JP4425417B2 - エンジンのバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整する油圧駆動式可変バルブタイミング機構を備えたエンジンのバルブタイミング制御装置に関し、詳しくは、可変バルブタイミング機構を所定のカム位相で定常状態に保持するための油圧制御弁の保持電流値の誤学習を防止するエンジンのバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整する可変バルブタイミング機構を備えた可変バルブタイミング機構付きエンジンが実用化されており、この種の可変バルブタイミング機構付きエンジンでは、エンジン運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミングを連続的に変更する。
【0003】
ここで、可変バルブタイミング機構は、一般に、油圧によって駆動される油圧駆動式が採用され、バルブタイミング制御においては、実バルブタイミングがエンジン運転状態に基づき設定した目標バルブタイミングに収束するよう可変バルブタイミング機構の油圧を制御する油圧制御弁に対する制御信号をフィードバック制御する。
【0004】
また、バルブタイミングのフィードバック制御に際しては、油圧制御弁が所定の作動状態で可変バルブタイミング機構を所定のカム位相で定常状態に保持する油圧制御弁の制御電流を保持電流として学習することで、油圧制御弁の製造上のバラツキや油圧制御弁のドレイン量の相違等に起因する目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間の定常的な偏差を解消するようにしている。
【0005】
保持電流の学習に係わる先行技術としては、例えば、特開平8−109840号公報に開示の技術があり、この先行技術では、目標電流に対するバルブタイミング変化速度の製品バラツキの上限品に対応する上限値と下限品に対応する下限値とを定め、この上限値と下限値との範囲内で保持電流の学習を行い、保持電流が上限値或いは下限値を逸脱する場合は保持電流の学習を禁止することで、可変バルブタイミング機構に異物が噛み込んだ場合にも、異物除去後に、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの制御偏差が過剰に大きくならないようにしている。
【0006】
また、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間の定常的な偏差を解消する技術としては、特開平9−217609号公報に開示の技術があり、この先行技術では、目標相対角変化量(目標進角速度)が所定値以上で、目標相対角変化量と相対角変化量(実進角速度)との偏差が所定値以上のとき、定常的な偏差があると判断して相対回転角(実バルブタイミング)と目標相対回転角(目標バルブタイミング)とに基づいて算出されるフィードバック補正値に対して偏差補正値を加減算し、可変バルブタイミング機構に対する制御量(出力デューティ値)を設定することで、目標相対回転角及び相対回転角が遷移しているにも拘わらず、その間の偏差が解消しないときには、その偏差が解消する方向に可変バルブタイミング機構に対する制御量を補正し、油圧制御弁自体の製造上のバラツキ等に影響されずにバルブタイミングを正確に制御するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、可変バルブタイミング機構の最遅角位置及び最進角位置は、保持電流によりカム位相が保持されるのではなく、可変バルブタイミング機構の機構的なストッパにより保持される。このため、最進角及び最遅角で保持電流を学習すると、誤学習を生じる虞がある。
【0008】
このような保持電流の誤学習に対し、特開平8−109840号公報による先行技術では、目標電流に対するバルブタイミング変化速度の製品バラツキの上限品に対応する上限値と下限品に対応する下限値との範囲を逸脱する場合に保持電流の学習を禁止するに過ぎず、最遅角及び最進角において保持電流が学習されることになり、誤学習された保持電流に基づいて油圧制御弁に対する制御電流が設定され、目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングのズレや収束性の悪化等を生じ、バルブタイミング制御における制御性が悪化する虞がある。
【0009】
この場合、可変バルブタイミング機構の最遅角位置及び最進角位置は、製品バラツキ等に起因して位置のバラツキ(誤差)があるため、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域では、保持電流を適正に学習できないことに起因する定常的な偏差が残る可能性があり、特開平9−217609号公報による先行技術では、フィードバック補正値に偏差補正値を加減算するため、油圧制御弁自体の製造上のバラツキに起因する定常偏差を解消できるものの、最遅角ないし最遅角近傍、及び最進角ないし最進角近傍では、定常的な偏差を解消することは困難である。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域での保持電流の誤学習を防止することにあり、第2の目的は、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域で、保持電流を適正に学習できないことに起因する定常的な偏差を解消することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整する油圧駆動式可変バルブタイミング機構を備え、エンジン運転状態に基づく目標バルブタイミングに実バルブタイミングが収束するよう油圧制御弁を電流制御して上記可変バルブタイミング機構を制御するエンジンのバルブタイミング制御装置において、最遅角側の誤学習を防止するための第1の判定閾値により最遅角側の非学習領域が設定され、最進角側の誤学習を防止するための第2の判定閾値により最進角側の非学習領域が設定され、上記非学習領域において上記油圧制御弁に対して上記可変バルブタイミング機構を所定のカム位相で定常状態に保持するための保持電流値の学習を禁止する学習禁止手段と、標バルブタイミングが上記第1の判定閾値よりも遅角側にあり、且つ目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが進角側にある状態が設定時間継続する場合、最遅角ないし最遅角近傍において目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間に進角方向に定常偏差があると判断する定常偏差判断手段と、記定常偏差判断手段によって定常偏差があると判断されたとき、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差に基づくフィードバック電流値と上記保持電流値とによる上記油圧制御弁の制御電流値を遅角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により上記制御電流値を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記定常偏差判断手段は、目標バルブタイミングが上記第2の判定閾値よりも進角側にあり、且つ目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが遅角側にある状態が設定時間継続する場合、最進角ないし最進角近傍において遅角方向に定常偏差があると判断し、上記補正手段は、上記制御電流値を進角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により上記制御電流値を補正することを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項1記載の発明は、最遅角側の誤学習を防止するための第1の判定閾値により設定される最遅角側の非学習領域、及び最進角側の誤学習を防止するための第2の判定閾値により設定される最進角側の非学習領域において、油圧制御弁に対して可変バルブタイミング機構を所定のカム位相で定常状態に保持するための保持電流値の学習を禁止することで、保持電流の誤学習による目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングのズレや収束性の悪化等を未然に回避し、バルブタイミング制御の制御性悪化を防止する。
