JP2004300350A - 黒色複合粒子粉末及びその製造法、並びに該黒色複合粒子粉末を用いた塗料及び樹脂組成物 - Google Patents

黒色複合粒子粉末及びその製造法、並びに該黒色複合粒子粉末を用いた塗料及び樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されていると共に、流動性、着色力及び耐光性に優れた黒色複合粒子粉末及び該黒色複合粒子粉末を配合してなる、分散性、耐光性及び貯蔵安定性に優れた塗料及び樹脂組成物に関するものである。
【解決手段】樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子からなる黒色複合粒子粉末は、樹脂粒子粉末と糊剤とを混合攪拌して樹脂粒子粉末の粒子表面に糊剤を被覆させた後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して前記糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックを付着させて得られる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されていると共に、流動性、着色力及び耐光性に優れた黒色複合粒子粉末、及び、該黒色複合粒子粉末を配合してなる、分散性、耐光性及び貯蔵安定性に優れた塗料及び樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは、各種黒色顔料の中では最も黒色度が優れており、塗料用、印刷インク用、化粧品用、ゴム・樹脂組成物用等の着色剤として古くから汎用されている。
【0003】
カーボンブラックを用いて得られた塗膜や樹脂組成物は、耐酸性や耐老化性に優れているが、カーボンブラックは粒子サイズが平均粒子径0.005〜0.05μm程度の微粒子であるため、塗料ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難であり、また、かさ密度が0.1g/cm程度とかさ高い粉末であると共に流動性が悪いため、取り扱いが困難で、作業性が悪いものであった。
【0004】
近年、前記塗料ビヒクル中や樹脂組成物中への分散性及び流動性の改善はもとより、着色力及び耐光性等の着色剤としての黒色粒子粉末の諸特性向上が強く要求されている。
【0005】
これまでに、ポリアミド樹脂やポリエチレン樹脂といった有機粉体あるいはシリカや二酸化チタンといった無機粉体表面にカーボンブラック等の無機顔料や有機顔料をメカノケミカル的に処理する方法(特許文献1乃至5)や、白色無機粒子表面にアルコキシシラン等の糊剤を介してカーボンブラックを付着させる方法(特許文献6)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−30263号公報
【特許文献2】
特許第2676849号公報
【特許文献3】
特許第2738510号公報
【特許文献4】
特開2002−20652号公報
【特許文献5】
特開2002−332211号公報
【特許文献6】
特開2002−338846号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されているとともに、流動性、着色力及び耐光性に優れた黒色複合粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0008】
即ち、前出特許文献1乃至5には、ポリアミド樹脂やポリエチレン樹脂といった有機粉体あるいはシリカや二酸化チタンといった無機粉体表面にカーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料をメカノケミカル的に処理する方法が記載されているが、メカノケミカル的な方法では、核となる粒子表面への付着力が十分ではなく、そのため、脱離したカーボンブラック等によって均一な分散が阻害されるなどの問題を有している。
【0009】
また、前出特許文献6には、白色無機粒子表面にアルコキシシラン等の糊剤を介してカーボンブラックを付着させる方法が記載されているが、無機粒子粉末は比重が高いことが知られており、殊に、通常比重が1〜1.7の範囲にある塗料中では沈降しやすく、貯蔵安定性に問題を抱えている。
【0010】
そこで、本発明は、樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されていると共に、流動性、着色力及び耐光性に優れた黒色複合粒子粉末を提供することを技術的課題とする。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0012】
即ち、本発明は、樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子からなることを特徴とする黒色複合粒子粉末である(本発明1)。
【0013】
また、本発明は、樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している平均粒子径が0.01〜300μmの複合粒子からなることを特徴とする黒色複合粒子粉末である(本発明2)。
【0014】
また、本発明は、樹脂粒子粉末と糊剤とを混合攪拌して樹脂粒子粉末の粒子表面に糊剤を被覆させた後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して上記糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックを付着させることを特徴とする本発明1の黒色複合粒子粉末の製造法である(本発明3)。
【0015】
また、本発明は、本発明2の黒色複合粒子粉末を塗料構成基材中に配合したことを特徴とする塗料である(本発明4)。
【0016】
また、本発明は、本発明2の黒色複合粒子粉末を用いて着色したことを特徴とする樹脂組成物である(本発明5)。
【0017】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0018】
先ず、本発明に係る黒色複合粒子粉末について述べる。
【0019】
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、芯粒子粉末である樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されており、該糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子からなる。
【0020】
本発明における樹脂粒子としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれをも用いることができる。具体的には、熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、フッ化樹脂、繊維素系樹脂等を用いることができ、熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ユリヤ樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることができる。樹脂粒子は要求される特性や用途に応じて選択すればよいが、好ましくは、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂である。
