JP2004293520A - バルブタイミング制御システムの異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルブタイミング制御システムに対する異常診断の診断領域を拡大すると共に、迅速且つ確実に異常を検出する。
【解決手段】失火診断条件及びバルブタイミング制御システムの診断条件が成立する場合、エンジン回転数の変化を表す失火診断値をバルブタイミング制御システムの異常を診断するための診断値DIAGとして用い、予め設定した判定閾値DIAGSETと比較する(S103)。その結果、DIAG≦DIAGSETの場合には、バルブタイミング制御システムは正常であると判定し(S104)、DIAG>DIAGSETの場合、バルブタイミング制御システムに異常有りと判定する(S105)。これにより、運転領域に拘わらず、可変バルブタイミング機構の摺動不良や固着等による応答性悪化を迅速且つ確実に検出することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】失火診断条件及びバルブタイミング制御システムの診断条件が成立する場合、エンジン回転数の変化を表す失火診断値をバルブタイミング制御システムの異常を診断するための診断値DIAGとして用い、予め設定した判定閾値DIAGSETと比較する(S103)。その結果、DIAG≦DIAGSETの場合には、バルブタイミング制御システムは正常であると判定し(S104)、DIAG>DIAGSETの場合、バルブタイミング制御システムに異常有りと判定する(S105)。これにより、運転領域に拘わらず、可変バルブタイミング機構の摺動不良や固着等による応答性悪化を迅速且つ確実に検出することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミングシステムの異常診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムを備えたエンジンが実用化されており、この種のバルブタイミング制御システムでは、エンジン運転状態に応じて可変バルブタイミング機構を制御し、吸気バルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミングを連続的に変更する。
【0003】
このようなバルブタイミング制御システムでは、万一の故障発生に備えて異常診断装置が必要であり、例えば、特開2001−20798号公報には、失火の発生頻度を運転領域別にモニタし、失火発生頻度が低速低負荷運転領域のみで高まっている場合には、排気系の高速用カムがロックしていると判定し、失火発生頻度が低速低負荷運転及び中速中負荷運転領域において高まっている場合には、吸気系の高速用カムがロックしていると判定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−20798号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように失火の発生頻度を運転領域別にモニタする技術では、頻度計算のための演算負荷が増大し、処理遅れ等により判定までに時間がかかるばかりでなく、検出ミスが発生する虞がある。更には、異常判定を低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域のみに適用しているため、診断領域が限定されてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、異常診断の診断領域を拡大すると共に、迅速且つ確実に異常を検出することのできるバルブタイミング制御システムの異常診断装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による第1の異常診断装置は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムの異常診断装置であって、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化を検出し、このエンジン回転数の変化に基づいて診断値を算出する手段と、上記診断値を予め設定した判定閾値と比較し、上記診断値が上記判定閾値を越えたとき、異常発生と判断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明による第2の異常診断装置は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムの異常診断装置であって、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化を検出し、このエンジン回転数の変化が収束するまでの収束時間を算出する手段と、上記収束時間が予め設定した時間を越えたとき、異常発生と判断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図、図2は異常診断ルーチンのフローチャートである。
【0010】
先ず、本発明が適用される可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成について説明する。図1において、符号1は、可変バルブタイミング機構付きエンジン(以下、単に「エンジン」と略記する)であり、図においては、シリンダブロック1aがクランク軸1bを中心として左右2つのバンク(図の右側が左バンク、左側が右バンク)に分割される水平対向型4気筒エンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に、吸気ポート2aと排気ポート2bとが気筒毎に形成されている。
