フレーム4Bとトンネル壁面1Aとの間(図2参照)およびセントル5の台車フレーム5Bと覆工型枠5Cの間(図3参照)を通過する連続ベルトコンベア3を複数の支持台車8がトンネル床盤1G上に支持する。
【0039】
従って、一実施形態のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置によれば、シート張り台車4およびセントル5の移動経路を避けて配置される連続ベルトコンベア3の全体をトンネル壁面1Aに沿ってトンネル床盤1Gの上方に架設することができ、その局所的な撓みを確実に抑制することができる。
【0040】
そして、このような連続ベルトコンベア3の架設状態では、シート張り台車4およびセントル5が対面するトンネル壁面1Aに障害物が存在しないため、シート張り台車4による防水シート1Eの張設作業およびセントル5による覆工コンクリート1Fの打設作業に支障を来すことがない。
【0041】
ここで、シート張り台車4による防水シート1Eの張設作業の進行に伴ないシート張り台車4を所定位置まで前進移動させる場合には、前方のトンネル壁面1Aに張り出している吊下げブラケット6が邪魔となる。そこで、この場合には、シート張り台車4の前進移動に邪魔となる分だけ吊下げブラケット6を取り外してシート張り台車4を所定位置まで前進させる。その際、シート張り台車4の近傍に配置された各支持台車8も、専用軌道10上を転動する軌道車輪8Bによってシート張り台車4の近傍の所定位置まで前進させる。
【0042】
また、セントル5による覆工コンクリート1Fの打設作業の進行に伴ないセントル5をシート張り台車4の後方の所定位置まで前進移動させる際には、セントル5の近傍に配置された各支持台車8も、専用軌道10上を転動する軌道車輪8Bによってセントル5の近傍の所定位置まで前進させる。そして、前進したセントル5の直後方のトンネル壁面1Aに新たなニーブレス7を必要な分だけトンネル壁面1Aに取り付けて連続ベルトコンベア3をトンネル壁面1Aに支持する。
【0043】
このような吊下げブラケット6およびニーブレス7の盛り替え作業と、各支持台車8の移動作業とにより、一実施形態のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置によれば、シート張り台車4およびセントル5の前進移動に際しても、連続ベルトコンベア3の全体をトンネル壁面1Aに沿ってトンネル床盤1Gの上方に架設することができ、その局所的な撓みを確実に抑制することができる。そして、シート張り台車4による防水シート1Eの張設作業およびセントル5による覆工コンクリート1Fの打設作業を支障なく行うことができる。
【0044】
また、吊下げブラケット6およびニーブレス7の盛り替え作業の際には、トンネル壁面1Aから吊下げブラケット6が取り外されるシート張り台車4の前方位置に支持台車8を移動し、また、トンネル壁面1Aに新たなニーブレス7が取り付けられるセントル5の後方位置に支持台車8を移動することにより、吊下げブラケット6およびニーブレス7の盛り替え作業の際にも、連続ベルトコンベア3を撓みなく支持することができる。
【0045】
ここで、各支持台車8が軌道車輪8Bによって専用軌道10上を前進(または後退)する際には、各支持台車8の左右一対の支持輪体8C,8C(図6参照)が連続ベルトコンベア3の左右のサイドフレーム3D,3Dを支持しつつ転動するため、各支持台車8は円滑に前進(または後退)する。その際、左右一対の支持輪体8C,8Cはツバ付き車輪で構成されているため、サイドフレーム3D,3Dの横ずれを規制して連続ベルトコンベア3を確実に支持すると共に、連続ベルトコンベア3の蛇行を防止する。
【0046】
本発明は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図1などに示したシート張り台車4およびセントル5は、掘削されたトンネル1内を移動してトンネル1の壁面などに適宜の作業を施す適宜の作業台車に変更することができる。
【0047】
また、図6および図7に示した支持台車8は、図8および図9に示すような大型の支持台車18に変更することができる。この支持台車18は、正面から見た幅(図8参照)が図6に示した支持台車8の台車フレーム8Aより幅広であって、側面から見た前後長(図9参照)が図7に示した台車フレーム8Aの4倍程度の台車フレーム18Aを備えている。
【0048】
ここで、台車フレーム18Aの下部には、図2および図3に示したシート張り台車4およびセントル5の片側の走行軌道9上を転動する前後一対の軌道車輪18Bと、片側の走行軌道9の側方のトンネル床盤1G上を転動する前後一対のタイヤ車輪18Cとが設けられている(図8参照)。この軌道車輪18Bとタイヤ車輪18Cとの左右方向の相互間隔は、台車フレーム18Aの安定性を向上するため、図6に示した軌道車輪8B,8Bの左右方向の相互間隔より広く設定されている。そして、前後一対の軌道車輪18B,18Bは、台車フレーム18Aの前後の端部に配置され、前後一対のタイヤ車輪18C,18Cは、台車フレーム18Aの前後の端部より内側入り込んだ位置に配置されている(図9参照)。
【0049】