その際、目標バルブタイミングが第1の判定閾値よりも遅角側にあり、且つ目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが進角側にある状態が設定時間継続する場合、最遅角ないし最遅角近傍において目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間に進角方向に定常偏差があると判断し、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差に基づくフィードバック電流値と保持電流値とによる油圧制御弁の制御電流値を遅角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により制御電流値を補正することで、最遅角ないし最遅角近傍における進角方向の定常偏差を確実に判断し、保持電流を適正に学習できないことに起因して生じる定常偏差を的確に解消する。
【0018】
更に、請求項記載の発明は、目標バルブタイミングが第2の判定閾値よりも進角側にあり、且つ、目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが遅角側にある状態が設定時間継続する場合、最進角ないし最進角近傍において遅角方向に定常偏差があると判断して制御電流値を進角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により制御電流値を補正することで、最進角ないし最進角近傍における遅角方向の定常偏差を確実に判断し、このときの定常偏差を的確に解消する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図21は本発明の実施の一形態に係わり、図1はバルブタイミング制御ルーチンのフローチャート、図2は目標電流値算出ルーチンのフローチャート、図3は保持電流値学習ルーチンのフローチャート、図4は制御電流補正量設定ルーチンのフローチャート、図5及び図6は制御電流値設定ルーチンのフローチャート、図7は排気バルブに対する吸気バルブのバルブタイミングの変化を示す説明図、図8は目標バルブタイミングテーブルの説明図、図9は保持電流の非学習領域での定常偏差を示す説明図、図10はP分テーブルの説明図、図11はI分テーブルの説明図、図12はPI制御による制御電流値設定の説明図、図13はクランクパルス、気筒判別パルス、及びカム位置パルスの関係を示すタイムチャート、図14は可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図、図15は可変バルブタイミング機構の概略構成図、図16は可変バルブタイミング機構の最進角状態を図15のA−A断面で示す説明図、図17は可変バルブタイミング機構の最遅角状態を図15のA−A断面で示す説明図、図18はクランクロータとクランク角センサの正面図、図19は吸気カムプーリの背面図、図20はカムロータとカム位置センサの正面図、図21は電子制御系の回路構成図である。
【0020】
先ず、本発明が適用される可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成について、図14に従い説明する。同図において、符号1は、可変バルブタイミング機構付きエンジン(以下、単に「エンジン」と略記する)であり、図においては、DOHC水平対向型4気筒ガソリンエンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に気筒毎に吸気ポート2aと排気ポート2bとが形成されている。
【0021】
エンジン1の吸気系としては、各吸気ポート2aにインテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介して、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが介装されたスロットルチャンバ5が連通されている。そして、このスロットルチャンバ5の上流に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7に接続されるエアインテーク通路にチャンバ8が連通されている。
【0022】
また、吸気管6には、スロットル弁5aをバイパスするバイパス通路9が接続されており、このバイパス通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル回転数を制御するアイドル制御弁10が介装されている。
【0023】
更に、インテークマニホルド3の各気筒の吸気ポート2aの直上流に、インジェクタ11が配設されている。また、先端の放電電極を燃焼室に露呈する点火プラグ12が、シリンダヘッド2に各気筒毎に配設されている。そして、各点火プラグ12は、イグナイタ内蔵イグニッションコイル13に接続されている。
【0024】
一方、エンジン1の排気系としては、シリンダヘッド2の各排気ポート2bに連通するエキゾーストマニホルド14の集合部に排気管15が連通され、この排気管15に触媒コンバータ16が介装されてマフラ17に連通されている。
【0025】
ここで、図14〜図17に基づいて、エンジン1の可変バルブタイミング機構について説明する。
【0026】
エンジン1のクランク軸18の回転は、左右バンクの各シリンダヘッド2内にそれぞれ配設された各吸気カム軸19及び各排気カム軸20に、クランク軸18に固設されたクランクプーリ21、タイミングベルト22、吸気カム軸19に介装された吸気カムプーリ23、排気カム軸20に固設された排気カムプーリ24等を介して伝達され、クランク軸18とカム軸19,20とが2対1の回転角度となるよう設定されている。そして、吸気カム軸19に設けられたカム19a、及び排気カム軸20に設けられた排気カム(図示せず)は、それぞれクランク軸18と2対1の回転角度に維持される各カム軸19,20の回転に基づいて、吸気バルブ25、排気バルブ26を開閉駆動する。
【0027】
図15に示すように、左右バンクの各吸気カム軸19と吸気カムプーリ23との間には、吸気カムプーリ23と吸気カム軸19とを相対回動してクランク軸18に対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)を連続的に変更する油圧駆動式可変バルブタイミング機構27が配設されている。この可変バルブタイミング機構27は、周知のように、リニアソレノイド弁或いはデューティソレノイド弁等からなる油圧制御弁としてのオイルフロー制御弁36R(36L)によって油圧が切換えられるものであり、後述の電子制御装置60からの駆動信号により作動する。尚、以下において、符号における添え字L,LHは右バンク、R,RHは左バンクを表す。
【0028】
吸気カム軸19は、シリンダヘッド2及びベアリングキャップ(図示せず)間において回転自在に支持され、吸気カム軸19の先端部に、図15〜図17に示すように、3つのベーン28aを有するベーンロータ28がボルト29により一体回転可能に取付けられている。
【0029】
また、吸気カムプーリ23には、ハウジング30及びハウジングカバー31がボルト32により一体回転可能に取付けられている。また、吸気カムプーリ23の外周には、タイミングベルト22を掛装するための外歯23aが多数形成されている。
【0030】
そして、吸気カム軸19が回動自在にハウジングカバー31を貫通し、吸気カム軸19に固設されたベーンロータ28の各ベーン28aが吸気カムプーリ23と一体のハウジング30に形成された3つの扇状空間部33に回動自在に収納される。各扇状空間部33は、それぞれベーン28aによって進角室33aと遅角室33bとに区画される。
【0031】
進角室33aは、それぞれベーンロータ28、吸気カム軸19、シリンダヘッド2に形成された進角側オイル通路28b,19b,34を介してオイルフロー制御弁36R(36L)のAポート36aに連通され、また、遅角室33bは、それぞれベーンロータ28、吸気カム軸19、シリンダヘッド2に形成された遅角側オイル通路28c,19c,35を介してオイルフロー制御弁36R(36L)のBポート36bに連通されている。
【0032】
オイルフロー制御弁36R(36L)は、オイルパン37からオイルポンプ38、オイルフィルタ39を介してオイルすなわち所定の油圧が供給されるオイル供給通路40に接続するオイル供給ポート36cと、2つのドレイン通路41,42にそれぞれ連通するドレインポート36d,36fとを有し、4つのランド及び各ランド間に形成された3つのパッセージを有するスプール36gを軸方向に往復動させることで、Aポート36a,Bポート36bと、オイル供給ポート36c,ドレインポート36d又は36fとを選択的に連通する。