【0011】
シリンダヘッド2の各吸気ポート2aにはインテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介して、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが介装されたスロットルチャンバ5が連通されている。そして、このスロットルチャンバ5の上流に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7に接続されるエアインテーク通路にチャンバ8が連通されている。
【0012】
また、吸気管6にはスロットル弁5aをバイパスするバイパス通路9が接続されており、このバイパス通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル回転数を制御するアイドル制御弁10が介装されている。また、インテークマニホルド3の各気筒の吸気ポート2aの直上流にインジェクタ11が配設され、放電電極を燃焼室に露呈する点火プラグ12がシリンダヘッド2の各気筒毎に配設されている。各点火プラグ12は、イグナイタ内蔵のイグニッションコイル13に接続されている。
【0013】
更に、シリンダヘッド2の各排気ポート2bにエキゾーストマニホルド14が連通され、このエキゾーストマニホルド14の集合部に排気管15が連通されている。この排気管15には触媒コンバータ16が介装され、マフラ17に連通されている。
【0014】
一方、左右バンクの各シリンダヘッド2内に、それぞれ吸気カム軸19、排気カム軸20が配設され、クランク軸1bの回転が、各吸気カム軸19、各排気カム軸20に、クランク軸1bに固設されたクランクプーリ21、タイミングベルト22、吸気カム軸19に介装された吸気カムプーリ23、排気カム軸20に固設された排気カムプーリ24等を介して伝達される。そして、吸気カム軸19に設けられた吸気カム、及び排気カム軸20に設けられた排気カムにより、それぞれクランク軸1bと2対1の回転角度に維持される各カム軸19,20の回転に基づいて、吸気バルブ25、排気バルブ26が開閉駆動される。
【0015】
左右バンクの各吸気カム軸19と吸気カムプーリ23との間には、吸気カムプーリ23と吸気カム軸19とを相対回動してクランク軸1bに対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)を連続的に変更する周知の油圧駆動式可変バルブタイミング機構27がそれぞれ配設されている。本形態においては、各バンクの可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設け、排気バルブ26の開閉タイミングに対し、吸気バルブ25の開閉タイミングをエンジン運転状態に応じて変更する。
【0016】
各バンクの可変バルブタイミング機構27には、それぞれ、オイルパン1cから図示しないオイルポンプを介して供給される作動油圧を調整するためのオイルフロー制御弁28が備えられ、マイクロコンピュータ等からなる電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)50によって制御される。オイルフロー制御弁28は、例えばECU50によりデューティ制御されるスプール弁であり、通電電流に比例してオイルフロー制御弁28のスプールが軸方向に移動し、可変バルブタイミング機構27の進角室(進角作動の油圧室)、遅角室(遅角作動の油圧室)に連通する各ポートを切換えてオイルの流れ方向を切換えると共にパッセージの開度を調整し、可変バルブタイミング機構27の進角室、遅角室に供給する油圧の大きさが調整される。尚、可変バルブタイミング機構27の詳細な構成については、例えば、本出願人による特開2000−97096号公報に詳述されている。
【0017】
次に、エンジン1に取付けられたセンサ類について説明する。吸気管6のエアクリーナ7の直下流には、ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた吸入空気量センサ30が介装され、スロットルチャンバ5に配設されたスロットル弁5aに、スロットル開度センサ31が連設されている。また、エンジン1のオイルパン1cに油温センサ32が臨まされると共に、シリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水通路33に水温センサ34が臨まされ、触媒コンバータ16の上流側に、O2センサ等の空燃比センサ35が配設されている。
【0018】
更に、エンジン1のクランク軸1bに軸着するクランクロータ36の外周に、クランク角センサ37が対設され、クランク軸1bに対して1/2回転する一方のバンク(図においては、左バンク)の吸気カムプーリ23の裏面に、気筒判別センサ38が対設されている、各バンクの吸気カム軸19の後端に固設されたカムロータ39の外周には、カム位置検出用のカム位置センサ40がそれぞれ対設されている。
【0019】
以上の各センサ類の出力信号は、ECU50に入力されて処理され、エンジン運転状態が検出される。ECU50は、予め内部に格納されている制御プログラムに従って、各センサ類・スイッチ類等からの信号を処理し、前述のインジェクタ11、イグニッションコイル13に内蔵されるイグナイタ、アイドル制御弁10、可変バルブタイミング機構27のオイルフロー制御弁28等に対する制御量を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御、バルブタイミング制御等のエンジン制御を行う。