【0021】
樹脂粒子の粒子形状は、球状、粒状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、板状及び不定形等のいずれの形状であってもよい。得られる黒色複合粒子粉末を塗料又は樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状又は粒状が好ましく、より好ましくは球形度が1.0〜1.5である。
【0022】
樹脂粒子粉末の粒子サイズは、特に制限はなく、得られる黒色複合粒子粉末の用途に応じて適宜選べばよいが、樹脂粒子粉末の粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理を考慮すると、好ましくは平均粒子径が0.01μm〜1cmである。
【0023】
殊に、得られる黒色複合粒子粉末を塗料及び樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、樹脂粒子粉末の平均粒子径は、好ましくは0.01〜300μm、より好ましくは0.015〜200μm、更により好ましくは0.02〜100μmである。この場合、平均粒子径が300μmを超えると、得られる黒色複合粒子が粗大粒子となり、着色力が低下するため好ましくない。
【0024】
樹脂粒子粉末のBET比表面積値は、樹脂粒子粉末の粒子表面への糊剤による均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理を考慮すると、0.0004〜700m/gが好ましい。
【0025】
殊に、得られた黒色複合粒子粉末を塗料及び樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、樹脂粒子粉末のBET比表面積値は、好ましくは0.01〜700m/g、より好ましくは0.02〜500m/g、更により好ましくは0.04〜400m/gである。この場合、BET比表面積値が0.01m/g未満となると、得られる黒色複合粒子が粗大粒子となり、着色力が低下するため好ましくない。
【0026】
本発明における樹脂粒子粉末の色相は、できる限り無色であることが好ましく、L値が70.00以上であり、より好ましくは75.00以上であり、C値が18.00以下、好ましくは15.00以下、より好ましくは12.00以下、更により好ましくは9.00以下である。L値、C値が上記範囲外の場合には、色相が無色を呈しているとは言い難く、本発明の目的とする黒色度の優れた黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。
【0027】
本発明における樹脂粒子粉末の比重は、通常0.8〜2.5、好ましくは0.9〜2.0、より好ましくは1.0〜1.8である。
【0028】
本発明における樹脂粒子粉末の表面電荷は、通常−100〜+100μC/gの範囲にある。樹脂粒子の粒子表面への糊剤及びカーボンブラックの付着強度を考慮すれば、表面電荷は絶対値として高い方が好ましく、絶対値として10μC/g以上、より好ましくは20μC/g以上、更に好ましくは30μC/g以上である。
【0029】
本発明における樹脂粒子粉末の流動性は、形状等によっても異なるが、一般的には55以上を有している。殊に、粒子形状が球状のものは、高い流動性を有しており、その場合、60以上である。
【0030】
本発明における樹脂粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法により、ΔE値の下限値は通常5.0を超え、上限値は12.0、好ましくは11.0、より好ましくは10.0である。
【0031】
本発明における糊剤としては、樹脂粒子の粒子表面へカーボンブラックを付着できるものであれば何を用いてもよく、好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等の一種又は二種以上であり、より好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤である。
【0032】
糊剤は樹脂粒子の粒子表面へのカーボンブラックの付着強度を考慮すれば、樹脂粒子とは反対の表面電荷を有するものが好ましい。
【0033】
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0034】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0035】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0036】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0037】
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
【0038】
糊剤の被覆量は、糊剤被覆樹脂粒子粉末に対して各糊剤が含有する金属の元素換算で0.02〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.03〜4.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0039】
0.02重量%未満の場合には、樹脂粒子粉末100重量部に対して0.001重量部以上のカーボンブラックを付着させることが困難である。5.0重量%を超える場合には、樹脂粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを0.001〜2000重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0040】
付着処理に用いるカーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック粒子粉末を用いることができる。
【0041】
カーボンブラックとしては、具体的には、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、MA100、MA7、#1000、#2400B、#30、MA77、MA8、#650、MA11、#50、#52、#45、#2200B、MA600等(以上、いずれも三菱化学株式会社(製)の商品名である。)、シースト9H、シースト7H、シースト6、シースト3H、シースト300、シーストFM等(以上、いずれも東海カーボン株式会社(製)の商品名である。)、Raven 1250、Raven 860、Raven 1000、Raven 1190ULTRA(以上、いずれもコロンビヤン・ケミカルズ・カンパニー(製)の商品名である。)、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD(以上、いずれもケッチェンブラック・インターナショナル株式会社(製)の商品名である。)、BLACK PEARLS−L、BLACK PEARLS 1000、BLACK PEARLS 4630、VULCAN XC72、REGAL 660、REGAL 400(以上、いずれもキャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク(製)の商品名である。)等が使用できる。