【0033】
本形態においては、オイルフロー制御弁36R(36L)は、後述の電子制御装置60により電流制御されるリニアソレノイドをアクチュエータとして備える4方向制御弁であり、リニアソレノイドの通電電流に比例してスプール36gが軸方向に移動し、オイルの流れ方向を切換えると共にパッセージの開度を調整し、各進角室33a、遅角室33bに供給する油圧の大きさが調整される。
【0034】
また、符号28dは、ベーンロータ28のベーン28aに挿通されたストッパピンであり、可変バルブタイミング機構27が最遅角状態のとき(図17参照)、ハウジング30に形成された孔30aに係合して位置決めを行う。すなわち、ベーンロータ28の機械的な可動範囲は、図16に示すように、ベーン28aが遅角室33b側のハウジング30側壁に当接する最進角位置から、図17に示すように、ベーン28aのストッパピン28dが孔30aに係合する最遅角位置までとなる。
【0035】
以上の可変バルブタイミング機構27には、その作動位置を検出するセンサとして、クランク軸18に軸着されて同期回転するクランクロータ43外周の所定クランク角毎の突起43a,43b,43c(図18参照)を検出し、クランク角を表すクランクパルスを出力するクランク角センサ44と、吸気カム軸19の後端に固設されて同期回転するカムロータ45外周の等角度毎の複数の突起45a(図20参照)を検出し、カム位置を表すカム位置パルスを出力するカム位置センサ46R(46L)とが用いられる。
【0036】
そして、クランク角センサ44から出力されるクランクパルス、及び、カム位置センサ46R(46L)から出力されるカム位置パルスを電子制御装置60に入力し、該電子制御装置60によって、クランクパルスとカム位置パルスとに基づいて基準クランク角に対する吸気カム位置の実変位角(実バルブタイミング)を算出し、この実バルブタイミングがエンジン運転状態に基づき設定した目標バルブタイミングに収束するよう可変バルブタイミング機構27をフィードバック制御する。
【0037】
本実施の形態においては、可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設け、図7に示すように、排気バルブ26の開閉タイミングに対し、吸気バルブ25の開閉タイミングをエンジン運転状態に応じて変更する。また、本形態で採用するリニアソレノイド式のオイルフロー制御弁36R(36L)は、電子制御装置60から出力される制御電流が大きいほど、スプール36gが図16に示すように左方向に移動してクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角を進角させ、制御電流が小さい程、スプール36gが図17に示すように右方向に移動してクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角を遅角させる。
【0038】
すなわち、エンジン運転状態に基づいて設定した目標変位角(目標バルブタイミング)に対し、クランク角センサ44から出力されるクランクパルス、及び、カム位置センサ46R(46L)から出力されるカム位置パルスとに基づいて基準クランク角に対する吸気カム位置の回転位相、すなわちクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角が進角しているときには、電子制御装置60は、オイルフロー制御弁36R(36L)に出力する制御電流を減少して可変バルブタイミング機構27の作動によりクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角を遅角させ、クランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角が遅角しているときには、オイルフロー制御弁36R(36L)に出力する制御電流を増加して可変バルブタイミング機構27の作動によりクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角を進角させる。
【0039】
オイルフロー制御弁36R(36L)の制御電流が増加すると、スプール36gが図16に示すように左方向に移動し、Aポート36aとオイル供給ポート36cとが連通して可変バルブタイミング機構27の進角室33aが進角側オイル通路28b,19b,34、オイルフロー制御弁36R(36L)を介してオイル供給通路40に連通する。また、これと共に、Bポート36bとドレインポート36fとが連通することで、可変バルブタイミング機構27の遅角室33bが遅角側オイル通路28c,19c,35、オイルフロー制御弁36R(36L)を介してドレイン通路42に連通する。
【0040】
その結果、可変バルブタイミング機構27の進角室33aにオイルが供給されて進角室33aに作用する油圧が上昇すると共に、遅角室33b内のオイルのドレインにより遅角室33bに作用する油圧が低下し、図16に示すように、ベーンロータ28が図の時計回り方向に回動し、吸気カムプーリ23に対する吸気カム軸19の回転位相、すなわちクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角が進角化されて、吸気カム軸19の吸気カム19aによって駆動される吸気バルブ25の開閉タイミングが進角される。
【0041】
逆に、オイルフロー制御弁36R(36L)の制御電流が減少すると、スプール36gが図17に示すように右方向に移動し、Aポート36aとドレインポート36dとが連通して可変バルブタイミング機構27の進角室33aが進角側オイル通路28b,19b,34、オイルフロー制御弁36R(36L)を介してドレイン通路41に連通する。また、これと共に、Bポート36bとオイル供給ポート36cとが連通することで、可変バルブタイミング機構27の遅角室33bが遅角側オイル通路28c,19c,35、オイルフロー制御弁36R(36L)を介してオイル供給通路40に連通する。
【0042】
これにより、可変バルブタイミング機構27の進角室33a内のオイルのドレインにより進角室33aに作用する油圧が低下すると共に、遅角室33bにオイルが供給されて遅角室33bに作用する油圧が上昇し、図17に示すように、ベーンロータ28が図の反時計回り方向に回動し、吸気カムプーリ23に対する吸気カム軸19の回転位相、すなわちクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角が遅角化されて、吸気カム軸19の吸気カム19aによって駆動される吸気バルブ25の開閉タイミングが遅角される。
【0043】
次に、エンジン運転状態を検出するためのセンサ類について説明する。吸気管6のエアクリーナ7の直下流には、ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた熱式の吸入空気量センサ47が介装され、スロットルチャンバ5に配設されたスロットル弁5aにスロットル開度センサ48が連設されている。
【0044】
また、エンジン1のシリンダブロック1aにノックセンサ49が取付けられ、シリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水通路50に冷却水温センサ51が臨まされている。そして、触媒コンバータ16の上流にO2センサ52が配設されている。
【0045】
また、エンジン1のクランク軸18に軸着するクランクロータ43の外周にクランク角センサ44が対設され、更に、クランク軸18に対し1/2回転する吸気カムプーリ23の裏面に気筒判別センサ53が対設され(図15参照)、吸気カム軸19の後端に固設されたカムロータ45の外周にカム位置センサ46R(46L)が対設されている。
【0046】
クランクロータ43は、図18に示すように、その外周に突起43a,43b,43cが形成され、これらの各突起43a,43b,43cが、各気筒(#1,#2気筒と#3,#4気筒)の圧縮上死点前(BTDC)θ1,θ2,θ3の位置に形成されている。本形態においては、θ1=97°CA,θ2=65°CA,θ3=10°CAである。
【0047】