【0020】
ここで、バルブタイミング制御においては、エンジン運転状態、例えばエンジン負荷とエンジン回転数とに基づいて、クランク軸1bの回転角と吸気カム軸19の回転角との位相差の制御目標値である目標バルブタイミングを設定すると共に、クランク角センサ37から出力されるクランク角を表すクランクパルスとカム位置センサ40から出力されるカム位置を表すカム位置パルスとから、クランク軸1bの実際の回転角と吸気カム軸19の実際の回転角との位相差である実バルブタイミングを算出する。そして、この実バルブタイミングが目標バルブタイミングに収束するよう、オイルフロー制御弁28を介して可変バルブタイミング機構27をフィードバック制御する。
【0021】
同時に、ECU50は、システムに対する自己診断の一環として、可変バルブタイミング機構27やオイルフロー制御弁28及びその制御系を含むバルブタイミング制御システムの異常診断を定期的に実施するようにしている。このバルブタイミング制御システムの異常診断では、オイル中の不純物や劣化による異物の堆積・沈殿等による各摺動部の摺動性不良による応答性の悪化や異物の噛み込みによる固着等の異常発生を、バルブタイミング制御の最適状態からのずれを調べることで検出する。
【0022】
すなわち、バルブタイミング制御の応答性悪化や固着による作動不良が発生すると、各気筒のバルブタイミング制御が最適状態からずれて不完全燃焼(又は失火)が発生し、エンジン回転数の変動が発生するため、このエンジン回転数の変動をモニタすることで、最適状態からのずれを検出して異常発生の有無を診断する。
【0023】
以下、ECU50によるバルブタイミング制御システムの異常診断について、図2に示す異常診断ルーチンのフローチャートを用いて説明する。
【0024】
この異常診断ルーチンは、所定時間或いは所定周期毎に実行され、先ず、ステップS101で、現在の運転状態が失火診断条件が成立する運転状態にあるか否かを判断する。この失火診断条件は、例えば、燃料カットを実行中でないこと等である。
【0025】
そして、ステップS101において、失火診断条件が成立しない場合には、可変バルブタイミングシステムの診断を実行せずに一旦ルーチンを抜け、失火診断条件が成立する場合、ステップS102へ進んで、バルブタイミング制御システムの診断条件が成立するか否かを判断する。このバルブタイミング制御システムの診断条件は、例えば、エンジン回転数Neや吸気管圧力PMが安定している運転状態にある条件である。
【0026】
その結果、バルブタイミング制御システムの診断条件が成立しない場合には、同様に、バルブタイミング制御システムの診断を実行せずにルーチンを抜け、バルブタイミング制御システムの診断条件が成立する場合、ステップS102からステップS103へ進み、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化が設定範囲内か否かを調べる。
【0027】
すなわち、バルブタイミング制御においては、エンジン負荷とエンジン回転数とによる運転状態に応じて目標バルブタイミングを設定し、エンジンを最適な状態に制御するようにしており、低負荷低回転のアイドル領域においては、例えば、目標バルブタイミングを最遅角として吸気バルブ25の開閉タイミングを進角量=0°の最遅角状態に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップをなくしてアイドル回転安定化を図っている。
【0028】
また、中負荷運転領域では、目標バルブタイミングを小〜中の進角量に設定し、吸気バルブ25の開閉タイミングを進角側に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップ量を大きくして内部EGR率を増加することで、エンジンのポンピングロスを低減して燃費の向上を図る一方、高負荷運転領域では、目標バルブタイミングを進角量大に設定して吸気バルブ25の開閉タイミングを中負荷域よりも進角側に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップを更に増加させて充填効率及び掃気効率を高め、エンジン出力を向上するようにしている。更に、低負荷高回転の運転領域では、目標バルブタイミングを進角量小として吸気バルブ25の開閉タイミングを遅角側に制御し、バルブオーバラップ量を減少させてエンジンの過回転を防止するようにしている。
【0029】
従って、運転条件が変化したとき、例えば、走行状態からアイドル状態へ運転条件が変化したときには、目標バルブタイミングが進角側から遅角側へと変化し、トルク変化によるエンジン回転数の変動が発生する。このエンジン回転数の変動は、可変バルブタイミングシステムが正常であれば比較的小さいが、可変バルブタイミングシステムに異常が発生すると、大きな変動となって現れる。特に、本形態のエンジン1では、バルブタイミング制御システムが正常に作動しているバンクと、バルブタイミング制御システムに異常が発生したバンクとの間に生じるトルク差によりエンジン回転数にバラツキが発生し、あたかも失火が発生したかのような挙動を示す。
【0030】