【0042】
カーボンブラックの付着量は、樹脂粒子粉末の表面積によっても異なるが、樹脂粒子粉末100重量部に対して0.001〜2000重量部が好ましく、より好ましくは0.005〜1500重量部、更により好ましくは0.01〜1200重量部である。
【0043】
0.001重量部未満の場合には、樹脂粒子の粒子表面を被覆するカーボンブラックが少なすぎるため、本発明の目的とする高い黒色度を有する黒色複合粒子粉末を得ることが困難となる。2000重量部を超える場合には、カーボンブラックの付着量が多いためカーボンブラックが脱離しやすくなり、その結果、塗料ビヒクル中や樹脂組成物中における分散性が低下する。
【0044】
本発明におけるカーボンブラックの流動性は、通常、20前後であり、顆粒化処理されたカーボンブラックの場合は、やや高い値を有している。
【0045】
本発明に係る黒色複合粒子の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子である樹脂粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0046】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の粒子形状は、球状、粒状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、板状及び不定形等のいずれの形状であってもよい。本発明に係る黒色複合粒子粉末を塗料又は樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、球形度が1.0以上2.0未満の球状又は粒状が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
【0047】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の粒子サイズは、特に制限はなく、用途に応じて適宜選べばよいが、好ましくは平均粒子径が0.01μm〜1cmである。
【0048】
殊に、本発明に係る黒色複合粒子粉末を塗料及び樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、樹脂粒子粉末の平均粒子径は、好ましくは0.01〜300μm、より好ましくは0.015〜200μm、更により好ましくは0.02〜100μmである。平均粒子径が300μmを超える場合、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下し、塗料及び樹脂組成物等の着色材としては好ましくない。平均粒子径が0.01μm未満の場合には、塗料ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難となる場合がある。
【0049】
本発明に係る黒色複合粒子粉末のBET比表面積値は、特に制限はなく、用途に応じて適宜選べばよいが、好ましくは0.0004〜700m/gである。
【0050】
殊に、本発明に係る黒色複合粒子粉末を塗料及び樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、樹脂粒子粉末のBET比表面積値は0.01〜700m/gが好ましく、より好ましくは0.02〜500m/g、更により好ましくは0.04〜400m/gである。BET比表面積値が0.01m/g未満の場合、粗大粒子となって着色力が低下し、塗料及び樹脂組成物等の着色材としては好ましくない。BET比表面積値が700m/gを超える場合には、塗料ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難となる。
【0051】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の比重は、0.8〜2.5が好ましく、より好ましくは0.9〜2.4であり、更により好ましくは1.0〜2.3である。殊に、本発明に係る黒色複合粒子粉末を塗料又は樹脂組成物等の着色材として用いる場合には、一般的に、塗料又は樹脂組成物の構成基材として用いられる溶剤及び/又は樹脂の比重が0.9〜1.8であることから、この範囲にあることが好ましく、より好ましくは、1.0〜1.7である。
【0052】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の黒色度は、L値50.0以下が好ましく、より好ましくは45.0以下、最も好ましくは40.0以下である。L値が50.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が優れているとは言い難い。L値の下限値は25.0である。
【0053】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の着色力は、後述する評価方法により105%以上が好ましく、110%以上がより好ましく、更により好ましくは115%以上である。
【0054】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の流動性は、粒子表面に流動性の悪いカーボンブラックを付着させても芯粒子である樹脂粒子粉末の流動性を維持しており、55以上を有している。殊に、粒子形状が球状のものは、60以上を有しており、好ましくは65以上である。
【0055】
本発明に係る黒色複合粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE値で5.0以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。
【0056】
本発明に係る黒色複合粒子粉末のカーボンブラックの脱離の程度は、後出評価方法における目視観察において、5、4又は3が好ましく、より好ましくは5又は4であり、更により好ましくは5である。カーボンブラックの脱離の程度が3未満の場合には、脱離したカーボンブラックにより塗料ビヒクル中や樹脂組成物中での均一な分散が阻害される場合があるとともに、脱離した部分の樹脂粒子の色相が粒子表面に現れるため、均一な色相を得ることが困難となる。
【0057】
次に、本発明に係る黒色複合粒子粉末を配合した塗料について述べる。
【0058】
本発明に係る黒色複合粒子粉末を配合した塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.2以下が好ましく、より好ましくは1.0以下である。塗膜にした場合には、光沢度は75〜110%、好ましくは80〜110%であり、塗膜の耐光性ΔE値は5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下である。