また、図19に示すように、吸気カムプーリ23の裏面の外周側に、気筒判別用の突起23b,23c,23dが形成され、突起23bが#3,#4気筒の圧縮上死点後(ATDC)θ4の位置に形成され、突起23cが3個の突起で構成されて最初の突起が#1気筒のATDCθ5の位置に形成されている。更に、突起23dが2個の突起で形成され、最初の突起が#2気筒のATDCθ6の位置に形成されている。尚、本形態においては、θ4=20°CA,θ5=5°CA,θ6=20°CAである。また、これら気筒判別用の突起23b,23c,23d、及び、気筒判別センサ53は、一方のバンクのみに設けられる。
【0048】
さらに、本形態で採用するエンジン1が4気筒エンジンであるのに対応して、カムロータ45は、図20に示すように、その外周にカム位置検出用の突起45aが180°CAの等角度毎に1個づつ計4個形成されている。そして、これら各突起45aは、可変バルブタイミング機構27の作動によって、各気筒の圧縮上死点を基準として、θ7=BTDC40°CA〜ATDC10°CAの間で変化する。
【0049】
尚、図20においては、RH側の吸気カム軸19に固設されているカムロータ45を示すが、LH側の吸気カム軸19にも、同様にカムロータ45が固設され、その外周にカム位置検出用の突起45aが180°CAの等角度毎に4個形成されており、これら各突起45aは、可変バルブタイミング機構27の作動によって、各気筒の圧縮上死点を基準として、θ8=BTDC40°CA〜ATDC10°CAの間で変化する。
【0050】
そして、図13のタイムチャートに示すように、エンジン運転に伴い、クランク軸18、吸気カムプーリ23、及び吸気カム軸19の回転により、クランクロータ43及びカムロータ45が回転して、クランクロータ43の各突起43a,43b,43cがクランク角センサ44によって検出され、クランク角センサ44からθ1,θ2,θ3(BTDC97°,65°,10°CA)の各クランクパルスがエンジン1/2回転(180°CA)毎に出力される。また、θ3クランクパルスとθ1クランクパルスとの間で吸気カムプーリ23の各突起23b,23c,23dが気筒判別センサ53によって検出され、気筒判別センサ53から所定数の気筒判別パルスが出力される。
【0051】
また、可変バルブタイミング機構27によってクランク軸18に対し回転位相が変化する右バンク,左バンクの各吸気カム軸19の後端に固設されたカムロータ45の各突起45aがカム位置センサ46R,46Lによって検出され、カム位置センサ46R,46Lからそれぞれθ7,θ8のカム位置パルスが出力される。
【0052】
そして、以下のエンジン制御用の電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)60において、クランク角センサ44から出力されるクランクパルスの入力間隔時間に基づいてエンジン回転数NEを算出し、また、各気筒の燃焼行程順(例えば、#1気筒→#3気筒→#2気筒→#4気筒)と、気筒判別センサ53からの気筒判別パルスをカウンタによって計数した値とのパターンに基づいて、燃焼行程気筒、燃料噴射対象気筒や点火対象気筒の気筒判別を行う。さらに、ECU60は、クランク角センサ44から出力されるクランクパルス(例えば、突起43bに対応するθ2クランクパルス)、及び、カム位置センサ46R,46Lから出力されるθ7,θ8カム位置パルスとに基づいて基準クランク角に対する吸気カム位置の実変位角(実バルブタイミング)を算出する。
【0053】
ECU60は、前述のインジェクタ11、点火プラグ12、アイドル制御弁10、可変バルブタイミング機構27に供給する油圧を調節するためのオイルフロー制御弁36R,36L等のアクチュエータ類に対する制御量の演算、制御信号の出力、すなわち、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御、吸気バルブ25に対するバルブタイミング制御等を行うものであり、図21に示すように、CPU61、ROM62、RAM63、バックアップRAM64、カウンタ・タイマ群65、及びI/Oインターフェイス66がバスラインを介して接続されるマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に安定化電源を供給する定電圧回路67、I/Oインターフェイス66に接続される駆動回路68、A/D変換器69等の周辺回路が内蔵されている。
【0054】
尚、カウンタ・タイマ群65は、フリーランカウンタ、気筒判別センサ信号(気筒判別パルス)の入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射用タイマ、点火用タイマ、定期割込みを発生させるための定期割込み用タイマ、クランク角センサ信号(クランクパルス)の入力間隔計時用タイマ、及びシステム異常監視用のウオッチドッグタイマ等の各種タイマを便宜上総称するものであり、その他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマが用いられる。
【0055】
定電圧回路67は、2回路のリレー接点を有する電源リレー70の第1のリレー接点を介してバッテリ71に接続され、電源リレー70は、そのリレーコイルの一端が接地され、リレーコイルの他端が駆動回路68に接続されている。尚、電源リレー70の第2のリレー接点には、バッテリ71から各アクチュエータに電源を供給するための電源線が接続されている。バッテリ71には、イグニッションスイッチ72の一端が接続され、このイグニッションスイッチ72の他端がI/Oインターフェイス66の入力ポートに接続されている。
【0056】
さらに、定電圧回路67は、直接、バッテリ71に接続されており、イグニッションスイッチ72のONが検出されて電源リレー70の接点が閉となると、ECU60内の各部へ電源を供給する一方、イグニッションスイッチ72のON,OFFに拘らず、常時、バックアップRAM64にバックアップ用の電源を供給する。
【0057】
I/Oインターフェイス66の入力ポートには、ノックセンサ49、クランク角センサ44、気筒判別センサ53、カム位置センサ46R,46L、車速を検出するための車速センサ54が接続されており、更に、A/D変換器69を介して、吸入空気量センサ47、スロットル開度センサ48、冷却水温センサ51、及びO2センサ52が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力されてモニタされる。
【0058】
一方、I/Oインターフェイス66の出力ポートには、アイドル制御弁10、インジェクタ11、オイルフロー制御弁36R,36L、及び、電源リレー70のリレーコイルが駆動回路68を介して接続されると共に、イグナイタ内蔵イグニッションコイル13のイグナイタ13aが接続されている。
【0059】
ECU60は、ROM62に記憶されている制御プログラムに従って、I/Oインターフェイス66を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出信号、及びバッテリ電圧等をCPU61で処理すると共に、RAM63に格納される各種データ、バックアップRAM64に格納されている各種学習値データ、及びROM62に記憶されている固定データ等に基づき、燃料噴射量、点火時期、アイドル制御弁10に対する制御信号のデューティ比、オイルフロー制御弁36R,36Lに対する制御電流値等を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御、バルブタイミング制御等のエンジン制御を行う。
【0060】
ここで、上述のように、可変バルブタイミング機構27によるバルブタイミング制御においては、クランク角センサ44から出力されるクランクパルスと、カム位置センサ46R(46L)から出力されるカム位置パルスとに基づいて基準クランク角に対する吸気カム位置の回転位相、すなわちクランク軸18に対する吸気カム軸19の実変位角(実バルブタイミング)を算出し、この実バルブタイミングがエンジン運転状態に基づいて設定した目標バルブタイミングに収束するようオイルフロー制御弁36R,36Lに対する制御電流値を演算し、この制御電流値による制御電流をオイルフロー制御弁36R(36L)に出力して可変バルブタイミング機構27をフィードバック制御する。
【0061】
詳細には、オイルフロー制御弁36R(36L)に対する制御電流値は、目標電流値と現在の制御電流値との比較結果に応じた比例積分制御(PI制御)によって設定され、目標電流値は、エンジン運転状態に基づく目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差に応じた比例微分制御(PD制御)によるフィードバック電流値に、可変バルブタイミング機構27を所定のカム位相で定常状態に保持するための保持電流値を加算して算出される。