一般に、失火が発生したか否かは、燃焼行程の気筒のエンジン回転数と、1燃焼行程前の気筒のエンジン回転数との差(差回転)の変化によって判断しており、失火診断値(差回転の変化)が、2燃焼行程前の気筒と1燃焼行程前の気筒との間で判定レベル以下の負の値となり、且つ、1燃焼行程前の気筒と燃焼行程気筒との間で判定レベル以上の正の値となったとき、1燃焼行程前の気筒が失火状態であると判定する。従って、この失火診断値(絶対値)をバルブタイミング制御システムの異常を診断するための診断値DIAGとして用い、この診断値DIAGをモニタすることでバルブタイミング制御システムの異常を判断することができる。
【0031】
このため、ステップS103では、診断値DIAGを予め設定した判定閾値DIAGSETと比較する。判定閾値DIAGSETは、エンジン特性や可変バルブタイミング機構27の特性を考慮して予めシミュレーション或いは実験等により求めた正常範囲を規定する値であり、ECU50内のメモリに固定データとしてストアされている。
【0032】
その結果、DIAG≦DIAGSETの場合には、ステップS104でバルブタイミング制御システムは正常であると判定してルーチンを抜け、DIAG>DIAGSETの場合、ステップS105でバルブタイミング制御システムに異常有りと判定し、異常データを診断用のバックアップメモリにストアすると共に運転者に異常発生を警告し、ルーチンを抜ける。
【0033】
尚、ステップS103においては、診断値DIAGとして、失火診断値そのものではなく、失火診断値(絶対値)を積分した値、すなわちエンジン回転数変化量の積分値を用いても良く、このエンジン回転数変化量の積分値を予め設定しておいた判定閾値と比較し、判定閾値を越えた場合、バルブタイミング制御システムが異常であると判定するようにしても良い。
【0034】
このように本実施の形態では、運転条件が変化したときのエンジン回転数変化量(或いはエンジン回転数変化量の積分値)が判定閾値を越えた場合、バルブタイミング制御システムが異常であると診断するため、運転領域に拘わらず、可変バルブタイミング機構27の摺動部の摺動不良や固着等による応答性悪化を迅速且つ確実に検出することができる。
【0035】
しかも、摺動部の固着又は固着に近い状態は勿論のこと、油圧が規定よりも高くなって可変バルブタイミング機構27に応答遅れが発生し、目標進角に対して実進角の応答性が悪化した場合においても、的確に異常を検出し、診断精度を向上することができる。
【0036】
図3は本発明の実施の第2形態に係わり、異常診断ルーチンのフローチャートである。
【0037】
前述の第1形態では、運転条件が変化したときのエンジン回転数の変動が所定レベル(判定閾値)を越えたか否かにより異常発生の有無を判断している。これに対し、第2形態は、エンジン回転数の変動が収束するまでに要する時間をモニタすることで、異常発生の有無を診断するものである。
【0038】
このため、第2形態の異常診断ルーチンでは、図3に示すように、第1形態の異常診断ルーチンと同様のステップS201,S202を経て、失火診断条件及びバルブタイミング制御システムの診断条件が成立したとき、ステップS203へ進み、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化量(失火診断値)ΔNが設定値NSETを越えたか否かを調べる。設定値NSETは、エンジン回転数の変動が定常値に収束していると見做し得る値である。
【0039】
その結果、ΔN≦NSETの場合には、ステップS203からステップS206へ進んで、エンジン回転数の変動が収束するまでの時間を計時するためのタイマCをクリアし(C←0)、ステップS207で、バルブタイミング制御システムは正常であると判定してルーチンを抜ける。
【0040】
一方、ステップS203において、ΔN>NSETの場合には、ステップS203からステップS204へ進んでタイマCをカウントアップし(C←C+1)、ステップS205で、タイマCが設定時間CSETを越えたか否かを調べる。この設定時間CSETは、バルブタイミング制御システムが正常に機能する場合の応答性に基づく時間であり、エンジン特性や可変バルブタイミング機構27の特性を考慮して予めシミュレーション或いは実験等により求めた時間データがECU50内のメモリにストアされている。
【0041】
そして、ステップS205において、C≦CSETの場合には、前述のステップS206,S207を経てルーチンを抜け(正常判定)、C>CSETの場合、すなわち、運転条件の変化に伴うエンジン回転数変動が設定時間を越えても定常値に収束しない場合には、ステップS208で、摺動部の摺動不良や固着等による応答性悪化が発生してバルブタイミング制御システムに異常有りと判定し、異常データを診断用のバックアップメモリにストアすると共に運転者に異常発生を警告し、ルーチンを抜ける。
【0042】
第2形態においても、第1形態と同様、異常診断の診断領域を拡大し、可変バルブタイミング機構27の摺動部の摺動不良や固着等による応答性悪化を迅速且つ確実に検出することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、バルブタイミング制御システムの異常を診断する際の診断領域を拡大すると共に、診断処理の負荷を軽減して迅速且つ確実に異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図
【図2】同上、異常診断ルーチンのフローチャート
【図3】本発明の実施の第2形態に係わり、異常診断ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