【0059】
本発明に係る黒色複合粒子粉末を配合した水系塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.2以下が好ましく、より好ましくは1.0以下である。塗膜にした場合には、光沢度は70〜110%、好ましくは75〜110%であり、塗膜の耐光性ΔE値は5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下である。
【0060】
本発明に係る塗料中における黒色複合粒子粉末の配合割合は、塗料構成基材100重量部に対して0.5〜100重量部の範囲で使用することができ、塗料のハンドリングを考慮すれば、好ましくは1.0〜100重量部である。
【0061】
塗料構成基材としては、樹脂、溶剤、必要により油脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
【0062】
樹脂としては、溶剤系塗料用や油性印刷インクに通常使用されているアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ガムロジン、ライムロジン等のロジン系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン変性樹脂、石油樹脂等を用いることができる。水系塗料用としては、水系塗料用や水性インクに通常使用されている水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を用いることができる。
【0063】
溶剤としては、溶剤系塗料用に通常使用されている大豆油、トルエン、キシレン、シンナー、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、脂肪族炭化水素等を用いることができる。
【0064】
水系塗料用溶剤としては、水と水系塗料用に通常使用されているエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤とを混合して使用することができる。
【0065】
油脂としては、あまに油、きり油、オイチシカ油、サフラワー油等の乾性油を加工したボイル油を用いることができる。
【0066】
消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)等の市販品を使用することができる。
【0067】
次に、本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物について述べる。
【0068】
本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物は、目視観察による分散状態は、後出評価法による3、4又は5、好ましくは4又は5、より好ましくは5であり、樹脂組成物の耐光性ΔE値は5.0以下、好ましくは4.0以下であることが好ましい。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物中における黒色複合粒子粉末の配合割合は、樹脂100重量部に対して0.01〜200重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.05〜150重量部、更に好ましくは0.1〜100重量部である。
【0070】
本発明に係る樹脂組成物における構成基材としては、黒色複合粒子粉末と周知の熱可塑性樹脂とともに、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合される。
【0071】
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン、天然ゴム、合成ゴム等を用いることができる。
【0072】
添加剤の量は、黒色複合粒子粉末と樹脂との総和に対して50重量%以下であればよい。添加剤の含有量が50重量%を超える場合には、成形性が低下する。
【0073】
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂原料と黒色複合粒子粉末をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、樹脂組成物中に黒色複合粒子粉末を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
【0074】
次に、本発明に係る黒色複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0075】
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、樹脂粒子粉末と糊剤とを混合し、樹脂樹脂粒子粉末の粒子表面を糊剤によって被覆し、次いで、糊剤によって被覆された樹脂粒子粉末とカーボンブラックとを混合することによって得ることができる。
【0076】
樹脂粒子粉末の粒子表面への糊剤による被覆は、樹脂粒子粉末と糊剤又は糊剤の溶液とを機械的に混合攪拌したり、樹脂粒子粉末に糊剤の溶液又は糊剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した糊剤は、ほぼ全量が樹脂粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0077】
樹脂粒子粉末と糊剤との混合攪拌、カーボンブラックと粒子表面に糊剤が被覆されている樹脂粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0078】
前記ホイール型混練機としては、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。前記ボール型混練機としては、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
【0079】
樹脂粒子粉末と糊剤との混合攪拌時における条件は、樹脂粒子粉末の粒子表面に糊剤ができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5分〜24時間、好ましくは10分〜20時間の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0080】
糊剤の添加量は、樹脂粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量により、樹脂粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを0.001〜2000重量部付着させることができる。
【0081】
樹脂粒子の粒子表面へのカーボンブラックの付着強度を考慮すれば、樹脂粒子粉末をあらかじめ表面電荷調整剤によって処理し、樹脂粒子の表面電荷を糊剤とは反対の表面電荷にコントロールしておくことが好ましい。
【0082】
表面電荷調整剤による処理は、前記糊剤処理の場合と同様に、樹脂粒子粉末と表面電荷調整剤又は表面電荷調整剤を含む溶液とを機械的に混合攪拌すればよい。