【0062】
保持電流値は、オイルフロー制御弁36R(36L)の製造上のバラツキやドレイン量の個体毎の相違等に起因する目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間の定常的な偏差を解消するため、個別の制御系のオイルフロー制御弁36R(36L)毎に学習されるが、最遅角ないし最遅角近傍、及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域では学習が禁止される。
【0063】
すなわち、可変バルブタイミング機構27の最遅角位置及び最進角位置は、保持電流によってカム位相が保持されるわけではなく、機械的なストッパによって保持され、また、個体毎に機械的なバラツキが存在する。このため、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域では、保持電流値の学習を禁止して誤学習を防止することで、保持電流の誤学習による目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングのズレや収束性の悪化等を未然に回避し、バルブタイミング制御の制御性悪化を防止する。
【0064】
この場合、保持電流の学習を禁止する非学習領域では、図9の斜線で示すように、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間に定常偏差が残る虞がある。このため、ECU60は、定常偏差を解消するための制御電流値の補正量(制御電流補正量)を設定し、この制御電流補正量を用いてオイルフロー制御弁36R(36L)に対する制御電流値を補正することで、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域での定常偏差を解消するようにしている。
【0065】
すなわち、ECU60は、バルブタイミング制御機能において本発明に係わる学習禁止手段、定常偏差判断手段、補正手段としての機能を含み、具体的には、図1〜図6に示すルーチンによって各手段の機能を実現する。
【0066】
以下、ECU60によるバルブタイミング制御に係わる処理について、図1〜図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0067】
図1は、イグニッションスイッチ72がONされ、ECU60に電源が投入されてシステムがイニシャライズされた後、所定周期毎(所定時間毎:例えば、10msec毎)に実行されるバルブタイミング制御ルーチンであり、先ず、ステップS101で、図2に示す目標電流値算出ルーチンを実行し、オイルフロー制御弁36R(36L)に対するフィードバック制御の目標電流値ITGTを算出する。
【0068】
前述したように、目標電流値ITGTは、エンジン運転状態に基づく目標バルブタイミング(目標進角値)VTTGTと実バルブタイミングVTとの偏差に応じた比例微分制御(PD制御)によるフィードバック電流値Ifに、保持電流値Ihを加算した電流値である。
【0069】
保持電流値Ihは、オイルフロー制御弁36R(36L)のスプール36gを、そのランドを以ってAポート36a及びBポート36bを閉塞する位置に保持し、シリンダヘッド2側の進角側オイル通路34、遅角側オイル通路35を、オイルフロー制御弁36L(36R)のオイル供給ポート36c、ドレインポート36d,36fから遮断することで、可変バルブタイミング機構27のベーンロータ28を進角側にも遅角側にも変位させず(移動速度を0とし)、所定のバルブタイミング(カム位相)に収束した定常状態に保持するための電流値であり、後述する図3の保持電流値学習ルーチンにより、個別の制御系のオイルフロー制御弁36R(36L)毎に学習される。
【0070】
次に、ステップS102へ進み、図4に示す制御電流補正量設定ルーチンを実行し、保持電流値の学習が禁止される最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域での定常偏差を解消するため、オイルフロー制御弁36R(36L)に対する制御電流値IVTの補正量(制御電流補正量)IVTCORを設定する。
【0071】
その後、ステップS103へ進んで図5及び図6に示す制御電流値設定ルーチンを実行し、前述の制御電流補正量IVTCORを用いて保持電流の非学習域における定常偏差を解消したオイルフロー制御弁36R(36L)の制御電流値IVTを設定すると、ステップS104で、制御電流値IVTによる制御電流を駆動回路68を介してオイルフロー制御弁36R(36L)に出力すべく制御電流値IVTをセットし、ルーチンを抜ける。
【0072】
次に、以上のバルブタイミング制御ルーチンにおける各サブルーチン、すなわち、ステップS101の目標電流値算出ルーチン、ステップS102の制御電流補正量設定ルーチン、ステップS103の制御電流値設定ルーチンについて説明する。
【0073】
先ず、図2の目標電流値算出ルーチンについて説明する。このルーチンでは、ステップS301で、カム位置センサ46R(46L)から出力されるカム位置パルスとクランク角センサ44から出力されるクランクパルスとに基づき、クランク軸18に対する吸気カム軸19の実バルブタイミング(実進角値;実変位角)VTを算出する。
【0074】
具体的には、クランクパルスによって算出されるエンジン回転数NEから単位角度当たりの回転時間を求め、この単位角度回転当たりの時間に、θ2クランクパルスが入力してからθ7,θ8カム位置パルスが入力するまでの時間を乗算することで、θ2クランクパルスによる基準クランク角に対する吸気カム位置の回転位相、すなわちクランク軸18に対する吸気カム軸19の変位角に換算することで実バルブタイミングVTを算出する。
【0075】
次いで、ステップS302へ進み、エンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tp(=K×Q/NE;Qは吸入空気量、Kはインジェクタ特性補正定数)とエンジン回転数NEとに基づいてテーブルを検索し、補間計算により目標バルブタイミング(目標進角値;目標変位角)VTTGTを設定する。
【0076】
すなわち、図8に示すように、バルブタイミング制御領域を、エンジン負荷とエンジン回転数とによる運転状態に応じて4つの領域に分け、それぞれ目標バルブタイミングVTTGTを設定してエンジン1を最適な状態に制御するようにしており、低負荷低回転のアイドル領域においては、目標バルブタイミングVTTGTを0°として、吸気バルブ25の開閉タイミングを進角量=0°の最遅角状態に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップをなくしてアイドル回転安定化を図る。
【0077】
また、中負荷運転領域では、目標バルブタイミングVTTGTを小〜中の進角量に設定し、吸気バルブ25の開閉タイミングを進角側に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップ量を大きくして内部EGR率を増加することで、エンジンのポンピングロスを低減して燃費の向上を図る一方、高負荷運転領域では、目標バルブタイミングVTTGTを進角量大に設定して吸気バルブ25の開閉タイミングを中負荷域よりも進角側に制御し、排気バルブ26と吸気バルブ25とのオーバラップを増加させて充填効率及び掃気効率を高め、エンジン出力を向上する。更に、低負荷高回転の運転領域では、目標バルブタイミングVTTGTを進角量小として吸気バルブ25の開閉タイミングを遅角側に制御し、バルブオーバラップ量を減少させてエンジンの過回転を防止する。
【0078】
尚、各気筒の吸気バルブ25、排気バルブ26のうち、前側の吸気バルブ25、排気バルブ26において、排気バルブ26に対する吸気バルブ25の最遅角時のバルブオーバラップ量は、例えば、6°CAに設定され、最進角時のバルブオーバラップ量は、例えば56°CAに設定される。また、各気筒の吸気バルブ25、排気バルブ26のうち、後側の吸気バルブ25、排気バルブ26において、排気バルブ26に対する吸気バルブ25の最遅角時のバルブオーバラップ量は、例えば10°CAに設定され、最進角時のバルブオーバラップ量は例えば60°CAに設定される。この場合、各吸気カム軸19のクランク軸18(吸気カムプーリ23)に対する回転位相は、可変バルブタイミング機構27によって、最大50°CA変化する。