また、台車フレーム18Aの上部には、連続ベルトコンベア3の左右のサイドフレーム3D,3Dをそれぞれ支持して転動可能な左右一対の支持輪体18D,18Dが前後に離間して2組設けられている(図9参照)。各支持輪体18Dは、図6に示した支持輪体8Cと同様のツバ付き車輪で構成されており、それぞれ図6に示した左右一対のピローブロック8D,8Dと同様の左右一対のピローブロック18E,18Eによって回転自在に支持されている(図8参照)。
【0050】
このような大型の支持台車18は、図10に示すように、例えば、シート張り台車4の台車フレーム4Bとトンネル壁面1Aとの間(図2参照)の前後2箇所と、セントル5の台車フレーム5Bと覆工型枠5Cの間(図3参照)の前後2箇所の合計4箇所に配置される。そして、この大型の支持台車18は、その前進または後退の際に安定した状態でシート張り台車4およびセントル5の走行軌道9,9に沿って確実に前進または後退し、連続ベルトコンベア3のサイドフレーム3D,3Dを確実に支持してその蛇行を防止する。
【0051】
ここで、図10に示す例では、シート張り台車4およびセントル5を前進移動させる際の吊下げブラケット6およびニーブレス7の盛り替え作業を円滑に行うため、連続ベルトコンベア3の左右のサイドフレーム3D,3Dを仮受けする先受け架台・台車19が吊下げブラケット6およびニーブレス7の盛り替え作業を行う部位に配置される。なお、この先受け架台・台車19は、前述した支持台車8(図6、図7参照)と同様に構成されたものである。
【0052】
なお、図6、図7に示した支持台車8の支持輪体8C,8Cおよび図8、図9に示した支持台車18の支持輪体18D,18Dは、鋼製のツバ付き車輪に代えてゴム製のタイヤ車輪に変更することができる。図10に示した先受け架台・台車19においても同様である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置によれば、作業台車の前方および後方の区間にて支持部材が連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持し、少なくとも作業台車の前部付近から後部付近に至る区間にて支持台車が連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持するため、連続ベルトコンベアの全体をトンネル壁面に沿ってトンネル床盤の上方に架設することができ、連続ベルトコンベアの局所的な撓みを確実に抑制することができる。そして、このような連続ベルトコンベアの架設状態では、作業台車が対面するトンネル壁面に障害物が存在しないため、作業台車によるトンネル壁面等の作業を支障なく行うことができる。
【0054】
また、支持台車は、作業台車の移動方向に沿ってトンネル床盤上を移動可能に構成されているため、トンネル壁面の作業の進行に伴ない作業台車を所定位置まで前進移動させる場合には、支持台車を作業台車と共に所定位置まで前進移動させることができる。そして、所定位置まで前進移動した支持台車は、少なくとも作業台車の前部付近から後部付近に至る区間にて連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持するため、連続ベルトコンベアの局所的な撓みを確実に抑制することができる。その際、支持台車には、連続ベルトコンベアのサイドフレームを支持して転動可能な支持輪体が設けられているため、支持台車を所定位置まで円滑に移動させることができる。
【0055】
同様に、本発明に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置によれば、シート張り台車の前方の区間およびセントルの後方の区間にて支持部材が連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持し、少なくともシート張り台車の前部付近からセントルの後部付近に至る区間にて支持台車が連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持するため、連続ベルトコンベアの全体をトンネル壁面に沿ってトンネル床盤の上方に架設することができ、連続ベルトコンベアの局所的な撓みを確実に抑制することができる。そして、このような連続ベルトコンベアの架設状態では、シート張り台車およびセントルが対面するトンネル壁面に障害物が存在しないため、シート張り台車およびセントルによるトンネル壁面等の覆工作業を支障なく行うことができる。
【0056】