【0083】
表面電荷調整剤としては、正帯電させるものとして、アルキルトリメチル4級アンモニウム塩、アルキルベンジルジメチル4級アンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、ニグロシン、アニリンブラック等のアジン化合物、イミダゾール類金属錯体、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等を用いることができる。負帯電させるものとしては、サリチル酸二量体等のサリチル酸類金属錯体、有機ホウ素塩類、アゾ系クロム金属錯体等のモノアゾ染料金属錯体、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のケイ素化合物を用いることができる。
【0084】
その他にも、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、ポリエーテルエステルアミド、第4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート共重合体、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カルボベタイン−グラフト共重合体等の高分子型帯電防止剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩共重合体、オレフィン−マレイン酸塩共重合体等の界面活性剤及びシラン系、チタネート系及びアルミネート系のカップリング剤等を用いることができる。これらの帯電性は、それぞれの化合物が有する極性基のイオン性もしくは処理量によって、正帯電性付与、負帯電性付与を使い分ければよい。
【0085】
表面電荷調整剤による処理量は、樹脂粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部の範囲である。該処理によって得られる表面電荷調整後の樹脂粒子の表面電荷が、糊剤の表面電荷とは反対の電荷で、且つ、絶対値として10μC/g以上を有していることが好ましく、より好ましくは20μC/g以上、更により好ましくは30μC/g以上となるよう処理すればよい。
【0086】
樹脂粒子粉末の粒子表面に糊剤を被覆した後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して糊剤被覆樹脂粒子表面にカーボンブラックを付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0087】
カーボンブラックは、少量ずつを時間をかけながら、殊に5分〜24時間、好ましくは5分〜20時間程度をかけて添加するか、若しくは、樹脂粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部のカーボンブラックを、所望の添加量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0088】
混合攪拌時における条件は、カーボンブラックが均一に付着するように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5分〜24時間、好ましくは10分〜20時間の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0089】
カーボンブラックの添加量は、樹脂粒子粉末100重量部に対して1〜500重量部であり、好ましくは1〜400重量部、より好ましくは1〜300重量部である。カーボンブラックの添加量が上記範囲外の場合には、目的とする黒色複合粒子粉末が得られない。
【0090】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜80℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃であり、加熱時間は、10分〜6時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0091】
なお、糊剤としてアルコキシシラン及びフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
【0092】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0093】
粒子の平均粒子径は、100μm未満の粒子サイズのものは、透過型電子顕微鏡を用いて写真撮影を行い、そこに示された粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。100μm〜5mm程度の粒子サイズのものは、光学顕微鏡を用いて写真撮影を行い、そこに示された粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。また、5mm以上の粒子サイズのものは、ノギスを用いて100個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0094】
球形度は、平均粒子径(平均最長径)と平均最短径との比で示した。
【0095】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0096】
樹脂粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の比重は、「マルチボリューム 密度計 1305型」(マイクロメリティクス社製)を用いて求めた。
【0097】
樹脂粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の各表面電荷は、「ブローオフ粉体帯電量測定装置 MODEL TB 200」(東芝ケミカル社製)を用いて測定した。
【0098】
樹脂粒子粉末、カーボンブラック及び黒色複合粒子粉末の流動性は、「パウダテスタ」(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角(度)、圧縮度(%)、スパチュラ角(度)、凝集度の各粉体特性値を測定し、該各測定値を同一基準の数値に置き換えた各々の指数を求め、各々の指数を合計した流動性指数で示した。流動性指数が100に近いほど、流動性が優れていることを意味する。
【0099】
樹脂粒子粉末の色相、カーボンブラック及び黒色複合粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数で示した。なお、C値は彩度を表し、下記数1に従って求めることができる。
【0100】
【数1】
値=((a値)+(b値)1/2
【0101】
樹脂粒子粉末の粒子表面に被覆されている糊剤の被覆量は、各糊剤に含有されている金属について、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0102】