【0079】
その後、ステップS303へ進み、目標バルブタイミングVTTGTから実バルブタイミングVTを減算して制御偏差ΔVTを算出すると(ΔVT←VTTGT−VT)、ステップS304で、今回の制御偏差ΔVTと前回の制御偏差ΔVTOLDとの差分をとって微分偏差dΔVT/dtを求め(dΔVT/dt←ΔVT−ΔVTOLD)、ステップS305へ進む。
【0080】
ステップS305では、制御偏差ΔVTにPD制御の比例定数Kpを乗算した値と微分偏差dΔVT/dtにPD制御の微分定数Kdを乗算した値との和をフィードバック電流値Ifとして算出し、ステップS306で、フィードバック電流値Ifに保持電流値Ihを加算して目標電流値ITGTを算出する(ITGT←If+Ih)。その後、ステップS307へ進み、今回の制御偏差ΔVTを次回ルーチン実行時の旧値ΔVTOLDとしてRAM63にストアしてルーチンを抜ける。
【0081】
ここで、図3の保持電流値学習ルーチンについて説明する。この保持電流値学習ルーチンルは、所定周期(所定時間)毎に実行され、先ず、ステップS401で、現在の目標バルブタイミングVTTGTが設定値Aと設定値Bとによる領域内にあるか否かを調べる。設定値Aは、最遅角側の誤学習を防止するための第1の判定閾値、設定値Bは最進角側の誤学習を防止するための第2の判定閾値であり、図9に斜線で示すように、設定値Aにより最遅角側の非学習領域が設定され、設定値Bにより最進角側の非学習領域が設定される。
【0082】
本形態では、VTTGT=0°で最遅角、VTTGT=50°で最進角であり、可変バルブタイミング機構27の個体毎の機械的な位置のバラツキを考慮し、例えばA=2〜5°B=45〜48°の値がROM62に固定データとしてストアされている。
【0083】
そして、VTTGT<A或いはVTTGT>Bであり、現在のバルブタイミング制御領域が保持電流の学習を禁止する非学習領域である場合には、ステップS01からステップS406へジャンプして保持電流の学習条件が成立する継続時間を計時するための学習条件成立継続時間カウント値CLRを0にクリアし、ステップS407で、今回の実バルブタイミングVTを次回ルーチン実行時の旧値VTOLDとしてRAM63にストアしてルーチンを抜ける。
【0084】
また、ステップS401においてA≦VTTGT≦Bであり、現在のバルブタイミング制御領域が保持電流の学習領域内にある場合には、ステップS401からステップS402へ進んで今回の実バルブタイミングVTと前回の実バルブタイミングVTOLDとを比較し、VT=VTOLDでバルブタイミングの制御状態が一定か否かを調べる。
【0085】
そして、VT≠VTOLDの場合には、ステップS402から前述のステップS406,S407を経てルーチンを抜け、VT=VTOLDの場合、ステップS402からステップS403へ進んで、学習条件成立継続時間カウント値CLRが設定値CLS(例えば、数sec相当値)に達したか否かを調べる。
【0086】
その結果、ステップS403において、CLR<CLSであり、実バルブタイミングが一定の定常状態にある学習条件の継続時間が設定値CLSにより定まる設定時間に達していない場合、ステップS404へ進んで学習条件成立継続時間カウント値CLRをカウントアップし(CLR←CLR+1)ステップS407を経てルーチンを抜ける。
【0087】
また、ステップS403において、CLR≧CLSであり、実バルブタイミングが一定の定常状態にある学習条件が設定値CLSにより定まる設定時間継続した場合、ステップS403からステップS405へ進んで、現在の目標電流値ITGTを保持電流値Ihとして(Ih←ITGT)、バックアップRAM64の学習値を更新し、前述のステップS406,S407を経てルーチンを抜ける。尚、保持電流値Ihのイニシャルセット値は、予めシミュレーション或いは実験等によって求めた最適値がセットされる。
【0088】
すなわち、保持電流の学習領域では、オイルフロー制御弁36R(36L)に対する制御電流が目標電流値に制御されてフィードバック電流値Ifが0となり、可変バルブタイミング機構27が一定の実バルブタイミング(カム位相)を保持する定常状態にある場合、本来、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに一致しなければならないが、経年変化等により保持電流値Ihが変化すると、目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングの定常偏差が生じる。従って、このときの目標電流値ITGTを保持電流値Ihとして学習することで定常偏差を無くし、実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させることができる。
【0089】
次に、図4の制御電流補正量設定ルーチンについて説明する。このルーチンでは、先ず、ステップS501で、目標バルブタイミングVTTGTと最遅角側の設定値Aとを比較し、目標バルブタイミングVTTGTによるバルブタイミング制御領域が最遅角側の非学習領域か否かを調べ、VTTGT≧Aであり、目標バルブタイミングVTTGTが最遅角側の非学習領域にある場合、更に、ステップS502で目標バルブタイミングVTTGTと最進角側の設定値Bとを比較し、最進角側の非学習領域か否かを調べる。
【0090】
そして、VTTGT≧A且つVTTGT≦B、すなわち、目標バルブタイミングVTTGTによるバルブタイミング制御領域が最遅角ないし最遅角近傍でなく、且つ、最進角ないし最進角近傍でもない通常の領域で保持電流の学習領域である場合、ステップS502からステップS503へ進んで、目標バルブタイミングVTTGTが保持電流の非学習領域内にある継続時間を計時するためのカウント値Nをクリアし(N←0)、ステップS504で、制御電流補正量IVTCORを実質的に補正無しに対応する0として(IVTCOR←0)ルーチンを抜ける。
【0091】
一方、ステップS501において、VTTGT<Aであり、目標バルブタイミングVTTGTによるバルブタイミング制御領域が最遅角側の非学習領域である場合、ステップS501からステップS505へ進んで目標バルブタイミングVTTGTと実バルブタイミングVTとを比較し、目標バルブタイミングVTTGTに対して実バルブタイミングVTが進角側にあるか否かを調べる。
【0092】
その結果、ステップS505において、VTTGT≧VTの場合には、前述のステップS503,S504を経てルーチンを抜け、VTTGT<VTの場合、ステップS506で、カウント値Nをカウントアップし(N←N+1)、ステップS507で、カウント値Nが設定値Ns1(例えば、1〜5sec相当値)を越えたか否かを調べる。
【0093】
そして、N≦Ns1の場合、前述のステップS504で制御電流補正量IVTCORを補正無しの0としてルーチンを抜け、N>Ns1で、目標バルブタイミングVTTGTに対して実バルブタイミングVTが進角側にある時間が設定値Ns1により定まる設定時間継続した場合には、目標バルブタイミングVTTGTと実バルブタイミングVTとの間に最遅角側において定常偏差があると判断し、ステップS508で、制御電流値IVTを減少補正し定常偏差に対応してバルブタイミングを遅角補正すべく、制御電流補正量IVTCORに設定値Icomp1(例えば、Icomp1=−5〜−50mA)をセットし、ルーチンを抜ける。
【0094】
また、ステップS501でVTTGT≧AによりステップS502へ進み、ステップS502においてVTTGT>Bの場合、すなわち、目標バルブタイミングVTTGTによるバルブタイミング制御領域が最進角側の非学習領域である場合、ステップS502からステップS509へ進み、目標バルブタイミングVTTGTと実バルブタイミングVTとを比較して目標バルブタイミングVTTGTに対して実バルブタイミングVTが遅角側にあるか否かを調べる。
【0095】
その結果、ステップS509において、VTTGT≦VTの場合には、前述のステップS503,S504を経てルーチンを抜け、VTTGT>VTの場合、ステップS510で、カウント値Nをカウントアップし(N←N+1)、ステップS511で、カウント値Nが設定値Ns2(例えば、1〜5sec相当値)を越えたか否かを調べる。
【0096】