1b クランク軸
19 吸気カム軸
20 排気カム軸
27 可変バルブタイミング機構
50 電子制御装置
DIAG 診断値
DIAGSET 判定閾値
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミングシステムの異常診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムを備えたエンジンが実用化されており、この種のバルブタイミング制御システムでは、エンジン運転状態に応じて可変バルブタイミング機構を制御し、吸気バルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミングを連続的に変更する。
【0003】
このようなバルブタイミング制御システムでは、万一の故障発生に備えて異常診断装置が必要であり、例えば、特開2001−20798号公報には、失火の発生頻度を運転領域別にモニタし、失火発生頻度が低速低負荷運転領域のみで高まっている場合には、排気系の高速用カムがロックしていると判定し、失火発生頻度が低速低負荷運転及び中速中負荷運転領域において高まっている場合には、吸気系の高速用カムがロックしていると判定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−20798号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように失火の発生頻度を運転領域別にモニタする技術では、頻度計算のための演算負荷が増大し、処理遅れ等により判定までに時間がかかるばかりでなく、検出ミスが発生する虞がある。更には、異常判定を低速低負荷運転領域及び中速中負荷運転領域のみに適用しているため、診断領域が限定されてしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、異常診断の診断領域を拡大すると共に、迅速且つ確実に異常を検出することのできるバルブタイミング制御システムの異常診断装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による第1の異常診断装置は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムの異常診断装置であって、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化を検出し、このエンジン回転数の変化に基づいて診断値を算出する手段と、上記診断値を予め設定した判定閾値と比較し、上記診断値が上記判定閾値を越えたとき、異常発生と判断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明による第2の異常診断装置は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムの異常診断装置であって、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化を検出し、このエンジン回転数の変化が収束するまでの収束時間を算出する手段と、上記収束時間が予め設定した時間を越えたとき、異常発生と判断する手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図、図2は異常診断ルーチンのフローチャートである。
【0010】
先ず、本発明が適用される可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成について説明する。図1において、符号1は、可変バルブタイミング機構付きエンジン(以下、単に「エンジン」と略記する)であり、図においては、シリンダブロック1aがクランク軸1bを中心として左右2つのバンク(図の右側が左バンク、左側が右バンク)に分割される水平対向型4気筒エンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に、吸気ポート2aと排気ポート2bとが気筒毎に形成されている。
【0011】
シリンダヘッド2の各吸気ポート2aにはインテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介して、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが介装されたスロットルチャンバ5が連通されている。そして、このスロットルチャンバ5の上流に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7に接続されるエアインテーク通路にチャンバ8が連通されている。
【0012】
また、吸気管6にはスロットル弁5aをバイパスするバイパス通路9が接続されており、このバイパス通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル回転数を制御するアイドル制御弁10が介装されている。また、インテークマニホルド3の各気筒の吸気ポート2aの直上流にインジェクタ11が配設され、放電電極を燃焼室に露呈する点火プラグ12がシリンダヘッド2の各気筒毎に配設されている。各点火プラグ12は、イグナイタ内蔵のイグニッションコイル13に接続されている。
【0013】
更に、シリンダヘッド2の各排気ポート2bにエキゾーストマニホルド14が連通され、このエキゾーストマニホルド14の集合部に排気管15が連通されている。この排気管15には触媒コンバータ16が介装され、マフラ17に連通されている。