黒色複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用い、次の様な手順で炭素量を測定することにより求めた。あらかじめ、芯粒子である樹脂粒子粉末の単位重量当たりのカーボン量を測定しておき、次いで、黒色複合粒子粉末のカーボン量を測定し、単位重量当たりのカーボン量の変化量から、カーボンブラックの付着量を求めた。
【0103】
黒色複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの脱離の程度は、下記方法により、目視によって5段階で評価した。5が複合粒子の粒子表面からのカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
【0104】
被測定粒子粉末2gとエタノール20mlを50mlの三角フラスコに入れ、60分間超音波分散を行った後、回転数10,000rpmで15分間遠心分離を行い、被測定粒子粉末と溶剤部分とを分離した。得られた被測定粒子粉末を60℃で5時間乾燥させ、電子顕微鏡写真に示される視野の中に存在する、脱離して再凝集したカーボンブラックの個数を目視で観察し、樹脂粒子粉末とカーボンブラックを、糊剤を介さず単に混合しただけの混合粒子粉末の電子顕微鏡写真と比較して5段階で評価した。
【0105】
1:樹脂粒子粉末とカーボンブラックを、糊剤を介さず単に混合した場合と同程度。
2:黒色複合粒子粉末100個当たりに30個以上50個未満。
3:黒色複合粒子粉末100個当たりに10個以上30個未満。
4:黒色複合粒子粉末100個当たりに5個以上10個程度。
5:黒色複合粒子粉末100個当たりに5個未満。
【0106】
黒色複合粒子粉末の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
【0107】
次いで、黒色複合粒子粉末の標準試料として、黒色複合粒子粉末と同様の割合でカーボンブラックと樹脂粒子粉末とを単に混合した混合粒子粉末を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
【0108】
得られた黒色複合粒子粉末のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数2に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0109】
【数2】
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
【0110】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体3gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー10gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで60分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0111】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0112】
樹脂粒子粉末、カーボンブラック及び黒色複合粒子粉末の耐光性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0113】
【数3】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
【0114】
黒色複合粒子粉末を用いた溶剤系塗料及び水系塗料の黒色度は、後述する処方によって調製した各塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成して得られた測定用塗布片について、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L値で示した。また、黒色複合粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物の黒色度は、後述する処法によって作製した着色樹脂プレートを、「分光測色計 CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて前記と同様にして測定した。
【0115】
塗膜の光沢度は、前記測定用塗布片を「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角60°の時の光沢度で示した。光沢度が高いほど、黒色複合粒子粉末を配合した塗料の分散性が優れていることを示す。
【0116】
各塗料を用いた塗膜の耐光性は、前述の塗料の色相を測定するために作製した測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、前記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0117】
また、各樹脂組成物の耐光性は、前述の樹脂組成物の色相を測定するために作製した樹脂プレートの半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター」(SUV−W13(岩崎電気株式会社製))を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、前記数3に従って算出したΔE値によって示した。
【0118】
塗料の貯蔵安定性は、後述する処方によって調製した各塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS−G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して製造した塗膜のL値、a値及びb値と、該塗料を25℃において1週間静置して得られた塗料を冷間圧延鋼板に塗布、乾燥して製造した塗膜のL値、a値及びb値を測定し、下記数4に従って得られたΔE値で示した。
【0119】
【数4】
ΔE値=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL値: 比較する塗膜の静置前後のL値の差
Δa値: 比較する塗膜の静置前後のa値の差
Δb値: 比較する塗膜の静置前後のb値の差
【0120】
塗料粘度については、後述する処方によって調製した塗料の25℃における塗料粘度をE型粘度計(コーンプレート型粘度計)EMD−R(株式会社東京計器製)を用いて、ずり速度D=1.92 sec−1における値を求めた。
【0121】
黒色複合粒子粉末の樹脂組成物への分散性は、得られた着色樹脂プレート表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
5: 未分散物認められず、
4: 1cm当たり1個以上5個未満、
3: 1cm当たり5個以上10個未満、
2: 1cm当たり10個以上50個未満、
1: 1cm当たり50個以上。
【0122】
<黒色複合粒子粉末の製造>