そして、N≦Ns2の場合、前述のステップS504で制御電流補正量IVTCORを補正無しの0としてルーチンを抜け、N>Ns2で、目標バルブタイミングVTTGTに対して実バルブタイミングVTが遅角側にある時間が設定値Ns2により定まる設定時間継続した場合には、目標バルブタイミングVTTGTと実バルブタイミングVTとの間に最進角側において定常偏差があると判断し、ステップS512で、制御電流値IVTを増加補正し定常偏差に対応してバルブタイミングを進角補正すべく、制御電流補正量IVTCORに設定値Icomp2(例えば、Icomp2=5〜50mA)をセットし、ルーチンを抜ける。
【0097】
以上の制御電流補正量IVTCORは、図5及び図6の制御電流値設定ルーチンにおいて、目標電流値ITGTに加算され、PI制御によって設定される制御電流値IVTに対する補正が行われる。以下、制御電流値設定ルーチンについて説明する。
【0098】
制御電流値設定ルーチンでは、先ず、ステップS600で、目標電流値ITGTに制御電流補正量IVTCORを加算して目標電流値ITGTを更新し(ITGT←ITGT+IVTCOR)、保持電流の非学習領域での定常偏差に対する補正を行う。
【0099】
次いで、ステップS601へ進んで目標電流値ITGTに対する制御電流値IVTの偏差ΔIを算出し(ΔI←ITGT−IVT)、ステップS602で、偏差ΔIの絶対値と許容値Isとを比較し、制御電流値IVTがPI制御における制御許容範囲(不感帯)内に収束しているか否かを調べる。
【0100】
そして、ステップS602において、|ΔI|<Isで制御電流値IVTが制御許容範囲内に収束している場合には、ステップS603,S604で、PI制御における積分成分(I分)Ii、比例成分(P分)Ipをそれぞれ0にクリアし、ステップS622へ進む。ステップS622では、現在の制御電流値IVTにP分Ip及びI分Iiを加算して新たな制御電流値IVTに更新し(IVT←IVT+Ip+Ii)、ステップS623以降で制御電流値IVTの上下限規制を行う。
【0101】
すなわち、ステップS623で、制御電流値IVTが下限値IMIN(例えば、IMIN=100mA)より小さいか否かを調べる。そして、IVT<IMINの場合、ステップS624で制御電流値IVTを下限値IMINに下限規制して(IVT←IMIN)ルーチンを抜け、IVT≧IMINの場合、ステップS625で制御電流値IVTが上限値IMAX(例えば、IMAX=1000mA)より大きいか否かを調べる。
【0102】
その結果、ステップS625において、IVT≦IMAXの場合には、制御電流値IVTが上下限の許容範囲内であるため、ステップS625からルーチンを抜け、IVT>IMAXの場合、ステップS626で制御電流値IVTを上限値IMAXに上限規制し(IVT←IMAX)、ルーチンを抜ける。
【0103】
一方、ステップS602において|ΔI|≧Isであり、制御電流値IVTが制御許容範囲内に収束していない場合には、ステップS605へ進んで制御電流値IVTと目標電流値ITGTとを比較し、現在、制御電流値IVTが目標電流値ITGTに対して上側にあるか下側にあるかを調べる。
【0104】
その結果、IVT>ITGTであり、制御電流値IVTが目標電流値ITGTより大きい場合、ステップS605からステップS606へ進み、反転判別フラグFLGRTNが1にセットされているか否かを調べる。反転判別フラグFLGRTNは、前回までに制御電流値IVTが目標電流値ITGTを越えていたか否かを示すフラグであり、制御電流値IVTが目標電流値ITGTを越えた後、1にセットされ、制御電流値IVTが目標電流値ITGT以下になった後、0にクリアされる。
【0105】
従って、ステップS605においてIVT>ITGTであり、且つステップS606でFLGRTN=0の場合、制御電流値IVTが目標電流値ITGTに対して下側から上側に反転した反転初回であると判断してステップS607へ進み、偏差ΔIの絶対値に基づきP分テーブルTBLPを参照し、図10に示すように、偏差ΔIの絶対値が増加するに応じて段階的に大きくなるP分のダウン量PDWNを設定する(PDWN←TBLP(|ΔI|))。
【0106】
そして、ステップS608で、P分Ipによる反転初回のマイナス側へのスキップを実行すべくダウン量PDWNのマイナス値を今回のP分Ipとし(Ip←−PDWN)、ステップS609でI分Iiを0とした後(Ii←0)、ステップS613で反転判別フラグFLGRTNをセットし(FLGRTN←1)、前述のステップS622でP分Ip及びI分Iiにより制御電流値IVTを更新した後、ステップS623〜S626で制御電流値IVTを上下限規制してルーチンを抜ける。
【0107】
また、ステップS606でFLGRTN=1であり、既に反転初回のP分Ipによるスキップがなされている場合、ステップS606からステップS610へ進み、偏差ΔIの絶対値に基づきI分テーブルTBLIを参照して、図11に示すように、P分テーブルTBLPと同様、偏差ΔIの絶対値の増加に応じて段階的に大きくなるI分のダウン量IDWNを設定する(IDWN←TBLI(|ΔI|);但し、IDWN<PDWN)。
【0108】
そして、ステップS611で、演算周期毎にI分Iiにより制御電流を漸次減少させるべく、ダウン量IDWNのマイナス値を今回のI分Iiとし(Ii←−IDWN)、ステップS612でP分Ipを0とした後(Ip←0)、ステップS613で反転判別フラグFLGRTNをセットし、前述のステップS622でP分Ip及びI分Iiにより制御電流値IVTを更新した後、ステップS623〜S626で制御電流値IVTを上下限規制してルーチンを抜ける。
【0109】
次に、制御電流値IVTが制御許容範囲を外れて目標電流値ITGT以下である場合、ステップS601からステップS602を経てステップS605でIVT≦ITGTによりステップS614へ進み、反転判別フラグFLGRTNの値を参照する。そして、FLGRTN=1の場合、すなわち、制御電流値IVTが目標電流値ITGTに対して上側から下側に反転した反転初回である場合、ステップS615へ進み、偏差ΔIの絶対値に基づき図10に示すP分テーブルTBLPを参照してP分のアップ量PUPを設定する(PUP←TBLP(|ΔI|))。
【0110】
そして、ステップS616で、P分Ipによる反転初回のプラス側へのスキップを実行すべくアップ量PUPを今回のP分Ipとし(Ip←PUP)、ステップS617でI分Iiを0とした後(Ii←0)、ステップS621で反転判別フラグFLGRTNをクリアし(FLGRTN←0)、前述のステップS622でP分Ip及びI分Iiにより制御電流値IVTを更新した後、ステップS623〜S626で制御電流値IVTを上下限規制してルーチンを抜ける。
【0111】
また、ステップS614でFLGRTN=0であり、既に反転初回のP分Ipによるスキップがなされている場合、ステップS614からステップS618へ進み、偏差ΔIの絶対値に基づき図11に示すI分テーブルTBLIを参照してI分のアップ量IUPを設定する(IUP←TBLI(|ΔI|))。
【0112】
そして、ステップS619で、演算周期毎にI分Iiにより制御電流を漸次増加させるべく、アップ量IUPを今回のI分Iiとし(Ii←IUP)、ステップS620でP分Ipを0とした後(Ip←0)、ステップS621で反転判別フラグFLGRTNをクリアし、前述のステップS622でP分Ip及びI分Iiにより制御電流値IVTを更新した後、ステップS623〜S626で制御電流値IVTを上下限規制してルーチンを抜ける。
【0113】
すなわち、図12に示すように、目標電流値ITGTが上昇した場合、先ず、制御電流値IVTと目標電流値ITGTとの偏差ΔIに応じて設定されるアップ量PUPをP分Ipとして制御電流値IVTをステップ的に増加させ、その後、演算周期毎に、制御電流値IVTと目標電流値ITGTとの偏差ΔIに応じて設定されるアップ量IUPをI分Iiとして、制御周期毎にI分Iiずつ制御電流値IVTを漸次的に増加させることで、制御電流値IVTが許容値Isによる許容幅内に収束するよう制御する。
【0114】
一方、目標電流値ITGTが低下した場合には、制御電流値IVTと目標電流値ITGTとの偏差ΔIに応じて設定されるダウン量PDWNのマイナス値をP分Ipとして制御電流値IVTをステップ的に減少させ、その後、演算周期毎に、制御電流値IVTと目標電流値ITGTとの偏差ΔIに応じて設定されるダウン量IDWNのマイナス値をI分Iiとして、制御周期毎にI分Iiずつ制御電流値IVTを漸次的に減少させる。
【0115】