また、支持台車は、シート張り台車およびセントルの移動方向に沿ってトンネル床盤上を移動可能に構成されているため、トンネル壁面の覆工作業の進行に伴ないシート張り台車およびセントルを所定位置まで前進移動させる場合には、支持台車をシート張り台車およびセントルと共に所定位置まで前進移動させることができる。そして、所定位置まで前進移動した支持台車は、少なくともシート張り台車の前部付近からセントルの後部付近に至る区間にて連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持するため、連続ベルトコンベアの局所的な撓みを確実に抑制することができる。その際、支持台車には、連続ベルトコンベアのサイドフレームを支持して転動可能な支持輪体が設けられているため、支持台車を所定位置まで円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置が設置されたトンネルの縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿ったトンネルの横断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿ったトンネルの横断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿ったトンネルの横断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿ったトンネルの横断面図である。
【図6】図2および図3に示した支持台車の拡大正面図である。
【図7】図6に示した支持台車の側面図である。
【図8】図6に示した支持台車の変形例を示す正面図である。
【図9】図8に示した支持台車の側面図である。
【図10】図8、図9に示した支持台車の配置を示すトンネルの縦断面図である。
【符号の説明】
1…トンネル、1A…トンネル壁面、1B…トンネル壁面、1C…トンネル天井面、1D…吹付コンクリート、1E…防水シート、1F…覆工コンクリート、1G…トンネル床盤、2…掘削ズリ、3…連続ベルトコンベア、3A…無端ベルト、3B…キャリアローラ、3C…リターンローラ、3D…サイドフレーム、4…シート張り台車、4A…軌道車輪、4B…台車フレーム、5…セントル、5A…軌道車輪、5B…台車フレーム、5C…覆工型枠、5D…セントルジャッキ、6…吊下げブラケット、6A…支持部、6B…腕部、7…ニーブレス、7A…支持部、7B…脚部、8…支持台車、8A…台車フレーム、8B…軌道車輪、8C…支持輪体、8D…ピローブロック、9…走行軌道、10…専用軌道、18…支持台車、18A…台車フレーム、18B…軌道車輪、18C…タイヤ車輪、18D…支持輪体、18E…ピローブロック、19…先受け架台・台車。

Claims (6)

  1. 掘削されたトンネル内を移動する作業台車の移動経路を避けてトンネル内に架設されることによりトンネルの掘削ズリを搬出する連続ベルトコンベアの支持装置であって、
    前記作業台車の前方および後方のトンネル壁面に着脱自在に固定されて前記連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する複数の支持部材と、
    少なくとも前記作業台車の前部付近から後部付近に至る区間にて前記連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持する支持台車とを備え、
    前記支持台車は、前記作業台車の移動方向に沿ってトンネル床盤上を移動可能に構成されていることを特徴とするトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置。
  2. 掘削されたトンネルの壁面および天井面に覆工作業を施すためのシート張り台車およびセントルの移動経路を避けてトンネル内に架設されることによりトンネルの掘削ズリを搬出する連続ベルトコンベアの支持装置であって、
    前記シート張り台車の移動方向前方および前記セントルの移動方向後方のトンネル壁面に着脱自在に固定されて前記連続ベルトコンベアをトンネル壁面に支持する複数の支持部材と、
    少なくとも前記シート張り台車の前部付近から前記セントルの後部付近に至る区間にて前記連続ベルトコンベアをトンネル床盤上に支持する支持台車とを備え、
    前記支持台車は、前記シート張り台車およびセントルの移動方向に沿ってトンネル床盤上を移動可能に構成されていることを特徴とするトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置。
  3. 前記支持台車には、前記連続ベルトコンベアのサイドフレームを支持して転動可能な支持輪体が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置。
  4. 前記支持輪体には、前記サイドフレームに対する横ずれ規制用のツバ部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置。
  5. 前記支持台車の左右の車輪は、前記作業台車の走行軌道、または前記シート張り台車およびセントルの走行軌道に沿ってその側方のトンネル床盤に敷設された専用軌道上を転動する軌道車輪で構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置。
  6. 前記支持台車の左右の車輪は、その一方が前記走行軌道上を転動する軌道車輪で構成され、その他方が前記走行軌道の側方のトンネル床盤上を転動するタイヤ車輪で構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のトンネル施工用連続ベルトコンベアの支持装置。
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