樹脂粒子粉末(種類:ポリメチルメタクリレート(PMMA)、粒子形状:球状、平均粒子径8.04μm、球形度:1.2、BET比表面積値0.8m/g、比重1.2、表面電荷+70μc/g、流動性78、L値97.2、C値0.2、耐光性ΔE値6.0)7.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入し、次いで、メチルハイドロジェンポリシロキサン(電荷:−、商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)70.0gを、エッジランナーを稼動させながら上記樹脂粒子粉末に添加し、196N/cm(20Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0123】
次に、カーボンブラック(種類:ファーネスブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.020μm、BET比表面積値202m/g、L値26.1、耐光性ΔE値13.2)700gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に196N/cm(20Kg/cm)の線荷重で20分間、混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆の上にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて60℃で60分間加熱処理を行い、黒色複合粒子粉末を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0124】
得られた黒色複合粒子粉末は、平均粒子径が8.16μm、球形度が1.2の球状粒子粉末であった。BET比表面積値は2.31m/g、流動性は76、黒色度L値は32.7、着色力は117%、耐光性ΔE値は2.35、カーボンブラックの脱離の程度は5であった。メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はSi換算で0.438重量%であり、付着しているカーボンブラックの量は、C換算で8.92重量%(樹脂粒子粉末100重量部に対して約10重量部に相当する)であった。
【0125】
電子顕微鏡写真観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
【0126】
<黒色複合粒子粉末を含む溶剤系塗料の製造>
前記黒色複合粒子粉末10gとアミノアルキッド樹脂及びシンナーとを下記割合で配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
【0127】
黒色複合粒子粉末 3.8重量部、
アミノアルキッド樹脂 20.3重量部、
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
シンナー 12.7重量部。
【0128】
前記ミルベースを用いて、下記割合となるようにアミノアルキッド樹脂を配合し、ペイントシェーカーで更に15分間混合分散して、黒色複合粒子粉末を含む溶剤系塗料を得た。
【0129】
ミルベース 36.7重量部、
アミノアルキッド樹脂 63.3重量部。
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
【0130】
得られた溶剤系塗料の塗料粘度は591mPa・s、塗料の貯蔵安定性はΔE値で0.75であった。
【0131】
次いで、前記溶剤系塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は95%、黒色度はL値で33.7、耐光性ΔE値は2.64であった。
【0132】
<黒色複合粒子粉末を含む水系塗料の製造>
前記黒色複合粒子粉末7.62gと水溶性アルキッド樹脂等とを下記割合で3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いでペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
【0133】
黒色複合粒子粉末 12.4重量部、
水溶性アルキッド樹脂 9.0重量部、
(商品名:S−118:大日本インキ化学工業株式会社製)
消泡剤 0.1重量部、
(商品名:ノプコ8034:サンノプコ株式会社製)
水 4.8重量部、
ブチルセロソルブ 4.1重量部。
【0134】
前記ミルベースを用いて、塗料組成を下記割合で配合してペイントシェーカーで更に15分間混合分散して、黒色複合粒子粉末を含有する水系塗料を得た。
【0135】
ミルベース 30.4重量部、
水溶性アルキッド樹脂 46.2重量部、
(商品名:S−118:大日本インキ化学工業株式会社製)
水溶性メラミン樹脂 12.6重量部、
(商品名:S−695:大日本インキ化学工業株式会社製)
消泡剤 0.1重量部、
(商品名:ノプコ8034:サンノプコ株式会社製)
水 9.1重量部、
ブチルセロソルブ 1.6重量部。
【0136】
得られた水系塗料の塗料粘度は2118mPa・S、貯蔵安定性はΔE値で0.79であった。
【0137】
次いで、前記水系塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は96%、黒色度はL値で34.3、耐光性ΔE値は2.72であった。
【0138】
<樹脂組成物の製造>
前記黒色複合粒子粉末2.5gとポリ塩化ビニル樹脂粉末103EP8D(日本ゼオン株式会社製)47.5gとを秤量し、これらを100mlポリビーカーに入れ、スパチュラでよく混合して混合粉末を得た。
【0139】
得られた混合粉末にステアリン酸カルシウムを0.5g加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定した後、前記混合粉末を少しずつロールにて練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離して着色樹脂プレート原料として用いた。
【0140】
次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、98MPa(1トン/cm)の圧力で加圧成形して厚さ1mmの着色樹脂プレートを得た。得られた着色樹脂プレートの分散状態は5であり、黒色度はL値で34.6、耐光性ΔE値は2.45であった。
【0141】
【作用】
本発明において最も重要な点は、樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に、該糊剤被覆樹脂粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末は、樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されていると共に、流動性、着色力及び耐光性に優れているという事実である。
【0142】
本発明において、樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制される理由について、本発明者は、通常、樹脂粒子は電荷を有しているため、樹脂粒子とは反対の電荷を有する糊剤を選択することにより、カーボンブラックが付着している糊剤が樹脂粒子の粒子表面に強固に結合するためと考えている。
【0143】