【0014】
一方、左右バンクの各シリンダヘッド2内に、それぞれ吸気カム軸19、排気カム軸20が配設され、クランク軸1bの回転が、各吸気カム軸19、各排気カム軸20に、クランク軸1bに固設されたクランクプーリ21、タイミングベルト22、吸気カム軸19に介装された吸気カムプーリ23、排気カム軸20に固設された排気カムプーリ24等を介して伝達される。そして、吸気カム軸19に設けられた吸気カム、及び排気カム軸20に設けられた排気カムにより、それぞれクランク軸1bと2対1の回転角度に維持される各カム軸19,20の回転に基づいて、吸気バルブ25、排気バルブ26が開閉駆動される。
【0015】
左右バンクの各吸気カム軸19と吸気カムプーリ23との間には、吸気カムプーリ23と吸気カム軸19とを相対回動してクランク軸1bに対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)を連続的に変更する周知の油圧駆動式可変バルブタイミング機構27がそれぞれ配設されている。本形態においては、各バンクの可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設け、排気バルブ26の開閉タイミングに対し、吸気バルブ25の開閉タイミングをエンジン運転状態に応じて変更する。
【0016】
各バンクの可変バルブタイミング機構27には、それぞれ、オイルパン1cから図示しないオイルポンプを介して供給される作動油圧を調整するためのオイルフロー制御弁28が備えられ、マイクロコンピュータ等からなる電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)50によって制御される。オイルフロー制御弁28は、例えばECU50によりデューティ制御されるスプール弁であり、通電電流に比例してオイルフロー制御弁28のスプールが軸方向に移動し、可変バルブタイミング機構27の進角室(進角作動の油圧室)、遅角室(遅角作動の油圧室)に連通する各ポートを切換えてオイルの流れ方向を切換えると共にパッセージの開度を調整し、可変バルブタイミング機構27の進角室、遅角室に供給する油圧の大きさが調整される。尚、可変バルブタイミング機構27の詳細な構成については、例えば、本出願人による特開2000−97096号公報に詳述されている。
【0017】
次に、エンジン1に取付けられたセンサ類について説明する。吸気管6のエアクリーナ7の直下流には、ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた吸入空気量センサ30が介装され、スロットルチャンバ5に配設されたスロットル弁5aに、スロットル開度センサ31が連設されている。また、エンジン1のオイルパン1cに油温センサ32が臨まされると共に、シリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水通路33に水温センサ34が臨まされ、触媒コンバータ16の上流側に、O2センサ等の空燃比センサ35が配設されている。
【0018】
更に、エンジン1のクランク軸1bに軸着するクランクロータ36の外周に、クランク角センサ37が対設され、クランク軸1bに対して1/2回転する一方のバンク(図においては、左バンク)の吸気カムプーリ23の裏面に、気筒判別センサ38が対設されている、各バンクの吸気カム軸19の後端に固設されたカムロータ39の外周には、カム位置検出用のカム位置センサ40がそれぞれ対設されている。
【0019】
以上の各センサ類の出力信号は、ECU50に入力されて処理され、エンジン運転状態が検出される。ECU50は、予め内部に格納されている制御プログラムに従って、各センサ類・スイッチ類等からの信号を処理し、前述のインジェクタ11、イグニッションコイル13に内蔵されるイグナイタ、アイドル制御弁10、可変バルブタイミング機構27のオイルフロー制御弁28等に対する制御量を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御、バルブタイミング制御等のエンジン制御を行う。
【0020】
ここで、バルブタイミング制御においては、エンジン運転状態、例えばエンジン負荷とエンジン回転数とに基づいて、クランク軸1bの回転角と吸気カム軸19の回転角との位相差の制御目標値である目標バルブタイミングを設定すると共に、クランク角センサ37から出力されるクランク角を表すクランクパルスとカム位置センサ40から出力されるカム位置を表すカム位置パルスとから、クランク軸1bの実際の回転角と吸気カム軸19の実際の回転角との位相差である実バルブタイミングを算出する。そして、この実バルブタイミングが目標バルブタイミングに収束するよう、オイルフロー制御弁28を介して可変バルブタイミング機構27をフィードバック制御する。
【0021】
同時に、ECU50は、システムに対する自己診断の一環として、可変バルブタイミング機構27やオイルフロー制御弁28及びその制御系を含むバルブタイミング制御システムの異常診断を定期的に実施するようにしている。このバルブタイミング制御システムの異常診断では、オイル中の不純物や劣化による異物の堆積・沈殿等による各摺動部の摺動性不良による応答性の悪化や異物の噛み込みによる固着等の異常発生を、バルブタイミング制御の最適状態からのずれを調べることで検出する。
【0022】