この場合、バルブタイミング制御領域が最遅角側の保持電流値の非学習領域にあり進角方向に定常偏差がある場合には、目標電流値ITGTが設定値Icomp1によってマイナス設定された制御電流補正量IVTCORによって減少補正されるため、PI制御によるオイルフロー制御弁36R(36L)の制御電流値IVTが減少し、可変バルブタイミング機構27の進角室33aの油圧が低下すると共に遅角室33bの油圧が上昇して実バルブタイミングが遅角化され、最遅角側の保持電流値の非学習領域における目標バルブタイミングVTTGTに対する実バルブタイミングの定常偏差が解消される。
【0116】
同様に、バルブタイミング制御領域が最進角側の保持電流値の非学習領域にあり遅角方向に定常偏差がある場合には、目標電流値ITGTが設定値Icomp2によってプラス設定された制御電流補正量IVTCORによって増加補正されるため、PI制御によるオイルフロー制御弁36R(36L)の制御電流値IVTが増加し、可変バルブタイミング機構27の進角室33aの油圧が上昇すると共に遅角室33bの油圧が低下して実バルブタイミングが進角化され、最進角側の保持電流値の非学習領域における目標バルブタイミングVTTGTに対する実バルブタイミングの定常偏差が解消される。
【0117】
すなわち、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域での保持電流の誤学習による目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングのズレや収束性の悪化等を未然に回避し、バルブタイミング制御の制御性悪化を防止すると共に、最遅角ないし最遅角近傍及び最進角ないし最進角近傍のバルブタイミング制御領域で、保持電流を適正に学習できないことに起因する定常的な偏差を解消することができる。
【0118】
尚、本形態では、制御電流補正量IVTCORを目標電流値ITGTに加算することでPI制御によって設定される制御電流値IVTを補正するようにしているが、目標電流値ITGTには制御電流補正量IVTCORを加算せず、PI制御によって設定された後の制御電流値IVTを、制御電流補正量IVCORによって直接補正するようにしても良い。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、最遅角側の誤学習を防止するための第1の判定閾値により設定される最遅角側の非学習領域、及び最進角側の誤学習を防止するための第2の判定閾値により設定される最進角側の非学習領域において、油圧制御弁に対して可変バルブタイミング機構を所定のカム位相で定常状態に保持するための保持電流値の学習を禁止するので、保持電流の誤学習による目標バルブタイミングに対する実バルブタイミングのズレや収束性の悪化等を未然に回避し、バルブタイミング制御における制御性悪化を防止することができる。
【0120】
その際、目標バルブタイミングが第1の判定閾値よりも遅角側にあり、且つ目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが進角側にある状態が設定時間継続する場合、最遅角ないし最遅角近傍において進角方向に定常偏差があると判断して制御電流値を遅角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により制御電流値を補正するので、最遅角ないし最遅角近傍における進角方向の定常偏差を確実に判断し、保持電流を適正に学習できないことに起因して生じる定常偏差を的確に解消することができる。
【0122】
更に、請求項記載の発明によれば、目標バルブタイミングが第2の判定閾値よりも進角側にあり、且つ、目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが遅角側にある状態が設定時間継続する場合、最進角ないし最進角近傍において遅角方向に定常偏差があると判断して制御電流値を進角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により制御電流値を補正するので、請求項記載の発明の効果に加え、最進角ないし最進角近傍における遅角方向の定常偏差を確実に判断し、このときの定常偏差を的確に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルブタイミング制御ルーチンのフローチャート
【図2】目標電流値算出ルーチンのフローチャート
【図3】保持電流値学習ルーチンのフローチャート
【図4】制御電流補正量設定ルーチンのフローチャート
【図5】制御電流値設定ルーチンのフローチャート
【図6】制御電流値設定ルーチンのフローチャート(続き)
【図7】排気バルブに対する吸気バルブのバルブタイミングの変化を示す説明図
【図8】目標バルブタイミングテーブルの説明図
【図9】保持電流の非学習領域での定常偏差を示す説明図
【図10】P分テーブルの説明図
【図11】I分テーブルの説明図、
【図12】PI制御による制御電流値設定の説明図
【図13】クランクパルス、気筒判別パルス、及びカム位置パルスの関係を示すタイムチャート
【図14】可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図
【図15】可変バルブタイミング機構の概略構成図
【図16】可変バルブタイミング機構の最進角状態を図15のA−A断面で示す説明図
【図17】可変バルブタイミング機構の最遅角状態を図15のA−A断面で示す説明図
【図18】クランクロータとクランク角センサの正面図
【図19】吸気カムプーリの背面図
【図20】カムロータとカム位置センサの正面図
【図21】電子制御系の回路構成図
【符号の説明】
1 …可変バルブタイミング機構付きエンジン
27…可変バルブタイミング機構
36R(36L)…オイルフロー制御弁(油圧制御弁)
60…ECU(学習禁止手段、定常偏差判断手段、補正手段)
VTTGT…目標バルブタイミング
VT…実バルブタイミング
IVT…制御電流値
If…フィードバック電流値
Ih…保持電流値
IVTCOR…制御電流補正量(補正量)
A…設定値(第1の判定閾値)
B…設定値(第2の判定閾値)

Claims (2)

  1. エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整する油圧駆動式可変バルブタイミング機構を備え、エンジン運転状態に基づく目標バルブタイミングに実バルブタイミングが収束するよう油圧制御弁を電流制御して上記可変バルブタイミング機構を制御するエンジンのバルブタイミング制御装置において、
    最遅角側の誤学習を防止するための第1の判定閾値により最遅角側の非学習領域が設定され、
    最進角側の誤学習を防止するための第2の判定閾値により最進角側の非学習領域が設定され、
    上記非学習領域において上記油圧制御弁に対して上記可変バルブタイミング機構を所定のカム位相で定常状態に保持するための保持電流値の学習を禁止する学習禁止手段と、
    標バルブタイミングが上記第1の判定閾値よりも遅角側にあり、且つ目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが進角側にある状態が設定時間継続する場合、最遅角ないし最遅角近傍において目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの間に進角方向に定常偏差があると判断する定常偏差判断手段と、
    記定常偏差判断手段によって定常偏差があると判断されたとき、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差に基づくフィードバック電流値と上記保持電流値とによる上記油圧制御弁の制御電流値を遅角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により上記制御電流値を補正する補正手段とを備えたことを特徴とするエンジンのバルブタイミング制御装置。
  2. 上記定常偏差判断手段は、目標バルブタイミングが上記第2の判定閾値よりも進角側にあり、且つ目標バルブタイミングに対して実バルブタイミングが遅角側にある状態が設定時間継続する場合、最進角ないし最進角近傍において遅角方向に定常偏差があると判断し、
    上記補正手段は、上記制御電流値を進角方向に補正するための補正量を設定し、該補正量により上記制御電流値を補正することを特徴とする請求項1記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
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