また、本発明に係る黒色複合粒子の流動性が優れている理由について、本発明者は、上記理由により、一般的に、流動性の悪いカーボンブラックが樹脂粒子の粒子表面からの脱離が抑制されたことに加えて、カーボンブラックの凝集状態が解きほぐされ、微細化された状態で芯粒子である樹脂粒子の粒子表面に付着層を形成しているため、流動性に優れた樹脂粒子の特性がカーボンブラックに阻害されることなくそのまま発現できたことによるものと考えている。
【0144】
そして、前記黒色複合粒子を配合した塗料は、貯蔵安定性が優れているという事実である。
【0145】
本発明に係る塗料の貯蔵安定性が優れている理由について、本発明者は、本発明に係る黒色複合粒子粉末の場合、粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されていると共に、黒色複合粒子粉末の比重が、一般的な塗料の比重である1〜1.8の範囲にあることによるものと考えている。
【0146】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0147】
芯粒子1〜11:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する樹脂粒子粉末を用意した。なお、PMMAは、ポリメチルメタクリレートの略である。
【0148】
【表1】
Figure 2004300350
【0149】
芯粒子12:
芯粒子1のPMMA粒子粉末10kgをエッジランナーに投入し、次いで、アルキルトリメチル4級アンモニウム塩40.0gを、エッジランナーを稼動させながら上記樹脂粒子粉末に添加し、196N/cm(20Kg/cm)の線荷重で20分間混合攪拌を行い、粒子の表面電荷がプラスに調整されたPMMA粒子粉末を得た。
【0150】
このときの製造条件を表2に、得られた表面電荷調整済み樹脂粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0151】
芯粒子13〜15:
芯粒子5及び11の各樹脂粒子粉末を用い、表面電荷調整剤の種類及び処理量を種々変化させた以外は、前記芯粒子12と同様にして表面電荷が調整された樹脂粒子粉末を得た。
【0152】
このときの製造条件を表2に、得られた表面電荷が調整された樹脂粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0153】
【表2】
Figure 2004300350
【0154】
【表3】
Figure 2004300350
【0155】
カーボンブラックA〜C:
カーボンブラックとして表4に示す諸特性を有するカーボンブラックを用意した。
【0156】
【表4】
Figure 2004300350
【0157】
実施例1〜15、比較例1〜5:
糊剤による被覆工程における添加物の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間、カーボンブラックの付着工程におけるカーボンブラックの種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして黒色複合粒子粉末を得た。
【0158】
このときの製造条件を表5に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0159】
【表5】
Figure 2004300350
【0160】
【表6】
Figure 2004300350
【0161】
比較例6:
芯粒子1のPMMA粒子粉末とカーボンブラックAとを、PMMA粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックAが10.0重量部になるように予備混合し、「メカノフュージョン AMS−Lab」(ホソカワミクロン株式会社製)に投入し、メカノケミカル反応により、PMMA粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックAが付着している黒色粒子粉末を得た。得られた黒色粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0162】
<溶剤系塗料>
実施例16〜29、比較例7〜13:
黒色粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして溶剤系塗料を得た。
【0163】
このときの製造条件、得られた塗料の諸特性及び塗膜の諸特性を表7に示す。
【0164】
【表7】
Figure 2004300350
【0165】
<水系塗料>
実施例30〜43、比較例14〜20:
黒色粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして水系塗料を得た。
【0166】
このときの製造条件、得られた水系塗料の諸特性及び塗膜の諸特性を表8に示す。
【0167】
【表8】
Figure 2004300350
【0168】
<樹脂組成物>
実施例44〜57、比較例21〜27:
黒色粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして樹脂組成物を得た。
【0169】
このときの製造条件及び得られた樹脂組成物の諸特性を表9に示す。
【0170】
【表9】
Figure 2004300350
【0171】
【発明の効果】
本発明に係る黒色複合粒子粉末は、樹脂粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離が抑制されていると共に、流動性、着色力及び耐光性に優れていることから各種用途における黒色フィラー材として好適である。
【0172】
本発明に係る塗料及び樹脂組成物は、カーボンブラックの脱離が抑制され、た黒色複合粒子粉末を着色顔料として用いることから、分散性、耐光性及び貯蔵安定性に優れた塗料及び樹脂組成物として好適である。

Claims (5)

  1. 樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している複合粒子からなることを特徴とする黒色複合粒子粉末。
  2. 樹脂粒子粉末の粒子表面が糊剤によって被覆されていると共に該糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックが付着している平均粒子径が0.01〜300μmの複合粒子からなることを特徴とする黒色複合粒子粉末。
  3. 樹脂粒子粉末と糊剤とを混合攪拌して樹脂粒子粉末の粒子表面に糊剤を被覆させた後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して前記糊剤被覆樹脂粒子の粒子表面にカーボンブラックを付着させることを特徴とする請求項1記載の黒色複合粒子粉末の製造法。
  4. 請求項2記載の黒色複合粒子粉末を塗料構成基材中に配合したことを特徴とする塗料。
  5. 請求項2記載の黒色複合粒子粉末を用いて着色したことを特徴とする樹脂組成物。
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