すなわち、バルブタイミング制御の応答性悪化や固着による作動不良が発生すると、各気筒のバルブタイミング制御が最適状態からずれて不完全燃焼(又は失火)が発生し、エンジン回転数の変動が発生するため、このエンジン回転数の変動をモニタすることで、最適状態からのずれを検出して異常発生の有無を診断する。
【0023】
以下、ECU50によるバルブタイミング制御システムの異常診断について、図2に示す異常診断ルーチンのフローチャートを用いて説明する。
【0024】
この異常診断ルーチンは、所定時間或いは所定周期毎に実行され、先ず、ステップS101で、現在の運転状態が失火診断条件が成立する運転状態にあるか否かを判断する。この失火診断条件は、例えば、燃料カットを実行中でないこと等である。
【0025】
そして、ステップS101において、失火診断条件が成立しない場合には、可変バルブタイミングシステムの診断を実行せずに一旦ルーチンを抜け、失火診断条件が成立する場合、ステップS102へ進んで、バルブタイミング制御システムの診断条件が成立するか否かを判断する。このバルブタイミング制御システムの診断条件は、例えば、エンジン回転数Neや吸気管圧力PMが安定している運転状態にある条件である。
【0026】
その結果、バルブタイミング制御システムの診断条件が成立しない場合には、同様に、バルブタイミング制御システムの診断を実行せずにルーチンを抜け、バルブタイミング制御システムの診断条件が成立する場合、ステップS102からステップS103へ進み、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化が設定範囲内か否かを調べる。
【0027】
すなわち、バルブタイミング制御においては、エンジン負荷とエンジン回転数とによる運転状態に応じて目標バルブタイミングを設定し、エンジンを最適な状態に制御するようにしており、低負荷低回転のアイドル領域においては、例えば、目標バルブタイミングを最遅角として吸気バルブ25の開閉タイミングを進角量=0°の最遅角状態に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップをなくしてアイドル回転安定化を図っている。
【0028】
また、中負荷運転領域では、目標バルブタイミングを小〜中の進角量に設定し、吸気バルブ25の開閉タイミングを進角側に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップ量を大きくして内部EGR率を増加することで、エンジンのポンピングロスを低減して燃費の向上を図る一方、高負荷運転領域では、目標バルブタイミングを進角量大に設定して吸気バルブ25の開閉タイミングを中負荷域よりも進角側に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップを更に増加させて充填効率及び掃気効率を高め、エンジン出力を向上するようにしている。更に、低負荷高回転の運転領域では、目標バルブタイミングを進角量小として吸気バルブ25の開閉タイミングを遅角側に制御し、バルブオーバラップ量を減少させてエンジンの過回転を防止するようにしている。
【0029】
従って、運転条件が変化したとき、例えば、走行状態からアイドル状態へ運転条件が変化したときには、目標バルブタイミングが進角側から遅角側へと変化し、トルク変化によるエンジン回転数の変動が発生する。このエンジン回転数の変動は、可変バルブタイミングシステムが正常であれば比較的小さいが、可変バルブタイミングシステムに異常が発生すると、大きな変動となって現れる。特に、本形態のエンジン1では、バルブタイミング制御システムが正常に作動しているバンクと、バルブタイミング制御システムに異常が発生したバンクとの間に生じるトルク差によりエンジン回転数にバラツキが発生し、あたかも失火が発生したかのような挙動を示す。
【0030】
一般に、失火が発生したか否かは、燃焼行程の気筒のエンジン回転数と、1燃焼行程前の気筒のエンジン回転数との差(差回転)の変化によって判断しており、失火診断値(差回転の変化)が、2燃焼行程前の気筒と1燃焼行程前の気筒との間で判定レベル以下の負の値となり、且つ、1燃焼行程前の気筒と燃焼行程気筒との間で判定レベル以上の正の値となったとき、1燃焼行程前の気筒が失火状態であると判定する。従って、この失火診断値(絶対値)をバルブタイミング制御システムの異常を診断するための診断値DIAGとして用い、この診断値DIAGをモニタすることでバルブタイミング制御システムの異常を判断することができる。
【0031】
このため、ステップS103では、診断値DIAGを予め設定した判定閾値DIAGSETと比較する。判定閾値DIAGSETは、エンジン特性や可変バルブタイミング機構27の特性を考慮して予めシミュレーション或いは実験等により求めた正常範囲を規定する値であり、ECU50内のメモリに固定データとしてストアされている。
【0032】
その結果、DIAG≦DIAGSETの場合には、ステップS104でバルブタイミング制御システムは正常であると判定してルーチンを抜け、DIAG>DIAGSETの場合、ステップS105でバルブタイミング制御システムに異常有りと判定し、異常データを診断用のバックアップメモリにストアすると共に運転者に異常発生を警告し、ルーチンを抜ける。
【0033】
尚、ステップS103においては、診断値DIAGとして、失火診断値そのものではなく、失火診断値(絶対値)を積分した値、すなわちエンジン回転数変化量の積分値を用いても良く、このエンジン回転数変化量の積分値を予め設定しておいた判定閾値と比較し、判定閾値を越えた場合、バルブタイミング制御システムが異常であると判定するようにしても良い。
【0034】
このように本実施の形態では、運転条件が変化したときのエンジン回転数変化量(或いはエンジン回転数変化量の積分値)が判定閾値を越えた場合、バルブタイミング制御システムが異常であると診断するため、運転領域に拘わらず、可変バルブタイミング機構27の摺動部の摺動不良や固着等による応答性悪化を迅速且つ確実に検出することができる。
【0035】
しかも、摺動部の固着又は固着に近い状態は勿論のこと、油圧が規定よりも高くなって可変バルブタイミング機構27に応答遅れが発生し、目標進角に対して実進角の応答性が悪化した場合においても、的確に異常を検出し、診断精度を向上することができる。
【0036】
図3は本発明の実施の第2形態に係わり、異常診断ルーチンのフローチャートである。
【0037】
前述の第1形態では、運転条件が変化したときのエンジン回転数の変動が所定レベル(判定閾値)を越えたか否かにより異常発生の有無を判断している。これに対し、第2形態は、エンジン回転数の変動が収束するまでに要する時間をモニタすることで、異常発生の有無を診断するものである。
【0038】
このため、第2形態の異常診断ルーチンでは、図3に示すように、第1形態の異常診断ルーチンと同様のステップS201,S202を経て、失火診断条件及びバルブタイミング制御システムの診断条件が成立したとき、ステップS203へ進み、運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化量(失火診断値)ΔNが設定値NSETを越えたか否かを調べる。設定値NSETは、エンジン回転数の変動が定常値に収束していると見做し得る値である。
【0039】
その結果、ΔN≦NSETの場合には、ステップS203からステップS206へ進んで、エンジン回転数の変動が収束するまでの時間を計時するためのタイマCをクリアし(C←0)、ステップS207で、バルブタイミング制御システムは正常であると判定してルーチンを抜ける。
【0040】
一方、ステップS203において、ΔN>NSETの場合には、ステップS203からステップS204へ進んでタイマCをカウントアップし(C←C+1)、ステップS205で、タイマCが設定時間CSETを越えたか否かを調べる。この設定時間CSETは、バルブタイミング制御システムが正常に機能する場合の応答性に基づく時間であり、エンジン特性や可変バルブタイミング機構27の特性を考慮して予めシミュレーション或いは実験等により求めた時間データがECU50内のメモリにストアされている。
【0041】
そして、ステップS205において、C≦CSETの場合には、前述のステップS206,S207を経てルーチンを抜け(正常判定)、C>CSETの場合、すなわち、運転条件の変化に伴うエンジン回転数変動が設定時間を越えても定常値に収束しない場合には、ステップS208で、摺動部の摺動不良や固着等による応答性悪化が発生してバルブタイミング制御システムに異常有りと判定し、異常データを診断用のバックアップメモリにストアすると共に運転者に異常発生を警告し、ルーチンを抜ける。
【0042】
第2形態においても、第1形態と同様、異常診断の診断領域を拡大し、可変バルブタイミング機構27の摺動部の摺動不良や固着等による応答性悪化を迅速且つ確実に検出することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、バルブタイミング制御システムの異常を診断する際の診断領域を拡大すると共に、診断処理の負荷を軽減して迅速且つ確実に異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図
【図2】同上、異常診断ルーチンのフローチャート
【図3】本発明の実施の第2形態に係わり、異常診断ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
1b クランク軸
19 吸気カム軸
20 排気カム軸
27 可変バルブタイミング機構
50 電子制御装置
DIAG 診断値
DIAGSET 判定閾値
Claims (3)
- エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムの異常診断装置であって、
運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化を検出し、このエンジン回転数の変化に基づいて診断値を算出する手段と、
上記診断値を予め設定した判定閾値と比較し、上記診断値が上記判定閾値を越えたとき、異常発生と判断する手段とを備えたことを特徴とするバルブタイミング制御システムの異常診断装置。 - 上記診断値を、エンジン回転数変化量或いはエンジン回転数変化量の積分値とすることを特徴とする請求項1記載のバルブタイミング制御システムの異常診断装置。
- エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整するバルブタイミング制御システムの異常診断装置であって、
運転条件の変化に伴うエンジン回転数の変化を検出し、このエンジン回転数の変化が収束するまでの収束時間を算出する手段と、
上記収束時間が予め設定した時間を越えたとき、異常発生と判断する手段とを備えたことを特徴とするバルブタイミング制御システムの異常診断装置。
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